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(2020年12月14日更新) [ 日本語 | English ]

化学物質 (chemicals)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ 原子 ]

炭素 carbon (C)

木炭 carbo (Latin)
原子番号 6
前史以前: 不完全燃焼で発生 + ダイアモンドは稀少硬石(中世以降: カッティング技法開発され装飾品化)
非金属元素。単体・化合物両方で多様な形状 > 1000万種の化合物

Ex. 有機物 = 生物構成材料(光合成・呼吸等、生命活動全般で重要)
Ex. 石油・石炭・天然ガス等エネルギー・物質源
Ex. CO2やメタンによる地球温暖化問題 → 人間活動と密接に関わる

炭素原子
同位体3種: 12C (主要, 存在比 98.9%), 13C (微量, 1.1%), 14C (極微量)

12C: IUPAC (1961) 質量基準に決定 - 基礎定数算出基準(Ex. アボガドロ数)
13C: 核スピンを持つため、核磁気共鳴分光法の重要核種 + 光合成分析
14C: 半減期5715年放射性同位体 → 放射性炭素年代測定法 + 生物学で14Cマーカー分析法開発

CH4: δ13C, δD (重水) (単位‰)

大気CH4δ13C, δDはCH4収支を考えるのに有用
CH4放出源の同位体比と消滅過程での同位体効果が大気CH4同位体比に反映される
大気CH4同位体比を測定し、放出源と消滅源に関する情報を得る

化学 (chemistry)

= 有機化学 + 無機化学

[ 熱力学 | プロトコル ]

索引
有機化学 organic chemistry
有機化合物 = 生物体構成分であり、生命力なしで作れない物質と考えた
1828 Wöhler F (1800-1882, 独)

尿素(有機化合物) = シアン酸アンモニウム水溶液加熱で無機的合成

1845 Kolbe AWH (1818-1884, 独: Wöhlerの弟子)

酢酸を無機的合生 – 合成経路説明
→ 有機化合物概念見直し

有機化合物: 簡単な化合物(CO2、炭酸塩等)を除く炭素化合物全般

炭酸(無機化合物)アミド体尿素が有機化合物になる等、有機化合物と無機化合物の境界は曖昧
炭素化合物だけが有機化学という分野形成 → 電子論: 有機化学は"電子の化学"とも言える
地球上有機化合物の起源 (生物誕生)

無機化学 inorganic chemistry
原子、イオン ion (陰イオン anion, 陽イオン cation)、分子、固体結晶、溶液、錯体 – 無機化学的諸性質
無機化合物の持つ物理的化学的性質の解明 → 周期律や物性値等に基く元素性質の系統的まとめ

[ 原子構造 ]

物質量 (mole number)


物質量 (mole or molar number): 過去には「モル数」と訳す
Def. アボガドロ数 Avogadro constant, NA or L: 6.02214076 × 1023

≡ 物質量1 molを構成する粒子の個数 ⇔

Def. 原子量 atomic weight, M: アボガドロ数あたりの質量

12C = 12 (基準) → 他原子はCに対する比で表す

Ex. H = 1, He = 2, O ≈ 16

Def. グラム原子量 gram atomic weight
= 原子質量単位 atomic mass unit, u: 原子量にグラムの単位をつける

Ex. 酸素1グラム原子 = 15.9994 g ≡ Oがca 6 × 1028個の質量

Def. 分子量 molecular weight: 分子中の原子の原子量の総和

H2O = 1 × 2 + 16 = 18
CO(NH2)2 = 12 + 16 + (14 + 1 × 2) = 60
C6H12O6 = 12 × 6 + 1 × 12 + 16 × 6 = 180
単原子元素 monoatomic element

Def. グラム分子量 gram molecule weight (= モルmole, mol)

= 分子量にグラムをつけたもの

1モル(mol)は化学の単位

Def. 1 mol = アボガドロ数(6.02 × 1023)個の分子の集まり

Ex. Al = 27 (1円硬貨は1 g → 27個の1円硬貨で1 mol)
Ex. H2O = 18 → 1.8 gで0.1 mol
一般に 分子量Mの物質w gは w/M mol

Q. (モル計算)
  1. 40 g Ar
  2. 標準状態で40 lのメタン完全燃焼時に生成する水
  3. 標準状態で40 lの窒素
  4. 40g NaOH水溶液を中和するのに必要な硫酸
A.__1. Ar = 式量 40 → 40/40 = 1.0 (mol)

2. 40/22.4 (mol) CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O → H2Oは倍の3.57 mol

3. 40/22.4 = 1.79 mol
4. NaOH = 式量 40, 2NaOH + H2SO4 → Na2SO4 + 2H2O → NaOHの半分の0.5 mol

Def. 密度 mass density, ρ: 単位体積あたりの質量 (単位kg/m3, g/cm3等)

水: 密度は水圧に依存しない。温度で変化する
気体: 気圧が高いと大きく、温度が高いと小さくなる

Def. 当量 equivalent (weight): 互いに過不足なく結合する相対的質量 → 化学当量 chemical equivalent

Def. 1グラム当量(g当量) gram equivalent: 1当量にgつける → 質量比

= (イオン1 mol)/(イオン価) or (原子1 mol)/(原子価)
Ag+/1 → Ag/1 → 107.868/1 g
Cl-/1 → Cl/1 → Cl2/2 → 35.453 g
Cu2+/2 → Cu/2 → 63.546/2 g
Al3+/3 → Al/3 → 26.982/3 g

Def. モル当量: 物質量比
水素は原子1つとしか結合しない → 基準: 水素1.00797gと化合・置換する元素の相対的質量

Def. 原子価 valence = 原子量/当量 → 水素原子何個と結合できるか
Q (原子量と密度) ある金属の密度10.5g/cm3、体積 6.84 × 10-23 cm3の立方体中に4原子を含む → 原子量M
A 10.5 ×(6.84 × 10-23) = 7.182 × 10-22 (g) → 4原子

M = 1.7955 × 10-22 × 6.0 × 1023 = 107.73

原子量決定法
  1. Cannizzaraの方法 (1858): 分子量 × ある元素の含有率 = 整数(原子量最大値) - 現在使わない
  2. Dulong-Petitの法則 (1818): 元素比熱 × 原子量 ≈ 25J·K-1
    Def. 比熱 specific heat: 物質1 gを温度1°C上昇させる時に必要な熱量 cal/T, joule/T
  3. 質量分析計(質量分光器, 質量分析器mass spectrograph): 各純粋同位体の質量を求める
    原子を適当な方法でイオン化し電場をかけ加速した後、イオン流に直角方向から電場・磁場を作用
    e/m = 一定(constant)が得られる(e: イオンの電荷, m: イオンの質量)
    eが分かればmが分かる → eを他方法で求め質量補正した値
Q. ある元素の比熱 = 0.71, その塩化物chlorideは63.977%の塩素chlorineを含む → 原子量を求めよ
A. Dulong-Petitの法則 → 25/0.71 = 35.2 (誤差大 → 注意)

Cl: 1価, 当量(35.45) = 原子量 = 35.45 → 35.45 × (100 – 63.977)/63.977 = 19.96 → 19.96 × 2 = 39.92

Law. 質量保存の法則 law of conseveration of mass (Lavoisier)

化学反応前後で全質量は増減しない

Law. 定比例の法則 (Proust, J.L. 1754-1826)

同一化合物 → 成分元素質量比一定(生成条件・経路無関係)

Law. 倍数比例の法則の説明に原子説提唱(1803) → 化学に適用するよう修正 → 原子の特徴は"質量" (Dalton 1808)
  1. 原子は分割し得ない
  2. 同一元素の原子は、質量を始め、同一の性質を持つ
  3. 生成、消失はしない
  4. 化合物は構成元素の一定原子数比で形成される ≡ 倍数比例の法則 law of multiple proportions

1-3: ダルトンの原子説

1808 倍数比例の法則(定比例の法則)をDalton自身が実証

A, B: 元素 → 質量比 = MA:MB, 各元素の原子1個の質量

= mA, mB (g/個), 個数nA1, nB1 (整数)

化合物1 MA1:MB1 = nA1mA:nB1mB → 1:nB1mB/ nA1mA
化合物2 MA2:MB2 = nA2mA:nB2mB → 1:nB2mB/nA2mA
→ (nB1mB/nA1mA)/(nB2mB/nA2mA) = (nB1/nA1)/(nB2/nA2)

= nB1nA2:nB2nA1 → 自然数比

Law. アボガドロ法則 Avogadro's law (or principle), 1811
  1. 分子説: 気体が反応 → それらの分子は原子に分けることができる
  2. 定温・定圧・同一体積 ⇒ 気体分子数一定
Def. アボガドロ定数 Avogadro constant (アボガドロ数 Abogadro number), NAn (at 1 mol, 1 cm³)

░░|░░ + ██ = ▓▓|▓▓
水素____酸素_水蒸気

1グラム分子に含まれる分子数, NA = 6.0221415 × 1023 mol-1
12C 12 g中の原子数(分子数)

ミリカンの油滴の実験 Millikan's oil-drop experiment

正確なアボガドロ数測定の始まり

化学結合 (chemical bond)


bond 配位(配置) configuration: 原子を空間格子に配置すること
原子の結びつき方: 価電子 = 0~7 (8 = 0)

電子対(2個ずつの電子)にし考える
→ この電子対ができるよう原子同士が結合したイオンとなる

物質を作る基本粒子fundamental particle

非結合物質 (= 単原子分子monoatomic molecule): 原子が単に集合
Ex. Ne gas, Ar gas

2原子分子 diatomic molecule, …, n原子分子

共有結合性物質(= 分子性物質): 共有結合で作られる分子
Ex. H2, C12H22O11 (砂糖)

→ 高分子物質: 共有結合物質が集合 Ex. デンプン starch
→ 巨大分子: 原子が共有結合で直接物質を作る Ex. ダイヤモンド, 黒鉛 – 共に炭素巨大分子

Def. 分子間力 intermolecular force: 共有結合している分子は1個の粒子として挙動するときその粒子間に働く
ファン・デル・ワールス力 van der Waals forces (分子間力, s.s.)

分子内で生じた電荷の偏りが近くの他分子の電荷の偏りを誘発 → 引力発生
分子量が大きく、表面積が大きいほど、大きな引力となる

比表面積: 単位質量あたり: Sm = S/(ρV) ⇔ 単位体積あたり: Sv = S/V

S = 表面積 (surface area), V = 体積, ρ = 密度

[イオン結合 = とってとられて8 ⇔ 共有結合 = 互いに出し合い8]

代表的

1) 共有結合 covalent bind: 原子間結合に価電子を原子間で共有し、原子1個につき見かけ上、価電子8個になる(水素は2個)

原子価と価標: 他の原子との間で電子対を作れる数
Ex. –H (=1), -O- (=2), =C= (=4)

        Ex. 炭素原子の混成オービタル
        C    s  px py pz   Ex.
        sp3  •  •  •  •    CH4
        sp2  •  •  •  π   CH2=CH2
        sp   •  •  π π   CH≡CH, O=C=O
n重結合: 組手数 ≡C-C≡: 一重結合 =C=C=: 二重結合 -CC-: 三重結合 分極 polarization

極性分子 polar molecule: 極性残る分子
↔ 無極性分子 nonpolar molecule

2) イオン結合 ionic bond: 価電子数が0か8となるよう電子授受し、陽(陰)イオンとなり静電的に結合(イオン結晶)

多原子イオン Ex. NH4+, SO42-, H3O+
イオン結晶

金属元素と非金属元素からできているもの多
最小単位粒子存在しない = 組成式表現 Ex. NaCl, K2SO4, NH4Cl
1個の陽(陰)イオンを複数の陰(陽)イオンが取り囲む
硬く脆い。融点高く、融解すると電気伝導性を示すか分解するものがある(水溶液は電気伝導性)

イオン化エネルギー ionization energy: 気体状態の原子から電子を1個取り去る時に必要なエネルギー

安定な電子配置の原子から電子を取り去る → エネルギー大

⇔ 電子親和力: 気体状態の原子が1電子を獲得した時に放出するエネルギー
電気陰性度: 化合物中のある原子の電子を引く能力を比較する数値

陽性元素: 価電子失い陽イオン化し易い元素 Ex. Li, Na, K, Mg, Ca ⇔
陰性元素 Ex. O, S, F, Cl, Br

3) 金属結合: 金属原子が陽イオンとなり、それぞれの原子が放出した電子との引力により陽イオンが結合(金属の特色)
融点高く、延性・展性大。電気伝導性、熱伝導性大 Ex. Al, Cu

原子配列: ⇒ 結晶
面心立方格子、六方最密格子、体心立方格子

自由電子 free electron: 0ポテンシャル → 何ら束縛を受けていない電子

自由電子のイメージ:
全原子に価電子が共有される → 金属内では金属イオンが自由電子により結合される
自由電子の海に浮かぶ金属イオンの島
金属の電子のポテンシャル

4) 配位結合 coordinate bond: 非共有電子対(孤立電子対)用い、他原子の空のオービタルとの間で生じる結合

Ex. アンモニウムイオン NH4+bond

錯イオン: 非共有電子対が陽イオンと配位してできたイオン

Ex. H3N: + Ag+ + :NH3 → [Ag(NH3)2]+
配位子: 金属イオンと配意結合している分子・イオンのこと →
配位数: 配位子が配位している数

5) 水素結合 hydrogen bond

分子

Ex. 酢酸 acetic acid
化学式 C2H4O2
示性式 CH3COOH
組成式 CH2O
bond

Def. 化学式 chemical formula (分子式 molecular formula):

物質を原子記号(化学記号chemical symbol)と数字で表す Ex. H2O

Def. 示性式 rational formula

分子中グループとみなした方が理解しやすい原子団を表現基本

Def. 組成式(実験式) empirical formula: 分子の原子種類とその数の最小比

Def. 式量 formula weight: 式中の各原子の原子量の総和 (≈ 分子量)
共有結合結晶: 原子が全て共有結合でできる物質 → 組成式で表す

Ex. C (ダイヤモンド), SiO2 (二酸化珪素), H2SiO3 (珪酸)

Def. 構造式 structural formula: 分子を作る原子の結合様式を表現
Def. 電子式: 各原子の価電子及び共有電子対の様子を表現
[化学平衡]

無機物 (inorganic substance)


= 有機物以外の物質
単体: 一種類の元素からなる +
化合物

酸化物: 酸性酸化物 + 塩基性酸化物 + 両性酸化物
水酸化物: OH-含む
オキソ酸: O原子含む酸
塩: 酸性塩 + 塩基性塩 + 正塩 → 中和

解離 dissociation
1分子が成分原子かより小分子(中性 neutralまたはイオン)に分解し、その変化が可逆的な分解
電離 ionization
原子・分子がイオン(電子を失うか、過剰電子を得て電荷を帯びた原子や分子)になること
1) 純物質: 特徴 → 定圧(常圧) → 沸点・融点・密度・化学的性質一定

Ex. 臭素 bromine, 35Br: Balard AJ (1826)発見。ハロゲン元素

常温・常圧で暗赤色液体 (mp = -7.3°C, bp = 58.8°C)。反応性塩素より弱。刺激臭・猛毒。海水中微量

2) 混合物 mixture = 溶体 solution (s.l.)

