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(2013年2月14更新) [ 日本語 | English ]

生態学 (ecology)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

生態学とは What is ecology?

定義 definition
 生物と環境又は生物と他の生物との関係を研究する学問 (Haekel 1866)  
生態系の原理と概念 Principles and concepts pertaining to the ecosystem
個生態学 autoecology: 生物個体あるいは単一種の研究

種生態学 genecology
個体群生態学population ecology (動物社会学sociobiology, 個体群動態論population dynamics)

群集生態学 synecology or community ecology: まとまりとしての生物(生物群集全体)のグループ研究

生態系生態学 ecosystem ecology
生産生態学 production ecology (energy flow, cycle of matter)

日本生態学史 (history of ecology in Japan)
1885-1928

"Ecology of plant" (Warming 1895)日本に紹介
三好 (Dr Physiol, 東大)が「生態学」と言う用語を提唱(原語がoecologieかbiologieかは不明)

1945-1954

鈴木時男・細川竜平・正宗玄: 外地から引上げ = 広く植生観察 → 日本の植生は立体的に把握
工藤「北海道森林の植物生態学研究」
舘脇「北海動植物総括」
堀川「日本植物分布図鑑」

[生態学, 環境保全学特論, 生態系論 A / B]

索引
1954-1975

IBP (1965-1974 → 日本)
1) 陸上生態系生産力
2) 生産過程
3) 陸上生態系の自然保護
4) 陸水生態系生産力
5) 海洋生態系生産力
6) 天然資源の利用と管理
7) 人間適応性
の7部門から構成され、野外調査・実験により比較可能データを取ることに努めた
→ 基礎的資料により"地球における人間の今後の生活とそれを支える生物の生産力の可能性を推定する"試み。研究はMAB計画に引継がれる

分類 (classification)


材料区分:
動物生態学 animal ecology, 植物生態学 plant ecology

生態系 ecosystem = 植物 plants + 動物 animals (+ 微生物など) であり便宜的

__________| 自然誌学 Darwin
__________| 関係生理学 Haeckel
__________| 適応生態学 Stohl
進化生態学 -| 生態地理学 Raunkiaer - 植物生態学
__個生態学 -| 生物生態学 Clements - 生物地理学 - 群落構造論
環境生態学 -| 生態系生態学 Odum - 遷移論
実験生態学 -| 応用生態学 Ellenberg

[ 人類学 | 心理学 | 地理的分布 ]

動物生態学 (animal ecology)


Darwinian理論を動物社会に導入 → 動物生態学始まる
Elton, Charles Sutherland 1900.3.29 - (England)

"Animal ecology" 1927
著書中で以下の用語を提案。量的解析を用いた
食物連鎖 (food chain), エルトンのピラミッド (Eltonian pyramid, pyramid of numbers), niche (生態的地位), (Ecology = economy of nature)

全く異なる群集に類似点存在 → 系統進化・分類上異なる種でも同じ地位を占めることはある
動物行動学(エソロジー) behavioral ecology, or ethology
動物行動の機構を理解することを目的とする
行動の起こる仕組み: 鍵刺激、行動解発機構、発現方向制御、行動プログラム

Ex. トゲウオは「赤色」を成熟雄と認識し縄張りから排除を試みる

行動の生存価
行動の個体発生
行動の進化: 種に固有な行動 → 遺伝的(生得的)

動物生態学方法論

= 個体群生態学population ecology (autoecology)

数 = 個体群サイズ: ある種の生物がある地域のある時点で生活している"数"(個体数)を調べ、その変化要因を明らかにする(伊藤 1983) animal ecology
Ex アナウサギ・ネズミ → キツネ, カサガイ面積(岩固着力) → 水鳥の嘴, 血球サイズ(7-18 μm) → ツエツエバエ
→ 調査 survey: 適正な食物を十分確保することが動物行動の原動力

