修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2021年8月)
問6 以下の(1)から(3)の問にすべて答えよ.
(1) (i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を,それぞれ2行程度で述べよ.
(i) 生活史_______ (ii) 純一次生産_______(iii) 食物網
(iv) 窒素固定_____(v) 温室効果
(2)文章を読んで,以下の問(a)から問(c)に答えよ.
降水量の十分な地域における遷移の後期には,(i)陽樹林が成立し,ついで(ii)陰樹林に置き換わることが多い.陰樹林は,極相林に相当することも多い.(iii)極相林では,遷移途中段階の群集よりも種多様性が低くなることがある.
(a) 下線部(i),(ii)を代表する樹種を1種ずつあげよ.
(b) 下線部(i)から下線部(ii)に遷移する理由を,「光飽和点,呼吸速度,光合成有効放射」の言葉を用いて4行程度で説明せよ.解答中で,これら3つの用語には下線を付すこと.
(c) (iii)となる理由を2行程度で説明せよ.
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2020年8月)
筆記試験を課しているコースでオンライン形式の試験を行ったた。
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2019年8月)
問6 以下の(1)から(3)の問にすべて答えよ.
(1)(i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を,それぞれ2行程度で述べよ.
(i) 同化効率_______(ii) 生物学的種_____(iii) 周辺種
(iv) リラクゼーション__(v) 個体群
(2)図1と文章を参照して,以下の問(a)から(e)に答えよ.
図1. 米国イリノイ州南部における耕作放棄後年数の異なる5つの放棄畑で測定された植物種の相対優占度(相対被度).
(生態学キーノート(2012)を一部改変)
群集は,その(i)多様性によって特徴づけることができる.多様性は,そこに出現する種数およびその個体数の(ii)関数で表現できる.すべての種の個体数がほぼ同じである群集は均等性が高く,一方,少数の個体数が多く他種の個体数が少ない群集は[__(ア)__]が高い.種の豊かさと均等性をともに表現する方法がある.それは,上図のように種の相対優占度を優占度の種順位の順に並べるものである.その結果,(iii)直線ができたり,特徴的な形の曲線ができたりする.
(a) 空欄(ア)に適当な言葉を入れよ.
(b) 下線部(i)が生態系サービスにとって重要となる理由を説明せよ.
(c) 下線部(ii)の代表的な指数を1つあげよ.
(d) 下線部(iii)について,なぜ直線になるのか,その機構を説明せよ.
(e) この耕作放棄地における遷移の特徴について,図をもとに説明せよ.
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2018年8月)
問6 以下の(1)および(3)の問にすべて答えよ.
(1)(i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を,それぞれ2行程度で述べよ.
(i) 土壌, (ii) リター, (iii) C3植物, (iv) ベータ多様性, (v) キーストーン種
(2)次の文章を読み,以下の(a)から(f)に答えよ.
森林のように(i)K選択種が優占する[__(ア)__]後期の群集では,撹乱によってギャップができると,そこに(ii)先駆種が侵入できるようになる.これらの先駆種は,やがて,(iii)他種によって置き換えられる.ギャップ内の(iv)種数は,最初は低く,中期に最大となり,その後は減少する.
新しいギャップでは,3つの供給源からの再生が起こる.それは,[__(イ)__],ギャップ形成前に定着した植物,そしてギャップ周辺の枝の成長である.大きなギャップは十分長い期間空いているので,(v)埋土種子も発芽し,ギャップ群集の一員となることができる.
(生態学キーノート(2012)を一部改変)
(a) 空欄(ア),(イ)に適当な言葉を入れよ.
(b) 下線部(i)と対をなす用語を述べよ.ついで,なぜ(i)が優占するのかを説明せよ.
(c) 下線部(ii)の持つ特徴を3点あげよ.
(d) 「資源比仮説」をもとに下線部(iii)の機構を説明せよ.
(e) 下線部(iv)に見られるような種数の変化が起こる理由を説明せよ.
(f) 下線部(v)は,永続的なものと一時的なものに分けることができる.撹乱後の生態系回復において重要なのはどちらであるのかを,その理由を含めて記述せよ.
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2017年8月)
問6 以下の(1)から(3)の問にすべて答えよ.
(1)(i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を,それぞれ述べよ.
