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人間と環境, 日本環境学会 18: 21-26 (1992) (スキャナ → OCR)
露 崎 史 朗 *
Shiro Tsuyuzaki *
A study on the vegetation of ski ground was conducted at Moiwa Ski ground built in 1950 and located in the city of Sapporo. The ski ground was constructed by clearcutting and weak land modification, including artificial seeding. Based on the clustering of 36 2 m × 2 m quadrats, the vegetation was divided into three grasslands dominated by artificially introduced plants, Miscanthus sinensis, or Artemisia montana. Native plants established a little in the artificial grassland. While woody plants invaded bare areas in artificial grassland, they established well in native herbaceous grasslands. Degree of succession suggested that vegetation progressed from artificial grassland to A. montana or M. sinensis grasslands. Number of species established and stem densities of woody plants were higher in Moiwa than in previously-described ski grounds receiving heavy land modification. To promote rapid and natural regeneration, therefore, large-scale land modification should be avoided.
Key words: Artemisia montana grassland, artificial vegetation, artificial seeding, land modification, Miscanthus sinensis grassland, ski ground vegetation
* 新潟大学大学院自然科学研究科 (〒950-21 新潟市五十嵐2の町8050番地)
* Graduate School of Science and Technology, Niigata University (Niigata 950-21)
はじめに近年スキー場新設計画が相次いでいるが, 北海道においてもスキー場数は1985年には116カ所に達している(露崎 1988)。スキー場造成は一般に急傾斜地を必要とし, 森林伐採および地表はぎ取りなどの地表改変を伴う。造成後は斜面管理のプロセスとしてブッシュの刈り払いがおこなわれる。そのため, スキー場斜面に対する人為干渉は, スキー場植生を規定する大きな要因となっている(Tsuyuzaki 1990)。しかしながら, スキー場の大規模化に伴ってほとんどのスキー場で 地表改変が行われるようになった(中村 1988)。その結果, 地表はぎ取りに起因すると思われる土壌侵食がスキー場斜面において広範囲に認められ, 大規模地表改変を行ったスキー場植生の管理上の問題が指摘されている(露崎・春木 1984; 中村 1988; Tsuyuzaki 1993)。したがって, 地表改変の軽微なスキー場の植生の現状と推移を明らかにすることは, これらの大規模地表改変をおこなったスキー場との比較対象として不可欠なものであるが, 調査対象がまれなためにその植生現状の報告は少ない。そこで, 札幌市内で唯一といってよい比較的スキー場斜面に対する人為干渉の軽微な藻岩山市民スキー場を調査したので, その現状と植生推移予測を報告する。