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(2018年11月25更新) [ 日本語 | English ]

細胞 (cell)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

索引

細胞 (cell)


真核生物 eukaryote
= 真核細胞 (多細胞 + 単細胞) Ex. yeast (monocellular), chlamydomonus, plants, animals (multicellular)

ミトコンドリア内エネルギー生産
細胞内小器官 (オルガネラ)
→ 分化 differentiation. Ex. conpartmentation, 構造・物質等

原核生物 prokaryote
= 前核細胞 (単細胞のみ)

細胞内組織有さず真核生物のミトコンドリアmitochondria機能は細胞膜内側
細菌類、藍藻類 = monocellular
大腸菌 Eschelichia coli: 長さ 2-3 μ, 幅 1 μ

glucose, (NH4)2SO4, P, S, Mg → 1回分裂に50分毎
glucose, 有機N化合物(アミノ酸・ペプトン・肉汁, P, S, Mg → 1回分裂に20分毎

1) 大腸菌にinsulinを作らせる
2) 大腸菌にcellulaseを作らせる
ブドウ糖glucoseを作れないがその他の存在に必要な物質は全て作れる → その最小サイズが大腸菌


Table. 原核細胞と真核細胞の比較。* ミトコンドリアと葉緑体は70S。** 無機化合物をエネルギー源とする能力
                         原核細胞      真核細胞
  大きさ(径) (μm)       1-数          > 10
  有糸分裂               無            有
  核膜(膜を取り囲む構造) 無            有
  小胞体                 無            発達
  ゴルジ体               無            発達
  細胞器官               無            発達
  液腔                   稀            普通
  リボゾーム             70S           80S*
  呼吸酵素系             細胞膜内局在  ミトコンドリア内局在
  光合成系               細胞膜内局在  葉緑体局在
  鞭毛                   線毛(ビリー)  (9+2)微小管 + 外膜
                         細菌鞭毛
  原形質流動             無            一部のもの
  性現象                 稀, 不完全    普通, 完全
  N2(分子状窒素)固定反応 一部の種      無
  化学合成**             一部の種      未詳

細胞内膜系
全てER起源。ER表面糖タンパク質組成によりゴルジ体・リソゾーム等のどれになるかが決まる
細胞基質 cytoplasmic matrix
無構造。タンパク質・酵素・RNA含む。収縮性タンパク(アクチン・ミオシン)。原形質流動をする
後形質 metaplasm
原形質の1種で原形質が変化したもの = 原形質物質交代の結果生じた細胞内非活性物質

+ それに基づく構造 Ex. 細胞液、澱粉粒・卵黄粒・脂肪粒・種々の結晶体・色素・乳液

細胞器官
器官に相当な働きを持つ細胞内構造
鞭毛 (運動): ミドリムシ
繊毛 (運動): ゾウリムシ
眼点 (視覚, 光感受): ミドリムシ・ゾウリムシ
収縮胞 (体内余剰水分排出): ミドリムシ・ゾウリムシ
食胞 (消化器官的機能): ミドリムシ・ゾウリムシ・アメーバ
細胞含有物
貯蔵物質: デンプン粒、タンパク粒、脂肪粒、イヌリン、卵黄、グリコーゲン等
排出物質: シュウ酸石灰、炭酸石灰結晶体、乳液、アルカロイド、油滴、樹脂等
浸透圧維持物質: 各種塩類

[木材化学 wood chemistry]

細胞壁 (cell wall)


細胞壁 cell wall, CW: 植物(細菌・藍藻)細胞特有な後形質
機能 function
体制(構制): 個々生物体(系統)における構造の基本形式 - 相称や器官配置の主な様式を示す

Ex. 真正粘菌 → 不定形 amorpha: 体制とは関係ない
Ex. 多細胞の個体が体制を成す
硬い細胞の方がしっかりする: 水を吸うと細胞が固くなる → 細胞壁必要

骨格 skeleton: (cf. animals = bones, etc.)

機械組織 mechanical tissue: 骨格として働く Ex. 膜組織、角組織

構造 structure
中層にペクチン質を含む3層構造 → 内外層はセルロース主体で全透性
three layer
a) 中間層(中葉・中層) middle lamella (inter cellular substance)
b) 一次壁 primary wall: セルロース (cellulose), プロトペクチン (protopectum), ヘミセルロース (hemicellulose)が主成分。植物全て共通
c) 三層二次壁 three-layered secondary wall

仮導管 tracheid・導管 vessel: 3層二次壁が発達したもの → 柔組織細胞 parenchyma: 二次壁がない
外層(S1), 中層(S2), 内層(S3)

リグニン = 木化
スベリン = コルク化
クチン質 = クチクラ化(植物のクチン質はロウに似た物質)
クチクラ: 体表を覆う細胞が外表面に様々な物質を分泌し形成する膜状構造

主成分: リグニンlignin → 木(質)化(肥大化) lignification = リグニン蓄積によりsecondary wallを形成
細胞成長に伴い液胞が徐々に広がる一方で木化進む。環状、螺旋状のものがある。一種の生物中にこの2つの状態のものが混じり存在することもある

成分

表. 一次細胞壁の構成成分比(子葉鞘、幼茎、葉等の平均的な値) (Setterfield & Bayley 1958)

成分_______ヘミセルロース ペクチン物質 セルロース タンパク質 脂質
乾燥重量比(%)__50-55_______5________25-35___2.5-5____7

単糖類
ヘキソース: D-グルコース(Glu), D-ガラクトース(Gal), D-マンノース(Man)
ペントース: L-アラビノース(Ara), D-キシロース(Xyl)
ウロン酸: D-ガラクトロン酸(GalA), D-グルクロン酸(GlcA), 4-o-メチル-L-グルクロン酸(Me-GlcA)
メチルペントース: L-ラムノース(6-デオキシ-L-マンノース), L-フコース(6-デオシキ-L-ガラクトース)
二糖類(グルカン) glucan
1) UDP-Glucose → UDP + Sucrose: sucrose synthase (EC 2.4.1.13) 2) UDP-Glucose → UDP + Sucrose-6P: sucrose-P synthase (EC 2.4.1.14)

Sucrose-6P + H2O → Sucrose + Pi: sucrose-phosphatase (EC 3.1.3.24)

cf. Sucrose → Fructose + Glucose: invertase
セルロース cellulose
ヘミセルロース hemicellulose
デンプン starch
アミロース amylose: α-1,4結合で300-1000個つながっている
アミロペクチン amylopectin: Amyloseの鎖で所々にα-1,6結合の枝がある

α-1,6 α-1,6 α-1,6: 結合するときはQ酵素を用いる
グリコーゲンglycogenなどは枝が短いが数が多い

酵素活性 enzymatic activity

pectin methyl esterase-1,3-glucanase

1965 Lampont: この理論とタンパク質の存在は現在否定

セルロース中から特殊なアミノ酸を抽出 → 細胞壁の分化に関与すると考えた
Acer pseudoplatanus, Lycopersicon esculentum
細胞壁から糖タンパク質 glycoprotein 抽出 = extensin (細胞壁拡張 extension関与タンパク質と命名)
S-S結合

Lycopersicon esculentum細胞壁のアミノ酸組成

_Arb___Gal Hydro Serine (Lysine, Xyrosin, Valine, Threione)
14-16__2-6_9-10___3______________1-数

Hydolysis → hydro-o-arabinosids

液胞 (vacuole)


動物細胞より植物細胞の方が顕著。植物では大型で老細胞では大部分が液胞となる
DNA, RNA等を破壊する → 動物のリソゾームと見てよい
液胞成分を液胞外に取り出すと破壊される + 植物細胞では細胞壁が除去しにくかった → 液胞研究は遅れた
液胞膜 vacuole membrane: 植物細胞で特に発達し内部に細胞液を含む
細胞液: 細胞膜に包まれた液体。液胞内に存在する溶液で(古くなった)植物細胞に特に発達

細胞質必要養分貯蔵 = 炭水化物・タンパク質・有機酸・無機塩類・アントシアン・タンニン等含む
形態保持

membrane

形質膜 (plasma membrane)


細胞構造を分化させているものが膜 → 単位膜(Unit membrane): 3層構造

この場合tonoplastとplasma membraneは同じもの

形質膜は液胞と細胞質とを区別する膜

液胞膜と構造的に似る

DD model
1935 Danielli & Davson model

流動モザイク説 (fluid mosaic theory)

