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(2017年3月11更新) [ 日本語 | English ]

植物解剖学 (plant anatomy)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[形態, シュート, 種子]

組織系 (tissue system)

system
system
組織系 = 表皮系 (epi)dermal system +
_______ 維管束系 vascular system +
_______ 基本組織系 fundamental system

下方組織発達により分裂組織は押上られ上昇: 先端は常に若い - 軸に沿って加齢aging勾配

索引

維管束系 (vascular bundle system)


維管束 vascular bundle = 木部 xylem + 篩部 phloem

水や無機・有機養分の通道や、植物体の機械的支持に働く複合組織

維管束植物: 維管束を持つ植物 = シダ植物 + 種子植物

通導組織 (aerenchyma)

= 通気組織
[ 外側 ]
表皮: edpidermis: 植物一次組織のうち最外部にある細胞層 (≥ 1)

原表皮 dermatogen, protoderm: 表皮を作る分裂組織
下皮 hypodermis: 表皮すぐ下の1-数細胞層 → 非原表皮由来

皮層

厚角組織 collenchyma: 厚角細胞から構成される組織

厚角細胞: 細胞の角が特に厚い。サフラニンで染まらない。細胞はある程度成長可能で、生細胞が多

endodermis内皮

内皮 endodermis: 維管束周囲にある鞘や円筒を作る基本組織層

中心柱

師部

厚膜組織 sclerenchyma: 厚壁細胞からなる組織

厚壁細胞: 細胞壁全体厚い。普通の細胞壁と違い、サフラニンに良く染まる(= リグニン)。堅い代わりに伸縮性なく死細胞多。形から細分類され、茎には縦に細長い繊維細胞 fiber cell (細胞壁厚く、全体が細長い形をした細胞)多い

師管

形成層

分裂組織

木部 xylem (water transport from roots): 形成層細胞膜壁にリグニン蓄積 → 硬化 → 木化

柔組織 parenchyma
導管: 多くの被子植物、一部のシダ植物と裸子植物が持つ
仮導管 tracheid: 殆どの維管束植物が持つ
木部繊維

木部柔組織
pith: 茎(幹)・根中央の基本組織で主として柔組織からなる (→ 放射髄 ray pith) = 樹芯 (樹木の場合) → 心目: 髄を中心とした半径3 cm位の部分

[ 内側 ]
vessel
図32. 導管要素。A: Betula alba, B: Liriodendron, C: Lobelia cardinalis, D, G: Quercus alba, E: Malus, F: Acer negundo (Eames & MacDaniels 1947).靱革繊維: 茎皮部分にある丈夫な繊維。製紙、ロープ、織物等に利用 = アサ、コウゾ、ミツマタ

形成層 (cambium)


木部・師部形成のため活発に分裂する細胞の層

オーキシンおよびサイトカイニン濃度が大きく変化 → 組織培養

導管 vessel
原生木部

環状導管 ring vessel: 環状に肥厚した2次壁と肥厚しない1次壁が繰り返される
螺旋状導管 spiral vessel: 螺旋状に2次壁が肥厚

後生木部

階紋導管 scalariform vessel: 梯子状に2次壁による肥厚が起こる
網紋導管 reticulate vessel: 階紋肥厚に似るが、より不規則に肥厚

木材

形成層: 外気温度上昇する春から分裂活動を始め夏始めまでに早材を形成 ↔ 夏以降には晩材を形成

春材 (早材): 樹木の春-夏に成長する部分 → 細胞大きく細胞壁薄い → 柔らかく色も薄く軟弱。その成長量は木質部に年輪として表れる
秋材 (夏材・晩材): 樹木の夏-秋に作られる部分。細胞小さく細胞壁厚い → 固く色も濃く強固

環孔材: 導管が早材で晩材より明らかに大きく木口に帯(輪)を形成する材

Ex. ケヤキ、ミズナラ、クリ、ハリギリ等広葉樹

散孔材: 広葉樹材中、木口での導管の大きさと分布が通年均一。熱帯材の殆ど、日本産材の60%程度

Ex. クスノキ、ツゲ、ブナ、シラカバ、ホオノキ

木部 (xylem)


導管 vessel
水分通導作用を受け持つ管状細胞。穿孔した導管要素が結合したもの

xylem階段状scalariform xylem螺旋状spiral
大きさ・配列状態が種による特徴 → 種識別の手掛り

仮導管
無孔通洞組織。水分・養分通路機能 + 植物体支持
太さ0.005-0.060 mm、長さ1-6 mm

針葉樹: 体積の約90%以上を占める
広葉樹: 水分養分通路となる道管と樹体を支える木繊維とが別々に機能 → 針葉樹より組織構造進化

繊維細胞 fibrous tissue
樹体指示作用を受け持つ縦軸方向に細長い両端尖る細胞(1-2 mm)

繊維: 水の流れには働かない → vessel発達した被子植物にみられる(仮導管の退化したもの)
木部繊維(木繊維) xylem fiber: 仮道管に比べ短い (木本では広葉樹のみ)

木部柔組織 xylem parenchyma

師部 (phloem)


光合成産物(炭水化物)を樹体の各部に輸送する組織(nutrient transport)
a) 師管 sieve tube (→ 師板sieve plate: 師管細胞壁が板状となる)
b) 伴細胞 companion cell
c) 師部繊維 phloem fiber
d) 師部柔組織 phloem parenchyma
e) 繊維組織 fibrous tissue
f) 樹脂道 resin canal: 樹脂細胞から分泌された樹脂満たす管状組織

