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(露崎担当分 2023年1月28日更新) [ 日本語 | English ]

環境科学 (Environmental sciences)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ 地球温暖化総論 | オゾン層破壊と紫外線影響評価総論 ] [ 環境医学 | 環境汚染 ]

"環境科学"という、いくら考えても何のことかわからない"科学"さえ現れる始末である。(奥野 1978)

1. 人間生活復権学: 日常生活レベルの問題意識涵養に立脚(井下田 1982)
a. 環境質充足のための諸方策を考察
b. 健康・快適・安全・利便性等に横溢した地域生活環境の実現・維持図る
2. 人間の関わる環境の維持・改善に関する学問体系(天野 1982)

1, 2共に環境を主とし人間を傍らで見ている

3. 環境科学に関する諸見解
a. 理性と技術の活動領域に関する科学(Vorontsov & Kharitonova 1970)

→ 自然保護学提唱: 自然環境保護に力点

b. 人間中心論 → 人間の理性と技術を自然に向ける力を考慮(沼田 1974) → 人間生態学 human ecology

人間に限定してもよい → 結局人間に帰結するから

c. 人間生存と環境(問題)の捕捉と調和のとれた解決法を見出す学問

→ 妥協か犠牲か、完全な解決策があるか → 単一学問分野で賄いきれない → 学際的研究

d. 吉良竜夫の要望(1974)

1) 学際性
2) 明確な目的意識 ex. 人間生活復権のための学問
3) 予測性 → 数量化・合理性の要求

4. 現在考慮されつつあるもの
a. 生命哲学bioethics: 人間生活の復権 (ポター 1974)

人間の生存と生活の質を高め → "どう知識を使うか"という知識を与える新しい英知の必要性

b. 生命倫理観: bioethicsを基礎とした

1) 学際性
2) 目的意識
3) 予測性の確立

c. 環境科学 = 生態学(+ 各専門分野) + 哲学(生命倫理等) + 実学(応用科学)

科学の応用(中岡 1979)

1) 「+」と「-」の応用がつきまとう
2) 問題解決 → 新テーマ発生

目標

良好な生活環境維持・創造 = 健康性・安全性・快適性・利便性 + 自然(環境)の充足

環境科学の3つの柱

  1. 破壊や利用方法への反省 = 比較環境科学史、比較自然保護史
    Ex. 風土・社会体制・文化・信仰
  2. 現在の環境利用のあり方に対する批判と認識: 批判: 効力・実践。認識 → 事実とは何か
  3. 未来像: 目的意識と予測性
    Ex. 自然を残す意義 ⇒ a) 同時代のため vs b) 世代を越えた未来のため
予防原則: 因果関係に科学的不確実性存在 → 予防的な行動を積極的に採用する政策的立場

Ex. BSE 問題に対するEU 諸国の措置
90 年代以降、国際的に予防原則受け入れ → 京都議定書に対するブッシュ政権は潮流に反し批判される

環境認識
環境 = 自然: 古来の認識(environment is nature: aminism) → 文化導入 Ex. ルネッサンス「自然に帰れ」
西欧・合理・キリスト: 自然に対する人間の責任(Passmore 1974)

人と自然を対立したものと捉える → 公害・環境問題

日本・非合理・仏教: 日本思想文化(三枝博音) - 自然観の確立が遅れている

日本人は自然を大切にする民俗か否か

西欧と東欧の接点を見出すことが大切なのではないか
→ 環境再認識: 第二次大戦以後 - 汚染・公害等発生 → 人に起因したことが環境を通じ人に戻る

地球環境科学 (environmental earth science)


地球環境: スケール大きく自然現象も複雑であり実験困難 → シュミレーションの意義大
Ex. ヒートアイランド heat island = general system model → 原因: 熱汚染 thermal pollution
    ↓から へ→ 自然システム   生物システム  人類システム
    自然        陸海空サイクル 光合成・呼吸  資源・災害
    生物        分解・呼吸     食物連鎖      食糧
    人類        廃棄           スペース圧迫  経済サイクル
                             (都市化)