1972 Singer SJ & Nicolson GL
凍結へき開法 free-fracture: 膜を凍らせそれを裂く方法で膜を調べる - freeze-etching

極性 polarity を調べるのに赤血球を使う利点: 細胞壁、核がなく膜だけの構造をとり観察し易い。これを低張液(0.14 M, NaCl)につけ溶血ghostさせる(等張ではvesicleができ、低張ではinside-outになってしまう)

fluid mosaic 膜成分である脂質は水和性のある極性端を膜両面に向け疎水性鎖を膜内面に向けた2重層を形成 → 2重層の厚さ7-8 nm
膜構成 protein: 多くは脂質2重層中にモザイク状にはめ込まれている。protein中の疎水性部分は膜内部に親水性部は膜表面に露出 → proteinには、この表面に露出した部分に結合しているものもあるし脂質の2重層の中に埋まるのもある
脂質2重層: 常温では結晶と液体の中間状態(= 流動性) → 膜内部に存在するproteinはこの流動性を持った脂質層の中をかなり自由に動くことができる。このモデルは細胞膜が動的な構造であることを示すと共に安定した構造であることも説明できる。この構造は細胞膜だけでなく細胞内種々の膜構造でも基本的な構造である
細胞膜成分にはlipid, proteinの他に多糖類がある。多糖類の種類は細胞の種類によって異なり細胞はそれぞれの表面に特有な多糖類を持ち、細胞表面多糖類の重要性が判明している

機能 function

1) 細胞内環境維持
伸縮性: 修復・再生・隔合
維持: バクテリア・ビールス等の侵入を防ぐ(植物の場合更にcell wallがこの機能を果たす)
糖衣glycocalyxが働きの主
Takebe(建部)

TMVより原形質体protoplast抽出
→ protoplastではウイルス感染は数10倍高まる

2) 物質透過・輸送
a) 受動輸送 passive transport
拡散による透過: 溶媒としてのはかなり自由に通す
neutralな物質(no charge)であるのが膜の目の大きさpore sizeを考える時の前提
→ chargeがあると小さなものでも通し難いものがある
形質膜は巨大な脂質なども取り込む-自由に透過
原形質分離plasmolysis
外部濃度調節に蔗糖、尿素を用いて比較

物質: 分子量 濃度 蔗糖:_342 内 < 外
尿素:__60 内 < 外 → 5-10 Å(尿素が出入りするpore size)
水:____18 内 > 外

蔗糖では永久に原形質分離plasmolysis状態であるが、尿素では時が経つと内外部とも濃度が等しくなる(原形質分離が見られなくなる) → 形質膜にはある大きさ(尿素)を通す程度の孔がある

b) 能動輸送 active transport
拡散による物質移動のほかに、呼吸によって生じたATPを用い積極的な吸収や排出を行う現象
ナトリウムポンプ

plasma membrane

ATPのlabelにはγの部分に32Pを用いる
エネルギーが必要: ATP →ATPase (energy) → ADP + Pi

→ エネルギーを得るにはATPとATPaseが必要
ATP adenosin triphosphate (A-T-P~P~P)
ADP adenosin diphosphate
AMP adenosin monophosphate

選択的透過性 selective permeability
細胞に必要な物質を選んで通す性質
物質取込、排出にエネルギー(ATP)必要

plasma membrane
Ex. 柔突起養分吸収、根毛高濃度養分吸収、Naポンプ

ブドウ糖吸収: ブドウ糖が膜状のproteinに結合するとprotein構造が変化する。このときATPaseが必要で、これとATPの作用によりタンパク質が回転する。またブドウ糖にリン酸が結合していることが分かっている
認識タンパク質: ブドウ糖結合タンパク質、アラニン結合タンパク質、硫酸結合タンパク質

赤血球 27.4 K+: 細胞内 > 外: 血漿 5 mM
赤血球 0.16 Na+: 細胞内 < 外: 血漿 145 mM
外向 efflux (outflux) 0.15 μmol/cm2, 内向 influx

3) 情報伝達
Con A (concanaralin A): 細胞を凝集させる働きがある
→ 白血球に与えると白血球分裂が盛んになる → 細胞分裂促進剤 → DNA複製は核中
膜にCon Aと結合するreceptorがありCon Aを加えると結合し核にDNA複製情報を連絡している

細胞膜 (cell membrane)


= 原形質膜 protoplasmic membrane, 古
ほぼ半透性で選択的透過性

H2O, O2, CO2
> C6H12O6, amino acids, fatty acids > glucan, etc.
> 多糖類, protein, fat

厚さ10 μmの3層構造
化学組成: 脂質 lipid, タンパク質 protein

脂質: 脂肪酸グリセリド(fatty acid glycerides, 脂肪酸とグリセリンの化合物)。C17, C19類が多い

cell membrane

流動モザイク
食胞 food vacuole (食細胞 phagocyte)
食作用 phagocytosis: 固形分取込 → 器官 = ファゴゾーム phagosome
飲作用 pinocytosis: 液体成分(コロイド)取込 → 器官 = ピノソームpinosome

取込過程
cell membrane
排出過程
排出過程は取込過程の逆を想定すれば良い → 使われる器官は exocytosis
※この際、この作用が行われるのはある程度特有の細胞である

細胞基質 cytoplasmic matrix

無構造 → 原形質流動
タンパク質・酵素・RNA含む → 収縮性タンパク(アクチン・ミオシン)
細胞の相互認識
培養層に種々細胞(肝臓細胞、腎臓細胞)をばらばらにし混合

→ 培養層内でお互いを認識し同種細胞が集まり結合

認識能力は細胞膜表面にある
糖タンパク: 一種のアンテナ = 認識能力部分

→ この部分をぺプトン等で分離すると異種タンパク質も結合
cell membrane

生体内脂質
脂質は生体膜主要成分

______________血漿_____牛乳
リン脂質_______8-25%___半分
コレステロール__10-27%__殆どなし
トリグリセリド___< 10%____1/3

細胞膜表面に存在する → 細胞認識biological communicationに関与 細胞の区画成分
細胞表面の被覆・防護 → 高等植物葉、昆虫殻、皮膚、細菌細胞膜等 細胞中の脂質成分 貯蔵・運搬

エネルギーの貯蔵物質として脂質は高エネルギー分子なので適している
脂質はエネルギーを運搬している。例えば、血液中を脂質はそのままの形で運ばれている

(よく調べられているもの)
赤血球膜
神経細胞膜 → すべて細胞膜構造をとる
神経細胞末端 (筋肉細胞を含む)

神経細胞末端と筋肉細胞はneuro-mascular junctionという形で結ばれている
_____________Na+_____K+_____Ca++_____Mg++
内側(筋肉)___15 mM 140 mM____10 M____数 dmM
外側(血液)__140 mM__4.5 mM__<< 数mM___>>
glucose, glucophosphateの透過性は高い
cAMP: 情報・刺激 → Ca: 一次伝達・二次伝達

細胞内膜
核膜(eukaryotes, prokaryotes共に), 小胞体, ミクロゾーム, ミトコンドリア, 葉緑体

小胞体 (endoplasmic reticulum)


= 細胞内膜系, エンドプラズミックレチキュラム endoplasmic reticulum, ER
細胞膜起源。網目状に細胞膜が発達したものであるが機能は細胞膜と異なる
膜を持った構造体。ER形態から細胞の種類、代謝活性の度合が判断可能なほど、膜系形態、量は様々。内膜系の役割は、細胞交流の場を提供し、合成産物を分離し、生産物を細胞内外に移送する通路となるものといえる
  1. 形態保持-膜の表面積を広げるため内側に膜が侵入する
  2. 物質の取入排出
  3. 浸透圧調節
  4. 必要物質の吸収・不溶物の排出
→ 選択的物質輸送 selective transport, or 選択的物質吸収透過 selective permeability
Ex. 膜タンパク質: イオンの吸収 - Na, K, Ca = カチオン輸送、-SO, -PO4 = アニオン輸送 粗面小胞体(rough ER, R-ER), 滑面小胞体(smooth ER, S-ER)は機能分化が表れたもの
粗面小胞体
分泌タンパク質 → ribosomeがproteinを作り細胞膜にすぐproteinを渡し流動モザイク構造に使用

ER

ER
Golgi apparatusはそのままGoldi bodyになることもあればlysosomeとなることもある

滑面小胞体
表面にribosomeが付着しprotein(主として分泌タンパク質)の合成の場である
ribosomeの状態によって遊離型ER、結合型ERの2種類がある
諸種物質合成の酵素を有する

Ex. 脂質合成酵素により脂質を合成し、流動モザイク構造に脂質を渡す

ribosomeは細胞膜表面に結合するproteinが存在すると小胞体に結合する
ミクロボディ microbody
一枚膜: 直径0.2-1.0 μmの袋
滑面小胞体が特殊化したもの。はパーオキシターゼ(パーオキシゾーム)peroxisomeと呼ばれる酵素とグリオキシゾームglyoxisomeと呼ばれるグリコオキシターゼを含む袋

