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(2022年2月14日更新) [ 日本語 | English ]

気候 (climate)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[温度, 植物季節観測用標本, 酸性雨, 電磁スペクトル, 気象]

気候学 (climatology)

気象の長期的変化を分析・研究
= 1年間(周期)で出現確率の高い大気状態の場所差に注目し気象を総合値として評価

気候 (climate)

地域を特徴づける気候因子全般
[植生や人間の産業活動 ↔ 気候] 相互作用 → 地域と気候は深く関わる
平年: 過去30年間の平均(平年値は10年毎に直前30年間の平均をとる) Ex. 現在平年値 = 1981-2010

気候分類

自然条件を長期観測(数10年, 通常30年間) → 平均的傾向を分析・分類 Ex. ケッペンの気候区分

気候: 地域周辺の海陸の分布・地形・植生・生物に影響され、恒久的に同じ気候とは限らない
気候変動 climatic variation: ある平均的な気候(平年状態)に比較した、年度ごとの上下のばらつき → 地球温暖化 (global warming)
気候変化 climatic change: 平年状態が徐々に変化する場合

索引
バタフライ効果 (butterfly effect)
Lorenz EN 1963 (論文), 1972 (講演) - 用語としてはない)
予測可能性: ブラジルで一匹の蝶がはばたくとテキサスで大竜巻 tornado が起こるか

系の変化が初期条件に鋭敏に依存 → 予測不可能な挙動

対流 ~ (決定論的)微分方程式

数値計算精度向上 ≠ 正確予測

カオス chaos: 決定論的法則でも、初期条件の僅かな差が挙動に大差を生み予測困難化する現象

気候スケール


気候学の方法論的方向 → 気候概念の定義の違いに起因
  1. 静気候学的
  2. 動気候学的
気候区分方法論: これら2方法論 + 経験論的方法論 = 3分類(河村 1970)
  1. 静気候学的区分: 個々の気候要素に対し地域区分 → 重ね合わせ気候区分 → 平年値 + 年次変動
  2. 動気候学的区分: 気候区分指標に気候成因を表す気団・前線分布や季節的移動を用い区分

    中気候以下の区分困難 → 小区分において地域性を把握できる指標・方法を用いる必要性

  3. 経験論的区分: 元来欧州・米国等大陸気候区分を植生分布指標で行った大気候を対象
    Ex. Köppen, Thornthwaite: ケッぺン気候区分を中気候に適用 = 植生図
    日本レベル: 中気候区分すべき裏表日本地域が同一地域に区分等、適合性低 → 影響気候条件を反映する植生指標必要
天候: 階級 = 平年以下、平年並み、平年以上 → カテゴリ区分
. 気候スケール区分

気候    水平的広がり     垂直的広がり  Ex. 気候現象                     
大気候 200-40000 km  1 m-120 km    季節風、東アジアの雨期
中気候 1-200 km          1 m-6 km        盆地の気候、関東平野の風
小気候 10 m-10 km      10 cm-1 km    斜面の温暖帯、霜道
微気候 1 cm-100 m      1 cm-10 m      水田の気候、温室内の気候

温度 (temperature)


(生態学的意味)

積算温度

成長(発育)
変温動物: 温度と成長に直線関係が成立する範囲
v = 1/k·(w - w0)

v = 成長速度
w = 温度 (w > w0)
w0 = 成長可能最低温度(成長0点、成長限界温度)
k = 積算温度定数 constant

積算温度の法則(Blunckの双曲線式): 成長に要した時間 d = 1/v

d(w - w0) = k

日本の昆虫: w0 ≈ 10が多い

応用: 害虫発生時期予測

(吉良 1948)

温量指数 (warmth index)

= 暖かさの指数 (warmth index, WI) ↔ 寒さの指数 (coldness index, CI)
植物成長指標: 経験的閾値として植物成長が5°C以下で停止と仮定
= 植物分布温度指標: 月平均気温5°C以上の月の平均気温から5を引いた値の合計

WI = Σ12i=1 (ti > 5): 但しti > +5°Cの月平均気温
CI = Σ12i=1 (ti < 5): 但しti > +5°Cの月平均気温

Ex. 士幌町の月平均気温と暖かさの指数(WI)と寒さの指数(CI)

月          1      2      3      4      5      6      7      8      9      10    11    12       計
気温    -6.3  -5.3  -1.6   5.3 10.5 14.9 19.3 21.0 16.3   9.8   3.2  -3.4
WI                                 0.3  5.5   9.9 14.3  16.0 11.3   4.8                     62.1
CI      -11.3 -10.3  -6.6                                                         -1.8  -8.4    -83.4

[温量指数分布と日本の植物分布帯]

山岳での温量指数推定法 → 気温の標高増加に伴う減衰率利用(昔の話)

垂直: 全世界平均 = 0.55°C/100 m

(日本の海抜1500 mまでの減衰率 = 0.61°C/100 m)

水平: 南北平均 = 5°C/1000 km → 無視できる規模なら使わなくてよい

表. 日本、アラスカ、シベリヤ各地の年平均気温(Tm, °C)と暖かさの指数(WI)

         Tm    WI                  Tm    WI                               Tm    WI
青森   9.6    77    高知     16.1  133   アンカレッジ(AK)   1.8    31
宮古 10.4    80    静岡     15.7  121   ノーム(AK)          -3.3     12
秋田 10.9    87    鹿児島 17.0  144   ベルホヤンスク   -15.2    25
仙台 11.6    91    那覇     22.3  208          (シベリア)

自生ツバキ北限が日本海側は秋田付近、太平洋側は三陸海岸で温量指数と一致し、北海道で釧路より東の太平洋岸で平地にもトドマツが生えることも説明される。世界一寒い都市といわれるベルホヤンスク(1月平均気温-46.8°C)も夏暑く(7月平均気温15.7°C)、WIは25もあり針葉樹林となるが、ベルホヤンスクより平均気温が高いノームは夏気温が低く(7月平均気温9.7°C)針葉樹育たずツンドラ地帯である(1月平均気温-15.3°C)。降水量も植物分布に大きく影響する。更に、地誌的出来事も生物分布を規定する。

