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(2017年12月7更新) [ 日本語 | English ]

種 (species)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

エングラー体系 (Engler's syllabus)
藻類 (alga), 蘚苔類 (mosses), 菌類 (fungi)

種数 (species richness)

Phylogeny
共通祖先に起源するとしたときの遺伝子解析をもとにした現世生物分類群の系統樹 (phylogenetic tree)
索引
Euryarchaeota (ユリアーキオータ, 古細菌), Nanoarchaeota (ナノアーケオタ, ナノ古細菌), Crenarchaeota (クレンアーキオータ, 古細菌の一部), Protozoa (原生動物), Algae (藻類), Plants (植物), Slime molds (粘菌), Animals (動物), Fungi (菌類), Gram-positives (グラム陽性菌), Chlamydiae (クラミジア), Green nonsulfur bacteria (緑色非硫黄細菌), Actinobacteria (放線菌), Planctomycetes (プランクトミケス, グラム陰性菌の一部), Spirochaetes (スピロヘータ, グラム陰性菌の一部), Fusobacteria (フソバクテリウム), Cyanobaceria (藍藻), Thermophilic sulfate-reducers (硫酸還元菌), Acidobacteria (アシドバクテリア, グラム陰性菌の一部), Protoeobacetria (プロテオバクテリア)

表1. これまでに知られている生物の種数(Wilson & Peter 1988)。数字は年々変わるし、分類体系は激変中なので目安として使う程度
  生物種      種数  生物種       種数  生物種         種数
  ウイルス   1,000  藻類       26,900  原生動物     30,800
  細菌       3,000  緑藻類      7,000  動物      1,033,614
  シアノバ   1,700  褐藻類      1,500  海綿動物      5,000
  クテリア              
  菌類      46,983  紅藻類      4,600  腔腸動物      9,000
  子嚢菌類  28,650  その他     14,400  扁形動物     12,200
  担子菌類  16,000  植物      248,428  線形勤物     12,000
  真正粘菌     500  コケ類     16,600  環形動物     12,000
  細胞性粘菌    13  シダ類     10,000  軟体動物     50,000
  その他     1,820  裸子植物      529  棘皮勤物      6,100
                    被子植物  220,000  節足動物    874,161
                    その他      1,299  昆虫類      751,000
                                       その他      123,161
                                       脊推動物     43,853
                                       その他        9,300
                                       合計      1,392,425

(species)


種とは What is species?

= 分類学(植物分類学, plant taxonomy)のメインテーマ
生物界: 構造単位が順次高次システムにまとまる ⇒ 種species単位存在 = 基本概念: 階rankと類型category
生命の存在様式 = 名前
a) 確かな名前 名前:対象物 = 1:1 → 曖昧な意味なく厳密な対応関係
b) 名前の整理
c) 名前の種類
学名 scientific name, 和名(一般和名) Japanese common name
記載的研究 monograph: あるグループにどのような植物があるのかを研究
植物相的研究 flora: ある地域にどのような植物が生息しているのかを研究(動物 = fauna)
種の存在様式 = 個体
各レベルごとに多くの相違点と適用限界があるが、少なくとも3点で基本的共通性存在
1. 各々の構成レベルにおける内的な統一性存在
2. 各々のレベルで再生産する能力を備える
3. それ自身が時間の経過と共に変化する

1. 分類学的種 taxonomic(al) species

= 形態種 morphospecies) - morphological species concept
[仮定] 外界環境が変化しない → 標徴(記載)に与えた特徴を備えた全個体は同一種に属す(Plate 1914)
⇒ 類型的種概念 typological species concept (international nomenclature)
リンネ種: Linneon = 形態種 morphospecies ← 基準標本(タイプ標本)

実用上の必要性 → 使うのに便利で実用的convenient and practicalな分類でなくてはならない
synonym存在 = taxonomical speciesがpracticalを認める
Taxonomical speciesは生殖的検証を要求されない
Huxley (1942): 種 = 有能な分類学者が認める集団
Cronquist (1978): 種は一貫して永続的に明確で通常手法 ordinary means で区別できる最も小さい集団

種内分類群intraspecific taxa + 生殖・遺伝・生態をも考慮 → 生活種
種は全分類群上特別な位置があるのか / 種以外の分類群は抽象的概念にすぎないのか

