(2021年11月27日更新) [ 日本語 | English ]
HOME > 講義・実習・演習一覧 / 研究概要 > 小辞典 > 材(木材)
木材 wood形成層: 外気温度上昇する春から分裂活動を始め夏始めまでに早材を形成 ↔ 夏以降には晩材を形成
春材 (早材): 樹木の春-夏に成長する部分 → 細胞大きく細胞壁薄い → 柔らかく色も薄く軟弱。その成長量は木質部に年輪として表れる 林産学木材とその利用に関する研究分野
木材(構造、腐朽、組織、接着、居住性等)、製紙・パルプ 外材(輸入材): 日本に輸入される木材の通称
米材(含カナダ): 主に合州国太平洋岸とBC州から出材。針葉樹種(ベイスギ、ベイマツ、ベイツガ、ベイヒ、ベイヒバ等) 木材生産工程林道林産物搬出や林業経営必要資材運搬のため森林内に開設された道路
自動車道、軽車道を指し、一般に自動車道を指す(s.s.) – 普通この意味 広域基幹林道: 森林の多目的機能発揮が期待される広域的森林地域を開発管理する骨格的林道 普通林道: 広域基幹林道等補完する林業経営に直接的に必要な林道スーパー林道(= 特定森林地域開発林道) 豊富な森林資源が存在する低開発森林地域開発を図るため必要な林道。1965年度から森林開発公団により開設、改良が実施されている 林道看板: 大体は、次のような看板がある |
この林道は民有林林道です。次のことに十分注意して通行してください。 記: スピード落とし安全運転 カーブは徐行、出会いがしらに注意 落石、土砂崩れ、路肩に注意 林道管理者 石狩市長___電話 0133-72-3111 (2016年4月30日) ♠ 民有林林道 春別線 記 この部分は五の沢線と同じ総延長3,900 m 全幅員 4.0 m 昭和58年度竣工 (2016年4月30日) 作業道: 林道等から分岐し、立木伐採、搬出、造林等の林内作業を行うため作設される簡易構造の道路 基幹作業道: 作業道の中で恒久的使用を目的とした林道 複層林施業、育成天然林施業等、継続的に行う保育作業に対応するため重要性高まる 索道: 支柱建てワイヤーロープ張り、搬器を吊し走行させ、特定区間の運材を行う施設 林道密度森林の単位面積当たりの林道延長(ha当たりの林道延長, m/ha)林内道路密度: 林道に一般道路(国道、県道、市町村道)の延長を加えたものの密度 林道網整備計画
林道適切配置、整備路線、事業量等を明確にし、林道事業の円滑な推進図るため「森林資源に関する基本計画」を踏まえ都道府県知事が策定する計画 狂いを嫌う楽器用材や高級家具用材を天然乾燥 → 通風良くする |
材積 (timber volume)表示: 標準材積表がある 1. 単木材積a. 樹幹材積(= 幹材積)b. 立木材積: 胸高直径 ≥ 3 cm立木の幹材積(m³) (単位未満四捨五入し記載)
樹木全体材積: 枝条含めた樹木全体の材積
元口: 丸太の根元(太い方)の木口 ↔ 末口
製材品: 製材木取りに基づいて規格にあった寸法に挽き割った木材 山腹工事の伏工や筋工等に使用 |
2. 林分材積木材密度 (wood density)= 材比重 wood specific gravity
比重 = 絶乾重量/生体積 適当な比重データがない
気乾比重: 木材を大気中で乾燥した時の比重 (孔隙多 = 比重小 → 孔隙少 = 比重大) |
(中島 1951) 樹幹析解(樹幹解析) stem analysis or tree analysis樹幹に適当な距離を隔てた横断面で各齢階直径を計り各齢の成長を算出採取手順
年輪測定
偽年輪: 閉じた円周なさず、正常な年輪を形成しなかったもの
正常年輪界: 晩材小径細胞と早材のやや大径細胞が並び明瞭 ↔
成長の極端に落ち込んだ部分に出現。全周に渡らず部分的に欠落したものが「不連続年輪」で、円盤試料だと年輪を横に辿ると2又や隣の年輪とつながっている クロスデーティング crossdating年輪サンプル蓄積 → より正確な年代得る偽年輪や年輪欠落確認にも、年輪パターン照合(クロスデーティング)必須。やらないと年輪かどうかの判断基準なく詳しく観察しても意味はない
スケルトンプロット法 (Stoke & Smiley 1968) サイズ・成長測定半径測定: 髄中心から年輪測定した4個の半径上で測定した幾何平均直径算定: 上記4個の半径上にある2個の直径を測定した幾何平均 地上0.0 m直径算定
