(2014年8月23日更新) [ 日本語 | English ]
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陸域の地表と地表付近の水動態を研究 (水循環対象とする地球科学一分野) ↔ 観測流域データ取得が必要な地球物理学・地理学に起源した野外科学 → 陸域における水循環過程を明らかとする科学
国外: 各国水文気象局による河川流量の定常観測を含める(s.l.) → 現象の分類: 蒸発生起過程、積雪・融雪過程、地表面浸透過程、表面流出発生過程、土壌内の浅い地中水流動過程、基盤に沿う地下水の流動・貯留過程等 → 対象や行政的要請による分類: 山地(森林)水文学、農地水文学、河川水文学、地下水水文学、都市水文学 地域の気候条件熱帯水文学: 雨期、乾期蒸発散量解析から、河川水等の季節変動に注目寒冷圏水文学: 積雪や土壌、河川凍結・融解という現象を取り扱うため、大気と地表間の熱交換過程を含む 湿潤地水文学: 水資源の必要性から、降水量が潜在的蒸発量より多い地域 乾燥地水文学: 少ない地域 水質水文学: 流量に加え、河川水や地下水の水質形成とその流下過程での変質を取り扱う 同位体水文学: 水や酸素の安定同位体から水の循環過程を対象 |
[ 水循環 | 水 | 湿原 | 海草 | 海洋生態学 | 土壌 ] 河川 (rivers and streams)河 + 川 = 両者をまとめて河川とする慣用英語: stream < riverのサイズ関係 (小川 brook は文学的、論文ではまず使わない) 科学用語: 両者に厳密な境界や区別なし
大河川でもstreamを使うし小河川でもriverを使う 水に関する理論: 保安林思想・洪水と渇水水文 = 水を力学的に扱う水理 = 水を量的に扱う 資料調査 面積降水量の計算: 等雨量線法、ティーセン法、支配圏法、算術平均法 洪水流量推定法: 既往最大流量か確率洪水流量利用法、公式法、単位流量図法(ユニットハイドログラフ) 流量測定法: 流速法: 流速分布、測定法。量水堰法: 刃形堰、広頂堰。洪水位痕跡法 平均流速公式: ジェジー型公式、指数型公式 |
[ 物質循環 ]
蒸発 → 降水 → 流出 → 蒸発 (循環) 地球温暖化による水循環変動 → 各国水文気象局定常観測データ利用可能 広域地表面となる大河川も対象 全球気象観測データを使った数値気象(気候)モデル 2.5-1° (250-100 km) 格子点に補完された気象データから大気水蒸気収支 → 全球降水データ併用し降雨余剰量(降水量-蒸発量)月単位算定 被覆流域蒸発散量: 森林 > 裸地・草地 → 多くの観測流域結果から判明
評価は想定する地表面のスケールにより異なる |
Ex. ユーラシア大陸(大スケール): 海洋上から運ばれる水蒸気が陸域降水の最初の湧源だが、大陸内部では地表から蒸発した水蒸気が次の降水の湧源に加わり、蒸発量の多さは降水量増大となる
水利用増大による河川水・地下水汚染各地で進行 |
1) 水収支 hydrological balance水循環において、ある水システムにおける単位時間での水の流入量と流出量Def. 滞留: (水が)一箇所に滞ること Def. 滞水(滞留水): 流れずに一箇所に滞る水 水界生態系の構造を決める上でも重要 Def. 滞留時間 residence time:Ex. ダム: 流れダム ↔ 止まりダム(独自のプランクトン発生) 入替時間 turnover time, τ0 = S/Q
S: 貯水量 2) 水文基本操作集水域 catchment: 支流を含む1河川(a river and the tributaries)の全域(山頂から海岸まで)流量 discharge: 単位時間あたりに流れの断面を通過する量 (Ex. m³/s) 計画規模: 治水計画策定にあたり、どの程度の規模の洪水まで安全を確保するかという目標
