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(2016年10月8日更新) [ 日本語 | English ]

ラン科 (Orchidaceae Juss.)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ エングラー体系 (Engler's syllabus)| 植物分類学 ]

Order Orchidales (Microspermae, Gynandrae) ラン

= Orchidaceae ラン

花3数性、完全花。花被片は異形化し左右相称
地上生-着生草本。葉緑体なくし菌根-腐生植物もある
粘着体 viscidium (pl. –a): 花粉が虫に付着する粘液質の物質を出す部分
種子微細: 多数で胚が未分化で胚乳なし
亜科 subfamily
Brown 1773-1858: 2亜科 → Diandrae = 葯2, Monandrae = 葯1
Schlechter 1872-1925: 2亜科 → Orchidioideae, Cypripedioideae
従来の多見解: 3亜科 → Apostasioideae, Orchidioideae, Cypripedioideae
Dressler (1927-) 6亜科 (1987)
  1. Subfam. Apostasioideae ヤクシマラン: 過去にヤクシマラン科とし独立 → Dressler & Dodson: 合一
    放射相対花 (= Apostaioideae) → primitive (ラン科植物の起源?) → 左右相対花 = 他亜科
  2. Subfam. Cypripedioideae アツモリソウ: 葯数 = 2
    葯数: 減少: 3 → 2 → 1 (Ex. 2 = アツモリソウ, クマガエソウ)
    花粉塊柄caudicle: 花粉塊を支える細い柄のような部分
    Schlechterによる分類基準
    1) 葯数                2 (Diandrae)                 1 (Monandrae)
    2) 花粉塊柄位置 下部に付く (Basitonae)  頂部に付く (Acriotonae)
    3) 花粉塊状態     粒質 (Polychondreae)   ろう質 (Kerosphaepeae)
    4) 花茎の出方     頂生 (Acranthae)           側生 (Pleuranthae)
    5) 茎形態            匍匐 (Sympodiales)       直立 (Monopodiales)
    Dressler & Dodson (1960) 見直し – 分類基準追加 ⇒ 4亜科加える
    1) 花粉硬さ  軟花粉            硬花粉
    2) 葯形        真っ直ぐな葯   内折れの葯
  3. Subfam. Spiranthoideae ネジバナ: 主地生。葯1つの軟花粉。カラム形と気孔を伴う中央周囲起原副細胞がある
  4. Subfam. Orchidoideae チドリ: 主地生。葯1つの軟花粉。副細胞なく、葯がカラムの柱頭まで伸びる
  5. Subfam. Epidendroideae セッコク: 硬花粉多。葯発達に特徴 = 大部分は若花芽では立つが、発達すると葯がカラムの頂点crestを越えカラムの中枢へ適切な角度まで、時には明らかに腹部まで曲がり折れる
  6. Subfam. Vandoideae バンダ: 多くは硬花粉。Epidendroideaeは葯発達し曲がるが、ごく初期段階から曲がる
ヤクシマラン亜科 Apostasiodeae: 3本雄蕊か、2雄蕊と1不稔雄蕊からなる
アツモリソウ亜科 Cypripedioideae: 雄蕊2本。唇弁よく発達
アツモリソウ属 Cypripedium L.
ラン亜科 Orchidoideae (Monandrae): 外輪雄蕊1本だけ稔性を持ち残る
エビネ Calanthe R. Br.
アオチドリ Coeloglossum Hartman
ハクサンチドリ Dactylorchis Verm.
シュスラン Goodyera R. Br.
テガタチドリ Gymnadenia R. Br.

葉広線形, 根一部掌状に肥厚, 距 長さ15-20 mm < 子房 → テガタチドリ G. conopsea (L.) R. Br.
葉(狭長)楕円形 縁波状, 肥厚根なし掌状。距長さ2-5 mm < 子房 → ノビネチドリ G. camtschatica Miyabe et Kudo

ツレサギソウ Platanthera L. C. Rich.

P. mandarinorum var. brachycentron ヤマサギソウ: 地下紡錘状の太根が新旧2個あり更新 花期6-7月

flower
図. 花形態 (シュンラン). 背萼片
dorsal sepal. 苞 bract. 花弁 petal.
側萼片 lateral sepal. 唇弁
labellum or lip. 子房 ovary

種子
微細 - 簡単な胚 → 貯蔵物質少ない → 給水しても単独では発芽しない

菌根菌があれば発芽
菌が有機物を吸収し種子に与える機能 (→ 培地に糖与えれば発芽可能)

発芽: 菌根菌必要
Case. シュンラン

種子: Wilson液(サラシ粉10 g/水140 mlの濾液)に時々振盪しながら10分間浸漬し消毒 (発芽促進効果もある)

菌根菌: シュンラン菌根から分離したRhizoctonia菌株

培養基 (Knudson C培地が基本) - A, B, C培地

A培地 (Knudson C培地)

K2HPO4 … 0.25 g
Ca(NO3)2 … 1.00 g
(NH4)2SO4 … 0.50 g
MgSO4·7H2O … 0.25 g
FeSO4·7H2O … 0.025 g
MnSO4·4H2O … 0.0075 g
ショ糖 … 20.00 g
純水 … 1000 ml
寒天 … 17.50 g

B培地: A培地からショ糖を抜く
C培地: A培地のショ糖の代わりに5-20 gのデンプンを加える

播種: 消毒済種子を白金耳(ニクロム線)に適量とり、斜面培地上に厚くならないよう撒く(スポイトで数滴落としてもよい)

