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(2019年3月30日更新) [ 日本語 | English ]

自然界の生物・物質循環 (biological and physical cycle in nature)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ 生物地球化学循環 | 窒素循環 | 水循環 | 農薬循環 ] [ 栄養段階 | 光合成 ]

地圏(geosphere)
地球内部の空間
↓ リソスフェア (岩圏, lithosphere)
↓ アセノスフェア (asthenosphere)
↓ メソスフェア (mesosphere)
↓ 外核 (outer core)
↓ 内核 (inner core)
水圏 (hydrosphere)
(water) が構成する空間 ≈ 海洋 + 湖沼 + 河川
大気圏 (atmosphere)
地表を覆う気体の空間
生物圏 (biosphere)
生物が生息する空間 (s.l.) → 生物相(s.s., biota)

生物群集 biocoenosis: 生物圏中の生物集団の意味で時々見る言葉

(コモナー 1972)

物質エネルギー循環 material and energy cycles

エネルギー energy: 生態系収支
第1法則: 全生物は他の全生物と結び付く = 連鎖網
証明実験: 仮に1生物単位を消滅させ、その後の生態系変化測定する背理法が有効

Ex. 遷移: 湖富栄養化過程は、水中塩の急速な濃度上昇が藻類の急激な繁殖をもたらし、湖底への光浸透率低下 → 繁殖した下部の藻類は死滅し湖中有機廃棄物量増加し、この分解により水中酸素含有量は全体的に減少 → 酸素を必要とする分解バクテリア消滅し水圏バランス崩れる。1つの単位として成立する生態系への外部圧力はバランスを崩しやすい
Ex. 生物濃縮

第2法則: 全てのものはどこかへ行くはずである(物質は不滅) = 天然に廃棄物は存在しない
第3法則: 自然が最もよく知っている → 研究と発展の必要性 requirement of research and development

天然システムへ人工的変化を与える = システムに対し害を与える

第4法則: 代価を払わなければ何も得られない
生態系のエネルギー移動 energy flow in ecosystem
熱力学 thermodynamics
1. エネルギー不変の法則

light → photosynthesis + heat
≡ Model equation: E1E2 + (heat or loss)

2. エントロピー増大の法則

あるエネルギーは常に分散し仕事をしない(=利用不可)エネルギーに変化 = いかなるエネルギーも潜在エネルギーに自然変換することはない
低エントロピー(内的秩序 integration) → 高エントロピー(分解・崩壊 disintegeration)
自然 → 干渉 interfernece
人間による干渉はどこまで可能か Ex. 遷移調節を人が行う → 火入れ等による自然の維持管理

索引

エネルギー環境

a. 生体エネルギーの源泉 = 1) 光合成、2) 無機物、3) 有機物

緑色植物: H2O + CO2 + light energy → Organic substrates
Ex. starch → 生物エネルギー源

b. 自然界における太陽エネルギー量

栄養段階 trophic level
エネルギーピラミッド energy pyramid

光合成のエネルギー効率 efficiency
生産者の光合成により有機物として固定される割合
地表到達太陽光エネルギーの約半分が光合成に利用可能

2 gcal/cm2/min (theoretical) → 1.34 gcal/cm2/min (実際の利用量): 空気中のダスト等により減少
植物利用可能エネルギー: 100-800 gcal/cm2/day (av. 300-400)

繁茂する草原: そのうち約80%を植物吸収 →

エネルギーの大部分は熱とし失われ、光合成利用されるのは植物吸収エネルギーの0.8-4%位

光エネルギーは光合成により化学エネルギーとなり有機物中に貯えられる。この有機物は食物連鎖を通じ生産者からより高次消費者へと渡され、各栄養段階で一部が熱エネルギーとして放出される。高次消費者に捕食されず死んだ個体の有機物も、分解者により無機物に変わり再び植物は利用
→ 有機物に貯えられたエネルギーは分解者を含む各栄養段階で少しずつ消費され再利用不可能

機物を作る炭素・窒素・リン・イオウ等の物質は生態系中を循環する

緑色植物受光太陽エネルギー中、大部分は葉からの蒸散エネルギーや光の反射・透過等で消失。エネルギー効率は、植物群集成長最も盛んな時期に3-4%、年平均1-2%程度。湖は更にこの1/10以下といわれる

群落                               熱帯多雨林 照葉樹林 針葉樹林 スス群落 富栄養湖
測定期間                             全年         3-12月    5-10月     5-10月     全年
エネルギー効率 総生産       3.4%          2.7          3.2           1.3         0.22
                         純生産       0.85           0.86        1.6           0.55       0.12    

緯度差

英国: 2.5 × 108 cal/m2/day
USミシガン: 4.7 × 108
USジョージア: 6.0 × 108

季節差

London (51°31'N) - 夏 980 cal/cm2/day, 冬 170
Spitsbergen (80°N): 夏 1050, 冬 0

[海洋循環]