地上0.0 m断面は不形正多く処理困難 → 直接求めず上方2断面から
地上0.0mの直径 = x + (地上0.3mの直径) 図上修正: 測定数値妥当性を図化(直径-樹高縮尺比は20倍が多) = 確認判断 → 異常なら修正必要
解析断面積計算: 楕円近似が普通材積計算: 梢頭・区分・幹足材積に分ける場合 V = V1 + V2 + V3
区分材積 V1 → 紡錘体近似 |
連年及平均成長量の計算
連年成長 = 定期平均成長: 定期成長を5年毎等で割ったもの
M = m1.0pn … (1) 樹高成長曲線 (x = 樹齢(林齢), y = 樹高) 胸高直径成長曲線、樹幹材積成長曲線、連年及平均材積成長曲線 など 計算式・近似式の長所短所断面積推定法
延長法式: y = lx1/(x2 - x1)
y: 梢端から最末端の円板までの距離 標準化 (standardization)1) 一般的な標準化 → N(0, 1)に調整標準化値, zi = (Xi - x)/s
Xi: 各年輪幅 data set 年輪は齢により成長幅異なる → 一般に[広 → 狭] It = Rt/Gt
It: 標準化年輪指数 standardized tree-ring index 3) 概念的線形集合モデル conceptual linear aggregate model Rt = At + Ct + D1t + D2t + Et
Rt = 測定年輪幅 ImageJ, R 生産力推定単級法: 毎木調査 → 平均胸高断面積 ≈ 試料木(重量測定)W = N·wav
W: 特性値 (重量、材積、胸高直径断面積等), 面積当たり 試料木選別法: ドラウトDraudt法、ウーリヒVrich法、ハルチヒHartig法 回帰式: (D: 胸高直径 H: 樹高) ⇒
w = a + bD + cD2 年輪年代学 (dendrochronology)年輪幅成長 - 千年程度まで可能 (気候長期変化等 - 数年程度の誤差考慮)キハダ 応用: 木材伐採年と伐採箇所の推定雨龍研究林旧学生宿舎アカエゾマツ柱材 (棟札「昭和15年10月15日」)アカエゾマツ: 寿命長(> 500年)、道内分布広 → 年輪解析・環境指標に適 樹冠解析方法 (2018年6月26日実習にて)
|
原木 (raw wood): 製材、合板、パルプ等の原材料として用いられる丸太(丸太に近い加工された木材を含む)
木口 (こぐち, butt end): 木材を繊維に対し垂直に切った断面
素材語義 = 未加工原材料, ≈ 原木: 木材では丸太及び杣角(そまかく)の総称
杣角: 現地で玉切りした中丸太の四方を削り隅に丸味を残した角材。集運材省力化(昔) → 殆ど行わない 偽心材: 侵入菌・外部刺激で心材に似た材部形成 → 横断面不規則 (ブナ多) 辺材(白太, 白材, sap wood): 中心部とその外側で材色濃淡見られる時、心材外側の淡色部 髄 (樹心(芯), pith): 木材中心の軟らかい部分 導管配列による材区分
= 導管が早材で晩材より明らかに大きく木口に帯(輪)を形成
広葉樹材中、木口での導管の大きさと分布が通年均一
ハルニレ: 目が大人しい 半散孔材: 散孔材-環孔材の中間的性質 = 春材・秋材の導管サイズ差小 放射孔材 radial-porous wood: 道管が樹心から放射状(半径方向)に配列カシ、シイノキ 雑孔材(紋様材) mosaic-porous wood: 導管配列に規則性なしヒイラギ、モクセイ 無孔材 nonporous wood: 導管欠= 仮導管配列: 春材 → 秋材 (次第に小)裸子植物、ヤマグルマ 木目 grain板目 flat grain: 丸太中心からずれて挽いた時に年輪が平行ではなく山形や筍形に木目が現れたもの柾目 straight grain: 丸太の中心に向かって挽いた時に現れる年輪が平行な木目。板目と比べ歩留まり悪くコスト高になるが、反りや収縮等の狂い少ない 杢目(もくめ) figured grain: 装飾価値が高い紋様
虎斑杢: ブナ科 山元立木価格: 立木状態での樹木価格。一般に、丸太市場価格から伐採搬出等に必要な経費を控除し計算(幹材積1 m3当たり価格) 用材製材用、パルプ・チップ用、合板用等利用木材(除, 薪炭材・シイタケ原木) |
