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(2018年2月15日更新) [ 日本語 | English ]

動物生理学 (animal physiology)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

動物代謝 (animal metabolism)

動物 (animal) = 従属栄養生物: 自分で栄養を無機物から取り出せない生物
他の生物の有機物 → [消化・分解] → 呼吸 → [同化・合成] → 自分の有機物

有機物の基本単位にまで分解し、それを材料に自分の有機物を合成する

栄養素: 動物体の成長活動のエネルギー源、体を作る材料、体内の働きを調節するために必要なもの

タンパク質、脂肪、炭水化物: 呼吸の材料(エネルギー源)
ビタミン、無機物質、水: エネルギー源とはならないが物質交代等に働く

栄養 nutrition

タンパク質
C, H, O, N, (S, P)
不可欠(必須)アミノ酸
他物質から合成不可能 → そのままの形で取入れる必要 = 不足時に欠乏症
約20種(ヒト成人8種、幼児10種, 他アミノ酸は体内で他物質から合成可)
脂肪 (ビタミンF)
脂肪酸、グリセリン、C, H, O
不可欠(必須)脂肪酸
他物質から合成不可能 → そのままの形で取入れる必要 = 不足時に欠乏症起こる
Ex. リノール酸、イノレイン酸、アラキドン酸
炭水化物
C, H, O。単糖類として吸収。代表的エネルギー → 脂肪に変形し保存
有機酸 → アミノ酸 → タンパク質 の材料

[タンパク質、脂肪、炭水化物は体内で互いに変化する]

ビタミン vitamin
植物体内で合成され動物に必要で物質交代の調節をする → 酵素作用に関係する

Ex. ナイアシン niacin: ニコチン酸やニコチン酸アミドの総称。水溶性ビタミンB群

欠乏 → ペラグラ(皮膚炎の一種)
糖質・脂質代謝を促す → 血行改善/脳神経活性化 + ヒスタミン抑制 (過剰摂取は悪影響)
体内必要なエネルギー中70%近くをナイアシンが作ると言われる
プロビタミン pro-vitamin: ビタミンそのものではないが体内で変化してビタミンとなる物質

カロチン carotene: ニンジン等に豊富に含有 → [腸壁] → ビタミンA
エゴステロール: シイタケ等に豊富に含有 → [紫外線] → ビタミンD

無機物質 mineral
+ (生命の源)
  1. 構成元素: Ca, Mg = 骨、P = 骨、ATP、Fe = ヘモグロビン、I = 甲状腺ホルモン
  2. 浸透圧調整: NaCl
  3. pH調整: 炭酸水素ナトリウムNaHCO3、リン酸塩
  4. 酵素作用: Zn, Fe, Cu, Mo, Mn

動物タンパク質

  • 名称(溶解性): 所在
  • アルブミン (H2O、塩類、希酸、希アルカリ可溶): 動植物細胞体液、筋アルブミン、卵アルブミン
  • グロブミン (水不溶。塩類、酸、アルカリ可溶): 動植物細胞、卵グロブリン、血清グロブリン、血漿中のフィブリノーゲン、筋肉のミオシン
  • ヒストン (水・希酸可溶): 動物細胞、特に染色体(核タンパク質)成分。アルギニン-リジン含む
  • 硬タンパク質
    ケラチン (10%以上のNaOHに可溶): 動物体保護。角、爪、毛髪、羽毛、羊毛
    コラーゲン (弱酸、弱アルカリ可溶): 動物体タンパク質の約1/2占める。軟骨、骨、魚鱗

[代謝] 植物生理学と動物生理学は、笑って泣ける位に中身が違った

索引
天然ペプチド
脳下垂体ホルモン nonapeptide
1. オキシトシン_______________C端 CYIQNCPLG-NH2 N端

平滑筋の収縮に作用__________ └S-S┘

2. バソブレシン(抗利尿ホルモン)_ C端 CYFQNCPRG-NH2 N端

末梢筋の収縮に作用__________ └S-S┘
両者は3番目のI-Fと8番目のL-Rを異にする
タンパク質アミノ酸配列を一部変え、タンパク質変性から性質を探る研究が発展
副腎皮質ホルモンACTH = 39アミノ酸

