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[温度, 植物季節観測用標本, 酸性雨, 電磁スペクトル, 気象]
気候学 (climatology)気象の長期的変化を分析・研究= 1年間(周期)で出現確率の高い大気状態の場所差に注目し気象を総合値として評価 気候 (climate)地域を特徴づける気候因子全般[植生や人間の産業活動 ↔ 気候] 相互作用 → 地域と気候は深く関わる 平年: 過去30年間の平均(平年値は10年毎に直前30年間の平均をとる) Ex. 現在平年値 = 1981-2010 気候分類自然条件を長期観測(数10年, 通常30年間) → 平均的傾向を分析・分類 Ex. ケッペンの気候区分
気候: 地域周辺の海陸の分布・地形・植生・生物に影響され、恒久的に同じ気候とは限らない |
バタフライ効果 (butterfly effect)Lorenz EN 1963 (論文), 1972 (講演) - 用語としてはない)予測可能性: ブラジルで一匹の蝶がはばたくとテキサスで大竜巻 tornado が起こるか 系の変化が初期条件に鋭敏に依存 → 予測不可能な挙動 対流 ~ (決定論的)微分方程式数値計算精度向上 ≠ 正確予測 カオス chaos: 決定論的法則でも、初期条件の僅かな差が挙動に大差を生み予測困難化する現象 |
気候学の方法論的方向 → 気候概念の定義の違いに起因
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天候: 階級 = 平年以下、平年並み、平年以上 → カテゴリ区分 表. 気候スケール区分
気候 水平的広がり 垂直的広がり Ex. 気候現象 |
(生態学的意味) 積算温度成長(発育)変温動物: 温度と成長に直線関係が成立する範囲v = 1/k·(w - w0)
v = 成長速度 d(w - w0) = k 日本の昆虫: w0 ≈ 10が多い 応用: 害虫発生時期予測 (吉良 1948) 温量指数 (warmth index)= 暖かさの指数 (warmth index, WI) ↔ 寒さの指数 (coldness index, CI)植物成長指標: 経験的閾値として植物成長が5°C以下で停止と仮定 = 植物分布温度指標: 月平均気温5°C以上の月の平均気温から5を引いた値の合計
WI = Σ12i=1 (ti > 5) 但しti > +5°Cの月平均気温 |
Ex. 士幌町の月平均気温と暖かさの指数(WI)と寒さの指数(CI)
月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計 垂直: 全世界平均 = 0.55°C/100 m (日本の海抜1500 mまでの減衰率 = 0.61°C/100 m) 水平: 南北平均 = 5°C/1000 km → 無視できる規模なら使わなくてよい 表. 日本、アラスカ、シベリヤ各地の年平均気温(Tm, °C)と暖かさの指数(WI)
Tm WI Tm WI Tm WI |
☛ フェノロジー 生物季節活用: 気象の生物への影響理解、季節変化の遅速、農作業適期決定等
植物季節 + 動物季節 Ref. 生活気象: 生活の節目の日により気象状態、季節遅速を知る Ex. コタツを使用し始めた日 季節前線 Ex. サクラ前線 (cherry blossom front)、紅葉前線 植物季節観測用標本原則: 気象官署構内の植物季節観測用標本対象発芽日: 葉芽の約20%が発芽した最初の日 開花日: 花数輪(2-3輪、多花種は5-6輪)以上開いた最初の日 満開日: 花が約80%以上咲いた最初の日 紅(黄)葉日: 葉色が大部分紅(黄)色系統の色に変わり、緑色系統色が殆ど認められなくなった最初の日 落葉日: 葉の約80%が落葉した最初の日 + それらの不時現象 不時現象生物季節現象がその平年の起日と著しくかけ離れた時期に起こること各観測官署において最早/最晩期日から概ね1ヶ月以上早/遅い(1つの目安) |