混合気体
溶液 solution (s.s.) = 溶媒 solvent + 溶質 solute

均一な混合物 homogeneous mixture ↔ 不均一な混合物(不均質な混合物) heterogeneous mixture

混合度 (degree of mixing)

1) 濃度 concentration, C
単位容積あたり溶液中の溶質の量 mol·dm-3
2) 重量パーセント weight (mass) percent, %
単位質量の100倍溶液中の溶質質量。単位無 dimensionless

ppm, ppb: 残留農薬や食品添加物量で良く使う濃度(割合)単位
(pp = part per, c = - cent = 1/100, ppm = - million = 1/100万, ppb = - billion = 1/10億, ppt = - trillion = 1/1兆)

3)モル濃度
a) 容積(容量)モル濃度(mol/l) molar concentration or molarity, m' (M): 単位容積あたり溶媒中の溶質量

= 1 l中の溶質の質量/分子量

b) 重量モル濃度 (mol/kg) molarity, m: 単位質量当り溶媒中溶質量 = 溶媒(水1 l)に溶質1 molを溶かした濃度

Ex. x gの溶質を溶かす
%濃度: x/(100 + x) × 100 = y (%) – y%: 含む溶質全重量の比が等しい
モル濃度 mol : x = 1 : zz = x/mol – z mol: 含む溶質粒子数が等しい

4)モル分率 mole fraction, XA
成分Aの量を全成分の全量で割ったもの

システム system → a: na mol, b: nb mol, c: nc mol, …, ni mol
xi = ni/(na + nb + nc + … + ni) = ni/Σni

5)規定度 normality, N
溶液/dm3中に含まれる溶質のg当量数

m規定(= m mol/l), v ml → mv/1000 mol (≡ g当量)

Ex. 1 N HCl 500 ㎖作る – 溶液1 ℓを考える
A.__HCl mw = 36.46, 35% (specific gravity 1.18-1.19) of w/w, w/v, v/v

HCl 35%溶液質量 = 1.18 × 1000 g

その中のHCl質量 = 1.18 × 1000 × 35/100

HCl 35%溶液は(1.18 × 1000 × 35/100)/36.46 = 11.3 N

→ これから1N HClを500 ㎖作る

11.3:1 = 500:x, 11.3x = 500 × 1
x = 44.2 (㎖)
44.2 mlの35% HCl溶液を用いfinal 500 ㎖にする

Def. 比重 specific gravity (密度 density) = 質量/体積
Q. NaOH 25.8 g (mw = 40) + H2O 100 g → 比重1.23水溶液 ⇒ モル濃度
A. v = (100 + 25.8)/1.23, NaOH = 25.8/40 mol →

(1.23 × 1000 × (25.8/125.8))/40 = 6.31 (mol/l)

代表的無機物 (represented inorganic substances)


エーテル (ether)

反応性乏しい(蒸気は可燃性)
ジエチルエーテル: b.p. 34.48°C、揮発性・引火性高 → 有機溶剤、麻酔剤

アルコール (alcohol)

CnH2n+1OH
n価アルコール: n = 1分子中に-OHのある数
アルコールの融点(m.p., °C)、沸点(b.p., °C)、溶解度(g/100 g)
一価
CH3OH (メタノール): -98, 65, ∞
C2H5OH (エタノール): -115, 78, ∞
CH3CH2CH2OH (1-プロパノール): -127, 97, ∞
CH3CH(OH)CH3 (2-プロパノール): -90, 82, ∞
CH3CH2CH2CH2OH (1-ブタノール): -90, 117, 8.0
CH3CH2CH2CH2CH2OH (1-ペンタノール): -, 138, 2.2
二価
CH2(OH)CH2(OH) (1,2-エタンジオール/エチレングリコール): -13, 198, ∞
三価
CH2(OH)CH(OH)CH2(OH) (1,2,3-プロパントリオール/グリセリン): 18, -, ∞
アルコールの構造による分類 (名称 一般式, 例)

第1級アルコール R1-CH2-OH, CH3OH
第2級アルコール R1-CH(R2)-OH, CH3CH(OH)CH3
第3級アルコール R1-CR2(R3)-OH, CH3C(CH3)2OH

合成法
1) 微生物法(アルコール発酵): C6H12O6 → 2CH3CH2OH + 2CO2
2) 水生ガスから合成(+ ZnO, CrO3 = catalysis, 350-400°C, 150-200 atm)

CO + 2H2 → CH3OH (メタノール 8-20 g摂取で失明、致死量30-50 g)

3) ジアゾニウム塩分解

R-NH2 + HNO2 → [R-N2]+ → R-OH + N2

水酸基(-OH) → 極性あり → 水酸基間で水素結合可能

(結合エネルギー = 12.6-20.9 kJ/mol)
イオン化傾向の大きい金属との反応: 水素発生 Ex. 2CH3CH2OH + 2Na → 2CH3CH2ONa + H2 酸触媒脱水反応
酸化反応

第1級アルコール: R-CH2-OH → R-CHO [アルデヒド] → R-COOH [カルボン酸]
第2級アルコール: (R)2CH-OH → (R)2C=O [ケトン生成]

フェノール(石炭酸, phenol or benzenol, ArOH)

phenol s.l. 芳香環(特にフェニル基R部分)に水酸基が結合した化合物
s.s. 石炭酸 C6H5OH
共鳴構造
安定化するため弱酸として働く

(Ka = 10·10-10)

アルデヒド・ケトン aldehyde/ketone

アルデヒド 融点 沸点 (比重)
HCHO (ホルムアルデヒド, formaldehyde) -92 -20 (0.815)
CH3CHO (アセトアルデヒド) -123.5 20 (0.781)
CH3CH2CHO (プロピオンアルデヒド) -81 49 (0.807)
C6H5-CHO (ベンズアルデヒド) -26 179 (1.046)
ケトン 融点 沸点 (比重)
CH3COCH3 (アセトン) -94 56 (0.791)
CH3COC2H5 (エチルメチルケトン) -86 80 (0.805)
C2H5COC2H5 (ジエチルケトン) -42 102 (0.814)

ホルマリン: ホルムアルデヒド40%水溶液

カルボニル基 → carbonyl group
合成法
  1. アルコール酸化
    CH2ROH → [KMnO4, CuO] → R-COH → [KMnO4] → R-COOH
    CR1R2HOH → [KMnO4, CuO] → R1R2C=O
  2. オゾン分解
  3. アルキン水和: R-C≡C-H + H2O → RCOCH3
  4. カルシウム塩乾留: (CH3COO)2Ca → CH3COCH3 + CaCO3
    CH3-をH-に置き換える(蟻酸カルシウム)とホルムアルデヒド生成する
反応
  1. 酸化還元反応: アルデヒド = 還元剤, ケトン ≠ 還元剤
    1. 銀鏡反応: R-CHO → [AgNO3 + NH4OH] → R-COO- + Ag
    2. フェーリング反応: R-CHO → [CuSO4 + ロッシェル塩]

      → R-COO- + Cu2O

      フェーリング液 = フェーリング液A(a) + フェーリング液B (= ロッシェル塩)(b)

      (a) 6.0 g/100ml硫酸銅水溶液
      (b) 34.0 g酒石酸カリウムナトリウム + 10.0 g/100 ml NaOH

  2. ヨードホルム反応: CH3COCH3 + 3I2 + 4NaOH

    → CH3COONa + CHI3 + 3H2O + 3NaI

カルボン酸 carboxylic acid

表. 芳香族カルボン酸 (構造 名称 m.p., b.p. (解離定数)

C6H5COOH 安息香酸 122, 249.2 (6.4 × 10-5), 防腐剤・染料原料
C6H4(OH)COOH サリチル酸 157, 256 (1.0 × 10-3)

表. 不飽和脂肪酸 Double bond数

アクリル酸 CH2=CHCOOH
アラキドン酸 CH3(CH2)4(CH=CHCH2)4(CH2)2COOH
オレイン酸 CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH
リノレイン酸 linoleic acid CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOH
リノレニン酸 linolenic acid

会合 (association)
association
見かけより分子量大きくなる → 沸点、融点が分子量の割に大きい
低分子では水によく溶ける。高分子はミセルコロイド形成するものもある
反応
  1. 塩生成
    Ex. R-COOH + NaOH → R-COO- + Na+ + H2O,
    ___2R-COO- + Ca2+ → (R-COO)2Ca↓
  2. 脱炭酸反応
    1. アルカン合成(アルカリ融解): R-COONa + NaOH → R-H + Na2CO3
    2. ケトン合成(乾留): (R-COO)2Ca → R2C=O + CaCO3
  3. 酢無水物生成
  4. 脱水反応

エステル ester

酢酸エチル CH3COOC2H5: m.p. –83.6°C, b.p. 77.2°C
サリチル酸メチル C6H4(OH)COOH

芳香、消炎、鎮痛

アセチルサリチル酸(アスピリン) C6H4(OCOCH3)COOH:

解熱(バファリン主成分)

加水分解
CH2COOC2H5 + H2O → CH2COOH + C2H5OH
鹸化
CH2COOC2H5 + KOH → CH2COOK + C2H5OH
石鹸(R-COONa, ミセル化) Ex. C11H23COONa ラウリル酸ナトリウム

-ONa: 親水性 vs. CnHn+1: 親油性 → このバランスで水にも油にも溶ける
石鹸は硬水(Ca2+, Mg2+の多いもの)に不溶

合成洗剤

親水基 -OSO3Na 硫酸エステルナトリウム, -SO3Na スルホン酸ナトリウム, -OH
疎水基

油脂 (fat) R-COOH → R-CH2OH

(a) H2SO4 → R-CH2OSO3Na, (b) Alkaline → R-CH2OSO3Na
ft

陽子(プロトンH+)授受 (proton transfer)


空間電荷 space charge: 電子やイオンの移動により電荷が蓄積する状態
Ex. HCl + NaOH → NaCl + H2O

→ [反応部分] H+ + OH- → H2O
→ OH-がH+を受け取る

[ pH ]

Def. (Arrhenius 1887)
: 水素を持ち、水溶液中で電離しH+を放つ物質

Ex. HCl → H+ + Cl-, H2SO4 → H+ + HSO4-

塩基: 水溶液中で電離しOH-を放つ物質

Ex. NaOH → Na+ + OH-, Ca(OH)2 → Ca2+ + 2OH-
アルカリ: 水に良く溶ける塩基 Ex. NaOH, KOH, Ba(OH)2, Ca(OH)2

Def. (Lowry & Brφensted 1923)
(陽子供与体): プロトン(陽子H+)を他に与える分子・原子およびイオン
塩基 (陽子受容体): 陽子H+を他から受け取る分子・原子およびイオン
Q. H2SO4, HSO4-, SO42-を酸、塩基に分類せよ
A.酸、酸かつ塩基、塩基
Def. (レビス Lewis)
: 電子対を与えるもの → 酸と塩基の共益関係: H+ + 塩基

酸HA水溶液で成立する平衡状態 → HA ↔ H+ + A-
→ 水溶液濃度がC (mol/l)ならば α = [A-]/C

電離平衡・電離度
非電解質 nonelectlytes
1. 拡散 diffusion

溶質及び水の移動は分子量の影響を受け、溶質濃度勾配に反比例し移動距離に逆比例 → 細胞間及び内の移動は急速だが、m単位の距離になると遅い
細胞壁は細胞間空間を形成する

2. 能動輸送 active transport
電解質 electlytes

電解質移動には膜のイオンチャージおよび水和性を考慮
Ex. 膜が+にチャージしていれば-の電解質(= イオン)が引き付けられる。電解質は拡散移動は困難であるため能動輸送に依存する

Def. 電離度, αa/C = 電子したモル数/電離前のモル数

= (a × 6.02·1023個)/(C × 6.02·1023個)

表. 電離度(α)による酸・塩基の分類
    電離度  α ≈ 1                    α << 1
    分類    強酸       強塩基         弱酸   弱塩基
    Ex      HCl, H2SO4  NaOH, Ca(OH)2  H2CO3  NH3, Fe(OH)2

Ex. 硫酸の電離 H2SO4 ↔ HSO4- + H+ ↔ SO42- + 2H+

強酸 = 完全に電離: HA + H2O → A- + H3O+ [オキソニウムイオン]
弱酸 = 平衡関係: HA + H2O ⇄ A- + H3O+ ⇒ HA ⇄ H+ + A-
Law. 質量作用の法則 (化学平衡の法則)
電離定数 Ka = [A-][H+]/[HA] → 強酸 Ka > 弱酸 Ka [塩基でも同様]
Ex. CH3COOH ↔ CH3COO- + H+

KCH3COOH = [CH3COO-][H+]/[CH3COOH]

この状態に酸HAを加える → KHA = [A-][H+]/[HA]
H+の価は共通 →

KCH3COOH /KHA = ([CH3COO-]/[CH3COOH])/([A-][HA])

Def. 価数: 酸・塩基が完全電離した時の水素イオンの物質量値(H+の係数)
  価 酸                     塩基
  1  HCl, HNO3, CH3COOH, HI NaOH, KOH, NH3
  2  H2SO4, H2SO3, H2CO3     Ca(OH)2, Cu(OH)2, Ba(OH)2, Fe(OH)2
  3  H3PO4                  Al(OH)3, Fe(OH)3
Def. 中和反応: 酸(H+)-塩基(OH-)間でH+が受け渡される化学反応
Ex. 二価の酸水溶液 H2A ↔ HA- + H+ ↔ 2H+ + A2- (Eq. 1)

塩基加える[ルシャトリエの原理により平衡移動]
→ H+ + OH- → H2O → [H+]↓
→ Eq. 1平衡は右へ移動
→ 酸が供給できるH+物質量(mol) ≡ Ca/103 × A × va

酸の価数 A, 水溶液濃度Ca (mol/l), 体積va (ml)

→ 塩基が受け取れるH+物質量(mol) ≡ Cb/103 × B × vb

→ 中和反応における酸HAと塩基BOHの間で生じるH+の授受を表す反応式

HA + BOH → BA + H2O

Def. 塩 ≡ BA: 酸の陰イオンと塩基の陽イオンからなるイオン結晶

Ca/103 × A × va = Cb/103 × B × vb

Ex. 1. HCl + NaOH → NaCl + H2O → H2Oを蒸発させNaClを得る
Ex. 2. CH3COOH + NaOH → CH3COONa + H2O

CH3COOHは弱酸 = 平衡状態存在 →

CH3COO- + Na+ + H2O ↔ CH3COOH + Na+ + OH-

→ H2Oを蒸発させるとCH3COONaを得る

塩の分類
1) イオン Ex. ナトリウム塩(Na+), 炭酸塩(CO2-) → Na2CO3
2) 反応性

正塩: 水素イオンになるHも水酸化物イオンになるOHも持たない塩

Ex. NaCl, CuSO4, CH3COONa

酸性塩: 水素イオンになるHを持つ塩

NaHCO3 → Na+ + HCO3- (NaHCO3 + NaOH → Na2CO3 + H2O)
NaHSO4 → Na+ + H+ + SO42-

塩基性塩: 水酸化物イオンになるOHを持つ塩

CuSO4·3Cu(OH)2

→ 4Cu2+ + SO42- + 6OH- (CuSO4·3Cu(OH)2 + 3H2SO4
→ 4CuSO4 + 6H2O)

酸化物の分類
酸性酸化物: 水に溶けて酸性を示すか、塩基と反応し塩を生成する

非金属酸化物
Ex. NO2, SO2,
CO2 (CO2 + H2O → H2CO3, CO2 + 2NaOH → Na2CO3 + H2O),
金属酸化物 Ex. CrO3, Mn2O7