磨き丸太: 銘木の一種。スギやヒノキの皮を剥ぎ、丸太に砂を付け水磨きし仕上げたもの。床柱等に用いる 心持ち材: 1本の小丸太から1本の角材を製材したもの 紋(しぼ): 皮剥ぎスギ丸太の表面に見られる不規則な縦しわのこと 構造用材木造建築土台、柱、大引、梁、小屋組み等用大材。乾燥し、節、腐れ、丸味等の欠点ないものがよい。樹種 = スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、ツガ等の針葉樹、クリ、カシ、ケヤキ等の広葉樹あて: 傾斜地等で樹心が一方に偏り成長し、肥大成長が促進された部分
あて材 = あてのある木材
割裂: 割れや裂け。気温差(寒暖)、乾湿差等に原因多 → 形状により目回り、心割れ等に区分 部材 (member)= 構造物を組み立てる部分品
構造物: 複数の材料や部材により構成されるもの Ex. 建物・堤防・ダム 屋根部材 + 外壁部材 + 内部柱材 + 床桁部材 + 階段部材 むく材接着加工のない木材(製材品)
羽柄材(はがらざい): 板類、タルキ、敷居、鴨居等、造作に用いる。柱土台桁等の構造材以外の製材品 合板原木から薄く剝いた単板の繊維方向(木目方向)を1枚毎に直行させ奇数枚を接着剤接着し構成した板。繊維方向が直行するため木材異方性が減少し割裂防ぎ、膨張・収縮性が改良される
普通合板: 用途の定まっていない合板
構造用合板: 住宅構造用 集成材ラミナを繊維方向に互いに平行にし、長さ・幅・厚さの各方向に接着した製品ラミナ: 集成材の1層を構成する木材。1枚のひき板の場合、ひき板等を縦接ぎ・幅矧ぎし一定の長さと幅に集成接着したひき板の場合がある 構造用集成材: 主に構造物の耐力部材とし用いる集成材。強度性能高いのラミナを5枚以上積層した集成材造作用集成材: 構造材等内部造作に用いる非耐力の集成材。積層による素地の美観を表したもの、表面に美観を目的として化粧単板を貼ったものがある 改良木材圧縮木材: 木材を30-200 kg/cm3の圧力で圧縮し強度を高めた木材圧力注入材: 強度・吸湿性・難燃性高めるため、乾燥木材に鉛、錫等の金属、パラフィン、シリコン等を圧力をかけ注入したもの 積層材: 木材の欠点(節等による強度低下)を補強するため、木材を単板に切削し、合成樹脂を接着剤として繊維方向に重ねて圧縮したもの。吸湿性が改善され構造材として用いる 単板積層材(LVL): 単板の繊維方向を揃え多数接着した厚板やブロック。家具、建具、構造材等に利用 木質ボード: 木材原料を単板・小片以下に細分し接着剤等で板状に再構成した製品。建築、家具、工業製品等利用 パーティクルボード(削片板): 木材細切削 → 接着剤添加・熱圧 → 板状製品 木材チップ: 木材を機械的に小片化したもの → 主にパルプ、パーティクルボード(削片版)等の原料 養生: 柱、床の寄木張り等が汚染しないよう砥粉塗り、紙張り、ビニール張、とのこ等で木面を保護すること。または、モルタルや打ち終わったコンクリートが十分硬化するよう保護すること 板類厚さが7.5 cm未満で幅が厚さの4倍以上の製材品表. 板類の区分 (厚さ t × 幅 w) (製材日本農林規格, 薄板日本農林規格)
板: < 3 cm t × ≥ 12 cm w 1束 &aymp; 25 kg (気乾比重は、竹種・竹桿サイズで幅ある) |
仕口: 2つ以上の部材を交差接合する工作。又は、継手・組手等を切刻んだ面
1) 横架材に渡しかけるだけの仕口
他に2皆梁、陸梁、重梁、火打梁等がある |
建築法プレカット建築: 部材を工場で予め刻み加工→ 大工技能者不足対応、加工コスト低減化、住宅工期短縮等 ツーバイフォー(枠組壁工法住宅): 木材枠組みに木質ボードを打ちつけた壁、床等で荷重を支える構造の住工法住宅宅枠組に多く使う製材の寸法が厚さ2インチ、幅4インチ → ツーバイフォー(2 × 4)と呼ばれる |
[分析化学 (analytical chemistry), 細胞壁 (cell wall)]
