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天災は忘れた頃にやって来る災害科学 disaster science災害引き起こす現象(地震・噴火等)発生から災害発生推移を総合的に理解し得た知見を防災・減災に生かす科学
災害(天災)= disaster: 突然起こる大規模災害 ≈ 天変地異 + 人災 暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害 自然災害natural disaster (natural hazards)の構造
誘因・外力(破壊力)
| | 地域的素因
| | 災害 Ex. 地震: ↘山地 = 地滑・山崩・土石流 ↘丘陵・台地 = 崖崩 ↘扇状地 = 土石流 ↘低地 = 軟弱地盤(シルト・粘土層)・液状化 災害区分
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災害期間突発的災害: 大風、竜巻、高潮、洪水、雪崩 ↔ 長期的災害: 長雨、旱魃、冷害、疫病、飢饉シビアアクシデント(過酷事故, severe accident)想定した設計基準事象を大きく超える事故・災害 → シビアアクシデント解析≈ 原子力関連施設の大規模事故
チェルノブイリ, スリーマイル島, 福島第一原発 |
[火山]
表. 記録に残る世界の大規模災害をもたらした主な噴火
火山名 噴火年 死者数 備考 メラピ(Indonesia) ?1006 1000 火砕流・火山泥流 mudflow 長白山 ?11C 世界最大級噴火(詳細不明) エトナ(Italy) 1169 15000 爆発的噴火・溶岩流 ケルート(Indonesia) 1586 10000 火山泥流 ベスビオス(Italy) 1631 ?18000 爆発的噴火・溶岩/火山泥流 エトナ(Italy) 1669 ?10000 Catania市に溶岩流 メラピ(Indonesia) 1672 300 熱雲・火山泥流 アウ(Indonesia) 1711 3200 火山泥流 パパンダヤン(Indonesia) 1722 2957 山体崩壊 渡島大島(日本) 1741 >1467 津波 浅間山(日本) 1783 1377 熱雲・洪水 ラカギガル(Iceland) 1783 10000 大規模溶岩流(餓死発生) 雲仙岳(日本) 1792 15190 山体崩壊・津波発生 アウ(Indonesia) 1856 2800 火山泥流 アウ(Indonesia) 1892 1500 熱雲・火山泥流 モンプレー(West Indies) 1902 28000 St. Pierre市に熱雲 ラミントン 1951 3000 爆発的噴火・熱雲 (Papua New Guinea) アグン(インドネシア) 1963 2000 熱雲・火山泥流 火山噴火と他の自然災害との違い (荒牧 1997)
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表. 1868年以降日本で発生した防災上の主要火山噴火
期間(開始点) 火山 (死者) |
地震学 seismology地震 earthquake (→ 月震 moonquake)地震記録 seismogramP波 P wave, primary wave (縦波, 疎密波)縦波: 押したり引いたりする波 = 縦方向に力 → 早い 最初の振幅の小さい波, 伝播速度(km/sec) vp = √(k + 4/3·m)/ρ S波 S wave, secondary wave (横波) 横波: 振動の向きが波の方向に直角 → P波より遅い k: 媒質体積弾性率(圧力による密度変化), m: 剛性率, ρ: 密度 → vp > vs → 初期微動継続時間(S-P時間) ≡ P波のみの継続時間(t) Def. 表面波: 地球表面に捕捉された波
ラブ波 Love wave ≈ S波 → 観測点-震源間距離(km), L = (vp·vs)/(vp – vs)·t k := (vp·vs)/(vp – vs) → L = kt
Eq. 大森公式: 震源浅い場合 k = 7.42で概ね成立 [別法] ポアソン比(σ)を使う → σ = (vp2 – 2vs2)/{2/(vp2 – vs2} 震源 earthquake foci地震発生位置 → 震央 epicenter: 震源真上の地表地点 (垂直分布深, km)浅発地震 shallow earthquake: 70-300 (大部分の地震 > 数10) = 花崗岩質層 深発地震 deep earthquake: 300-700 (既知最深 = 700) 地理的分布 = 地震帯 → 火山帯(相補的): 火山活動があると地震回数減→ 火山は地震の安全弁? 走時曲線 travel-time curve
地震波 = 反射屈折 → スネルの法則 → 地下部に層状構造存在[モホ面] 近距離発生地震: 走時曲線の折れ曲がり観察(図) 遠距離発生地震(震央距離は角距離で表すこと多) 走時曲線折れ曲がり + シャドウゾーン + S波消失 地震発生機構未詳部分多: 地殻体積変化が要因
初動波(P波): 直線上動く → 震源に向かい引く動きか震源から押す動きの2種類 力源モデル: 偶力が地下岩盤の1点に働き破壊が起こる
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多重震源 (マルティプルショック) 大地震 → 震源断層面が連続的に発生 → 1つの大地震は複数の地震の重なりで発生(多重震源モデル)
群発地震前震 foreshock: 本震直前に震源近くに起こる地震本震 principal earthquake: 中心となる地震 余震 afterquake (aftershock): 震源断層面の拡大や破壊による地震 大規模地震の余震は数年続くと考ええるべき → 群発地震 earthquake swarm: 本震といえるピークが複数ある地震 Ex. 2000年有珠山噴火時の群発地震サイレント地震(ゆっくり地震): 震源断層面の動きが遅く震度は小さいがマグニチュードは大きな地震 異常震域: 震央より離れたところで高い震度 ↔ 一般に震度は震央から離れるにつれ同心円状に低下
Ex. 1973 ロシア東海岸地震: 日本海側 = 震度1-2 ↔ 太平洋側 = 2-3 地震エネルギー地震エネルギー (E) =地震波 E (+ 津波 E + 地殻変動 E + 摩擦熱 E + その他歪 E) 通常は、地震波エネルギー(E)を扱うlogE = 11.8 + 1.5M (→ E = 10(11.8 + 1.5M) M: magnitude [経験式] → M = 1↑ → ≈ E × 30倍 Ex. logE = 11.8 + 1.5 × (9.5) = 20.65 ∴ 1.12 × 1026 erg グーテンベルグ-リヒターの式: 大地震 = 発生低頻度 → 小地震 = 高頻度→ FM-1 = alog(FM) + b Fi: マグニチュードiの地震の発生頻度 マグニチュード (earthquake) magnitude, M or m= 地震発生に伴う放出エネルギースケール(亜量的変量)地震計 seismometer 発達 → マグニチュード測定精度方法変化 地震計: 地震動記録装置 ⇒ (計測)震度計: 震度算出可地震計