地球的規模の環境問題

  1. 地球温暖化
  2. 鉛汚染: 重金属公害, ローマ文化の衰退
  3. 酸性雨: 大気汚染, 灌漑農耕, メソポタミア文明滅亡
  4. 放射能汚染: 原子力, 核戦争, 現代文明
  5. オゾンホール ozone hole
  6. 生物多様性減少 → 地球上: 数百万種の生物生息
    熱帯林: 40-50%の生物種生息 - 20世紀初 = 約20億haの湿潤熱帯域を覆うが1世紀間に約50%消失
    サンゴ礁 = 「海の森」: 海洋の0.2%の面積 - 海魚種30-40%生息

    既に約10-15%のサンゴ礁が人為的破壊 → 残されたサンゴ礁も海洋汚染等により縮小
    地球温暖化による海水温上昇が続けば、近い将来、地球上のサンゴ礁が大打撃をうける

西暦2000年の地球 (既に過ぎたが)
人口, 食糧, 森林, 砂漠化, 動植物減少, エネルギー, 化学物質, 大気・気象, 海洋, 水, 土壌
「宇宙船地球号 Spaceship Earth」破綻 → 現生活問題すら解決できない - 地球問題解決は無理
Ex. 環境変動予測 environmental perception → 砂漠化防止

砂漠化防止政策(国連、UNESCO等の援助): 土木技術・緑化事業
都市化に伴う砂漠化(乾燥化)

(理論と呼びたい人もいるがダメ)

ガイア仮説 Gaia hypothesis

Gaia, Gr. 大地の女神
1979 ラブロック J (英, 生物物理学・医学): 地球 = 自己調節能力持つ1生命体(有機体) → 全体論

地球 = 大気20数%の酸素含む → 維持 ↔ 火星金星等の太陽系他惑星と異なる
+ 気候変動 (Ex. 巨大隕石墜落・氷河期-間氷河期) + 人為環境破壊
→ 地球は大きく変化していない → 地球の大きな生命の流れに沿う判断

→ [思想] ディープエコロジー
→ [科学] 地球生理学(地球システム科学)

反論: 循環論法 → 地球環境が生物に対し好意的なのはガイアの意志

Dwakins R: 生態系そのものが自らの生存維持に、他の生態系の生存を補助することは遺伝子の仕組みからは考えられない

まったく現実的ではない

参考 ディープエコロジー deep ecology
1973 アルネ・ネス (スウェーデン)
生命圏平等主義想: 原生自然に触れ、環境問題をより精神的・内面的に考え、自然の見方や振る舞いを探求
批判: シャロウ・エコロジー shallow ecology = 環境問題を具体的・実践的レベルのみ解決、人間に有用な自然のみ保護

地球規模環境問題は、現社会システムと文明が生みだした
→ 根本的解決には、現社会システムと文明それ自体を変革する必要

個々人が自らの「価値観」改め意識変革し、ライフスタイル改め新生活スタイルを形成する必要 → 環境倫理学

地球環境保全

地球環境問題解決 = 国際社会共同作業必要

1980年代終頃: 国際連合や米国議会で地球環境問題が取り上げられる

地球環境保全や再生をめざす活動 → 世界的広がり

日本: 身近な里山の自然を守ろうという運動
東南アジア: 日本等技術・資金援助 → 熱帯林・マングローブ林再生の試み。現地の人には森林は生活の場であり、地球環境問題の視点に立つ取り組みは理解されにくいが、植林・造林の成果は多い
中国内陸域: 砂漠化防止の努力が国際的協力のもと進められる

環境修復技術: (化学物質に頼らず)植物やバクテリア等の生物を利用し環境蓄積有害物質を除去する技術

PCB・ダイオキシン等分解微生物 → バイオテクノロジー用い分解効率上げる研究
生物体内代謝系をモデルに、環境汚染原因となる有害二次産物を発生させないクリーンな化学反応系開発
化石燃料や原子力に代わるエネルギー源の研究・開発
科学技術は、地球環境保全の方向へ大きく舵を切り始めている
情報技術は、国際社会の緊密な連携をはかる上で重要な役割
分子生物学発展を中心に「21世紀は生物学の世紀」と言われ、生物学も地球環境保全に貢献する期待