生物地球化学循環 (biogeochemical cycle)


= 生物地球化学サイクル

地球規模の循環 = 物質移動を、大気圏-水圏-地圏-生物圏の間で見る

熱循環 (thermal cycling)
水循環 (water cycle) = 水文学的循環 (hydrologic cycle)
大気循環 (atmospheric circulation)
海洋循環 (thermohaline circulation)
物質循環 (material circulation)
物質による循環区分
窒素循環 nitrogen cycle
酸素循環 oxygen cycle: 緑色植物光合成と、多生物の酸素呼吸通し循環
炭素循環 carbon cycle
リン循環 phosphorus cycle

生物体構成物質として重要
岩石風化による供給(主) → P, K, Ca, Mg溶出(イオン化) → 植物利用/菌根菌
植物 → 動物 → 生態系中循環 → 川へ流亡

硫黄循環 sulfur cycle
水素循環 hydrogen cycle
P, K, Ca, Na, Mg, etc.: 塩類として植物に吸収され、一部は食物とし動物に取り込まれるが、最終的に遺体や排出物となり再び塩類に戻る 等

[用語]

POM: 粒子状有機物 particulate organic matter

CPOM: 粗粒状有機物 coarse POM
FPOM: 微粒状有機物 fine POM

DOM: 溶存有機物 dissolved organic matetr

樹幹流 stemflow

Precipitation = St + Pt + Ps

St (林内貯留): 樹冠により遮断された水量 → 蒸発
Pt (林内雨 throughfall): 林内を通り地表に達した水量

林冠構造により異なる
N, Pは林冠に吸着されやすい → K, Naは還元量多
降雨強度↓ → 林内雨/全降水↓

⇔ 林外雨incident precipitation: 接触なしに地表へ
Ps (樹幹流 stemflow): 樹幹を辿り地表に達した水量

林内雨の数%程度 → 樹幹上のイオンを溶かし地表へ

[ 同位体 ]

安定同位体 (stable isotope)


同位体: 移動速度異なる =

移動あれば様々なスケールで安定同位体存在比(同位体比)変化 ⇒
食物連鎖・物質輸送等測定に応用

同位体比

n個の同位体Iiからなる元素の原子量, Aw = Σi=1npiIi
良く利用される同位体: H, C, N, O (水として), S

P: 安定同位体がない = 使えない

植物体内物質移動

同位体分別: 同位体の比率が変わること → 物質移動
δ13C
植物全体のδ13Cを決める要因
  1. 大気中CO2δ13C
  2. 光合成による同位体分別
    a) CO2が気孔から取り込まれる: 分別率 4.4‰
    b) CO2が酵素により同化される
  3. 炭素化合物組成: (δ13C大) ABC (小) Ex. 糖類 > 脂質
  4. 転流
光合成回路推定: 光合成経路によりδ13C値異なる
• C3植物 RubiscoがCO2と最初の反応: 12CO2を優先して触媒(分別高)

C3植物 ≈ -27‰ (-30 to -25) ⇔ C4植物 ≈ -12‰ (-15 to -10)

• C4植物 PEPカルボキシラーゼがHCO3-と最初の反応: 分別小
森林: 強光浴びる樹冠葉は林床葉に比べδ13C値が高い
草原: 乾燥化に伴い蒸散抑制のため気孔閉じる → Δ↓ ⇒

草原丘陵: 高地や斜面の葉のδ13C値は土壌水分の豊富な低地より高い

. 光合成過程に関連する炭素安定同位体分別 (‰)

CO2の水への溶解 = 1.1 ↔ CO2の水和 = -9.0
大気中でのCO2拡散 = 4.4 ↔ 水中でのCO2拡散 = 0.7
カーボニックアンヒドラーゼ触媒によるCO2の水和 = 1.1
PEPカルボキシラーゼによるカルボキシル化 = 2.0
Rubisco = 29.0

水利用効率 (water-use efficiency, WUE)推定
WUE = A/E = Ca(1 - Ci/Ca)/(1.6·VPD)

A: 光合成速度, E: 蒸散
Ci: 植物葉内CO2分圧, Ca: 植物体周辺CO2分圧
VPD: 葉-大気間水蒸気圧差

Ci/Caδ13C ⇒ δ13Cから水利用効率推定可能

利点:
生育期間の積算的な水利用効率を反映
乾燥植物標本でも測定可
多サンプルを短時間で測定可
年輪解析では比較的長期間の経時変化を追跡可

気孔密度, DSδ13C

葉のセルロースは下位葉が固定した糖に由来 - 移動 - δ13C変化

葉内CO2拡散コンダクタンス推定
δ15N: 窒素移動
窒素固定植物: Nは土壌と大気から ↔ 非窒素固定植物: 土壌からのみ
植物: 硝酸吸収ではN同位体分別殆どない ↔ 根・葉の硝酸還元では分別大