同種個体群内相互作用


1. コミュニケーション communication

視覚信号 – 遠距離や障害物のあるところにはむかない
聴覚信号
臭覚信号
進化法則
a) 信号祖先型存在
b) 信号祖先型は伝達信号であるとは限らない
c) 自然淘汰が働けば信号はより効果的なものに進化
d) 祖先型を同じくする近縁種は類似行動が見られる
儀式化
信号機能がなかった動作や別の意味を持っていた動作が独立した信号へと変化する過程

Ex. おどし、服従、社会的接触、求愛

2. 群れ vs 縄張り

群れ: 他個体と行動をともにする
縄張り: 他個体を排除する

同一個体群内空間利用

生息地habitatはpatch状かclump状に分布
移動力 → 縄張り

移動の程度 – 時期・距離・場所等の特性 Ex. 鳥の渡り、魚の回遊
粘着性個体群 viscous population
流動性個体群 fluid population
↓ 移動力 mobility, 散布力(移動力) agility, mobility
subpopulation間の行き来によって分けられる
環境(生息地)との密着度が異なる。viscousな方が密着度高い - 移動は集団性質の発現ととらえられる

縄張り territory

→ 空間独占性 / 安住性
縄張り形態
個体、ペア、群れ。個体群構成個体が同種他個体に対し一定の生活空間を占有し侵入者を排除しようとする働きを"縄張り制"といい、その勢力圏をその個体の"縄張り"という
仲間識別できる高等動物、特に脊椎動物に見られるが、アメンボやシオマネキ等の無脊椎動物にもある

Ex. Arthropoda, vertebrate, メダカ・トゲウオ・アユ等の魚類, アリ・スズメバチ等の社会生活をする昆虫

territory
図. 縄張り防衛のための支出は縄張りの大きさと共に単調増加。しかし得られる利益は縄張りサイズが閾値を越すと減少する。最適縄張りサイズで利益と支出の差は最大となる

→ Ex. アユ: 川底の石に付着する藻類を採餌 (川をさかのぼる初夏には数匹から成る群れ行動)
上流に先に着き定着した個体は、川瀬に1匹ずつ縄張り(はみ場)を作り藻類を独占しようとする。遅れて到着し縄張りを作れないアユは、群れアユとして主に淵に集まり、時々縄張りに侵入を試みるが、殆ど先住者に追い払われる。しかし、群れアユが増えると、縄張りは崩れる。密度が高くなり、侵入アユが増えると排除に時間をとられ、縄張りを持っても十分食物をとれなくなるからである

縄張りの分類
  1. 隠れ場所、求愛、交尾coplation、造巣及び大部分の食物集めを行う(大きな)防衛地域
    スズメ目に多。モリフクロウ、イヌワシ
  2. 全ての繁殖活動。ある程度の(大部分ではない)食物をとる防衛地域
    スズメ目。ワシ、タカ
  3. (子育用)巣と周辺小防衛地域。鳥類は営巣・雛子育の家族的縄張が顕著で、その時期は強力に侵入排除する。ウミネコ等では、他の雛が侵入するとつつき殺し、親は逆の立場で子の監視に迫られる
    カモメ(海鳥) – 集団営巣
  4. 求愛と交尾のための防衛地域
    ライチョウ類(求愛集団leck)、マネキン類
  5. 休息・隠れ場所(防衛される) 越冬場所での鳥、夜間の止り木
    ホシムクドリ、カモメ(冬)
  6. 食物をとるためだけの防衛地域(繁殖に無関係)
    ハチドリ。アユ等は水底石の藻を食するため一定範囲を自己のために確保する
1-4: Mayr (1935), Nice (1941) – これらの型は鳥で見られる

(Wilson 1975, 伊藤 1978)

