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(2023年10月26日更新) [ 日本語 | English ]

スゲ Sedge (カヤツリグサ科 Cyperaceae)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

エングラー体系 (Engler's syllabus)

Carex L. (スゲ, 菅), sedge

世界 1100-2000種 (1100-2000 species in the world): 西海岸,北極
日本 200種 (200 species in Japan): 北海道
多くは多年生 (形態)
細胞学的スゲ属植物の特徴 (星野 1985)
  1. 花粉形成過程 - 1花粉母細胞から1花粉形成。減数分裂 - 形成された4核中3核退化し1核生き残る
  2. 動原体非局在型で明瞭な一次狭窄もたない
  3. 種内/種間異数体高頻度出現

マスクサ subgenus Vignea

マスクサ section Vignea
ハクサンスゲ section Heleonastes

真正スゲ subgenus Carex

コカンスゲ section Decorae
ヒカゲスゲ section Digitatae
花柱基部肥厚せず果時には脱落 Ex. ヒメスゲ (C. oxyandra)
シバスゲ section Praecoces
花柱基部肥厚し盤状-嘴状beakedの柱基となり、果実頂部残存 Ex. アオスゲ
ジュウモンジスゲ section Indicae
ナキリスゲ section Graciles
クロボスゲ section Atratae
サツマスゲ section Occulusae
ヒゴクサ section Extensae
タマツリスゲ section Laxiflorae
ミガエリスゲ section Orthocerates
シオクグ section Paludosae
アゼスゲ section Carex

検索表

1. 小穂は茎頂に1個

2. 柱頭2岐, 果実は2稜形, 雌雄異株 ___ カンチスゲ Section Dioicae
2. 柱頭3岐, 果実は3稜形, ヒナスゲ(ヒナスゲ節)を除いて雌雄同株

3. 果胞は有毛 ___ ヒナスゲ節
3. 果胞は無毛

4. 果胞の基部は明らかな柄となる

5. 果胞は熟すと水平に開出 ___ キンスゲ節 (= キンスゲ)
5. 果胞は熟しても直立 ___ イトキンスゲ節 (= イトキンスゲ)

4. 果胞の基部に明らかな柄はない

5. 果胞は熟しても直立

6. 横走する根茎あり、果胞 = 3-4 mm l ___ カラフトイワスゲ節 (カラフトイワスゲ)
6. 根茎短く叢生、果胞 = 5-6 mm l ___ シラコスゲ節 (シラコスゲ)

5. 果胞は熟すと水平に開出または反転する

6. 小穂は2-4個の果胞をつけ、果胞 = 6 mm l ___ タカネハリスゲ節 (タカネハリスゲ)
6. 小穂は数個以上の果胞をつけ、果胞 < 6 mm l ___ ハリスゲ節

1. 小穂は複数が穂状, 総状, 円錐状に配列する

2. 花序穂状, 小穂無柄基部に前葉欠く

3. 果胞の縁は鋭稜または翼がある。果胞下半分の縁が鈍いものがあるが, その場合は長嘴があり, 嘴部の縁は鋭形でざらつく

4. 花序単性で雌雄異株 ___ コウボウムギ Section Macrocephalae
4. 花序両性

5. 小穂は雌雄性(先端に雄花部、基部に雌花部がある)

6. 横走する根系があるか倒状した茎の節から花茎を立てる

7. 果胞の縁は鋭稜 ___ クロカワズスゲ節 (= クロカワズスゲ)
7. 果胞の縁は狭翼 ___ ウスイロスゲ節

6. 根系は短く叢生する

7. 果胞本体の縁は鈍い ___ クリイロスゲ節 (= クリイロスゲ)
7. 果胞の縁は鋭稜または狭翼状 ___ ミノボロスゲ節

5. 小穂は雌雄性(先端に雌花部、基部に雄花部がある)