塩基性酸化物: 水に溶け塩基性を示すか、塩基と反応し塩を生成する

金属酸化物 Ex. CaO, Fe2O3,
Na2O (Na2O + H2O → 2NaOH, Na2O + CO2 → Na2CO3)

両性酸化物: 酸・塩基いずれとも反応する

両性元素酸化物 Ex. Al2O3, ZnO, SnO, PbO,
Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O vs Al2O3 + 2NaOH + 3H2O

2Na[Al(OH4)]テトラヒドロキソアルミン酸ナトリウム = 錯酸

Def. 酸化: 電子を失うこと
1. 電子脱離

イオン数変化: Fe2+ → Fe3+ + e-, Cu+ → Cu2+ + e-
金属イオン化: Fe → Fe2+ + 2e-
酸化剤 oxidizing agent or oxidant: 相手から電子を奪う物質
Ex. 過マンガン酸カリウム KMnO4

硫酸酸性溶液中 MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O
中性・塩基性溶液中 MnO4- + 2H2O + 3e- → MnO2 + 4OH-

2. 水素脱離: アナロジー H2 → 2H+ + 2e- (電子の脱離)

OH-benzene-OH → O=benzene=O + 2H+ + 2e-

3. 酸素獲得 (初期の定義):

CO + 1/2O2 → CO2 (Oxygenase), or H2O + 1/2O2 → H2O2

Def. 還元: 電子を得ること = 還元反応は全て酸化の逆反応

還元剤 reducing agent or reductant: 相手に電子を与える物質
Ex. CO
Ex. シュウ酸 (COOH)2: 2CO2 + 2e- + 2H+

酸化還元反応 (redox reaction)

化学反応中、酸化・還元が同時に起こる反応
Ex. Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2 [Fe3+がFeに変化]
酸化数
H2 + I2 → 2HI → イオンが含まれない反応 → 酸化数という概念導入し酸化還元考える

NaCl → Na+ + Cl- [Na+ = 酸化数+1, Cl- = 酸化数-1]
H2O → 2H+ + O2- [H+ = 酸化数+1, O2- = 酸化数-2]

決め方(原則)
  1. 単独中性原子、単体中の原子 = 0
  2. 単原子イオンは電荷の値
化合物・多原子イオンで
  1. 各原子の酸化数合計は、その電化と等しい
  2. H原子 = +1 (NaH, LiH等水素よりイオン化傾向小さい金属と化合 = -1)
  3. 5. O原子 = -2 (H2O2は-1)
  4. ハロゲン原子 = -1 (ハロゲンより電位陰性度の高い原子が結合している場合は正となることもある)
Def. 酸化還元指示薬 redox indicator: 酸化還元滴定に用いる呈色指示薬
Ex. 過マンガン酸カリウム(potassium permanganate, KMnO4
Ex. トリフェニルテトラゾリウムクロライド (TTC): 種子生死判別に利用
テトラゾリウム(tetrazolium)塩類: 酸化状態では可溶性で無色、還元状態では不溶で強く着色されるためdehydrogenaseおよびdiaphoraseの組織化学的研究で重要な物質。Tetrazolium誘導体とdittetrazolium誘導体が用いられ、tetrazolium誘導体は一般に赤色のformazanとなる。Ditetrazolium誘導体は二つの反応生成物をつくる。一つは一般に赤色のmonoformazanで、他の一つは青色あるいは赤紫色のdiformazanである
Table. Tetrazolium塩類の特性 (鋭敏度は1-4の方に増加。*: コバルト存在下)
  略記号              TT    INT   NT    TB     NN   NTB  MTT*

  鋭敏度               1     3     3     2      4    4     4
  色彩                赤   赤紫  赤紫 赤・蒼  赤紫  青    黒
  O2に対する安定性     0     0     +     +      0    0     0
  脂質に対する溶解性  有    有    有    有     ±   無    無
  沈殿の大きさ        極大  大    種々  種々   細   細    細

Table. Tetrazolium塩類と反応する主な還元性物質と還元系
                            I群: 酵素
  還元性物質あるいは還元系  プレパラート    実験条件
  Endogeneous reductase     凍結・固定しな  pH 6-7
                                い無傷細胞
  Dehydrogenase             固定しない組織  特異的基質存在
      and diaphorase            の凍結切片
                            II群: 酵素ではない物質
  -SH基                     固定組織切片    pH 9-11
  還元性炭水化物            固定組織切片    pH 11
  Lipofuscin                固定組織切片    0.1 Nアルカリ存在
  Kultchisky細胞            固定組織切片    0.1 Nアルカリ存在
     およびadrenochrome

酵素は固定されていないプレパラートで近中性tetrazolium溶液を用いる
酵素でない物質は固定したプレパラートでアルカリ性tetrazolium溶液を用いる

腐食 corrosion: 金属が周辺環境成分と反応し酸化 → 金属としての性能低下し使用に耐えなくなる現象
半反応式: 還元・酸化剤の電子授受関係のみ示す (⊂ 化学反応式)

O2 + 4e- → 2O2-
H2S → S + 2H+ + 2e-
2H+ + 2e- + (O) → H2O
(H) → H+ + e-

[pH]

イオン化傾向(イオン化列・電荷列) ionization tendency: 酸化・還元剤強弱に関連

K貸そう Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H) Cu Hg Agぎる Pt Au

イオン: なりやすく電子出しやすい_______なりにくく出しにくい (応用: ボルタの電池)
空気中酸化:__ 速やか ←_____________ → されない
水:________常温反応 ←______________→ 反応しない
酸:____希酸水素発生 ←______________→ 王水に溶ける
Def. (標準)酸化還元電位 oxidation reduction potential: 酸化物質・還元物質平衡で生ずる電位と基準電位の差 → 反応により一定 [単位 mV or V]

酸化還元電位: E, Eh
標準酸化還元電位: E0
中間酸化還元電位: E'0, Em, Em,7

測定法: 1) サイクリックボルタンメトリー, 2) ポーラログラフィ polarography Def. 電気分解(電解) electrolysis: 電解質の電気エネルギーによる分解反応

陽極 = 酸化反応 ⇔ 陰極 = 還元反応
Def. 電解生成物: 電解により生じた物質

⊕ K+, Ca2+, Na+, Mg2+, Al3+, H+ → H2
⊖ NO3-, SO42-, OH- → O2

Def. 電解槽 (electrolyte) cell: 電解に用いる槽
Def. 電解質(電解液) electrolyte: 電解に用いる液

Def. 電気量 electrical quantity: 電荷の量
Def. 電気化学当量 electrochemical equivalent (単位, F ファラデー): 式で1モル当量の酸化(還元)反応を引き起こす電子の移動量を電荷量で表した

電極反応 = 酸化還元反応 ⇒ 電荷移動量 ∝ 酸化還元反応量
Def. 1F = 1 molの電子の流れ

Law. ファラデーの法則(電気分解の法則) Faraday's law (1833)
第一法則: 陽極⊕陰極⊖で生成する物質量 ∝ 通過した電気量
第二法則: 1g当量の物質を生成する電気量 = (物質種類に関係なく)一定 ⇒ 第一法則 × 第二法則: 電解による両極の析出量 (g)

= (通過したファラデー数) × (1 g当量)
= (式量/原子価) × (アンペア × 秒)/(9.65 × 104) (g)
= (原子量/イオン価) × (アンペア × 秒)/(9.65 × 104) (g)

Q. 電流100Aを1時間、硫酸銅溶液に通し電解した。(1)陰極に析出する銅は何gか。(2)陽極に発生する酸素は何gで、0°C、1 atmで何lか。Cu = 63.546
A._ (1) ファラデー数 = (100A × (60 × 60sec))/(9.65 × 104) = 3.731

Cu 1 g当量 = 63.526/2 = 31.773 (g)
∴ 析出量 = 3.731 × 31.773 = 118.531 (g)

(2) OH- - e- → 1/2·H2O + 1/4O2 ∴ 1/4 mol O2 = 1 g当量
_______1F___________1/4 mol

32/4 g O2 → 22.4/4 = 5.6 l
∴ 8 × 3.731 = 29.848 g, 5.6 l × 3.731 = 20.894 l

白金電極

(⊕ 陽極, ⊖ 陰極)

Ex. 塩化銅(II)水溶液

CuCl2 → Cu2+ + 2Cl- (電離度大)
_ H2O ⇄ H+ + OH- (小/僅か)
__2Cl- - 2e- → Cl2
________↓ 電子移動
⊖ Cu2+ + 2e- → Cu↓

Ex. 硫酸銅水溶液 → メッキ
応用: メッキ(鍍金)
electrolysis 電気メッキ electroplating: 電解液中 →

⊖ メッキされる金属製品 ⇔ ⊕ 付着させたい金属
直流 → ⊕ = 電解 → 金属イオン発生
→ 電解液中通り⊖(= 製品)に付着

溶融メッキ: Zn, Al等低融点金属を溶解した層中に鉄通過(浸漬)させメッキ

Ex. 鉄板 + 被覆金属(亜鉛合金 = トタン)
Ex. 鉄板 + (錫 = ブリキ)
Ex. 鉄板 + (Al = アルミナイズド鋼板)
"どぶ漬け(てんぷらメッキ)": 品物を直接漬けメッキ (亜鉛メッキに多)
素材-被覆金属間に合金層ができることで密着性と耐食性を著しく向上

真空メッキ: プラスチック製品進出で盛んに → 光沢優れるが膜厚非常に薄い

真空中で、メッキに使用する金属を加熱蒸発させ、品物表面に凝集させる → 非金属にもメッキ可能

炭素化合物 (carbon compound)


構造性質 = 基本骨格(C, O等)の性質 + 官能基の性質
基本骨格
CxHyOz ⇒ 分子量, M = 12x + 1y + 16z
脂肪族炭化水素 aliphatic hydrocarbon

アルカン alkane (パラフィン系炭化水素) ≡C-C≡___sp3混成
アルケン alkene (オレフィン系炭化水素) =C=C=__sp2混成
アルキン alkyne (アセチレン系炭化水素) -C≡C-___sp混成

官能基 functional group
Ex. -OH, -C=C-, -C≡C-, -CHO, -NH2
残基 resihne: functional groupに属さぬ部分 Ex. alkyl (R), aromatic (Ar, aryl)
同族列 homologous series

CH3OH, C2H5OH → alcohol
phenol → phenol

官能基 functional group
化合物名称基名称
肪族炭化水素アルキル基炭化水素 CnHm-R(CH3)2CHCH3 isobutane
フェニル基ベンゼン環 C6H5-R
アルコール水酸基 (ヒドロキシル基)R-OH(CH3)2CHOH isopropanol
エーテルR-O-R'CH3OCH3 dimethyl ether
アルデヒドアルデヒド基R-CHOCH3CHO acetaldehyde
ケトン類ケト基 (カルボニル基)R-CO-R'CH3COCH3 acetone
カルボン酸カルボキシル基R-COOHCH3COOH acetic acid
エステルR-COO-R'CH3COOCH2CH3 ethyl acetate
アミノ化合物(アミン)アミノ基R-NH2CH3NH2 methylamine
ニトロ化合物ニトロ基R-NO2

炭化水素 (hydrocarbon, HC)


CnHm: 炭素と水からなる化合物の総称 (s.l.)

⇒ s.l.の中の天然物質 (s.s.) → 炭素化合物の母体

分類 (classification)

_____________1  かけ  2  かけ  3        は      6
炭化水素の5種: 1  ×  2  ×  3     =   6
___________単結合  2重結合 3重結合 環     6角
A. 飽和炭化水素
単結合(一重結合)のみからなる = 飽和
a). 飽和鎖式炭化水素 acyclic

直鎖構造(ex. n-butane)か分枝構造(ex. i-butane)
→ 異性体: 分子式同一で分子内構造が異なる物質: 炭化水素に多い

b) 飽和環式炭化水素 cyclic(脂環式炭化水素, シクロアルカン): 環状結合を持つ – ナフテン系

Ex. シクロブタン C4H8, シクロヘキサン C6H12

B. 不飽和炭化水素
C·C間に二重または三重結合を持つ部分がある = 不飽和
a) 不飽和鎖式炭化水素

代表: エチレンC2H4 (CH2=CH2) アセチレンC2H2 (CH≡CH)

プロピレンCH3-CH=CH-H, メチルアセチレン CH3-C≡C-H

b) 不飽和環式炭化水素(芳香族炭化水素aromatic hydrocarbon): 不飽和度高、安定

Ex. ベンゼンC6H12 (1858 Kekule: 価標原子価結合 → 古典的構造論)
C2H5O → CH3CH2OH (ethyl alcohol), CH3OCH3: (dimethyl ethyl)

別分類
鎖を先に考える
  1. 鎖状 acyclic: 肪族炭化水素 aliphatic hydrocarbon → アルカン(C-C)・アルケン(C=C)・アルキン(C≡C)
  2. 環状 cyclic → 脂環式炭化水素・芳香族炭化水素