函館気象台 ススキ・イチョウ(発芽も)・キアゲハ・ツバメ 帯広測候所 植物季節観測用標本 (2013年6月28日) 1 2 3 1: エゾヤマザクラ Prunus sargentii Rehder. 2: ヤマツツジ Rhododendron kaempferi Planch. var. kaempferi. 3: ムラサキハシドイ Syringa vulgaris L. [ 健康 ] 気象病気象の変化により発病や症状が現れる病気
Ex. 前線通過すると頭痛、喘息、古傷が痛む 季節病特定の季節になると発病する(死亡率上がる)Ex. 冬にインフルエンザ流行、冬に高血圧患者増える - 室内管理も重要 |
釧路気象台ウィンドプロファイラレーダーの一種。風の鉛直分布が分かる(英語のまんま)地上から上空に向け電波を発射 → 風の乱れ等で散乱され戻ってくる電波を受信(ドップラー効果) → 上空の風向・風速を測定 → 局地的気象監視システム(ウィンダス WINDAS, WInd profiler Network and Data Acquisition System) 感雨器 (precipitation detector)微量の雨滴を検知 → 霧の測定に使えないか?4本の角は鳥よけ (2014年7月2日) |
浦河特別地域気象観測所郷土を気象災害から守るために設置降水量、風向、風速、気温、湿度、気圧、日照時間、積雪の深さ等を観測 観測所は大切な施設ですからフェンスの中に入ったり、いたずらをしない。施設を壊したりすると気象業務法によって罰せられる 管理者: 室蘭地方気象台 電話 0143-22-3227 アメダス (AMeDAS)道内173 (2014.7現在), 225 (2017.10現在)気象庁のlocalは2 kmメッシュ 位置 森___________________________大沼 |
Def. 大気 atmosphere: 地球を取り巻く気体の層 = 厚さ> 1000 km (取り巻く大気ambient air) → 気圏
大気環境を決める2つの物理量1. 物質循環システム → 大気組成決定 → 閉鎖系表. 空気成分と各気体平均滞留時間。*: 乾燥空気 = 100 (ユンゲ 1972)
成分 分子状 分子状 アルゴン 水蒸気 二酸化
大気成分比はCO2を除くと、ここ100年間は殆んど変化ない 約93%が海、約5%が陸地、約2%が大気中に蓄積 → 循環しているが、人間活動大気中放出CO2, CH4量増え地球温暖化 2. エネルギー循環システム → 大気運動決定 → 解放系(= 太陽エネルギー)
気温 = 熱エネルギー 成層: 密度・気温・気圧等変化から大気層を鉛直構造(高度)に沿い4区分 ≈ 温度の高度分布による区分 外気圏 exosphere = 熱圏の外
500 km
500-2000°C
温度190-180 K