6. 小穂は頭状に多数が密集し, 果胞は狭披針形で長柄がある ___ カヤツリスゲ節 (カヤツリスゲ)
6. 小穂は穂状につき, 果胞はほとんど柄がない

7. 小穂基部の雄花部は目立ち、果胞基部は海綿質に肥厚する ___ カワズスゲ節
7. 小穂基部の雄花部は目立たず、果胞基部は海綿質に肥厚しない

8. 花序は小穂疎らにつけ、苞は葉身発達し、少なくとも最下のものは小穂よりも明らかに長い

9. 柱頭は3岐、果実は3稜形 ___ マスクサ節 (マスクサ)
9. 柱頭は2岐、果実は2稜形 ___ ヤブスゲ節

8. 花序は小穂密集するか数個がやや疎らにつき、苞の葉身は発達せず、最下のものでも小穂と同長かそれより短い ___ ヤガミスゲ節

3. 果胞は縁が鈍く、無嘴または短嘴

4. 小穂は雄雌制 ___ ホソスゲ節 (ホソスゲ)
4. 小穂は雌雄制 ___ ハクサンスゲ節

2. 花序総状-円錐状, 小穂多少柄あり、その基部に前葉ある

3. 小穂円錐状につき、前葉は果胞状小穂は雄雌性

4. 円錐花序は茎頂に1個 ___ アブラシバ節 (アブラシバ)
4. 円錐花序は数個が総状につく ___ ハナビスゲ節 (ハナビスゲ)

3. 小穂総状につき、前葉は筒状、小穂は単性または両性

4. 柱頭2岐、果実2稜形

5. 苞有鞘

6. 側小穂雄雌性、秋咲き ___ ナキリスゲ節
6. 側小穂雌性、春咲き ___ ヒエスゲ節 (キノクニスゲ類)

5. 苞無鞘

6. 果胞の縁は嘴部を除き平滑 ___ アゼスゲ Section Acutae
6. 少なくとも果胞の縁は有毛 ___ タヌキラン Section Podogynae

4. 柱頭3岐、果実3稜形

5. 頂小穂雌雄性、側小穂雌性

6. 苞無鞘 ___ クロボスゲ Section Atratae 一部
6. 苞有鞘

7. 果胞 = 扁平、疎らに刺状毛ある ___ タカネナルコ節 (タカネナルコ)
7. 果胞 ≠ 扁平、光沢あり無毛 ___ フサスゲ節一部 (フサスゲ)

5. 頂小穂雄性か雌雄性

6. 小穂は全て雄雌性、または側小穂は雄雌性、頂小穂が雄性の場合は側小穂の雄花部は雌花部と同長かより長い

7. 葉夏緑で軟らかい

8. 果胞長嘴 ___ ミヤマジュズスゲ節 (ミヤマジュズスゲ)
8. 果胞短嘴 ___ タガネソウ節

7. 葉常緑で硬い

8. 側小穂は柄が長く垂れ下がり、花柱基部は直立 ___ コカンスゲ節
8. 側小穂は柄が短く直立し、花柱基部は湾曲 ___ ヒエスゲ一部 (サコスゲ)

6. 頂小穂か上方2-3個の小穂は雄性、側小穂か下方の小穂は雌性、雄花部混じる場合も雌花部に比べ極めて小

7. 頂小穂のみ雄性

8. 果実の頂部に盤状、環状、嘴状の付属体がある

9. 果胞 = 5-8 mm l、花柱基部は湾曲する嘴となるか、湾曲部から合着した明らかな柄のある環状付属体となり果実頂部に残る ___ ヒエスゲ節
9. 果胞 < 5 mm l、果実頂部は上部がやや凹んだ円盤状付属体となり、その中央から花柱が出るか、花柱基部が柄の不明瞭な環状の付属体または直立する嘴となり果体上部に残る ___ ヌカスゲ節

8. 果実の頂部に付属体はない

9. 葉や鞘は有毛

10. 苞はほとんど無鞘 ___ ビロードスゲ節一部 (ハタベスゲ)
10. 苞は有鞘 ___ タマツリスゲ一部 (サッポロスゲ)

9. 葉や鞘は無毛

10. 果胞は有毛

11. 葉は茎の基部に集まる

12. 苞は無鞘

13. 小穂は長さ2 cm以下 ___ ヒメスゲ節
13. 小穂は長さ4 cm以上 ___ ミヤマシラスゲ節一部 (アキカサスゲ)

12. 苞は長鞘がある

13. 果胞は扁平ではない ___ ヒカゲスゲ Section Digitatae
13. 果胞はやや扁平 ___ イワカンスゲ節

11. 基部の鞘は葉身がなく、葉は茎の中部につく ___ サツマスゲ節

10. 果胞は縁を除いて無毛

11. 果胞は微細な乳頭状突起を密生

12. 叢生し匐枝を出さない

13. 苞無鞘 ___ クロボスゲ節一部
13. 苞有鞘 ___ タチスゲ節一部 (タチスゲ)