Ex. 計画規模 1/100 → 100年に1度起こりうる規模の洪水を想定 基本高水流量 basic high water discharge: 河川が洪水調節を行われない状態での高水流量 → 流域に降った計画規模の降雨(時間当りの降雨量等から決める。通常は100-200年に1回の割合で発生する洪水を想定)がそのまま河川に流れ出た場合の河川流量。基本高水流量は、この流量がハイドログラフに示される最大流量から決定された値 計画高水流量 estimated high water discharge = [基本高水流量] - [各種洪水調節施設洪水調節量] 流出量 runoff: 融雪水を含む(1集水域での)流量を時間で積分したもの山地降水量換算: 観測点が多いほど精度増
単純平均法: 各地の降水量観測値の算術平均
降水量-流出量は地域毎に普通相関あるが、同一地域でも期間により回帰係数異なる 3) 森林量水試験水循環過程を知ることが目的 → 長年月の観察必要単独法: 1個の流域において森林伐採後の水文量を比較する 併行法: 林相の異なる2個以上の流域の観測値を比較する 対照流域法: 初めの林相がほぼ同一である2個以上の流域において前期観測期間の観測に基づき気象要素の影響による(森林の影響によらない)流出量変動を求めておき、対照となる流域以外の森林にある種の処理(Ex. 伐採)を加え、ついで後期観測期間の観測を待って森林の影響を検出 水年: 水文統計便宜上設定する1年Ex. 積雪地方: 積雪前適当月から。無積雪地方: 最低降水量月から 4) 蒸発散 evapotranspirationL = P + RL = E + T
L = loss (損失量) 蒸発散位: 植生のある土地に水を十分供給 → 起こりうる最大蒸発散量 5) 遮断・浸透・貯留地下水 groundwater: 土壌水が飽和状態で存在する亜表層水(地表面に現れれば表層水と同じ)
地下水位 groundwater table: the upper limit of the groundwater a) Def. クローネ遮断 (I, crown interception): 降水の一部が植物に付着しそこで蒸発し林床に到達しないこと = 水平遮断 I = grossP - netP (grossP: 全降水量 netP: 林内降水量) netP = Sf + (Th + Dr) (Sf: 樹幹流下量 Th: クローネ通過量 Dr: クローネ滴下量) ∴ I = grossP - Sf - (Th + Dr) 強度がiである降水がT時間続いた時
クローネ遮断率(%) = I/(iT) × 100 透水 percolation, mm/hr: 土層内での水の移動 浸透強度 infiltration intensity, mm/hr: 水が土地表面から単位時間あたりに透水する量 |
透水強度 percolation intensity, mm/hr: 地中における一断面を単位時間あたりに通過する水量 透水能 infiltration capacity, mm/hr: 浸透強度の最大値 降雨余剰 rainfall excess - この分が表面流出量と考えられる = i - f (i > f) (i: 降雨強度 f: 土壌浸透能) c) Def. 流出 runoff: 降雨や融雪水が地表を流れること表面流出(直接流出): 地中に浸透せず流出 ↔ 地下に浸透した後に流出 ハイドログラフ(量水曲線、時間流量曲線) hydrograph: 水利特性(流量、水面高、水位、流速等)-時間関係図
洪水曲線 storm hydrograph: ハイドログラフ中で特に洪水時のもの
係数大 ∝ 渓流的 係数低下 - 河川安定 - 多様性低下 Law. 基底流量逓減の法則: 表面流出量と地下水流出量の分離、地下水流出量のみからなる無降雨日の流出量に適応される法則Q0: 初日の流出量 Qt: t日目の流出量 a, c, K, β: 定数 a. Qt = Q0e-eta'. Qt = Q0Kt (K < 1) → K: 逓減比(depletion ratio) b. Qt = Q0t - a (t ≠ 0) c. Qt = Q0e-ct d. Qt = Q0/(1 + β(√Q0)·t)2 日流出量がQ0である日以後、流出量がなくなるまで降雨がなかったと仮定した時の全流出量は SR = ∫0∞Qtdt = ∫0∞Q0Ktdt = -Q0/logeK, K: 蒸発散量最小時の値 → 式から地下水重力貯留量推定可能 氾濫シュミレーション: 越水や破堤が発生した時に河川より溢れた水が広がる様子をシュミレーションしたもの氾濫挙動(浸水範囲や浸水深)を経時的予測できる