多数観測値平均値から決定 → 地震波種類、深さ、観測条件等の違いに対応し各種公式提案
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震度 intensity, I体感・物揺れ具合を元とした振動の強さ(質的変数)ガル: 地動の最大化速度の目安値 気象庁: 全国600個所に震度計設置 → 体感・行動、屋内・屋外状況= 体感・物の揺れ具合に基づく必要なし + 迅速な発表可能 液状化現象 liquefaction噴砂跡形成多く過去の地震を知る指標ともなる水分を含み緩く詰まった砂の地層(通常は砂粒が互いに噛み合わさり安定) → [地震] → 地層液状化(揺れにより砂粒噛み合わせ緩み粒バラバラになる) 噴砂: 液状化により地面亀裂からすなが噴出すこと → 砂粒沈殿し密に詰まるDef. 断層 fault: 地下岩盤に力が加わり生じる地盤のずれ ☛ 断層
震源断層 earthquake source fault: 震源となる断層 Def2. 第四紀中に活動した証拠のある全断層 日本に2000以上: 活断層は成長する → 地震多発地帯 日本学術会議「活断層法」を政府に提案 (1972 米国CA州で制定)■■■ Sランク(高い): 30年以内の地震発生確率 > 3% 2024年1月25日公表 ■■■ Aランク(やや高い): 0.1-3% ■■■ Zランク: < 0.1% (活断層存在 → 当該地域で大地震発生する可能性) ■■■ Xランク: 地震発生確率不明(過去地震データ少ないため確率評価困難) • 一断層帯中、活動区間によりランクが異なる場合がある • 全ランクで直近の地震発生は否定できない。低確率値 ≠ 地震非発生 • 新知見が得られれば、発生確率は変わることがある
Sランク活動区間を含む断層帯に吹き出し 〇 ランクに関わらず、どこでも地震による強い揺れに見舞われる恐れがある
和泉山地南側: 5 m/1000年 – 大地震記録なし 日本地震活動期416 允恭地震 日本書紀(日本最古記録) - 規模不明599 推古地震 建造物倒壊 - M不明(7?) 684.11.29 白鳳地震(南海地震) M8.0-8.3 869. 7. 9 貞観三陸地震 M8.3-8.6 880.10.14 出雲地震 M7.0 887. 8.26 仁和地震(南海地震) M8.0-8.5 1023 万寿地震 M7.6 1096.12.17 永長地震(東海地震) M8.0-8.5 1099. 2.22 康和地震(南海地震) M8.0-8.5, 南海トラフ 1241. 4. 3(仁治 2) 鎌倉大地震 ≈ M7 1257. 8. 1(仁治 2) 鎌倉大地震 ≈ M7 (震源 = 相模湾) 1293. 5.20(正応6) 鎌倉大地震 ≥ M7.1, 死者 > 20000 1361. 8. 3(正平16) 康安地震(南海地震) M8.1-8.5 1420. 8.10(応永27) 関東大震災 ≈ M7 1498. 9.20(明応 7) 明応地震(東南海・東海地震) M8.2-8.4, 南海トラフ 1586. 1.18(天正13) 天正大地震 M7.8-8.1 1596 慶長伊予・豊後・伏見地震
1596.9.1 慶長伊予地震 M7.0
1596.9.4 慶長豊後地震 M7.0-7.8 1611. 9.27 会津地震 M6.9 1611.12. 2 慶長三陸地震 M8.1 1619 熊本・八代地震: 数時間後に大分でも地震 1625 広島・愛媛・熊本: 地震 (- 中央構造断層帯) 1633 小田原: 地震・津波 1662. 6.16 寛文近江・若狭地震 M8.1? 1703.12.31 元禄(関東)地震 M8.1 1707.10.28 宝永地震(東海-南海-東南海連動型地震) M8.4-8.7 1751. 5.21 高田地震(越後・越中地震) M7.0-7.4 1766. 3. 8 津軽地震 M6.9 1771. 4.24 八重山地震 M7.4-8.0 → 明和の大津波 1828.12.18 越後三条地震 M6.9 1834. 2.19(旧暦 天保5.1.1) 石狩地震 M6.4, 液状化(北大構内にも液状化跡) + 津波(実際はなかった) 1843. 4.25 十勝沖地震 M8.01847. 5. 8 善光寺地震 M7.4 1854. 7. 9 伊賀上野地震(伊賀-伊勢-大和地震) M7.2 1854.12.23 安政東海地震(東海-東南海地震) M8.4 1855.11.11 安政江戸地震 M6.9 1891.10.28 濃尾地震 M8.0 1896. 6.15 明治三陸地震 M8.2-8.5 1923. 9. 1 関東大震災(大正関東地震) M7.9, 死者 > 100,000 1933. 3. 3 昭和三陸地震 M8.1 + 津波 1943.09.10 17:36 鳥取地震 M7.2 死者 ≈ 1083 1944.12. 7 13:36 (昭和)東南海地震 M7.9: + 津波 死者 ≈ 1223 (軍部隠蔽) 中島飛行機山方工場、三菱重工業道徳飛行機工場倒壊 - 非耐震設計 1945. 1.13 03:38 三河地震 M6.8: 死者 ≈ 2306 (軍部隠蔽)地震被害報道規制 - 行政を含めた組織的救護動実施記録なし 1946.12.21 昭和南海地震 M8.0: 死者 = 1330 + 津波1948. 6.28 福井地震 M7.1 1952. 3. 4 十勝沖地震 M8.2 1995. 1.17(火) 阪神淡路地震(兵庫県南部地震): 死者6,434 2003. 9.26 十勝沖地震 M8.0 2004.10.23(土) 新潟県中越地震: 複合災害顕著 2007. 3.25(日) 能登半島地震 2007. 7.16 新潟県中越沖地震 2011. 3.11 (金) 東日本大地震 (the Great East Japan Earthquake) 震源三陸沖 - M9.0 ⇒ 東北地方太平洋沖地震 + 津波 + 余震 死者・行方不明者数 > 2万人 + 福島第一原発事故 2018. 9. 6 (03:07) (木) 胆振東部地震 (the Eastern Iburi Earthquake)
震源胆振中東部震源 37 km M6.7 → 死者41名 2024. 1. 1 (16:10) 能登半島沖地震 M7.6 最大震度6弱 |
震度階 | 呼称* | ガル | 体感・行動 | 屋内状況 | 屋外の状況 |
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0 | 無感 | < 0.8 | 計器だけ感じる | ||
1 | 微震 | 0.8-2.5 | 敏感な人が感じる | ||