IUPAC炭化水素命名法

直鎖アルカン
ギリシア語数詞, [Gr]
  1. アルカン(CnH2n+2)の命名 = [Gr] + ane (+の前で母音が連続する時には前の母音をとる)
    (例外: 1= methane, 2= ethane, 3= propane, 4 = butane)
    5 = pentane, 6 = hexane, 7 = heptane, 8 = octane, 9 = nonane, 19= decane, 11 = undecane, 12 = dodecane, 14 = tetradocane, 16 = hexadecane, 18 = octadecane, 20 = icosane (eicosane), 22 = docosane, 30 = thiacontane
  2. 側鎖を持つアルカン
    1. 最も長い直鎖: 置換基のついた誘導体
      CH3-CH2-CH(CH3)-CH2(CH2-CH3)-CH2-CH3
      注) C3H7-: CH3-CH(CH3)-, CH3-CH2-CH2-
    2. 置換基の位置の表示 = 合計数を示す:
      CH31-CH2(CH3)-CH23-CH4(CH3)-CH25-CH36
      → 2, 4-dimethyl hexane
    3. 表示法における置換基の順序 → alphabet順 (接頭語, sec, tertiary等を除く): 数詞(di, tri, tetra …)を除く
    4. 同じ置換基がある場合番号をつけ、その数に応じ数詞をつける
      IUPAC
      → 4-t-butyl-2-methyl heptane
      CH3-CH(-Br)-CH2Cl → 2-bromo-1-chloro-propane
    5. 主鎖の番号と置換基の番号の区別(括弧で括る)
      CH3-CH-CH2-CH3
      ____ |
      → isopropyl (=1-methylethyl)
      CH3-CH-
      ____ |
      ____CH3
      CH3-CH2-CH2-CH2-CH-CH2-CH2-CH2-CH2-CH3
      _________________|
      ____________ CH3-CH
      _________________|
      ____________ CH3-CH2
      → 5-(1-methylpropyl) decane
      CH3-CH2-CH2OH → 1-propanol (= n-propyl alchohol)
      CH2-CH2(OH)-CH2 → 2-propanol
    6. アルキル基の命名: [Gr] + yl
      Ex. CH3(CH2)4- = pentyl, CH3(CH2)5 = hexyl
      (例外: CH3- = methyl, CH3CH2 = ethyl, CH3(CH2)2- = propyl, CH3(CH2)3- = butyl)
      置換基名: alkane (Ex. CH4, methane) → alkyl (CH3-, methyl)
  1. アルケンalkene: [Gr] + ene Ex. ethene, propene, butene, pentene, hexene, heptene, octene, nonene, decene, undecene, dodecene
    1. 2重結合2個所: [Gr] + diene
      Ex. 1, 4-pentadiene, 1-5-hexadiene, 2,4-heptadiene, 2,4-octadiene, 1,3-butadiene
    2. 2重結合3個所: [Gr] + triene
      Ex. 1, 3, 5-hexadiene, 3, 6, 9-octadecatriene
  2. アルキンalkyne: [Gr] + yne
    Ex. ethyne, propyne, butyne, pentyne, hexyne …
  3. アルコール alcohol・アルデヒド aldehyde・ケトン ketone
    1. アルコール: [基本肪族炭化水素名= X] + ol
      methanol, ethanol, CH3CH(OH)CH3 2-propanol, 3-penten-2-ol, 4-hexen-1-ol
      -OHを2(3)個持つアルコール: X + diol (triol)
    2. アルデヒド: X + al
    3. ケトン: X + one → カルボニル基(>C=O)を2個持つケトン: X + dione
  4. カルボン酸 acid・エステル ester
    1. カルボン酸(カルボキシル基-COOH): X + oic acid
      CH3CH2CH2COOH butanoic acid, hexanoic acid, 3-butenoic acid, 2-octenoic acid
      カルボキシル基を2個持つ酸: X + dioic acid → hexanedioic acid, octamedioic acid
    2. エステル: [アルコール側の基の名前] + X + oate → methyl hexanoate, butyl hexanoate, methyl octanoate
  5. 環状炭化水素: cyclo- + X → ヘテロ環化合物 pyridine, furan, thiophene, etc.
  6. 二重結合を含む最長の鎖 = 母核
    CH3[6]-CH2[5]-CH2[4]-CH[3]-CH2-CH2-CH3
    _________________ |
    _________________CH[2]=CH2[1]
  7. 母核名: alkane → alkene
    Ex. CH2=CH2 ethene, CH3-CH=CH2 propene
    CH3[4]-CH2[3]-CH[2]=CH2[1] butene
    CH3[4]-CH[3]=CH[2]-CH3[1] butene
  8. 炭素番号のつけ方: 2重結合の炭素を小にする
  9. 2重結合の位置の表示: 2重結合の第1炭素で表わす
    CH3-CH2-CH=CH2 (1-butene)
    CH3-CH=CH-CH3 (2-butene)
  10. 置換基の位置、置換基名の順序はalkaneと同じ
    CH3-CH(CH3)-CH=CH2 (3-methyl-1-butane)
    CH3-CH2-CH - C[3]H-C[4]H2-C[5]H2-C[6]H2-C[7]H3
    ________ |___ |
    ________CH3 C[2]H=C[1]H2
    → 3-(1-methylpropyl)-1-heptane = 3-sec-butyl-1-1heptane (trivial name, 慣用名)

    Ex. trivial names:
    CH2=CH2 ethylene
    CH3-CH=CH2 propylene
    CH3-C(CH3)=CH2 isobutylene
    CH2=CH- rimyl group

ケトン ketone: R-C(=O)-R'
アセトフェノン acetophenone ⊂ 芳香族ケトン

= 1-フェニルエタノン (1-phenylethanone-1one), IUPAC
acetophenone C8H8O, MW = 120.15
常温で無色液体 (融点 19.65°C)
利用: 香料(オレンジ花に似た芳香 vs 神谷さんにもらったのを嗅ぐと子供の頃の記憶が蘇る人工香料たっぷりのメロンパンのような)

飽和炭化水素 (saturated hydrocarbon)


アルカン alkane

製法
1) 脱炭酸法: 無水カルボン酸ナトリウムと固体水酸化ナトリウムを混合・加熱分解

R-COONa + NaOH → R-H + Na2CO3, R: アルキル基

CH3COONa (酢酸ナトリウム) + NaOH → CH4 + Na2CO3
CH3CH2CH2COONa (酪酸ナトリウム) + NaOH →

CH3CH2CH3 + Na2CO3

2. 熱分解 (クラッキング)

CH3(CH2)6CH4 → [500°C, 25-70 atm] →

CH3(CH2)2CH3 (ブタン) + CH2=C(CH3)2 (2-メチルプロペン)

↳ CH4 (メタン) + CH3CH=CH2 (プロピレン)

物理的性質
1. 溶解度 (H2O g/100 ml)
電気陰性度 C = 2.5, H = 2.1 → 極性殆どない → 水(極性溶媒)に不溶

Ex. CH4: 電子の偏りがない

溶解度: 多 CH4 (0.025) > C2H6 > C3H8 > C4H10 > C5H12 > C6H14 少 (Cp. alcohol 溶解度 -OHは親水性)

H-O···H-O···H-O···H-···
__ |____ |____ |
__H___ H____H
____↑ 会合: 入り込めない分子の大きさ
CH3OH, C2H5OH, C3H7OH___
C4H9OH_________________8.3
C5H11OH_________________2.6
C6H13OH_________________< 1

2. 立体構造 conformation: 自由回転, CWXY: 異性体はない, 一重結合(σ結合は自由に回転する)

例外: alkane → 2つが衝突し回転不能

alkane

エタン ethane CH3-CH3 → Neumanの投影法(1955)
65, 67, 69: ねじれ形立体配座 staggered conformation
66, 68, 70: 重なり形立体配座 eclipsed conformation
Van der Waals半径: PV = nRT (ideal gas)
→ (P + v2a/v2)(Vnb) = nRT (real gas)
Ex. H 1.2 Å, N 1.5, P 1.9, O 1.4, S 1.85, F 1.35, Cl 1.80, Br 1.95, I 2.15, CH3 2.0, C6H6 1.85

alkane ねじれ形: 安定 = 手前と奥のHの距離が最も短い
重なり形: 不安定 = 完全な free rotation とは言えない
ねじれ形立体配座

71 = trans or anti形, 73, 75 = gauche形

all trans形も安定(ジグザグ形)
液体程度まで回転運動するが、固体では回転運動殆どしない

CH3-CH2-CH3 → CH3-CH=CH2 → (-CH(CH3)-CH2)n
___________熱解___________重合

alkane アイソタッチ型(微視的): この反撥は避けられないので自然に捩れ生じる
→ ヘリックス型(Helix structure, 巨視的): 全体でコイル型螺旋系

微視的 = all trans型/巨視的 = Helix構造 - 全体として伸び縮みし易い (Cf. アミノ酸: L型が生物)
重合させ蛋白質を作るとHelix構造をとる。高分子化合物はHelix構造を取る傾向強い

3. 反応性: アルカンは反応性に乏しい → 高温・高圧・強力試薬
燃焼(酸化)

完全燃焼: CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O(l) + 891 kJ ⇔
不完全燃焼: CH4 + O2 → C(煤) + 2H2O

ハロゲン化 (ラジカル置換反応、連鎖反応)

第1段階 Cl-Cl → 2Cl· (光分解) →
第2段階 Cl· + CH4 → HCl + CH3· →
第3段階 CH3 + Cl-Cl → CH3Cl (chloromethane) + Cl%middot;

脂肪族環状炭化水素
= cyclic aliphatic hydrocarbon or alicyclic hydrocarbon (シクロアルカン), CnH2n (n ≥ 3)
1. 環式化合物: 単結合は自由回転不可能
2. 2種の置換体のあるものは異性体存在 → cis, transを必ず明記

alkane alkane

a) cis-1,2 dimethyl cyclopropane
b) trans-1,2 dimethyl cyclopropane
c) cis-1,3 dimethyl cyclopropane
d) trans-1-ethyl-3-methyl cyclopantane

Ex. HOCOCH=CHCOOH: シス型 = マレイン酸, トランス型 = フマル酸

環状化合物の形

alkane
↓ [同一平面とは限らない]
Ex. cyclohexaneの形態
alkane
椅子型chair form____舟型boat form

sp2-like sp3 = 109.5

Neumann投影法で見る →

Chair form = 1-2, 2-3, 3-4, 4-5, 5-6, 6-1 (全てgauche型)
Boat form = 2-3, 6-5: 重なり型(1-2, 3-4, 4-5, 5-1: gauche型)
alkane
chair form______boat form

エネルギー差 = boat – chair

= (2 × 重なり形 + 4 × gauche形) - (6 × 重なり形)
≈ 2(重なり形 - gauche形) = 2(5~6 - 0.8) = 10~11 Kcal

→ chair formの方が安定: 存在比 = (chair form):(boat form) = 1000:1

Ex. methylcyclohexane
alkane alkane alkane
▂▂▂に対し垂直に出るものをaxial
平行に出るものを equatorial (赤道の)

反転繰り返しchair form, boat formになっても必ずaxial, equatorialがある
↔ 上下関係(手前・奥)は変わらなくともaxial, equatorial関係は変わる

alkane

methylはいずれもtransの関係にある

alkane

→ axialとequatorialの2種はエネルギー差存在 → 1.6 Kcal位の差が同じchair armのものでも存在
axial - equatorial = 1.6-1.8 Kcal 計算値(理論値): 1.6, 実測値: 1.8

Ex. 0. gulcose

alkane
equatorial (cis) axial (trans)

Ex. 1. cis-1,3 dimethylcyclohexane / trans-1,3 dimethylcyclohexane

現実: この部分が反転 → cis, transを考える必要なし alkane
benzene → [Cl2/ultraviolet] → bhc

Ex. 2. Benzanehexachloride (BHC, C6H6Cl6)

C-Cl間に注目
alkaneγ体(殺虫効果)
alkane
alkane
全Clがequatorial位置にあるものが極めて安定(蓄積性が高い)

不飽和炭化水素 (unsaturated hydrocarbon)


alkane
sp2混成軌道
CH2=CH2

アルケンalkene, olefin
結合エネルギー: C-C: 83 kcal, C=C: 145 kcal
π: 62 kcal → π結合の結合力大きいためC=Cは回転していない
同属体

n = 3: CH3-CH=CH2
n = 4: CH3-CH2-CH=CH2, CH3-CH=CH-CH3, CH3-C(CH3)-CH2
脱水生成: =CH-C(-OH)= + H+ → =CH-C(OH2+)- → =CH-C+= + H2O → =C=C= + H+ + H2O

脱水はより水素の少ない方から生じる
CH3-C(OH)H-CH2-CH3 [+ conc.H2SO4] → CH3-CH=CH-CH3 + CH2=CH-CH2-CH3

Def. 付加反応 addition reaction: 2種類の化合物が直接結合し、新化合物を生成する反応 (二重・三重結合の特徴) →

二重結合: 1 mol付加
三重結合: 2 mol付加
A + B → C
水素付加 (触媒に白金Pt、パラジウム、ニッケル)

CH3CH=CH2 + H2 → CH3CH2CH3, CH3C≡CH + 2H2 → CH3CH2CH3

ハロゲン付加 → 2, 3重結合検出に利用

Q. エチレン・エタン混合気体 1.12 l (0°C, 1 atm) → 臭素水に通す → 6.4 gの臭素が付加 (Br = 80)
(1) 反応式、生成物の構造式、異性体の構造式を書け。(2) 6.4 gの臭素は何モルか。(3) 臭素と反応した物質は何モルか。(4) もとの混合気体中の両気体のモル数を求めよ。(5) もとの混合気体の各物質の質量を求めよ。(6) もとの混合気体に触媒を用いて水素を付加させる時、0°C, 1 atmで何lの水素が反応するか
A.   (1) エタンC2H6は飽和炭化水素なので臭素と反応しない

∴ C2H4 + Br2 → C2H4Br
生成物 CH2Br·CH2Br. 異性体 CH3·CHBr2

(2) Br2 = 160 ∴ 160 g = 1 mol ∴ 6.4 g = 6.4/160 mol ⇒ 0.040 mol
(3) (1), (2)より0.040 mol
(4) エチレンは0.040 mol

0°C, 1 atm, 1.12 lの気体 → 1.12/22.4 = 0.050 mol
∴ エタンは 0.050 - 0.040 = 0.010 mol

(5) エタン = C2H6 = 30 ∴ 30 × 0.01 = 0.30 g
     エチレン = C2H4 = 28 ∴ 28 × 0.04 = 1.12 g
(6) エチレンのみ付加する: C2H4 + H2 → C2H6

付加する水素はエチレンと同じモル数 ∴ 22.4 × 0.040 = 0.90 l

Def. 縮合反応 condensing reaction: 低分子量の物質が外れることにより2分子から1分子が生成する反応

Ex. A + B → C + H2O

Def. 重合反応 polymerizing reaction: 分子量小さい分子が結合し、高分子化合物を生成する反応

モノマー(単量体) monomer → ポリマー(重合体) polymer
付加重合 addition polymerization: 付加反応によって生じる重合 Ex. 3CH≡CH → C6H6
縮重合 condensation polymerization: 縮合反応によって生じる重合

ポリマー(重合体) polymer: モノマーが多数結合した高分子
オリゴマー oligomer: 比較的少数のモノマーが結合した重合体

モノマーの数 ⇒ ダイマー(二量体) dimer、トリマー(三量体) trimer、テトラマー(四量体) tetramer …

立体化学 (stereochemistry)


不斉炭素(不整炭素): sp3混成である炭素原子に結合する4つの原子(団)が全て異なる炭素
1) CH2-CH(OH)-COOH
2) HOOC-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH: 鏡像異性体 → 生理作用にも関連
3) ベンゼンヘキサクロライドbenzene hexacloreid (BHC): 9種存在(内2体に殺虫効果あり体内蓄積性がある)

stereochemistry + 3H2stereochemistry
Benzene_____シクロヘキサン: 船形・箱形
stereochemistry + 3Cl2stereochemistry BHC

4) アルカン alkane: gas-liquid-solid

低分子-高分子
筋肉等で分子レベルでの伸縮が問題となる
CH3-CH2-CH3: chucking螺旋を巻きコイル状になるので伸縮可能

電子論

1)___C2H5-OH___アルコール__中性___-OH結合型_sp3
____C6H5-OH___フェノール___弱酸性___________sp2
____CH3-COOH_酢酸_______酸性_____________sp2

酢酸はカルボニル化合物 → 全てpH異なるがこの説明は電子論で可能

2) o-, m-, p-の3種の異性体の存在が予測されるがm-の位置しかニトロ化されない → 共鳴理論(電子論)

stereochemistry
C2H5OH vs C6H5OH: 性質が異なる

3)__stereochemistry

立体異性体

異性体 isomer

構造異性体 structural-isomer
立体異性体 stereo-isomer

光学異性体 optical-isomer
幾何異性体 geometric-isomer

1) 光学異性体(光学正四面体)
= 鏡像関係にある異性体

stereochemistry

van't Hoff JH (1879.9, 22歳, 1852-1911) 1901 First Nobel Prize (cf. Le Bel, 1879.11, 27歳)

一般式 CW2X2 (or CW2XY): 炭素につく置換基のうち2種が同じなら異性体存在しない
stereochemistry

ケクレ: これらの物質に異性体ない

→ alkaneは正四面体構造と予測
一般式 CWXYZ [C: 不斉炭素 asymmetric carbon]

→ 対称体 enantiomer antipode

L体D体決定法
→ 観察方法: stereochemistry的に立体配置configurationを調べる
Def. 光学活性: 光の振動面を旋回させる性質 →
Def. 偏光度: 偏光面の回転角度