タンクモデル tank model貯留関数型の物理モデル (菅原 1972)一般に長期流出に有効 → 地下水の流況解析・水質解析にも利用
q =λh … 流出流量-貯留高関係式 dh/dt = -q = -λh → 解(積分すればよい)
h = C·exp(-λt) 有効雨量を用いなくてよい(観測雨量をそのまま用いる) 問題 パラメータ設定に労力、工夫、経験必要 流出モデル流出計算流出解析流出モデル • 応答モデル(解析的モデル)
線形モデル: 単位図法(総合単位図法, 流出関数法, 等)
• 集中定数モデル(変数 = 時間): 貯留関数法, 準線形貯留型モデル, タンクモデル, 等
流出モデルの同定: 実績洪水の再現 基本高水の算定 流域将来像: 土地利用情況等の比較検討と総合治水対策評価のための流出量算定 比較の基本的視点 = 評価項目
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物体を巨視的にとらえ、物体の変形や流動、力学的波動を扱う物理分野 連続体: 変形する連続する物体 = 固体 + 流体 + 気体 |
固体の弾性と可塑性(塑性) elasticity and plasticity固体内部での力や変形 → 破壊, 変形
Ex. 切り欠けがあると切れ易い → 応力の集中や亀裂 Def. (金属)疲労 fatigue: 強度より小さい繰返し応力による破壊 Def. 完全弾性体 perfect elastic body: 外力を取り払った後に完全にもとの体積と形に戻る
⇔ 可塑体(塑性体 plastic body): 外力で破壊こそしないが永久に形を変えてしまう
→ 破壊生じる荷重 = 圧力と同じ次元(力÷面積) Ex. N/m3, Pa = テンソル
3つの主要軸 principal stresses: 最大 + 最小 + 中間主応力 FN ≡ 鉛直力, FS ≡ 剪断力 S: 断面積Def. 法線応力(鉛直応力) normal stress, σ =
limS→0(FN/S): 面に垂直な方向の応力
limS→0(FS/S): 面に平行な方向の応力 固体をX面(法線がx軸となる面)で切断。力Fのx, y, z成分をFN, FSy, FSz σx = σxx = lim(FN/S), τxy = σxy = lim(FSy/S), τxz = σxz = lim(FSz/S) Y面で切断: σy = σyy = lim(FN'/S), τyz = σyz = lim(FSz'/S), τyx = σyx = lim(FSx'/S) Z面で切断: σz = σzz = lim(FN''/S), τzx = σzx = lim(FSx''/S), τzy = σzy = lim(FSy''/S) → 9個の応力を任意の点で定義 = 9成分存在 →
2階のテンソル (cf. ベクトル: 1階のテンソル) ∂σx/∂x = limdx→0σx(x + dx, y, z)/dx = σx(x, y, z) + (∂σx/∂x)dx Def. 接線応力 tangential stress: 接線方向への応力 展張(引張)応力 tensile stress ↔ 圧縮応力 compressive stress
Ex. 棒を引っ張る場合: 引張り強さ tensile strength
= 1/2·Fsin2θ/S σII: 剪断応力