生物季節


活用: 気象の生物への影響理解、季節変化の遅速、農作業適期決定等

植物季節 + 動物季節
植物規定種目 (2020年改訂): アジサイ開花、イチョウ黄葉・落葉、ウメ開花、カエデ紅葉・落葉、サクラ開花・満開、ススキ開花

※ 都市化、農薬普及、温暖化等で生物季節観測は困難化

Ref. 生活気象: 生活の節目の日により気象状態、季節遅速を知る

Ex. コタツを使用し始めた日

季節前線 Ex. サクラ前線 (cherry blossom front)、紅葉前線

植物季節観測用標本

原則: 気象官署構内の植物季節観測用標本対象
発芽日: 葉芽の約20%が発芽した最初の日
開花日: 花数輪(2-3輪、多花種は5-6輪)以上開いた最初の日
満開日: 花が約80%以上咲いた最初の日
紅(黄)葉日: 葉色が大部分紅(黄)色系統の色に変わり、緑色系統色が殆ど認められなくなった最初の日
落葉日: 葉の約80%が落葉した最初の日

+ それらの不時現象

不時現象
生物季節現象がその平年の起日と著しくかけ離れた時期に起こること
各観測官署において最早/最晩期日から概ね1ヶ月以上早/遅い(1つの目安)
函館気象台 ススキ・イチョウ(発芽も)・キアゲハ・ツバメ
帯広測候所 植物季節観測用標本 (2013年6月28日)
tree1 tree2 tree3
1: エゾヤマザクラ Prunus sargentii Rehder. 2: ヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. kaempferi. 3: ムラサキハシドイ Syringa vulgaris L.

[ 健康 ]

気象病

気象の変化により発病や症状が現れる病気

Ex. 前線通過すると頭痛、喘息、古傷が痛む
Ex. 夏に気温や湿度が高い(= 不快指数↑)と頭痛

季節病
特定の季節になると発病する(死亡率上がる)

Ex. 冬にインフルエンザ流行、冬に高血圧患者増える - 室内管理も重要

測器


釧路気象台

precipitation
ウィンドプロファイラ
レーダーの一種。風の鉛直分布が分かる(英語のまんま)
地上から上空に向け電波を発射 → 風の乱れ等で散乱され戻ってくる電波を受信(ドップラー効果) → 上空の風向・風速を測定
→ 局地的気象監視システム(ウィンダス WINDAS, WInd profiler Network and Data Acquisition System)
tool
感雨器 (precipitation detector)
微量の雨滴を検知 → 霧の測定に使えないか?
4本の角は鳥よけ (2014年7月2日)
浦河特別地域気象観測所
郷土を気象災害から守るために設置
降水量、風向、風速、気温、湿度、気圧、日照時間、積雪の深さ等を観測
観測所は大切な施設ですからフェンスの中に入ったり、いたずらをしない。施設を壊したりすると気象業務法によって罰せられる
管理者: 室蘭地方気象台 電話 0143-22-3227

アメダス (AMeDAS)

道内173 (2014.7現在), 225 (2017.10現在)
気象庁のlocalは2 kmメッシュ
位置
森 大沼
___________________________大沼

大気循環 (atmospheric circulation)


circulation 1) ハドレー循環(直接循環) Hadley cell, Hadley circulation (1735): 大気中で最も強い循環

熱帯収束帯: 激しく上昇し上空北上 → 北緯30°付近で下降(亜熱帯高圧帯)
→ そこから偏東風(北東貿易風)とし赤道へ戻る 南北熱輸送: エネルギー収支(温度差) → 低緯度 > 高緯度

エネルギー輸送発生 → 水平対流 [原因 = 浮力] → ハドレー循環

1a) フェレル循環 (中緯度循環, 間接循環) Ferrel cell, Ferrel circulation
熱帯収束帯(intertropical convergence zone , ITCZ): 緯度10°

間接循環(低緯度 = 下降 → 高緯度 = 上昇) → フェレル循環

→ 三細胞循環: 極から赤道にかけて並ぶハドレー、フェレル、極の循環構造
2) ロスビー循環 Rossby circulation (1938)
亜熱帯高圧帯(緯度20-30°): 地球自転 → コリオリ力(進行の直角方向にでる見かけの力) → 大気に作用

赤道低圧帯形成(↔ 高圧部 anticyclone)
北半球: 右方向向く → 北東貿易風 trade wind, (the) Trades

熱帯無風地帯 Doldrums

南半球: 左方向向く → 南東貿易風
中緯度(40°N, 対流圏界面): 偏西風帯 → ジェット気流 (寒冷ジェット気流 + 亜熱帯ジェット気流)

ローリングフォーティ(吠える40°線) Roaring Forties
2a) 偏西風 (ジェット気流)
寒帯前線帯-亜熱帯高圧帯: 赤道からの暖気と極地方からの寒気が出会う。蛇行する偏西風が南側で熱を受け取り、北側で捨てる → 偏西風の蛇行がつくる渦が、地上の温帯低気圧や移動性高気圧にあたる
Def. ジェット気流 jet stream: 偏西風の特に強い部分(高度10 km付近) = 対流圏上層幅数100 km

寒帯前線ジェット気流 polar front jet stream
亜熱帯ジェット気流 subtropical jet stream
赤道ジェット気流

トランスバースライン: ジェット気流に伴う雲 → ジェット気流方向に直角に櫛歯様の小巻雲列
2b) 極循環 polar cell, polar circulation
北極-60°N (寒帯前線帯): 極で下降した気流が極偏東風とし南下し、寒帯前線帯で蛇行する偏西風から熱を受け取る
circulation
赤道波: 赤道付近の大気波動の総称 Ex. ロスビー波、ケルビン波
プラネタリー波(ロスビー波Rossby wave): λ > 10000 km
⇔ 日々の天気変化(温帯低気圧の発生・発達)をもたらすのは波長数千kmの波 = 傾圧不安定波

渦 + 平行流 → 波
気圧の谷の軸(渦管)は上層に行くほど西傾

ケルビン波 Kelvin wave (ウォレル・コウスキー波): λ ≈ 4万 km (超長波)

赤道上で最大気圧震動をもつ重力波 → 熱帯大気高度18-25 kmの下層大気に発生
赤道上空の準2年周期運動に重要な役割

傾圧不安定波: 傾圧大気 ⇔ 順圧大気

温帯低気圧発達 = 対流有効位置エネルギー(CAPE)の運動エネルギーへの変換

低気圧前面: 暖気移流及び後面における寒気移流 ↔ 上昇流及び後面における下降流

熱帯低気圧のエネルギー源 = 水蒸気凝結時の潜熱

大気環境システム


Def. 大気 atmosphere: 地球を取り巻く気体の層 = 厚さ> 1000 km (取り巻く大気ambient air) → 気圏
大気環境を決める2つの物理量
1. 物質循環システム → 大気組成決定 → 閉鎖系

表. 空気成分と各気体平均滞留時間。*: 乾燥空気 = 100 (ユンゲ 1972)