2 | 軽震 | 2.5-8.0 | 殆どの人が感じる | 電灯等吊下物が僅かに揺れる | |
3 | 弱震 | 8.0-25 | 家の揺れを感じる | 棚にある食器類が音を立てることがある | 電線が少し揺れる |
4 | 中震 | 25-80 | 殆ど人が驚く | 吊下物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が倒れることがある | 電線が大きく揺れる。自動車を運転していて揺れに気付く人がいる |
5 | 強震 | 80-250 | |||
弱 | 大半の人が恐怖を覚える | 吊下物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動したり、不安定なものは倒れることがある | 稀に窓ガラス割れて落ちる。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害生じることがある | ||
強 | 行動に支障を感じる | 棚にある食器類や書棚の本で、落ちるもの多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある | 窓ガラス割れ落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある | ||
6 | 烈震 | 250-400 | 家倒壊、山崩れ等が起こる | ||
弱 | 立っていること困難 | 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある | ||
強 | 立っていられず、這わないと動けない。揺れに翻弄され、動くこともできず、飛ばされることもある | 固定していない家具の殆どが移動し、倒れるものが多くなる | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物多くなる。補強されていないブロック塀の殆どが崩れる | ||
7 | 激震 | > 400 | 固定していない家具の殆どが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が増える。補強されたブロック塀も破損するものがある |
地震工学 Engineering seismology震災防止・軽減目的Ex. 耐震設計 予測精度向上長期予測(まずこちら)短期予測 FM電波(VHF帯): 地震直前に電波異常変動 - 研究必要(串田 2000) 地震予知連絡会 (1969年発足) |
札幌市で想定される震度7の地震
西札幌断層: M6.7 = 深度7 (122 km2 < 震度6) 月寒断層: M7.3 = 深度7 (169 km2 < 震度6) 野幌丘陵断層帯: M7.5 = 深度7 (44 km2 < 震度6) |
原因: 多くは地震による地盤上下動
他に、海底火山噴火、海岸付近での山崩れ
Ex. 1792 島原地震 + 普賢岳噴火 → 眉山地滑り → 土砂有明湾流入 → 津波 (死者15000人)
→ 0 m地帯*増加に伴い深刻化 (* 平均満潮位より低い土地) 1896 三陸地震津波 → 死者2万人 2011.3.11 東北地方太平洋沖地震津波 ゆっくり地震(サイレント地震): 断層面が緩慢に動き震度小だがエネルギー大 → 津波に対する警戒必要 遠地津波(遠隔地津波): 遠地の大規模地震で発生する津波 → 地震感じないEx. 1960.5.22 チリ地震津波 → 日本で死者・行方不明142名 |
津波予報昔__津波警報: 大津波 > 3 m。津波 = 1-2 m____津波注意報: 津波注意 = 0.5 m 今:__大津波警報: > 3 m → 特別警報 ____津波警報: 1-3 m ____津波注意報: 0.2-1 m + 災害の恐れ 日本: 津波原因は地震多(多くは分けて災害統計とれない) 1896.06.15 明治三陸地震 ⇒ 津波 (綾里湾 38.2 m) 1933.03.03 昭和三陸沖地震 ⇒ 津波 (綾里湾 28.7 m) 1940.08.02 積丹半島沖地震 ⇒ 津波, 天塩川河口付近死者10名 1952.03.04 十勝沖地震 ⇒ 津波(道 ≈ 3 m) 1960.05.23 チリ地震津波(三陸 5-6 m), 死者不明者 142人 1993.07.12 北海道南西沖地震 ⇒ 津波(奥尻島 > 10 m) 2003.09.26 十勝沖地震 ⇒ 津波(最大 4m) 2011.03.11 東北地方太平洋沖地震 ⇒ 巨大津波(最大40 m) |
[ 小地形(侵食地形) ]
マス・ムーブメント mass movement崩落 fall: 土砂・岩石滑 slide: 土砂・岩石 + 水 流 flow: 土砂・岩石 + 多量の水 ラピッド・マス・ムーブメント高速の土石塊移動がけ崩れは崩れた高さの2-3倍の距離まで土砂が到達する 斜面崩壊Def. 地滑り(山崩れ) ≡ 地塊の一部が重力により安定を失う時の現象地滑り現象: 抵抗力が粘着抵抗を主とする
移動速度 = 大きな土石塊が長時間かけ緩慢に移動 ⇔ 山崩れ 素因: 岩質、節理・層理、変成作用、構造作用 誘因: 水文気象的要因(浸透能、地下水)、地震・火山活動、侵食、人為的要因(切取、荷重付加、貯水ダム、水路)、その他 機構 滑り面: 滑り層以上の地塊は載荷重としてほぼ平行に移動 G: 土石塊に働く重力 F: 重力の斜面方向成分
Fs: 静摩擦力 地すべり粘度: 地すべりは砂・岩屑・転石まで含まれる 分類 (高野 1960) 地すべり地形: 地形図上は貝殻を伏せたような等高線の乱れ → 発見は容易
1) 第三紀層地滑り、破砕帯地滑り、温泉地地滑り 山崩れ現象: 摩擦抵抗を主とする はげ山: 少なくなったが植生定着、森林育成には技術的に困難な場所 新生崩壊地: 大部分が山腹工事必要 旧来からの崩壊地: 現在土壌浸食の激しいものについては施工を必要とするものが多い 山崩危険地: 山崩発生を未然に防ぐことが望ましいが予測困難 予測できても山崩発生を確実に防げる施工方法を決めるのは困難。しかし、山崩が起こると大きな直接被害を与える危険地には保全工事は必要。主に渓流に防災ダムを築き被害軽減化を計る |
土壌侵食 tarrain, degradation間接的(非意図的) induced: だから問題 → 予測可能Ex. 土壌劣化 degradation、砂漠化 desertification → 現在、大規模開発では貯整池(水・土砂・砂流出防止)を設ける義務侵食は上部の侵食害のみならず下部の堆積部への影響も大 Ex. 沖縄の赤土 雨の持つポテンシャルエネルギーは気候帯間で大きく異なる 土壌流出標準値→ 行政上の値問題: 科学的根拠からではなく、結局流れたままで良い数値 同様に合州国でも許容損失速度がある E = f(R·K) = R·K·LS·P·S
E: 年間生産量(ガリー形成による) Q = 1/(3.6 × 106)·C·I·A
Q (ラショル式による流出量)
Ex. 土壌中に農薬等の残存物質が含まれる危険