(= 高温層: 地上50 km付近で0°C) → 0.5-0.66°C/100 m↑, 垂直方向対流(攪拌)盛ん 対流圏地球表面付近 ≈ 厚さ10 km (緯度や高・低気圧により変化 – 低緯度ほど厚い) → 日々の気象変化→ 地表面輻射熱で暖気(軽い)が下、冷気(重い)が上 → 対流発生 → 上は約-55°Cで最も重い空気層 → それより上は高温度の安定大気層 2つの圏の境界領域で大気分子の振る舞いを支配する物理過程変化定常性擾乱(定常波): 対流圏における超長波のように波長が長く移動しない大気震動波 対流圏の定常波の影響で、成層圏にも存在(成層圏にも伝搬) → 乱流圏解面turbopause、均一圏界面homopause等40日周期震動(マッデン・ジュリアン振動): 低緯度対流圏に発生する周期30-60日の低周波震動 波長は地球規模となり、高度は対流圏全体に及ぶ 成層圏6.5°C↓/km (下層は温度ほぼ一定 = 高度変化ない)突発昇温 outbreak: 対流圏と異なり成層圏には激しい運動はない → 否定 1952.2.23: ベルリン上空15 hPaの温度が前日と比べ約40K上昇 → 局地的現象でなく、北半球全域を覆う成層圏循環大変動 = 原因: プラネタリー波の上方伝播 高いところで早く始まり、次第に弱まりながら下層に移動 準2年振動 quasi-biennial oscillation, QBO (26ヶ月周期振動): 赤道域特有赤道の下部成層圏: 偏東風と偏西風が交代(周期 = 26ヶ月) → 高度40-50 kmまで(最大振幅25 km)
東風も西風も上層に始まり時間が経つにつれ下層に下りてくる |
極成層圏雲 polar stratospheric cloud, PSC (真珠母雲nacreous clouds・真珠層雲)
極域下部成層圏の冬季に、極冷領域で観測される雲
成層圏-中間圏注目理由1. 実用面: 旅客機が成層圏内を飛ぶ 2. オゾン層形成・輸送観測技術進歩
高度:_________成層圏・中間圏構造
成層圏・中間圏: 風系一繋ぎ = 夏半球は全域東風、冬半球は全域西風
温度が極向きに下がっているところでは、上層に行くにつれ西風強くなる 電離層 ionospheric layer (電離圏ionosphere)主に紫外線で多分子がイオン化(電離)した層紫外線により大気中原子が電離[= 電波よく反射] → 電離層形成 温度が高度とともに減少 → 紫外線に支配される 電離層電流: 電離圏を流れる電流 (電波は電離層で反射 = 長距離移動可)
シンチレーション: 電離圏プラズマが乱れて起こる電波障害 デリンジャー現象: 太陽面で爆発(フレア)が起こり、放出されたX線により電離層が乱される現象 → 地表から電波反射や太陽光を測定することで状態推定可能
表. 電離層の区分 → 電離を起こす紫外線波長が異なる プラズマバブル: F層にできる巨大な泡 → 電子密度減少 極冠域プラズマパッチ現象: 極冠域(北極・南極上空)にできるプラズマの塊
中規模伝播性電離圏撹乱 medium-scale traveling ionospheric disturbance, MSTID: 中緯度上空電離圏にできる縞状の波 - 原因未詳 オーロラ(極光) aurora [光彩iridescence]: 太陽から荷電粒子飛来 → オーロラジェット電流: 強電離層電流 高度60 km-900 km: プラズマ豊富時 (+ 原子励起状態となる大気濃度) → オーロラ帯: 良く発生する極を中心に緯度70°位の帯状部分 大気光(星明り, 俗): 明るさオーロラの10-2-10-3 Ex. 夜に稜線明瞭 → 赤道異常帯: 大気光が顕著な緯度10o位のところの帯状部分 イオンアウトフロー: 酸素原子がイオン化し地球外へ出て行く現象 → 極地上空に見られる 説: オーロラによる電気的力による 夜光雲 noctilucent cloud: 夏宵闇頃の中・高緯度地方(55-65°N)の高度75-90 kmに表れる巻雲に似た雲
高度 ≈ 80 km(中間圏)に氷粒発生し形成 → 通常雲 < 15 km a.s.l. 大気境界層 boundary layer地表-高度1 or 2 km上部境界層 (外部境界層、エクマン境界層): 下部境界層の上から2 km程度 下部境界層 (接地層、コンスタント・フラックス層): 地表面に近い方(高度0-500 m程度) 地表の役割