微小管 (microtubule)


microtubule タンパク tublin が管状となり液胞近くに多量存在。微小管配列変化が細胞自体の移動・細胞内物質移動に関係

中心体 centrosome

中心粒 centriole

鞭毛 flagellum

藍藻、紅藻、菌の一部以外は胞子に鞭毛を持つ
鞭毛の種類
Chara

鞭毛糸: 9 + 2 = 11

ゴルジ体 (Golgi body)


= ゴルジ装置 Goldi apparatus、ディクチオソーム dictyosome Golgi apparatus
構造 structure
動物・植物に広くみられる単位膜の系
膜表面にribosome付着せずS-ERに近い。内膜と連続している所が観察されることもあるが不連続である場合が多い。平板状の胞が平行に重なったもので、胞の縁には直径400-800Åの小さな胞球がたくさん付随する。胞球は平板状の胞がちぎれてできたもので溶液状あるいは粒子状の分泌物を含む
ゴルジ体構造は3要素からなる

ゴルジ膜: 偏平な嚢
ゴルジ顆粒 Golgi vesicle: 小球状の小胞
ゴルジ液胞 Golgi vacuole: 大型の液胞

機能 function
細胞分画法で単離したゴルジ体 → ガラクトシルトランスフェラーゼ活性顕著 → 糖代謝と関係深い
植物細胞: サラニペクチン, hemicellulose, cellulose等の多糖を合成し、これらを細胞外に分泌し細胞壁新生・伸長・肥大に寄与。炭水化物を合成し分泌する細胞では少なくとも一部はゴルジ体の酵素により合成され、そういう炭水化物はゴルジ体部分においてその細胞の他の部分で合成されたタンパク質と複合体を作る
リボゾーム上で合成されたタンパク質は粗面の内膜系を通じてゴルジ体に送り込まれ濃縮あるいは荷作りされて細胞から外に出易い形になる
脂質代謝においても一役果たす。精細胞が成熟して精子になるときの変態においてもある役割を成す

リソゾーム lysosomes

原形質成分を分解する酵素を含むゴルジ体に似た球状の小胞
細胞が摂取した粒子や不必要な物質をゴルジ体からの消化酵素によって分解消化する

ミトコンドリア (mitochondria)


= 粒子体、コンドリオソーム、スフェロプラスト
真核生物にみられ、幅約0.5 μmの糸状・顆粒状細胞小器官

主要機能

呼吸 → TCA回路及び電子伝達系の主要酵素持つ
= 好気的条件下の細胞エネルギー生産の場
DNA·RNA: ミトコンドリア固有のDNA, RNAがある

自信が複製・転写・翻訳の独立した機能を持つ
動物: external NADHはミトコンドリア膜に対して非透過性
植物: external NADH (シャトル機構 shuttle mechanism)

ATP, ADP: アトラクチロシド (atractyloside)により阻害受ける
リンゴ酸塩 malate, コハク酸エステル succinate: マレイン酸水素n-ブチル n-butyl maleateによって阻害を受ける
アミノ酸 amino acids

運搬者はミトコンドリア膜上にあり運搬タンパクによって透過できる (Shuttle mechanism)

構造

高濃度のリン脂質とタンパク質を含む

→ 周囲の細胞質より屈折率高い → 生細胞でも位相差顕微鏡で観察可
染色固定には四酸化スミソニウム固定や過マンガン酸カリ固定用いる

一般には散在 (しいていえば中心体とか核の周り): 機能に応じ特殊に分布することもある (= 細胞内のロカリゼーションlocalizationをする)
→ ATP合成の盛んな細胞においてミトコンドリアが数においても構造においても発達していることが予想される
構造様々: 団子状から線状のものまで
大きさ様々: 幅0.4-3.0 μm, 長さ0.3-0.8 μm

クリステ構造 crystae = -二重膜構造
二枚膜構造 = 外膜 outer membrane (細胞膜あるいはERに近い) + 内膜internal membrane (クリステをなす膜)

膜間層
外室 outer chamber

マトリックス礎質 = 可溶性物質(溶解している)
礎質内に存在するもの

ミトコンドリアDNA: 核DNAと分子の性質が異なる
ミトコンドリアリボゾーム(mitochondrial ribosome) = ミトコンドリア特有のnuclein - ribose: だるま状
= 前核細胞ribosome = 細菌型ribosome(70S小) - 細胞質ribosome 80S

二重膜
外側膜は核DNAによって作られる。内側膜はミトコンドリア内部のDNAと一部は核DNAによって作られる(重要なものは核からもらうがmitochondriaを作る遺伝情報は核にはない)
1960 Sjöstrand

mitochondria
ミトコンドリア膜分子模型
(Sjöstrand 1960)

1966 Racker

膜が2枚集まった2重膜であることを発見
脂質2分子は2層のタンパク質膜(単位膜)が2枚密着して、ミトコンドリアの二重膜構造を形づくっている。その膜の両側にさらに球状タンパク質が並んでいる(モデルの膜の厚さは後に修正)

1964 Fernändez-Morön, 小田, Blair, Green

calf heart mascleを低張中で重金属によるnegative stainingする
繰返(基本粒子) - repeating unit theory
頭部がelectron transport systemに関与していることが考えられる(elementary particles, EP)。実際にはATPaseが存在していた。EPは内膜粒(F1-particle)と後に名称が変わる
mitochondria

表. 心臓ミトコンドリアのタンパク質と脂質の組成%
ミトコンドリア全重量に対する割合
    タンパク質・脂質・その他                 50
    水                                       50
ミトコンドリア全乾燥重量に対する割合
    タンパク質                               70
    脂質                                     25-30
    その他                                   ≤ 数%
全タンパク質に対する割合
    可溶性タンパク質                         20
    不溶性タンパク質
    (構造タンパク質 + 電子伝達系タンパク質)  80
脂質に対する割合
    リン脂質 (不溶性タンパク質と結合)        ≥ 90%
表. ダイコクネズミ心臓・肝臓及びウシ肝臓ミトコンドリアクリステ長の総和とチロクローム濃度の比較
    ミトコンドリア           ダイコクネズミ ウシ
                             心臓  肝臓     心臓/肝臓 肝臓
    外膜長 (μm)a            2.83  2.62     1.08      3.32
    クリステ長さ総和 (μm)a  7.37  1.99     3.70      0.86
    クリステ/外膜            2.49  0.70     3.56      0.26
    クリステ                 34    12                 6
    Cyt. aの濃度b            0.66  0.18      3.7      0.08

a. 1ミトコンドリアあたり平均長、または数(過マンガン酸カリ標本)
b. ミトコンドリアのタンパク質重量 (1 gあたりのμモル数)

機能

エネルギー生成系
酸素呼吸 = ATP合成 (ATP synthesis)

C6H12O6 + O2 → 12H2O + 6CO2 + 38ATP (688 kcal)

TCA回路 = マトリックスに存在 ⇔ 電子伝達系 = クリステに存在
CH3COOH → アセチルCoA 基本粒子(elementary body) = ATP生産部位 → ATPosome(ATPオゾーム) = F1粒子
ミトコンドリア結合時はATP合成、分離時はATP分解 = ATPase (ATP分解酵素) → 共役因子: protein
ATP → [ATPase] → ADP + Pi 酸化的リン酸化

ミトコンドリアは水の吸収・排出(ATPも一緒に出入)により収縮・膨張を繰り返す
酵素はmitochondria表面に集まり易い

1935 Szent-Györgyi: C4-dicarbonic acid cycle (C4カルボン酸回路)

現在否定
コハク酸 (succinic acid): HOOC-CH2-CH2-COOH
リンゴ酸 (malic acid): HOOC-CH2-CH(OH)-COOH
フマル酸 (fumaric acid): HOOC-CH=CH-COOH
オキザロ酢酸 (oxaloacetate): HOOC-CH2-CO-COOH
すり潰した組織の中でO2消費が行われるにはジカルボン酸必要と考える

1937 Krebs Hans Adolf

クエン酸 (citric acid) → トリカルボン酸 (tricarbonic acids)の重要性-酸素消費のために重要
無機リン酸 - 減少
glucose-6-phosphate, fructose-6-phosphateが増加

→ 無機リン酸は増加物質の複合体となると考えた

シアン化合物を加えると活動鈍る

→ シアン化合物はO2阻害を行うためO2の必要性が示唆された

→ ATP生成にO2必要: ADP + Pi → ATP

1940 Green, David E

homoganated cells: 呼吸の活発な遠心分離部に酸化的リン酸化(oxydative phosphorylation)の中心組織を見出しcyclophoraseと名付けた → cyclophorase system

1945-50 Lehninger: mitochondriaを単離(isolation)する

NADの還元により紫外線吸収波長変わる NDA
FAD (flavine adenine dinucleotide)
サイトクローム (cytochromes)
ヘム鉄: ヘムタンパク → Fe2+ ⇔ Fe3+
5種のチトクロームの系がある: b, c1, c, a, a3
種により紫外線吸収に特徴がある