インシュリン(膵臓ホルモン)insulin: 51アミノ酸からなる。動物の種により違い。糖分分解酵
血液凝固
脊椎動物の血液は血管外へ出ると凝固して血餅と血清とに分離する

血液 → (放置)
███      ███
███      ███ ← 血清 = 血漿 - フィブリノーゲン
███      ███ ← 血餅 = 血球 + フィブリン

凝固の仕組み (モラビッツ1905)
oxytocin
血液凝固防止法
  1. Ca++除去: クエン酸ナトリウム → クエン酸カルシウム or シュウ酸ナトリウム → シュウ酸カルシウム
  2. ヘパリン付加: ヘパリンは肝臓の毛細血管壁に近い細胞で作られ血液中に入る。トロンビン生成とその作用を妨げる(血管内で血小板が壊れても凝固しない理由)
  3. ヒルジン付加: ヒルジンはチスイビルの唾液より抽出されるもので、トロンビンの作用を抑制する物質
  4. 低温に保つ: 酵素作用が低下し、凝固が遅れる
  5. ガラス棒で攪拌: フィブリンがガラス棒に付着し除去される

血友病: 血小板中のトロンボプラスチンが不足

[ 内分泌系 ] (Hormao = Gr. 「呼び覚ます」由来)

ホルモン hormone


1902 ベイリスBayliss WM(英)、スターリングStarling EH(英)

ホルモン発見 → セクレチン: 膵液分泌促進(十二指腸壁)
腺が特有物質を形成し、それが血液により遠くに運ばれ一定の影響を及ぼす。この腺を内分泌腺と呼び、特有物質をホルモンと呼んだ。ホルモンは化学的伝令といえる

研究法
  1. 除去実験(摘出実験): 内分泌腺を除去 → 欠損症を調べる
  2. 移植実験: 摘出した内分泌腺を移植orホルモン物質の接種 → 欠損症回復有無、過剰症状を調べる
  3. ホルモン精製
  4. 化学構造の決定or人工合成 Ex. インシュリン = 51個のアミノ酸

動物(ヒト)ホルモン

(脳)下垂体 pituitary gland
間脳(視床下部 hypothalamus)神経系からの調節)に付着
内分泌系最高中枢は前葉ではなく、視床下部
→ 視床下部は前葉ホルモンの分泌を促進するホルモンや、分泌を抑制するホルモンを出し前葉を支配
前葉: 全体分泌の調節役割を持つ
刺激ホルモン stimulating hormone (s.h.): 他内分泌腺を刺激し、その分泌ホルモンを多くする

= GH + 刺激ホルモン群 (TSH + ACTH + FSH + LH + LTH)

hormone

図. 下垂体前葉ホルモン

甲状腺刺激ホルモン thyroid-s.h.: 甲状腺のヨウ素(I)吸収促進

チロキシンの分泌促進

副腎皮質刺激ホルモン adorenocorticotrophic hormone, ACTH

特に糖質コルチコイド分泌促進

生殖腺刺激ホルモン

濾胞(卵胞)刺激ホルモン follicle-s.h., FSH: 濾胞発育
黄体形成ホルモン lutenizing horome, LH (間細胞刺激ホルモンinterstitial cell s.h., ICSH)

♀: 成熟卵胞の完全な発育と卵胞ホルモン分泌(= 排卵促進)。排卵後は黄体生産・形成促進
♂: 卵胞刺激ホルモンと共同し、精巣間細胞からの男性ホルモン分泌促進

泌乳(乳腺)刺激ホルモン(プロラクチン) lactotrophic horomone, LTH

乳腺 mammary glandの乳汁分泌、黄体ホルモン分泌促進

成長ホルモンgrowth hormone, GH:

成長促進(タンパク質同化促進)、血糖量増加 → (+)巨人症、末端肥大症。(-)脳下垂体小人症

中葉:
インテルメジン(色素胞拡張ホルモン)