自由大気: 大気境界層の上で地表面摩擦の影響が直接及ばない領域 測定方法冷却CCDカメラ (charge-coupled-device camera): 感度高く大気光イメージ取得化レーザーレーダ(ライダー) = アメダス + 気象レーダー Ex. 流星レーダ: ライダーの1種で流星観測専用 リオメータ: 電波の来る方向を測定するアンテナ GPS → リモートセンシング |
大気候: 植生 = 温度(気温) + 土壌水分(湿度)
土壌水分 = 降水 + 降雪 + 蒸発(散) 放射乾燥度 (乾湿度) (wet-dry ratio, W/R ratio, WR)WR= Rn/(λR)
Rn: 水分蒸発に使われる利用放射量 < 1: 森林成立条件 (Ex. 瀬戸内海 0.8) (川喜田・吉良 1945) 乾湿(度)指数 (aridity-humidity index, K)= P/(WI + 20) (WI ≤ 100)= P/(WI + 140) (WI > 100) WI: 温量指数 warmth index
砂漠 ステップ サバンナ 森林 多雨林 ソーンスウェイトの最大可能蒸発散量 (E)Def. 最大可能蒸発散量(蒸発散位) potential evapotranspiration
(短草草原で)十分に水を供給した際の最大可能蒸発散量 → Def. PE percent = 月降水量/月蒸発量 Def. PE index = Σn=112(10 × PE percent) Def. 月別最大蒸発散量, E = 1.6(10·T/I)a (cm/month) (T: 0-26.0°Cで成立)
熱指数, I = Σi=112(Ti/5)1.514 (Ti: 月平均気温) Def. TE percent (temperature-evaporation percent) = (T - 32)/4 T (華氏, °F): -32は0°Cを基準とするため(凍らない温度) Def. TE index = Σn=112(10 × TE percent)平均年生物温度 (MABT)日本の気候区分に合うCf. 不快指数 discomfort index, F= 気温(T)と湿度(U)の組合わせ → 幾つか式あるが「理科年表」は下式F = 0.81T + 0.01U(0.99T – 14.3) + 46.3
F____= 75______= 80______≥ 80_________≥ 85 |
(気象庁が付けた通称) Cf. 暑さ指数= 湿球黒球温度 wet-bulb globe temperature, WBGT (1954 USA), °C気温 + 湿度 + 日射・輻射熱 雨量P: 年間降水量 (mm) (Pmax: 最大月降水量. Pmin: 最小月降水量)
PTmax: 最暖月降水量 ラング(Rang)の雨量因子(指数)R = P//T (T > 0) [仮定] 0°C以下では蒸散transpirationなし
0-20 20-40 40-60 60-100 100-160 > 160 ド・マルトンヌ(de Martonne)の乾燥指数I = P/(T + 10)0-5 砂漠. 10-20 草原. 20-30 疎林(Ex. サバンナ). > 30 極盛林 乾燥度指数 (aridity index, A)A = P/PETソーンスウェイトの降水効果指数 precipitation effectivenessEp = Σi=1120.17{Pi/(ti + 12.1)} = 11.5P(T – 10)10/9