TCA回路

炭水化物・アミノ酸 → CH3-C(O)-COOH (pyruvic acid) → acetyl Co A
__________________________________________CoA

TCA cycle
ATPができるところ = F1 particles, 助酵素のあるところ = rc particles


小胞 vesicles

= 亜ミトコンドリア粒子
無傷の小胞構造がエネルギー保存過程に必要
抽出すると外側の膜が外側になってright-side-in得られるが、一部は膜が逆転しright-side-out得られることがある

vesicle M right-side-in right-side-out e- 2分画に分かれたとき coupling factorで再構成


人工的にmitochondriaをばらす-亜mitochondria(vesicle)粒子化
普通抽出すると外側の膜が外側になってright-side-in得られるが、一部膜が逆転してright-side-outが得られる
酸化的リン酸化(反応) oxidative phosphorylation

トリプシン trypsine, 尿素 ureaで分解ののちに遠心分離
↓ 内膜粒を失った亜ミトコンドリア
沈殿・上澄の2分画が得られる

沈殿: 電子輸送行うががADPリン酸化できない分画(電子伝達系)
上澄: ATPを加水分解するが電子輸送できない可溶性F1 ATPase (F1 particle → F1 ATPase)分子のある分画
∴ 基本粒子(elementary particles, EP) = ATPase

葉緑体 (chloroplast)


色素体 plastid

葉緑体は色素体の一種 葉緑体 chloroplast → 葉緑素chlorophyll

褐色体(褐藻・珪藻) phaeoplast → 褐藻素 fucoxanthin
紅色体 rhodoplast → 紅色素 phycoerythrin

有色体 chlomoplast: 光合成と関係のない色素を含む細胞内構造
白色体 leucoplast: chlorophyllを含まない
アミロプラスト amyloplast: 葉緑体で生産された澱粉を貯蔵する
プロプラスチド proplastid: 未発達色素

光合成色素

表. 光合成色素の特性 (Govindjee & Braun 1974)
色素: 吸収極大, nm (測定部)
クロロフィル類

a (青緑): 435, 670-680 (生体内)
b (黄緑): 480, 650 (生体内)
c: 645 (生体内)
d: 740 (生体内)

カロチノイド類

α-カロチン: 420, 440, 470 (ヘキサン中)
β-カロチン: 425, 450, 480 (ヘキサン中)

キサントフィル

ルテイン: 425, 445, 475 (エタノール中)
フコキサンチン: 425, 450, 475 (ヘキサン中)

フィコビリン

フィコエリトリン: 490, 546, 576 (蒸留水・生体内)
フィコシアニン: 618 (蒸留水・生体内)
アロフィコシアニン: 654 (リン酸緩衝液・生体内)

葉緑素
クロロフィルa:b (chl a:b)
一般にchl a:b = 3:1
a:bは、同一種内のPmax/葉緑素比と相関
→ 光合成効率(光化学系のアンテナサイズ)を決める要素
Ex. 同一種内では陽葉ほど大
Ex. chl a:b低下: 光化学系II(PS II)にある2つの反応中心のうち、光化学系II集光性クロロフィルタンパク質複合体(LHC II)を多く結合するαセンターの相対的増加 → 被陰環境への順化応答
クロロフィルヘモグロビンは構造が似る → 共にポルフィリン化合物

_______ピロール核__中央元素__フィトール基
クロロフィル___4_______Mg_________
ヘモグロビン__4_______Fe__________

クロロフィルa, bと各種バクテリオクロロフィル(a, b, c, d型)の構造的関係 (= 分類基準)

chlorophyll Rx:
Chl a: -CH3
Chl b: -CH=O
フィトール側鎖 (親脂質性)

表: R1, 3, 4, R2, R3, R4の結合基

chlorophyll

構造

原核生物 (prokaryote)
ある程度は構造分化があるが、色素胞 chromatophore (藍藻の場合)または特別な組織なし
→ いってみれば葉緑体 = バクテリア個体全体
幾つかの構造を取る ex. nucleoid
カロチノイド等が結合(associate)している
Chlorophyll a
chlorobacteria 緑色硫黄細菌
rhodobacteria 紅色硫黄細菌

H2S - bacterio chlorophyll

真核生物 (eukaryote)
クロロプラスト chloroplast
chlorophyll a, b, (c, d)
平均的なものは5 μm、厚さ3 μmのもの。葉肉の細胞には数10個含まれる
2枚膜 = 外膜(envelope, or external membrane envelope) + 内膜(internal membrane)
マトリックス(基質, 礎質, matrix): 溶液状態
内膜 internal membrane
チラコイド thylakoid: 内膜がmatrix中へ侵入した薄い膜の袋 – 膜数が分類基準となる
グラナチラコイドgranum thylakoid

グラナ granum (pl. -a): 葉緑体内でチラコイドが層状に並んだ部分

ストロマチラコイド stroma thylakoid
ラメラ lamella: 葉緑体膜に包まれた内部、層状構造
グラナラメラ grana lamella: グラナgrana部分にあるlamella → 光合成(明反応)を受ける色素が局在
ストロマラメラ stroma lamella: ストロマの部分にあるlamella
EM観察
葉緑体外側に厚さ15-20 nmの葉緑体膜 = 3層構造: 高電子密度の2枚の膜間に低電子密度の膜
ラメラは葉緑体を切断した断面につけられた名だが、切片で層状構造にみえるのは立体的には偏平な薄い袋(膜胞状のもの)である。この袋とチラコイドthylakoidの間には大小2種類があり、大thylakoidの間に小thylakoidが積み重なり密着している。小thylakoidは円盤上で数枚から数10枚が密に積み重なる。これがgranaでgranal lamellaはそのような重なった円盤の断面をみたもの。大thylakoidは基質stroma部分に伸びている。この断面がstroma lamellaである。
緑藻等の藻類葉緑体はgrana lamellaとstroma lamellaの区別がなく、thylakoidは1種類。緑藻や接合藻類等の葉緑体中には1-多数の光を強く屈折する小体がある。この小体はピレノイドと呼ばれ周囲にデンプン粒がみられデンプン形成に関与しているとみられる
基質中には同化デンプン粒、ribosome等の顆粒、DNAの微繊維等もみられる

葉緑素抽出

植物サンプル
野外では採取したら速やかにドライアイスを入れたクーラーボックスに保管
実験室に持ち帰ったら凍結乾燥しディープフリーザ(-60°C以下)に保管

凍結乾燥できるまでディープフリーザに保管

抽出
試薬: ジメチルホルムアミド, DMF 手順
  1. エッペンドルフチューブにDMFを1 ml入れ、葉を入れる(x/cm², or x/g)。緑色葉なら1 cm角程度の面積で十分
  2. 冷蔵庫で一晩放置 → 自然にクロロフィル抽出される(組織硬い → 葉を予め破砕)
  3. 抽出DMF吸光度を663.8 nmと646.8 nmにおいて分光器で測定

(Porra et al. 1989) - 換算式は他にもあるので必要に応じ調べる

計算式
μM計算

Chl a = 13.43 × A663.8 - 3.47 × A646.8
Chl b = 22.90 × A646.8 - 5.38 × A663.8
Chls a + b = 19.43 × A646.8 + 8.05 × A663.8

μg Chl/ml計算

Chl a = 12.00 × A663.8 - 3.11 × A646.8
Chl b = 20.78 × A646.8 - 4.88 × A663.8
Chls a + b = 17.67 × A646.8 + 7.12 × A663.8


葉緑素結合基
R13, 4R2R3R4
Chlorophyll
a-CH=CH3--CO-CH3phytyl ester (C20H38O-)-H
b-3: CH3がCHOに置換。4は上と同---
Bacteriochlorophyll
a-CHO-CH3Dihydro-CO-OCH3phytyl ester-H
b--構造未知--
c-CH-CH3--Hfarnesyl ester (C15H25O-)-CH3
d-CHO-CH3--Hfarnesyl ester-

リボゾーム (ribosome)


RNAとproteinからなるタンパク質合成の場 → 組成: RNA 60%, protein 40%からなるものが多い
リボゾーム粒子 = だるま状構造

____小亜粒子 small subunit_
____大亜粒子 large subunit____

細菌型と真核細胞型
細菌型: 前核細胞生物 (細菌, 藍藻, mitochondria, 葉緑体) 起源

S = 70
直径 = 140-210Å
2.7 × 106 (RNA = 65%, protein = 35%)

真核細胞型: 核 → 細胞質
ribosome

* 順序良く結合
S値: 大亜粒子 + 小亜粒子 > 全体 → 結合の際に立体構造が変化し沈降速度が変化するため

再構成 (E. coli)
リボゾーム ribosome を2つの亜粒子に分離するにはMg2+濃度を低くする。濃くすると再び結合する
小亜粒子
30S: S1-S21 → 13種pK > 11、19種 > 7, 30Sの構成に8種必須(常在するものが多い)