12. 匐枝を伸ばし、疎らに生える ___ ヤチスゲ節

11. 果胞に乳頭状突起はない

12. 苞無鞘、ときに最下のものに極めて短い鞘部がある

13. 果胞 = 扁平 ___ クロボスゲ節一部
13. 果胞 ≠ 扁平

14. 横走する地下茎または匐枝がある

15. 果胞は乾いても緑色またはオリーブ色

16. 葉は平坦で幅3 mm以上

17. 果胞 = 3-4 mm l ___ ヒメシラスゲ節
17. 果胞 ≈ 10 mm l ___ オニナルコスゲ節一部 (オニスゲ)

16. 葉は肉質 = 1-1.5 mm w ___ オニナルコスゲ節一部 (ホロムイクグ, コヌマスゲ)

15. 果胞は乾くと褐変 ___ ミヤマシラスゲ節大部分

14. 叢生、匐枝出さない

15. 果胞広倒卵形 = 2.5-3 mm l、口部2歯 ___ エゾサワスゲ節 (エゾサワスゲ)
15. 果胞披針形 = 4-9 mm l、口部2深裂 ___ クグスゲ節

12. 苞長鞘ある

13. 小穂少なくとも下方のものは長柄があり下垂

14. 葉は花茎より著しく短く、苞の葉身は小穂より短い

15. 果胞 = 扁平、細脈 = 5-8 mm l ___ イワカンスゲ節一部 (イワスゲ)
15. 果胞 ≠ 扁平、無脈 = 3-4.5 mm l ___ カタネシバスゲ節

14. 葉は花茎と同長かより長く、苞の葉身は葉状で小穂より長い ___ タマツリスゲ節

13. 小穂の柄は短く直立または斜上

14. 果胞卵形でやや扁平 ≈ 2.5 mm l、生時に隆起した太脈認められる ___ タチスゲ節一部 (リュウキュウタチスゲ)
14. 果胞扁平でなく、生時に隆起した脈はない

15. 果胞乾くと黒変

16. 果胞は熟して斜上し、雌花の鱗片は果胞と同長芒端 ___ ミヤマシラスゲ節一部 (ヤワラスゲ, アワボスゲ)
16. 果胞は熟して小穂軸に圧着、雌花鱗片は果胞の1/2以下で鈍頭か鋭頭 ___ ジュズスゲ Section Ischnostachyae (ジュズスゲ)

15. 果胞乾いても緑色

16. 果胞 = 6-8 mm l、熟して直立し、長い花柱宿存 ___ ヤマジスゲ節 (ヤマジスゲ)
16. 果胞 > 10 mm l、熟すと開出し、花柱宿存しない ___ ミタケスゲ節 (ミタケスゲ)

7. 上方2-3個の小穂は雄性

8. 果胞無毛

9. 小穂は長い柄があって垂れ下がり、果胞は無脈 ___ フサスゲ節一部 (アイズスゲ)
9. 小穂は直立し、果胞が多数脈

10. 果胞厚膜質で光沢ある

11. 苞は明らかに有鞘 ___ リュウキュウスゲ節 (リュウキュウスゲ)
11. 苞は無鞘 ___ オニナルコスゲ節一部 (オニナルコスゲ, オオカサスゲ, カラフトカサスゲ)

10. 果胞コルク質 ___ シオクグ節

8. 果胞有毛 ___ ビロードスゲ節


アゼスゲ節 Sect Acutae

1. 雌鱗片黒紫色-赤紫色

2. 果胞口部2裂

3. 果時赤褐色の柱頭が宿存し目立つ ___ サドスゲ
3. 柱頭は落ちやすい

4. 果胞の嘴は長く尖り縁はざらつき、口部鋭く2裂 ___ タニガワスゲ
4. 果胞の嘴は短く尖り縁は平滑、口部小さく2裂 ___ ヤマアゼスゲ

2. 果胞口部全縁

3. 果胞平滑

4. 基部の鞘は葉身があり、淡色か褐色帯びる

5. 基部の葉は縁が外曲。果胞は鱗片より明らかに長く、無嘴無脈 ___ ヌマアゼスゲ
5. 基部の葉は縁が内曲。果胞は鱗片と同長か長く、極短い嘴があり、細脈がある

6. 匐枝があり疎生する ___ アゼスゲ
6. 密に叢生し匐枝出さない ___ オオアゼスゲ

4. 基部の鞘は葉身がなく、赤紫色を帯びる

5. 根茎は少し横に這って疎らに叢生し、果胞の雌小穂も直立する ___ タテヤマスゲ
5. 密に叢生し、果胞の雌小穂は長柄あり下垂 ___ ナガエスゲ

3. 果胞は細点または乳頭状突起を密生

4. 小穂は柄が短く直立(有花茎全体が点頭することはある)