(i) 創始者効果, (ii) 環境収容力, (iii) バイオーム, (iv) トレードオフ, (v) バイオレメディエーション
(2)次の表と文章を参照して,以下の問(a)から(e)に答えよ.
表 ある地域で大規模撹乱を受けてから320年間にわたる遷移を永久調査区により調べた結果
経過年 5 10 20 40 80 160 320
種数 5 12 18 24 20 18 18
加入種数 5 9 8 12 2 3 1
消失種数 0 2 2 6 6 5 1
群集は同じ時間に同じ場所でともに生活する種の集合である.群集は,その多様性によって特徴づけることができる.多様性は,空間スケールをもとに(i)α-, β-, γ-多様性の3種類に分けることが多く,種の豊富さと各種の優占度の[___(ア)___]に依存する.それらの種の相互作用が増せば群集の複雑性も増す.遷移上では,(ii)α-多様性(この場合種数)は,表に見られる変化を示すことが多い.群集の安定性には,[___(イ)___]と抵抗力という2つの要素がある.しかし,(iii)複雑性が安定性を増加させるかどうかについては議論の余地がある.
(a) 空欄(ア),(イ)に適当な言葉を入れよ.
(b) 下線部(i)について,α-多様性とは,生息地内あるいは群集内での種の多様性のことである.同様に,β-およびγ-多様性とはどのようなものか,それぞれ説明せよ.ついで,これら3種類の間の関係を説明せよ.
(c) 下線部(ii)および表について,その機構を説明せよ.
(d) 下線部(iii)について,その理由を説明せよ.
(e) 表において,遷移初期に特異的にみられる種に共通する特徴を資源比仮説の観点から説明せよ.また,遷移後期に加入した種に共通に見られる特徴をr-K戦略の観点から説明せよ.
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2016年8月)
問1 以下の(1)と(2)にすべて答えよ.
(1)以下の(A)と(B)に答えよ.
(A)(i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を,それぞれ述べよ.
(i) 負の密度効果, (ii) 種間競争, (iii) 景観, (iv) キーストーン種, (v) バイオマス
(B)次の図と文章を参照して,以下の問(a)から(d)に答えよ.
図 グライムの三角形.
グライム(Grime)は,植物の種を,(i)撹乱と,生育環境の厳しさ(ストレス)をもとに3つのタイプに分類した.ストレスが低く撹乱の弱い(ii)生息地では競争能力の高い種(図中のC, competitors)が,ストレスが低く撹乱の強い生息地では撹乱依存性の高い種(R, ruderals)が,ストレスが高く撹乱の[___(ア)___生息地ではストレス耐性が高い種(S, stress-tolerators)が,高い(iii)生産力を示す.これらの種の関係は,図のように示すことができる.この図は,[___(イ)___]にも応用ができる.撹乱発生直後から極相まで土壌栄養が乏しい場合には,種のタイプは図中の矢印で示したように推移する.同様に,(iv)土壌栄養が豊富な場合の変化も予測できる.
(a) 空欄(ア),(イ)に適当な言葉を入れよ.
(b) 下線部(i)について,森林火災に対する生態系の維持機構を,具体例をあげて説明せよ.
(c) 下線部(ii)を復元し絶滅危惧種などの保全復元を図ることを何と呼ぶか.
(d) 下線部(iii)の中で,純バイオーム生産力とは何かを説明せよ.
(e) 下線部(iv)について,解答用紙にフリーハンドでよいので,図のグライムの三角形を描き,グラフ上に予測される変化を矢印で示せ.
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2015年8月)
問1 以下の(1)と(2)にすべて答えよ.
(1) 以下の(A)と(B)に答えよ.
(A) (i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を,それぞれ述べよ.
(i) ニッチ, (ii) 種内競争, (iii) 馴化, (iv) 北方樹林, (v) ラウンケアの生活形
(B) 次の図と文章を参照して,以下の問(a)から(d)に答えよ.
図 自然保護区の配置方法.黒塗りの部分が,自然保護区を示している.