地球環境計画と環境アセスメント(テクノロジアセスメントを含む)

National Environmental Policy Act
Environmental Impact Assessment, Environmental Impact Statement(米国、スウェーデン)
川崎市、環境影響評価条例

環境ガバナンス(環境統治) environmental governance

社会が環境を管理する能力や仕組
地球環境ガバナンス: 地球社会が環境を管理する能力やその仕組
国際環境ガバナンス: 国際社会が環境を管理する能力やその仕組

[過去] 法制度中心に形成 [現在] グローバル化 → 必ずしもそうではない
[形態] 中央集権的社会における公的権威によるガバナンス

↔ 中心的権威の存在しない分権的社会におけるガバナンス

[主体] 国家、政府、国際機関、地方自治体、市民、女性、先住民、若者、市民団体、企業、学会等
[目標] 地球環境保全実現 → 制度通じ各主体の積極的関わり合いと交流により環境ガバナンス具現化

地球温暖化

地球温暖化総論
地球温暖化生態学特論
気候変動枠組条約 (国際会議)
メタンと水素の利用価値
メタン = 燃料利用価値 ↔ 水素 = 燃料 + 物質利用価値(期待)
CH4 + 2O2 → CO2 (warming gas) + 2H2O ⇔ 2H2 + O2 → 2H2O (clean + 石油の4倍の熱)
水素: 21世紀の理想エネルギーと期待されるメタンより遥かに価値の高いガス

紫外線(UV)とオゾンホール

オゾン層破壊と紫外線影響評価総論 (オゾン層)

地球温暖化総論


授業の目標等


地球温暖化などの大規模環境変動は、単細胞から大型動植物までを巻き込んだ様々な影響を生物圏にもたらす。生態系の環境応答を明らかにするためには、細胞等のミクロスケールから地球規模のマクロスケールまで、また時間的にも様々なスケールを考慮した調査・解析が欠かせない。この考慮のもと、主に陸上と海洋の植物群集に注目し、生態系の地球温暖化への応答様式および環境へのフィードバックについて学ぶ。
地球温暖化生態学特論」(後期開講)の導入部分を兼ねる。また、「環境保全特論 Advanced course in environmental conservation 」も参考にされたい。担当部分は、「地球温暖化の科学 6 章」である。

対策 (政策・法律)

温暖化対策税
温媛化対策経済的政策措置の1つ
利点 直接規制に比べ市場メカニズム通じ最少コストで最適努力配分もたらす
問題 目標とする温室効果ガス削減量実現に適正な税率設定は可能か
→ 導入には、既に多額の税が課せられている石油諸税との調整必要
+ 産業の国際競争力に対する懸念、企業間負担格差是正も課題
カーボンオフセット carbon offset
経済活動・生活等通じ「ある場所」で排出された温室効果ガスを、植林・森林保全・クリーンエネルギー事業等により「他の場所」で直接・間接的に吸収する考え方と活動
1. 直接的 = CO2固定(吸収量増加) + CO2固定化技術による固定化

Ex. 植林

2. 間接的

「クリーン開発メカニズム clean developement mechanism, CDM」(京都議定書)等を通じ、潜在的にCO2を多く排出する途上国の設備を先進国の削減技術を用い改良し、排出CO2量を減らす
→ 減らしたCO2量によってオフセットを実行

カーボンニュートラル: カーボンオフセットを通じCO2排出が実質0になった状況
カーボンポジティブ: カーボンオフセットを通じCO2をより多く相殺した状況

2004-2010年 圧縮版


生態系 ecosystem
バイオーム biome: 温度と降水量
(人為)撹乱 disturbance

撹乱の規模依存性scale-dependence on disturbances

温室効果と冷蔵庫効果 greenhouse effect and refrigerator effect
光合成 photosynthesis

6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6O2 + 6H2O
この式が全てを語っていると言っても過言ではない It may be no exaggeration to say that this equation tells all.