光 → レンズ → 偏光プリズム[光路] → プリズム → レンズ → 目
→ → ◯ → → → ☐ → → → → → → ◇ → → → ◎ → → ☺ 覗く
光路中に調べる溶液が入っている(この間で偏光を飛ばす) → 応用: 糖度計

stereochemistry Def. 比偏光(旋光)度 specific rotation [α]tD
= 測定した旋光度(°)/{管長(dm) × 濃度(g/100 ml)}

t: 測定温度, D: ナトリウムD光線5893Å
偏光: 平面的な光

偏光面を施す: 光学活性 optical active → 施光性を調べる

右旋性(D型, dertravotatory): 偏光面を時計方向に回転 (時計回り clockwise rotation) → 右旋糖 dextrose
左旋性(L型, levorotatory): 偏光面を逆時計方向に回転 (反時計回り)

(以前) グリセルアルデハイド値を基準にL型D型決定 → (今)旋光性だけで型は決定できないことが判明

合成品(一般)- d:l = 1:1
光学的不活性(±)と表わす = ラセミ体

Ex. グリセルアルデハイド → Fisher投影

stereochemistry
L型: 左 -8.7___D型: 右 +8.7

Ex. 乳酸: sp2混成軌道

stereochemistry

Ex. グルタミン酸

stereochemistry

異性体は化学的性質が全く同じだが生理作用異なる 対称体関係:
  1. 絶対的配置は全く逆で相対的に同じ
  2. 物理的性質(沸点・融点・溶解度等)同
  3. 化学的性質(反応性)殆ど同
2) 幾何異性体 geometric isomer
a) 二重結合による異性体

Ex. 2-butene: CH3-CH=CH-CH3 → 3種ある

stereochemistry
cis-2-butene 沸点3.7°C_trans-2-butene 沸点0.88°C

b) 環化化合物: 環部は回転し得ない

stereochemistry

c) アレン(分子不斉)

sp2, sp: 対称性存在 → 不斉炭素はないが分子全体として実像と虚像の関係の異性体が存在
stereochemistry
stereochemistry

Nills & Maifland (1935)

d酸: m.p.159°C [α]D = +437°C ↔ l酸: m.p. 139°C, -437°C
stereochemistry
混合再結晶(ラセミ体) m.p. 244°C

Ex.

stereochemistry

[不斉炭素が2つある場合の化合物] Z'Y'X'-C-C-XYZ
原則: 不斉炭素がn個の場合2n個の異性体存在 → 対称体の関係が成立している分けではない
diastomer: 立体異性体以外の関係のもの

Ex. 酒石酸 HOOC-CH(OH)-CH(OH)-COOH: 異性体2n-1個存在

炭素以外の不斉原子

stereochemistry
7N: 1s 2s 2p - 実際には不斉窒素は存在しない
窒素の2p軌道は反転を繰り返し(そのため要するエネルギーは6 kcal/ml)、異性体は理論上存在
⇔ 常時flipのため常にラセミ化しており、実測できず存在しないと考えて良い
但し[NR1R2R3]+X-: 4価のN = sp3軌道
→ 反転はsp3混成軌道では不可能であり光学異性体を考える。同様P, S, Si等にも不斉元素は考えられる

[ラセミ体分割] (+) or d: (-) or l = 1:1
  1. ラセミ混合物(特殊例): (+)-(+)親和力大 → (+)同志結晶格子 / (–)-(–)親和力大 → (–)同士結晶格子
  2. ラセミ化合物(一般的): (+)-(–)親和力大/(–)-(+)親和力大 → 新分子化合物(±)体でき、それが単位となり格子形成
  3. ラセミ固溶体: (+)-(+) or (-)と同じ親和力 / (-)-(+) or (-)と同じ親和力 → 無秩序に格子を作る
微生物の選択的作用 a) Pastur L (1822-1895)

ブドウ糖 → l(-)-酒石酸
青カビ ∵ 青カビ; d-酒石酸のみ同化する(l-酒石酸は天然に非存在)
酒石酸: (+)-酒石酸, メソ酒石酸, ブドウ酸

b) Greenstein JP (1942)

stereochemistry
(±)-アラニン_アセチル化__脱アセチル酵素(加水分解酵素)
stereochemistry
L(or +)-alanine = エタノール不溶 ↔ D(or -)-alanine = 可溶
脱アセチル酵素抽出: 豚腎臓すり潰し、遠心分離を行い透析

→ セロハン内に残る成分が加水分解酵素

光学分割 optical resolution
= 光学異性体の分離
1) 酵素反応

(±)-C6H5-CH(OH)-CH3 メチルフェニルカルビノール

brucine
l-ブルシン

stereochemistry

→ (CH3CO)2O (アセチル化), 触媒 l-ブルシン →

stereochemistry
(-)-メチルフェニルカルビノールアセテート

天然の酵素反応は更に立体特異反応と考えられる

酸あるいは塩基触媒

stereochemistry

stereochemistry
酵素反応が重要

I_____________II
stereochemistry
大-中_________大-中
大-小_________大-小
中-大_________中-大
中-中_________中-小
小-大_________小-大
小-小_________小-中

2) 機械的分割: 特殊な方法(9例しかない)

1848 Pastur L

酒石: (+)-硝酸塩カリウム塩, メソ酒石酸カリウム塩, ブドウ酸カリウム塩, (±)-酒石酸ナトリウム・アンモニウム塩 (ブドウ酸)
NaNH4·C4H4O6·H2O
↓ 再結晶
< 280°C = ラセミ混合物 ↔ > 280°C = ラセミ化合物
NaNH4·C4H4O6·4H2O NaNH4·C4H4O6·H2O
→ 対称の結晶: (+)同志で格子 / (-)同志で格子 → ピンセットで分離

3) 化学的方法(一般的方法)

quinine
キニーネ C20H24N2O2
*: 不斉炭素

天然 Pastur L
(+)-酒石酸
(-)-酒石酸
メソ酒石酸: ここまででl-酒石酸を得た。l-酒石酸の性質を調べる(cp. d-酒石酸) (±)-R·COOH + l'-塩基

[(+)-酸·l'-塩基]塩 (1)
[(-)-酸·l'-塩基]塩 (2)

diastomer: 分離可能 ∵対称性が失われている

H+ or OH-
1) (+)-酸 + l'-塩基
2) (-)-酸 + l'-塩基

ベンゼン (benzene)


C6H6, ベンゾール (独)

ベンゼンの構造と芳香族化合物

命名
脂肪族
芳香族 (不飽和度高、安定)

benzene
Kekulé's
model

Kekuléの推定(1865)
C6H6__1) 1置換体 = 1種, 2置換体 = 3種, 3置換体 = 3種
______ 2) 条件によって付加反応を示す
以上を基にbenzene構造を推定し、共鳴理論により実証された

benzene
共鳴平衡(1872)

Benzeneの表わし方
1) Renonance概念導入

1993 Pouling: 共鳴法or原子価結合法: "化学結合論 The nature of chemical bond"
a) 構造式1-5を重ねあわせた状態で存在 = 1-5が共鳴resonate

benzene

1, 2: Kekulé’s benzene, 3-5: Städelen-Wiehelhaus’s benzene

b) 極限構造式 1-5
c) 共鳴混成体 C6H6
d) (共鳴を考えるときの)原則

  1. 各極限構造式間においては多原子核の位置は同一あるいは酷似
  2. 同様の原子対と非共有電子対を持つ
  3. 寄与contribution: エネルギー状態の接近したもの同志 = 大
    → 1, 2: high contribution, 3-5: low contribution
  4. 共鳴混成体の持つエネルギー: 極限構造に比べて低い(共鳴エネルギー)
benzene 非共鳴エネルギーの算出: 極限

Ex. C6H6 → 共鳴混成 36 kcal = 共鳴エネルギー
Cf. RCH=CH2 → R·CH2-CH3 + 30.3 kcal (mean) → CH3-CH2-CH2···CH=CH2-CH2 + 2H2 + 60.8 kcal

Cf. CH2=CH-CH=CH2 → CH3-CH2-CH2-CH3 + 57.1 kcal

差3.7 kcal → Def. 非局在化エネルギー(共鳴エネルギー): この3.7 kcal

環状系共役系: 異常安定化, aromatic: 巨大なものほど大きなkcal値

benzene-OH benzene-NH2 benzene benzene
50 kcal______51kcal______71kcal_______アントラセン 104kcal

2) 電子軌道法(分子軌道法) (Bohn 1913): → 1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 3d

X-ray (1934) → benzeneはsp2の正六角形(1.40Å) → benzene

3) 芳香性に関するHückelの規則(1931)

シクロオクタテトラエン: 2重結合局在化, 不飽和性
アヌレン: 同一平面、非局在化、芳香性
benzene
フラン furan___ピロール pyrrole_チオフェンthiophene_イミダゾールimidazole
(4n + 2)個

n =______0___1___2___3
π電子数__2___6___8__18

非共有電子対(孤立電子対) lone pair, lp: 不飽和結合に結合
benzene

4) 共鳴寄与構造式の書き方

Ex. H-Cl: H-Cl ⇔ H+ + Cl-
Ex. CO32-
benzene

5) 一置換benzeneの共鳴寄与構造式
a) 電子をbenzene環に押し出す

benzene
a) Clの共鳴効果
benzene
b) 電気陰性度 Ex. Cl-Cl 1.75Å, Cl=Cl 1.57Å
benzene
これらはPaulingの考え出した超共役hyper-conjunctionでありσ結合の共鳴への関与を示唆
benzene アルキル基, benzene ハロゲン等

b) Benzeneの密度を小にする(電子を引き付ける)

benzene
同様に塩基性の比較を電子論で考える

芳香族置換反応
親電子試薬による

alipathic -CH-CH- → [付加反応] → -CH(E)-CH(X)- (E = +, X = -)
置換反応の実際の進み方
benzene

a) ハロゲン化(Al, Fe塩, 6陽子を用いる)

benzene
Fairehrather (1941)
benzene + RCl → [AlCl] → benzene + AlCl4 → [H+] → HCl↑ + AlCl3

(75%放射性)

b) アルキル化 (Friedal-Craft法)

benzene → R(+) + AlCl4(+) benzene + R → benzene
1) di, dri置換がある: mons; 大量のbenzeneを用いる
2) CH3Cl → [AlCl3] → CH3(+)

CH3-CH2Cl → CH3CH2(+)
CH3-CH2-CH2Cl → CH3-CH2-CH2(+)

Hの転移 → CH3-C(+)H-CH3

CH3-CH2-CH2-CH2Cl → CH3-CH2-CH2-CH2(+)

→ CH3-CH2-C(+)H-CH3

3) alcohol or alkaneを用いる(H2SO4, H3PO4, etc.)

CH2=CH2 + [H+] → CH3-CH2(+)
CH3-CH=CH2 + [H+] → CH3-C(+)H-CH3

クメン法

CH3(CH3)-CHOH + [H+] → CH3(C(+)H3)-CH + H2O

c) アシル化(R-C(=O)- アシル基)

R-COOH → [PCl2 or SCl2] → R·COCl → [AlCl3] → R·CO(+) + AlCl4
benzene
NH2-NH2 ヒドラジン

d) ニトロ化(-HNO3, -HSO4)

benzenenitrorium ion
HNO3 + HClO4 > HNO3 + H2SO4

e) スルホン化sulfonation

i) benzene
ii) 発煙硫酸(H2SO4 + SO3)
___benzene

f) 置換benzeneの配向性

benzene-X

X= -NR2, -OH, -Cl: Alkyl(活性基); o, p-配向性
E(+)試薬: 電溶度大___X= -COR, -COOR, -C=N (不活性基); m-配向性

X:_______-OH__________________-NO2
反応_____nitro化________________nitro化
生成物___o-nitrophenol_m-___p-____o-___m-___p-
生成比率_53%________0%__47%__5%_94%__1%

o:p比: X = -CL: スルホン化 = 0:100, ブロム化 = 11:87 (m, 2), クロール化 = 35:55
立体的要因によりある程度の差がある

縮合系多環芳香族化合物 (condensation-typed polyaromatic compound)


(IUPAC規約)
benzene benzene benzene
ナフタリン______アントラセン__________フェナトレン(染料)
benzene ジヒドロアントラセン (Hydro-, 水素添加)
HBr: peptide脱離に利用, ハロゲン化

benzene 1,2,3,4 tetrahydronaphtaline(テトラリン)

アレン allene
物理的性質
  1. 不完全燃焼 - 活性炭等の燃料
  2. 水に不溶: Benzene-溶, water-不溶
  3. 融解点 melting point・沸点 boiling point: Benzene; m.p. = 5.5C, b.p. 80°C
  4. ファンデルワールス力: 分子間 - 水素結合ない: m.p., b.p.の高い理由
分光学的性質
A. 赤外線IR

1500 or 1800 cm-1: 芳香環 C-C 伸縮非常に強い(very strong, v.s.)
3030 cm-1: 芳香環 C-Hの伸縮が強いstrong
900-800 cm-1: 置換基の種類と数に関与する(芳香族独特), v.s.

B. 可視紫外線吸収スペクトル (電子線スペクトル, UV)

分子吸光係数高い吸収スペクトル与える → 200/250-270 nm: 強い吸収示す
benzene______ benzene benzene benzene
λmax = 198 nm__880 mm___244___________234
benzene benzene benzene benzene
244________226____250__________230 (飽和)
benzene
295 (不飽和)
→ 大きな差がない: Benzene環の特徴
benzene314 benzene380
benzene480

芳香族炭化水素の反応 (cp. 求核置換-極性基の反応)

I(-), Xδ(-)-Yδ(+)_____________(-)が直鎖型炭化水素等と反応
_______________________ SN1 (1st step) - SN2 (2nd step)
親電子置換: I(+), Xδ(+)-Yδ(-)__(+)がbenzene環と反応

親電子芳香核置換

aroma-R ⇔ e-

芳香族の反応: 置換・付加・酸化: 親電子反応が最多
-Rの性質でo, m, p位の配位結合部が決まる

ハロゲン化 / ニトロ化 / スルホン化 / アルキル化 / アシル化

マルコニコフの付加反応の法則による ex. 脂肪族: Benzene環は付加反応をし難い
一般に置換基の性質によることが多い
aroma
反応中間体では電子荷重を分け合い安定を求める
共鳴, イオンの非局在化 → 芳香族化合物の安定化

置換試薬の本性
Ex. ニトロ化

aroma
_________HNO3: H+, NO3-
HNO3 + 2H2SO4 ⇔ NO2(+) + H3O(+) + 2HSO4(-)
___________ニトロニウムイオン
C6H5COCl + AgNO3 + CH3CN → C6H5CO-ONO2 (M.A.) → NO2(+)
(CH3CO)O + HNO3 → CH3-CO-ONO2 (M.A.) ⇒ NO2(+)

ニトロニウムイオンの得方: この手法により一見ニトロ化できないBenzeneがニトロ化可能になる

_______→ [Br2, FeB3] → benzene-Br + HBr ハロゲン化

_______→ [Cl2, FeCl] → benzene-Cl + HCl ハロゲン化

_______→ [D2SO4] → benzene-D

benzene_→ [HOCl, H+, Ag+] → aroma ハロゲン化

_______→ [CH3CH2Cl(RX), AlCl3] → benzene-CHCH3 アルキル化

_______→ [CH3CH=CH2] → benzene-CH(CH3)2 アルキル化

_______→ [H3PO4, CH3COCl, AlCl3] → benzene-COCH3 アシル化

A. ナフタリン (naphthaline)
benzene naphthaline

α-置換
naphthaline
___________________エネルギー上優勢
β-置換
naphthaline

B. フェナトレン (phenanthrene, C14H10)
phenanthrene

スルホン化               ニトロ化 (速度比)
    1     8% 10, 13%  1  /300  10/490
    2   18%                2   /42
    3   18%                3   /300
    4     0%                4   /29
9-10の結合はalkeneと同程度の反応性を示す(付加反応もありうる)