ある面積の生育場所内に見られる種数は,その面積・形状に影響されるが,一般に(i)面積が大きくなれば,種数が増加する.したがって,自然保護区の配置方法を示した上図では,(a)よりも(b)の方が,種数は多いのが普通である.しかし,面積だけが自然保護区を設計する重要事項ではない.例えば,(ii)(c)と(d)は保護区の合計面積は同じだが保護区内の種数は異なる.また(iii)(d)と(e)でも種数は異なる.特に,(b)の1つの大きい区と(e)の多数の小さな保護区のいずれが自然保護区に適しているかは論争となり(iv)SLOSS (a single large or several small)問題と言われたが,現在では,目的によりいずれかを採択すべきという結論を得ている.
出典: 生態学キーノート(2001)より抜粋一部改変
(a) 下線部(i)について,種数をS,面積をAとして種数と面積の関係式を書け.
(b) 下線部(ii)について,(c)と(d)ではいずれの保護区の方が種数は多くなるか.その理由も含めて述べよ.
(c) 下線部(iii)について,(d)と(e)ではいずれの保護区の方が種数は多くなるか.その理由も含めて書け.
(d) 下線部(iv)について,どのような場合に(b)を採用し,どのような場合に(e)を採用すべきか,それらの理由を含めて説明せよ.
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2014年8月)
問1 以下の(1)と(2)にすべて答えよ。
(1) 以下の(A)と(B)に答えよ。
(A) (i)から(v)の各用語の生態学上の定義または意味を、それぞれ述べよ。
(i) 生物濃縮, (ii) 極相, (iii) ギルド, (iv) 純一次生産力, (v) シードバンク
(B) 次の文書を読み、以下の問(i)から(iv)に答えよ。
(i)アイスランド(北緯63度)近くの海中で、1963年に火山活動があり、3000ヘクタール以上の面積を有する新しい島が誕生した。島における火山活動は、1967年に停止した。火山活動の収まる前の1965年に、既に(ii)植物が定着しているのが確認された。その後、現在まで、植物の種数は増加しているが、(iii)いつまでも増加するわけではなく、いつかは頭打ちとなる。この島では、2003年に鳥の営巣が確認され、それ以降、鳥の様々な影響により(iv)植物群集構造が大きく変化した。
(i)における陸上の主要なバイオームを1つあげよ。ついで、そのバイオームの気候、生活型、多様性、生産力の特徴を述べよ。
(ii)について、どのような植物が定着したと考えられるか。理由も含め説明せよ。
(iii)となる理由を島の生物地理学の理論から説明せよ。解答には、「移入率」、「絶滅率」の2つの言葉を必ず入れること。
(iv)となる理由を2つあげ、それぞれを説明せよ。
修士課程環境起学専攻入試問題: 環境 (2014年8月)
問1. 以下の文章を読み、問(1)から(5)に答えよ。
(i)生物多様性には、近年、明らかな損失傾向が見られる。生物多様性の損失の直接的要因は、人間活動や開発による「第一の危機」、(ii)里山などで見られる「第二の危機」、(iii)外来種や化学物質による「第三の危機」、温室効果ガスの増加による「(iv)地球温暖化の危機」の4つの危機として整理されている。地球温暖化の危機を脱するためには、(v)植林などの取組みがなされつつある。
(1) 下線部(i)における3つのレベルを書け。
(2) 下線部(ii)がこれまで高い多様性を維持していた理由を説明せよ。
(3) 下線部(iii)について、河川敷における外来種について、動物・植物をそれぞれ1種ずつあげよ。
(4) 下線部(iv)は、陸域では高山帯で現れやすい。その理由を述べよ。
(5) 下線部(v)は、温暖化低減の効果に加えて、生物多様性を維持する様々な効果が期待されている。期待される効果の一つをあげ、その理由を説明せよ。
修士課程環境起学専攻入試問題: 環境 (2014年2月)
問1. 以下の問(1)から(3)に答えよ。
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(1)(a)から(d)には、2つの生態学用語を組で記してある。2つの用語の相違点が分かるように、各用語の定義を、それぞれ述べよ。
(a)生態系、バイオーム
(b)馴化、適応
(c)帰化種、侵入種
(d)キーストーン種、アンブレラ種
(2)次の文章を読み、以下の問に答えよ。