2. 生物学的種 biological species

= 自然種) → biological species concept (高等動物分類での導出概念)
生物学的種 = "自然状態"では交配しない(Mayr 1969)
「個体の遺伝子が世代を通じ伝わり、一個体中に合体することが自然条件下で可能なら同種」
基本的に構造や働きが同一であり、有性生殖により生殖能力のある子ができる
生物学的種に対する批判>
生殖隔離は実際は存在しない → BSでは種認識できない(現在否定)
→ 生物学的種概念は、その間に生殖的隔離の手段を問わずバリヤーの存在を区分として認めようというもの

(Imbrie 1957)

3. 遷移種 successional species

  1. lineage - 祖先子孫の関係(空間・時間において存在する個体の直系系列)
  2. 他の種とは別個に進化
  3. 生態学的地位 ecological niche に適した、その種特有の進化的役割 evolutionary role を有する(Simpson)
    現在この概念はbiological speciesに入れる → 否定的見解もある
  4. 進化的役割に感受性の高い進化傾向を持つ
character

形質 (character)

遺伝子の具現化したもの ⇒ 形態が遺伝子差を表す
Biological species判断 → 形態種を見ることが有効な手段 元々は分類指標となる形質的要素を指し、その意味で特徴(標徴)とも呼ぶ。メンデル以来の遺伝的形質を指し、その内の単位的形質、即ち単位形質を捉えて遺伝現象を分析することが遺伝学の1常套手段となった
→ 形質 characters: 遺伝学でいうcharactersと同じ意味と考えてよい

種分化 (speciation)


種分化を論じる上での概念的用語

Formenkreis型圏 (Kleinschmidt 1900): 最初動物学で提唱された種を論じる上での基本単位

合弁花 > 子房下位 > 雄蕊5個 … ? ← これ以上分けられない種の共通単位

Rassenkreis oder Artenkreis (Rensch 1929) 最初動物で提唱

同一祖先と思われるものの集団。species complex (super-species)の起源的用語

Polytypic species (Huxley JS 1940) 動物 ↔ monotypic species

Super-speciesに通じる。形態は異なるが共通的種とみなせる集団

形質転換 (character displacement)

似たような種がいない場合には大きな変異 ⇔ 類似種が近くにいるsympatric場合交雑をさけるため形質特異化

交尾前の隔離機構の一つ – 強化 reinforcement
競争 - 餌ニッチェ

交配前隔離
異所的隔離
同所的隔離
交配後隔離
交配後隔離機構での変異 variation: 染色体変異

Ex. マイマイガの性品種

⇒ これらはいずれも種分化の一要因と考えられている

変異 (varation)

1942 Mayer E

Geographycal race - 動物 (≈ ecotype): 鳥の変異を調べ、島での鳥のraceを考えた → Huxley
近縁種の分布関係: 同所的 sympatric / 異所的 allopatric

1963 Anderson 1963: Introgression = hybridization of habitats

遺伝子レベルでの環境が植物に与える影響を考慮すると、環境条件にり起こりうる交雑がある

Ex: Pinus densiflora (アカマツ, 西日本): 原植生 = 照葉樹林

↑ introgression Pinus × densi-thunbergii (アイグロマツ)
Pinus thunbergii (クロマツ)
アカマツは海岸近くの悪土壌条件地に限定され育つが、芝刈り等がアカマツ林中で行われなくなり、原植生に周囲と共に戻りアカマツは減る。クロマツも土壌向上のため侵入可能となりintrogressionがなされ、アイグロマツ林に変換しつつある地方もある

speciation
F1 = 不稔 → A, Bどちらかとback-cross可能であることがintrogressionの条件

↓ 仮にAとback-cross

speciation

雑種子孫がAに浸透していくことで雑種起源の新品種の形成がなされる

1939 Clausen U: 細胞遺伝学 (Turessonの弟子、Hagerupは兄弟弟子)

Turesson学派は一貫してecotype研究。Stanford大カーネギー研究所Prof Babcockのもとカーネギー財団の「自然と生物の変化パターン」という提出テーマでStebbins, Ravin, Lewis H, 下斗米、田中隆荘らが研究
太平洋側から内陸に向かい調査区設置: Potentilla, Achillea, Asterを材料に移植実験。助手としてHiesey WM(生理生態)、Keck DD(分類)を頼み、この3人で共同研究し、"Experimental studies on the nature of species I, II … (1940-) …"という形で結果は発表されている

