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(2021年11月27日更新) [ 日本語 | English ]

材 (wood)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

木材 wood

形成層: 外気温度上昇する春から分裂活動を始め夏始めまでに早材を形成 ↔ 夏以降には晩材を形成

春材 (早材): 樹木の春-夏に成長する部分 → 細胞大きく細胞壁薄い → 柔らかく色も薄く軟弱。その成長量は木質部に年輪として表れる
秋材 (夏材・晩材): 樹木の夏-秋に作られる部分。細胞小さく細胞壁厚い → 固く色も濃く強固

林産学

木材とその利用に関する研究分野

木材(構造、腐朽、組織、接着、居住性等)、製紙・パルプ
1990年以降: 「地球に優しい」材料として注目

国産材: 日本内山村から産出される木材
外材(輸入材): 日本に輸入される木材の通称

米材(含カナダ): 主に合州国太平洋岸とBC州から出材。針葉樹種(ベイスギ、ベイマツ、ベイツガ、ベイヒ、ベイヒバ等)
北洋材: ロシア極東地域から出材。針葉樹種(エゾマツ、トドマツ、ダフリカカラマツ、欧州アカマツ、紅マツ等)
南洋材: マレーシア、パプアニューギニア等から。広葉樹(ラワン材)が主
その他

木材生産工程

林道
林産物搬出や林業経営必要資材運搬のため森林内に開設された道路

自動車道、軽車道を指し、一般に自動車道を指す(s.s.) – 普通この意味
森林鉄道、索道、流送路、牛馬道、木馬道も含む(s.l.)

基幹林道: 林道網骨格をなし山村の生活環境整備にも機能する林道

広域基幹林道: 森林の多目的機能発揮が期待される広域的森林地域を開発管理する骨格的林道

普通林道: 広域基幹林道等補完する林業経営に直接的に必要な林道
スーパー林道(= 特定森林地域開発林道)

豊富な森林資源が存在する低開発森林地域開発を図るため必要な林道。1965年度から森林開発公団により開設、改良が実施されている


林道看板: 大体は、次のような看板がある

[ 木材物理 | 木材化学 | 森林科学 | 木本植物 ]

索引
普通林道 五の沢線
この林道は民有林林道です。次のことに十分注意して通行してください。
記: スピード落とし安全運転 カーブは徐行、出会いがしらに注意 落石、土砂崩れ、路肩に注意

林道管理者 石狩市長___電話 0133-72-3111 (2016年4月30日)

民有林林道 春別線この部分は五の沢線と同じ
総延長3,900 m 全幅員 4.0 m 昭和58年度竣工 (2016年4月30日)

作業道: 林道等から分岐し、立木伐採、搬出、造林等の林内作業を行うため作設される簡易構造の道路

基幹作業道: 作業道の中で恒久的使用を目的とした林道

複層林施業、育成天然林施業等、継続的に行う保育作業に対応するため重要性高まる

索道: 支柱建てワイヤーロープ張り、搬器を吊し走行させ、特定区間の運材を行う施設

林道密度
森林の単位面積当たりの林道延長(ha当たりの林道延長, m/ha)

林内道路密度: 林道に一般道路(国道、県道、市町村道)の延長を加えたものの密度

林道網整備計画

林道適切配置、整備路線、事業量等を明確にし、林道事業の円滑な推進図るため「森林資源に関する基本計画」を踏まえ都道府県知事が策定する計画
林道網整備全体計画 + 林道網整備5ヵ年間計画

井桁積み: 木材を井桁のように縦横に積み重ねること

狂いを嫌う楽器用材や高級家具用材を天然乾燥 → 通風良くする

木材物理 (wood physics)


材積 (timber volume)

表示: 標準材積表がある

1. 単木材積
a. 樹幹材積(= 幹材積)
b. 立木材積: 胸高直径 ≥ 3 cm立木の幹材積(m³) (単位未満四捨五入し記載)