成分__________体積%*__滞留時間
分子状窒素N2___78.084___106 yr
分子状酸素O2___20.946___104 yr
アルゴンA______0.93_____109 yr
水蒸気H2O_____平均 0.39_10 days
二酸化炭素CO2_0.0315___15 yr

大気成分比はCO2を除くと、ここ100年間は殆んど変化ない
海洋を含む地球表面に約43,000 × 109 tの炭素がCO2, CH4、炭酸塩、有機物等化合物として分布

約93%が海、約5%が陸地、約2%が大気中に蓄積

→ 循環しているが、人間活動大気中放出CO2, CH4量増え地球温暖化

2. エネルギー循環システム → 大気運動決定 → 解放系(= 太陽エネルギー)

気温 = 熱エネルギー
気圧 = 大気質量
水蒸気量(相対湿度、混合比、比湿) ↔ 雲量、降水量、水相変化 → 降水量と海洋分布が支配 → 変動大
風向・風速・運動量

circulation
成層: 密度・気温・気圧等変化から大気層を鉛直構造(高度)に沿い4区分 ≈ 温度の高度分布による区分
circulation 外気圏 exosphere = 熱圏の外

500 km
300 kmで1200°C, 2 × 10-7 mb

熱圏 thermosphere

500-2000°C
80 km = 中間圏界面 mesopause (= 中間止面)

中間圏 mesosphere

温度190-180 K
50 (55) km = 成層圏界面 stratopause (= 成層止面)

成層圏 stratosphere

(= 高温層: 地上50 km付近で0°C)
10 (18) km = 対流圏界面 tropopause (= 対流止面)

対流圏 troposphere

→ 0.5-0.66°C/100 m↑, 垂直方向対流(攪拌)盛ん

対流圏

地球表面付近 ≈ 厚さ10 km (緯度や高・低気圧により変化 – 低緯度ほど厚い) → 日々の気象変化
→ 地表面輻射熱で暖気(軽い)が下、冷気(重い)が上 → 対流発生

→ 上は約-55°Cで最も重い空気層 → それより上は高温度の安定大気層

2つの圏の境界領域で大気分子の振る舞いを支配する物理過程変化
定常性擾乱(定常波): 対流圏における超長波のように波長が長く移動しない大気震動波

対流圏の定常波の影響で、成層圏にも存在(成層圏にも伝搬)

→ 乱流圏解面turbopause、均一圏界面homopause等
40日周期震動(マッデン・ジュリアン振動): 低緯度対流圏に発生する周期30-60日の低周波震動

波長は地球規模となり、高度は対流圏全体に及ぶ

成層圏

6.5°C↓/km (下層は温度ほぼ一定 = 高度変化ない)
突発昇温 outbreak: 対流圏と異なり成層圏には激しい運動はない → 否定

1952.2.23: ベルリン上空15 hPaの温度が前日と比べ約40K上昇

→ 局地的現象でなく、北半球全域を覆う成層圏循環大変動 = 原因: プラネタリー波の上方伝播

高いところで早く始まり、次第に弱まりながら下層に移動

準2年振動 quasi-biennial oscillation, QBO (26ヶ月周期振動): 赤道域特有

赤道の下部成層圏: 偏東風と偏西風が交代(周期 = 26ヶ月) → 高度40-50 kmまで(最大振幅25 km)

東風も西風も上層に始まり時間が経つにつれ下層に下りてくる
1風系が18kmまで下がる頃に、次の風系が上層で形成

極成層圏雲 polar stratospheric cloud, PSC (真珠母雲nacreous clouds・真珠層雲)

極域下部成層圏の冬季に、極冷領域で観測される雲
雲中の粒径分布一様 → 入射太陽光の散乱に波長依存性 → 色彩に富む(真珠に例える) 粒子形成・成長過程: 2つの成長段階 (霜点, Tf)

  1. Tf + 2 - 6K → 非球形固相粒子(Ex. 硝酸三水和物) + 球形液相粒子 (Ex. 三成分系液滴エアロゾル)
  2. Tf > → 半径 > 1 μmの氷晶

成層圏-中間圏

注目理由
1. 実用面: 旅客機が成層圏内を飛ぶ
2. オゾン層形成・輸送観測技術進歩

高度:_________成層圏・中間圏構造
地表-10 km:___低緯度が高温で、極に向けて温度下がる
10-25 km:_____冬の極域除き、赤道上で温度最低 → 対流圏界面高さ
> 25km (上層): 夏極で最高、冬極で最低 → オゾンの紫外線吸収量
> 65 km:______夏極で最低、冬極で最高

風の分布

成層圏・中間圏: 風系一繋ぎ = 夏半球は全域東風、冬半球は全域西風
熱圏: 風系別個(中間圏界面付近で風速 ≈ 0) (観測不十分)
対流圏、成層圏・中間圏、熱圏の3種の風系 → 3エネルギー源(可視光、紫外線、極短紫外線・X線)

温度風の関係

温度が極向きに下がっているところでは、上層に行くにつれ西風強くなる
逆に極向きに温度が上がっていると、西風弱まる(または東風強まる)

温度分布-風系見比べると、温度風の関係がよく満たされていることがわかる

電離層 ionospheric layer (電離圏ionosphere)

主に紫外線で多分子がイオン化(電離)した層
紫外線により大気中原子が電離[= 電波よく反射] → 電離層形成
温度が高度とともに減少 → 紫外線に支配される
電離層電流: 電離圏を流れる電流 (電波は電離層で反射 = 長距離移動可)

シンチレーション: 電離圏プラズマが乱れて起こる電波障害
電離圏嵐: プラズマの異常変動 → 正 = 電子密度増加 ↔ 負 = 減少

→ 太陽の影響: イオン濃度の日・年変化著しい Ex. 日食時にE層消失

デリンジャー現象: 太陽面で爆発(フレア)が起こり、放出されたX線により電離層が乱される現象

→ 地表から電波反射や太陽光を測定することで状態推定可能

表. 電離層の区分 → 電離を起こす紫外線波長が異なる
__________D________E____F (F1)__F (F2)
高度(km) 地上-70(80) 100-120 170-230 200-500

スポラディックE層: 電子密度が急に高くなる層 → 異常があると通信障害
プラズマバブル: F層にできる巨大な泡 → 電子密度減少
極冠域プラズマパッチ現象: 極冠域(北極・南極上空)にできるプラズマの塊