= 魚類・両生類の体色黒化。哺乳類での機能不明

後葉:
バソブレシン(血圧上昇ホルモン・抗利尿ホルモン) vasopression

血圧上昇(小動脈平滑筋を収縮し血圧上昇)、再尿管の水再吸収促進

オキシトシン oxytocin

子宮の平滑筋を収縮し陣痛を起こす

甲状腺 thyroid gland
チロキシン thyroxine: 濾胞上皮細胞が分泌 - ヨウ素(I)含む

物質交代盛んにする: (+)バセドウ病、(-)クレチン病
鳥類: 換羽、爬虫類: 脱皮、両生類(オタマジャクシ): 成体(カエル)

カルシトニン: 傍濾胞細胞分泌 → 血中カルシウム濃度低下
上皮小体 (副甲状腺) parathyroid
パラトルモン parathormone, PTH = 体液中Ca

P代謝調節 - 骨に関係: (-)テタニー症: 筋の痙攣

副腎 adrenal gland
副腎皮質
ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン) steroid hormones: 男性ホルモン除く副腎皮質分泌ホルモンの総称

無機質(鉱質)コルチコイド Ex. アルドステロン: Na, Cl再吸収。水分調節。炎症促進

(-)アジソン病: 筋無力、低血圧

糖質コルチコイド: 血糖量増加 [糖新生 = タンパク質 → 糖] … → 抗炎症作用、ストレス抵抗力増
hormone

糖質コルチコイド、無機質コルチコイドは拮抗的に働く

副腎性ホルモン: 雄性ホルモンと同じ働き
以上3つ = コルチンステロイド系ホルモン

副腎髄質
アドレナリン adrenaline, C9H133N: [グリコーゲン → 糖]による血糖量増加、交換神経性緊張を高める

心臓拍動亢進、血管平滑筋収縮による血圧上昇、立毛筋収縮による鳥肌、腺からの分泌抑制、気管・気管支bronchial tubes (bronchi)の平滑筋弛緩による気道拡張
恒温動物の黒色色素胞を凝縮

ノルアドレナリン: 働きはアドレナリンと同じ
松果体
メラトニン: 黒色色素粒の集中。性成熟抑制作用(推定)。分泌量日内変動
その他のヒト(動物)ホルモン
膵臓 pancreas (ランゲルハンス島)
インシュリン C45H69O14N51S: 血糖量の減少(b細胞) → (-)糖尿病
グルカゴン: 血糖量の増加
生殖腺 gonads
精巣: 雄性ホルモン(アンドロエステロン) = 生殖器発達、第二次成長
卵巣(濾胞): 発情(濾胞)ホルモン(エストロン) = 生殖器発達、第二次成長、発情状態
黄体: 黄体ホルモン(プロジェステロン, プロゲステロン progesterone) = 排卵抑制、妊娠継続

卵巣内3種のホルモンと生殖腺刺激ホルモンの量的盛衰によって性周期は保たれる

胎盤 placenta
胎盤ホルモン
唾液腺
パロチン(耳下腺) = 骨や歯の発育を助ける
消化腺
幽門部: ガストリン = 胃液gastric juice分泌促進
十二指腸粘膜: セクレチン = 膵液分泌促進

ホルモン相互作用

脳下垂体と他の内分泌ホルモン endocrine
脳下垂体 → 甲状腺刺激 → 甲状腺 → チロキシン → 物質交代盛ん
__(前葉)___ホルモン(+)____________(↑)
抑制(↓)└───────────────────┘

= フィードバックシステム(制御)