δ15Nを窒素固定をしない植物と比較し窒素固定由来窒素量を推定

植物サンプル
試料: 60-80°Cで乾燥 → 40 μm程度に粉砕

同位体組成は乾燥させれば分解起こらず殆ど変化しない

測定: 1サンプルあたり0.05mg/N程度必要

植物根: 土壌窒素含量によるが2-10mg
窒素含量低めに見積もり0.4% ⇒ 「乾燥重量」で12.5 mg/sample ⇒ 乾燥重量で≈ 20 mgとなるよう採取 ⇒ 湿重20倍程度想定 = 1 g欲しい

δ18O, δD: 水利用

生態系内・間物質移動

炭素濃縮係数 0.8‰ - 餌資源を反映
窒素濃縮係数(CN) 3.3-3.4‰ - 栄養段階を反映

栄養段階, tl = (δ15Ntarget - δ15Nstd)/CN + 1

target: 対象種
std: 標準 (生産者)

窒素循環 (nitrogen cycle)


地球レベル → 穀物輸入 = 窒素移入 ⇒ 穀物輸入大国(Ex. 日本)に窒素集積
窒素 (N): タンパク質、核酸、葉緑素、ATP等の構成元素

植物の窒素取込、葉緑素合成には鉄が必要 → 海洋では鉄循環が重要

大気中79% = N2 → 特定生物以外は直接空中窒素を利用できない
→ 土壌中可溶N (NH4+, NO2-, NO3-等)利用 → 食物連鎖 → 他生物へ循環

植物成長に光・水制限ない → 生産性は土壌中無機N量により規制
N供給十分 → K, P, S, Mg, Mo等微量養分が制限要因

(Postage 1978)

A. (空中)窒素固定 nitrogen fixation

同化的硝化還元: 硝酸塩 → 亜硝酸 → アンモニア → 窒素を含む生体高分子
1. 空中放電・火山活動
生物非関与空中窒素固定
雷等で化学変化が起こり土中にNO3-が供給される (工業的窒素固定含む)

根圏

2. 生物による窒素固定
空中(遊離)窒素を直接利用し窒素化合物作る(原核生物のみ)

1986 Hellriegel: マメ科根粒による空中窒素固定証明
1888 Beijerink: 根粒 root tubercle (nodule)から根粒菌単離成功

窒素固定に大量のエネルギー供給必要

ニトロゲナーゼ nitrogenase
N2 + 16ATP + 8e- + 8H+ → 2NH3 + H2 + 16ADP + 16Pi
→ 1分子Nガス還元には少なくとも16分子ATP必要
→ 光合成獲得エネルギーの20%を使うという報告もある

窒素固定産物のアンモニア供給されると窒素固定やめアンモニア吸収
a. 共生的窒素固定(一部土壌細菌) = 土壌微生物: 1 gの土に1億の微生物
i. 根粒菌 rhizobia, leguminous bacteria, root nodule bacteria
マメ科植物と共生
一部共生的窒素固定菌は宿主を離れ独立性窒素固定菌として生育できるが大半は単独生存できない
= 宿主特異性高

Rhizobium: R. melioti, R. leguminosarum biovar. viciae エンドウ菌
Bradyrhizobium: B. japonicum及びB. elkanii共にダイズ菌
Azorhizobium
(これら3属は以前1属Rhizobiumとした)

共生利益

植物: 窒素が制限要因とならない
細菌: 土中の根粒菌捕食微生物から身を守る + 植物中の養分利用可能

根粒 root nodule: 土中根粒菌が植物根に侵入し形成される瘤状組織 - 根粒菌は根粒中で生活(共生)

根粒中の根粒菌は根粒崩壊後土に戻る
土壌中では腐生的生活(土壌や植物から供給される有機物を酸化し生活)と思われる
共生マメ科植物は窒素に富む緑肥(レンゲソウ、ウマゴヤシ等)とし利用

ii. エンドファイト窒素固定菌 N2-fixing endophyte
根・(茎・葉)内部に窒素固定菌が生育する

Ex. サトウキビ等のイネ科植物、ヤシ、チャ、コーヒー
Ex. Acetobacter, Azospirillum, Alcaligenes (β-プロテオバクテリア)

iii. 放線菌 Frankia: 木本植物と共生し根粒形成 → 空中窒素固定

Alnus (ハンノキ) Ex. A. japonica, A. hirsuta, A. firma
Myrica (ヤマモモ) Ex. M. rubra (syn. Morella rubra), M. gale
Elaeagnus (グミ) Ex. E. umbellata, E. pungens
Cycas (ソテツ) Ex. C. revoluta
Coriaria (ドクウツギ) Ex. Coriaria japonica
Casuarina (モクマオウ) Ex. C. equisetifolia