縄張りの機能
諸説あり (Allee et al. 1949, Hinde 1956)
アユの縄張りは食物確保が目的だが、トンボの雄が作る縄張りは、配偶者としての雌確保が主な目的である。例えば、ハッチョウトンボの雄は湖沼の周辺や湿地に縄張りを作り、他の雄が侵入すると追い払う。しかし、雌が入ると交尾し、その雌が産卵を終えるまで警戒飛翔を続ける。雌が他の雄と再び交尾すると、最初の雄の精子が卵の受精に使われなくなるからである
1) 一次的機能: 縄張り制の発達を直接もたらしたもの
i) 個体維持に関する機能

個体群を空間的にうまく配置し、個体群密度を保ち個体間競争を緩和 - 密度依存的作用調節
一定の場所に親しむことにより採餌、捕食者からの逃避や攻撃に有利となる
採食場所確保 - 大きな食物を得られる
隠れ場所確保
良く分かっていない心理的作用で侵入者が負ける → 先住効果

ii) 繁殖に関する機能

つがい形成と維持を容易にする - 交尾失敗時に再婚できる
繁殖行動に対する同種の他の個体による干渉を減らす
卵・子の保護場所としての巣およびその周辺の防御 - 一夫一妻制等で子供をうまく育てる
子養育のための採食場所確保

2) 二次的機能

個体群を一様分散させ、好適な住み場所を調節し新しい住み場所への植民促進
分布の一様化により天敵に対する防御効果をもたらす
伝染病伝播を防ぐ
種類によっては採食場所としての機能が二次的に生じる
群れとしての縄張りを持つものでは群れの統合強化

鳥の縄張り: ミソサザイの一種(Howard 1907-), スズメの一種(Nice 1931)

Territoryは細やかに区分され繁殖期にだけ見られ、侵入者を攻撃するのは主に雄である
Territoryは個々の動物の生活環境で目立つもの、アユでは水底の石や藻が目印になっている
territory
図. 縄張り性の進化に影響をおよぼす諸要因 (Brwon 1964)

行動圏と縄張り home range and territory
行動圏 (s.l.): 個体群もしくはグループの空間のカテゴリー (total range: 一生涯に動いた全範囲)
行動圏 home range (s.s.): 一個体が主に動く、パトロールするような範囲 (Core area: 塒の周辺)

食物や配偶者を求め活動する範囲 → 他の仲間が侵入しても目立った防御行動示さない

縄張り territory

普通: 行動圏(s.s.) > 縄張り
Ex. アユ: 行動圏 = 2-3 m2位 > 縄張り = 約1 m2 (アユの個体の大きさによっても異なる)

Individual distance: 同種他個体の正常時に接近の際保ちうる最小距離

Cp. Flight distance: 捕食者の接近の際に逃げ出す最小距離

Social distance: 個体群間の保ちうる最小の距離

(Wilson 1975)

1974 Seghers

グッピー Poecillia reticulataの行動を西インド諸島トリニダッド島で調査
表. 捕食者とグッピー自然集団の群泳行動schooling behaviorとの関係

    -------------------------------------------------
    自然集団産地     主な捕食者    グッピーの群泳行動
    -------------------------------------------------
    Guayamare        大形魚類      強度に発達
    Aripo (滝の下)   大形魚類      強度に発達
    Petite Curucaye  メダカ (多)   中度
    Aripo (滝の上)   メダカ (中)   弱度
    Paria            メダカ (少)   なし
    -------------------------------------------------

→ 捕食者に対する個体防衛 → 遺伝的形質(継代飼育で証明)

移動 migration

個体群はいつも同じ生息地に留まると限らず、鳥・魚では、群れで長距離移動することもある
渡り(鳥類の移動)
別掲
回遊 recurrent migration
魚類等の水生動物: 食物、適温、産卵地を求め移動すること(s.l.)
1) 適当な温度や食物を求めて移動 Ex. イワシ、サバ、ニシン、ブリ
2) 回遊環 loop (回遊 s.s.): 産卵地と生息地異なる