降水量が十分な温帯地域の遷移において、溶岩上では、撹乱直後に地衣類やコケ類が定着し、ついで、草本群集(i)、低木林、陽樹林、陰樹林の順に推移する(ii)ことがある。しかし、ステップ(iii)や砂漠(iv)では、このような遷移系列は認められない。
(a)下線部(i)の遷移機構について、以下の用語を全て用いて説明せよ。なお、使用した用語には下線を付すこと。
種子散布、先駆種、土壌栄養、多様性
(b)下線部(ii)の遷移機構について、以下の用語を全て用いて説明せよ。なお、使用した用語には下線を付すこと。
極相種、種間競争、耐陰性、多様性
(c)下線部(iii)の特徴を、景観、生産力、環境の側面から説明せよ。
(d)下線部(iv)では、一年生草本が優占することが多い。その理由を説明せよ。
(3)次の文章と図をもとに、問に答えよ。
菌根菌は、植物根の内部あるいは表面で成長し、菌類と植物が互いに利益を得る[___(あ)___]関係が成立している生物である。菌根菌は、内生菌根菌と外生菌根菌に大別され、前者は土壌中のリンの吸収に、後者は[___(い)___]の吸収に、より関与している。内生菌根菌が植物に与える影響を知るための実験が行われ、その結果が図1から図3に示されている。
図1. 植物地上部バイオマスと菌根菌種数の関係。図2. 土壌中リン濃度と菌根菌種数の関係。図3. 植物葉中のリン濃度と菌根菌種数の関係。いずれの図も、シンボルは平均値、縦棒は標準誤差、実線は有意な回帰曲線を示す。(van der Heijden et al. (1998)を改変)
(a)空欄(あ)、(い)に適切な用語を入れよ。
(b)図で示した実験結果から言うことができる結論を、実験結果間の関係を考慮しながら説明せよ。
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2013年8月)
問1. 以下の(1)と(2)に答えよ。
(1) (a)から(e)の各用語の生態学上の定義または意味を、それぞれ述べよ。
(a) 生命表, (b) 密度依存性, (c) 競争的排除則, (d) エコトーン, (e) 酸性雨
(2) 図1をもとに、遷移に関する以下の問(a)から(c)に答えよ。
図1.温帯・冷温帯における乾性一次遷移の模式図
(a) 初期に種子植物が侵入できない理由を1行で説明せよ。
(b) 陽樹林から陰樹林に変化する機構を説明せよ。
(c) 遷移機構に関する仮説には、促進・抑制・耐性の3つがあるが、上図は、このうちのいずれの仮説によりよく説明されるか。その理由も含めて説明せよ。
修士課程環境起学専攻入試問題(2012年8月)
問1. 以下の(1)と(2)に答えよ。
(1) (a)から(e)の各用語の生態学上の定義または意味を、それぞれ述べよ。
(a) 適応度, (b) 圃場容水量 (野外容水量), (c) 温度係数 (Q10), (d) 根圏, (e) アレロパシー (他感作用)
(2) ガウゼ(Gause)は、2種のゾウリムシを1つの水槽中で、1種類の餌を十分に与え続けて個体数の変化を下図のように観察した。これをもとに、以下の問(a)から(c)に答えよ。
図1.ゾウリムシとヒメゾウリムシの2種の個体数変化(Gause 1934)。
(a) 5日目から8日目までは、両種とも個体数を増加させている。その理由を説明せよ。
(b) 8日以降は、ゾウリムシは個体数を減少させ、ついには絶滅する。この現象をもとに提案された「ガウゼの法則」を説明せよ。
(c) 自然界では、この法則に基づく現象が報告されたことはほとんどない。その理由を説明せよ。
修士課程環境起学専攻入試問題: 生態 (2012年3月)
問2. 次の文章を読み、以下の問に答えよ。
生態系(i)保全を研究する上で、群集の多様性(ii)を多様性指数のような指標で表すことには疑問がある(iii)。また、次にあげるような特徴を持つ種は、その種の保全を行うことで、生物多様性の保全そのものに貢献できるとも考えられている。
- 生態的指標種: 同様の生育場所や環境条件要求性を持つ種群を代表する種。高層湿原(iv)の指標植物種としてはモウセンゴケなどがあげられる。
- __________(a): 群集を維持するのに要となる種で、そのような種を失うと生態系が維持できなくなる。アフリカのサバンナ(v)では、アフリカゾウ(vi)が、これに相当する。
- __________(b): 生息に必要な面積が大きな種。その種の保全により、結果として他種の生存が保障される。
- 象徴種 : その美しさや魅力によって世間に特定の生息場所の保護をアピールできる種。