→ 土壌: 非再生資源 ☛ 土砂災害防止法 土砂災害土石流氾濫域土石流出途絶える: 谷の流れは扇状地上部(扇頂部)を削り谷は深くなり側面は一段高い段丘となる ↔ 扇端部では谷底の方が高い天井川になる(扇状地面 ≈ 谷底の高さ) となる扇央部で土石流は氾濫し扇形に広がる 土石流本体は勾配2-3°で停止 → この勾配までの扇状地面が土石流氾濫域 土砂災害危険箇所土砂災害被害の恐れがある箇所 = 近くに人家がなければ指定はない
土石流危険渓流 砂漠化 desertification |
[ 気象 ]
空間的時間的スケールにより2大別
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2000. 9.11(月)-12(火) 東海豪雨
2004. 7.13(火) 新潟集中豪雨: 死者12名 2004. 7.18(日) 福井集中豪雨 2004 台風10個が日本を襲う
8.30 16号鹿児島県上陸 |
積雪
新雪 0.03-0.15 (g/cm3) → 締まり雪 0.2-0.4 → ざらめ雪 0.3-0.5 |
表. 新称雪崩区分。括弧内は旧称(日本雪氷協会 1964)
雪崩発生形 雪崩層雪質 点発生 面発生 乾雪 点発生乾雪表層雪崩 面発生乾雪表層雪崩 面発生乾雪全層雪崩 (こ雪崩)=かわき雪 (いた雪崩)=しまり雪 かわき底雪崩 湿雪 点発生湿雪表層雪崩 面発生湿雪表層雪崩 面発生湿雪全層雪崩 (うわ雪崩)=ぬれ雪 (ぬれいた雪崩) (底雪崩) 表層 全層 雪崩常襲地: 裸地か草付き - 森林発達しない なば(苗場): 雪崩により現れた草付き - 春先の動物餌資源 台風 typhoonEx. 洞爺丸台風(台風15号)1954(S29).9.26 北海道被害: 青函連絡船洞爺丸他計5隻沈没 死者1285名 瞬間風速 40-60 m 2018年9月4日の台風による倒木。二日後には、それどころではなくなったが。 |
[ 海洋気象 ]
海岸高潮 storm tide= 風津波storm surge、暴風津波台風・低気圧等で潮位が上昇する現象
主に気圧低下による海水吸い上げと風による海水吹き寄せにより発生 異常潮 abnormal tide,unusual tide津波、高潮のように直接的発生原因が明瞭な現象を除いた潮位異常副振動 secondary undulation: 湾・海峡等で発生する水面の振動現象で、比較的短周期の固有振動
周期は潮汐より短く波浪よりは長い 異常潮位 abnormal sea level,unusual sea level: 数日-10数日程度継続する海面昇降現象 量的には小さいが発生原因が多岐にわたるなど予測が困難な現象 高潮数値予測モデル: 高潮予測に気象研究所で開発された力学モデル
海水運動計算 + その運動を駆動する大気からの外力を与える計算 河岸越水: 増水した河川水が堤防を乗り越え溢れ出す状態洪水期: 梅雨・台風の時期(主に6-10月)等、多雨で洪水起こりうる時期
ダム貯水位は一般に洪水期直前に低くくし貯水準備 積雪のない地域では4-5月のピークはない 日本年間降水量 = 1800 mm前後(少年 1500 mm) → 世界有数の水資源国
降雨量の大部分はまとまった時期に供給 → この時期に洪水害集中 水利用: 日本では古くから農業用水が水利用の中心 新田開発 → 溜池、河川低水工事、導水路 戦後 → 工業用水、生活用水等の都市用水需要増加 → 近年の渇水主原因 森林機能保護の必要性を昔は自覚していた ↓ 江戸時代 御留山(禁伐林) 水野目林・田山 土砂山林・砂除林 ↓ 明治時代 保安林制度 水源涵養保安林 土砂流出・崩壊防備保安林 |
森林流域試験 基準流域法 → 流水量の平準化
Ex. 合州国テネシー州某流域試験: 壮齢林で総流出水量は荒廃地の1/8位に減りかつ平準化行われる
→ 森林成長に伴うもの
→ 大部分は降雨時に流出 基底(地下)流出: 地中深く浸入した水が地下水面に到達し、地下水位を上昇させより緩やかに河道に流出する成分で、1, 2に比べ流出に要する時間は長い → 森林土壌: 一般に保水性・透水性良好 = 崩壊・地表侵食への抵抗性低い
⇔ これに対し森林は根が杭・緊縛材の機能を果たすため崩壊少ない 標高 高所 - 年間降水量多、年蒸散量少 → 水資源の中心部(水源地帯) 警戒レベル情報「水が増えている!」と思ったら、次の行動を! (☛ 夕張川)河川敷に設置している水位表示板は、洪水等で川の水が増えた時にどの位危険なのかを示す。レベルに応じて各行動を素早くとることで危険から身を守ることができる。 5 緊急安全確保 [災害発生又は切迫] 氾濫発生情報 ~~~~~ 警戒レベル4までに必ず避難 ~~~~~ 4 避難指示 [災害の恐れ高い] 氾濫危険情報 3 高齢者等避難 [災害の恐れあり] 氾濫警戒情報 洪水警報 2 大雨・洪水・高潮注意報(気象庁) 気象状況悪化 氾濫注意情報 1 早期注意情報(気象庁) 今後の気象状況悪化の恐れ - Internet全国Real time雨量・水位等情報提供。携帯版【川の防災情報】QRコード利用可 |
災害防災史 history of disaster prevention土地利用変遷: 場の保全
1718 France: 山林乱伐禁止
16c.末: 海岸砂防植栽 防災 disaster prevention防災 → 減災自助・共助・公助自助: 自分の命は自分で守る - 安否確認、ハザードマップ共助: 地域の安全は皆で守る - 自主防災組織、協同と参画 公助: 国・自治体等の義務 - 教育、人材育成、防災計画 + 復旧・復興 災害弱者 disaster vulnerable (要配慮者): 自力避難困難 - 避難支援要 災害情報弱者 disaster information vulnerable Ex. 日本語理解困難な留学生・技能実習生 - 英語も困難なことがある 減災 disaster mitigation (or reduction)制御, 対抗・減殺, 回避・対比, 安全性 → 災害の短期・長期予報を可能にするCase. 噴火: 火山知識普及 火山災害発生時の減災防災対策 → 長期的視点 防災訓練 → 避難 evacuation ハザードマップ hazard map (災害予知図、災害予測図) (国土庁 1992): ある特定災害(ex. 噴火)に対し予想される災害の種類・規模・地域等の危険地域を想定し、避難場所・避難路等の災害軽減諸対策を記入
学術マップ (火山地質図、火山災害実績図) + シュミレーション 縮災 disaster resilience災害発生を前提に準備し回復を速やかに行う危機対応・業務継続(大学版)想定外をなくす
ハザードマップ 人的資源
勤務時間外に発災: 役職員1割(400人)参集不可能 |
交通機関
JR: 1ヶ月程度の運行停止か間引き運転 情報ネットワーク: 発災直後使用不可。3日間不通 事前準備一時避難所・帰宅困難者避難所の選定設備・備品の落下転倒防止対策 災害図上演習 Ex.