一次生産力: 総一次生産力(GPP)と純一次生産力(NPP) primary productivity (gross primary productivity and net primary productivity)
衛星データを用いた一次生産力推定 estimation of primary productivity by satellite data

光合成有効放射吸収量(absorbed photosynthetically active radiation, APAR)
平均光利用効率(average light utilization efficiency, ε
NPP = (APAR)·ε 環境間相互作用と生態系-環境間相互作用 interactions between environments and between environments and ecosystems
タイガと森林火災 Siberian taiga and forest fire

アラスカ森林火災
植物相 (flora)
多次元尺度構成法 MDS
調査デザイン research design
種子散布 [種子トラップ(seed trap)測定]
実生発生と生存 seedling emergence and survival
実生成長 seedlding growth
結論

小規模
操作実験
野外温暖化実験 experimental warming

温室 field greenhouse
受動的オープントップチャンバー passive open-top chamber

能動的オープントップチャンバー active open-top chamber
土壌温暖化 active soil warming
赤外線照射 electric infrared heat
植え替え実験 reciprocal or one-way transplantation

温暖化実験による生態系変化の測定

多年生草本 perennial plants
一年生草本 annual plants
そして地下部の問題 And ... belowground
負のフィードバック

分かっていることは何か。分かっていないことは何か
大規模 (地球規模)
分布 distribution

一要因 single factor (例: 温度のみで分布が決まる場合)
二要因 two factors (例: 温度と降水量で分布が決まる場合)
多要因 multiple factors
温暖化による生態系変動予測への応用 application to ecosystem changes by global warming
まだまだ議論の余地があると言う例

リモートセンシングと地理情報システム remote sensing and GIS
リモートセンシング remote sensing
植物(と土壌、水)の一般的な光反射パターン
植生指数 vegetation index (NDVI)

NDVIの季節変化 seasonal changes in NDVI
ピナツボ火山でのNDVIの変化 Yearly changes in NDVI on the volcano Pinatubo
世界レベルでのNDVIの季節変化
NDVIを元に作成された世界のバイオーム分布
地理情報システム geographic information system

生産力(productivity)
Topic
好気的条件下における陸上植物からのメタン放出 methane emissions from terrestrial plants under aerobic conditions

オゾン層破壊と紫外線影響評価総論 (Ozone depletion and the effects of UV radiation)


2004年から2010年まで、大学院環境科学院環境起学専攻修士課程1年を主な対象に行った。本頁は、それらを一つに整理したもの ( 参考文献 )

授業の目標等


 オゾン層破壊のメカニズム、およびそれに伴う紫外線(ultraviolet)増加が生態系に及ぼす影響、それらの評価手法について、生物・物理・化学の基本的な部分から説明する。

 生物進化や地球生態系成立の歴史を学びし、生物と物理化学的環境の相互作用によって現在の地球環境が成立したこと、地球環境問題はこの相互作用系に対する人為的撹乱に起因することを理解する。

授業の内容・計画等


第1部: 大気オゾンの物理と化学

  1. 大気圏の構造
  2. 成層圏オゾンの物理
  3. 成層圏オゾンの光化学
  4. 南極オゾンホールとオゾン層の将来
  5. 対流圏オゾン

第2部: 紫外線影響評価

  1. 紫外線による光合成阻害
  2. 紫外線が物質循環に及ぼす影響
  3. 紫外線影響の化学的側面
  4. 紫外線と陸上植物
  5. オーストラリアにおける紫外線影響の現状
  6. オゾン層破壊と温暖化の相互作用

オゾン層 (ozone layer)


O2 → [太陽からの紫外線] → O3 (オゾン)
相対的にO3高濃度の高度範囲 = 成層圏 + 成層圏より若干上(≈ 高度25 km)
オゾン ozone: UV (0.24-0.30 μm)吸収 → 紫外線は生物に大きな変化を及す
質量分析法 → 対流圏大気化学過程研究に応用
成層圏オゾン層 = 太陽紫外線吸収 → 地上生命系に必要不可欠
↔ オゾン = 強毒性: 対流圏、とりわけ地表付近では、人体、植物等に有害な大気汚染物質
+ 温室効果気体 → 濃度変化は地球規模での気候変動にも影響
地球表面付近: 地表面からの輻射熱で暖められた空気 → 上に冷たく重い空気 → 対流 = 対流圏