血糖量調節
血糖: 血液中のブドウ糖量 = 0.1% (ヒト)
A. 血糖量増加

1. グリコーゲン → アドレナリン(ノルアドレナリン), グルカゴン → ブドウ糖
2. タンパク質 → 糖質コルチコイド → ブドウ糖

B. 血糖量減少

ブドウ糖 → インシュリン

→ グリコーゲン・ブドウ糖消費促進、細胞内への取込み促進

C. フィードバック

A, Bの組み合わせで血糖量の増減がはかられる

血液中水分・無機イオン調節
血液中は一定水分(> 90%)が含まれ、血漿成分濃度はほぼ一定に保たれる

血液中水分過剰 → 尿排出
血液中水分不足 →

皮下結合組織中貯蔵水分が血液中に出る +
脳下垂体後葉からバソブレシン分泌 → 腎臓細尿管で水再吸収促進

無機イオン
無機質コルチコイド: 副腎皮質 – 腎臓のNa再吸収促進、K排出
パラトルモン: 副甲状腺 – Ca++濃度↑(骨から溶け出す)、PO43−体外排出
    [間脳]→[脳下垂体]
     ↑         [前葉]                  ┌┘└┐
    [心臓]┌──[後葉]→|バソブレシン|→├┅┅┅┅┤←水再吸収
     ↑   ↓ 副甲状腺 →|パラトルモン|→├┅┅┅┅┤→Ca増加
     │ 副腎皮質───→|コルチコイド|→├┅┅┅┅┤←K排出促進
     └──────────────── └┐┌┘
ヒトの性周期
脳下垂体・卵巣・子宮の働き合い
ion
━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━━>
━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━━>
                  (二次成長・卵形成)  排卵 ovulation     月経       (性周期) 28日

妊娠: 黄体ホルモン分泌 → 濾胞ホルモン分泌抑制
濾胞ホルモン(卵形成)が出ないため卵は形成されない(月経停止)
更に、黄体ホルモンはプロラクチン(泌乳刺激ホルモン)の働きを抑制し出産まで乳汁分泌が抑制される

無脊椎動物ホルモン hormones in invertebrates

甲殻類 crustacean
サイナス腺 sinus gland: 真のホルモン腺ではなく、眼柄のX器官で作られたホルモンの貯蔵場所
X器官 = サイナス腺ホルモン: 体色変化

エビ: 体色白化(色素凝集) ⇔ カニ: 体色黒化(色素拡散)
物質はほぼ同じ。進化途中で反応様式が逆になったと考えられる

Y器官 = 脱皮ホルモン: 脱皮促進
体色変化

1. 色素細胞が収縮拡大する(イカ、タコ)
2. 細胞内の色素粒が集散する(エビ、カニ、脊椎動物)

 頭     胸     腹       
insect
 アラタ体  前胸腺
図. 昆虫の体

昆虫類のホルモン
脳 → 脳ホルモン: アラタ体や前胸腺の働きを調節
アラタ体 → 幼若ホルモン(アラタ体ホルモン):

現在の形を保つよう作用

前胸腺 → エクジソン ecdysone: 脱皮変態促進
Ex. カイコ

卵 ⇒ 孵化 ⇒ 1齢[○○] → 2齢[○○] → 3齢[○○] → 4齢[○○] → 5齢[○○] → [×○] ⇒ 蛹化 ⇒ 蛹[×○] ⇒ 羽化 ⇒ 生体(蛾)

[○ ○] ⇒ 脱皮
[× ○] ⇒ 変態(蛹化、羽化)

Exp.
1. 5齢の個体について

a) 胸部の前方で括る_________ecdysone
b) 腹部をくくる______________ecdysone

前部のみ蛹化

c) 腹部後方に前胸腺移植し括る ecdysone

前後部共に蛹化

2. 4齢(以前)の個体について

a) アラタ体を除去する________ ecdysone
b) 胸部の前方で括る_________ecdysone

代謝活動 (metabolic activity)


基礎代謝 basic metabolism (ヒト)
運動: 筋肉収縮
能動輸送: ATPエネルギー使い濃度差に逆らい物質移動させること等
発熱: 呼吸エネルギー → ATP + E(熱エネルギーとし放出) → 生物機能 + E
発電:
a. 静止電流: 静止状態の組織器官にみられる

Ex. 損傷部位: 正常部位(+) → 損傷部位(?)

b. 活動電流: 組織器官興奮時に生じる電流

Ex. 心電図 = 心臓拍動時活動電流、脳波 = 大脳皮質活動電流

c. 発電魚: 横紋筋の変化した発電器官持ち、その活動電流を最大にする

発電器官において細胞板1個のもつ電圧は横紋筋の活動電位と差はない - 細胞板は直列にび電圧は累積され高電圧を出せる
Ex. シビレエイ、シビレナマズ、シビレウナギ