再構成: 16S RNAとS1-S21を精製し再構成順序を明らかにする

Ex. 16S → S4/S8 → S7 → S19/S9 → S14 → S10 → S3

機能: S12: 誤訳(曖昧)因子。不在時に正しい翻訳, S11: 正訳因子。S6, S15, S18も関与, S7: 調節因子, S13: m-RNA結合

大亜粒子
L1-L34は4種を除きpK > 7, 50S粒子1個あたり複数分子存在するものもあり

再構成: 23S RNA + L1-L34 + 5S RNA → 50S
機能: L18, L25: 5S RNA結合, L2, L27: P-site, L7: 翻訳行為, L1, L16: A-site

ポリゾーム polysome or polyribosome

m-RNAにribosomeが複数結合したribosomeの総称 ⇔ 1 ribosome = モノゾーム (monosome, or monoribosome)
polysomeはprotein合成時型で、mRNAは小亜粒子に結合。mRNA始めの部分にribosomeとの結合部位
Ex. ヘモグロビンを作る際のpolysome → mw 64500 = アミノ酸(α鎖のみ) 141個

1アミノ酸生成に3塩基配列が必要 → 141 × 3 = 423個の塩基からなるm-RNAが最低でも必要
ヘモグロビンα鎖を作るためには6-7個のribosomeからなるpolysomeが必要

polysomeは作るproteinが巨大なほどribosome最低必要数が多く要る。m-RNAは小亜粒子のみと結合する。従って一度Mg2+濃度が低くなりribosomeが大亜粒子、小亜粒子に分離した後に小亜粒子にm-RNAが結合し、その後Mg2+の濃度が戻り大亜粒子がm-RNAのついた亜粒子に結合するとm-RNAとribosomeが結合した形が出来上がることが知られている(これは試験管内の実験結果であり細胞内でMg2+との関係は未詳)

細胞 (nucleus, pl. nuclei)


原則: 細胞は1個の核を持つ → Def. 細胞核 = この1つの核

無核細胞もある(哺乳類赤血球細胞はでき始めの頃は核があるが成熟に伴い核は細胞外に出て無核細胞となる)

大きさ: 普通直径5-25 μm - 細胞の活動状態や分裂期などによって変化
外側は核膜で囲まれている。核膜は内外2枚の膜(単位膜)よりなる。核膜の所々に小孔があり、この小孔を通って核と細胞質の間に物質交換が起る。核膜の外側にはribosomeが付着していることが多く、核膜はしばしば細胞膜に突出し小胞体の膜と接している。核膜は成分や構造から小胞体膜と相同のものと考えられる

核膜 nuclear membrane

2枚膜

ER

外膜
内膜

膜間層 perinuclear space
膜孔 nuclear pore

染色糸 (染色質, クロマチン chromatin): DNA + protein + RNA

核小体nucleolusがついている

核質 nuclear substances: 染色糸 + 核小体
核液 nuclear sap

(核小体) nucleolus, pl. nucleoli

核分裂前中期-後期を除くほとんど全ての細胞核内に存在する小球体
仁数は通常生物種によって一定だが、同じ生物でも組織によって形・大きさ・数が異なる。この変異性は細胞活性時の蛋白質合成能と関連している

Allium cepa (タマネギ): 1仁/1細胞
Vicia fava (ソラマメ): 2仁/1細胞被膜なし(EM観察の限り仁-核液間に明白な境界ない)

DNA --- r-DNA, RNA --- r-RNA
protein → 重複: 一遺伝子から多数のm-RNAをつくりproteinを合成
仁中RNAはpre-RNA (precusor r-RNA) → 仁はribosome合成の場
仁主成分: prorinで染色、Rnaseで消化 → RNAとproteinsの結合したもので基質はproteins(80%以上)
1957 Allfrey, Mirskey, & Osawa: 核自体がprotein合成すること確認 nuclei

amino acidのままなら沈殿しない
proteinは沈殿
90°CでRNA, DNAは分解 →

acid insoluble fraction → protein合成は行われた

Pronin (RNAを染める) → nucleolusがpink / Methylgreen (DNAを染める) → 核質がvioletと染め分けできる
核小体にRNAがあるから染まる → このRNAはr-RNA (precusor-r-RNA) → ribosome合成の場

成分
1950 Casperson

condensed chromatinをnucleolus associated chromainと命名

1952 Vincent

ヒトデ卵細胞を低張液に浸し加圧し核を取り出し、更に遠心により核小体を取り出す (但し低張液だと水に溶け出すので分画法が発達すると等張にする) →
RNA = 3-5%, proteins = 85-95%, DNA = 0 (最近のデータでは0.2-10%)

1969 井沢・村松

核DNAと核小体を囲むDNA(G, C rich)では組成が異なる
核小体付着DNAはr-RNAのgeneである
----------------------------------- DNA__DNA/RNA hybrid
-------UUGGCCG------------- RNA
____gene coding sequence__
___________________produce H3-rRNA
→ 核小体がr-RNAを作る場というのは過ちではない

核小体とはchoromatinのついた状態

DNA/RNA hybridを作ると、このDNAは外のDNAとつかず核小体のDNAのみにつく
→ これはr-RNA gene、即ちcoding sequenceである
∴ 核小体についているchromatinはr-RNA gene cistron

in situ hybridizationをradioautograhyによって観察 (Probe: DNA-3HRNA, DNA-3HDNA)

nucleolus
*: attached labeled RNA:
radioautographyにかけて
現像するとある所は
silver gray

r-RNA geneの存在箇所を確認

核質 nuclear substances

chromatintin, nuclear sap, nucleolus, nuclear skeleton, nuclear vacuole
ダイコクネズミ肝臓

0.25 Mショ糖に浮遊させ音波処理 = 核破砕 → 遠心, 2500 × g, 8 min. → 沈殿 [上澄 (染色質、核液)] → 0.88 M ショ糖に浮遊 → 遠心 → [上澄] → 上の処理をもう一度繰返す → 最終の沈殿 = 核小体

ヒストン histone

塩基性色素で染色される構造体

クロマチン: 分散状態 - 休止核
染色体:___凝集状態 - 分裂核

塩基性タンパク質 = histone: chromatinを構成
H1, H2A, H2B + 2本鎖DNA分子が結合 20-25 Å, H3, H4
2H2A 2H2B 2H3 2H4: histone分子8個が結合しそれにDNA鎖を巻き付けたものがchromatinとなる

クロマチン (chromatin)

= 染色糸・染色質: DNA + protein + RNA。核小体nucleolusがつく
1928 Heitz: ゼニゴケ細胞をカーミン染色

異常凝集部heteropycnosis発見: heteropycnosis数 = chromosome数 → pro-chromosomeと考える

1940 Darlington & La Cour

Feulgen staining (for specific DNA) was made after Trillium is chilled at 0-4°C for 4 days
→ find out nucleolous associated substances = GC rich DNA (H-segment) → gene for RNA (= rDNA)
普通なら染色されるのだが低温処理すると染色されない(=hetero chromatin, H-segment)所がある
nucleolus
*: これをHeitzの結果はdilutionしている

1958 Taylor & Crepis

nucleolus

1970 Dardnee & Gall

in situ hybridization - radioautograph
HCl or NaOH, NaCl, 60-65°C処理で染色体は殆どstainしない
Gimsa staining (Pardue & Gall): 核 → 紫
C-band = 一部染色された部分 - euchromatinにはない

DNAは塩基性タンパク質のヒストン(魚類等ではプロタミン)と結合し核タンパク質になる。クロマチンにはこの核タンパク質の他に塩基性ではないタンパク質(非ヒストン型タンパク質)や少量のRNAが含まれる。クロマチン中でDNAを含む核タンパク質がどの様な状態で存在しているかに関しては幾つか説がある
二本鎖の螺旋構造: DNA: (r) +, (l) -
真核生物核内に存在する好塩基性物質。現在はDNA塩基性核蛋白質(複合体を主成分とし非ヒストン蛋白質)および小量のRNAを含む集合体に対して用いる。細胞サイクル各期、遺伝的活性化・不活性化状態で構造が著しく異なる。heterochromatinとeuchromatinに大別される

異質クロマチン condensed chromatin (heterochromatin): 分裂期間中も見え続ける凝縮部位 heteropycrosis

このDNAがRNAに転写されないため遺伝的不活性染色体上でhetero-chromatinになる部位は決まっている。Heterochromainはminor chromatinでありアミノ酸情報には関与しない

真性クロマチン diffused chromatin (euchromatin): 分裂時に見えなくなる解けたクロマチン。遺伝的活性部分
Möller strand
染色分体chromatid: 0.5-2 μm → 4(8)本
Half-chromatid 0.1-0.3 μm → 2(4)本
Half-half chromatid: 500-600Å → solenoidが1本ならd. st.は1本、2本なら2本