厚さ約10 kmの対流圏の上は約-55°Cで最も重い空気層 – より上にいくと温度高い安定した大気層
空気中オゾンの90-95%は成層圏 → オゾン層: 特に高オゾン濃度の層

対流圏オゾン = NOx, CO, 炭化水素等、主に人間活動による排出化学種の関与する光化学反応を通し生成
→ 産業活動活発化に伴い、対流圏オゾン濃度増加傾向
オゾン生成・消失に関わる化学過程は定量的把握なされていない

対流圏オゾンの生成・消失過程への関与が指摘される、反応性無機ハロゲン種に焦点を当て、質量分析法を用いた観測、実験研究がある
オゾンと並び対流圏で広域な大気環境影響が懸念されるエアロゾル(浮遊粒子状物質)も同様

東正剛による解釈

オゾンホール発見 discovery of ozone hole

1982 忠鉢繁(南極・オングル島昭和基地気象観測担当): 成層圏オゾン量が9月4日から突然異常低値

この季節、例年300ドブソン単位前後の値 → 1982年10月観測値215ドブソン単位前後に低下
観測装置異常による誤謬値と考えたが装置点検し再観測 → 結果同

1984.9 忠鉢、ギリシャ国際オゾンシンポジウムで「南極オゾン層異常発生」発表 - 注目されない
1985.3 アムンゼン・スコット基地で類似値を得た論文: Nature掲載 → 反響

著者は、国際オゾンシンポシウム後、忠鉢訪れ議論交わした英国研究者
間もなく人工衛星で南極地域気象観測を続けた米国でもデータが見直され、忠鉢の正しさ証明
米国の発見遅れたのは、人工衛星観測用コンピューターが異常値を誤謬値とし排除するプログラムのため

1982以降: 南極で毎春現れるオゾンホール拡大
1997.3: 北極でオゾンホール確認
2002 南極オゾンホール観測開始から10年間中の最小値
極渦(極夜渦)
極域上空成層圏で、太陽光射さない冬季(極夜)間に極点中心に低気温大気渦発達
極渦内部成層圏気温-78°C以下に低下 → 硝酸や水蒸気からなる極域成層圏雲(PSCs)出現
通常、クロロフルオロカーボン類chlorofluorocarbons (CFCs)から解離した塩素の大部分は、下部成層圏ではオゾン層破壊作用のない塩化水素や硝酸塩素の形で存在

極渦内部に極域成層圏雲発生 → 雲粒子表面で化学反応 → これらの物質から変化した塩素ガスが大気中大量放出 → 塩素ガスもオゾン破壊作用ないが光で壊れやすく、春に太陽光線が射すと解離し活性塩素原子が放出されオゾン破壊急激に進行

[消耗 = depletion, 崩壊 = disruption]

オゾン層破壊 ozone depletion
フロンガス(クロロフルオロカーボン) chlorofluorocarbon, CFC → オゾン層破壊

冷蔵庫・エアコン冷媒、エアゾル噴射剤、ウレタン発泡剤、電子回路等精密部品洗浄剤等

大量使用フロン中、特に塩素系フロンの作用 → 塩素系フロン使用全面禁止
空気中放出フロンは5-10年で成層圏に達し1990年代放出塩素系フロンによるオゾン層破壊は今後も続く
UVは遺伝子突然変異要因で皮膚癌、若年白内障、植物成長阻害原因
O2 + O [+ UVenergy] → O3 (オゾン, 不安定分子) → O2 + O

この光化学反応が絶えず起こり、酸素:オゾン比安定

携帯オゾン計測器 MICROTOPS II: (Soloar Light Company)
ハロカーボン類(HC)
ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含む炭素化合物の総称

多くは非天然(天然HC Ex. 塩化メチル、臭化メチル)