発光: ルシフェリン(発光物質)とルシフェラーゼ(酵素)が混ざり相互作用で発光

冷光 = 熱発生少ない: 発光生物では、化学エネルギーが熱エネルギー経ずに直接光エネルギーに変化 → 変換効率良く約97%になる

発光生物: 発光細菌。ツキヨタケ子実体、ナラタケ菌糸。ウミホタル(甲殻類)、ホタルイカ(軟体動物)、ホタル、ハダカイワシ(深海魚)
その他: マツカサウオ = 発光細菌共生。ヒカリゴケ原糸体 = 反射光出す

運動 (movement)


鞭毛運動 flagellar movement = ミドリムシ
繊毛運動 ciliary movement = ゾウリムシ
アメーバ運動 amoeba movement = アメーバ
筋肉運動 muscle movement

筋肉 (muscle)

表1. 筋肉の種類・構造・特徴
平滑筋 smooth muscle: 筋細胞形 = 扁平で短く紡錘形 単核

横紋なし 不随意筋 involuntary muscle 収縮遅いが疲労しにくい
分布: 内臓壁、血管壁、腸壁、内臓筋

横紋筋 striated muscle: 円筒状(糸状)で長い 多核細胞

横紋あり 随意筋。疲労しやすい 収縮速く大きな力出せる
分布: 骨格につく"骨格筋"

心筋 cardiac muscle: 網状に連絡 多核

横紋あり 不随意筋 強縮起こさない 自律に従う
分布: 心臓壁

構造: (いわゆる)筋肉 = 筋組織 + 結合組織
> 筋繊維(筋細胞): 多くの細胞が細胞膜を失ってできた多核体
> 筋原繊維: アクチン、ミオシンからなり収縮の基本単位
筋肉収縮
  1. ATP (化学エネルギー →転換 → 機械的エネルギー) → 筋肉収縮 (+ 熱)
  2. 直接利用されるのはATPエネルギー
    フォスファーゲン(リン原質)が筋繊維に存在し、ATP消費時にエネルギー渡しATP再合成する。活動的には、解糖と酸素呼吸によるATP再合成
  3. クレアチンリン酸(筋肉中)、アルギニンリン酸はATPやADPとほぼ同じ高エネルギー物質
  4. マイヤホフ反応

[脊椎動物] クレアチン~Pi ↔ クレアチン + Pi (15 kcal/mol)
[無脊椎動物] アルギニン~Pi ↔ アルギニン + Pi (12 kcal/mol)

1) 横紋筋微細構造
a) 筋繊維(筋細胞)
多数の細胞が一列に並んで融合したfused多核細胞(cp 平滑筋)
筋原繊維束からなり、筋原繊維間にミトコンドリア(エネルギー発生)や小胞体(興奮伝達)に該当する膜構造
b) 筋原繊維: 幅1 μm
M線: ミオシンフィラメント(filament)を六角状に位置させる箍の役目
Z線(膜): actin filament支える網目状格子構造、頂点にactin filament結合
muscle

a断面はbとcが重なったもの

"滑りこみ"は、I filamentに対し真直ぐ向いていたH-メロミオシン頭部がアクチンと結合したまま、ある角度だけ傾斜するとIA両filamentの相対的滑りを生じる。尚、H-メロミオシン球状頭部(HMMS1)に繊維状の尾部がありL-メロミオシン(LMM)と連絡する。この連結部およびHMMS1およびS2の境目は可動性と考えられる

仕組み

滑り説 (1954): ミオシンfilamentがアクチンfilament部分に滑り込む
1957 Huxley AF

ミオシンフィラメントから突き出た頭がアクチンフィラメントに結合し移動させる。すると頭は離れてもとの位置に戻り、またアクチンフィラメントと結合することを繰り返す。この頭部の運動にATPが使われる

1959-64 Weber A, 江橋

筋肉細胞膜は多くの小孔があり、細管tuble (T管系)となり筋原繊維を取囲む筋小胞体まで走る。小胞体はATP使いCa++吸収するがT管系から刺激が到達するとCa++を放出する。するとアクチンフィラメント-ミオシンフィラメントの反応が起こり収縮 ⇒ 筋小胞体がATP使いCa++の吸収再開するとアクチンフィラメント-ミオシンフィラメントの反応が止まり弛緩する