C. アントラセン (anthracene, C14H10)
9, 10の反応基はalkeneに近い anthracene
Areneの付加反応: 通常の方法では非常に困難

benzene + 3H2 anthracene

置換基がついていると付加に有利

anthracene
9, 10 ジヒドロアントラセン(アントラセンも同様)
benzene + anthracene
9, 10ジヒドロフェナトレン
anthracene

酸化反応: 酸化しにくい。官能基の保護基として利用

CrO3, KMnO4, H2O2, OSO4(酸化オスミウム)等一般的酸化試薬には反応しない
元素分析
benzene oxidation
________________________無水オレイン酸
aroma oxidation
________________________無水フマル酸
oxidation
オゾン酸化: 脂肪のtail等の不飽和基の位置決定に使われる

____benzene

__1. O2________ O=CH___O=C-C=O
-------------------→__|
__2. Zn, H2O____O=CH___O=C-C=O

芳香族炭化水素の原料raw materialと用途
A. 石炭からの芳香族 cp. 石油: normal, cyclic

グラファイト状。石炭の還流。N, OH等のついたものが石炭中には多い

B. 石油からの芳香族 - 有機工業原料として有利

aroma → これを変える -H → benzene
aroma

非ベンゼン系芳香族化合物
A. アズレン: 青色, 5因環及び7因環

aroma
酸化還元: 電子局在の応用
aroma
_________blue_____________アズレニウムイオン 橙黄色

B. シクロオクタテトラエン

aroma共鳴せず → 立体構造はバスタブ型 → aroma
non-aromatic(非芳香族性)、非ベンゼン性
合成方法
4HC≡CH → [Ni(CN)2] →

aroma

C. アヌレン (annulene): 同一平面、非局在化、芳香性 aroma

共役環状ポリエン (cf. ブタジエン等の範疇)
[10]アヌレン: 10 = 環を構成する炭素番号
(合成方法) 2RC≡CH → [CuII (触媒), ピリジン中] → RC≡C-C≡CR

Ex. 3HC≡C-CH2-CH2-C≡CH) (1, 5-ヘキサジン) → [CuII(触媒), ピリジン中]

aroma

D. 遷移金属の錯体

aroma

aroma

シグママンタジエン: π錯体, 非常に安定な橙色の結晶, m.p. 173°C: 金属カルボニルとの錯体

芳香族ハロゲン化合物

親族芳香族置換 SN1, SN2 (cf. 求核置換)

Ex. aroma
__________________↘ 非常に反応性高い vs =C-X: 反応性 - 安定

ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジルに比べて低い

C-Brの解離エネルギー

benzene-Br__ CH3-CH2Br__ benzene-CH2Br__ CH2=CHCH2-Br
71 kcal/mol_____65________51____________46

ベンジル陽イオンの安定化

aroma


[法律, 症例]

ダイオキシン類 dioxins

biphenyl-biphenyl
Biphenyl

ビフェニル biphenyl (Ph2, C12H10, C6H5-C6H5)

mw = 154.2
2つのフェニル基が単結合で共有結合したもの

ダイオキシン類 (ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン, PCDD)
ビフェニル biphenyl の水素が塩素に置換されたもの =

ポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (PCDDs) +
ポリクロロジベンゾフラン (PCDFs) +
コプラナーポリクロロビフェニル (Co-PCB)

dioxin環境ホルモン
PCB (ポリ塩化ビフェニル)
ベンゼン環が2つ結合した塩素を含む有機化合物

PCB
不燃性合成化学物質 + 化学的安定物質 + 高熱安定性
→ 建築材、プラスチック等、絶緑油、潤滑油、ノーカーボン紙、インク等、様々な消費財利用

炭水化物 (carbohydrate)


糖質 ≈ 炭水化物
一般式
Cm(H2O)n: 多価アルコールのアルデヒドやケトン誘導体、及び近縁な誘導体を含む物質群

(CH2O)n, Cn(H2O)n: Oが少ない、Nが多い等、当てはまらないものある
DNA deoxyribonucleic acid (deoxyribose), RNA ribonucleic acid
polyhydroxy aldehyde: -OH多い

基本骨格
単糖: 単糖がグリコシド結合により縮合したものを単糖数により2糖・3糖・多糖等に分類
単糖類

五単糖 (pentose): C5H10O5, 炭素原子5個含む。順にC1, C2, …, C5と番号
六単糖 (hexose): C6H12O6

二糖類 (12), C12H22O11: ショ糖 succaride、麦芽糖、乳糖
多糖類 (6n), (C6H10O5)n: デンプン、セルロース、グリコーゲン、ペクチン、デキストリン

オリゴ糖: 糖鎖中で結合している単糖が少ないもの(通常 < 15個)

機能
  1. 単糖のリン酸エステル = エネルギー代謝基質
  2. デンプン →→→ CO2 + H2O
  3. 生体膜構造形成
  4. 貯蔵エネルギー Ex. グリコーゲン glycogen

(sugar)


単糖類

ウロン酸
単糖を酸化し得た誘導体の中で、主鎖末端ヒドロキシメチル基(-CH2OH)がカルボキシル基(-CO2H)に変わったカルボン酸

D-ガラクトロン酸 (D-galacturonic acid)

chemical
α-D-galacturonic acid

D-グルクロン酸
4-o-メチル-L-グルクロン酸

フコース fucose
C6H12O5

ペプチド状物質peptic substance: Gal. Aが束になったもの(polymer)
グリコシド結合: 水のとれる結合

メチルペントース: L-rhamanose (6-deoxy-L-mannose)
L-フコース L-fucose (6-deoxy-2-galactose)
五炭糖 (pentose): C5H10O5
Ribose, Deoxyribose, D-xylose
L-arabinose

arabinose
_______________________α-type__β-type
自然界でL体の方が多い (他の単棟はD型が多い)

六炭糖 (hexose): C6H12O6
ブトウ糖 D-glucose (Glu), D-galactose (Gal), D-mannose (Man)
L-ラムノース                                           L-フコース
(L-phamnose or 6-deoxy-L-mannose)  (L-fucose or 6-deoxy-L-galactose)

rhamnose                                  fucose

1) リン酸エステル(-PO2(OH)2, リン酸基)の形で存在。ATPを合成する

glycogen, starch → glucose-1-phosphate, glucose-6-phsphate
glucoseは細胞膜を自由に出入りするがリン酸エステルになると外に出られなくなり蓄積する

2) 光合成で生まれるもの

______ OH_OH
CHO ━╋━╋━ CH2OH__D-Erythrose
________________OH
CHO-C(=O) ━╋━╋━ CH2OH__D-Xylulose
____________OH
__________________OH
CH2OH-C(=O) ━╋━╋━ CH2OH__D-Ribulose
______________OH
__________________OH OH_OH
CH2OH-C(=O) ━╋━╋━╋━╋━ CH2OH__D-Sedaheptalose
______________OH

3) DNA: -OH, -H 遺伝子伝達のための違い

_____ H__ H___H________________ H__ H___H
CHO ─┼──┼──┼── CH2OH__CHO ─┼──┼──┼── CH2OH
_____ OH_ OH_ OH_______________H__ OH_ OH
D-ribose___________________D-2-deoxyribose

オリゴ糖: グリコシド結合(糖鎖の結合) -C(C)OCH3
グルコース (ブドウ糖) glucose
= デキストロース (dextrose), Glc, Tz
α型, β

glucoseglucose
アセトアルデヒド型______________アセタール型: 環状型をなす
____________________________*: 新しい不斉炭素
glucose

α型、β型ともにピラノーズ型: エネルギー差により安定なaxial型(β型)の方が溶液にするとグルコース全体で自然と増える
旋光性は単なる和: どれ位のものが混じっているか: 52.7 = 112.2a + 18.7(1 - a)

α-D-glucose:β-D-glucose = 1:2 - 安定
R-CH=O + 2CH3OH → R-CH(OCH3)2 [アセタール acetal]+ H2O
R-CHO + CH3OH → R-(OH)CH-OCH3 [ヘミアセタール hemiacetal]

Hemiacetal
環式ヘミ
アセタール

糖が環状をとった場合の化学的性質はヘミアセタール
glucose: アルデヒド型 → hemiacetal

sugar

ピラノーズ型: ピラン環を持つ

Pyran ピラン
_____OH_ H__ OH_OH
CHO─┼──┼──┼──┼─CH2OH
_____H___OH_H__ H___D-glucose (aldehyde-type)
_____H___OH_H__ H
CHO─┼──┼──┼──┼─CH2OH
_____OH_ H__ OH_OH__L-glucose

六炭糖: 不斉炭素を持つ

光学異性がある

                  4単糖   5単糖   6単糖
        Chiral      2       3       4
        異性体    22(4)   23(8)   24(16)
溶液中で一本鎖の状態で存在しているとは考えられない → 理由
1) 典型的なアルデヒド反応を示さない

R-CH=O + R'NH → RCH=NR' + H2O
R-CH=O + 2CH3OH → R-CH(OCH3)2 + H2O
glucose + C6H2NH2Glucose
glucose + CH3OH → Glucose

2) 変旋光

D-glucose
水再結晶(溶媒): [α]D20 = +112.2° (α-D-glucose)
酢酸再結晶 [α]D20 = +18.7° (β-D-glucose)
Glucose

→ 1), 2)から環状をしているのであろう
環が6角形である理由
    環の大きさ   5         6       3     7    4
    形成速度    5·104   8.5·102    6    14    1

安定性(熱力学的)

Sugar
pyran____________furan

α-D-glucopyranose, β-D-glucofuranose

グルコースは鎖状、環状(pyran型, furan型)等の混合状態で存在するが環状(中でもβ-型)が安定
Sugar
β-D-glucopyranose___β-D-glucofuranose
α-グルコースとβ-グルコースを水に溶かす
α:β = 38:62 (≈ 1:2)で平衡状態

Sugar

初速は鎖状の方が早いがしばらくすると安定し環状になる
Fischer

CH2OH(HCOH)4CH2OH → [NaH2, 還元]

→ CHO(HCOH)4CH2OH →

[Br2, 酸化] → COOH(HCOH)4CH2OH

二糖類(グルカン) disaccharide, glucan

Ex. trehalose, gentiobiose, lactose
Sugar 麦芽糖 maltose: 2つのα-glucose単位 → α-1,4-glucoside (α-1,4結合)

Sugar
-O-: α-グリコシド結合
潜在的なアルデヒドがある。鎖状になりうる

セロビオース cellobiose: 2つのβ-glucose単位 → β-1,4-glucoside (β-1,4結合) C12O22H11

Sugar
-O-: β-グリコシト結合

ショ糖 sucrose

Sugar

乳糖: β-D-galactose-α-D-glucose

Sugar

-CH3 (メチル基) → メチル化 methylation (methanolysis)

メチル基が(DNAに)つく現象
DNA: C → G配列(CpG部位)のC

メチル化 ↔ 非メチル化

[メカニズム] 水酸基による求核置換反応

→ R-OH + CH3-X → R-O-CH3 + HX

自由エネルギーfree energy
ペプチン質がゲルを決める要素

多糖類

ペプチド状物質 peptic substances
Sugar
Gal Aが束(ポリマー)polymerになったもの
デンプン starch
Sugar
amylose: amylopectin canyloseの枝分かれしたもの
homopolymer: 一つの糖がつながって出来ているもの
glycan(総称): glucan, mannan等
ペプチドグルカン peptideglycan
細胞壁
Sugar
Nアセチルグルコサミン / Nアセチルムラミン酸
↓ つながっている
L-Ala: CH3CH3CO-NH(HCCH3)-CO, D-Glu: NH-CH((CH2)2COOH)-CO
L-Lsy: NH-CH(CH2)24NH2)-CO, D-Alg: NH-CH(CH3)-COOH

ヒアルウロン酸: カニの甲羅やエビの殻に含まれる

SugarSugar
Nアセチルグルコサミン____グルコロン酸_______Nアセチルグルコサミン
Sugar
コンドロイチン酸
Sugar
ガラクトサミン: 南極の魚の血清、糖タンパク
Q. 以下に示すグルコースの鎖状構造を環状構造に書き直せ

               H     H     OH  H
HOH2C─┼──┼──┼──┼─CHO
               OH   OH  H    OH

カルボン酸 (carboxylic acid)


Def. 少なくとも一つのカルボキシ基(−COOH, -C(=O)OH or -CO2H)を有する有機酸
→ 一般式 R−COOH (R: 一価の官能基)
分類
脂肪酸: 鎖状炭化水素基(Ex. アルキル基)にカルボキシル基が結合したもの

飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸

芳香族カルボン酸: ベンゼン核にカルボキシル基が結合したもの

不飽和脂肪酸

C 構造(名称): m.p./b.p., 解離定数
1__= HCOOH (蟻酸): 8.4/100.5, 2.1 × 10-4 - 液体状態で会合(2量体)
2__= CH3COOH (酢酸): 16.7/118, 1.8 × 10-5 - 氷酢酸は純粋に近いもの
3__= CH3CH2COOH (プロピオン酸): -21.5/141.1 1.3 × 10-5
4__= CH3(CH2)2COOH (酪酸): -7.9/163.5 1.5 × 10-5
5__= CH3(CH2)3COOH (吉草酸): -34.5/186.5
16 = CH3(CH2)14COOH (パルミチン酸): 63/351
18 = CH3(CH2)16COOH (ステアリン酸): 69-72/376 - 常温で白色固体

HCOOH → [H2SO4, Heat] → CO + H2O
無水酢酸: 水に溶けると加水分解する (CH3CO)2O + H2O → 2CH3COOH

Q. CH3(CH2)16COOH (ステアリン酸)、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH (オレイン酸)、CH3(CH2)4(CH=CH-CH2)2(CH2)6COOH (リノール酸)は、炭素数の等しい脂肪酸である。各々の立体構造の特徴、融点の違いを述べよ
多価カルボン酸
m.p./b.p., 解離定数
琥珀酸: HOCO(CH2)2COOH = 185/235, 6.3 × 10-5, 2.5 × 10-5
酒石酸: HOCO-CH(OH)-CH(OH)-COOH = 170 m.p., ブドウ果実に豊富
リンゴ酸: HOCO-CH2-CH(OH)-COOH = 130.8 m.p., リンゴ・ブドウ果実
クエン酸: HOCO-CH2-C(OH)(COOH)-COOH = 100 m.p., レモン、ミカン、ウメの実

芳香族カルボン酸 aromatc carboxylic acid

ベンゼン環にカルボキシル基が直接結合した有機化合物

アミノ酸とタンパク質 (amino acids and proteisn)


アミノ酸 (amino acids)


Def. (s.l., 化学) アミノ酸: 1つの分子の中にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を持つ化合物

basic → アミノ基
__中央の炭素: 不斉炭素
→ カルボキシル基

Def. (s.s., 生化学) アミノ酸 = α-アミノ酸: NH2とCOOHが同じCにつくもの → タンパク質成分となるため

α-β-γ-アミノ酸: 順次隣のCに移るのでこう呼ばれる
β-γ-はタンパク質構成成分とはならない

R 側鎖: アミノ酸の性質(結合性、反応性等)を決める部分 - 表面の電荷を利用し水分子と結合

amino acid
リジン

天然アミノ酸 (natural amino acid, NAA)