張力・ずり応力: 面の方向により変化する → 非等方的・異方的 歪(ひずみ) strain無限 → のび(縮み) elongation, ずれ shear, 体積歪 volume strain歪(ひずみ) strain, distortion: s~ テンソル → 外力が働いたときに起こる長さ、体積等の形状の変化
変形体 deformable body: 変形(歪)deformationした形 変形後(x + u, y + v, z + w)になる → 変位 ≡ (u, v, w) → 長さ次元 歪: 単位無次元
γxy = ∂v/∂x + ∂u/∂y, γyz = ∂w/∂y + ∂v/∂z, γzx = ∂u/∂z + ∂w/∂x 変形前ABDC → 後AB'D'C' (A点変形後移動 → 平行移動させA点に置く)
tanθ1 = BB'/AB = (v(x + dx, y, z) – v(x, y, z))/dx
∠CAB: 変形によって直角からθ1 + θ2 = ∂v/∂x + ∂u/∂y = τxy減少 (τyz, τzx)も同様 Def. 回転: 2ϖx = ∂w/∂y – ∂v/∂z, 2ϖy = ∂u/∂z – ∂w/∂x, 2ϖz = ∂v/∂x – ∂u/∂yq1だけを考える → S(ΔADD') = S(ΔABB') ∴ |AD||AD'|sinΔDAD' = |AB||AB'|sinθ1 → |AD||AD'| = |AD|2, |AB||AB'| = |AB|2 → |AD|2 = 2|AB|2 ∴ ∠DAD' = 1/2·θ1 同様にθ1に対し行う z軸のまわりの回転角 ϖz = ∠DAD'= 1/2·(θ1 – θ2) = 1/2·(∂v/∂x – ∂u/∂y) 回転: 変更後に正方形の対角線が反時計回りに回転した角をラジアン表示x, y軸まわりの回転: ϖx = 1/2·(∂w/∂y – ∂v/∂z), ϖy = 1/2·(∂u/∂z – ∂w/∂x) 偏微分の9成分: ϖx, ϖy, ϖzを除くεx, εy, εz, γxy, γyz, γzxは固体に歪み
→ 歪(6成分): 3つの変位から求まり、6個を決定する適合条件式存在 歪に[a, b, c (3) + その各々の方向 (3)]の6つの量がある 歪の適合条件式(6方程式)独立ではない満足すれば変位u, v, wは連続で微分可能
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Pr. 歪の定義式を代入 Ex. 1. ∂2εx/∂y2 + ∂2εy/∂x2 = ∂2γxy/(∂x∂y)
∂2εx/∂y2 = ∂2/∂y2(∂u/∂x) = ∂3u/∂x∂y2,
∂2εx/∂y∂z = ∂/∂y∂z(∂u/∂x) = ∂3u/∂x∂y∂z
垂直歪 εx, εy, εzは体積変化伴う ↔
→ 剪断歪 = 0 ⊥ 鉛直歪 = 極大値(か極小値) 応力と歪の関係応力 = 内力の力の釣り合い ⇔ 歪 = 変形の幾何学 → 両者の関係弾性論: 等方性・均質性を仮定し、フックの法則を基礎
等方性: 方向によってその力学的特性が同じ(↔ 異方性)
物質により決まる量。試料の形・大きさによらない 引張応力に対し同方向の垂直歪 = 引張 ↔ 圧縮応力に対し同方向の垂直歪 = 圧縮 引張応力に対し直交方向の垂直歪 = 圧縮↔ 圧縮応力に対し直交方向の垂直歪 = 引張 垂直応力に対し直交方向の垂直歪と同方向の垂直歪の比 = ポアソン比
同様に
全歪(歪むことによって他成分に影響与えない) ≡ 重ね合わせの原理 剪断応力と剪断歪の関係γxy = 2(1 + v)/E·τxy = 1/G·τxy (G 剛性率)γyz = 2(1 + v)/E·τyz = 1/G·τyz 二次元応力状態注意: 平面応力状態と平面歪状態の2つがある1) 平面応力状態: z方向の厚さが極めて薄い平板内応力状態
σz = τyz = τzx = 0
= z方向に垂直歪生じない
→ 1方向からの力(Ex. バネ)により弾性変形により蓄えられるエネルギー エアリー Airy の応力関数仮定: 平面応力状態
上式と応力とひずみの関係式を歪の適合条件式に代入すると次式を得る