海洋回遊: 回遊が海だけで行われる
河川回遊: 回遊が淡水だけで行われる
通し回遊: 川と海の間を行き来 → 回遊魚: 通し回遊をする魚類

遡河回遊: 川を産卵場、海を成育場として利用 Ex. サケ科魚類

Ex. サクラマス: 降海型、降湖型、河川残留型、河川型、湖沼型、陸封型がある

降河回遊: 海を産卵場、川を成育場として利用 Ex. ウナギ、カマキリ
淡水性両側回遊: 川で生まれ海で成長 → 川で成長し産卵 Ex. アユ、ヨシノボリ
海水性両側回遊: 海で生まれ川で成長 → 海で成長し産卵 ≈ Ex. ボラ、スズキ、キチヌ、クロダイ

母川回帰: 魚類が、生まれ育った河川から海に下り、回遊成長後に生まれ育った河川(母川)に戻って来ること

サケの母川回帰 → 幼魚時代の川の匂いを数年間に渡って記憶しているため

河川陸封型(河川残留型): 本来は河川と海を回遊(一往復)していたが河川で一生を過ごすようになったもの

Ex. サツキマスの陸封型 = アマゴ(矮小化)。サケ科魚類ではパールマーク存在

湖沼型(降湖型): 河川と湖沼で特異な形態が見られる

群生活の発達

群れ
動物では個体の密な集団 → 内部構造は種によって様々
Ex. アリのコロニー colony: 高度分業制を示す母子・姉妹集団

群れswarm: (動いている)昆虫の群れ、(分巣時の)ミツバチの群れ、(混乱した人や動物の)群れ

Ex. イワシやサンマの群れ school: 血縁関係のない多数の個体が作る移動集団にすぎない

個体は、集団を作りより効果的に獲物獲得ができるし、逆に天敵から逃れられる

Ex. ヤマバト: 単独個体 → オオタカは確率約80%の捕食成功 ↔ > 50羽以上集団 → 成功率8%

群れの1羽がオオタカの接近に気づくだけで、全個体が逃げるのに十分

+ 配偶者の獲得や子育てが容易になる

群れの機能
organize (つつきの順位、リーダー制等)の有無により群れの性質は異なる
  • 希釈効果: 敵に襲われた際に、自分が犠牲となる確率が下がる
  • 警戒能力増大: 1個体あたり警戒時間が減る – より多くの時間を採餌等に回せる
  • 無機環境抵抗性・生活機能増大: 社会萌芽(proto-cooperation)に端を発する。Ex. Euplanaria sp.は単独より数頭一緒の方が紫外線に耐える。増殖率には最適密度が存在
  • 交尾機会増大: 交尾期群形成は個体存続に有利だろう。また、集団(群れ)生活の方が発育の斉一性がみられ、交尾期がその個体群中で一致する
  • 摂食効率増大: 口器の弱い生物(昆虫)は、群れが一斉に同一物摂食し単独で不可能であった食物を獲得可能。鳥類では摂食対象物(餌)の発見能力上、群形成し餌が均等分布していれば群れ形成しない
  • 競争種との関係: アリが他のアリに対する攻撃および防御の際にみせる行動が例(研究不足)
  • 捕食に対する逃避および防御効果: 集団防御。一部が犠牲になって残りが逃避すること等
以下は群れが確立されてからの構造的機能
  • リーダー制や分業制を発達させ食物獲得や外敵対処の成功率を高め、かつ産子や育児を容易にする
  • 世代を超え永続する群れでは、新しく獲得した生活習慣を社会的遺産cultureとして蓄積できる
A. 順位制(オーダー) dominance hierarchy (dominance order)
順位: 個体群構成個体間に強弱があり、生活上で序列がみられる場合
順位制: 順位関係が個体群内で優位者のみに有利ではなく全体秩序維持に役立つ制度となっているとき
→ 機能: 群内個体間関係が安定し無用の争いが減ることが最大