1) 非極性アミノ酸
疎水性R基を持つアミノ酸。脂肪属アミノ酸及び芳香属アミノ酸とプロリン
光学異性体: 偏光プリズムを利用し発見。アミノ酸はグリシン(R=Hなので)を除くと光学異性体存在

1) グリシン (glycine, Gly, G), 2) アラニン alanine, Ala, A), 3) ロイシン (leusine, Leu, L), 4) イソロイシン (isoleusine, Ile, I), 5) メチオニン (methionine, Met, M), 6) フェニルアラニン (phenylalanine, Phe, F), 7) トリプトファン (tryptophane, Trp, W), 8) プロリン (proline, Pro, P), 9) バリン (valine, Val, V)

プロリンのあるところでは結合が乱れ90°角度が変わる
NH2CHRCOOH ┬ H2O
NH2CHRCOOH ┘

2) 極性だが電荷のないアミノ酸
多くは水素結合可能なR基をもつ。水酸基、SH基、酸アミド基を持つものある

10) セリン (serine, Ser, S), 11) スレオニン (threonine, Thr, T), 12) システィン (cysteine, Cys, C), 13) チロシン (tyrosine, Tyr, Y), 14) グルタミン (glutamine, Gln, Q), 15) アスパラギン (asparagine, Asn, N)

3) 電荷を持つアミノ酸
i) 正電荷を持つアミノ酸 positively-charged amino acids
第2のアミノ基を、グアニジル基を、または、弱塩基性イミダゾールを持つもの

16) リジン (lysine, Lys, K), 17) ヒスチジン (histidine, His, H), 18) アルギニン (arginine, Arg, R)

ii)負電荷を持つアミノ酸

19) グルタミン酸 (glutaminic acid, Glu, E), 20) アスパラギン酸 (asparatic acid, Asp, D)

タンパク質はこれら20種のアミノ酸の結合構成により決定される
4) 非タンパク質性のアミノ酸
タンパク中に存在しないもの
グラミシジンS, D-Phe, D-Val, D-Ala, D-Gluなど → D型アミノ酸は自然界にはない

解離

NH2CHRCOO-
NH2CHRCOOH or +NH3CHRCOO-
+NH3CHRCOOH
______________pK1____________pK2
+NH3CHRCOOH ⇔ NH2CHRCOOH ⇔ NH2CHRCOO-
+NH3__________⇔ NH2+ H+
+NH3CHRCOOH ⇔ +NH3CHRCOO- ⇔ NH2CHRCOO- dipolar ion
-COOH________⇔ -COO- + H+

amino acid

1. CH3COOH, CH3NH3: -COOHの動きに注目

pH__4.74 ⇔ CH3COO- + H+
___10.6__⇔ CH3NH2 + H+

2. イオン化熱

RCOOH ⇔ RCOO- + H+ -1000 cal/mol
RNH3+ ⇔ RNH2 + H+___-1200
アミノ酸 酸性______1000-2000
______塩基性___10000-13000
両極性イオンは水に溶けやすいが、エーテルのような非極性溶媒には溶けにくい

3. 正味の電荷 net charge が0

pI (等電点) = (pK1 + pK2)/2 = 6.02
K1 = [+NH3CHRCOO-][H+]/[+NH3CHRCOOH]
K2 = [NH2CHRCOO-][H+]/[+NH3CHRCOO-]
pIでHは: +NH3CHRCOOH = NH2CHRCOO-

非極性鎖側
極性・電荷を持たない
   pK1   pK2   COOH  NH    側鎖

G 2.34  9.60 C 1.71 10.4   8.5  -CH2S H⇔-CH2S-+H+
A 2.35  9.69 Y 2.20  9.11 10.07 -CH2-C6H4-OH⇔-CH2-C6O4-O-+H+
V 2.32  9.62 K 2.18  8.95 10.52 -(CH2)4NH3+⇔-(CH2)4NH2+H+
L 2.36  9.60 H 1.82  9.17  6.0
I 2.36  9.68 R 2.17  9.04 12.98
M 2.28  9.21 D 2.09  9.83  3.86 -CH2COOH⇔-CHCOO-+H+
F 1.83  9.13 E 2.19  9.67  4.25 -(CH2)2COOH⇔-(CH)COO-+H+
W 2.38  9.39
P 1.99 10.60
S 2.21  9.15
T 2.09  9.10
N 2.02  8.80
Q 2.17  9.13

側鎖の違いで多少の差 → 極性や電荷を決定するのは側鎖

amino acid
NH-CH(-R)-COOH …… NH-CH(-R)-COOH
___α炭素
NH-CH(-R)-COOH
_________αカルボキシル基
αアミノ酸

Q. グリシン、グルタミン酸、リジン、ヒスチジン、トリプトファンの中性における化学構造を記せ。それらが、(a)-(e)のどれにあたるか示し、かつその特徴を一つづつあげよ
        pK1    pK2    pK3    [α]025 in 5N HCl
    (a) 2.34  9.60    -          0
    (b) 2.38  9.39    -         +2.8
    (c) 2.19  4.25   9.67      +31.8
    (d) 2.18  8.45  10.53      +25.9
    (e) 1.82  6.0    9.17      +11.8
X線解析 X-ray analysis
アミノ酸構造を調べるのに用いられていた → 非極性側鎖・極性側鎖の違いを利用 → 極性側鎖に非極性側鎖が固まって観察される (Wilkins MHF 1952)
amino acidamino acidamino acidamino acid
電荷___+2____________+1_____________0_____________-1
pK__________2.17___________9.04___________12.98
Q 1. アミノ酸は中性ではdipolar ionとして存在する。このことを示す実験結果を三つ以上あげ説明せよ
Q 2. グリシン、アスパラギン酸、アルギニン、プロリン、チロシンの構造式を書きその特徴をあげよ
Q 3. 酢酸とアミノ酸はどちらが強い酸と言えるか。アラニンをアミノ酸の例にとり、酢酸とアラニンの化学構造及びpKを示し、理由を説明せよ

タンパク質 (protein)


アミノ酸の番号のつけ方
NH2側 = N端(N terminal) - COOH側 = C端(C terminal)
⇒ N端から番号をつけC末端が最終となる
一次構造: アミノ酸配列順序
二次構造

α-ヘリックス構造 → 規則的構造
β構造 → 不規則構造(ただし安定)
ランダムコイル: 自由回転・移動可能な構造
⇒ タンパク質の立体構造を作り上げた基本構造であり三次構造を作る部分構造

三次構造: タンパク質立体構造
四次構造: サブユニット集合

Ex. ヘモグロビンはααββ構造

立体構造を作る化学結合

1. 共有結合
a. ペプチド結合 peptide bond

C-N (一重結合) 1.49Å = 自由回転可能
C=N (二重結合) 1.27Å = 自由回転不可
protein protein
β-sheetを構成する

α-ヘリックス(α-helix)構造: ペプチド鎖のC=OとH-N結合間に螺旋状に相互を結ぶ水素結合を可能な限り多く作ることにより安定した螺旋構造(ポーリングCL発見, 1954 ノーベル賞) → 一回転は約5.4Åであり巨大分子長推定に利用

α-ヘリックス
protein
α-ヘリックスを作りやすい構造
protein

β構造 β-sheet: ペプチド結合が折れ曲がり一つづつが並び隣り合う鎖が水素結合された平面構造
β構造(直線構造) - β-ケラチン等________逆平行β構造 - 絹・フィブリン等
protein
ランダムコイル(ランダム構造): ペプチドが一定構造を示さない場合

コラーゲン構造: 全体を見れば3次構造、部分結合の繰り返しといえば2次構造といえる。始めから3本のポリペプチド結合鎖があり、互いに水素結合で結ばれたもの。3本のポリペプチド鎖は約1000個のアミノ酸からなり、グリシン(1/3)、プロリンとヒドロキシプロリン(1/4づつ)からなる。生物タンパク質の約1/2はコラーゲンであり皮膚下繊維組織細胞間結合物質として機能している

b. ジスルフィド結合(S-S結合): 2個のシスティンcystineのSH基酸化で生じる共有結合。他にイオン結合をも行う

-SH HS- ⇔ -S-S- + H2

Q. β構造とはどのような構造か
2. 非共有結合
a. 水素結合: 全体の曲がり方に関与

Case 1: α螺旋のペプチド結合のC=OとH-Nに起こる
Case 2: ポリペプチド鎖の離れたところの-C(=O)-OとO=Hの間に起こる protein

チロシン: 解離すると分子内で水素結合する

b. 疎水結合(無極結合): 無極性のアミノ酸(CH3、メチル基など)は水との親和性がなく(= 疎水性)、水面で油が集まるようにひきつけられる

側鎖が疎水性のものは一般にタンパク質の内側に片寄り親水性のものは外側に集まる
protein

c. イオン結合: 酸性アミノ酸のカルボキシル基と塩基性アミノ酸は電荷している場合電気的に引き合って結合する
d. ファンデルワールス力: 2個の原子が互いに近づいたときに起こる非特異的引力から生じる。分子の接近によって誘起され、絶えず変動する電荷が原因となっている

天然ペプチド

グルタチオン glutathione
= γ-glutamyl L-cystenyl glycine グルタミン酸、システイン、グリシンが、この順番でペプチド結合したトリペプチド
生物に普遍的に存在するペプチド性チオール
還元型GSH ⇔ 酸化型 glutathione disulfide, GSSG (2分子GSHがジスルフィド結合で繋がった分子)

GSH
GSH × 2 ⇔
酸化還元反応の補欠分子族 (cofactor)

GSSG
GSSG + H2
(-S-S-: ジスルフィド結合)

抗生物質
ペニシリンG

peptide

タンパク質がペプチド結合である証拠
遊離アミノ基、カルボキシル基がアミノ酸と比べて少ない → これら両基が結合部位となっていることを示唆

NH2-CHR-COOH = アミノ酸
NH3+ / COO- 遊離したもの → タンパク質ではこれが少ない

加水分解する: 0.1N HCl, 100°C, 12hrでmildに加水分解するとproteinはNH3+, COO-が同量生産される
加水分解によってペプチドができる
アルカリ性硫酸銅溶液(ビューレット試薬)をprotein溶液に加えると紫色になる

合成ペプチド + Violet reagent → staining violet アミノ酸 + Violet reagent → 呈色しない

タンパク質分解酵素(トリプシン・キモトリプシン・ペプシン・パパイン等)は、peptide bondを切る役割を持つことが合成ペプチドを使った実験で確認された
分離・精製・純度の確認方法
実験手法 (method)

構造と機能

働き: 原形質の構成成分; 単位膜、酵素
性質: 熱に弱い(70-80°Cで変性し本来の機能失う)。強酸やアルカリでも変性
形状: 球状 globular, 繊維状 fibrous, 棒状, 綿状
構造(酵素も同様に分類):
単純タンパク質 simple proteins: アミノ酸だけからなる

Ex. ウレアーゼ、アミラーゼ

複合タンパク質 conjugated proteins: 非タンパク質部分を持つ holo protein = apo protein + cofactor

核タンパク質: 核酸と結合: e.g., DNA, RNA (ribosome 40-50%, TMV 95%)
脂質タンパク質 lipoprotein: 脂質(中性脂質・リン脂質・コレステロール)と結合 e.g., plasma β-lipoprotein (24%)
糖タンパク質: 糖と結合: glycoprotein (> 96%) ~O, mucoid (< 96%)

~O protein
Glu-Nac-Asn結合 → N-glycoside bond → Gal-Ser/Thr, Hyl, Hyp → O-Glycoside bond

リンタンパク質: リン酸と結合

proteinカゼイン (casein)

色素タンパク質:

hemoprotein eg. Hb, Mb, cyt c
flavoprotein, e.g., succinate, dehydrogenase, FAD

誘導タンパク質: Ex. ヘモグロビン (ヘム + グロビン)
金属タンパク質: 金属(イオン) (Fe, Cu, Zn, Mo, Caなど)と結合

溶解度: alubmin (血清アルブミン) = 水・希薄塩に溶ける。Globulin = 水に不溶・希薄塩に溶ける。50%飽和硫酸によって沈殿する – IgG。硬タンパク(コラーゲン) = ほとんど溶媒に溶けない - IgE
Q. タンパク質の構造の一部から一つのアミノ酸が形成するペプチド結合を含む部分を示した。ペプチド結合を指示し、その性質を説明せよ。主鎖の回転する結合を矢印で示せ。α炭素にαをつけよ

Q

Q. タンパク質N端のアミノ酸の種類を決める方法を説明せよ。これらの方法を用いて一次以上の構造を決めるやり方を示せ (DNP法)
Q. タンパク質の一次構造を決定するために、シアノゲンブロマイドは極めて有用な試薬である。その使用目的と反応機作を示せ
Q. ポリアクリルアミドゲル電気泳動法でタンパク質分子量を決める方法を説明せよ

タンパク質の化学修飾 (chemical modification)


化学修飾反応の制約
  1. 水の中での反応: 安定性・溶解性の試薬を使う
  2. 反応条件は温和(mild): 温度は室温程度からそれ以下、pHは極端ではない
  3. 選択性の高い反応である

1. アミノ酸側鎖の特異的修飾

1) アミノ基 (α-NH2, Lys基)

_________..
-NH3+ ⇔ -NH + H+

N求核性nucleophilicityを利用

i)____..┌───────┐┌┐

P-NH2 + (CH3)OC-O-CO(CH3) → [アセチル化(アシル化)]

P-N+H2-C-C(O)CH3 + CH3COO-

P-NH-C(O)CH3: アセチル(acetyl)基. -CO-R: アシル基

ii)___..┌─────┐

PNH2 + CH-C=O___P-NH-CO-CH2-CH2-COO- + H+
_______|______>O
______ CH-C=O
______ __無水コハク酸
Salt bridge: -NH3+ … --OOC-を切断するのに利用

iii)___..

P-NH + Dansylchloride
 modificationmodification

iv) 還元的アルキル化

_______H___pH 8-10______NaBH4
P-NH2 +_>C=O → P-N=C<___P-NH-CH3
_______H_____________H Schiff's base

2) メチルカプト基(-SH) Cys
i)_______求核置換

modification P-S-CH2COO- + HI

ii)___________5,5'-dithiobis(2-nitrobonzoic acid) DTNB

modification

modification

⇒ SH定量に利用: λmax = 412 nm, ε = 1.36 × 104 M-1cm-1 (pH = 8)
modification A: 吸光度 absorbance
ε: 分子吸光係数 molar extinction coefficient
l: 光路長 path-length (cm)
C: 濃度 (M)
A = εCl, I = I010-εCl, ∴ A = log10(I0/I) = εCl

iii) P-SH + ClHg-benzene-COO- → P-S-Hg-benzene-COO- + HCl
__________p-chloromercuribenzoate
3) ジスルフィド結合 (-S-S-)
i) 還元
i-1)_____↙¯¯¯¯↖..