∂4F/∂x4 + ∂4F/∂x2∂y2 + ∂4F/∂y4 = 0
剛性率 rididity, G (ずれの弾性率shear modulus): τ = Gθ
E·ν → K, K = P/(-Δν/V) 1) 1.1'面にpの圧力を加える
Δν = -Δb/Δa = 0, Δa = P/E, P = E·Δa/a E = (1 – νΔa)(P/E) = Δa – νΔa2 3) 3.3'面の歪みを求めよ
1-1'の長さ
2-2'の長さ
3-3'の長さ
体積
(Δa)2よりも小 → 全て無視
= 3(2ν - 1)Δa
K = -P/ΔV = E/(3(1 - 2ν)) > 0 E, K, G, νの間の関係を確認せよ Ex. 1. 薄肉円筒の管壁に働く応力
力の釣り合い equilibrant (force) (or, balanced force) 半径: b, 薄肉 → 外径 ≈ 内径, 内圧: Pi 外圧: Po
f = ∫0pPbsinθdθ = Pb|cosθ|0π = b/(b – a)·(Pi – P0)
ps = pπa2
N = kθ 金属学 metallurgy延性 ductility: (金属の)張力を受け細長く引きのばされる性質展性 malleability (v. malleable 展性のある): 圧力を加え薄い板状や箔にすることが出来る性質 膨張(伸び) dilation 曲率中心 center of curvature: 曲線(面)の曲がり方の度合を計る時の中心点 |
気象学、水理学の基礎 → 気体・液体構成する物質全体としての"流れ"を扱う Def. 流体 fluid: 固有の形がない物質 = 気体 gas + 液体 liquid → 流れ flow Def1. 粘性(粘度/粘性率/粘性係数) viscosity, μ or η: 流体の粘り度合 ⇒
流体各点で速度異なる → 内部に摩擦力 → 粘性がある
単位 = mPa·s(粘度) / mm2/s(動粘度) 粘性流体: 流速の違う面の間でお互いに力を及ぼす(摩擦の一種) Ex. 壁の近くでは流速低い
F/S = η·dv/dy, F: 摩擦力, S: 断面積, dv/dy: 流速勾配 完全流体 perfect fluid: 粘性0の流体 → 流れに平行な面の摩擦0静止流体: 静止状態(at rest) → 力学的エネルギーに粘性影響、摩擦等を考慮しなくてよい 不完全流体 imperfect fluid (粘性流体 viscous fluid): 粘性のある流体圧縮 compressionDef. 非圧縮性流体(縮まない流体 incompressible fluid): 流体密度一定Def. 圧縮性流体(縮む流体 compressbile fluid): 流体密度時間場所で変化
Def. バロトロピー流体: 圧縮性流体中で密度がpのみで決定 → ρ = f(p) (p = 圧力, ρ: 流体密度) 管中に流体があると壁付近では速度0だが壁からの距離に比例し流速が早くなる Def. 靭性 toughness: 物質の粘り強さを表す技術用語⇔ 靭性小 = 脆性(もろさ) brittleness 静止流体 (static fluid)AはBから圧力を受ける(BはAから圧力を受ける) = 境界面に平衡な力ない。境界面に垂直な力のみ→ 流体に関して常に成立(粘性の有無に無関係) Def. 圧力 pressure, p: 単位面積あたりに働く力p = F/S F: 面に及ぼす力, S: 面の面積 ⇒ F = pS標準単位, N/m2; ≡ Pa (パスカル) 102 Pa = 1 hPa, 106 Pa = 1 MPa (105 Pa = 1 bar バール) 気圧 atm: 1 atm ≈ 1013 hPa→ 1 atm ≡ 76 cmの水銀柱が底面に及ぼす圧力 トル Torr (17 C, トリチェリ, 伊): 非SI系単位