中規模伝播性電離圏撹乱 medium-scale traveling ionospheric disturbance, MSTID: 中緯度上空電離圏にできる縞状の波 - 原因未詳
大規模伝搬性電離圏撹乱 LSTID: オーロラ帯から中低緯度に向けできる巨大な津波のような波

バンアレン帯van Allen zone: 赤道上方の著しく強放射能部分 = 地上10000 km, 30000 km → ドーナツ状
オーロラ(極光) aurora [光彩iridescence]: 太陽から荷電粒子飛来 → オーロラジェット電流: 強電離層電流

高度60 km-900 km: プラズマ豊富時 (+ 原子励起状態となる大気濃度)

→ オーロラ帯: 良く発生する極を中心に緯度70°位の帯状部分

大気光(星明り, 俗): 明るさオーロラの10-2-10-3 Ex. 夜に稜線明瞭

→ 赤道異常帯: 大気光が顕著な緯度10o位のところの帯状部分

イオンアウトフロー: 酸素原子がイオン化し地球外へ出て行く現象 → 極地上空に見られる

説: オーロラによる電気的力による

夜光雲 noctilucent cloud: 夏宵闇頃の中・高緯度地方(55-65°N)の高度75-90 kmに表れる巻雲に似た雲

高度 ≈ 80 km(中間圏)に氷粒発生し形成 → 通常雲 < 15 km a.s.l.
中間圏の温度が低い証拠 → 温暖化により夜光雲増加予測

大気境界層 boundary layer

地表-高度1 or 2 km
上部境界層 (外部境界層、エクマン境界層): 下部境界層の上から2 km程度
下部境界層 (接地層、コンスタント・フラックス層): 地表面に近い方(高度0-500 m程度)
地表の役割
  1. 太陽光を吸収し熱を大気へ与える
  2. 摩擦により地表面に接する空気の動きを止めようとする
  3. 摩擦により水平面上の渦の姿勢や内部の流れを変える
キャノピーフロー canopy flow: 植物群落内部の流れ – 植物からの水分の行方を決める
自由大気: 大気境界層の上で地表面摩擦の影響が直接及ばない領域

測定方法

冷却CCDカメラ (charge-coupled-device camera): 感度高く大気光イメージ取得化
レーザーレーダ(ライダー) = アメダス + 気象レーダー Ex. 流星レーダ: ライダーの1種で流星観測専用
リオメータ: 電波の来る方向を測定するアンテナ
GPS → リモートセンシング

気候区分 (climate classification)


温度(気温)

放射乾燥度 (乾湿度) (wet-dry ratio, W/R ratio, WR)
WR= Rn/(λR)

Rn: 水分蒸発に使われる利用放射量
R: 雨量
λ: 水の気化潜熱

< 1: 森林成立条件 (Ex. 瀬戸内海 0.8)

(川喜田・吉良 1945)

乾湿(度)指数 (aridity-humidity index, K)
= P/(WI + 20) (W < 100)
= P/(WI + 140) (W > 100)

WI: 温量指数 warmth index

(Thornthwaite)

ソーンスウェイトの最大可能蒸発散量 (E)
十分に水を供給した際の最大可能蒸発散量 → 農耕栽培可能地域判定
PE ratio (precipitation-evaporation ratio) = 年降水量/年蒸発量
PE percent = 月降水量/月蒸発量
PE index = Σn=112(10 × PE percent)
E = 1.6(10·T/I)a (cm/month)

E: 月別最大蒸発散量 (T: 0-26.0°Cで成立)

I = Σi=112(Ti/5)1.514

Ti: 月平均気温

a = (0.675I3 - 77.1I2 + 17920I + 492390) × 10-6

a: 実験によって得られた関数値

真の最大可能蒸発散量, E' = E·f

f: 緯度別日長時間を考慮した係数

TE percent (temperature-evaporation percent) = (T - 32)/4

T (華氏, °F): -32は0°Cを基準とするため(凍らない温度)

TE index = Σn=112(10 × TE percent)
平均年生物温度 (MABT)
日本の気候区分に合う
Cf. 不快指数, F
= 気温(T)と湿度(U)の組合わせ → 幾つか式あるが「理科年表」は下式

F = 0.81T + 0.01U(0.99T – 14.3) + 46.3

F____= 75______= 80______≥ 80_________≥ 85
感覚 半数が不快 全員が不快 暑くて汗が出る 暑くてたまらない

雨量

P: 年間降水量 (mm) (Pmax: 最大月降水量.  Pmin: 最小月降水量)

PTmax: 最暖月降水量
PET: 可能蒸発散量 (per evaporation)

ラング(Rang)の雨量因子(指数)
R = P//T (T > 0)

0°C以下では蒸散transpirationが起らないとする

ド・マルトンヌ(de Martonne)の乾燥指数
I = P/(T + 10)
乾燥度指数 (aridity index, A)
A = P/PET
ソーンスウェイトの降水効果指数 (precipitation effectiveness)
Ep = Σi=1120.17{Pi/(ti + 12.1)} = 11.5P(T – 10)10/9
湿潤指数, Im
Im (%) = (P/E – 1) × 100

年最大可能蒸発散に対する年降雨量と年最大可能蒸発散量の差

 > 100  100~20   20~0   -0~-33  -33~-67  -67~-100
過湿潤    湿潤    亜湿潤  亜乾燥    乾燥      過乾燥

更に実際には地下水や積雪等の過剰水分のある場合その考慮が必要

気候ダイアグラム

気候型区分 → 月平均気温・降水量データのみで可 →
温度-雨量関係を表す図の総称 → 視覚的理解
1) 温雨図(雨温図) climograph: 気温を折線、降水量を棒グラフで示す
2) ハイサーグラフ hythergraph: 縦軸 = 気温、横軸 = 降水量 → 各月データプロット

α ≥ 90° 日本海式気候 ↔ α < 90° 太平洋式気候

3) ウォルター気候ダイアグラム Walter's climate diagram

大気候区分 (macroclimate classification)


温度 + 降水量

ケッペンの気候区分 (Köppen climate classification)

温度-乾湿度による環境区分 (経験則)
3変数(月平均気温 + 月平均降水量 + 年間降水量)をもとに区分
その他の変量(風、異常温度、雲量等)は無視する
1) ケッペン乾燥度指数 (乾燥限界値), K
最初に乾燥 aridity 性判定 → 乾燥限界
樹木生育必要最低降水量 → 降雨パターンで異
Ex. 降水: 高気温期 = 蒸発

→ 低気温期 = 少雨で土壌保湿可

K算出法: T = 年平均気温(°C)、K (乾燥度指数, mm)