iv. 不明: 複数種(細菌と糸状菌など)の可能性

Podocarpaceae Ex. Podocarpus macrophyllus (イヌマキ), Nageia nagi (ナギ)
Cupressaceae Ex. Sciadopitys verticillata (コウヤマキ)

b. 独立性窒素固定 (≈ 非共生的窒素固定)
絶対嫌気性細菌: 酸性土壌多 - 地質の比較的固いO2ない嫌気的環境

Clostridium, Desulfovibrio, Desulfotomaculum

通性嫌気性細菌 Ex. Klebisiella, Bacillus
好気性: 中性土壌多 - O2が比較的多量にある好気的環境

Azotobacter, Azomonas, Beijerinckia

藍藻植物の一部 Ex. Nostoc, Anabaena, Gloeocapsa

B. 窒素同化 nitrogen assimilation

無機窒素化合物(硝酸等)を有機窒素化合物(アミノ酸等)にする過程
窒素分子(N2)は反応性乏しい
1. 硝化作用/硝酸化成作用 nitrification
a. NH4+ → [亜硝酸菌] → NO2- → [硝酸菌] → NO3-

アンモニア酸化菌(亜硝酸菌): Nitrosomonas, Nitorosococcus, Nitrosospira, Nitrosolobus, Nitrosovibrio
亜硝酸酸化菌(硝酸菌): Nitrobacter, Nitrospira
⇒ 農業: アンモニア施肥により増やせる

b. NH4+ → [亜硝酸還元菌] → NO2- → [硝酸還元菌] → NO3-
c. 還元型フェレドキシン(Fdred): 亜硝酸を6電子を使いNH3に還元

NO2- + 6Fdred + 8H+ → NH4+ + 6Fdox + 2H2O
NO2- + 6H+ + 6e- → NH3 + H2O + OH-

2. アミノ化
最初のアミノ酸(amino acid)が作られる反応
NH4+が呼吸中間物質のケトグルタル酸と結合しグルタミン酸(Glu)になる過程
a. COOH-C(=O)-CH-CH-COOH (α-ケトグルタル酸) + NHDH + H+ + NH3

⇔ [グルタミン酸脱水素酵素] → COOH-CHNH2-CH2-CH2-CH2 (L-Glu) + NAD+ + H2O

b. COOH-CHNH2-CH2-CH2-COOH (L-グルタミン酸) + COOH-C(=O)-CH-COOH (オキザロ酢酸)

⇔ [グルタミン酸トランスアミナーゼ] ⇔

c. COOH-C(=O)-CH2=CH2-COOH (α-ケトグルタル酸) + COOH-CHNH2-CH2-COOH (L-アスパラギン酸)
3. アミノ酸合成
アミノ酸転移反応: 様々なアミノ酸ができる過程
グルタミン酸のNH2基がトランスアミナーゼ(アミノ基転移酵素)の働きで様々な中間物質に渡され様々なアミノ酸を合成
a. L-アミノ酸酸化酵素 FMN

COOH-CHR-NH2 + O2 + H2O → COOH-CR=O + NH3 + H2O2
COOH-C(=O)-R + H2O2 → RCOOH + CO2 + H2O

b. アミノ化の逆反応
c. COOH-CHNH-CH-COOH (L-アスパラギン酸) → [アンモリアナーゼ] → HCCOH=CHCOOH (フマル酸)

C. 脱窒(素)作用 (denitrification)

硝酸還元菌が硝酸態窒素を窒素ガス化 - 大気へ (普通土壌少、水田旺盛)
硝酸還元 (nitrate reduction)/亜硝酸還元 (nitrite reduction)

NO3 → NO2 → (HNO)2 → NH2OH → NH3
                      hyponitrate              hydroxylamine

脱窒菌の働きで主に硝酸態窒素(NO3-)がN2または亜酸化窒素(N2O)に還元され大気中に放出される現象

NO3- → NO2- → NO → N2O → N2

微生物中にはガス状N2を作り出し放出するもの(脱窒素細菌, 脱窒菌)がある

Pseudomonas denitrificans, Paracoccus denitrificans
Thiobacillus denitrificans: 硫黄参加 → 硝酸塩還元