1 Torr = 101325/760 Pa ≈ 水銀柱ミリメートル(実用上同) Ex. 斜線部分の流体は静止 ∴ΣF + mg = 0, m = Vρ1m Def. 浮力 buoyancy (buoyant force), -mg = ΣF = -Vρ1g (→ 圧力の等方性)
Vρ1g : 押しのけた液体の重さ アルキメデスの原理 Archimedes' principle「物体に働く浮力は押しのけた液体の重さに等しい」Def. 比重 specific gravity, S
4°Cの水(ρw)の質量に対する比, S = ρ/ρW (空気中の重さ値) - (水に沈めた時の重さ値) = 水中の重さ値 → 水比重を1 (g/cm³)とみなせば、水中の重さの値は体積と同じ 力の釣合いx成分: ΔBCO × p1 ΔABCを通して働く x成分 = p4 × (ΔABCのx面への射影) = p4 × ΔBCO y成分: p2 = p4 z成分: p3 = p4 ΔABCを原点に近づける → 0
p = ρgh + p0 → 底の方が圧力高く勢いよく水出る パスカルの原理 Pascal's principle(Pascal, Blaise 1623-1662, 仏: 数学・物理・哲学 → 「人間は考える葦である」) 密閉容器内静止流体 → 一部分に受けた圧力を流体内のあらゆる部分に同圧力で伝達する≡ 平面内の圧力は全て等しい(静止流体の著しい性質) [応用] 降圧器 step-down transformer ↔ 昇圧器 step-up transformer。水圧プレス hydraulic press Q. 同径針 → 細い注射器の方が軽い力で注射できる理由(針先液圧は同じ)表面張力 surface tension
試料物質のEf = 単位面積に働く力(圧力)を測定し求められる 表面自由エネルギー = その中の単位長さに沿って働く力(表面圧)を測定すれば決定される
全系の内部エネルギー増加 dA: 界面面積の増分 表面張力, γ = (∂U/∂A)S, Vα, Vβ, Nα, Nβ [dyn/cm] → 表面ヘルムホルツ自由エネルギー(γ = FS/A)に等しい Def. 表面張力(N/m), T = dS/dWdS: 液体表面積増分 dW: dSに費やした仕事 = 液体表面の縮まろうとする力 → 単位長さあたりに働く力毛細管現象 (毛管現象, 屏風) capillarity: 毛管内表面張力による負の圧力、水と毛管壁との間の付着力、吸い上げた水の重さのつり合いにより、ある一定の所まで上昇する現象 メニスカス meniscus: 物体間の極小隙間にできる液体架橋 測定法1) 泡圧法: 不活性気体の泡を作り、泡が破裂に要する圧力を測定管(T, P = constant)を液体中に浅くつける → 毛細管内気体圧力↓(徐々)
→ 毛細管先端で形成される気泡が半球径になるようにする, その時の力F, 収縮 reduction 力 Fc Ex. 毛細管(10-2 cm φ)先を容器(5 cm φ)に入れた液体表面に先端浸し、泡が持ちこたえる最大圧力を不揮発性圧力計の液体密度と高さ(圧力径液体最大高, セカトメータか標準試料参照)hを測定 p = hρg → γ = Rhρg/2 [精密研究] 補正compensation必要。1/1000精度での補正表面張力は γ = (Rhρq/2)(1 - 2Rρ0/3hρ) 2) 液滴法(滴計測法): 垂直な毛細管の下端から落下する液滴重量∝ 毛細管の外径と液体表面張力 比例定数: 液滴体積と(v)の立方根に対する毛細管外径(R)の比で表されるmg = 2πRγ·f(R/v1/3) m: 液滴質量 3) 毛細管上昇法両端開いたガラス毛細管を液中に垂直に立て、液体上昇高と外の高さの差 → 表面張力 S: 2流体LとVと平衡にある固体 (P, T = constant) α (接触角): L-V界面と固体の平な表面との角 γSL, γSV, γLV: 3界面を含む3つの表面張力 これら3特有定数γiにより角α決まる → dGT, P, N = 0から求まる |
V-L界面を水平方向にdx変位させると自由エネルギー(dG)変化は