= エネルギーの不必要な消耗や傷つけあいによる群れの劣勢化を防ぐ

1. 絶対順位 peck-right: つつき返しがない

つつきの順位 pecking order (Schjelderup-Ebbe 1922)
Ex. ニワトリ個体群
order

相対的順位: pecking dominance – 3すくみ
____B
____
C____D
絶対的順位制 pecking right
A > B > C > D
個体相互間で優位-劣位関係もち、優位者は劣位者生活圏に自由に入るが、劣位者は優位者縄張りに入れない。3羽のニワトリで1羽は全てに優位に、1羽は一方に劣位を一方に優位を、最後の1羽は他の2羽につつかれてもつつくことはない。3羽三すくみ状態もある。この3羽のニワトリに新しいニワトリを加えると、互いに一通りの闘いをやり順位を決める。若鳥は一般に劣者である。シカの角つき順位も良く知られる
動物によって低密度ではterritoryを作り、高密度では順位関係を保ち生活する。縄張りにも個体間の強弱があり、大きい縄張りをもつ個体が死ぬと近の、それに次ぐ縄張りの個体が昇格するといわれ、縄張りから順位への以降段階と考えられる。サル社会は順位制が更に発展したものと見ることができる
順位制は、魚類、鳥類(ハト)、サル・シカ・ウマ等のほ乳類の群れでよく知られ、魚類ではアユ、社会性昆虫のアシナガバチやアリ等でも見つかる
2. 相対的順位 peck-dominance: 互いにつつきあう Ex. モリバト
3. 独裁制 despotism: 最上位一頭を除き他の優劣はっきりしない
B. リーダー制 leadership organization
群れ全体行動を指揮するリーダーleaderによって組織化されること
外敵防衛と食物探索の点から経験豊富な老個体が、また子保育する関係から雌個体が選ばれる傾向 Ex. 脊椎動物によく見られる。アリ等の集団も移動時にリーダーが存在するといわれる
動物によってリーダーは順位最優位者と限らない。ニワトリでは中位の何羽かが集団でリーダーの働きを示す。ヒツジやヤギでは雌親がリーダーになることが多い。リーダーは群行動でよく見られ、シカ類では敵を始めに発見した個体が尾を立て走ると、それをリーダーに全個体が一斉に走り去る

order
図. ニホンザル社会におけるリーダー・順位・縄張り

野生ニホンザルの群れ = そこで生まれた雌と、他の群れから入りこんだ雄から成りたつ母系集団
強力な数個体がリーダー(ボス) → 最も強力な雄が最優位者(ボス)として君臨すること多
群全個体に順位があり、2個体の中間に餌を投げると高順位者が食べる。高順位者が十分飽食すると低順位者上に乗り優位者を誇示した(マウンティング, 背乗り mounting)後、劣位者は食せる。マウンティングの他に、プレゼンティング(尻をつき出す交尾姿勢)、グルーミング(毛繕い)等の行動で、個体間優劣関係を確認し合う安定した順位制が成立している
ボス周辺に雄雌と乳飲み子が位置し、子は育つと若雌は次第に雌親群へ近づき、若雄は周辺部へ出て行く。周辺に位置するのが普通雄で、その中で力ある者がサブリーダー(ボス見習)となり、その内側に位置しそれぞれ縄張りを作る。ボスは雌や子を保護すると共に、雌間の喧嘩仲裁や、雌や子の食物をとった若雄を群から追放したりする。群全体の行動はリーダーが支配する

_____┌ 個体の分散 → 縄張り(テリトリー)
始めの個体群_______________________→ 新しい個体群の構造
_____└個体の集中 → 順位制・リーダー制

Ex. アリ・ニワトリ・シカ・ウマ・サル

最適群れサイズ

size

社会 (society)