5S + 6KNO3 + 2H2O → K2SO4 + 4KHSO4 + 3N2


排出物質生成

アンモニア化成作用(生成作用): 窒素循環中、動植物遺体・排出物等の有機窒素化合物が、土壌微生物に分解されアンモニア(NH3)に変化する過程
プリン分解
adenine アデニン   guanine グアニン
    ↓ アデナーゼ                ↓グアナーゼ
hypoxanthine____ xanthine____ uric acid
___ヒポキサンチン_____キサンチン_______________尿酸
_________________├ キサンチン酸化酵素 ┤_________↓ウリカーゼ
allantoic acid ←アラントイナーゼ← allantoin
______アラントイン酸___________________アラントイン
__ ↓アラントイガーゼ
CHO-COOH + CO(NH2)3 → CO2 + NH3
グリオキシル酸_尿素_├ウレアーゼ┤

NH3は細菌、菌類、放線菌が摂取利用

水田
乾土(土壌乾燥)効果: 水田乾土に水加えると微生物活性によりNH3発生

土壌風乾後に再び適当に水分補給 → 以前より著しく多量にNH3生成

地温上昇効果: 水田温度上昇すると無機化促進
アルカリ効果: 石灰を加え湛水すると有機物分解促進

炭素循環 (carbon cycle)


生物圏-岩石圏-水圏-大気圏間の炭素交換 → 炭素保管庫 reserver
陸上生態系における炭素循環
  大気中のCO2・水中のCO2
  光合成┃呼吸
   [ 植食植物 ]         ↑呼吸          ↑呼吸
   [光合成細菌] →[草食動物] ──→[肉食動物]
       ││        摂食 │     捕食     │
       ↓└───→枯死 └→排出・死体←┘
    堆積・炭化─→ 堆積・炭化─┴─→[微生物]
    石油・石炭
CO2放出

腐敗菌による分解 ≈ 1.5 × 1011 C t/yr
呼吸 ≈ 0.3 × 1011 t/yr

光エネルギー: 5 × 1020 kcal/yr: 約50%が赤外線であり、残り50%中の60%程度を植物が利用

植物利用光エネルギー = 1.5 × 1020 kcal/yr
実際利用するのは1.5 × 1018 kcal/yr → 炭素固定量なら1.5 × 1011 C t

メタン循環 (methane cycle)

CH4発生 : 汚水 → 清流生息生物はO2不足で生息不可

Ex. 生活廃水・排泄物等流入ドブ川(化学物質考えない)

生活排水 = ある細菌には栄養分(有機物)豊富

高栄養分水流入 → 空気接触面(水表面)で有機物を空気中酸素で酸化しエネルギーにする従属栄養細菌増殖(好気性菌) → 溶存酸素(DO)減少 + 水に溶け込む酸素量減少 = 嫌気性条件下 (水表面近くで普通細菌が殖えると表面以下の水の中は嫌気性) → 嫌気性環境では好気性細菌は酸素不足で生存不可

嫌気性環境: 嫌気性(従属栄養)細菌が有機物を栄養分として利用し増殖開始
嫌気性菌増殖 → 水環境は更にDO少ない嫌気性状態 → 通常細菌生存不可

農薬循環 agrichemical cycle


農薬未使用の砂漠や草原土壌: 最高2.3 ppm、平均1.6 ppmのDDT検出(Edwards 1970)
農薬は一部が大気中にドリフト(微粒子)拡散し土壌浸透後の揮発等で大気中に含まれ、大気中ダストにより世界中へ移動 (Peterle 1969)

南極大陸でpp'-DDTが0.04 ppb検出
強風により巻き上げられる殺虫剤を含む埃も無視できない

水系汚染 → 水田を大規模に有する国で大問題(Ex. 日本)
水溶性低い農薬ほど底性沈殿物に早く吸収される。止水では水中で検出される農薬残留物は僅かだが、大部分が底性沈殿物となり、豪雨等で撹乱されると急速に水中に表れ漁業被害等として表れる

生態濃縮 (biomagnification)

汚染物質が生態系中へ入り食物連鎖により高位消費者へ移る時に高率で濃縮されること
生体内難分解性物質・放射性物質が、食物連鎖により選択的に濃縮される
地表面や湖底表面に蓄積 → 生物に直接吸収され体内脂肪に残留 → 食物連鎖を通し濃縮

Ex. 有機塩素系農業(DDT, BHC)、PCB、重金属化合物
環境省: 魚介類等を指標生物にモニタリング実施

北極のワモンアザラシ・ホッキョクグマ脂肪から高濃度PCB検出

陸上より多生物種が長い食物連鎖を作る水界で生物濃縮顕著
海: 多種が複雑食物網 + 多魚が広範囲回遊 + プランクトン豊富な北極周辺は多種魚集まる好漁場
→ アザラシ: 海の食物連鎖中最高位栄養段階 = 大量の魚捕食 → ホッキョクグマ: アザラシが主餌
哺乳類(アザラシ・クマ)は母乳育児 → 食物通じ母親体内残留物質が母から子供へ濃縮