ヌクレオゾーム nucleosome
110Å = 200 base pair DNAがhistoneの適当な基と結合したもの

2分子のH2a, H2b, H3, H4を含む (1 × H1も含む)
H3, H4はplant histone, animal histone共通 → 進化過程で変化していない
nucleolus

直径 = DNA直径 × 7, 太さ = 1/7

ソレノイド solenoid : chromatin (nucleosome)が螺旋状をなしたもの(直径300Å)
スーパーソレノイド super-solenoid: 更に染色体化した時の構造 (直径 = × 40, 直径 = × 5 = 2 μ)

核液 nuclear sap or karyolymoph

無機塩類、低分子物質等が考えられる – 未詳

soluble protein (free enzyme), nucleoside, ヌクレオチド分解酵素nucleotide
RNA-proteins
DNA-protein chromatin

1967 Narayan et al.

核からRNA + proteins, rDNA (r-RNA gene DNA) + proteinsを取り除くとprotein netが残る
Protein net = nuclear skeleton (network skeleton)
→ function: DNA 複製(DNA replication), transcription = DNA複製に関与

核の糸 (thead)
1953 Brinstiel & Hyde: Peaのchromatinを電子顕微鏡観察 → 35-45Åの糸
nucleolus 1963 Ris & Chardler: イモリ → 200Å 100Å → 100Åの糸がcoilになっている
1965 Du Paw

海面展開法: ミツバチの胚 (chromatin, chromosome)
nucleolus
→ Trypsin処理 → 23-26Å ∴ コイルしている所が230-250Å。伸びている1本は23-26Å

1973, 74 Olins & Olins

nucleolus
この球状物質: v-body, chromatin-body, etc.と命名 → nucleosomeと用語統一

1973 Hewish & Burgoyne
1974 Clark & Felsenfeld, Axel et al.

Chromain + DNase II (staphylococccal nuclease) → DNA extract → analysis
Results
除蛋白質 by gel electrophoresis
ある間隔でDNaseからprotectする部分がある。この残る最小単位が200 base pairs。酵素量 増加あるいは反応時間を延長すると200 b.p.が増え、2 × 200, 3 × 200, 4 × 200が減少する。


染色体観察


ショウジョウバエ唾腺染色体観察

Observation of salivary gland chromosomes in Drosophila
目的
ショウジョウバエ数種幼虫の唾腺染色体を観察し、染色体構造、変異等の理解を深める
材料 (特徴)
Drosophila virilis (2n = 12), D. melanogaster (2n = 8), D. immigrans (2n = 8)
方法
  1. スライドグラス上に3齢幼虫取り、生理食塩水を1滴たらす
    蛹化のためガラス壁に昇るが蛹化直前の幼虫唾腺染色体は観察しづらいので、大きく動きの良い柔らかな幼虫探す
  2. 実体解剖顕微鏡下で2本の有柄針を使用し、唾腺を取り出す

    fly
    普通の体細胞染
    色体 (n = 12)

    1. 第1節目と第4節目に針をさし、右に引き裂く
    2. 内蔵露出、唾腺を確認
    3. 唾腺以外の組織除去 (多少脂肪体はついても良い)
  3. 唾腺以外の組織を除去し1N HClを滴下、加水分解する(5-7分)、組織は白濁する
  4. アセト・オルセインを滴下、固定染色する(10-15分)
  5. カバーグラスをかけ低倍で観察(唾腺細胞の様子)
  6. カバーグラス上に濾紙をのせ余分な染色液を吸い取り親指で押しつぶす

    fly
    唾腺胞染色体 (n = 6)
    C: Chromatocenter

    押しつぶす時にカバーグラスとスライドグラスがずれてはいけない
    押しつぶした後でカバーグラスをずらさないよう2-3回横にこすると良く広がった像を得る
    (何回かやってみる)
  7. スライドグラスを低・中倍で観察(良く広がった染色体を探し全体像観察)
  8. 高倍で詳細観察
観察ポイント
  1. 染色体腕arm本数
  2. 染色体は濃染部bandと非染部interbandから成るがband数を数える (bandは機械的縞模様ではなく1本1本独特形態)
  3. パフがあるか
  4. 染色体欠損・転座・逆位等があるか

既成の永久プレパラート

ヒト染色体観察

  1. 唾腺染色体との大きさ比較(巨大染色体で普通染色体の150倍以上)
  2. ヒト染色体は正常で2n = 46(男 44 + XY、女 44 + XX) → 46本の染色体を確認できるか
  3. プレパラートには44 + XXY、44 + XOの染色体構成のものも入っている
  4. 核型分析ができるか
材料
ヒト白血球培養細胞から得られた染色体永久プレパラート(白血球培養 → 増殖期にコルヒチン又はコルセミド処理 → 細胞を集めカルノア液固定 → エア・ドライ標本 → ギムザ染色 → 永久プレパラート)
結果
  1. 唾腺の全体像スケッチ(7 × 10)
  2. ヒト白血球を培養したものによる永久プレパラートスケッチ

染色体解析


フローサイトメーターflow cytometer

高い精度での核型分析flow karyotyping可能

非常に細い流液中に細胞等の微粒子を高速度で流し、これにレーザー光を照射し、これら微粒子に当たって散乱する光や、あらかじめ蛍光物質を標識した微粒子が発生する蛍光を測定する装置の総称

フローサイトメトリー flow cytometry
その方法あるいは技術

Flow Karyotypingによる染色体異常解析や植物染色体の解析なども試みらる
染色体の解析/分取sortingをより速く、人為的誤差を少なく行える
分取した細胞を用いヒトやマウスの染色体特異的ライブラリー作製、マッピング、染色体導入等に応用

核と細胞質との関係 (relationships between nuculeus and cytoplasm)


(Brachet & Lang 1965)

再生 (regeneration)
カサノリ Acetabularia
nucleolus
I: 無核片(A)は成長し傘再生するが、できあがった傘を切り落とすと2度目の傘再生は起こらない。有核片(B)の場合は何度でも傘の再生を行う
→ 再生には核が必要
II: 茎の部位による再生能力の差。頂端に近いほど再生能力が高い
→ 傘の部分に傘形成cap formationに関する物質がある – 核に支配されているが依存の程度は低い
傘capが発達すると核が急速分裂(1万-1.5万) → 急速に傘へ移動 → 嚢果cyst → 減数分裂 → Zoospore
移植
A. mediteranea (med)とA. crenulata (cren)の移植 – 傘の形態で区別可能
nucleolus
nucleolus
1959 Werg G

1) Carnoy's fluid (for fixation) + Azorcarmine (for staining)

nucleolus

growth point → stainingに差

2) Azur I (for staining RNA) → 1)と同じ結果を示す → RNase処理にsensitive → RNAもある
→ タンパク質とRNAの複合体が形態形成物質

1963 Ootaki: Pteris vittata (モエジマシダ)

nucleolus
光により形態形成が影響される (遠心をかけると成長点が変わる)

→ これらの染色は全て[r-RNA ca 70%, t-RNA ca 20%]の状態で行われたもの

即ち、リボゾームにm-RNAが付いた状態で染色している

1958 Ohsawa & Hotta: 1次元成長から2次元成長への転換機構を調べる

nucleolus

                                        G     C     W
        1次元                         13.5   7.2  12.3
        2次元                         12.9  10.5   9.2
        8 azagnanine (RNA inhibitor)  13.5   8.2  12.0

Base ratioに変化が起こる: RNA inhibitorを入れると変化が起こっていない(現在データは否定的だが、考察は正しいと考えられる不思議な結果)

1965 Nakazawa & Tanno

2, 4 cells → actynomycin処理(RNA合成阻害剤) → 2次元成長止まるが1次元成長進む

→ RNAが形態形成に関与していることは間違いない
1963, 1964 中沢: Fucus - MP stain

nucleolus

1976 高村毅一 (Phd Dissertation)

Fucus3H-uridineを取りこませ追跡すると同様の結果を得、中沢の実験追証
RNA religionは染色およびラジオオートグラフィーによって証明された
しかしRNAはpolysome上にある可能性が高く、そうであればm-RNAの動きを追跡しているともとれる
m-RNA conditions: protein complex, stable m-RNA (long-lined m-RNA)がみられる

→ 極性: この決定要因はわからない – 以下のように解明中

集まらせる要因・RNAの正体・分化の"前触れ"現象

Cf. 化学分化: peroxidase, indophenol oxidaseの細胞内での分化の違い = 重力仮説

細胞内共生 (endosymbiosis)