夏多雨地域, w: K = 20 × (T + 14)
年中多雨地域, f: K = 20 20 × (T + 7
冬多雨地域, s: K = 20 20 × T

P < KB 乾燥帯

P < K/2 → BW 砂漠気候
K/2 < P < KBS ステップ気候

P > K → 湿潤気候
2) 気温条件
Bを除きA-Eまで気候を区分

Tmax ≡ 最暖月平均気温, Tmin ≡ 最寒月平均気温

A 熱帯 tropics, tropical zone: Tmin ≥ 18°C (= ヤシ生育可)

熱帯雨林気候, f: Pmin ≥ 60 mm
サバナ気候, w: Pmin < 100 - 0.04 × P
熱帯モンスーン気候, m: Pmin = Af-Aw中間

C 温帯: -3°C ≤ Tmin < 18°C (ADの中間)

Cfa 温暖湿潤気候: Tmax ≥ 22°C (米育つ)
Cfb, Cfc 西岸海洋性気候: Tmax < 22°C

+ [夏雨 → Pmax/Pmin < 10, 冬雨 → Pmax/Pmin < 3]
Σi=112(Ti ≥ 10°C) ≥ → Cfc

Cw 温暖冬季少雨気候: Pmax/Pmin > 10
Cs 地中海性気候: Pmax/Pmin > 3 [Cf. 亜熱帯 subtropical zone]

D 亜寒帯 subpolar zone (冷帯): Tmin < -3°C, Tmax ≥ 10°C (冬根雪だが樹木生育可)

Df 亜寒帯湿潤気候(冷帯湿潤気候): 夏雨 → Pmax/Pmin < 10, 冬雨 → Pmax/Pmin < 3
Dw 亜寒帯冬季少雨気候(冷帯冬季少雨気候): 夏降水量あるが冬降水量(積雪)極少

E 寒帯: Tmax < 10°C (樹木生育不可)

ET ツンドラ気候: 0°C → Tmax < 10°C (夏だけコケ・地衣類生育可)
EF 氷雪気候: Tmax < 0°C (植物生育不可)

H 高山気候 (原典のケッペン気候区分にはない)

中緯度地域 標高 > 2000 m、低緯度地域 > 3000m


乾燥 ←                                               → 湿潤

        氷雪                                                0 極帯
         ツンドラ                                          15 寒帯
         (Dd)
砂漠(Dd) ステップ   落葉針葉樹林 常針葉樹林                45 冷温帯
         (Hs)                    (Lc)
                    サバンナ(Ht) 暖帯落葉樹林   照葉樹林   85 暖温帯
                                 (Ls)           (Ll)
         ----------                             硬葉樹林  180
                                                (Lw)
         トゲ低木林              亜熱帯雨緑林   亜熱帯
                                                多雨林    240 亜熱帯
                                                (Lt')

過乾燥  乾燥         半乾燥     半湿潤        湿潤

水分軸(乾湿度)に沿った群落の種類
湿潤 熱帯多雨林 - モンスーン林 - サバンナ - 温帯草原(ステップ) - 砂漠 乾燥

湿性モンスーン林 ↔ 熱帯湿性落葉樹林
乾性モンスーン林 ↔ 熱帯乾性落葉樹林

草原 grassland: 温度低すぎるか降水量が少なすぎるために木本があまり生育せず草本中心となる
荒原 arable land: 温度、降水量のどちらかがかなり厳しい限定要因となり地表を覆う植物は50%以下となる

海岸荒原: 植物疎生。塩生植物。コウボウムギ、アッケシソウ

別分類
降雨パターンによる分類
冬乾燥/夏雨, w: Pmax = 夏, Pmax/Pmin > 10
夏乾燥/冬雨, s: Pmax = 冬, Pmax/Pmin > 3
年中多雨, f: Case Pmax = 夏 → Pmax/Pmin < 10, Case Pmax = 冬, Pmax/Pmin < 3

砂漠形成 desert formation

主4要因: 全て極端な低降水量が原因 - 複数要因のこともある
1. 中緯度高圧帯: N/S15-30°

Ex. サハラ砂漠、アラビア砂漠、グレートサンディー砂漠

2. 寒流海岸: 沖に寒流 - 上昇気流発生稀 - 降水稀

Ex. 北アメリカ砂漠(一部)、アタカマ砂漠、ナミブ砂漠

3. 大陸内陸部: 海洋で発達した雨雲が届かない

Ex. ゴビ砂漠、オーストラリア砂漠、タクラマカン砂漠

4. 雨陰: 山脈風下側 (フェーン)

Ex. タクラマカン砂漠、パタゴニア

[ 日本の地形 ]

日本の気候 (Climate in Japan)


年間降水量 ≈ 1800 mm (地域差大)

700 mm - 蒸発
1100 mm - 河川流入
降水 > 蒸発 ⇒ 水収支バランス低

wind
季節風
気候区分
北海道式気候: 低温、降水量少
日本海式気候(裏日本式気候): 冬豪雪-多雨。4-7 m積雪。湿雪低湿
太平洋式気候(表日本式気候): 冬小雪-少雨 = 冬乾燥。夏多雨
内陸性気候(中央高地性気候): 夏冬気温差大、降水量低
瀬戸内海気候(瀬戸内気候): 降水量低

植生的にこの気候加えるのは見解の差程度

南西諸島気候: 高温、多雨 (≈ 亜熱帯)
-----▶ 暖流___-----▶ 寒流
wind
気候区分と温雨図 (気象庁)

気候変動 (climate change)


現在の気候変動は「温暖化」と大きく関連
太陽活動
太陽黒点 → 太陽黒点数が太陽活動度を表す? → 黒点数は約11年周期変動
火山噴火
火山活動 → 噴煙・水蒸気・亜硫酸ガス・硫化水素ガス → 気候影響
Ex. 成層圏滞留エアロゾル → 日射散乱され気温低下(冷蔵庫効果)
海洋の影響とエル・ニーニョ
中高緯度のみならず赤道域海面水温変化しても、中高緯度気候に変化生じる

南方振動(サザン・オシレーション) southern oscillation, SO

気圧: 南太平洋東部 = 高(低) ⇔ インドネシア付近 = 低(高)
エルニーニョ南方振動 El Nino Southern Oscillation , ENSO