クロスロード(状況判断ゲーム) 出勤停止要件 Ex. 家族安否・家屋安全確認を参集 アクションカード訓練 (行動変容に繋がるSTEP) 釜石の奇跡「津波てんでんこ」 緊急時統合調整システム (incident command system, CIS)危機対応必須5機能[ 指揮調整 command/control ]-[ 事案処理 operations ]
├[ 情報作戦 planning ]
[ 災害時心理 ] 初動一番重要: 情報トリアージ
業務継続災害含む非常時に重要業務中断させない - 継続必要業務を予め定め計画
→→→→→→→→危機発生 [初動対応-復旧体制]→→→ |
自然の動的認識 (地表変動論)a. 自然観察の方法時間的情報(植物指標)新第三紀 第四紀 洪積世 沖積世 1万年前 500-200万年 日高造山運動 海水準変動 地表変動┐局地気候 人為 ハゲ山(中国・近畿) グリンタフ変動 緩慢な陸地上昇 │ │土性 │ 煙害地(足尾) 100年 │ 火山活動 │ │生物 │ 造林地・崩壊(北海道) │ 地震 ↓ └┼───┐ │ 15年 ↓ ↓ 侵食阻止↖ ↓ ↓ ↓ 地質────→地形 ────────→森林(天然林)─→荒廃山地(人工林) b. 現地形の時間的・空間的見かた微地形情報(立体地形図)時間単位: 情報得る材料により、知りうるまた使用する時間単位は変化 Ex. 年輪、テフラ、航空写真、測量 航空写真リモートセンシング: 現場知ると判読より容易 - 広い空間情報得る人為的影響: 造営物(道路・建造物等)情報は地表変動の影響を明瞭に示せる c. 地表変動に対する認識(石れき指標)植生判別: 地殻変動 → 植物群に何らかの変化が表れる(あて、木本侵入等)┌変異樹形┌外観 樹冠不整・梢頭枯損 植物指標╱│ │ 生育不整 植物群変化╱ │ │ 立ち枯れ 地表変動╱ │ │ 樹幹傾斜・屈曲・偏心成長 気象変動╱ │ │ 上伸枝 │ │ 樹幹基部の外傷 │ └年輪解析 年輪幅の広狭 │ 年輪の損傷 │ 偏心方向の変化 │ アテ形成方向・強度・方・断続 │ 上伸枝の年齢 │ 心材部腐朽 ├根系異常┌外観 不定根形成 - 耐埋没性樹種 │ └年輪解析 └木本侵入┌群落┐ 針葉樹 耐陰性樹種 └樹齢┘ 陽性樹種 広葉樹 先駆樹種 耐陰性樹種 Fig. 7.3. 有珠における防災設備 (門村ら 1988) |
生態系を活用した防災・減災 (Eco-DRR)生態系の管理・保全・再生により災害リスクを低減 + 生態系サービス
表. 人工物インフラとのと比較。◎大きな利点 〇利点 △ 比較すると欠点 (日本学術会議 2014) 森林による災害軽減森林機能: 5つに包括区分 → 機能高低: H(高)、M(普通)、L(低)の3階級区分
公益的機能別施業森林: 公益的機能維持増進を特に図る森林施業(複層林施業等)推進すべき森林
森林区域は市町村森林整備計画で定められる 複層林施業森林、長伐期施業森林を市町村森林整備計画で規定 森林と人との共生林: 生活環境保全機能か保健文化機能を重視 → 森林生態系保全林・生活環境保全や森林空間の適切利用図る要転換森林、特定広葉樹育成施業森林を市町村森林整備計画で定める 資源循環利用林: 木材等生産機能重視(森林法第11条第4項第2号イに規定)効率的・安定的な木材資源活用と施業集約化・団地化や機械化を通じた効率的な森林整備を図るために設定 自然維持林: 国有林野中、原生的森林生態系で自然環境維持、動植物保護、遺伝資源保存等自然環境の保全機能を発揮させるべき森林防災関連研究施設防災科学技術研究所内容 観測施設では、地震時における強震動観測を行う (足寄強震観測施設)連絡先 茨城県つくば市天王台3の1 電話 0298(51)1611 |
火山噴火情報緊急火山情報: 生命、身体にかかる火山活動発生時に発表臨時火山情報: 火山活動に異常発生し、注意必要時に随時発表 火山観測情報: 緊急火山・臨時火山情報補う等、活動状況を細かく発表 定期火山情報: 常時観測対象火山について活動の状況を定期的に発表 活動レベル(2007以前, 6段階)1. 極めて大規模噴火 > 2. 大中規模噴火 > 3. 小中規模噴火 > 4. やや活発活動 > 5. 静穏 > 6. 長期間活動兆候なし噴火警戒レベル→ 火山活動情報(2007年5段階改訂) (気象庁 2007) (*: 住民行動は代表例)予知 perception個別現象 → 総合予知地震・微動・空振 噴火前地震静穏化現象seismicc quiet: 機構不明 噴火性微動eruption tremor → GPS: 水平方向1 cm、上下方向2-3 cm精度のずれ観察 バンド状微動 banded tremor 低周波微動・ハーモニック微動 harmonic tremor 電磁気学的現象火山ガス・熱 表4.2. 噴火災害の加害因子(勝井 1979) *: 1991年ピナツボ噴火: 噴煙が中間圏に達する - 中間圏温度10°C程度上昇 図103. 火山性地震-噴火発生関係 a: 噴火危険率曲線(浅間山, 水上 1969) b: 噴火予知曲線(Tokarev 1963) Ex. 十勝岳 (石川 1971) |