クロロフルオロカーボン類(chlorofluorocarbons, CFCs): ハロゲンとしてフッ素と塩素のみを含むもの

日本ではフロン(国外ではフレオン)とよぶ場合がある

ハイドロクロロフルオロカーボン類 (hydrochlorofluorocarbons, HCFCs) = CFCs + H
ハイドロフルオロカーボン類 (hydrofluorocarbons, HFCs) = CFCs – Cl
パーフルオロカーボン類 (perfluorocarbons, PFCs): 全てフッ化された炭素化合物
+ ハロン類: ハロゲンとして臭素が加わったもの
+ 四塩化炭素 CCl4
+ メチルクロロフォルムmethyl chloroform, CH3CCl3
一般に大気中濃度は極めて低いが強い温室効果
→ IPCC (2001): 低濃度だが産業革命以降の温室効果ガス増加による放射強制力中、HC寄与は推定14%
紫外線量に影響を与える因子
NOx: 排気ガス等から空気中に供給

NO2 + O3 → NO2 + O2
NO2 + O_→ NO + O2
O3 + O__→ 2O2
_______(NO)

ClO4: Cl - ロケットガス、フレオン等により供給

NOxよりも6倍硬化が高い。さらにSO等が問題となっている
Cl + O3_→ Cl + O2
ClO + O → ClO + O2
O3 + O_→ 2O2
______(Cl)

国際的取り組み

オゾンホール発見は、地球の有限性を認識させ、地球環境問題への国際的連帯意識育てた
1976: オゾン層に関する世界行動計画 採択 (UNEP 国連環境計画)
1985.3: ウィーン条約 Vienna Convention 採択 (UNEP) → オゾン層破壊原因物質の規制目的
1987.09 モントリオール議定書(Montreal Protocol)採択 (UNEP)

= オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書 Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer
→ 具体的削減案を盛り込む

1988: ウィーン条約・モントリオール議定書共に発効
1988: フロン等規制法またはオゾン層保護法公布(日本)

= 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律

1989: 特定フロンの排出抑制・使用合理化指針 公布 (日本, 環境庁/通産省)
1992.11: モントリオール議定書第4回締約国会議 (於 コぺンハーゲン)

議定書改訂 → 特定フロン(フロン・ハロン・四塩化炭素・トリクロロエタン)を95年までに全廃決議(発展途上国は経過措置として2010 年まで), 代替フロンも2020年までに撤廃決議 (UNEP)

1995: モントリオール議定書第7回締約国会合 (於 ウィーン)

議定書改訂 - HCFC全廃時期前倒し (UNEP)

1996.1: フロンガス製造規制法 発効 (日本)

電磁波作用 (effects of electromagnetic ray on lives)


生体作用

生体影響を理解し、不必要に電磁場暴露を恐れる、逆に危険な暴露を受け(与え)ない
電磁波electromagnetic waves (= 光子photon)
E = k/λ (E ∝ 周波数)

電磁波-光子エネルギー関係: 大エネルギー電磁波を物質に照射 → 光子1個1個のエネルギーが足りなければ物質から電子をはぎ取ることはできない

電離放射線 ionizing radiation
生体構成物質イオン化可能エネルギーを持つ高エネルギー電磁波(Ex. X線)

→ DNA変性

非電離放射線 non-ionizing radiation
イオン化エネルギーを持たない電磁波
生体に与える影響
  1. 神経刺激(感電)
  2. 熱的作用(体温上昇)
→ その他の影響未確認
神経刺激(感電)
体内に電流が流れる → 神経細胞細胞膜に電位差 → 電位差が閾値を越し神経細胞興奮

筋細胞興奮 → 意思と無関係に収縮開始
心筋や呼吸筋を電気刺激 → 心停止・呼吸停止(筋に直接電流流れると20 μA程度で心室細動生じ危険) → 心室細動は電流が無くなっても回復しない
ミクロショック: 心筋が直接電流を受けた影響。体外から電流を流すと100 mA程度で心停止につながる

熱的作用
電磁場により生体が発熱する作用 Ex. 電子レンジ
電磁場が時間的に速く変化 → 表皮効果で細胞膜電圧減少し神経刺激作用低下 → 熱的作用が支配
SAR (specific absorption rate) ≡ 電磁場の生体への熱的作用の大きさ → 生体影響安全基準

体重1kgあたりに1秒間に吸収されるエネルギー(w/kg)