レース (連携群. race)

地理的レース geographical races
local racesとの区分は便宜的

地理的レベルでの多系 ≈ cline (分類学上geographical raceはsubsepcies程度に相当)

不連続地理的レース disjunctive geographical race

Ex. 高山帯等の隔離された個体群 – cp. ecological geographical race

生態的(地理的)レース ecological (geographical) race

同一空間にパッチ状あるいは桝目状に形成された個体群の発達

山岳地帯にいおては標高レースaltitudinal raceが発達する

(Huxley 1938)

クライン (cline)

Ex. ウサギダニ rabbit tick

南北cline: body size factor = 北 &rarr 寒 ⇒ 体重当り表面積 → 小 Ex. 脂肪貯蔵のため体大きい
東西cline: appendage factor = 西部 → 乾燥 ⇒ 単位体重当りの表面積 → 小 Ex. 短足

Ex. Juniperus verginiana (Flake, Rudloff & Turner 1969)

テルペンtelpeneをガスクロにより分離定量 – 個体群の地理的変化に沿って変化

Ex. Trifolium repens L.: シアン水素配糖体の遺伝子集団分布
Ex. Mimulus (Becks 1962)
地理的レース(クライン)は光周性、光合成特性等にも認められる
Ex. Ray & Alexander (1966): オナモミ = 短日性で暗期間に対し感受性ある

一般に限界暗期は8.3-8.5 hr → Los Angelesから11-12 hrという報告(1959)
さらに、ある所の株strainから量的変異を示すものを発見
実験: ファイトトロンphytotron使用
1) 暗期固定 fixed night-length experiment – 6 strains
2) various night-length experiment: 5回毎に15分づつ暗期を長くする

花芽形成が見られたときの暗期をmanifest night-lengthとする
この組み合わせで(apparent) critical night-lengthを求めるると1)とほぼ同じ結果を得た

3) natural-day experiment: 適応確認に42.3°N (arboretum)で行なう

暗期に対する感受性sensitivityはHawaiiのもので低い
→ long/short dayの特性を有する可能性が、花芽形成が鈍い個体では考えられる
温度によりTexus, Miss.株では花芽形成が影響されることも分かった

自然状態natural dayでの花芽形成は、温度の影響を受け、特に8月中旬以降の日長で花芽形成するものは、種子形成までの期間を完結できないものがある
→ 早い開花をするものに対する選択作用が存在する。温度に対する適応がなくてはならない
→ 北方系の株は、開花期が8月上旬と早い
→ Hawaiiの株は熱帯へ適応した型

極地への移入戦略 strategy for migration of polar sites

短日植物 → 長日(あるいは中日)植物への変化

雑種指数 hybrid index
              Charater#
            -------------
    Strain    1    2    3  …  n  Total
    -----------------------------------------
       A      0    0    0  …  0     0
       B      3    3    3  …  3    21
       C      1.5  2    3  …
       …

→ 各々の株のhybrid index valueを求めることができる

Riley (1938)

この指数は、選んだ形質数、遺伝子形質との関係、レースの問題等がある
簡便な指数だが、指数自体の持つ意味にも問題がある

    Ex.  Race A  1  1  1  1  1 = 5
         Race B  0  0  2  3  0 = 5

Race AとBでは内容が違う → 解決に"象形散布図"の併用が試みられた

レース形成に関与する淘汰要因 selection factors on race formation
1922 Turesson: レース区分

1. 生育地における優占的な環境要因への適応

Ex. Atriplex litorale: 風の強い生育地と弱い生育地への分化

2. 種間についても置き換えがある

Ex. A. litorale, A. sarcophyllum, A. praecox: 住み分け → 気候による生態型ecotype分化(開花期淘汰圧強)
(実際は各要因が単独で影響しているわけではない)
Ex. Brassica nigra (BN - wild), B. campestris (BC - culture)