- 危急種(vii): 希少種や絶滅の危険が高い種。生息のために最も良好な生態系を保護することで、多種の生息地域が保護される。日本は、多様な生物が生息するが絶滅に瀕した種も多いため2005年にコンサベーション・インターナショナルによって世界中で34地域ある__________(c)の中の一つに指定された。
- 空欄(a)-(c)に適当な用語を入れよ。
- 下線部(i)の定義を1行で述べよ。
- 下線部(ii)は、α, β, γ多様性の3種に分けられることが多い。それらの多様性はどのようなものかを、それぞれ説明せよ。
- 下線部(iii)について、その理由を説明せよ。
- 下線部(iv)について、この湿原と低層湿原の違いが分かるように、環境と植物の特徴をもとに説明せよ。
- 下線部(v)について、その生態系の特徴と生産力について説明せよ。
- 下線部(vi)を、その生態系から除去すると生態系はどのように変化すると考えられるか。その予測される変化を説明せよ。
- 下線部(vii)を選定する方法として、個体群存続可能性分析(PVA)が用いられることがある。PVAの基本原理を説明せよ。
修士課程環境起学専攻入試問題(2011年8月)
問1. 次の文章を読み、以下の問に答えよ。
発達した陸上生態系(i))において自然撹乱(ii)が起こり、裸地が形成された場合を考える。そのような裸地において、種子植物では風散布種子(iii)を生産する種が最初に侵入することから遷移が始まることが多い。また、マメ科やハンノキ類などの種(iv)が侵入することもある。人為に起因する撹乱を受けた場所には、耕作放棄跡や鉱山採掘跡などがあり、これらの場所での遷移は、生物学的侵入(v)により撹乱前の生態系には戻らないこともある。近年、遷移初期における遷移機構の一つとして、ファシリテーション(定着促進効果)(vi)が注目されている。ファシリテーションは、先に侵入した種が後に侵入する種の侵入定着を促進する効果のことで、生態系復元手法の一つとしての応用が期待されている。
- 下線部(i)、(v)の意味をそれぞれ2行以内で説明せよ。
- 下線部(ii)について、具体例をあげ、まず、その例において極相までの遷移系列を記述し、その系列が形成される理由を説明せよ。
- 下線部(iii)について、それ以外の種子散布型を3種類記せ。
- 下線部(iv)について、これらの種が遷移初期に定着可能な理由を2行以内で説明せよ。
- 下線部(vi)について、この効果は、遷移初期に強く働き、遷移が進むにつれて弱くなることが多い。その理由を説明せよ。
修士課程生態環境科学専攻入試問題 (2002年前期)
植物生態学 (Plant Ecology)
問1. 以下の図をもとに問A, Bに答えよ。
図. ある地域における維管束植物の個体数と面積の関係
問A. 上記の群集Aと群集Bの面積と種数の関係について、その違いが生じる要因を3つあげ、それぞれの要因がどのように働くと、どのように「面積-種数関係」が変化するかについて簡潔に説明せよ。
問B. 人為的操作により、比較的短い期間で群集Bを群集Aのように変化させる方法を提案し、簡潔に述べよ。
問2. 以下の問A, B, Cに答えよ。
問A. 植物における、地上部競争と地下部競争の主要な違いを説明せよ。
問B. 草本群集では、上記2種類の競争でどちらがより重要と考えられるか。まず、どちらがより重要と考えられるかを示し、その根拠を述べよ。
問C. 以下の図の結果をもとに、地下部競争と地上部競争がChondrilla junceaの成長にどのように関与したかを簡潔にまとめよ。
図. Trifolium subterraneumとChondrilla juncea間の地上部および地下部競争。上図は行われた実験デザイン、下図はC. junceaを単独栽培した時の乾燥重量を100%とした時の相対百分率。(Groves & Williams 1975)
問3. 図a, bは異なる環境における遷移系列である。これらの図をもとに問A, Bに答えよ。
問A. 遷移系列の中から1つを選び、その系列の特徴と機構を簡潔に説明せよ。
問B. 図a, 図bの違いの生じる要因を、問Aとの対比をもとにして説明せよ。
問4. 図A, Bをもとに問に答えよ。
問. 種a, bの優占度の変化と、種c, dの優占度の変化には、異なる機構が作用していると考えられる。それぞれの機構を考察し述べよ。
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