樹木全体材積: 枝条含めた樹木全体の材積
層積: 枝条除いた幹材積、枝条だけを計量

c. 素材材積(丸太材積): 造成された素材(原木・丸太)材積(m³)。「素材の日本農林規格」の径級毎計算式で算出

元口: 丸太の根元(太い方)の木口 ↔ 末口
末口: 丸太の先端(細い方)の木口。材積計算では、その直径が測定基準となることが多い

d. 製材材積(= 製材品材積): 製材品は種類多く、大別して挽き割類、挽き角類と板類に区分。製材品材積は「製材の日本農林規格」により規格・寸法が規定され、それぞれの材積表が作成される

製材品: 製材木取りに基づいて規格にあった寸法に挽き割った木材
玉(ぎょく): 桐材材積単位。1玉 = 194 cm l × 18 cm Φ (無皮末口)の丸太材積。直径が3 cm増すごとに1玉増加、逆に3 cm減ると玉数半減

粗朶(そだ): 雑木(広葉樹)の枝条で長さ2 m以上のもの

山腹工事の伏工や筋工等に使用

2. 林分材積

材密度 (wood density)

= 材比重 wood specific gravity

比重 = 絶乾重量/生体積
含水率 = (湿重 - 絶乾重)/生体積

重要な生態学的特性 ... しかし、
適当な比重データがない
  • 比重は同一種でもサイズ・部位によって異なる → これらの情報を有する比重データは少ない
  • 出現種の一部しかない
  • 種同定困難あるいは誤同定なデータがある(特に熱帯)
気乾材: 生材の含水量を発散させ、外気中の湿度と木部に残留した水分とが平衡状態になった乾燥具合の木材

気乾比重: 木材を大気中で乾燥した時の比重 (孔隙多 = 比重小 → 孔隙少 = 比重大)
絶乾比: 重木材含水率がゼロの時の比重 → 絶乾材(全乾材): 含水率ゼロの人工乾燥材

年輪解析 tree ring analysis


(中島 1951)

樹幹析解(樹幹解析) stem analysis or tree analysis

樹幹に適当な距離を隔てた横断面で各齢階直径を計り各齢の成長を算出
採取手順
  1. 樹木選定 = 目的次第: 樹幹成長経路から林分成長経路推定なら優勢木(か中央木)。中央木DBHに相当する樹幹に該当し、かつ樹梢完全に存し、樹幹形状枝振状態適当で病虫害や火害ない健全木が理想
  2. 伐採前取扱: 樹木選定後、隣接木との関係表す見取図(平面図と正面図で充分)を作ると良い。平面図は隣接木直径とその樹木までの距離記入し、樹幹を凡そ記入。正面図は適宜方向から樹幹スケッチ(写真可)。見取図作成後、傾斜上方の地上0.3 m周囲に白墨で輪を標する。高さ基準なので丁寧に

    可能であれば毎木調査:
    樹高、枝下高、樹幹直径、生枝下高、葉生重量(当年葉分ける)、枝生重量(当年伸長部分分ける)、幹生重量等

  3. 伐採方法: 白墨線より少なくとも3-4 cm下方で樹幹割裂しない様に大きな受けを作り鋸断伐倒。傾斜地では傾斜下方に伐倒したり、岩石や隣接木枝条のため樹幹上部を折損するため伐倒方向も予め注意。伐倒方向を自由にするため伐採時に楔(矢)用いるのが望ましい
  4. 伐採後円板採取前取扱: 伐倒後、円板作製前に行うこと
    a. 樹幹幅を巻尺で計る → 伐倒前見取図と一致しない
    b. 枝下高測定

    枝下: 樹幹形成生枝中で一番下方のものの地上よりの高さ。樹幹から離れ着生する小枝等ではない

    c. 鉞で樹幹を損せぬよう枝条落とす(小枝は鉈)