テレコネクション: 大気の一部に起こった変化が遠隔の場所に伝達する現象

Ex. エル・ニーニョ El Nino: 本来、南米エクアドル・ペルー沖の12月下旬に海面水温一時的上昇現象

Def. (海洋学): 南米ペルーやエクアドル沖合1000 km桁の広がり(= 太平洋東部熱帯区域, 4°N-4°S, 90-150°W)での海面水温異常高温化現象 → 数年に1度、半年-1年半続く
赤道海域上昇気流活発化 → 地球規模の大気の変動 → 世界的異常気象
→ 影響不明の点多(北東貿易風が何らかの原因で弱まり、西太平洋の暖水が東部に移動)

Ex. ラニーニャ: 赤道太平洋東部(ペルー沖)の海水面温度が低く(> 0.5°C)なる現象

エルニーニョとは逆に、暖水を運ぶ北東貿易風が強くなると発生

Ex. ダイポールモード現象dipole mode: インド洋熱帯域西部海水温上昇し、東部海水温下降する現象

≈ エルニーニョ・ラニーニャ
→ 降水量: インド洋西岸(Ex. ケニア)増加、インドネシア周辺減少
原因: スマトラ島沖東インド洋で南東貿易風強まり、暖水が西インド洋に押しやられ、西インド洋では深層にある冷水上昇せず海面温度上昇 → 東インド洋では、深層冷水が上昇し海面温度下降
山形俊男グループ(1999, 東大)発見 → エルニーニョと並び日本の異常猛暑の原因等で注目

沿岸湧昇 coastal upwelling

CO2効果 CO2 effect
他に地球軌道変化 + 熱帯雨林伐採 + … + オゾン層破壊 + 酸性雨

酸性雨 (acid rain)


純粋雨(一般雨): 平均pH 5.6
CO2を大気中から取込む、火山ガスが酸性等の影響 → 弱酸性化

通常の雨や雪: 大気中CO2との平衡関係 ≈ pH5.6

酸性雨 < pH 5.6 (石井 1992)
降水pH: 陰イオン-陽イオンのバランスで決まる

降水中主要無機成分
陰イオン = SO42-, NO3-, Cl-    陽イオン = H+, NH4+, Na+, Ca2+, Mg2+
+ 海水由来塩類も含む

1950's スカンジナビア半島: pH3.5の雨観測

他に、カナダ東部、ヨーロッパ諸国で観測
合州国湖沼 = pH↓ → 魚類孵化不可能 = 死滅
ヨーロッパ土壌: アルカリ土中和 → 土壌栄養分流出

→ 森林衰退(戦前比で生産力7-18%低下)・農作物収量低下

1955/56-72 アメリカ北東部 → 西部・南西部拡大
1967(日本): pH 3(食酢同値)の雨を関東で観察 → 人害発生
1973以降(日本): 各地で酸性雨観測

工業地帯周辺で特にpH低 - 目や皮膚の痛み・数種農作物の可視傷害
農耕地: 化学肥料で土壌調節 → 影響不明瞭
森林: 酸性雨影響累積的 → 継続調査必要

関東地域: 年最低pH = 3.4-4.1 (最低pH3.0)

酸性霧 acid fog: 酸性化された霧
酸性雨: 雨水により洗い流される ↔
酸性霧: 植物に付着すると作用時間長い → 生態系影響は酸性雨より大
酸性雪 acid snow: 冬季に降下する低pHの雪
融雪期初期融雪水: 多量のイオン含む

融雪期には河川や湖水のpHがしばしば低下

国際森林年
1985年を国際森林年とFAO(国連食糧農業機関)が決議

[背景] 砂漠拡大、熱帯林減少及び酸性雨被害による森林資源枯渇や環境悪化が懸念される
世界各国: 森林造成・保全啓蒙事業実施。日本(+国都道府県): 趣旨に沿う各種記念事業

植物そして環境破壊 (北大祭 '87)

1. 光化学スモッグと酸性雨について
2. 酸性雨大気汚染の現状
3. 土壌生態系への影響
4. 陸水系・水生生物への影響
5. 森林への影響

(1) 森林の急性被害と慢性被害
(2) 酸性雨による土壌の悪化
(3) 酸性雨と樹木の成長

• 酸性雨実験 -展示-
• 大気汚染に関した実験
産業発展 = 自然界に化学物質排出 → 自然界自浄作用限界超過 →

有害化学物質生態系蓄積 → 自然環境破壊 → 環境汚染/健康影響

1. 光化学スモッグと酸性雨
大気中排出光化学スモッグ(SO2、NOx等)が移流・拡散中にさらに酸化 →

SO2-3、NO3-、酸性エアロゾル等生成 → 雲粒・雨滴が取込む → 酸性雨

Ex. 欧州: 他国の硫酸化合物影響 ≈ 90%

2. 酸性雨・大気汚染の現状
湿性沈着: 降水による降下物の沈着 - 農業生態系に影響 Ex. NOx, SOx
日本SO2汚染状況: 排出規制強化と燃料低硫黄化、工場脱硫黄装置設置等

SO2: 1967 = 0.059 ppm (年平均, ピーク) → 1983 = 0.012 ppm
NO2: 同期間 0.02-0.03 ppm (年平均)で推移

Q. SO2汚染改善された日本の酸性降下物量は、諸外国より少ないか?
前橋: 乾性降下物含む酸性降下物量(1983.9-1984.8)

SO42--S: 1.11, NO3--N: 0.64g/m2/yr ≤ 西ドイツ

≤ SO42-降下量が米国最大値であるニューヨーク州や五大湖東部
≈ 森林・湖沼被害あるスウェーデン南部、カナダのオンタリオ州南部

3. 土壌生態系への影響 ☛ 根圏
酸性雨の土壌生態系への影響は未詳部分多

. 土壌酸性化(pH6以下)による土壌生態系変化に関する知見

窒素固定
   マメ科共生: 阻害される
   非マメ科共生: やや減少
   非共生: 敏感種(+ 抵抗性種)
菌根菌: 変化少ないが種類変化
ミミズ活動: 激減
土壌小動物: 種類減、優占種変化

項目: 変化
微生物種類: 細菌減、糸状菌優占
有機物分解: 激減
土壌呼吸: 激減
酸素活性: 激減
養分無機化: 激減
硝酸化成作用: 激減 脱窒: 遅れる

微生物の大部分: ≈ pH7 = 最適pH → 細菌や放線菌: pH5で著しく生育減退

⇔ 糸状菌はpH領域広い → 土壌酸性化: 糸状菌相対的に優占傾向

Ex. スウェーデン北部針葉樹林 - 人工酸性雨実験

土壌pH4.6 → 4.1↓ → 細菌数半減、糸状菌菌糸量若干増加
活性菌糸減少
針葉樹葉埋設: 2年間の分解量測定 - 酸性雨処理区の分解が減る

Ex. 英国シェフィールド: 高濃度汚染(0.048 ppmのSO2)大気長期間暴露

土壌pH5.5 → 3.9-4.7↓ ⇒ 土壌微生物測定
汚染土壌-非汚染土壌比較: 糸状菌差ない + 細菌数汚染土壌↓
汚染土壌は硫黄・硫酸含量ともに高まり、pH低下し、硫黄酸化細菌と糸状菌が非常に増えた
汚染: 樹木から5 m離れた土壌 < 樹木直下土壌 →