dG = γSVdx – γSLdx – γLVdxcosα = 0 → 液には重力と3表面張力が作用 平衡条件: dGT, P = ΣγdO + Σ(μ + mgL)dN = 0 最初の求和は全界面に渡って、2番目の求和は全ての均一相に含まれるあらゆる分子種について行なう。円筒内の液体高さがdL上昇するとSL界面はそのため2πRdL増加し、SV界面はこれと同じだけ減少する → 第1項はΣγdO = (gSL – gSV)2πRdLとなる(μL = μV, dNL = –dNVなのでΣμdN = 0) 最後の求和では、密度ρで体積μR2Lの純流体に含まれる質量mの分子数はN = πR2Lρ/m, MgLdN = πR2LρgdL → 平衡条件は (γSL – γSV)2πRdL + πR2L(ρL – ρV)dgL = 0
(3)式から γLV = RLg(ρL – ρV)/2cosα = 463.6 + 8.32 × 10-2T – 3.125 × 10-4T2 (T, 絶対温度) 運動する流体(連続流体/連続体, continuous fluid)運動記述1. ラグランジュ (Lagrange): 流体粒子の動きを記述P(x, y, z) x = fx(a, b, c, t) y = fy(a, b, c, t) z = fz(a, b, c, t) a) 流跡 path line: 特定流体の塊が辿った道筋Ex. 液体中に微小な気体泡発生 → 泡は周囲の液体の流れに従い移動 流跡 (軌跡曲線): ある時刻には泡は1 → 泡の軌跡記録 → 1本の曲線を得るある瞬間にはトレーサ tracer は1つしか見えない。その残す足跡は現実には見えず、記録にのみ残る 2. Euler: 「流体場 (流れの場)」流跡線 trajectory: 流体の可視化 visualization → 流体中に目印(トレーサ) → 目印の軌跡 track をとる a) 流脈 streak line: 特定の一点を通過した流体のつながりEx. 煙突からの煙が描く線 → 「特定の一点」は煙突の先端
c) 流管 stream tube: 一つの閉曲線の各点を通る流線により囲まれる帯
複数の流線を束ねる → 管形成 = 流管 定常流時間的に一定な流線で表わせる流れ → 流体の微小部分の運動は流線と一致 ↔ 非定常流流体の流れを求める → 各点における速度分布を求める = Newton力学で解くこと可能 流脈、流跡、流線は一致 ↔ 非定常流では差が生じる dl = (dx, dy, dz) → dx/vx = dy/vy = dz/vz→ 連続の式 equation of continuity (定常流)
ρAvASA = ρBvBSB
静圧 static pressure 定常流に関する定理(但し、縮む流体、縮まない流体どちらでも成立) 完全流体(粘性なし) → 速さと圧力の関係式 → 1/2·v2 + P/ρ + gh = constant 力 = 圧力差 → 早い[遅い]場所 = 圧力大[小] Law. 定常流のエネルギー保存則エネルギー変化: t = 0で仮想的に切り取った流管AB部分(Δ): t = Δt
E(BB') = 1/2·MBB'vB2 + gMBB'h = (PA/ρA)PASAvAΔt - (PB/ρB)PBSBvBΔt
連続の式 ρsv = constant Ex. 野球で投げるカーブ トリチェリの定理 ピトー管 pitot tube 1/2·ρv02 + P0 + gρh = 1/2·ρv2 + P0 → 1/2·ρv02 ≪ ε, v = √(2gh) 定常流の運動量・管壁の受ける力 = Newton運動方程式 → dp/dt = F
Δp = FΔt (力積), h = constant, t = 0 → Δt = ΔρBSBvBΔtvB – ρASAvAΔtvA = ρSvΔt(vB – vA)
F = Δp/Δt = ρSv(vB – vA) → AB間の流体に働く合力 Ex. 温度移流 thermal advection ≡ 速度 × 傾度