    下方枝は支えなど好都合なこともあり落とさなくてもよい

    d. 樹高測定
    e. 円板採取位置に標を付する。間隔は調査目的による
  5. 円板採取方法: 円板diskは樹幹に直角に鋸で切断。円板厚さは2-3 cmが適当。円板下面には測点高を上面には樹木番号、地上高、伐採日付、調査者等を墨汁か木材墨で記入。細い円板は書く余地がないので適宜記載を省略。円板採取中に節が表れたら節の表れない所まで採取位置移し円板を取り直す
  6. 枝条取扱: 枝条は葉着生のまま全部集めキシロメーターxylometerで計るが、大小枝条混合サンプルを代表値とすること多。キシロメーター用水槽に6分位水を注入し下方孔から水を小量流出させ度盛と水の高さを正確に合わせ、次に枝条束を水槽に収容し水中に全部浸漬した所で水高を度盛で読取る
  7. 樹齢査定: 正確な年齢査定では、大径木では地上0cmで円板を取ってもそれが樹齢とは限らず、調査上の困難さも伴うため、普通は地上0.0 m円板は採取せず地上0.3 mに達するまでに要した年数を調査し、この年数を地上0.3 m円板の年数に加え樹齢とすること多
  8. 円板処理: 乾燥収縮し割裂しやすい → 速やかに測定着手(時間かかる時は、円板に油を塗り乾燥防止)

年輪測定

  1. 円板直径測定面鉤削時、樹皮離脱しない様注意。年輪見えれば鉤削不要(散孔材等年輪不鮮明樹木は虫眼鏡を用い射入光線に透かす、水潤する、青色-赤色アニリン色素等で染色。枝は10% KOHで2日程煮て柔らかくし切片を作ると染色せずとも茶色く染まる)
  2. 鉤削円板に鉛筆で最大直径の所に材芯を通じ1本直線を引き、これに直角に材芯を通る直線を引く
  3. 年輪は地上0.3 mの円板の一番長い半径の所から読み始める。0.3 mの高さになるまで6年を要した樹木なら1番内側の年輪はこれに1年を加え7年生年輪となる。これを、円板の最も外側まで数える。円板上に61個年輪があれば樹齢は67年となる
  4. 円板上の他3半径で同様記録 → 4半径上年輪数異なる = 測定ミス(か年輪消失) → 目印となる年輪辿り他の半径線上でも同齢か確認
  5. 全円板で同様測定(樹齢明かなので外側から年輪数えてもよい)
材芯髄包む年輪: 実際は1/2年や1/3年と完全な1年分の年輪ではない → 樹高査定による算定方法あるため年輪計算は整数で行ってよい
偽年輪: 閉じた円周なさず、正常な年輪を形成しなかったもの

正常年輪界: 晩材小径細胞と早材のやや大径細胞が並び明瞭 ↔
異常気象、外傷、虫害等 → 形成層細胞生産停止が不完全だったり、再開緩慢だと年輪界不明瞭だが(散孔材でも)慣れれば区別可
= 少なくとも一方に消失するのを目印に判断し測定から除く
枝の様に年輪幅が非常に狭い、何本も偽年輪がある、等の理由で判断不可能の場合もある

年輪欠落: 形成層が1-数年の間は年輪作らない部分

成長の極端に落ち込んだ部分に出現。全周に渡らず部分的に欠落したものが「不連続年輪」で、円盤試料だと年輪を横に辿ると2又や隣の年輪とつながっている
Ex. 日本産針葉樹: Podocarpus, Torreya等でよく見られる

クロスデーティング crossdating
年輪サンプル蓄積 → より正確な年代得る
偽年輪や年輪欠落確認にも、年輪パターン照合(クロスデーティング)必須。やらないと年輪かどうかの判断基準なく詳しく観察しても意味はない

スケルトンプロット法 (Stoke & Smiley 1968)
COFECHA (Grissino-Mayer 2001)

サイズ・成長測定
半径測定: 髄中心から年輪測定した4個の半径上で測定した幾何平均
直径算定: 上記4個の半径上にある2個の直径を測定した幾何平均
地上0.0 m直径算定

地上0.0 m断面は不形正多く処理困難 → 直接求めず上方2断面から
y:x = 1.0 : 0.3 → x0 = (0.3xy)/1.0
により求めること多(小径木は実測も可)

stem analysis
図. 材積区分
梢頭材積: 最後の2 mが取れない部分
区分材積: 長さ2 mが取れる部分
幹足材積: 根本から0.3 mまでの部分
y: 地上0.3-1.3 m間の直径差
x: 地上0.0-0.3 m間の直径差