BN: wild – BN中でもたまたま農場にあるものがあるものはBC様に特殊化している

Ex. Gilia splendens: 受粉問題

ツリアブにより受粉されるレース / ハチドリにより受粉されるレース = pollination race

レース形成速度
Ex. Mimulus guttatus (Vikey 1978): Lake Bonneville, Utah

湖の窪地での乾地化(= 植物侵入が可能になった)年代が分かる
年代と量的なレースの関係調べ、レース分化には4千年-1万4千年と推定

隔離機構 isolation mechanisms

1) 交配前隔離機構 pre-mating isolation
同所 的sympatric space / 異所的 allopatric / 側所的 parapatric
生態的隔離機構(普通不完全)

Ex. spade food toad: 異なった土質を好む
Ex. 昆虫 - 行動時間、産卵時期が異なる
Ex. 植物 - 開花時期が異なる

行動的隔離機構

Ex. ホタルの求愛行動: 擬態で♀を呼び食べてしまう → 発光パターン変えれば交雑発生
Ex. カモメの目とその周囲の色のcontrast: 変化されると交雑が起きた

交雑: 種の危機を阻止する機構

番作らない鳥では一瞬で見分けるため形態的にmale羽型が大きく異なる
番作る鳥は求愛行動の微妙な違いで別れる → 子孫作のに最も信頼度の高い方法
Ex. ニジュウホシテントウ (片倉 1981)

                  分布         食相      大きさ  翅鞘
        コブN     札幌以北4型  アザミと  中間    変異大
                               ルイヨウ
        コブS     渡島以南     アザミ    大型    もり上がる
        ルイヨウ  渡島以南     ルイヨウ  小型    もり上がらない
                                                 安定

コブSとルイヨウ: 大きさ、翅鞘異 → 生殖的隔離 = 同所だが食相差異のため交雑しない → 異種
コブNとコブS: 唯の亜種とはいえない(疑問多) - コブNはコブSとルイヨウの中間型の可能性

交配後障壁
F1発生しない

Rana pipiens × R. sylvatica: 嚢胚後期には発生停止 - 自然中で生存不可
Ranunculus villarii (marsh) × R. dissectiofolius (dry habitat): F1はどちらの環境でも生存不可
中間の不安定生息地に生存し、すぐ死ぬし生存域も限られ個体数少

種間雑種 inter-specific hybrid: 異なる種間の生殖によって生じた雑種

Ex. ラバ、レオポン、ライガー
不安定 = 不稔性/不妊性多(生殖細胞減数分裂時に染色体の対合や分離が正常に起こりにくい)
雑種に倍数化が起こると新種を形成することがある

交配行動が不適当
⇒ これらの様な隔離機構によって種は保証され、種として認識される
生物学的種概念の適応外生物
1) 無性生殖(有性生殖だから隔離が可能) Ex. ワムシ
2) 種分化途中にある種 = 半種 semi-species

個体群間変異 ≈ 地理的変異

半種 (semi-species)
biological speciesとraceの中間的な生殖的隔離が見られる
1. 漸進的分岐による

漸進的分岐graducal divergence

early stage (intergradation) = geographical race, local race ↓↑ 中間ステージ = semi-species (Grant 1963)
late stage – good biological species

2. 自然交雑によるnatural hybridization
a. 雑種群
b. 浸透性交雑個体群

それまで生態的隔離が起こっていたのが浸透性交雑を行なうようになった(要再考)

アイソザイム isozyme (= enzyme gene)

allelic isozyme (= allozyme): 同じ構造遺伝子座支配のもの
non-allelic isozyme (multiple gene): 異なる構造遺伝子支配のもの

Genetic identity index (GII)

Ex. Tragopogon: 種内 = 0.97-1.00 (locality間比較), 種外(種間) = 0.50-0.62
Ex. Clakia lingulata, C. biloba: locality間 = 0.905, 種間 = 0.88

→ この2種は極めて種として近い(現在分化の最中? F2は不稔)
染色体レベルでは転座、逆位、1つの付加染色体が見られる

生態種 ecospecies

エコタイプ (ecotype)
種レベルで複数タイプが環境に対応した関係が認められる → 複数エコタイプ
エコクライン (生態勾配, ecoclinee)
環境勾配に沿った生物の(遺伝的)形質の変化
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