観察: 種子単独のものと播種後に菌根菌を摂取したものを比較

ランの種分化


ラン科植物: 単子葉類中進化したもの
蕊柱形成: 癒合 + 退化 – 2心皮退化、5雄蕊退化
種分化最中にある科 → 染色体は観察しずらく数多い
園芸品種約8万種。殆どの交配系図 stud hybrid は記録される
交配方法 – 必ず蕊柱を使用する
花柱の構造
flower 葯 anther
花粉塊 pollinium (pl. –a)
柱頭 stiguma – 湾曲
小嘴体rostellum (pl. –a, adj. rostellate)




flower 雄蕊、雌蕊: 退化している
舌弁 lip: 極めて変異富む

平行進化の良い例
同時的な減数分裂を行う種が多い(海藻でも報告あり)。1つの花粉塊の中で一斉に完了
time lagも一定な種が多い

flower

シュンラン (Cymbidium Swartz)


darkness マヤラン Cymbidium macrorhizon Lindl.
分布: ヒマラヤ-中国・朝鮮半島・日本
暗所で開花可能。菌類共生を進化させ、暗所でも生育する。葉は完全に退化

シラン (紫蘭, Bletilla (Thunb.) Rchb. f.)


種子: 微小 (長さ1.6 mm. 胚0.4 mm) - 種皮: 細胞1層

胚: 葉原基(子葉)形成 (1909 Bernard: ラン科で報告)
利用: 園芸 (別名: 紅蘭)
発芽
19c初: ラン科種子微小 - 発芽能力なし
19c中: 親株の周りに播種すると僅かだが発芽
19c末 Bernard Noel (1874-1911): ラン菌(ラン科菌根菌)共生 → 発芽可能
1922 Knudson: 寒天培地(無機養分 + 糖) → 滅菌種子はラン菌なくとも発芽

滅菌発芽法 = 園芸栽培可能となる

ツレサギソウ (Platanthera L. C. Rich.)


生活型: 多年草
分布: 北半球温帯主 (欧州 - アジア - 北アメリカ)
花: 頂生 (花序: 総状) - 仮雄蕊退化
道内分布
1. 葉は1-3個が大きく他は小さい鱗片葉となる

2. 花被片は長さ3-7 mm、唇弁は舌状長楕円形-広線形、距は通常長い

3. 花は淡緑-黄緑色、萼片はやや厚く草質

4. 大形の葉2個、根生状に茎下部に相接してつき、ほぼ同形で長楕円形-楕円形 ___ ジンバイソウ
4. 大形の葉1-3個、不同で互いに離れて互生し、長楕円形-広線形

5. 葉は大形のが2-3個あり、次第に小さくなって鱗片葉に移行する ___ オオヤマサギソウ
5. 葉は下の1個が大きく、他は急に小さくなって鱗片葉に移行する

6. 立つ花弁は基部下側が著しく張り出しやや膜質、上半は急に細くなる。萼片5-12 mm l。葯室は互いに離れる

7. 萼片はやや膜質で、中央のは狭卵状3角形、側片は線状披針形、立つ花弁は先が細長く伸び乾いても黒くならない。葉は通常開出して着き基部は茎を抱く ___ キソチドリ (P. ophrydioides F. Schmidt) (ssp. var. takedae (Makino) Ohwi ミヤマチドリ/ニッコウチドリ)
7. 萼片はやや草質で、中央のは広卵形-卵形、側片は披針形、花弁の細い部分はやや厚くて短く、乾くと少し黒褐色になる。葉は通常斜上し基部は僅かに茎を抱く ___ ヤマサギソウ

6. 立つ花弁はやや肉質で基部は余り張り出さず、先の方も急に細くならないで鈍頭、乾くと黒くなる。萼片は長さ2-4.5 mm。葯室は接している

7. 葉は長楕円形-線状長楕円形、幅1-2 mm、花はやや多数つき距は下垂又は前方に彎曲する ___ ホソバノキソチドリ
7. 葉は広線形で幅3-10 mm、花は疎に数個付き、距は後方水平より上に開出する ___ コバノトンボソウ or ホソバノキソチドリ, s.l. (P. tipuloides (L. f.) Lindl.) (ssp. ホソバノキソチドリ, s.s.)

3. 花は白色、萼片はやや膜質 ___ エゾチドリ (P. metabifolia F. Maek.)

2. 花被片は長さ2 mm以下、唇弁は卵円形、距は長さ1-1.5 mm。大きい葉は2個、茎の中程近くにある ___ タカネトンボ

1. 葉は数個あって上の方は次第位に小さくなり鱗片葉になる

2. 葉は長楕円形、幅4-7 cm、中萼片は舟形に背面が膨らみ、花は白色で距は太く長さ3-4 cm ___ ツレサギソウ
2. 葉は広線形-線状長楕円形、幅1-2.5 cm、中萼片は平で、距は長さ5-12 mm ___ ミズチドリ

Platanthera
トンボソウ_____キソチドリ_____ツレサギソウ
図. 花および全体

タカネサギソウ (s.l.) P. mandarinorum Rchb. f. ssp. maximowicziana (Schltr.) K.Inoue
トンボソウ (P. ussuriensis (Regel et Maack) Maxim.), syn. Tulotis ussuriensis (Regel et Maack) H. Hara

園芸 (gardening)


Dendrobium Sw. (セッコク)

園芸では、デンドロビウムと呼ばれるのが普通。 D. kingianum Bidwill ex Lindl. (モモイワラン*)
レッドスプラッシュ (cv. red splash)
rs1 rs2
[1/2] 2021年1月24日、百合が原公園温室

Paphiopedilum Pfitzer (トキワラン)

ブロックハースト × ホワイトナイト (cv. brockenhurst × white knight)
gardening1 gardening1
[1/2] 2021年1月24日、百合が原公園温室
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