地上0.0mの直径 = x + (地上0.3mの直径)
本誘導法による地上0.0m直径は多くの場合幾分過小

樹高査定: 各齢樹高は直接測れない → 年輪-樹高関係推定式使用
図上修正: 測定数値妥当性を図化(直径-樹高縮尺比は20倍が多)
= 確認判断 → 異常なら修正必要
  1. 各齢階末端が非相似形 → 樹齢査定誤り
  2. 地上0.3 m部分に異常 → 半径測定誤り
  3. 地上0.3 m, 0.0 m部分で上下年輪結ぶ線が交差・異常接近 → 地上0.3 m, 1.3 m部分に誤りの可能性

解析

断面積計算: 楕円近似が普通
材積計算: 梢頭・区分・幹足材積に分ける場合 V = V1 + V2 + V3

区分材積 V1 → 紡錘体近似
幹足材積 V2: スマリアンSmalian式 = (S0.0 m + S0.3 m)/2 × (0.3 × h)
梢頭材積 V3 → 円錐体近似 = 1/3 × 基底面積(g) × 長さ(h)

連年及平均成長量の計算

連年成長 = 定期平均成長: 定期成長を5年毎等で割ったもの
平均成長 = 総平均成長: 樹高を樹齢で割ったもの

成長率: 当初材積をm, n年後材積をM、材積成長率をp

M = m1.0pn … (1)
M/m = 1.0pn … (2)
1.0p = √(M/n) … (3)
p = 100(n√(M/n) - 1) … (4)
ライプニッツLeibniz式 (一般的な成長率計算式の一つ)

樹幹析解図
樹高成長曲線 (x = 樹齢(林齢), y = 樹高)

胸高直径成長曲線、樹幹材積成長曲線、連年及平均材積成長曲線 など

計算式・近似式の長所短所
断面積推定法
  1. 楕円近似: 偏芯するもので円近似は断面積を過大に計算
  2. 半径を4つの計の平均値で求め円近似
樹高査定法比較: 年齢比法、平行線法、延長法等がある
延長法式: y = lx1/(x2 - x1)

y: 梢端から最末端の円板までの距離
x1: 最末端円板上の所要各齢直径
x2: 第2円板上の所要各齢直径
l: 区分長
l + y: 梢端より第2円板までの隔たり

標準化 (standardization)
1) 一般的な標準化 → N(0, 1)に調整
標準化値, zi = (Xi - x)/s

Xi: 各年輪幅 data set
x: 全体の平均 deta set mean
s: 全体の標準偏差 data set standard deviation

2) 成長傾向除去標準化(removing growth trend)
年輪は齢により成長幅異なる → 一般に[広 → 狭]
It = Rt/Gt

It: 標準化年輪指数 standardized tree-ring index
Rt: 測定年輪幅
Gt: 年tにおける成長曲線から期待される成長量推定値 (Ex. Gt = At + D1t + D2t)

Gt: 成長曲線式中から最適式を選ぶ → 撹乱あるとずれる
3) 概念的線形集合モデル conceptual linear aggregate model

Rt = At + Ct + D1t + D2t + Et

Rt = 測定年輪幅
At = サイズ依存年輪成長曲線上の値
Ct = 記録にある気候シグナル
D1t = 地域的撹乱パルス
D2t = 地域外でも起こっている撹乱パルス
Et = 測定誤差含む他の測定されていない変量による年輪成長変化

4) スプライン spline

ImageJ, R

生産力推定
単級法: 毎木調査 → 平均胸高断面積 ≈ 試料木(重量測定)

W = N·wav

W: 特性値 (重量、材積、胸高直径断面積等), 面積当たり
N: (毎木調査での)面積当たり本数
wav: 試料木特性値

試料木選別法: ドラウトDraudt法、ウーリヒVrich法、ハルチヒHartig法

回帰式: (D: 胸高直径   H: 樹高) ⇒

w = a + bD + cD2
w = aDb (相対成長式)
w = a(D2H)b  (H測定誤差は大きい)


年輪年代学 (dendrochronology)

