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(2024年11月1日更新) [ 日本語 | English ]

種子 (seed)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

Def., s.s.: 胚珠ovuleが成熟したもの
構造 structure
胚乳 albumen/endosperm: 発芽に際して胚の成長に必要な養分を供給

s.l. 胚以外の全ての栄養貯蔵組織 = albumen
s.s. 被子植物の内乳(内胚乳/二次胚乳): 胚嚢(雌性配偶体)起源 = endosperm

外乳(外胚乳/周乳 perisperm): 珠心など親の胞子体組織起源
裸子植物(一次胚乳): 栄養組織 = 前葉体(雌性配偶体) - 種子の大部分占める

(有)胚乳種子 albuminous seed: 胚乳のある種子 ⇔
無胚乳種子 exalbuminous seed: 胚乳が発生初期に見られ成熟時には消滅

多くは、養分を子葉に貯蔵 Ex. ダイズ、クリ

珠皮 integument: 珠心取り囲む層 → 発達 = 種皮 testa

Vigna unguiculata
ササゲ (Vigna unguiculata)

幼芽 plumle: 種子中にある胚の幼い芽 = 胚の茎頂(胚軸先端) → 伸長し茎になる

子葉 cotyledon: 発芽すると双葉になる部分
幼根 radicle: 胚にある根原基 → 発芽時の最初の根
胚軸 hypocotyl: 胚で幼根の上部、子葉の下部に位置する部分
hilum: 種子が胎座につく点 - 種子が胎座から離れおちた痕

子房 ovary → 果実 fruit
子房壁 ovary wall → 果皮 pericarp
機能 (双子葉植物)
死亡確率を減少させ個体生存価高める
種子散布手段 (seed-dispersal agents)
発芽・成長に使う最初の資本
同定
図鑑に頼らず、日頃サンプルを集めそれと比較する方が確実

Lactuca sativa
Lactuca sativa: 痩果、長楕円形で
扁平、3-4.5 mm l

Solanum lycopersicum
Solanum lycopersicum

[解剖学, 形態学, 種子発芽| 種子散布 ] (seedless = 種子がない)

索引

種子サイズ (seed size)

体積(seed volume)や重量(seed mass or weight)
種子サイズ: 種子の分散能力と大きく関係し種の戦略上重要な形質

最大: ヤシの実 = 数10 cm
最小: ランが代表 < 1mg/seed (Neottia nidus-avis (orcid) = 0.0022 mm3 → 球と仮定して直径0.13 mm) - これ以上小さな種子は知られていない

seed
種子サイズ分布
小さい方に片寄る → 地形のフラクタル構造に一因 (Hedge & Ganeshaiah 1992)

対数直線関係 → 小さい種子を有する種が指数的に多くなる
フラクタル: 微地形はより小さな部分ほど多
⇒ 確率的には小さな地形に適応した種ほど多

種子サイズと発芽
種子重の殆どは実生成長のための貯蔵物質によるものと考えられる
⇒ より大きな種子ほど実生成長には有利 ↔ 大きな種子は捕食されやすい

種皮 (seed coat, testa)


= 種子を包む皮 - 胚珠の珠皮が発達し種皮となる
被子植物: 種皮の進化

2種皮性 bitegmic = 2枚 (Ex. モクレン) → 合着 = 1種皮性

外種皮(outer seed coat, testa, episperm) = 外側 ⇔
内種皮 (inner seed cpat, tegmen, endopleura) = 内側

区別ない種もある

1種皮性 unitegmic = 1枚 (Ex. キク)

種皮欠如: ヤドリギ科・ツチトリモチ科(寄生植物)数種

裸子植物: 1枚

種皮が2枚からなるものは、外種皮と内種皮に区分することもある

仮種皮 aril: 胚珠以外の部分が発達し膜状に種子を覆う部分 Ex. ニシキギ
機能: 胚保護、休眠、(種子分散)

肉質種皮 sarcotesta: 外種皮肉質化し被食される - 動物散布 Magnolia

糊粉こふん (アリューロン層、糠層) aleurone layer: イネ科植物の種皮に接して存在する貯蔵タンパク質を含む細胞層

付属器官 (appendage)


付属器官(付属体) appendage (adj. appendiculate, v. appndage)

仮種皮(種衣) arillus, aril

種皮外側覆うもの。胎座の一部が受精後発育肥大 (v. arillate)

Taxus: 液質 → イチイ種子の赤い肉質の壷
Nymphaea: 膜質
Torreya: 肉質
キンキエンゴサク = 肉質 ↔ ミヤマキケマン = 膜質

種子散布付属器官

風散布
種髪 coma (v. comate): 種子にある毛束 → 風散布 Ex. Epilobium (珠孔付近の珠皮起源), Salix (胎座起源)
冠毛 puppus (pl. puppi): 萼が変形したもの Asteraceae (Aster, Anapahlis, etc.)
wing (種翼 seed wing): 翼状付属器官 Acer, Fraxinus, etc. (↔ 翼がない unwinged, wingless)