1959, 61, 62 Robertson: 3相説
→ 古典的細胞像を電子顕微鏡の発達に伴い否定
→ 古典的共生説終焉
1962 Ris & Plaut: chlamydomonous葉緑体からDNA発見
chloroplast DNA - turnover (代謝回転): 二本鎖環状double strand circle - 40 μm (5-6分子/chloroplast)
DNAaseで分解される → 葉緑体にもDNAがある
葉緑体DNAから葉緑体ribosome(70S, 細菌・藍藻と同じ)に情報を与える
同様にミトコンドリアにもchloroplast DNAと似た構造をとるDNAがある
+ リボゾーム顆粒らしいもの確認

↓ 寄生説(mitochondriaもchloroplastもbacteriaだった)
chloroplastの起源origin: 現代的意味での共生説を始めて提唱

1964 Paul J: "Cell Biology"
生命誕生後、原始生物は次第に新環境適応能力を獲得した。その1つに、能力を捨てることもあるが(Ex. 欠失突然変異)必ずしも不利ではなく、外界からある物質が常時供給される環境に生育すれば、その物質合成能力を放棄しても差し支えず、むしろ、そのエネルギーを別部分に回せ経済的で有利 (Lowff 1943)

→ 葉緑体、ミトコンドリア共にDNA存在が確認された

1964 Lehninger: "The Mitochondrion"
終章「ミトコンドリアの進化的起源」の節設けメソゾームの起源と共生説述べる
1965 Sitte Peter: "Ban und Feinban der Pflanzenzelle"

プラスチド由来と細胞区画: ミトコンドリア等の系の通則
1. 単位膜にはプラズマ相と水性相がある。水性相は外界や細胞壁に接している相である
2. ミトコンドリアとプラスチドの膜は内外膜とも細胞膜起源であるが、外膜は宿主由来、内膜は寄生者由来

1967- Sagan Lynn (= Margulis, Saganは旧姓)
1967 「有糸分裂の起源」 1970「被核細胞の起源」
共生過程
先カンブリア紀: 藍藻、高等植物型の光合成始まる = O2増加
→ 既存生物の危機: 無酸素状態で生き延びる方法

被核細胞生物成立以前の生物 好気性裸核微生物 = pro-mitochondria (self-genomeによる調節 = Emden-Myerhoff反応)
→ 共生

→ 好気性アメーバ状生物 (被核はまだない): 典型的リン脂質膜・ステロイド合成系成立・核膜、ER形成
→ 大形細胞体成立 + 裸核性藻類
→ DNA量増加 ↓ 原生動物 → 有糸分裂の必要性

共生 = 被核性植物: protoplastidの取り込み(藍藻等にみられる)

1968 Roodyn & Wilkie: "The Biogenesis of Mitochondria"
細菌とミトコンドリアの相似
  核                  裸核細胞  ミトコンドリア 被核細胞
    核膜                無        無             有
    2.5 nmフィブリル    有        有             (染色体)
    ヒストン            無        無             有
    染色体              無        無             有
    分裂装置            無        無             有
  電子伝達系の所在          細胞膜  内膜  (ミトコンドリア)
  タンパク質合成
    クロラムフェニコール阻害  有      有    無
    アクチノマイシン阻害      有      有    無
    RNase阻害                 有      無    無
    酸化的リン酸化依存        無      無    有
    可溶性分画の添加          不要    不要  必要
    アミノ酸のリポタンバク    有      有
    質の優先的取り込み

共生説(細胞共生進化説)

かつて独立していた生物が退化し、他細胞内に共生した結果、葉緑体やミトコンドリアが形成された

Ex. ゾウリムシ体内にクロレラの一種が共生
Ex. シロアリ腸内共生鞭毛虫、更にその鞭毛虫内共生する3種の細菌

共生説論拠
  1. 共生者は独立生物であったから自己増殖のために最小限必要なものは固有に有する
    a) DNA
    b) mRNA
    c) タンパク質合成系
    d) ATPとその他のヌクレオチド供給源
    e) タンパク質とその合成素材となる低分子化合物
    f) 細胞膜合成系
    一部(大部分)を失うことはあるがsine qua nonとしてDNA, mRNA合成能力は失わない。また宿主と共生者のDNAは協調されねばならぬ。
  2. 宿主細胞の分裂の際、各々の娘細胞が共生者ゲノムの1コピーを最低でも受け取る系があれば共生の保証は高まる。Ex. 共生者は多量に存在している場合
  3. 共生により形成されたオルガネラの代謝活性はまとまって一括して取りこまれる → 中途半端な経路はない
  4. 逆に、共生者の喪失があれば、その失われた特徴は再び宿主に共生者が取りこまれない限り回復しない
  5. 共生体それ自体の遺伝子を有するもので、宿主はその遺伝子に関してはメンデル分離を示さないこともある
  6. 現世生物中にオルガネラに匹敵するものが生存していても不思議はない
→ 裸核型と核型の間の失われた輪
マーグリス真核細胞共生説
菌類起源の有力説 → 菌類は植物より動物に類縁の近い生物

RNA塩基配列: 担子菌類 ≈ 褐藻 ↔ 子嚢菌類 ≈ 紅藻

藻類起源説: 従来の説。菌類は藻類に起源 ↔
マーグリス説

担子菌類との共通祖先から葉緑体を細胞内に取り込み褐藻分化
子嚢菌類との共通祖先から葉緑体を獲得し紅藻分化
→ 子嚢菌類と担子菌類は別祖先から進化してきた別系統菌類群
鞭毛菌類や接合菌類の起源も子嚢菌類や担子菌類と別祖先に由来する可能性
→ 菌類多系統説: RNA塩基組成に基づく生物類縁関係と多くの部分で一致

ミトコンドリアとバクテリア

  1. 形と大きさの類似: 染色 = ヤヌスグリーンB、フェノール塩基性フクシンに良く染まる → 内部構造の共通点
  2. ミトコンドリア内膜とバクテリアの細胞膜の類似
  3. ミトコンドリアDNAとバクテリアDNAの類似
  4. ミドコンドリアDNAは活性あるいは酵素タンパク質のアミノ酸配列を決めるヌクレオチド配列を持つ
細胞共生説論争の一つの論拠: ミトコンドリア主要形質の一つであるチトクローム系タンパク質をミトコンドリア遺伝子は完全には支配していない
1962, 63 Nass & Nass: 融合コロニー説 colonial association theory
被核細胞生物の起源をSaganと比較し融合コロニー説提唱。弱点は宿主となった細胞の起源の説明を欠く
被核細胞生物成立の仮定 → 現在否定的
  1. コロニー – コロニー線
  2. コロニーの機能分化
    a) タンバク質合成機構の集約
    b) 遺伝子支配の集約
  3. コロニー数の間に伝達ネットワークができた
1967 Raven 多元共生(重複共生)説

ミトコンドリアは多元か? – ミトコンドリアの不均一性

1969 Allsopp: 原始藻類説
被核生物である藍藻から被核性の植物が進化した
紅藻が原核生物と真核生物の中間的性質を色々備えており、藍藻との類縁を偲ばせる唯一の真核生物

表. 藍藻と紅藻の類似性


              藍藻           紅藻

  光合成色素
  光合成産物  藍藻デンプン   紅藻デンプン
  形態                       Bangiophyceae, Floridophyceae
                             は藍藻に似る
  生殖        無性生殖がある 無性生殖がある
  鞭毛        なし           なし

1969 Bell: 細胞膜陥入説

"Control of Organella Development" Symp Soc for Exp Biol London
symbiosis

1970 Stanier: 「被核細胞と裸核細胞との生物学上の根本的違いは細胞膜の違いにある」 - 細胞表層系の違い

現世藻類には葉緑素、葉緑体の構造で区別されるグループがある。それらは異なる光合成裸核生物を共生させた前被核生物の子孫である。また光合成裸核生物の大部分は死滅し藍藻だけが現存している
ミトコンドリア成立は被核生物成立最終段階 "This event brought to a close the purely cellular phase of evolution. Subsequently, the thrust of biological evolution received its primary expression at the organismal level."