年輪幅成長 - 千年程度まで可能 (気候長期変化等 - 数年程度の誤差考慮)

year ring キハダ

応用: 木材伐採年と伐採箇所の推定
雨龍研究林旧学生宿舎アカエゾマツ柱材 (棟札「昭和15年10月15日」)
アカエゾマツ: 寿命長(> 500年)、道内分布広 → 年輪解析・環境指標に適
樹冠解析方法 (2018年6月26日実習にて)
  • 生育アカエゾマツ個体(現生木)から成長錘使いコア抽出し、年輪解析 → 研究林内各地点から採取した約70本をもとに標準的年変動曲線作成
  • 柱材年輪読みとる。柱材伐採年を知るには、年輪幅変動パターンを(1)の標準的曲線と重ね合わせ、一致する年代を探す"cross dating"を行う ⇒ 柱材は1939年9月から1940年4月の間に伐採
  • 現生木サンプル採取3地点間の年輪は、近い地点間ほど年輪幅変動パターンが似る ⇒ これらの関係を利用し柱材伐採箇所を推定 → 学生宿舎から半径5 kmの範囲で伐採

木材加工 (wood processing)


原木 (raw wood): 製材、合板、パルプ等の原材料として用いられる丸太(丸太に近い加工された木材を含む)

木口 (こぐち, butt end): 木材を繊維に対し垂直に切った断面
木理 (grain): 木材を組成する各種細胞配列様式により生じる木目。木材軸方向に並行し走る通直木理、捩れた形の細胞配列となる斜走木理等
(もく): 木理が種々の原因で不規則配列となり材面に現れたもの。Ex. 銀杢笹杢縞杢、玉杢、牡丹杢
板目 (slash grain): 樹幹を接線方向に縦断と見られる年輪の山形模様
柾目 (まさめ, edge grain): 材の縦断面に平行している木目
追柾 (おいまさ): 板目方向と柾目方向の中間的な断面の木目
逆目 (against nap): 木材繊維組織が交差した部分を製材した時や鉋がけした時、材面が毛羽立つ状態。主に広葉樹材

wood
図. 木材組織

素材
語義 = 未加工原材料, ≈ 原木: 木材では丸太及び杣角(そまかく)の総称

杣角: 現地で玉切りした中丸太の四方を削り隅に丸味を残した角材。集運材省力化(昔) → 殆ど行わない
「素材の日本農林規格」: 丸太は径で杣角は幅で、大(≥ 30 cm)、中(14-30 cm)、小(< 14 cm)に区分
中目材: 径級が14 cm以上30 cm未満の丸太を挽いた材

心材(赤身(味), 流通語, heart wood): 輪切木口面中心部を形成する正円形となる材色濃い部分。木部円柱は樹心近くから順次死細胞から成る木材部に移行し、この様な材部が心材。普通、針葉樹は広葉樹より辺材・心材区別明瞭
偽心材: 侵入菌・外部刺激で心材に似た材部形成 → 横断面不規則 (ブナ多)
辺材(白太, 白材, sap wood): 中心部とその外側で材色濃淡見られる時、心材外側の淡色部
(樹心(芯), pith): 木材中心の軟らかい部分
導管配列による材区分

wood
散孔材____________環孔材____________放射孔材 (○ : 導管)

環孔材 ring-porous wood: 道管が年輪に沿い環状に配列 = 木目明瞭

= 導管が早材で晩材より明らかに大きく木口に帯(輪)を形成
ケヤキ、ナラ類、キリ、クリ、ハリギリ等広葉樹

散孔材 diffuse-porous wood: 道管ランダムに散在 - 木目不明瞭 (= 均質)

広葉樹材中、木口での導管の大きさと分布が通年均一
熱帯材の殆ど、日本産材の60%程度
ハンノキ類、ブナ、サクラ類、カツラ、シナノキ、クスノキ、ツゲ

ハルニレ: 目が大人しい
オヒョウ: 目が泳いでいる

半散孔材: 散孔材-環孔材の中間的性質 = 春材・秋材の導管サイズ差小

放射孔材 radial-porous wood: 道管が樹心から放射状(半径方向)に配列

カシ、シイノキ

雑孔材(紋様材) mosaic-porous wood: 導管配列に規則性なし

ヒイラギ、モクセイ

無孔材 nonporous wood: 導管欠= 仮導管配列: 春材 → 秋材 (次第に小)

裸子植物、ヤマグルマ

木目 grain
板目 flat grain: 丸太中心からずれて挽いた時に年輪が平行ではなく山形や筍形に木目が現れたもの
柾目 straight grain: 丸太の中心に向かって挽いた時に現れる年輪が平行な木目。板目と比べ歩留まり悪くコスト高になるが、反りや収縮等の狂い少ない
杢目(もくめ) figured grain: 装飾価値が高い紋様