ANSI (American National Standard Institute, 米国規格協会)防護基準(ANSI C 95.1-1982)

a) 全身SAR < 0.4w/kg: 動物実験 → SARが4-8 w/kgで分裂症状: 10倍の安全見込み < 0.4w/kg
b) 局所SAR < 8w/kg: 実験でファントム(模擬生体)内局所SARは全体平均の20倍程度で0.4 w/kgの20倍に規定。携帯電話等、専門家管理なしに使用するのは、1/5の1.6w/kgを上限
c) MRI装置基準: 全身SAR上限1.5W/kg、頭部SAR上限3.0W/kg等と定めらる(IEC601-2-33)

熱的作用の生体影響: 電磁場の熱的作用は確実に生体に影響を与える

電磁場エネルギーを吸収した結果の体温上昇に起因。安全基準守る限り危険小
既知影響: 白内障、不妊、胎児奇形(体温上昇は胎児に影響)。動物実験で10.8 w/kgで奇形発生報告

非熱的作用
細胞レベルでの実験結果 → 幾つかの影響を確認(個体への影響は未確認)
低レベル電磁場への継続的暴露: 熱作用が無視できる程度の弱い電磁場への長期暴露での影響

発電所・変電所労働者の疫学的調査: 影響が有るとも無いとも報告
動物実験は様々な影響が報告されるが、データ一致せず、影響は一概に言えない

身の回りの電磁場

送電線: 電場は国内では地上で3000V/m以下に制限
電気毛布: 電場は30 cm離れた所で250-2000 V/m (流産率増加 - 疫学報告)
他家庭電気器具は数10 V/m
携帯電話: 0.6 wで局所SAR = 1.3W/kg → 出力0.6 Wと規定(ANSI上限は局所SAR = 1.6 w/kg)

→ 電磁場暴露は安全基準守る限り致命的影響稀。長期低レベル電磁場暴露の生体影響は研究中

紫外線影響 (effects of ultraviolet)


修復 repairment

修復の2型
1) 光回復(光修復) photoreactivation
修復機構詳しく調べられる
可溶タンパク質で細胞質の10-5しかないがクローニング可能なため解明進む
照射UVより長波長の光: 350-450 nmが回復しやすい

repair

操作によりピーク消滅 → FAD関与?: yeast吸収ピーク = 275, 380 nm (52 kd)
光が当たるときの修復にはphotoreaction enzyme, DNA polymerase (EC 4.1.99.3)が関与している。これらの酵素は2本鎖DNAには効果大だが、1本鎖DNAには効果小、2本鎖RNAには効果がない(修復は見られ修復酵素があるはずだが未抽出)。また、鎖長は長ければ長いほど良く、最低9個のdinucleotideが必要

2) 暗修復 dark repair

昆虫・鳥-花

紫外線域が可視光部に入る = ヒトよりも短波長側が見える

花の見え方はヒトとは異なる
→ 蜜標識 nectar quid: 相対的に花弁基部は紫外線吸収、周辺部反射

この講義での目標


 オゾン層減少は、南極大陸周辺の上空において顕著に認められるが、それ以外の地域においても報告がある。オゾン層は、紫外線B (UV-B)量を吸収するため、オゾンホールを始めとするオゾン層減少はUV-Bを増加に直結する。UV-Bは、生態系に影響を及ぼすことが危惧されるが、生態系そのものの構造と機能が良く理解されていない現状では、紫外線が生態系に与える影響に至っては、殆ど不明というのが現状であろう。特に、紫外線増加に伴う生態系変化機構については、長期的な変動予測が必要となるため、その元となる基礎データの蓄積が始まったばかりといっても過言ではない。本講義では、空間的・時間的特性の観点から調べられた例を示すことにより、今後の応用への基礎となる部分を紹介する。また、オーストラリアでは、北半球と比べて紫外線の影響が顕著であり、紫外線が種々の環境に与える影響の測定および、その軽減手法についての研究が盛んである。その一部を紹介したい。

授業内容


1講目
紫外線に対する植物個体の応答
Effects of UV on terrestrial plants and ecosystems
Introduction
植物群集 plant community
植物相 flora

駒ケ岳 Mount Koma を例にして
駒ケ岳フローラリスト flora list on Mount Koma

相観 physiognomy

春紅葉 Leaf colors in spring with reference to UV
生活型 life-form
高木植物・低木植物・多年生草本・一年生草本 (ラウンケアの生活型 Raunkiaer's life-form spectra)