個体群内で全体生活や生殖に影響をもつ個体間相互関係に基づく秩序
社会形成 → 哺乳類や爬虫類・魚類の移動や渡り、回遊の際に見られる
高等哺乳類ではリーダーを持つ社会形成
Ex. オットセイやアシカ: 強力な雄を中心に縄張り中にハレム形成

他雄を追い出し雌と交尾し子を生ませ育てるのを助ける
他雄達は独身グループ形成(→ 捕獲・殺害されても子孫数に影響しない)
ハレム雄が独身者に敗ると、雌達を譲る
この時期を過ぎると雄だけのグループと雌及び子のグループに2分される

社会は、雌雄別あるいは雌雄の組合わせによる下位的集団(グループgroup)を形成することがある。ニホンザル社会では、グループ縄張りは明瞭である。ミツバチ社会でも、女王・ハタラキバチ・雄バチ階級だけではなく、ハタラキバチ中に役割に応じグループが存在する。Ex. 卵捕獲、巣周辺保護、探餌等に分かれる
社会関係
  1. 相互間に特殊関係存在
  2. 相互間に誘引性存在
  3. 相互間に反発性存在
ニホンザル: 順位制、縄張り制、リーダー制を基盤に社会形成
生得的社会性: 社会性昆虫 - 雌親(女王)中心に個体間分業が進む

ミツバチでは女王となるべき個体が同時に表れると双方が対決し一方が死ぬまで闘い勝者が社会形成の中心になる。一定期間中に女王候補個体が表れないとハタラキバチ幼虫にロイヤルゼリーを与え女王を作る

社会構造発達と繁殖戦略
群集構造と生活系グループ
r-strategist vs K-strategist (MacArther & Wilson 1967)
グループ内位置
死亡要因
生存曲線の型
食物供給量に対する密度レベル
a) 高等な哺乳類に見られる社会生活発達

___________┌ 類家族社会 - ゴリラ____________
群れ社会 - ニホンザル________家族社会(バンド) - ヒト
___________└ プレバンド-チンパンジー________

b) 真社会性(昆虫類社会) eusociality: カーストのある社会
カースト(階級) caste: 分業固定的 - 状態変化しても各個体の役割変わらない

繁殖カースト – 最も発達したものでは労働能力損失
労働カースト – 最も発達したものでは繁殖能力損失

個体を社会から引き離すと長く単独で生きることができない
膜翅目(アリ・ミツバチ・スズメバチ)、シロアリ目、半翅目(アブラムシ)

Ex. ミツバチ社会(フォン=フリッシュK von Frisch 1886- , 独, 動物学者)

        女王バチ     1個体  ♀
        雄バチ       少数   ♂      単為生殖でできた雄(n)
        ハタラキバチ 大部分 本来♀  フェロモンの働きで生殖器退化

ミツバチダンス – 情報伝達
bee
巣からの距離はダンスの回転数によって示されるが、極度に近いと円形ダンスとなる
距離の測定はスト蜜源間に要する飛行の消費エネルギー(疲労度)によって測定される

亜社会性
真社会性に至る手前の段階と考えられる
原始的亜社会性: 餌を置いた産卵巣穴を閉じる(一括給食) → 幼虫の間給餌を行なう(随時給食)
進歩的亜社会性: 子供が成虫になるまで母親が生存し、子育てをする

Ex. タイワンヒメツヤハナバチモドキ

→ 母娘二世代の成虫が共存
→ 娘が母に協力
→ 娘が卵を産まず労働だけ行うハタラキバチにカスト分化 = 真社会性
ホイラー説
    母成虫による母・娘二世代娘が弟妹の最初の娘は
    幼虫への給餌    成虫の共存      世話を助ける  産卵せず働く
ミッチナー説
    同世代のメス巣作りと育仔一部のメス最初の娘も働
    達の集団営巣    の共同化        は良く働く    くようになる
図. 昆虫の真社会性(カスト制)進化に関する2説。ミッチナーはホイラー説を否定はしていない