虎斑杢: ブナ科
鳥眼杢: メープル等
縮み杢: トチ、シカモア等
縞杢、葡萄杢、牡丹杢、鶉杢、如鱗杢 等

素材生産業者: 立木伐採搬出 - 丸太(素材)生産を行う者

山元立木価格: 立木状態での樹木価格。一般に、丸太市場価格から伐採搬出等に必要な経費を控除し計算(幹材積1 m3当たり価格)

用材
製材用、パルプ・チップ用、合板用等利用木材(除, 薪炭材・シイタケ原木)
磨き丸太: 銘木の一種。スギやヒノキの皮を剥ぎ、丸太に砂を付け水磨きし仕上げたもの。床柱等に用いる
心持ち材: 1本の小丸太から1本の角材を製材したもの
(しぼ): 皮剥ぎスギ丸太の表面に見られる不規則な縦しわのこと

構造用材

木造建築土台、柱、大引、梁、小屋組み等用大材。乾燥し、節、腐れ、丸味等の欠点ないものがよい。樹種 = スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツ、ツガ等の針葉樹、クリ、カシ、ケヤキ等の広葉樹

あて: 傾斜地等で樹心が一方に偏り成長し、肥大成長が促進された部分

あて材 = あてのある木材
圧縮あて材: (針葉樹) 圧縮応力を受け傾斜面下側にあてができる
引張あて材: (広葉樹) 引張応力を受ける傾斜面上側にあらわれる

割裂: 割れや裂け。気温差(寒暖)、乾湿差等に原因多 → 形状により目回り、心割れ等に区分
死節: 節繊維が周囲材と連絡が切れたもの → 「製材日本農林規格」では欠点となる

部材 (member)
= 構造物を組み立てる部分品

構造物: 複数の材料や部材により構成されるもの Ex. 建物・堤防・ダム
建物の部材(例)

屋根部材 + 外壁部材 + 内部柱材 + 床桁部材 + 階段部材

むく材
接着加工のない木材(製材品)

羽柄材(はがらざい): 板類、タルキ、敷居、鴨居等、造作に用いる。柱土台桁等の構造材以外の製材品
役物(色物): 小節・上小節・無節・柾目材の特等・1等級の上質製材品
モルダー: 加工材を自動送りし高速回転の複数カッター軸で加工材の上下左右四面を同時切削する機械

合板
原木から薄く剝いた単板の繊維方向(木目方向)を1枚毎に直行させ奇数枚を接着剤接着し構成した板。繊維方向が直行するため木材異方性が減少し割裂防ぎ、膨張・収縮性が改良される

普通合板: 用途の定まっていない合板
特殊合板

構造用合板: 住宅構造用
コンパネ: コンクリート型枠用

サブロク: 建築使用時の合板の標準的な大きさ
集成材
ラミナを繊維方向に互いに平行にし、長さ・幅・厚さの各方向に接着した製品

ラミナ: 集成材の1層を構成する木材。1枚のひき板の場合、ひき板等を縦接ぎ・幅矧ぎし一定の長さと幅に集成接着したひき板の場合がある

構造用集成材: 主に構造物の耐力部材とし用いる集成材。強度性能高いのラミナを5枚以上積層した集成材
造作用集成材: 構造材等内部造作に用いる非耐力の集成材。積層による素地の美観を表したもの、表面に美観を目的として化粧単板を貼ったものがある
改良木材
圧縮木材: 木材を30-200 kg/cm3の圧力で圧縮し強度を高めた木材
圧力注入材: 強度・吸湿性・難燃性高めるため、乾燥木材に鉛、錫等の金属、パラフィン、シリコン等を圧力をかけ注入したもの
積層材: 木材の欠点(節等による強度低下)を補強するため、木材を単板に切削し、合成樹脂を接着剤として繊維方向に重ねて圧縮したもの。吸湿性が改善され構造材として用いる
単板積層材(LVL): 単板の繊維方向を揃え多数接着した厚板やブロック。家具、建具、構造材等に利用