5. 果時に葉は有花茎よりも著しく高い

6. 葉は幅2-3 mm、上方の1-3個の小穂が雄性、果胞は鱗片より短く、乾くと細脈が明らか ___ ウシオスゲ
6.葉は幅0.5-1.5 mm、ふつう頂小穂1個が雄性、果胞は鱗片より長く、乾いても脈は不明 ___ ヒメウシオスゲ

5. 果時に葉は有花茎と同長か低い

6. 頂小穂はふつう雌雄性 ___ ヒメアゼスゲ
6. 頂小穂は雄性

7. 根茎は斜上して緩く叢生し、基部の鞘は褐色-濃褐色

8. 基部の鞘は褐色、最下の苞の葉身は小穂よりも短い ___ オハグロスゲ
8. 基部の鞘は濃褐色、最下の苞の葉身は小穂より長い ___ シュミットスゲ

7. 密に叢生し、基部の鞘は赤紫色、最下の苞の葉身は小穂より短い ___ カブスゲ

4. 少なくとも果胞の小穂は長い柄があって下垂

5. 雌鱗片 ≤ 果胞 l、基部の鞘は褐色 ___ ホロムイスゲ
5. 雌鱗片 > 果胞 l、基部の鞘は赤紫色を帯びる ___ ヤラメスゲ

1. 雌鱗片は緑白色か淡褐色を帯びる程度

2. 果胞は乳頭状突起がある

3. 頂小穂雌雄性

4. 雌鱗片先が凹頭芒端、果胞無脈 ___ アゼナルコ
4. 雌鱗片鋭頭、果胞4-5脈顕著 ___ ツクシナルコ

3. 頂小穂は雄性

4. 雌小穂は幅3-4 mm。果胞は長さ2.5-35 mm ___ ヒメゴウソ
4. 雌小穂は幅5-7 mm。果胞は長さ3.5-5 mm ___ ゴウソ

2. 果胞には乳頭状突起がなく平滑

3. 果胞には嘴が長く、膨らまず果実を密に包む

4. 植物体は柔らかくやや平滑 ___ カワラスゲ
4. 植物体は硬く、著しくざらつく ___ オタルスゲ

3. 果胞は嘴が短く、膨らみ果実を緩く包む

4. 小穂は直立 ___ トダスゲ
4. 小穂は下垂または点頭

5. 基部の鞘は背面は稜がなく丸く、糸網生じない ___ アズマナルコ
5. 基部の鞘は背面に稜があり、前面には糸網生じる

6. 有花茎や葉はほぼ平滑、葉下面粉白帯び、基部の鞘は赤褐色 ___ ヤマテキリスゲ
6. 有花茎や葉は著しくざらつき、葉下面淡緑色、基部の鞘は褐色 ___ テキリスゲ


タヌキラン節 Sect Podogynae

1. 果胞有柄 ___ タヌキラン
1. 果胞無柄

2. 果胞は嘴長く全体有毛

3. 少なくとも下方の雌小穂は長柄があり下垂 ___ コタヌキラン
3. 雌小穂無柄 ___ シマタヌキラン

2. 果胞は嘴極短く縁のみ有毛 ___ ヤマタヌキラン


タヌキラン Carex podogyna Franc. et Sav.
コタヌキラン Carex doenitzii Boeck

日本固有種(道西部-本州北・中部、近畿南部、屋久島)
山地の岩上、乾草地等(火山地帯に多)

種 (species)


北海道
⇒ Flora on [ Mount Koma | Mount Usu ]
日本
合州国西海岸 (West Coast)
北極 (Arctic)

Common in tundra and/or taiga

C. aquatilis Wahlenb. var. stans (Drejer) Boott

Synonyms
C. aquatilis ssp. stans (Drejer) Hultén
C. stans Drejer
2n = 76

C. bigelowii Torr. ex Schwein. ssp. bigelowii オハグロスゲ

[ 形態学 ]

スゲ形態 (morphology of sedges)


全形 (whole plant)

Morphology

索引
果胞 perigynium: カヤツリグサ科で頴の腋につく雄花を包む筒状の花被
花: 多くは退化的
sedge
図. 鞘 leaf sheath sedge
図. 小穂 spike
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