環境との対応した分布 distribution correlated with environment
生態系の空間軸・時間軸に沿った変化 spatial and temporal changes in ecosystems

Spatio-temporal pattern
図. 空間軸・時間軸に沿った変化。露崎 (2004)参照


地形的連続 toposequence

光合成 photosynthesis
生態系 ecosystem
バイオーム biome
環境 environment

温度 temperature
降水量 precipitation
規模依存性環境要因 scale-dependent environmental factor

食物網栄養段階 food web and trophic levels

北極 arctic: 極地生態系が着目される理由
南極 antarctic: 陸上-海洋生態系相互作用

紫外線と陸上植物

... の前に 温暖化: 「地球温暖化総論」(特に参考文献)

紫外線に対する植物個体の応答

フラボン類 - 春に葉が赤い理由
回避 avoidance: 陸上植物では難しい
防御 protection: 形態的防御・物理的防御
修復 repair

二次代謝産物 secondary metabolites

二次代謝産物とは何か(Ex. ニコチン)
植物の捕食回避: 物理的回避・化学的回避
実習にむけて: 防御産物生産植物3種 (エゾトリカブトAconitum yezoense・ツタウルシRhus ambigua・エゾイラクサUrtica platyphylla) - 知っていて損はない

室内実験: 長所と短所 - 全ての実験に言えること
紫外線耐性は相対的に評価
Spring
外挿 extrapolation - 危険
可視光による修復 [鈴木さんの講義参照]
菌根 mycorrhiza と植物
菌根菌に対する紫外線の影響
菌根菌-植物間相互作用
紫外線量変化に伴う相互作用の変化
リター分解と紫外線: 光分解と微生物分解
野外実験 field experiment
紫外線に対する生態系としての応答
ナンキョクギボウシゴケ(Grimmia antarctici Card)の紫外線応答
光合成に利用される波長
菌根 mycorrhiza と植物
紫外線に対する生態系の応答への道
菌根菌に対する紫外線の影響
菌根菌-植物間相互作用
紫外線量変化に伴う相互作用の変化
リター分解と紫外線: 光分解と微生物分解
メタ解析 meta-analysis

メタ解析の基本的な考え方
紫外線量変化に伴う植物応答変化のメタ解析
北極周辺地域における紫外線への植物応答のメタ解析

紫外線量変化を含む気候変化に伴う生態系変化のシェマ - 数字が入らない

簡易紫外線測定装置: Solar Light Co. Inc.

オーストラリアにおける紫外線影響の現状
 南極に近いほど、危機意識は強い。国・地域としては、オーストラリア、南アフリカ、そして南米諸国において、紫外線が生態系あるいは生物に与える研究を室内および野外実験によって精力的な研究がなされている。

海洋と陸上の違いを認識
オーストラリアにおける紫外線量変化予測
南オーストラリア州での環境監視体制
紫外線予報
TV commercial (皮膚がん skin cancer)
Slip! Slop! Slap!No hat, No play
しかし ... 実際は 西オーストラリアで見た一コマ

Cooperation
科学者-行政-マスメディア-市民 の三角錐関係

2講目/試験
問 (試験). 紫外線に対する陸上植物の応答についてまとめ、今後の課題について知れることを記せ。(2010)
問 (試験). 陸上植物への紫外線影響は、単一種で生育しているときよりも、複数種が同所的に生育していることで、より強くなったり弱くなったりする。その事例をあげて、理由を簡潔に説明せよ。 (2009)
The effects of ultraviolet on the growth of terrestrial plants are often enhanced or lessened more by multi-culture than by mono-culture. Show the case(s), and explain the reason(s) briefly. (2009)
問 (試験). 植物群集の紫外線応答は、植物だけを調べても解明できない。その理由を、具体的事例をもとにして説明せよ。(2006, 2008)
レポート: 生態系の紫外線応答について、海洋生態系と陸上生態系とを比較し、それぞれの特徴を整理し、両者の違いが分かるようにまとめよ。(2006, 2008)
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