子育て parental care

親が産卵後に、子供に資源を投資すること 父親のみによる保護 vs 母親のみによる保護 vs 両親による保護 →
♂: 一匹の子に投資する資源少/自分の子である保証はない →

より多くの交尾機会を得るよう進化

♀: 卵子への投資量は精子よりはるかに大/確実に自分の子 →

自分の子を安全に育てるよう進化

→ 雄と雌の闘争conflictの結果として子育て様式は決まる(Trivers 1972)
帰結できる動物全体での子育て傾向
  1. 母親のみによる子育てを行なう種が多い
  2. 一夫多妻制は進化するが多夫一妻制の進化は困難 Ex. 鳥類の91%一夫一妻
Orians (1969): ハゴロモガラス類 American black bird 社会構造研究

→ 一夫多妻が多い
仮定: 雌が雄を選ぶのであり、雄が雌を選ぶのではない → 多形の進化
care
図. 一夫多妻成立を説明するOriansモデル。オスが占める縄張りの質が”複婚の閾値”より離れているとメスはAという悪い縄張りを占めたオスの第一夫人よりもBというよい縄張りを占めたオスの第二夫人のが適応度は高くなる。適応度は、そのメスの卵から育った若鳥の数で表わす

採餌戦略 foraging strategy

foraging 最適戦略 - 物質・エネルギーで計れる → 利益(benefit, b) – 損失(cost, c)が最大となるとき

利益:成長・個体維持・繁殖
損失: 採餌に費やすエネルギー・採餌に曝される危険

最適採餌理論仮定 assumption of optimal foraging theory (MacArthur 1966)
  1. 環境は資源発見を一定確率で期待できるような反復を持つ
  2. 餌品目は連続的かつ一山型スペクトルで配列できる(植物には適用できない)
  3. 似たような表現型(形態)を持つ動物は採餌能力がほぼ等しい
  4. 分配原理を適用できる
  5. (餌をとっている)各個体の餌をとることによる経済的目標は食物資源の取込み最大化にある
採餌の相
  1. 探索場所の決定 (a, c, d) = どこで採餌するか – 収量の期待値が最大となる場所
  2. 餌品目の探索 – 生息地の反復性
  3. 食べられそうな餌の発見 → 追跡はどうするか
    どの餌品目を選ぶか: A. 追跡, B. 他の餌を探す → ABの判断条件は仮定eに基づく
  4. 探索者searcher: 餌あたり平均探索時間が餌あたり追跡時間よりはるかに長い Ex. 食虫性小鳥
    追跡者pursuer: 容易に餌を見つけるが捕獲に時間がかかる ex. タカ、ワシ、ライオン
  5. 追跡し捕獲できれば食べる – 形態的制限

生態相関物質 ecochemicals


= 生態活性物質 ecomone
生物間相互作用に関する物質で、それを生産する個体個体の体外へ放出され、他の個体に作用を及ぼしているもの

フェロモン pheromone: 同種の生物間に作用する物質
アレロケミクス allerochemics: 異種の生物間に作用する物質

フェロモンpheromone
1959 Karlson et al. 用語提唱

pherein (Gr. to carry 運ぶ) + horman (Gr. to excite 刺激する)
体内で作られ体外分泌される生理活性物質 → 同種他個体に特定行動や発育分化を起こさせる - 体内分泌性ホルモンと区別しフェロモンと命名
同種個体間の信号の役割を果たし、個体群内の生態的諸関係を調節

1963 Wilson & Bossert: フェロモン分類
1. 放出効果 releaser effect
→ releaser pheromone: フェロモン感受時だけ反応short-term effect。フェロモン受容個体は、直ちに影響(信号)により反応が変わりフェロモン消失により元に戻る。全臭覚器を通じ中枢神経に伝達され行動が起こる

a) 性フェロモン sex pheromone (sex attractants): 蛾、マダラチョウ、ハバチ、ヒメカツオブシムシ、キライムシ、ワタミゾウムシ、ワモン、ハイイロゴキブリ等
殆どは雌がフェロモンを出し雄が反応 → 臭覚器が雄の方が発達する要因とも考えられる