木質ボード: 木材原料を単板・小片以下に細分し接着剤等で板状に再構成した製品。建築、家具、工業製品等利用

パーティクルボード(削片板): 木材細切削 → 接着剤添加・熱圧 → 板状製品

木材チップ: 木材を機械的に小片化したもの → 主にパルプ、パーティクルボード(削片版)等の原料

養生: 柱、床の寄木張り等が汚染しないよう砥粉塗り、紙張り、ビニール張、とのこ等で木面を保護すること。または、モルタルや打ち終わったコンクリートが十分硬化するよう保護すること

板類

厚さが7.5 cm未満で幅が厚さの4倍以上の製材品
. 板類の区分 (厚さ t × 幅 w) (製材日本農林規格, 薄板日本農林規格)

板: < 3 cm t × ≥ 12 cm w
小幅板: < 3 cm t × < 12 cm w
面板a: ≥ 6 cm w
厚板: ≥ 3 cm t
薄板b: ≤ 0.7 cm t
a: 断面台形。b: 樹齢150年以上の針葉樹から製材

束(そく): (任意団体)全日本竹産業連合会で決めた竹材流通単位

1束 &aymp; 25 kg (気乾比重は、竹種・竹桿サイズで幅ある)

木造建築 (wooden architecture)


仕口しぐち: 2つ以上の部材を交差接合する工作。又は、継手・組手等を切刻んだ面

1) 横架材に渡しかけるだけの仕口
2) 構造的に組み合わせる仕口(多くのほぞを用いる)

: 柱頭頂部にある横架材で、小屋組を支える

他に2皆梁、陸梁、重梁、火打梁等がある
荷重に耐えるマツ、ヒノキ、ケヤキ、シイ、クリ、ツガ、カラマツ等を使う

建築法
プレカット建築: 部材を工場で予め刻み加工

→ 大工技能者不足対応、加工コスト低減化、住宅工期短縮等

ツーバイフォー(枠組壁工法住宅): 木材枠組みに木質ボードを打ちつけた壁、床等で荷重を支える構造の住工法住宅宅

枠組に多く使う製材の寸法が厚さ2インチ、幅4インチ → ツーバイフォー(2 × 4)と呼ばれる

[分析化学 (analytical chemistry), 細胞壁 (cell wall)]

木材化学 (wood chemistry)


木材の化学的な組成や性質を解明 + 材料・原料として活用する技術研究
木化 lignification: 植物細胞老化過程で二次壁合成時期にセルロース壁にリグニン沈着起こり細胞壁肥圧
木材主要構成物質 = セルロース + ヘミセルロース + リグニン

(セルロース・ヘミセルロース = 炭水化物)

セルロース(繊維素) (cellulose)

セルロース1分子: グルコース(α-1,4-glucoside)が1500-9500鎖 (種による)
鎖が束(直径35Å)程度 → 更にこの束が集結し200Å程度のmicrofibrilとなる
一次(細胞)壁はmicrofibrilが基本単位となり構成される

glucose-1,4 glucoside → peptic substances

ヘミセルロース (hemicellulose)

名称はセルロースに似るが構造的には関係なし
水に不溶な数種の糖からなる無定形高分子 → 加水分解 → オリゴ糖や単糖
セルロースより酸に加水分解され易い + アルカリに可溶

加水分解産物: ヘキソース類、ペントース類、ウロン酸等
広葉樹: 22-35%含有。主成分 = グルクロノキシラン
針葉樹: 20-25%含有。主成分 = グルコマンナン

ペクチン pectin
ヘミセルロース系 - 物理性に関連
• プロトペクチン protopectin: 細胞膜水に不溶
• ガラクツロン酸 galacturonic acid 重合物

リグニン (木質素, lignin)

無定形フェノール性高分子
陸生維管束植物木部に含まれる高分子物質 → 木材乾重の20-30%
主に繊維間接着する役目 → 若植物体細胞膜中にリグニン沈着すると組織が強化され抵抗力高まる →

分解は主に木材腐朽菌による

Sリグニン + Gリグニン + Hリグニン

Sリグニン(シリンギルリグニン): シナピルアルコール重合分子
Gリグニン(グアイアシルリグニン): コニフェリルアルコール重合分子
Hリグニン(p-ヒドロキシフェニルリグニン): p-クマリルアルコール重合分子