地球上で最もPCB汚染された人々 = 自然豊かなグリーンランド西方の島々

食糧の多くを魚、アザラシ、ホッキョクグマに依存

  [リンゴ園 (10万ha)]    [湖底泥   ] × 30  [底生端脚類]
  [       30t DDT/yr]─→[0.014 ppm]───→[  0.41 ppm]
  [コオリガモ(胸筋)]←───┬─────────┤
  [        6.33 ppm] × 15  ↓ × 9             ↓ × 14
  [セグロカモメ       ]  [サケ幼魚]         [マス   ]
  [         99.0 ppm  ]  [3.35 ppm]         [5.6 ppm]
  [  脳     20.8 ppm  ] ←─┘ × 27
  [  体脂肪 2441 ppm  ]
図. ミシガン湖における流亡DDTの生物濃縮 (Hickey et al. 1966)。セグロカモメは、30 × 9 × 27 = 7290倍の濃縮となっている

湿重当り(1g当たり) → エサとしての生物の汚染度を表す
脂肪重当り(脂肪1g当たり) → 生物間の汚染度の比較に使う

農薬・殺虫剤使用量減らしても生物濃縮進む Ex. BHC使用禁止後も牛乳等に高農薬残留

→ 土壌・海底等中に蓄積された薬剤が次々濃縮され、人間を含む生物体内蓄積増える(Cox 1970)

ポストハーベスト post-harvest: 農産物輸送・保存中の変質、虫害防止に収穫後用いる薬剤

殺虫剤、防カビ剤、防腐剤、変質防止剤など千種類以上
「食品衛生法」 103種類に農薬残留基準定め規制 ↔ 輸入農作物は禁止薬物使用可能性

海洋生態学 (ocean ecology)


marine 一次生産: 北極海の低生産力は植物プランクトン生産力差に加え、短増殖期間関与。南極海はbloom状態呈したり、北極海の1 gc/m²に比べ生産力高く、局部的差異目立つ。一次生産にphytoplanktonが大きな役割果たす
二次生産: 動物プランクトンzooplanktonは一次生産に付随し、周期変動もphytoplanktonに遅れ起こる。南極域ではzooplankton中で最も重要なものにオキアミ(ca 80 spp.)がある。Ex. ヒゲクジラとオキアミの分布は概ね一致
野外調査法
  1. 記録: 事前に潮位は調べておく
    準備: 描画器、接銀マイクロメーター、スケッチ用紙、筆記用具、ピンセット、剃刀刃、(カバーグラス、スライドグラス)、標本作製紙、野冊、タガネ、軍手、サラシ、(白衣)、洗面具、衣類、雨具、英和辞典。(セーター、アノラック等必要。日用品十分用意)
  2. 電波探知器: 海藻群落の成層映像撮れる
ランバート・ベーア則 (Lambert-Beer law)
= ランバート則(光強度 ∝ 吸収層厚) + ベーア則(光強度 ∝ 濃度)

log(I/I0) = -KD

I: 光強度、I0: 直達光強度(D = 0)、K: 吸光係数(濃度)、D: 吸収層厚

D = 要面積指数(leaf area index, LAI) ⇒ 植物群集での日射減衰

補償深度 compensation depth: 水深 ⇒ 有機物生産(光合成) = 消費(呼吸)

日補償深度: 夜間呼吸含めた1日の補償深度(通常はこれを意味)
(経験則: 表層入射太陽光が1%に減じる水深)

補色適応説(Engelmann 1884)
ある深さでは、その深さに達する波長光を吸収する補助色素(フコキサンチン、フコエリトリン等)を持つものが生育に有利。海藻分布は到達光色と補色関係があり、紅藻・褐藻は短波長光を有効利用でき深所に生息可能。他に光量や酸素量等の要素が組み合わさり、海藻垂直分布は決定される

浅所: 緑藻類(Chl a, b, カロチン, キサントフィル) 例外: アサクサノリ(紅藻) = 浅い水面

深所: 褐藻類(Chl a, b, フコキサンチン)、紅藻類(Chl a, d, フィコエリトリン, フィコシアニン)

Codiumミル(緑藻): シフォネイン、シフォキサンチン(キサントフィル色素)を持ち、深所にも生息可能

marine

沿岸帯 (littoral zone)

成帯構造: 殆どの沿岸群集で3帯発達
↓ 潮上帯 supratidal zone (supralittoral zone)
↓ 真潮間帯 eulittoral zone

潮間帯 intertidal zone (tidal zone): 高潮線(大潮最高高潮線)と低潮線(大潮最低低潮線)に挟まれた海浜部

↓ 亜潮間帯 sublittoral zone
要因: 1, 潮汐原因説. 2, 物理化学的要因説(しぶき、塩分濃度勾配) タイドプール (潮溜り) tide pool (rock pool, 英)

独特な生態系を構成

水生生物 (aquatic organism)

生育型 → 水の動き(水流)が重要
プランクトン(浮遊生物) plankton: 遊泳能力を欠くか極めて小さく、水流により運ばれる(クラゲ・プランクトン)

メロプランクトン meroplankton (n) (meroplanktonic, adj.)