1956 Baterandt: カイコから雌雄誘起フェロモン単離
50万匹側胞saculi lateralsから10 mg得てbombykolと命名。後、蛾についてはC12-16の酢酸エステルが主たる性フェロモンであることが分かる

b) 警報フェロモン alarm pheromone: 社会性昆虫(アリ、シロアリ、ミツバチ等)に見られる。低濃度時には集合を高濃度時には攻撃を誘引。一般に低分子でC = 5-10、分子量100程度。揮発性に富むものが多い

Ex. アリ: 大鰓(顎)腺 mandibular gland → citral, 肛門腺 anal gland → 2-heptanone
Ex. ミツバチ: 大顎腺 → 2-heptanone, 刺針室腺 → iso-amglacetate (sting pheromone)

種により異なるフェロモンを出すことが種の認識上重要。腺(フェロモン)によって反応型が異なる
c) 道標フェロモンleading pheromone (trail marking pheromone): 社会性昆虫に良く知られるが高等哺乳類にもあると考えられる → これらのフェロモン道標は植物の臭いでもある

Ex. アリ道: アリ尾部末端毒腺dufour glandから分泌。ミツバチ: Nusanoff glandから分泌

d) 集合フェロモン aggregation pheromone

Ex. チャバネゴキブリ: 糞中にrectum pad混入。若齢のものほど集合性高い。シロアリ幼虫でも知られる

2. 引金効果 primer effect → primer pheromone: フェロモン受領後変化が進行long-term effect。社会性昆虫の階級分化に関するものだけが観察されている。内分泌系、臭覚器あるいは味覚器を刺激

a) カスト分化フェロモン hierarchy pheromone

Ex. プライマーフェロモンprimer pheromone = ミツバチの女王の大顎腺から分泌されるqueen substancesが良く知られ同定もされる。この物質は雌に対して働きバチ化を促し、雄に対しては性フェロモン的役割をする

都市生態学 (urban ecology)


(中野ら 1974) 変な分野だ

人間と環境
原生自然: 環境 Ex. 湿原・森林
人為自然: やはり環境 Ex. 水田・農地・住宅地
環境 = 森林 + Heath + Animals + Human
都市環境 urban environment: 植物・動物・微生物あるいは人間の生態学 - 都市そのものの代謝を中心とし、これを環境との関係、代謝が都市に及ぼす作用などを扱う
人間環境としての都市
都市は人間にとって万能の地ではなく、成長及び限界の存在を認識
都市と共に自然は変化

原初的環境問題 地下水利用 → 地盤沈下 → 高潮・浸水災害 → 地下水位を回復 → 地下水公害発生
洪積台地開発

自然災害と自然的公害
都市環境と構造の動態
都市林の機能と効用
  1. 都市林の気象及び気候緩和の効用
  2. 大気清浄化作用
  3. 防音的効用
  4. 防火的効用
  5. 自然災害に対する効用(防災林)
  6. 心理的効用

自然林と都市林を比較すると組成的には一般に自然林に比べ都市林は構成種数少ない
都市林は自然林要素の含有率が低く階層分化が明瞭

自然緑地: 元々生育していた樹木を利用し形成された緑地
人工緑地: 埋立地等、自生樹木のない場所に樹木を導入し形成された緑地

(Wolman 1952)

都市における物質代謝
A) 物質移動

1) 機械・道具による運搬・輸送(自動車・ベルトコンベア等)
2) 動物輸送
3) 流体を媒体とした移動

B) エネルギー輸送

1) 物質移動(石油・ガス等)
2) 電線輸送
3) 放射
4) 振動
→ 一定の系の内部に存在する物質の全質量 = スタンディングマス standing mass

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