木材の化学的な組成や性質を解明 + 材料・原料として活用する技術研究 木化 lignification: 植物細胞老化過程で二次壁合成時期にセルロース壁にリグニン沈着起こり細胞壁肥圧 木材主要構成物質 = セルロース + ヘミセルロース + リグニン (セルロース・ヘミセルロース = 炭水化物) セルロース(繊維素) (cellulose)セルロース1分子: グルコース(α-1,4-glucoside)が1500-9500鎖 (種による)鎖が束(直径35Å)程度 → 更にこの束が集結し200Å程度のmicrofibrilとなる 一次(細胞)壁はmicrofibrilが基本単位となり構成される glucose-1,4 glucoside → peptic substances ヘミセルロース (hemicellulose)名称はセルロースに似るが構造的には関係なし水に不溶な数種の糖からなる無定形高分子 → 加水分解 → オリゴ糖や単糖 セルロースより酸に加水分解され易い + アルカリに可溶
加水分解産物: ヘキソース類、ペントース類、ウロン酸等 |
ペクチン pectinヘミセルロース系 - 物理性に関連• プロトペクチン protopectin: 細胞膜水に不溶 • ガラクツロン酸 galacturonic acid 重合物 リグニン (木質素, lignin)無定形フェノール性高分子陸生維管束植物木部に含まれる高分子物質 → 木材乾重の20-30% 主に繊維間接着する役目 → 若植物体細胞膜中にリグニン沈着すると組織が強化され抵抗力高まる → 分解は主に木材腐朽菌による Sリグニン + Gリグニン + Hリグニン
Sリグニン(シリンギルリグニン): シナピルアルコール重合分子
広葉樹: Gリグニン + Sリグニン デンプン (starch)☛ 構造材よりも地下茎・種子・果実に多い |
特用林産物 = 森林原野産物 - 一般用材(Ex. 建築材、パルプ) 特用樹: 葉・果実・樹皮等の樹木の一部が特殊な用途に使われる樹木
Ex. コウゾ・ミツマタ = 和紙・紙幣原料
酢酸をはじめメチルアルコール、香料、染料、医薬等の工業用に利用 |
竹酢液: 木酢液の材に竹 木タール: 木材乾溜や製炭の際に得られる留出液で木酢液以外のもの 樹脂(ヤニ, 俗) (tree) resin (adj. resinous樹脂の, 樹脂を含む): 樹木表面に分泌する粘性-半液状有機物質の総称 Ex. 松ヤニ pine resin、ゴム樹脂 gum resin ほだ木: きのこ類生産に用いる原木。きのこの種菌(種駒等)を接種した原木ほだ場: ほだ木を伏せ込む場所。林内や人工的に庇陰した場所等を使用 キノコ (茸, fungi)菌床栽培: オガクズ、チップ等培地基材に水と添加物(米糠、フスマ等)を加え、容器(瓶、袋)に詰め殺菌後に、きのこ種菌を接種し培養し栽培 |
木材等の植物組織を半密閉状態で加熱し炭化させたもの 木炭 (sumi, Japanese charcoal): 特に日本産の炭 薪炭材: 薪や炭等、燃料用に使われる木材 製炭方法による種類黒炭 (クロズミ, コクタン)蒸し焼き後に窯を密封し酸素供給を絶ちきって消火し窯が冷えてから取り出すナラ系(クヌギ等)の材が多い 白炭 (シロズミ, ハクタン)蒸し焼き後に窯口を少しずつ空け空気を送り込み木炭を燃焼させる取り出す時に大きく口を開け ≈ 1200°Cの高温で燃焼中の木炭取り出し、水分含んだ土と灰の混ざった消粉をかけ消火 (白粉が炭表面に残る) カシ系(ウバメガシ等)の硬材が多い 火持ちが良く、爆ぜない高級木炭 小平町産イタヤカエデ仕様 公益社団法人国土緑化推進機構認定山の名手・名人が造る(小平町・落田勝幸氏) 黒炭 |
山の名手・名人: 「もりのくに・にっぽん運動」リーディングプロジェクトとして「森づくり」「森の恵み」「加工」「森の伝承・文化」4部門から、優れた技を極め模範となる達人を「森の名手・名人」とし選定。落田勝幸氏は2014年、留萌管内から初認定。
イタヤカエデ(板屋楓): 木自体の目細かく、緻密で強靭なため、家の床板やスキー板、ラケット枠、ボウリングピン等の運動具、バイオリン裏板等の楽器に重宝される。黒炭は火が着きやすく扱いやすい炭だが、原木柔らかいと「臭い」「立ち消える」「火持が悪い」ことがある。イタヤカエデの炭は「火持ちよく火粉が跳ねない」特徴がある。(2018年6月21日安平) 木灰 (wood ash) キバイ, モッカイ灰: 燃焼物の燃焼後に残った非揮発成分 (= 燃焼しない)木灰: 草木を焼いてつくった灰
カリウム・石灰分を含む肥料 (強アルカリ性 - 過剰使用に注意) → |