地質学的噴火予測パターン認知表3.1 知識活用し予知できそうな噴火シナリオ: [注目] 噴火タイプ毎にほぼ決まった様式の前兆現象(先行噴火含)が繰り返される。マグマや熱水による隆起・膨張と関係する幅広い現象と考えられる、微動・低周波地震・熱・火山ガス・電磁気等、表に記されない諸現象による総合的判断はもとより重要。破局的大噴火(VEI =5-7)は、殆ど明瞭な前駆現象伴う。世界的噴火シナリオデータベース充実により、火山危機における迅速適切な減災助言機能が期待される。前兆継続期間は目安であり、最短猶予時間は保証しない No.予測原理 → 観測項目: 対象噴火; VEI (前兆継続期間) 事例
↓ --- (過去の噴火) --- ↓ 古文書の収集・解読 (国語・漢文・歴史・民俗学) ↓ 噴出物層序・分布・性質 (テフロクロノロジー・放射性炭素年代学) → 噴火の時期・様式・規模 ↓ 火山構造・地形発達史 (一般地質学・構造地質学・地形学)→ 火山発達史・噴火輪廻 噴出物の組成 (野外岩石学・地球化学・実験岩石学)→ マグマの性質・挙動 ↓ --- (将来の噴火) ---↓ 火山観測 (地球物理学・地球化学) ⇓ 噴火予測: 時期・地点・様式・規模 ↓ 地形・地域環境 (地形学・経済地理学・環境科学)⇓ 噴火災害の事前計画 / 災害予想地図 ↓ 地域開発計画 [避難・防護対策]→ 噴火災害の軽減 小田原土木センター 大涌沢の地滑り対策事業 (Owakuzawa)箱根大涌沢(大涌谷)は、3000年前に大規模水蒸気爆発で形成された爆裂火口であり、現在も有毒な硫化水素(H2S)や亜硫酸(H2SO3)ガス含む噴気をだしている。噴気活動により付近一帯の基盤岩は変質し脆く、地滑りが発生してきた。明治43年には豪雨と共に大規模地滑りが発生し、大量土砂の流下により下流の早川沿岸で多数の死傷者を出す災害に見舞われ、以降も山腹で、度々、地滑り性崩落を起こしている。神奈川県では、地滑り災害防止に砂防堰堤や石積みの山腹工、排気ボーリング工、アンカー工等、地滑り対策工事を進めている[ ジオパーク ]■ 砂防堰堤工: 傾斜勾配緩和や侵食・崩壊防止、土砂貯留等目的 (16基) ■ 排気ボーリング工: 地盤劣化(粘土化)原因のH2S, H2SO3ガス等を地表排出 (97本) ■ 山腹工: 山腹(斜面地)から土砂崩れ出し、渓流流出するのを防止 (4716 m) ■ 水路工: 雨水の表面排水を集約し、水流による侵食防止 (1039 m) ■ アンカー工: 滑り落ちると予測される土塊を固定 (199本) ■ 排水ボーリング工: 地滑りに影響する地下水を迅速に地表に導流 (94本) |
= 治山事業 (forest conservation project) + 砂防事業 + 海岸保全事業 + 土壌侵食および地滑り防止 → 事業実施機関 治山: 水資源涵養と土砂流出防止を進め、国土保全及び水資源確保を図る
復旧治山: 既荒廃山地等を復旧整備し、災害防止・軽減を図る治山事業 山地治山事業 復旧治山事業
崩壊地復旧事業 予防治山事業
はげ山防止事業(荒廃防止第1) 海岸砂地造林事業
防潮林造成事業 保安林改良事業 (保安林改良事業) (水源林造成事業) 地滑り防止事業Ex. 平成25年度 サラキトオマナイ保安林改良事業
平成25年度______改植 3.00 ha 北海道宗谷総合振興局 水源涵養保安林: 2017年11月1日確認 主な工事: 治山事業の事業区分 - 他事業堰堤等の渓流工事: 崩壊地復旧、渓流崩壊防止 - 建設砂防事業 海岸砂丘防潮護岸: 海岸砂地防潮林 - 国鉄防風林事業、農地海岸事業、建設海岸事業 階段工等: 雪崩防止林 - 国鉄雪崩防止林事業、建設道路事業 護岸、堤防等: 水害防備林 - 建設河川事業 地すべり防止工事: 地すべり防止 - 建設砂防事業、農地土地改良事業 防風林: 防風林 - 国鉄防風林事業、農地防風林事業 堂徳山国有林の治山事業堂徳山国有林では昭和24年から治山事業を行っている。 ● 治山事業は、山崩れ等の山地災害から住民の生命・財産を守ることと、水資源涵養、生活環境保全等を目的とする山崩れ等の山地災害が発生した場所や発生危険性がある場所では、治山事業として森林整備や土木工事により、災害箇所の復旧・予防を行っている 堂徳山国有林には、谷止工・落石防護柵・補強土工等を設置する また、森林整備を定期的に行い、健全な森林づくりに取り組む 林野庁 近畿中国森林管理局 兵庫森林管理署 |
● 森林整備: 目標は防災機能確保しつつ生態系・景観にも安定した生活環境に優しい森林を作る
治山設計基本原則
社会資本としての意義= 治山・治水の目的山腹荒廃地: 山腹面に生じた荒廃地 → 大部分は豪雨・地震等により発生(直接因) + (遠因)人為干渉 過度の侵食を受けたはげ山も相当残る → 荒廃面で土壌浸食進行 → 土壌が下方に流れ山地荒廃進行 流出土砂は渓流に堆積し災害原因 → 長い年月をかければ、日本等では森林に復元されることが多い 崩壊地でも自然復旧により復元され保全対策を施す必要がないところもあるが、大部分の荒廃地で期待は許されず国土保全に障害が出る 土地利用進むと河川流域山地保全重要視 → 奥地崩壊地の山腹工事も漸次実施 山地荒廃地修復 → 様々な方法 一般に山腹砂防工事とは「再び森林に復旧させるために行う土木的施工と植生の導入育成の過程」 広大な面積を対象とし、永続的効果を期待するには、植生による地表面被覆が確実であり経済的でもある 林業(木材生産)との関連 |