多雨林 森林 草地 ステップ 砂漠 (Thornthwaite 1948) Def. 湿潤指数(指数), Im (%) = (P/E' – 1) × 100
年最大可能蒸発散に対する年降雨量と年最大可能蒸発散量の差
> 100 100~20 20~0 -0~-33 -33~-67 -67~-100 更に実際には地下水や積雪等の過剰水分の影響も考慮 気候ダイアグラム気候型区分 → 月平均気温・降水量データのみで可 →温度-雨量関係を表す図の総称 → 視覚的理解 1) 温雨図(雨温図) climograph: 気温を折線、降水量を棒グラフで示す 2) ハイサーグラフ hythergraph: 縦軸 = 気温、横軸 = 降水量
→ 各月データプロット |
気候係数 climate coefficient地域や期間の気候を数値表現する指標の総称降水量、温度、湿度、日照時間等のデータをもとに算出
応用: 農業、環境評価、都市計画 ケッペンの気候区分 (Köppen climate classification)温度-乾湿度による環境区分 (経験則)3変数(月平均気温 + 月平均降水量 + 年間降水量)をもとに区分 他の変量(風、異常温度、雲量等)は無視 1) ケッペン乾燥度指数 (乾燥限界値), K最初に乾燥 aridity 性判定 → 乾燥限界樹木生育必要最低降水量 → 降雨パターンで異 Ex. 降水: 高気温期 = 蒸発 ↔ 低気温期 = 少雨で土壌保湿可 乾燥度指数 (mm), K (T = 年平均気温 °C)
夏多雨地域, w 年中多雨地域, f 冬多雨地域, s P < K/2 → BW 砂漠気候 K/2 < P < K → BS ステップ気候 P > K → 湿潤気候2) 気温条件Bを除きA-Eまで気候を区分Tmax ≡ 最暖月平均気温, Tmin ≡ 最寒月平均気温 A 熱帯 tropics, tropical zone: Tmin ≥ 18°C (= ヤシ生育可)
熱帯雨林気候, f: Pmin ≥ 60 mm
Cfa 温暖湿潤気候: Tmax ≥ 22°C (米育つ)
+ [夏雨 → Pmax/Pmin < 10, 冬雨 → Pmax/Pmin < 3]
Cw 温暖冬季少雨気候: Pmax/Pmin > 10
Df 亜寒帯湿潤気候(冷帯湿潤気候): 夏雨 → Pmax/Pmin < 10, 冬雨 → Pmax/Pmin < 3 |
E 寒帯: Tmax < 10°C (樹木生育不可)
ET ツンドラ気候: 0°C → Tmax < 10°C (夏だけコケ・地衣類生育可) 中緯度地域 標高 > 2000 m、低緯度地域 > 3000m
乾燥 ←
 
 
 
→ 湿潤 湿| 熱帯多雨林 - モンスーン林 - サバンナ - 温帯草原(ステップ) - 砂漠 |乾
湿性モンスーン林 ↔ 熱帯湿性落葉樹林 荒原 arable land: 温度か降水量が限定要因 → 地表覆う植物は50%以下 海岸荒原: 植物疎生。塩生植物。コウボウムギ、アッケシソウ 別分類降雨パターンによる分類冬乾燥/夏雨, w: Pmax = 夏, Pmax/Pmin > 10 夏乾燥/冬雨, s: Pmax = 冬, Pmax/Pmin > 3 年中多雨, f: Case Pmax = 夏 → Pmax/Pmin < 10, Case Pmax = 冬, Pmax/Pmin < 3 ☛ 砂漠 砂漠形成 desert formation主4要因: 全て極端な低降水量が原因 - 複数要因のこともある1. 中緯度高圧帯: N/S15-30° Ex. サハラ砂漠、アラビア砂漠、グレートサンディー砂漠 2. 寒流海岸: 沖に寒流 - 上昇気流発生稀 - 降水稀Ex. 北アメリカ砂漠(一部)、アタカマ砂漠、ナミブ砂漠 3. 大陸内陸部: 海洋で発達した雨雲が届かないEx. ゴビ砂漠、オーストラリア砂漠、タクラマカン砂漠 4. 雨陰: 山脈風下側 (フェーン)Ex. タクラマカン砂漠、パタゴニア |