翼果(翅果, winged fruit, samara or key): 翼を発達させた果実

動物散布
アリロイド(偽仮種皮, 偽種衣) arilloid: 珠皮や胎座からでき糖や油に富む
エライオソーム elaiosome: 脂質、アミノ酸、糖等に富みアリ散布に機能特化

由来多様 (77科以上で確認) Ex. スズメノヤリ、アオスゲ、スミレ
種枕 (カルンクル, s.s.) caruncle: 発芽穴近い外皮の多肉質部分
ストロフィオール strophiole: 臍の珠皮に由来する多肉質部分

果実 (fruit)


成熟した子房(ovary)とその内部 + 花器官 + 付属器官が結合した部分
果皮 pericarp
= 周壁 ovary wall → 3層 → 外果皮, 中果皮, 内果皮
果肉: flesh, sarcocarp, pulp (日本語では、全て果肉と訳され混乱のもと)
Flesh: 果肉の総称
Sarcocarp: 核果の果肉
Pulp: 果肉の中でも水分が多く柔らかいもの

分類 classification of fruits

真果と偽果 true and false fruits
真果: 子房のみが成長しできた果実
偽果(仮果) pseudocarp: 子房以外の花床、萼、総包等が成長し果実となる

イチゴ状果: 花托発達し果実に加わる Ex. リンゴ、ナシ、オランダイチゴ
クワ状花 sorosis: 花被等発達し果実に加わる Ex. クワ、パイナップル
イチジク状花: 花軸と花托が多肉となり果実に加わる

↑↓ 合わせて整理
Case. 果実中にある子房数を基準
  1. 単果 simple fruit: 1花の1子房からできた果実
  2. 分離複果 aggregate fruit: 1花の複数の子房からできた果実 Ex. Rubus, Fragaria
  3. 集合果(多花果, 複果) multiple fruit: 複数子房全体で1果実に見える
    肉質集合果 sorosis Ex. Morus (クワ)
    無花果状果 syconium Ex. Ficus (イチジク)
    球果 cone: 厚く木質化した多数の鱗片が中軸周囲に重なり種鱗内側に種子を抱く Ananas (pineapple)

[単果分類鍵 key to simple fruit types]

乾果 dry fruit

= 閉果 indehiscent fruit + 裂開果 dehiscent fruit

裂開果(裂果)

熟すと果皮が自然に裂け種子を放出 ⇔ 閉果
蒴果(室果, 蒴) capsule
複数心皮 - 複数種子含む
雌蕊中に放射状の仕切 → 成熟時は部屋毎に心皮数だけ縦に割目 Viola
胞背裂開蒴果(室背裂開蒴果): 各心皮背面中央線(外縫線)で裂ける Enkianthus
胞腹裂開蒴果(室腹裂開蒴果): 各心皮の内縫線で裂ける willow
胞間裂開蒴果(室間裂開蒴果): 心皮の境界線で裂ける Rhododendron, Primula
胞軸裂開蒴果: 心皮の背面外縫線と心皮間の境界線の両方で裂ける Iris
孔開蒴果: 先端や側壁に孔開き種子散布 Papaver, Platycodon
蓋果(横裂果) pyxis: 果実上部が蓋の様に外れる Plantago

不規則 irregular: Linaria japonica

角果 silique (s.l.)
2心皮性で間に隔膜replumがあり縦に2片に裂ける Ex. アブラナ

長角果 silique (s.s.): 長さ > 幅 × 2-3 = 細長い ⇔
短角果 silicle: 長さ < 幅 × 2-3

莢果(豆果) legume
豆莢 = 雌蕊が平らで内部一室。成熟時に左右に割れる
袋果 follicle
離生心皮(雌蕊が分かれる)で、その内側に向いた面に割目ができる

閉果 indehiscent fruit

成熟しても果実裂開しない
痩果 achene
果皮と種皮が密着し分かれない Ex. Helianthus, Taraxacum

嘴 beak

頴果 caryopsis
果皮と種皮がより密着した痩果(イネ科)
胞果 utricle
果皮と種皮が分かれる Ex. アカザ科、ヒユ科イノコズチ属
堅果 nut or glans
外側が非常に堅くなる Ex. Quercus (殻斗: 台のような部分)

小堅果 nutlet: 小形の堅果 Ex. Polygonaceae, Betulaceae, Cyperaceae

翼果 samara
果皮が翼様 Acer
果実分かれる
分離果
子房に複数の部屋があり熟すと部屋毎に分かれる
節果
マメの鞘(= 果皮)が、種子毎に節 → 種子毎に折れて散布 Ex. Desmodium

液果(多肉果) sap fruit

果皮の一部か全てが果肉(多肉質か液質)となる
漿果(真正液果) berry, bacca
内果皮・中果皮多肉質
核果(石果) drupe or stone fruit
中果皮多肉化 + 内果皮木質化(= 果核) - 核中に種皮

Ex. クワ、モモ、オリーブ、ココヤシ

小核果 drupelet
核果の中でも小形で1心皮性 Ex. キイチゴ

未成熟果実の捕食防御機構

1. 物理的: 果皮硬化 hardness。刺spininess
2. 化学的: 二次代謝物質
成熟果実: 動物による種子分散 → 誘引物質 attractants = 匂い, 色
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