砂防工学 erosion control engineering砂防目的達成のための技術及びその基礎科学の応用に関する学効用 物質生産的効用 林業学 → 森林生態学 + 造林学 + 森林保護学 防災・国土保全学的効用 (防災科学) ↑森林影響学 - 砂防工学 (+ 水理学・水文学) 厚生的効用__↓森林厚生学 - 応用力学(材料力学・土質力学)・統計的方法 砂防 erosion control, sabo陸上地における土砂礫の移動に伴い起こる諸害を防止すること
保全サイドの論理
科学方法論帰納論理・実験的方法最適化: 有限条件(指定条件が大局的に誤ることもある)の元で我々が求める望ましい状態を作り出すこと 今日大切なのは、この「条件」そのものを含め望ましい状態を求めること → 最適化optimization: 最良状態optimum作り出す作業 cf. システム工学 → フィードバックは必ず必要 「適正」価値判断は困難かつ重要: 価値観は時代に合わせ流動的 → 不変的本質忘れない 人間human: (生物的 = 普遍 ↔ 人間的 = 変化) → 社会進歩(変化)把握しないと技術遅れる 地域容量 space capacity受入地域容量
自然地域容量: 生態的容量, 形態的容量
人間標準空間: 肉体的空間, 精神的空間 植生理論生態学的理念、植生侵入と導入生態系の見方 = 空間論的視点 → 生態学的時間・空間 + 地表変動 Ex. 極相林に先駆樹種混入 - それらが加わった地表変動の考察が必要 |
土砂移動に関する理論山地侵食の概念(1) 流送土砂 sediment: 流れる水で輸送され堆積する土砂 掃流砂 bed load: 砂防工学の研究中心 浮遊砂 suspended load 限界掃流力 τ0 = ρgRIe = ρgU2/τc2 = ρU*2
R: 径深 a) Shields公式: U*c2/(σ/ρ - U*c2/g·d = φ(U*cd/v)
d: 砂密度 c) 岩垣公式 (2) 流砂量 a) Brown公式: gB/U*d = f{U*2/(σ/ρ - 1)gd} gB: 単位幅 (1 mあたり掃流土砂) 下線部の値が大きくなると → gB/U*d = 10{(U*2 - U*c2)/(σ/ρ - 1)gd} b) 土研公式: gB(σ/ρ - 1)g/(τ0/ρ)3/2 = φF(τ0/τc)(3) 岩砂水流 vs = vw/{w + α(ws - w)} 式成立しないこと多(無理がある)
α: 土砂の水に対する堆積比 平均年間流出土砂量: 長年間の流出土砂量を経過年数で割ったもの 洪水流出土砂量: 洪水期間中に流出した土砂の合計 海岸砂丘の変動風: 風の速度の高度分布式 (vm(z): 高度zにおける平均風速)vm(z) = mlog10(z + z0) + β … (1)
z0: 高度0、即ち海面の粗度 v* = √(τ/ρ): 合理的 … (2)
v*: 摩擦速度
(1), (2)より 丘砂・飛砂丘砂: 砂丘を形成する砂砂丘移動・汀線移動
地表土砂移動 → 植物定着できない |
森林および土地に関する理論森林観の変遷森林観 = 時代的変遷 (Ex. 昔: 森林は人間にとり利用・共存の場)高度経済成長期: 森林の単純利用 → 反動: 森林の持つ生の状態求める 土地の動的本性が森林多様性を作り上げた要因 → 無視した森林観は危険 「木があるから山が崩れない」⇔「山が崩れないから木が育つ」 環境林人間がある空間を勝手に使わないようにするには木を植えることが有効。樹木を残すことは共有空間を残すことにつながる。共有空間提供者に誰がなるのかという社会科学上の問題残る防災林海岸防災林日本では少なくとも江戸時代には防災林造成始まった1611 慶長大津波 → 潮除須賀松林造成 (仙台藩伊達政宗) 2011 東日本大震災で機能注目 機能 → 保安林 = 林帯幅・地形・森林構造が重要 (カシワ林) 1. 災害防止機能 ☛ (流体力学)a) 防潮(津波、高潮) b) 飛砂防止 c) 防風 d) 飛塩防止 e) 防霧 2. 保健・休養機能3. 魚つき、航行目標、風致機能等 海岸砂防(砂丘固定)1. 土木方法堆砂工前丘: 飛砂及び海水による災害防止目的 → 理想 = 横断面が平たい三角形↔ 風下面は25°以上にせねば、飛砂侵入・砂丘前進防げない。海水浸入を防ぐには前丘の高さを大潮満潮線上4 m以上とすることが必要。飛砂は植生が海岸線のすぐ側に行きつくまで継続するから波防止の目途の立つ限りは、なるべく海岸線に近づけるのがよい 堆砂垣: 前丘を築設するために配置する。垣が砂で埋没したら、その風上斜面の丘頂近くに次の堆砂垣を設け前丘の計画高に達するまで反復する静砂工: 次段階の砂防造林着手に重要(静砂垣、立工、伏工、砂草植栽) |
砂防工: 海岸線侵食される所はコンクリート方格工等の砂防工必要
2. 生物的工法植栽(草生)工林帯造成 海岸砂防林
水分・養分要求性低く、高温・乾燥耐性強く、強風・飛砂・飛塩に対する抵抗性大きい樹種を選択 総合緑化計画(砂防含 Ex. 砂坂海岸林、襟裳岬): 長期(> 数10年)計画 3. 各種工法の組合せ保護・管理下刈り、除伐、本数調整伐 |
1. 災害危険地帯認識: 災害の起こりうる範囲の特定 災害 disaster: 災害区域 hazard zone → 災害マップ hazard map
空間 space + 時間 temporal = 自然の動き知る(時期・場所・規模) 時間的把握 → 空間的把握 = 測量(土木的工法・植生的工法) 自然的事例: 火山活動・地滑り・崩壊 → 森林復元 → 復旧 人工崩壊(荒廃地): 大規模開発(道路・宅地造成・空港・港湾) → 予防 → 防災対策 予防 = 科学 → 一般の人も理解できねばならない