移流: 同一地点における物質・物理量変化 回転する流体(回転流体) → コリオリ力
Def. 回転速度 = 回転軸を中心とした回転速度 = (回転流体絶対速度)/(流体中を伝播する音速) 層流 laminar flow vs 乱流 turbulent flow層流: 粘性なく乱れ(渦)のない定常流 = 流体中に渦のない一様な流れ2つの接する流水の速度差小 → 互いの流れを乱しあうことなく流れる 乱流: 多くの渦が上下左右前後に乱れる流れ Ex. 殆どの風
= 属流状態を保てなくなり不規則に流れること Def. レイノルズ数 Reynolds number, Re: 慣性力と粘性力の比 (∴ 無次元) Re = ρ·v·r·vr (vr ≡ 粘性率) 粘性流体の流れを特徴付ける Ex. 水, Re > 1000 → 乱流発生Re小 → 粘性抵抗 > 慣性抵抗, and vice versa Law. ハーゲン・ポアズイユの法則: 粘性と流量の関係Q = (πr4Δp)/(8ηl), Q: 単位時間の流量, r: 管半径, l: 管長 空気力学 aerodynamics気体における流体力学 (空気抵抗 air resistance ⊂ 粘性抵抗)風の出力 wind power: 風車 windmill → 風力タービン wind turbine
ウィンドファーム wind farm |
[ 砂防 ] 渓流水理1) 静水圧 hydrostatic pressure: 静止状態での水の圧力[応用] 水圧 (P, Pa) → 水深 (h, m) P = ρgh + P0 ⇒ h = (P - P0)/(ρg)
ρ: 水密度 (kg/m3, ≈ 1000 kg/m3) - 温度で変化 Ex. 水圧 = 250,000 Pa、大気圧 = 101325 Pa ⇒ h = (250000 - 101325)/(1000 × 9.81) ≈ 15.15 m 水面下(z)の深さでの静水圧(P): P = w·z (w: 水単位重量, 1 g/cm³ = 1 t/m³)2) 粘性抵抗 viscosity resistance, τ = μ·du/dz
τ: 剪断変形に抵抗力(= 粘性) ≡ 管内に水が流れている時には、圧力水頭pressure headと速度水頭velocity headの和はどの断面でも流れがない時の静水圧にの水頭に等しい 圧力水頭(hp) = p/w 速度水頭(hv) = v²/(2g) → 粘性を考慮したベルヌーイ式 v12/2g + z11 + p1/w = v22/2g + z22 + p2/w + ∫l(l/R)·(v2/2g)dl, or ∫l(l/R)·(v2/2g)dl: 粘性抵抗によって失われるエネルギー d/dz(v2/dl) + d/dl(z + p/w) + v2/c2R = 0, c2 = l/2g 4) 水流分類定流 steady flow: 時間的に流れの変化しないもの 等流 uniform flow: 定流のうちで流水断面および勾配が一様なもの Q = vA = constant, A = constant, v = constant |
不等流 non-uniform flow: 等流以外のもの全て
Q = vA = constant, or dQ/dx = 0
∂A/∂t + ∂(vA)/∂x = 0
河床勾配: 河床の傾斜 → 日本 = 一般に河口から上流に向い上昇
Ib = U*c2/gR 堰 weir1) オリフィス orifice: 流量測定を目的とした水槽の壁に設けた孔オリフィスから流出する流れ: h = (uP)2/2g = u2/2g
h: 孔の中心から計った水面の高さ
上式で(uP/u)2 = (a/A)2を無視 → u = √(2gh) c: オリフィスの流量係数 = 0.60-0.65 Q' = C'∫h1h2{bz√(2gz)}dz 2) 堰weir: 流れを横断し壁を作り、その上を水が越流するもの堰は断面の大きい孔の上端が水面と同じ高さにある場合とし取扱える 開水路平均流速を求める方法 |