調査地と方法調査地である藻岩山市民スキー場(通称, 藻岩スキー場)は. 札幌市街地の南部に位置する標高536 mの藻岩山南東斜面山腹に1950年*に造成された, ゲレンデ面積約 50 haを有するスキー場である。スキー場斜面は, 造成当初多少の地表改変がおこなわれている。しかしながら, 現在斜面の多くは地表改変をおこなわずに定期的な刈払いと外来牧草の播種にとどめている。周辺自然植生は, ミズナラ, シナノキ, エゾイタヤを始めとする落葉広葉樹が優占する疎林であり, 一部にトドマツの造林がおこなわれている。林床は, クマイザサが大部分を占める。2 m × 2 mの調査区を1985年夏に36カ所設定し, 調査区ごとに植被率, 出現植物ごとの被度および植物高, 高木木本植物の個体数を記録した。調査された植生の分類(体系化), をおこなうために, 出現頻度10%以上の種の被度を用いて, 調査区間植生類似度をJanssen (1975)の穎似度指数(Percentage similarity)を用いて求めた。 * 1960 藻岩山スキー場 第1・第2リフト営業開始 この指数値は, 二つの調査区間に全く同じ種が定着していないときには0%, 全く同じ種組成であるときには100%となる。これにもとづいて, 調査区間の類似性の全体像の把握を容易にするためにMountford (1962)の平均連結法によってクラスター分析をおこなった。クラスタ一分析は, 類似度の高いクラスター(調査区群)から順番に線を結びつけてゆき, 樹形状に調査区を配置する方法であり, より類似した植生の調査区ほど近い位置で結び付けられる。つぎに, 植生推移の状態を把握するために, 被度と植物高をを用いてNumata (1969)の積算優占度(SDR)を用いて各調査区の遷移度(Degree of succession)を求めた(Numata, 1983)。DSは, 調査区間の相対的な遷移の進行状態を比較するために利用でき, より高い値の調査区ほどより遷移が進行しているとみなすことができる。結 果調査区あたりの平均植被率は77.7%であるが(Table 1), 植被率はほぼ0%から100%までさまざまな調査区が認められた。出現した総種数は88種に達した。播種植物は, アカツメクサ・ヒロハウシノケグサ・オオアワガエリ・シロツメクサ・カモガヤの5種が認められたが, これらの被度はそれほど高いものではなかった。非播種植物の種散は83種となり, 播種植物を合めた調査区あたり出現種数は10.4種であった。非播種植物では, オオヨモギ・ススキが出現頻度・被度ともに高く, 最も良好な生育をしていた。木本植物はシラカンバ・エゾイタヤ・ミズナラ・ハルニレ・シナノキ・ケヤマハンノキなどの定着が認められた。シラカンパ・ ケヤマハンノキ等の推移先駆樹極のほかに, エゾイタヤ・ミズナラ・ハルニレ等の遷移後期種の定着も多く, 高木木本植物は27種であった。クラスタ一分析の結果, 植生はa, bの2グループに分けられ, さらにbは二つ(b1, b2) に区分できる(Fig. 1)。いずれのグループにも属さない1調査区にはオオイタドリが優占していた。各クラスターグループ(Clustering group)を優占種をもとに, ヒロハウシノケグサ草地 (a), ススキ草地(b1), オオヨモギ草地(b2)と呼ぶ(Table 1)。ヒロハウシノケグサ草地は, ヒロハウシノケグサ・アカツメクサ・オオアワガエリなどの播種植物が優占する植生であるため以降人工草地と呼ぶ。また, 人工草地は裸地が多く調査区あたりの出現種数も少ない。特に, 草本・木本ともに非播種植物の侵入定着は不良である。ススキ草地, オオヨモギ草地は第1優占種を異にするが, そのほかの在来草本種の定着には 大きな違いが認められず, 調査区あたりの定着種数にも大差はなかっ た。しかし, 木本植物の組成が異なり, ススキ草地ではシラカンバの定着が最も良好であり, オオヨモギ草地ではエゾイタヤの定者が最も良好であった。さらに, ススキ草地にのみケヤマハンノキの定着が認められ, 全体的にススキ草地のほうが陽地生の木本納物の定着が多い。また, オオヨモギ草地では播種植物の定着が全く認められなかった。