植被効果: SO2等の乾性降下物が樹木直下の土壌により多く負荷
硫黄は土壌に入ってから微生物の働きで硫酸に酸化される

(仮定) 土壌呼吸(CO2発生) ∝ 土壌生物活性: 土壌人工酸性雨処理 ⇒

土壌呼吸↓ グルコース分解速度↓ 有機物分解酵素活性↓
フラクトース分解性↓ 尿素分解活性↓
アンモニア(肥料)は土壌硝化菌により硝酸化 - pHd低下により著しく低下

Ex. スウェーデン北部針葉樹林 人工酸性雨試験: 土壌pH6.4 → 4.2

細菌数 = 減 → ヒメミミズ(細菌捕食者) = 3年間で90%減少
昆虫: 糸状菌捕食者とみなされる特定種が増加
ダニ = 全体として大きな変化ないが、特定種減少
落葉層薄い土壌ほど人工酸性雨によるpH低下大 → 小動物種変化大

⇒ 土壌中の生物活動は酸性雨の直接的影響と土壌酸性化により変化

全般的に生物活動が低下すると考えられる

4. 陸水系・水生生物系への影響
Ex. ノルウェー湖水調査: 硫黄降下量分布 ≈ 湖水中硫酸イオン濃度分布

⇒ 湖水pH ∝ 硫酸イオン濃度分布 = 硫黄降水量多い地域の湖水pH低

Ex. ノルウェー南部87湖水調査報告: 1950年以降20年間

湖水 pH 1.5↓ = 10%、pH 1.0↓ = 18%、pH 0.5↓ = 34%

湖水の酸性化緩衝能は、pH6以上では機能するが緩衝能の範囲を超えpH6以下になるとAlイオン濃度急激に高まり、湖水生態に影響すると考えられる
一次生産者(水生植物): 湖水・河川酸性化進むにつれ耐酸性種が優占

Ex. 藻類種数↓(緑藻類↓↓)  フィラメント状藻類・苔類↑

植物プランクトン↓ ⇒ 動物プランクトン↓(ミジンコ↓↓)

Ex. クロロフィル単位当り炭酸同化量↓
Ex. 底生無脊椎動物消滅: freshwater shrimp ≤ pH6、snails ≤ pH5.2、small mussels, freshwater louse ≤ pH5.0 ∴ 魚も消滅

ノルウェー南部 3000湖 鱒生存調査: 1940年以降に次第に減り、1960年以降は急激に減り、現在では半分以上の湖で生存しない。同様のことがアメリカ、カナダでも報告される
湖水酸性化はAlイオン増大のみならず、各種重金属溶解量も増大させる。これら重金属の生態系への影響についての研究報告増える
5. 森林への影響
(1) 森林の急性被害と慢性被害
煙害: 二酸化硫黄(SO2)森林被害調査 → 工場周辺(SO2発生源)

SO2 ≤ 0.03ppm → 森林被害検出できない ⇒ 閾値(直接作用)

煙突高くしSO2希釈排出 → SO2 ≤ 0.03ppmの地域まで被害広がる

∴ 森林被害はSO2濃度だけではなく汚染期間も関係(累積的影響)

酸性降下物の土壌影響等の様に、長期間の累積的影響が重要

高濃度汚染による急性被害 + 低濃度汚染による長期的慢性被害

慢性被害は主に酸性化による土壌悪化による

(2) 酸性雨の土壌影響
酸性雨含む硫酸は土壌のCaイオンやMgイオンを溶脱 → 土壌酸性化

中央ヨーロッパ森林土壌: 酸負荷量 = 3.5-7keq/ha/yr
粘土含量5-10%の土壌 → 深さ50cmの土壌中にある交換性Caは50年間で全て溶脱と計算される

Exp. 日本の酸性褐色森林土: 硫酸塩肥料による土壌酸性化過程経年測定

→ 硫酸塩肥料等を連年施用 → 土壌中交換性Ca減少、土壌pH低下、土壌溶液中へのAlイオン溶解量増大、その結果としてAlイオンの植物毒性による牧草の生育阻害が生じる
この研究データを用いて、日本における土壌の悪化が何年くらいで起るか、その計算を試みた。

酸性化による土壌悪化評価: 判定指標必要
Ex.  土壌酸性化 → pH5以下で土壌溶液中Alイオン濃度著しく高まる

過剰Alイオン → 植物生育阻害 ⇒ pH5 = 土壌悪化指標

硫黄累積負荷 = 土壌pH低下 ⇒ pH ≤ 5 ⇒ Alイオン溶出 = 土壌悪化

この時期までの硫黄累積負荷量 = 100 kg S/10 a (推定)
if 酸性雨による硫黄負荷量 = 2 kg S/10 a/yr → 約50年で土壌悪化発生

土壌種と土壌酸性化難易: 日本"酸性雨の土壌への影響予察図"が作成された(下表)。先の計算に用いた酸性褐色森林土の酸性耐性は中-弱である

表. 日本土壌の酸性雨耐性区分
1 最強 = グライ土、塩基性由来暗赤色土、沖縄の暗赤色土
2 強 = 灰色低地土、褐色低地土、黒ぼく土、その他の暗赤色土
3 中 = 淡色黒ぼく土、褐色森林土
4 中-弱 = 酸性褐色森林土、準黒ぼく土、ポドゾル、泥炭土(水田)
5 弱 = 火山放出物未熟土、泥炭土、赤黄色未熟土、赤黄色土
6 最弱 = 砂丘未熟土、岩屑土、高山岩屑土

(3) 酸性雨と樹木成長
ヨーロッパ・北アメリカ: 低汚染地域でも森林被害 - 酸性雨の可能性
ノルウェー「酸性雨の森林と魚に対する影響」プロジェクト

1950年以降: 森林成長低下 - 酸性雨の疑い (直接的証拠なし)