P-S-S-P + HS-CH2CH2OH βmercaptoethanol
__↖↙
modification

i-2)_________-O

P-S-S-P +__>S=O → P-S- + P-S-SO3-
________-O 亜硫酸イオン

ii) 酸化 HCOOOH

-SH (システィン, Cystein) -S-S- (シスチン, Cystine) → -SO3H
過蟻酸酸化 P-SH

e.g., H2N-CH(CH2-SO3H)-COOH

システィン酸 - アミノ酸分析にかける

P-S-S-P + HCO(OH) → P-SO3H

4) カルボキシル基 α-COOH, Glu, Asp
i) エステル化________________HCl

P-COOH + CH3OH HCl HCl → CO-OCH3 + H2O
機構
modification

ii) 脱水

modificationcf. 尿素

5) メチオニル基 Met
i) カルボキシメチル化

__..↗¯¯¯¯↘
P-S-CH3 + I-CH2COO- → P-S(CH3)CH2COO- + I-
_________↖↙__pH < 4でMetに特異的に反応
-NH, modification → これらも反応するがpKaが異なる

ii) 酸化反応: 一般にHOを反応基として使用する

P-S-CH3 + H2O2P-SO-CH3 スルフィキサイド (sulfoxide)
cf. Sulfone: C-SO2-C

iii) CNBr
iv) 逆供与結合(back donation)

modification

sp2
s(1s)2(2s)2(2p)6(3s)2(3p)4(3d)0

6) イミダゾル基 Im, His

Pmodification + I-CH2COO- → Pmodification + HI
___________hv____O2
光酸化: DYE → DYE*→ DYE + O2*

(ローズベンガル, 色素)____酸化

__O2
Im → 酸化

modification

7) グアニジル基 Arg
i)___modification
______2-3 Butanione
ii)

modification
機構__O↖____-O+-H
_..↗¯↘ | ↗_____ |
-OH__CH- → O-C--H

8) 芳香族水酸基 Thr
i) アセチル化__________________pH 7.5

P-benzene-O- + CH-CO-modificationP-benzene-O-CO-CH3 + Im

ii) ヨウ素化______求電子置換

P-benzene-O- + I2P-modification
________Iδ+ … Iδ- 求電子性 (electrophiolicity)

iii) ニトロ化_____________pH > 8

P-benzene-O- + δ+C(NO2)4modification
___________________電荷移動錯体 charge transfer complex
P-benzene-O- + -C(NO2)3 + NO2P-modification__cf. -N+(-O-)=O

9) インドリル基 Trp側鎖

modification
2-Hydroxyl-5-nitrobenzyl bromide (HNBB)___410 nm吸収
_________________└ Koshland試薬
modification
___________________________↑ 実際は中間の状態で存在

2. タンパク質の特異的修飾

1) 親和性標識(affinity labeling)による修飾

modification
TPCK(tolnen sulfonyl phenylalanine chlamethyl ketone): α-chymotrypsinに対する特異的基質

His-57活性部位active siteに入って切断する

TLCK: histidineに対する特異的基質。Ser-195 in CT, Met-192 in CT

2) 偽基質(pseudo-substances)による修飾

benzene-CH2-SO2F
PMSF (phenylmethane sulfonylk fluoride)
modification
DFP

3) 基質・補酵素による修飾

modification
_______Pyridoxial phosphate

4) 化学変異(chemical mutation)

modification

5) レポーターグループ(reporter group)の導入
i) 2-bromoacetamide-4-nitrophenol

NHCOCH2Br + modification CTに反応させる

ii) N-methyl-2-amilo-6-naphtalene sulfonic acid

modification 蛍光fluorescence物質

iii) E.S.R. 運動性を調べる

modification

6) 架橋試薬(二価性試薬)
i)__ modification

これをタンパク質に加え、その架橋状態によりCysの位置がわかる
modificationmodification3 Å

ii)__modification 架橋距離 6.7-7 Å
iii)__Glutalaldehyde COH-(CH2)3-C(=O)H
iv)__Bisazobenzidine N2+-benzene-benzene-N2+ ← His, Try
7) 可逆的修飾

modificationmodification → [pH > 5]

modification-O- + modification

8) 活性部位滴定 active site titration
i) CT (trans-cinnamoylinidazole)

modification
Cymotripsin: active siteで結合___ΔεpH5315 = -8950 (M-1cm-1)
A = εC1 吸光度減少に基づき酸素濃度(酸素量)が測定されればよい

Brandts (US)

Trans modification__Cis modification
___________trans- proline__________cis-proline
modification共鳴している(完全な自由回転はできない)

タンパク質の化学的修飾試薬の反応性
アミノCysTyrHisArgカルボキシルTrpシスチンMetSer, Thr脱離条件
アルキル化、アリル化
  アロ酢酸、アミド+++±+
  ヒドロキシニトロベンジルプロミド±±±+
  フッ化シアヌル+
  DNFB++++a
  TNBS+(+)
  マレイミド±+±
  アクリロニトリル++
  エチレンイミン+
  ホルムアルデヒド++++±±
  メトキシニトロトロボン+b
  カルボニル-NaBH4+
アシル化、その類似反応
  アセチルクロリド+(+)+t(+)±c
  無水酢酸+(+)+t(+)±c
  無水マレイン酸+t(+)(+)(+)(±)d
  シトラコン酸無水物+t(+)(+)(+)(±)e
  無水コハク酸+(+)+t(+)+tf
  エトキシギ酸無水物+±±+t±c
  アセチルイミダゾール±(±)+t±c
  トリフルオロ酢酸チオエチル+t(±)(±)(±)g
  N-カルボキシ無水物+(±)
  シアナート+(+)+t(±)(±)c
  フェニルイソチオシアナート+
  イミデート+tb
  ジケテン+t±tc
  O-メチルイソ尿素+
  ジアルキルリン酸±±
  スルホン酸ハライド求電子試薬+±±±
  ジアゾニウム塩+±++±
  TNM+
  ヨウ素+++±
その他
  ジアゾ酢酸誘導体±+
  水溶性カルボジイミド+
  Meerwein試薬+
  Woodward試薬+
  シクロヘキサジオン+
  グリオキシザール±+
  フェニルグリオキシザール++i
  ハロゲン化スルフェニル±+t+a
  亜硝酸+±±±
  RCMB+ta
酸化、還元反応
  各種チオール++th
  ジチオビス(ニトロ安息香酸)+ta
  チトラチオン酸+
  過ギ酸++++
  過酸化水素+±+ta
  光酸化+±++±+ta
  N-ブロモスクシイミド+±±++±
  NaBH4+th
t: 複数残基が記されていても条件(pH等)により選択的修飾が可能な場合を含む. a-i: 可逆的修飾. a: 過剰オチオール処理. b: ヒドラジン希溶液. c: pH10以上またはヒドロキシルアミノ希溶液. d: pH3.5, 60°C. e: pH 3.5, 室温. f: > pH5. g: ピペリジン希溶液. h: 空気酸化. i: > pH7. (): 反応はするが修飾条件下で容易に加水分解を受けもとに戻る

ポリフェノール (polyphenol)


分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合したヒドロキシ基)を持つ植物成分の総称
殆どの植物が含有し8,000種以上
機能(不明な点多)
  • 植物色素や(人には)苦味成分 → 植物細胞生成、活性化等の補助機能
  • 抗酸化作用 → 生活習慣病予防効果に期待
  • 抗菌・抗ウィルス作用
副作用
  • 消化酵素(プロテアーゼ、アミラーゼ)の活性阻害作用
  • 変異原物質の活性化
フラボノイド (flavonoid)
カテキン (フラバノール): ワイン、茶、リンゴ、ブルーベリー高含有
殺菌作用 (虫歯菌殺菌)、血中コレステロール低下、高血圧予防
アントシアニン: ブドウ実皮やムラサキイモ、ブルーベリー等の赤紫色をした植物体高含有色素成分
肝機能向上補助
疲れ目解消等に効果? → ロドプシン再合生促進
タンニン: 茶、赤ワイン、柿、バナナ等が含む渋味成分
カテキン同様、殺菌効果
タンパク質と結合し不溶性沈殿を作る → 消化率低下
ルチン rutin: C27H30O16: ビタミンPの1種(ビタミンP ≠ ビタミン, s.s.)

ソバに含まれる

イソフラボン: 大豆や大豆加工商品(豆腐、納豆等)、葛、葛粉等に高含有
エストロゲンと同様の働き larr; アンチエイジング?
大豆イソフラボン → 甲状腺肥大, チロシン濃度低下
レスベラトロール resveratrol, RSV (3,5,4'-トリヒドロキシ-trans-スチルベン)

ブドウ、赤ワイン、ピーナッツ等に含まれる: 効能未詳
ファイトアレキシン phytoalexin, 抗酸化物質

フェノール酸 (phenolic acid)
クロロゲン酸: コーヒーに高含有。消化器、代謝性疾患改善作用
エラグ酸 ellagic acid
イチゴ等が含む。美白効果 → 化粧品に多用
リグナン lignan
ゴマに高含有。セサミンもこの1種
クルクミン curcumin
ウコンに多く含まれる
クマリン coumarin
サクラ葉、シナモン、パセリ、モモ、柑橘類に高含有。甘香 (軽油識別剤として灯油・A重油に添加) polyphenol
図. ポリフェノール経口投与後の交感神経を介した生理作用 (越阪部 2016)

脂質 (lipids)


Def. 生物から単離される水に溶けない物質の総称 → 化学的・構造的性質ではなく、溶解度により定義

Ex. 脂肪酸、中性脂肪、ロウ、リン脂質、糖脂質、テルペノイド、ステロイド、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、脂溶性ビタミン、カロチン等の脂溶性色素

Def'. 長鎖脂肪酸あるいは炭化水素鎖を持つ生物体内に存在あるいは生物由来の分子
生体エネルギー貯蔵、細胞膜や核膜、ホルモン、酵素、血漿等生体組織の成分となり、生理機構に深く関与
脂肪 fat: 生物では後形質として存在(貯蔵養分)
                  ┌─[脂肪酸 1]
    [グリセリン]─┼─[脂肪酸 2]
                  └─[脂肪酸 3]

脂質分類

単純脂質

CnH2n+2 (nは大)
= 非鹸化性脂質 non-saponifiable lipids: 脂肪酸とグリセロールがエステル結合したもの
油脂: グリセロールと結合する脂肪酸の種類により性状異なる

常温: 液体 = 油 oil ↔ 固体 = 脂 fat
グリセライド: 脂肪酸とグリセロールからなるエステル。天然油脂は主としてグリセライド

蝋 (ロウ): 高級脂肪酸と高級アルコールのエステル。脂肪酸はパルミチン酸等、飽和脂肪酸saturated fatty acid多
コレステロールエステル (= コレステロール cholesterol) [ 健康 ]
中性脂質
ワックス waxes: CnH2n+2, 脂肪酸(鎖状カルボン酸) fatty acidsの一部
テルペン terpene
ステロイド steroids

glycerol and fatty acidのエステル
Acyl glycerides__L-glycerol__D-glycerol

    1CH2OH            CH2OH      CH2OH
     |                |          |
    2CHOH           OHC-H      H-COH
     |                |          |
    3CH2OH            CH2OH      CH2OH

mono-acylglycerol = mono glyceride (3種)
di-acylglycerol = di glyceride (3種) → 理論上
tri-acylglycerol = tri glyceride

不飽和脂肪酸 CH3(CH2)nCOOH

CH2OH-CHOH-CH2-OCO(CH2)n-CH3
_________________= P

    CH2OP1       CH2OP1      CH2OP1
    |            |           |
    CHOP2        CHOP2       CHOH
    |            |           |
    CHOP3 tri    CHOH di     CHOH mono

水に不溶。化学的に不活性。細胞表面で防護目的に使用されやすい
飽和・不飽和は膜流動性決定要因。飽和型は直鎖、不飽和はなりにくくmelting pointに違いがでる

生物の脂質には不飽和脂肪酸が多く含まれ、低温に耐えるには不飽和脂肪酸含有量を増やしたり、また飽和脂肪酸の場合には分子量を大きくする

複合脂質

単純脂質に他の成分(リン酸・糖等)が結合したもの。3位のCに結合が多い
リン脂質 phospholipid: グリセロールOH基に2長鎖脂肪酸がエステル結合。3番目OH基にリン酸が結合

レシチン lecithine: 脂肪酸、グリセロリン酸、コリンからなる。脳、卵黄、大豆等に多く含まれる
ケファリン酸 cephalins
アセタールリン脂質 acetal phospholipid
リン脂酸類 phosphatidic acids
スフィンゴミエリン sphingomyelin

糖脂質: 脂肪酸 + 糖
リポタンパク質 lipoprotein: (脂質 + タンパク質)複合体

カイロミクロン: 外因性トリグリセライドおよびコレステロール輸送
超低比重(密度)リポタンパク質 (VLDL): 内因性トリグリセライドの輸送
低比重(密度)リポタンパク質 (LDL): コレステロールエステル輸送。抹消組織コレステロール合成調節
高比重(密度)リポタンパク質 (HDL): コレステロールエステル形成。トリグリセライド輸送促進円滑化
超高比重(密度)リポタンパク質 (VHDL)

グリセリドリン酸 phosphoglycerides

CH2OH-CHOH-CH2OP3H2: ethanolamine, cholin (polar head group)

スフィンゴ脂質 sphinolipids

CH2OH-HCNH2-HCOH-CH=HC-(CH2)13
______↑ sphingosine___fatty acids

ワックス waxes: nonpolar alcohol + fatty acids → fatty acid salt

界面活性剤detergentの働きがある = saponifiable lipids

cf. 誘導脂質
単純脂質と複合脂質の加水分解で、有機溶剤に溶けて水に溶けないもの。

Ex. 脂肪酸、アルコール: 直鎖アルコール、ステロール、ビタミンA
Ex. 炭化水素: 脂肪族炭化水素、カロチノイド、スクワレン、ビタミンD/E/K

プロスタグランジン prostaglandin, PG
動物組織・臓器に含まれる、多様な生理作用をもつ脂肪酸グループ
1936: 精液中から分離

当時は前立腺prostate gland由来と考えられprostaglandinと命名
アラキドン酸から生合成される

PG
PGの構造式

エイコサノイド = PG + トロンボキサン + ロイコトリエン
プロスタノイド = PG + トロンボキサン
→ [医学利用] 陣痛促進剤、消化性潰瘍治療薬

脂肪代謝

1) 脂肪 → 炭水化物
脂肪: 発芽エネルギーとして子葉に貯蔵。発芽につれ、脂肪 → ショ糖 → 還元糖(ブトウ糖、果糖等)
2) 脂肪酸酸化
リパーゼとβ酸化lipases and β-oxidation
主エネルギー源の炭水化物不足時に、脂肪はエネルギーとして用いられる。リパーゼにより脂肪酸となり脂肪酸C鎖が末端(-COOH側)から次々に2個づつ酸化し、切り離されてC2化合物が生じる。実際は補酵素Aと結合し活性酢酸の形となり、クエン酸回路に入りエネルギー生産に利用される。小胞体膜に反応酵素系があるらしいが精製単離はされていない

lipases: glycerides_____fatty acids
____________________
_______glycolysis_____β-oxidation
_______intermediates__β-oxidation
glyceridesは直接glycolysisの中間体intermediateになる。fatty acidsはβ-oxidationを受ける

β酸化 (β-oxidation): (CH2)n-CαH2-CβH2-COOH, α, β = 酸化部位: β部位酸化をβ酸化という

lipid
3) 脂肪合成
1.2の逆反応
脂肪酸が高濃度に貯まると、3分子がグリセリンと反応し脂肪が出来る
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