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考 察大規模地表改変をおこなったスキー場では播種植物が良好に定着することによって木本植物の侵入は阻害されており(露崎 1991), 同様の傾向が, 地表改変の軽微な藻岩スキー場においても得られた。したがって, 木本植物侵入のためには, 播種植物の衰退かつ裸地の形成がいずれのスキー場でも必要なものと考えられる。藻岩スキー場の植被率・木本植物密度は大規模地表改変を行ったスキー場(露崎・春木 1985)と比べると比較的高い値を示している。植生推移系列は大規模地表改変をおこなった北海道低地スキー場ではオオヨモギ草地とススキ草地に序列はつけられなかったが(露崎 1991), 藻岩スキー場のように地表改変の軽微なスキー場においてもススキ草地とオオヨモギ草地の推移系列には序列がつけがたい。しかしながら, 大規模地表改変が行われたスキー場においてはオオヨモギ草地への木本植物の定着はほとんど認められなかったのに対して, 藻岩スキー場ではオオヨモギ草地においてもススキ草地と種組成は異なるが木本値物の定着個体数はススキ草地と大差なかった。このことは, 人為干渉の度合いが低ければそれだけより自然な植生推移をスキー場斜面においてもおこない得ることを示唆している。非播種植物の定着を規定する主な環境要因として, 斜面植被率・林縁からの距離・斜面傾斜度の三つが挙げられている(Tsuyuzaki 1990)。林縁からの距離は周辺からの植物個体の移入の難易を表しており, 面積が大きなスキー場斜面では周辺植物供給源から離れているために在来種の侵入が遅れる傾向がある。このことはさらに, 大規模スキー場の斜面植生の推移は遅いことを意味して いる。コース面積が15 haから32 haの間にある大規横地表改変をおこなった北海道低地スキー場では全体の定着種数が45種から62種であり, また調査区あたりの非播種植物の定着種数が4.7種から6.6種であった(露崎 1991)。これに対して, 藻岩スキー場は上記のいずれの値よりも高いものであった。藻岩スキー場は造成面積が50 haに達する大規模なものであるが, 地表改変によって造成されたスキー場よりも値生の多惜性は高い。したがって, 斜面造成形態は, 斜面植被率・林縁からの距離・斜面傾斜度などの環境要因よりも大きな植生規定要因となるものと考えられ, 地表改変をあまりおこなわないほうが斜面他生をより多除なものとするには相対的には優れた造成形態であるといえよう。斜面傾斜度は土壌侵食と関連する要因であり, 特に融雪にともなう土壌侵食と斜面傾斜度には相関が高く(Tsuyuzaki 1990), 斜面傾斜度が増すほど土壌侵食が発生しやすく植物の定着は遅れている。藻岩スキー場においても土壌侵食は部分的に発生しており, その結果として裸地が形成されたものと思われる(露崎・春木 1985)。 以上のように, スキー場造成にあたっては, 大規模地表改変を避け, 人工播種をおこなわず, スキー場規模をできるだけ小さくし, 斜面傾斜をできる限り小さくするほうが良好な在来植生の回復が望めるものと思われる。しかしながら, 地表改変をおこなった北海道低地スキー場では木本植物の定者には10数年の歳月を要しており(露崎, 1991), また北海道高地スキー場においてはススキ草地が定着することが困難なためにより複雑な植生推移をおこなっている(Tsuyuzaki 1993)。1950年に造成された藻岩スキー場においても, 現在の植生に達するまでには長期間を要したものと思われる。したがって, たとえ地表改変を避け自然植生によって斜面維持をおこなうとしても, 安易にスキー場の拡張・新設をおこなうべきではないものと考える。 (1992年4月13日受理) |
Table 1. Coverage of native herbaceous, woody, and artificially introduced species in each clustering group. Occurrence frequency (%) are shown in parentheses. Mean number of species and total cover are shown with standard deviation. One quadrat (shown with an asterisk in Fig. 1) is excluded to use this list, because it is not grouped into any cluster groups. - No individual observed.