[ 日本の地形 ]
現在の気候変動は「温暖化」と大きく関連 太陽活動: 太陽黒点数 ∝ 太陽活動度? → 黒点数は約11年周期変動 火山活動: 噴火 → 噴煙・水蒸気・亜硫酸ガス・硫化水素ガス → 気候影響 Ex. 成層圏滞留エアロゾル → 日射散乱され気温低下(冷蔵庫効果) 海洋の影響とエル・ニーニョ中高緯度のみならず赤道域海面水温変化しても、中高緯度気候に変化生じる南方振動(サザン・オシレーション) southern oscillation, SO
気圧: 南太平洋東部 = 高(低) ⇔ インドネシア付近 = 低(高) Ex. エル・ニーニョ El Nino: 本来、南米エクアドル・ペルー沖の12月下旬に海面水温一時的上昇現象
Def. (海洋学): 南米ペルーやエクアドル沖合1000 km桁の広がり(= 太平洋東部熱帯区域, 4°N-4°S, 90-150°W)での海面水温異常高温化現象 → 数年に1度、半年-1年半続く |
Ex. ラニーニャ: 赤道太平洋東部(ペルー沖)海水面温度低下(> 0.5°C)現象
暖水を運ぶ北東貿易風が強くなると発生 ⇔ エルニーニョ Ex. ダイポールモード現象dipole mode: インド洋熱帯域西部海水温上昇し、東部海水温下降する現象
≈ エルニーニョ・ラニーニャ CO2効果 CO2 effect 他に地球軌道変化 + 熱帯雨林伐採 + … + オゾン層破壊 + 酸性雨 |
純粋雨(一般雨): 平均pH 5.6 CO2を大気中から取込む、火山ガスが酸性等の影響 → 弱酸性化 通常の雨や雪: 大気中CO2との平衡関係 ≈ pH5.6 酸性雨 < pH 5.6 (石井 1992)降水pH: 陰イオン-陽イオンのバランスで決まる
降水中主要無機成分
他に、カナダ東部、ヨーロッパ諸国で観測 → 森林衰退(戦前比で生産力7-18%低下)・農作物収量低下 1955/56-72 アメリカ北東部 → 西部・南西部拡大1967(日本): pH 3(食酢同値)の雨を関東で観察 → 人害発生 1973以降(日本): 各地で酸性雨観測
工業地帯周辺で特にpH低 - 目や皮膚の痛み・数種農作物の可視傷害 関東地域: 年最低pH = 3.4-4.1 (最低pH3.0) 酸性霧 acid fog: 酸性化された霧酸性雨: 雨水により洗い流される ↔ 酸性霧: 植物に付着すると作用時間長い → 生態系影響は酸性雨より大 酸性雪 acid snow: 冬季に降下する低pHの雪 融雪期初期融雪水: 多量のイオン含む 融雪期には河川や湖水のpHがしばしば低下 国際森林年1985年を国際森林年とFAO(国連食糧農業機関)が決議
[背景] 砂漠拡大、熱帯林減少及び酸性雨被害による森林資源枯渇や環境悪化が懸念される 植物そして環境破壊 (北大祭 '87)1. 光化学スモッグと酸性雨について2. 酸性雨大気汚染の現状 3. 土壌生態系への影響 4. 陸水系・水生生物への影響 5. 森林への影響 (1) 森林の急性被害と慢性被害 (2) 酸性雨による土壌の悪化 (3) 酸性雨と樹木の成長 • 酸性雨実験 -展示-• 大気汚染に関した実験 産業発展 = 自然界に化学物質排出 → 自然界自浄作用限界超過 → 有害化学物質生態系蓄積 → 自然環境破壊 → 環境汚染/健康影響 1. 光化学スモッグと酸性雨大気中排出光化学スモッグ(SO2、NOx等)が移流・拡散中にさらに酸化 → SO2-3、NO3-、酸性エアロゾル等生成 → 雲粒・雨滴が取込む → 酸性雨 Ex. 欧州: 他国の硫酸化合物影響 ≈ 90% 2. 酸性雨・大気汚染の現状湿性沈着: 降水による降下物の沈着 - 農業生態系に影響 Ex. NOx, SOx 日本SO2汚染状況: 排出規制強化と燃料低硫黄化、工場脱硫黄装置設置等