↓ 経験の集積 現在 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→ 過去 植生 →→→→→→→→→ 地形 →→→→→→→ 地質 ┌────────────┐ ┌───────┐ ┌───────┐ │幼齢林 → 老齢林 │ │沢口 → 渓流│ │土壌 → 母材│ │先駆樹種 → 耐陰性樹種│ │扇状地 → 斜面│ │火山灰 → 基盤│ │軽量級種子 → 重量級種子│ │山麓 → 山頂│ │ │ └────────────┘ └───────┘ └───────┘
→ 諸調査との関連: 資源調査、素表の活用 計画の種類
モデル工法
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山地斜面調査= 治山調査 + 地すべり調査
1 設計説明書. 2 施行経費内訳表. 3 明細表. 4 単価表. 5 数量計算表 地質時代区分、地質構造、断層、褶曲、火山・地震・温泉 岩石: 岩石(火成岩・変成岩・水成岩)分類、岩石の特性と山地防災 土壌: 土壌生成、土壌分類、土壌の性質 地図調査: 地質図、土壌図 物理探査法 地震探査法(弾性波探査法): 屈折法、反射法。重力探査法。電気探査法。磁気探査法。地温探査法。放射能探査法: 地下構造判定、ラジオ・アイソトープ調査法 化学探査法: 2価鉄簡易判定法、モンモリロナイト呈色反応、アロフェン反応試錘法: 回転式掘削法、衝撃式掘削法、試掘法 表層地質調査法: 準備作業: 予察図、路線図。現地調査。室内作業。整理 地形調査: 地図(地形図)、地形計測、現地調査、まとめ 気象調査
資料調査: 気象資料、既設気象観測所データ 植生調査 荒廃調査荒廃調査上留意すべき事項 → 調査目的明確化。荒廃地の見方の多角化荒廃現況調査法: 崩壊地、はげ山、特殊荒廃地、地滑り地、渓流荒廃地 土砂移動調査法: 土砂移動現況調査。土砂移動関連因子調査 土砂生産量調査: 直接測定困難 小規模試験地
斜面下部に流出土砂受箱設置 |
2014年7月1日、厚岸臨海実験所近くの崖に見
られた土砂崩れ
種名 | 生長期間 | 特性 | 耐寒性 | 耐暑性 | 耐早性 | 耐酸性 | 求肥性 |
チカラシバ | 多年生 | 中 | 中 | 中 | 小 | ||
メドハギ | 同 | 強 | 強 | 強 | 小 | ||
イタドリ | 同 | 煙害地に適する | 強 | 強 | 強 | 強 | 小 |
ヨモギ | 同 | 強 | 強 | 強 | 小 | ||
カルカヤ | 同 | 強 | 強 | 強 | 小 | ||
ケンタッキー31フェスク | 同 | 適地性第、常緑 | 強 | 中 | 中 | 強 | 大 |
レッドフェスク | 同 | 寒冷地に適する | 強 | 強 | 強 | 強 | 中 |
レッドトップ | 同 | 被覆力が大 | 強 | 強 | 強 | 強 | 小 |
チモシー | 同 | 寒さと湿地に強い | 極強 | 弱 | 弱 | 強 | 大 |
ウイーピングラブグラス | 同 | 他の草を圧倒する | 弱 | 強 | 強 | 強 | 小 |
イタリアンライグラス | 1-2年 | 冬期施工に助長種として混合 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 大 |
バーミューダグラス | 多年生 | 高温でないと発芽しない | 弱 | 強 | 強 | 強 | 小 |
ホワイトクローバー | 同 | イネ科の草と混播する | 強 | 弱 | 弱 | 中 | 小 |
オーチャードグラス | 同 | 耐陰性が特に高い | 強 | 中 | 中 | 強 | 大 |
樹種名 | 適応性 | 造林方法 | 特性 | |||||||
活着力 | 根系発達 | 耐せき悪性 | 耐乾性 | 耐湿性 | 耐寒・暑性 | 耐陰性 | 耐酸性 | |||
アカマツ | 潮風に弱いため内陸に用いる | 植栽・播種 | 良 | 良 | 大 | 大 | 小 | 大 | 小 | |
クロマツ | もっとも一般的 | 同 | 良 | 良 | 大 | 大 | 中 | 大 | 小 | |
ニセアカシア | 崩壊地、やや肥沃なはげ山 | 同 | 良 | 良 | 大 | 大 | 小 | 大 | 中 | 小 |
トゲナシニセアカシア | 一般荒廃地適 ↔ 強風地、寒冷地不適 | 植栽・挿木 | 良 | 良 | 大 | 大 | 小 | 中 | 小 | 小 |
イタチハギ | 適応性はもっとも高い | 挿木・枝まき | 良 | 良 | 大 | 大 | 小 | 大 | 小 | 中 |
ヤマハギ | イタチハギに準ずる | 同 | 良 | 不良 | 大 | 大 | 小 | 大 | 小 | 中 |
ハンノキ | 乾燥に強い | 植栽 | 良 | 中 | 大 | 大 | 大 | 大 | 小 | 大 |
ヤマハンノキ | 高冷地に適する | 同 | 良 | 良 | 大 | 大 | 大 | 大 | 中 | 大 |
ヒメヤシャブシ | 寒冷地以外には適する | 同 | 良 | 良 | 大 | 大 | 小 | 大 | 小 | 大 |
オオバヤシャブシ | 大部分の荒廃地に適する | 同 | 良 | 良 | 大 | 大 | 小 | 大 | 中 | 大 |
ヤマモモ | 暖地に適する | 同 | 不良 | 良 | 大 | 大 | 良 | 中 | 大 | 大 |