Group code | a | b1 | b2 | Total |
Number of quadrats | 8 | 19 | 8 | 35 |
Native non-woody species (herbs and vines) | ||||
Artemisia montana (オオヨモギ) | 0.3 (13) | 5.1 (84) | 14.5 (75) | 6.0 (64) |
Miscanthus sinensis (ススキ) | 1.0 (13) | 23.8 (95) | 1.9 (25) | 13.2 (58) |
Agrostis alba (コヌカグサ) | - | 1.5 (53) | 1.6 (63) | 1.1 (42) |
Sasa senanensis (クマイザサ) | - | 3.2 (53) | 2.4 (50) | 2.2 (39) |
Actinidia arguta var. platyphylla (コクワ) | - | 5.7 (33) | 8.4 (38) | 4.8 (36) |
Solidago virgaurea var. leiocarpa (コガネギク) | - | 3.1 (42) | 1.9 (63) | 2.1 (36) |
Pteridium aquilinum var. latiusculum (ワラビ) | - | 2.2 (42) | 3.4 (38) | 1.9 (31) |
Solidago gigantea var. leiophylla (オオアワダチソウ) | 0.1 (13) | 6.0 (42) | 0.8 (13) | 3.4 (28) |
Eupatrium chinense var. sachalinense (ヨツバヒヨドリ) | - | 0.6 (37) | 1.5 (38) | 0.6 (28) |
Aster scaber (シラヤマギク) | - | 1.1 (42) | 1.5 (25) | 0.9 (28) |
Woody species | ||||
Betula platyphylla var. japonica (シラカンバ) | 0.1 (13) | 3.5 (42) | 1.9 (25) | |
Acer mono var. mono (エゾイタヤ) | - | 1.7 (16) | 10.0 (63) | 3.1 (23) |
Quercus mongolica var. grossesserrata (ミズナラ) | - | 1.5 (32) | 0.6 (13) | 0.9 (19) |
Ulmus davidiana (ハルニレ) | - | 3.2 (23) | 0.9 (13) | 1.9 (17) |
Tilia japonica (シナノキ) | - | 2.5 (21) | 6.4 (25) | 2.7 (17) |
Alnus hirsuta (ケヤマハンノキ) | - | 2.7 (21) | - | 1.4 (11) |
Artificially-introduced species | ||||
Trifolium pratense (アカツメクサ) | 3.1 (75) | 0.8 (21) | - | 1.1 (28) |
Festuca elatior (ヒロハウシノケクサ) | 22.6 (88) | - | - | 5.0 (19) |
Phleum pratense (オオアワガエリ) | 7.1 (38) | - | - | 1.6 (12) |
Trifolium repens (シロツメクサ) | 1.3 (25) | - | 0.3 (6) | |
Dactylis glomerata (カモガヤ) | - | 0.6 (5) | - | 0.3 (3) |
Mean number of species | 6.3±1.7 | 11.8±2.9 | 11.9±3.2 | 10.4±3.8 |
Mean total cover (%) | 50±31 | 83±18 | 91±9 | 78±25 |
藻岩山スキー守護神の由来記 | (参考) |
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札幌市民に父なる藻岩山と仰がれるこの山は、古くからスキーのメッカとして親しまれてきました。明治45年3月30日、オーストリア軍人のレルヒ中佐からスキー術を学んだ札幌市民が、藻岩山からレルヒ直伝の一本杖によるスキー登山を決行。翌31日はレルヒ中佐ご自身も藻岩山スキー登山に成功。これが札幌における山スキーの発祥と伝えられています。 |
この由緒来歴に基き、当地において氏神の「伏見稲荷大神」、スキーの神「ウルの神様」、藻岩山ゆかりの「レルヒの神様」、札幌オリンピック開催の恩人「ブランデージの神様」を御鎮座し藻岩山を訪れるスキー客の無病息災と安全を祈願いたします。
昭和61年2月8日 |
北海道
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本州
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北米
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2013年7月7日
函館市臼尻スキー場案内スキー場を使用される場合は、次の点に留意され皆で楽しく利用して下さい。 記
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リフト運行時間
午後___1時から4時まで *日曜日: 午前9時-12時 ※気象条件により、リフト運行を見合せることがありますので、ご了承願います スノーボードの利用
函館市教育委員会 |
1966 IOC: 1972年札幌オリンピック開催決定
滑降コース: 支笏洞爺国立公園内恵庭岳予定 1966 北海道自然保護協会: オリンピック使用後復元する意見書復元 = 工作物撤去 + 適切な植林 → 厚生省も同意見解 ⇒ 造成許可: 男子コース 2636 m、女子コース 2108 m
コース幅 25-40 m コース面積 43 ha |
1972.2 札幌オリンピック閉会 ⇒ 復元
全日本スキー連盟、北海道体育協会: コース存続を要望 → 1973 完了 (その後は、捕植、下刈り、害虫駆除等の管理は継続)
治山: 山腹土留工 高標高: ポット植え - 活着率向上目的 復元費 2億1千万円 |