SO2: 1967 = 0.059 ppm (年平均, ピーク) → 1983 = 0.012 ppm 前橋: 乾性降下物含む酸性降下物量(1983.9-1984.8) SO42--S: 1.11, NO3--N: 0.64g/m2/yr ≤ 西ドイツ
≤ SO42-降下量が米国最大値であるニューヨーク州や五大湖東部 酸性雨の土壌生態系への影響は未詳部分多 表. 土壌酸性化(pH6以下)による土壌生態系変化に関する知見
窒素固定
項目: 変化 ⇔ 糸状菌はpH領域広い → 土壌酸性化: 糸状菌相対的に優占傾向 Ex. スウェーデン北部針葉樹林 - 人工酸性雨実験
土壌pH4.6 → 4.1↓ → 細菌数半減、糸状菌菌糸量若干増加
土壌pH5.5 → 3.9-4.7↓ ⇒ 土壌微生物測定
植被効果: SO2等の乾性降下物が樹木直下の土壌により多く負荷
土壌呼吸↓ グルコース分解速度↓ 有機物分解酵素活性↓
細菌数 = 減 → ヒメミミズ(細菌捕食者) = 3年間で90%減少 全般的に生物活動が低下すると考えられる 4. 陸水系・水生生物系への影響Ex. ノルウェー湖水調査: 硫黄降下量分布 ≈ 湖水中硫酸イオン濃度分布 ⇒ 湖水pH ∝ 硫酸イオン濃度分布 = 硫黄降水量多い地域の湖水pH低 Ex. ノルウェー南部87湖水調査報告: 1950年以降20年間湖水 pH 1.5↓ = 10%、pH 1.0↓ = 18%、pH 0.5↓ = 34% 湖水の酸性化緩衝能は、pH6以上では機能するが緩衝能の範囲を超えpH6以下になるとAlイオン濃度急激に高まり、湖水生態に影響すると考えられる一次生産者(水生植物): 湖水・河川酸性化進むにつれ耐酸性種が優占 |
Ex. 藻類種数↓(緑藻類↓↓) フィラメント状藻類・苔類↑ 植物プランクトン↓ ⇒ 動物プランクトン↓(ミジンコ↓↓)
Ex. クロロフィル単位当り炭酸同化量↓ 湖水酸性化はAlイオン増大のみならず、各種重金属溶解量も増大させる。これら重金属の生態系への影響についての研究報告増える 5. 森林への影響 (1) 森林の急性被害と慢性被害 煙害: 二酸化硫黄(SO2)森林被害調査 → 工場周辺(SO2発生源) SO2 ≤ 0.03ppm → 森林被害検出できない ⇒ 閾値(直接作用) 煙突高くしSO2希釈排出 → SO2 ≤ 0.03ppmの地域まで被害広がる ∴ 森林被害はSO2濃度だけではなく汚染期間も関係(累積的影響) 酸性降下物の土壌影響等の様に、長期間の累積的影響が重要 高濃度汚染による急性被害 + 低濃度汚染による長期的慢性被害 慢性被害は主に酸性化による土壌悪化による (2) 酸性雨の土壌影響酸性雨含む硫酸は土壌のCaイオンやMgイオンを溶脱 → 土壌酸性化
中央ヨーロッパ森林土壌: 酸負荷量 = 3.5-7keq/ha/yr
→ 硫酸塩肥料等を連年施用 → 土壌中交換性Ca減少、土壌pH低下、土壌溶液中へのAlイオン溶解量増大、その結果としてAlイオンの植物毒性による牧草の生育阻害が生じる Ex. 土壌酸性化 → pH5以下で土壌溶液中Alイオン濃度著しく高まる 過剰Alイオン → 植物生育阻害 ⇒ pH5 = 土壌悪化指標 硫黄累積負荷 = 土壌pH低下 ⇒ pH ≤ 5 ⇒ Alイオン溶出 = 土壌悪化
この時期までの硫黄累積負荷量 = 100 kg S/10 a (推定)