ネクトン (遊泳動物) necton or nekton: 遊泳力強い動物群(魚類・イカ・タコ)
ベントス(底生生物) benthos: 水底に固着、あるいは這って生活する(海藻・水草・フジツボ・ウニ・ナマコ)

定着地: 外生(表生) epifauna (ectobiose) vs 内生 infauna (endobiose)
移動性: 固着型 sessile benthos vs 移動型 vagiles benthos

+ セストン seston: プランクトンや浮遊している生物の死骸とその分解産物、土砂・粘土等の微粒子

海産種子植物(海草)種子

水流帯
多くの海藻は複数の帯にまたがり生育
  1. 流動帯 current zone: 水中の大部分。水の移動方向がほぼ安定
  2. 波動帯 surge zone: 海底の(摩擦の)影響を受ける部分。波による水の振幅がある
    葉状体を水面近くに保つため気胞を持つ種が多い Ex. Macrocystis
  3. 境界層 boundary layer: 水流帯の最下部で厚さ2 cm程度の部分。海底との摩擦のため水の動きは遅い
    殻状型(枕状型)、糸状型、薄葉状型が優占できる

臼尻
2013年7月7日 臼尻

遷移 (succession)

群集を作る比較的大きい空間形成後、その空間を占める群集組成が時間と共に変化すること

Ex. 珪藻類 → 成長速度の速い藻類 + 付着動物 → 大型藻類

促進モデル facilitation model: 後に優占する種は前に優占した種により決められる
耐性モデル tolerance model: 後に優占する種は前に優占した種と無関係
抑制モデル inhibition model: 後に優占する種は前に優占する種が消えるまで優占しない

環境問題

海洋汚染
河川からの汚濁物質流入、船舶からの油流出、廃棄物海洋投棄等が原因

PCB・水銀等の生物濃縮性物質による海洋汚染 → 魚介類への影響大 + 食物連鎖 → 人へ
タンカー事故による海洋汚染の例
1989: エクソン・バルディーズ号座礁
1997.1: ナホトカ号が島根県隠岐島沖で座礁し大量の重油が流出

Case. 海における異常発生: 水質悪化が一因
赤潮 red tide: (植物)プランクトン大量発生し水の色が赤っぽく変色する現象

原因: 富栄養化 = 窒素・リン等プランクトン増殖に必要な栄養塩類過剰

密度: > 1000 cells/1 ml or 500 mg chlorophyll a/m3が目安

植物プランクトン phytoplankton

藍藻類 Cyanophyta: Trichodesmium, Anabaena, Microcystis
珪藻類 Baccillariophyta: Skeletonema, Thallasionema, Chaetoceras, Coscinodiscus, etc.
緑藻類 Chlorophyta: Volvox, Scenedesmus

動物プランクトン zooplankton

原生動物 Protozoa、有鞭毛虫 Mastigophora

被害に関する説: 魚類等に大きな被害(漁業)
  1. 多数の赤潮生物が、自身の増殖で水中栄養塩類使い果たし死亡し、腐敗し水中酸素消費や、硫化水素のような毒性ガスやプトマイシンの様な毒物発生のため他生物を逃避させ、定着性のものを殺す。赤潮生物に毒物質存在し、これが他生物を殺す(古くから海外で報告)
  2. 死細胞腐敗起こらなくても赤潮生物中に多量粘液分泌生物がいて、他生物の鰓に付着、被覆窒息させ、また赤潮生物の刺激で他生物自身の鰓から多量の粘液が分泌され鰓を覆い窒息に至る場合
  3. 赤潮生物大量死滅腐敗 → 二次的に有毒細菌増加し害与える可能性
  4. 植物プランクトンが濃密に集まると魚類回遊を妨げる (機構不明)
赤潮の発生機構: 不明な点が多い
a. 発生現地状況
  1. 細胞の集積機構 - 波力・対流、物理的細胞収縮機構
  2. 細胞分裂測度異常 - 生理的機構解明が必要
  3. 低層無酸素化現象 - 低酸素水塊の存在。Huminの集中
  4. 降雨の影響
  5. 工場廃水・都市廃水の影響 - 海水の富栄養化・有機汚染
b. 赤潮生物の生理・生態