壁孔(膜孔) pit

二次肥厚した細胞壁のうち薄い部分。中層と一次壁のみからなる (かつて植物学では細胞壁を細胞膜と言ったため古くは膜孔と呼ばれた)
互生壁孔 alternate pit
有縁壁孔 bordered pit: 二次壁が斜めに肥厚し二次壁の開孔部分の直径が一次壁だけの部分の直径より狭くなったもの
対生壁孔 half-bordered pit
単壁孔 simple pit: 枝状壁孔 ramiform pit
装飾壁孔 vestured pit

pit pit
壁孔(pit)を通り水が移動________繊維

中心柱 (stele)


進化
両篩管状中心柱 → 網状中心柱
多篩管状中心柱 → 真生中心柱
A. 原生中心柱

A0: 包囲維管束 concentric vascular bundle, 化石種のみ
A1: 単一中心柱 haplostele: 多少なりとも円形の横断切片木部を持つ
A'. 放射中心柱 actinostele
= 放射維管束 radical vascular bundle

Ex. Psilotum (マツバラン)
Ex. 全維管束植物の根 → サツマイモの芋は根 ↔ ジャガイモの芋は地下茎と判断

A''. 背腹中心柱 plectostele: 木部が相互に連結した縦の面に配列

Ex. Lycopodium (ヒカゲノカズラ)

stele

e: 内皮 endodermis, p: 師部 phloem, x: 木部 xylem

B. 外部管状中心柱 ectophloic siphonostele (solenostele)

B'. 両節管状中心柱 amphipholic siphonostele
stele

C. 網状中心柱 dictyostele
stele stele
D. 真正中心柱 eustele
= 並立維管束 collateral vascular bundle
多環中心柱 polycyclic stele
木部か篩部の一方が内外両側にあり他方を挟む = 2以上の同心円状の維管束組織を持つ中心柱

複並立維管束 bicollateral vascular bundle
stele

E. 不整中心柱 atactostele
stele 基本組織内にパターンのある分散をした維管束からなる

Ex. 多くの単子葉植物

年輪 (year ring)

樹幹横断面に同心円状に現れる模様中、毎年1輪ずつ形成されるもの
成長輪 growth ring ≈ 年輪: 年輪は1年における1増分より大きいかもしれないので注意
観察法
切片作り染色(xylem, phloem分染) → 切片を重ね合せ立体構造再構成

シダではソーダで煮て柔らかくしたものを徐々に削って観察

[ 外部形態 ]

(leaf)


表皮系: 表と裏の1層(植物体保護)

クチクラ cuticle: 臘や類似物質(クチン)主成分

水やガスを通しにくい構造。普通、表皮クチクラ層(外部クチクラ)の他に葉内部でも葉肉組織や空気に接する細胞壁表面に薄いクチクラ(内部クチクラ)がある

鐘乳体: 表皮細胞外膜の一部が細胞内に向かい棒状に突出したもの。表面は炭酸石灰結晶で覆われる。 Ex. キツネノマゴ、イチジク
気孔 stoma: 気体(CO2, O2, H2O)が主に出入りする部分。多くの葉 → 向軸(表)側表皮 < 背軸(裏)側表皮

通導組織系(維管束系)

木部: = 導管(被子植物), = 仮導管(羊歯、裸子植物)
師部: = 師管

基本組織系

柵状組織parisade mesophyll
海綿状組織: spongy mesophyll

葉の裏表
二面葉(背腹性葉) bifacial (dorsiventral) leaf: 表面に柵状組織、裏面に海綿状組織を有する葉
両面葉isobilateral (isolateral) leaf: 葉の両面に柵状組織を持つ葉

[ 根外部形態 ]

(root)


発根 rooting (≈ 活着 rooting)

種子発芽時における根の発達

コムギ根: 発芽後40-50日で長さ1 mにまで成長 – 根先端分裂細胞

発達
生態的(特にhabitat)影響によるところが大 + 風が当り植物体が揺れることも重要な要因

幼根radicle: 種子中にある胚の幼い根 seminal root

胚軸下端にあり成長し主根となる

双子葉・裸子植物: 主根から側根生じ更に側根出す

比較的乾燥、O2豊富

樹木等、地上部大きくなると側根も主根と区別がつかない位発達

単子葉植物: 主根・側根区別なし

= 髭根fibrous root (= 不定根 adventitious root)のみ。湿地・沼地

髭根: 幼根余り発達せず、主根は間もなく成長止まり、茎下部から多数根が出て細根rootlet束生し形成

主根なく、地上部大型化に適さない

構造
水吸収に対し適応

導管 xylem (死細胞)
液胞膜 cytoplasm: 液胞 vacuole
カスパリー線 casparian strip: コルク化部分

root
図. 根 root
root

根端 root apex, root tip

根先端と近傍を漠然とさす

軸柱 columella: 根冠の中央部分

胚発生初期: 茎頂-根端分化 = 極性決定
→ 根形成は根端細胞分裂増殖活動により行われる
根端 = 頂端分裂組織 + 由来する一次組織
根端組織分化過程
= 前分裂組織から前形成層・基本分裂組織・前表皮等分化

'larr; 中心柱(維管束と髄)・皮層・根冠分化

根端成長形態により分類が行われることもある
中心柱 central cylinder: 維管束系, 皮層: 基本組織系, 表皮: 表皮系
原根冠 calyptrogen: 根頂端分裂組織において根冠を作る分裂組織細胞 → 頂端分裂組織を明瞭に異なる
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