広葉樹: Gリグニン + Sリグニン
イネ科: Gリグニン + Sリグニン + Hリグニン (≡ 草本リグニン)

生産部位: 道管・仮導管・繊維等
デンプン (starch)
構造
材よりも地下茎・種子・果実に多い

特用林産 (special forest products)


特用林産物 = 森林原野産物 - 一般用材(Ex. 建築材、パルプ)
特用樹: 葉・果実・樹皮等の樹木の一部が特殊な用途に使われる樹木

Ex. コウゾ・ミツマタ = 和紙・紙幣原料
Ex. クリ・クルミ = 果実を食料として菓子等の材料に利用
Ex. ウルシ・コバイシ = 塗料・染料原料
Ex. アブラギリ・ツバキ = 製油原料

木酢液もくさくえき: 木材乾溜、松根乾溜、製炭の際に副産物として得る赤褐色水溶液

酢酸をはじめメチルアルコール、香料、染料、医薬等の工業用に利用
用途: 魚類、畜産の食品燻煙香料、トイレ・家畜等脱臭剤、土壌消毒用等

竹酢液ちくさくえき: 木酢液の材に竹
木タール: 木材乾溜や製炭の際に得られる留出液で木酢液以外のもの
樹脂(ヤニ, 俗) (tree) resin (adj. resinous樹脂の, 樹脂を含む): 樹木表面に分泌する粘性-半液状有機物質の総称

Ex. 松ヤニ pine resin、ゴム樹脂 gum resin

ほだ木: きのこ類生産に用いる原木。きのこの種菌(種駒等)を接種した原木

ほだ場: ほだ木を伏せ込む場所。林内や人工的に庇陰した場所等を使用

キノコ (茸, fungi)
菌床栽培: オガクズ、チップ等培地基材に水と添加物(米糠、フスマ等)を加え、容器(瓶、袋)に詰め殺菌後に、きのこ種菌を接種し培養し栽培

木炭 (wood charcoal or charcoal)


木材等の植物組織を半密閉状態で加熱し炭化させたもの
炭 (sumi, Japanese charcoal): 特に日本産の炭

薪炭材: 薪や炭等、燃料用に使われる木材

製炭方法による種類

黒炭 (クロズミ, コクタン)
蒸し焼き後に窯を密封し酸素供給を絶ちきって消火し窯が冷えてから取り出す
ナラ系(クヌギ等)の材が多い
白炭 (シロズミ, ハクタン)
蒸し焼き後に窯口を少しずつ空け空気を送り込み木炭を燃焼させる
取り出す時に大きく口を開け ≈ 1200°Cの高温で燃焼中の木炭取り出し、水分含んだ土と灰の混ざった消粉をかけ消火 (白粉が炭表面に残る)
カシ系(ウバメガシ等)の硬材が多い

火持ちが良く、爆ぜない高級木炭 小平町産イタヤカエデ仕様

公益社団法人国土緑化推進機構認定
山の名手・名人が造る(小平町・落田勝幸氏) 黒炭
山の名手・名人: 「もりのくに・にっぽん運動」リーディングプロジェクトとして「森づくり」「森の恵み」「加工」「森の伝承・文化」4部門から、優れた技を極め模範となる達人を「森の名手・名人」とし選定。落田勝幸氏は2014年、留萌管内から初認定。
イタヤカエデ(板屋楓): 木自体の目細かく、緻密で強靭なため、家の床板やスキー板、ラケット枠、ボウリングピン等の運動具、バイオリン裏板等の楽器に重宝される。黒炭は火が着きやすく扱いやすい炭だが、原木柔らかいと「臭い」「立ち消える」「火持が悪い」ことがある。イタヤカエデの炭は「火持ちよく火粉が跳ねない」特徴がある。(2018年6月21日安平)

木灰 (wood ash) キバイ, モッカイ

灰: 燃焼物の燃焼後に残った非揮発成分 (= 燃焼しない)
木灰: 草木を焼いてつくった灰

カリウム・石灰分を含む肥料 (強アルカリ性 - 過剰使用に注意) →
利用: 土地改良剤・灰汁抜き等

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