赤潮生物の培養が可能となり生理・生態学からのアプローチが飛躍的に発展

青潮 blue tide
プランクトンが赤潮で死亡 → 海底に沈む → 分解時に大量酸素消費
低酸素濃度海水が海面に上昇 → 青白い = 青潮

⇒ 低酸素 + 硫化水素(有毒)発生 → 生態系被害

白化現象
サンゴが色あせ白っぽくなる現象

サンゴ: 体内の褐虫藻が光合成行う → サンゴ生息適温 = 25-29°C

海水温2°C↑ → 褐虫藻がサンゴから出る = 色抜ける → 褐虫藻戻らないとサンゴ死滅

インド洋・紅海・カリブ海等、世界40 ヵ所のサンゴ礁で多発
[日本] 沖縄・鹿児島を中心に広がる
海水温上昇原因: 97.4-98.6に起きたエルニーニョ → 温暖化により白化現象増加予測

[ 海洋気象 | 海洋気候 ]

海洋循環 ocean circulation


北極海 Arctic ocean: 大陸に囲まれ独立した大海。北極表層水だけからなる海域をArctic sea、北極表層水と他海との混合水の域をsubarctic seaと区分し、plankton量はsubarctic seaの方が著しく多い
南極海 Antarctic ocean: 太平洋・大西洋・インド洋の一部で、一般にAntarctic convergenceとAntarctic Continent間の海。栄養塩差が北極海と比べ高く、北極海が生物生産量の小さな海に対し南大洋は生産性に富む海域
海流
海洋における海水の運動のうち主に水平方向の運動

生物移動 - プランクトン
水質変化 - 水温、栄養塩、溶存ガス

海洋物質循環

大気との関係重要
メタンハイドレード methane hydrate
深海等、低温高圧中で水分子が複数結合し多面体クラスタ(かご)になり、中にメタンを封じ込めた状態
日本近海: 大量のメタンハイドレード埋蔵推定
商業ベースに乗るコストでメタンハイドレード利用には現段階では技術的問題あり不可能

炭素循環 carbon cycle

生物地球化学レベルの炭素循環: 海中固定の方が陸上より多いと推定(海中0.15 × 1011 t(C))される
大気中炭素除去
  1. 光合成
  2. 海洋表層がCO2を溶かし込む(溶解ポンプと生物ポンプ)
大気中炭素放出(増加)
  1. 呼吸
  2. 生物の分解(腐敗) → CO2やメタン放出
  3. 有機物燃焼によるCO2排出 (Ex. 化石燃料)
  4. 石灰岩反応による放出
  5. 海洋表層での大気への放出(水に溶解したCO2は温暖な海域では放出されやすい)
  6. 火山活動
溶解ポンプ
水温変動で海面を通しCO2が出入りすること
水温1°C↓ → 解離していないCO2濃度(分圧)約4%↓ → 大気平衡 = 全炭酸濃度約0.4%↑
→ 溶解ポンプ
Case. 全海洋水温を1°C↓ → 大気中CO2濃度や大気海洋間CO2の濃度差(分圧差)等、他条件は全て同

→ 海洋の全炭酸は少なくとも100 Gt増える

氷期・間氷期間大気中CO2量の差は220 Gt程度
大気中CO2が海水に溶ければ、その分は大気中濃度減る → 溶解ポンプでは多くは溶け込めない
+ 氷期に120 m分の氷が極域に発達 → 塩分 1 ↑ 水温1°C上昇と同効果
生物ポンプ
海洋表層(有光層)から内部へ生物学的に炭素輸送する経路
炭素は主に粒子状態(Ex. 生物遺骸, 藻類マット)や動物糞粒の状態で沈降し運ばれる
+ 一部炭素は溶解した有機炭素(DOC)となり、沈降流という物理的運搬過程で海底に運ばれる

軟組織ポンプ: 有機炭素(全生物の構成物質)の運搬部分
硬組織ポンプ: 無機炭素(Ex. 石灰質ナノプランクトンや有孔虫 = カルシウム殻)の運搬部分

有機物質 → バクテリア呼吸作用等により、有機炭素から溶存CO2となって海水に戻される
炭酸カルシウム → 局所的な炭酸塩の化学過程に依存
これらの過程は、普通光合成過程より遅く、生物ポンプは炭素を表層から海洋の深部へ運ぶことになる
生物ポンプは溶解ポンプやアルカリポンプと関連する(関連プロセス = 大陸棚ポンプ, 仮説段階)

リン循環 phosphorus cycle

Phosphorus
海洋鉄散布実験
北太平洋亜寒帯 中規模鉄濃度調節実験
2001. SEEDS I: 西部
2004. SEEDS II: 西部
2002. SERIES: 東部
→ 計11回散布

(Redfield A (1890-1983) 1958)

レッドフィールド比 (Redfield ratio)
プランクトン元素比: C:N:P = 106:16:1 (元素比) ⇒

C:N = 6.6:1
C:P = 106:1
N:P = 海洋深層水中の硝酸イオンとリン酸イオンの比と一致(ほぼ一定)

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