表. 日本土壌の酸性雨耐性区分 ヨーロッパ・北アメリカ: 低汚染地域でも森林被害 - 酸性雨の可能性 ノルウェー「酸性雨の森林と魚に対する影響」プロジェクト 1950年以降: 森林成長低下 - 酸性雨の疑い (直接的証拠なし) 森林への影響は、湖水の様に明瞭には識別できない 森林発達 = 長時間 ⇒ その間の気象変動、病害虫、森林管理の影響等、多要因複合し森林衰退との因果関係に曖昧さが残る土壌酸性化 → pH低下、栄養欠乏、有害物溶出 → 植物生育停滞・衰退 北米: トウヒ衰退 - 気象要因では説明できない細根発達阻害 + 土壌中Ca消失 + Alイオン溶出(= 土壌酸性化) 西ドイツ(1982): 森林被害調査 - 56万 ha (全森林面積の8%)被害
針葉樹 = 葉黄化、落葉、生育停滞、梢葉枯死 健全樹木: 根皮層細胞壁Ca高含有 ↔ 被害樹木: 低Ca 細根のCa欠乏は水吸収阻害 → 旱魃害受けやすい 関東地方スギ・ケヤキ衰退地図(山家 1978) - スギ衰退 ∝ 大気汚染指標
スギ枯れ: 梢端枯死が特徴 - 東京周辺でよく見かける
高崎市・前橋市(東京から100 km)過ぎるとスギ衰退急速に減少 酸性雨実験 -学祭展示-(1) 大気汚染物質の環境内濃度や雨水pHを測定
原因物質(大気中亜硫酸ガス(SO2、二酸化窒素(NO2)濃度測定
植物直接被害 Ex. ネギ・キュウリ上部褐変、アサガオ・ツツジ花弁脱色、アカウキクサ成長阻害
Ex. 葉花にpH異なる溶液を霧吹きでかけ、可視傷害発生状況を観察
※ ガラスは、Na+, K+, PO43-等のイオンが溶出したり、壁にH+が吸着しpHが変化するため使用しない方がよい 実験(3): (a) フキ葉 = 溶液pHが植物組織に与える影響観察. (b) ダイズ種子 = 溶液pHが発芽・成長に与える影響観察
ab実験とも、酸性化土壌が植物種子に与える影響を想定 |
海水物理的特性比重: 純水 = 1 (g/ml) ↔ 海水1.02-1.03 (間に陸水)温度関与 Ex. 33‰ = -3.7°C, 36‰ = -4.2°Cで比重最大 浮力: 沈降速度 = √[(重量 - 浮力)/(表面抵抗 - 粘性)] = √(重量超過/摩擦)深層水太陽光線の届かない深層の海水 ↔ 表層水(s.s.) 光合成に必要な光がなくなる深さ、つまり大陸棚より沖合の水深 200 mより深い無光層のもの
陸水や大気からの化学物資による汚染にさらされることが少ないうえ、低温安定性、富栄養性、清浄性等の多特性を持ち、水産・農業分野をはじめ、食品、医薬品、美容等、多分野での活用研究中 → 地球温暖化で深層水生成に支障発生予測 海洋循環コンベアベルト conveyor belt (深層循環、熱塩循環 thermohaline circulation)ウォーカー循環 Walker cell, Walker circulation (東西循環): 太平洋赤道域大気の東西循環 ラニーニャ → 循環強 ↔ エルニーニョ → 循環弱 |
温度躍層(水温躍層) thermocline: [海洋] 水温 → 深度に沿い減少(≠ 一様)
海面近く: 日射による高温海水溜まる → その下で急激に水温低下 → さらに低温の海水に連なる Def. 温度躍層: 暖水-冷水境界をなす水温の深度傾度が大きい層 → 温度躍層深い海域の海面水温高い
Ex (図). 赤道太平洋東部(海面水温低) = 温度躍層深さ数10 m ↔ 赤道太平洋西部(高)= 150-200 m 図1. 太平洋赤道域に沿った表層水温の深度-経度断面図 cross section diagram. (a) 1997.1, (b) 1997.11 (エルニーニョ最盛期)。等温線 isotherm (等温のisothermal, adj)間隔1°Cで、陰部分は水温 ≥ 28°C領域、黄色の等温線の混む領域が温度躍層 |