現世共生生物

無関係に多発的に起こる
1. 藻類が共生すると細胞壁退化現象が見られる

Ex. Convoluta roscoffensis (動物)にPlatymonas convolute (珪藻)が共生 ⇒ 珪藻は細胞壁、鞭毛、眼点を失い、体を指のように長く伸ばすようになる ⇒ 宿主との接触面積が増す

2. 紅藻プラスチド
1969 Alusopp: 藍藻細胞壁、プラスチド、紅藻葉緑体 = フィコビリン有する

分類上の諸形質は共通性乏しが、これら3群はフィコビリンを有する
→ 光合成系に関する限り、互いに無関係に進化したとは考えにくい。紅藻とクリプト植物プラスチドは藍藻共生に起源したという仮説提唱(有力)。紅藻が裸核生物-被核生物中間とするのは根拠希薄という批判もある

3. 緑藻のプラスチドとミドリムシのプラスチド
4. 褐藻、ヒカリ藻、不等毛類、渦鞭毛藻類のプラスチド
1973 Lee 一元共生説: 進化を考える際の原則

I. 全器官、有機物、細胞内構造 –単系統的に考察したほうが正しい確率は高い
II. 本質的でない構造の喪失を起こすには単一の遺伝子の突然変異だけで足りるが、ある構造の獲得には一般には多数の突然変異とかなりの時間的長さが与えられなければならない
III. 進化過程で表れた生物の大部分は死滅したはずであるのに提唱された系統上の仮定の生物と似た生物が実在するとすれば、その系統の信頼性は高くなる

symbiosis
図. Leeの系統樹
  1. 架空生物を生命の起源に置くこと – Leeの場合にはクリプトチアノームを置いたが、これはRavenが緑色裸核生物、黄色裸核生物を起源においたのと大差はない
  2. ピレノイドが藍藻の中央体由来としたのはRavenの説でもLeeの説でも説明できる
  3. Leeの進化原則IIに細胞壁は該当しない
Raff & MahlerとUzzell & Spolskyの論争
R & M: Sagan、Malguisらを批判
  1. Proto-eukaryoteと目された生物が実は代謝的に大変原始的で非能率的である。当時、好気性エネルギー調達経路をもつ裸核生物があり、これらとの競争に不利であった
  2. 共生者とProto-mitochondriaの一体化のためには共生者ゲノムから被核のゲノムへの遺伝子のまとまった移動が必要である。さらに被核生物、化石、生化学もこの考えを支持しない
原始被核細胞と酸素

前提: 好気的大気出現の後に被核生物が出現
被核生物には好気性のものは極めて少ない。広い目で見れば被核生物は嫌気的なところで生存するものもあるが、好気条件での代謝産物を利用しているにすぎず、嫌気的被核生物は存在しないともいえる
⇒ 被核生物というのは単なる好気的オルガネラをもった嫌気的細胞質ではない
現世の生物において細菌のチトクロームとミトコンドリアのチトクローム、またt-RNAの配列は大きく異なる
GC含量の特性、タンパク質合成系の相違

表. 遺伝情報の細胞内分布: ミトコンドリアDNA, RNA、タンパク質合成系のタンパク質遺伝子の所在
symbiosis
共生進化モデル (Raff & Mahler 1972)

symbiosissymbiosissymbiosis
細胞増大 ⇒_______陥入部が内膜から離れる__閉じて球胞となる
呼吸系(黒丸部)増大
= 陥入
symbiosissymbiosis
呼吸オルガネラができる

この際、膜が閉じ酵素合成系の問題が生じる。そこでリボゾームおよび一部呼吸系のための遺伝子を持ったプラスミドをミトコンドリアに移した - 現実的ではない難題(目的論的)

1973.1.9 Uzzell & Spolsky: on Science

3.7 Raff & Mahlerへの批判
5.4 "Origin of mitochondria" (180: 4085)

1974 Uzzell & Spolsky: 原始藍藻細菌説 "American Scientist"

Saganの説は認めても良いが拘束力はない

被核細胞進化モデル (Uzzell & Spolsky 1974)

__↓ 被核細胞の元となる裸核細胞
symbiosissymbiosissymbiosissymbiosis
_________ゲノム重複_ 細胞膜を陥入させ、__その後機能分化
_________起こす_____その際各ゲノムを___ が起こる
___________________一つずつ抱き込む

ゲノムから見たオルガネラの起源に関する2つの可能性

symbiosis

Uzzell & Spolskyの共生説反対の結論的根拠
  1. ミトコンドリア-バクテリア、葉緑体-藍藻の共通性は原始形質である
  2. 真核生物が現世の好気性細菌、藍藻から派生するのは困難 → 好気性細菌と藍藻共通の祖先ancestor (progentior)から派生してきたとするのは信ずるに足る
  3. 共生説で共生した細菌or藍藻が持ちこんだとする代謝装置を全て備えた原始被核生物は想定可能
  4. 好気的細菌と藍藻の共通祖先を想定すれば真核生物の完全に信頼できる系統を描くことは可能である
  5. 現存プラスチドとミトコンドリアの構造は、進化のステップ毎により適応したと考えれば問題ない(目的論的)
  6. 前真核生物protoeukaryotesは被膜性核膜形成のために表面を変形させる能力を持っていたはず。そうした変形は共生説に不可欠だが核膜形成と同様にミトコンドリアとプラスチド形成をも容易にする(目的論的
Pelomyxa palustris: 原始被核細胞を知る手がかり

⇒ ミトコンドリア、プラスチドなく、cytosisで珪藻・遺体等を食べ生存。膜状ER、ゴルジ体なし。リボゾーム少
P. palustris自身は発酵しか行えず共生する好気性細菌に依存し呼吸する ⇒ ミトコンドリアの起源?は被核細胞成立の最初の段階を"Pelonoya stage"と呼ぶ(John & Whatley 1977)。P. palustrisには少なくとも2種の細菌が共生している
共生進化の証拠:

  1. 宿主-寄生者関係: P. palustris = 生涯同一細菌種が共生。産地間で共生細菌種が異なる(Jeon 1972)
  2. 分裂の同調: 細菌は宿主の分裂の少し前に分裂する
  3. 宿主の分裂と共生細菌の分配: 宿主は永久に共生菌を失わない。この現象はミトコンドリアに似ている
  4. 核と共生細菌の絆: 細菌を包んでいる膜の単位膜と核膜の外膜はつながっていた。これはミトコンドリアに通ずるものではないか。また、クリスタ様のものが共生菌の大形な種で見られる
Paracoccus denitrificans (John & Whatley 1975)

胞子はない。直径1 μm。土壌中の好気性細菌
栄養適応度が広く、酸素がなければ硝酸呼吸を行う – 酸素呼吸は硝酸の影響を受けないが硝酸呼吸は酸素があると停止する。硝酸呼吸にはチトクロームc, dが合成され、他にハイドロゲノースhydrogenose(有機物がないときに生成)、蟻酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素などが誘導酵素として知られている
膜化学構造:

  1. タンパク質/脂質比: 複膜構造系 mitochondria = タンパク質 内膜(細菌様) > 外膜(単位膜or細胞膜様)
    P. dentrificans: 単位膜あるいは細胞膜様 – 共生説に反する
  2. リン脂質: P. dentrificansと細胞膜の組成は似ている
  3. リポ酸 lipoic acids: ミトコンドリア脂質のリポ酸は全て直鎖型。細菌では分枝型のものもみられるが、P. dentrificansは直鎖型である。ミトコンドリアの直鎖型脂肪酸には飽和、不飽和型が見られるが、そのうち飽和型のものはステアリン酸(18:0)とパルミチン酸(16:0)でありP. dentrificansと一致する
  4. P. dentrificansの呼吸鎖
    symbiosis

NaR: 硝酸還元酵素、NiR: 亜硝酸還元酵素、NoR: 亜硝化窒素還元酵素
Z: 阻害反応、I, II, III: リン酸化位置

ミトコンドリアとP. dentrificansではtranshydrogenase, dehydrogenase, キノン, chytochrome oxydase, chytochrome b, c等の共通性が高い

共生系の進化 (Whatley et al. 1981)
symbiosis

発酵性原始被核生物が呼吸をする細菌を取りこみ相助生活を始めた。そればペロミクサ段階発酵の最終産物が共生した細菌の呼吸基質となる。その後、アデノシンヌクレオチドキャリアーを得て細菌のATP合成能が宿主に役に立つようになりミトコンドリアを持った被核生物となった

緑色のホヤ
緑色のホヤは藻類共生による: 空家の宿主(ホヤ) aposymbiontはめったにない。寄生藻は藍藻である
⇒ 共生はホヤといった脊索動物という比較的高等なものにまで及ぶ
Synechocystis didemni Lewin: この種はホヤに共生している以外の生活様式がない
  1. 細胞壁は藍藻としては被膜を欠くが藍藻の形態は有している
  2. チラコイドはクロマトプラズマ状であり裸核生物的
  3. 細胞礎質に藍藻様のものがあるが、藍藻と異なり核領域ではなくクロマトプラズマ部分に見られる
  4. 中央部は藍藻なら核領域であるが液胞様のものが見られる
  5. 不明点が多いが総じて似る
この藍藻的共生者は色素組成が藍藻とは全く異質でクロロフィル (Chl) a, bを有しフィコビリンない。β-カロチン量はカロチノイド全体の65%を占め藍藻的。クロロフィルa, b比率は藍藻的共生者の種によりかなり異なる。チラコイド内でのChlの有り方が葉緑体とホヤ共生藻で異なる反応を示す
結論: このホヤ共生藻は典型的藍藻ではなく、Chl a, b有する点で緑藻に似るが藍藻の特徴を有する (Lewinはこの生物を新しい門とした - 一般的に不採用)
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