森林への影響は、湖水の様に明瞭には識別できない

森林発達 = 長時間 ⇒ その間の気象変動、病害虫、森林管理の影響等、多要因複合し森林衰退との因果関係に曖昧さが残る

土壌酸性化 → pH低下、栄養欠乏、有害物溶出 → 植物生育停滞・衰退

北米: トウヒ衰退 - 気象要因では説明できない

細根発達阻害 + 土壌中Ca消失 + Alイオン溶出(= 土壌酸性化)

西ドイツ(1982): 森林被害調査 - 56万 ha (全森林面積の8%)被害

針葉樹 = 葉黄化、落葉、生育停滞、梢葉枯死
広葉樹 = 葉変色・変形、初期落葉、梢葉枯死、樹皮損傷
被害: モミ > マツ > トウヒ > ブナ > ナラ

西ドイツ: モミ、トウヒ被害調査 ⇒ 葉被害大 ∝-1 細根発達

健全樹木: 根皮層細胞壁Ca高含有 ↔ 被害樹木: 低Ca

細根のCa欠乏は水吸収阻害 → 旱魃害受けやすい

関東地方スギ・ケヤキ衰退地図(山家 1978) - スギ衰退 ∝ 大気汚染指標

スギ枯れ: 梢端枯死が特徴 - 東京周辺でよく見かける
京浜、京葉工業地帯: 健全なスギ認めらない → 距離 ∝-1 衰退程度

高崎市・前橋市(東京から100 km)過ぎるとスギ衰退急速に減少
その後にスギ衰退は広がり群馬県でも見られる - 酸性雨の可能性

酸性雨実験 -学祭展示-

(1) 大気汚染物質の環境内濃度や雨水pHを測定

原因物質(大気中亜硫酸ガス(SO2、二酸化窒素(NO2)濃度測定
雨水を採集しpH測定

(2) 野外で植物の大気汚染物質による可視被害を観察

植物直接被害 Ex. ネギ・キュウリ上部褐変、アサガオ・ツツジ花弁脱色、アカウキクサ成長阻害
生物以外の被害: 大理石建築物、彫刻、銅像等の侵食や腐食
これらの酸性雨被害を広域で調査し、酸性雨被害分布を知る

(3) モデル実験を行い、酸性雨等による被害状況を観察

Ex. 葉花にpH異なる溶液を霧吹きでかけ、可視傷害発生状況を観察
Ex. NO2やSO2を発生させ吹き掛け、可視傷害発生状況を観察
Ex. pH異なる溶液用いた発芽実験行い、発芽率や成長速度を測定
Ex. 水生植物をpHの異なる溶液中で栽培し、生育・増殖率測定
Ex. 水生甲殻類、魚類の孵化・生存・成長率等をpH異なる溶液で測定

実験(1): 5/27降雨採集しpHメーターでpH測定 + 空知沼採集水(対称)pH測定

※ ガラスは、Na+, K+, PO43-等のイオンが溶出したり、壁にH+が吸着しpHが変化するため使用しない方がよい
大気中NO2, SO2濃度測定は、試薬・装置準備できず実施せず
NO2含む窒素酸化物は車の排気ガス中に含まれ、街中と郊外の道路沿、街中でも北大原始林等で濃度を比較してみるのも面白かったろう

実験(2): 展示困難なため実施せず
実験(3): (a) フキ葉 = 溶液pHが植物組織に与える影響観察. (b) ダイズ種子 = 溶液pHが発芽・成長に与える影響観察

ab実験とも、酸性化土壌が植物種子に与える影響を想定
(a) 葉にpH 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 蒸留水、水道水、5/27日降雨を直接散布し、酸性雨の外部からのATTACKにより植物組織が受ける影響を観察。茎を切り上述の溶液に漬け、酸性雨の内部からのATTACKにより植物組織が受ける影響を観察。前実験は、降雨等により植物が受ける影響を、後実験は、酸性化した土壌が植物に与える影響を想定した
(b) ダイズ種子をpH 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 蒸留水、水道水につけ、発芽率を調べる実験と、発芽させ、左記の溶液に漬け、成長変化を観察する実験

スカンジナビア半島南部・北米北東部の酸性雨: 数百-数千km離れたヨーロッパ中部やアメリカ東部-五大湖周辺の工業地帯から排出される硫黄酸化物や窒素酸化物が原因と考えられる

[ 海洋気象 | 海洋循環 ]

海洋気候 (ocean climate)


海水

物理的特性
比重: 純水 = 1 (g/ml) ↔ 海水1.02-1.03 (間に陸水)

温度関与 Ex. 33‰ = -3.7°C, 36‰ = -4.2°Cで比重最大

浮力: 沈降速度 = √[(重量 - 浮力)/(表面抵抗 - 粘性)] = √(重量超過/摩擦)
深層水
太陽光線の届かない深層の海水 ↔ 表層水
(s.s.) 光合成に必要な光がなくなる深さ、つまり大陸棚より沖合の水深 200 mより深い無光層のもの

陸水や大気からの化学物資による汚染にさらされることが少ないうえ、低温安定性、富栄養性、清浄性等の多特性を持ち、水産・農業分野をはじめ、食品、医薬品、美容等、多分野での活用研究中
深層水生成海域は北大西洋グリーンランド近海と南極大陸周辺のみ

→ 地球温暖化で深層水生成に支障発生予測

海洋循環

コンベアベルト conveyor belt (深層循環、熱塩循環 thermohaline circulation)
ウォーカー循環 Walker cell, Walker circulation (東西循環): 太平洋赤道域大気の東西循環

ラニーニャ → 循環強 ↔ エルニーニョ → 循環弱

温度躍層(水温躍層) thermocline: [海洋] 水温 → 深度に沿い減少(≠ 一様)

海面近く: 日射による高温海水溜まる → その下で急激に水温低下 → さらに低温の海水に連なる

Def. 温度躍層: 暖水-冷水境界をなす水温の深度傾度が大きい層 → 温度躍層深い海域の海面水温高い

Ex (図). 赤道太平洋東部(海面水温低) = 温度躍層深さ数10 m ↔ 赤道太平洋西部(高)= 150-200 m
→ 西向きに吹く貿易風に暖水が吹き寄せられ西太平洋に溜まる + 赤道湧昇が東部太平洋より弱い

エルニーニョ時: 暖水が東側に広がる → 東部太平洋で温度躍層深くなり、西部太平洋で逆に浅くなる ocean
図1. 太平洋赤道域に沿った表層水温の深度-経度断面図 cross section diagram. (a) 1997.1, (b) 1997.11 (エルニーニョ最盛期)。等温線 isotherm (等温のisothermal, adj)間隔1°Cで、陰部分は水温 ≥ 28°C領域、黄色の等温線の混む領域が温度躍層
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