  1. O2を含まないN2中でも筋収縮はかなり長い間継続する
  2. 筋収縮に伴ってグリコーゲンが減少し乳酸が増えてくる
  3. 生じた乳酸の一部はO2を与えると減少して、もとのグリコーゲンに戻る
    → マイヤーホフは乳酸発酵によるエネルギーによって筋収縮が起こり、疲労の回復時に酸素が必要と考えた。ところが次のような事実から、乳酸発酵エネルギーによって直接筋収縮が起こるのではないことがわかった
  4. モノヨード酢酸で乳酸発酵を抑えても収縮は可能。しかし(1)の場合に比べて短時間のうちに収縮不可能になる
  5. N2中で筋収縮を継続するとリン酸(P)が増えてくる
  6. 筋肉中のリン酸化合物にはクレアチンリン酸(Cr~P)やATPがあり、a-cの変化が明らかになった(ローマン 1934)
    a) Cr~P + ADP ⇔ Cr + ATP: クレアチンキナーゼ
    b) 2ADP ⇔ ATP + AMP: アデニル酸キナーゼ
    c) ATP + H2O ⇔ ADP + P: ATPアーゼ
  7. グリセリンに生きた筋肉を浸し、1ヶ月も冷蔵して筋肉中の糖やATP、Cr~Pなどを除去して作ったグリセリン筋にATPを作用させると(c)の反応が起こって筋収縮が起こる
  8. ウサギ等の筋肉をすり潰し0.6 mol KCl溶液を加え冷蔵庫中に2昼夜ほどおく。上澄中の(筋肉)タンパク質がアクトミオシンで、これを注射器に入れ、水中に押し出すとアクトミオシンのフィラメントが得られる。これにATPを加えるとフィラメントが収縮する
  9. Cr~Pは筋肉中にATPの5倍含まれる → 筋収縮によって生じたATPは反応(a)によりATPに再生される。
ミオシンフィラメント
ミオシン: ミオシンフィラメント構成タンパク質。長さ150 μmの細長い分子

muscle
双頭の頭部(Lメロミオシン部) + 尾部(Hメロミオシン部)

頭部: ATPase活性 + アクチンフィラメントと結合する働き
尾部: 繊維状でミオシンフィラメントの骨格を形成する

ミオシンフィラメントは多数突起が出る
→ 一対の突起から143Åの所に次の突起が出て120°ずれる
→ 429°ごとに並んだ突起の列が6列ある

アクチンフィラメント
球状アクチン(Gアクチン): 1分子につき1分子のATPと結合
繊維状アクチン(Fアクチン): Gアクチンが数珠繋ぎになって2本が螺旋状になったもの

結合のときATPはADPとH3PO4(P)になりADPは中に閉じ込められる
トロポミオシン: Fアクチンの螺旋の両側溝に1本づつ結合。Fアクチンの安定化とトロポニンを一定位置に結合(分子量約7万の繊維状タンパク質)

Ca++存在 → アクチンとミオシンを結合させる
Ca++存在しない → アクチンとミオシンの結合を阻害する

トロポニン(江橋 1965)
  • 型 (分子量): 機能
  • トロポニンC (18000): カルシウムと結合する
  • トロポニンI (23500): ミオシン-アクチン複合体に作用し両方の結合阻害
  • トロポニンT (37000): Ca++の結合形が変化しトロポニンIに影響しミオシンとアクチンの結合を起こす
筋小胞体: 筋原繊維を包む膜状構造

A帯とI帯の境あるいはZ膜に接して2つの袋をつくり、その間に細管(T管系)があり3組(triad)という構造を作る。Ca++を結合し筋収縮の制御に関与する。T管系は筋細胞の細胞膜の一部で膜の興奮を伝達する。興奮の伝達により筋細胞体は一時的にCa++を遊離する

循環器系 (circulatory system)


血液やリンパ液等の体液を体内輸送し循環させる
脊椎動物 → 循環器系: ほとんどが管状 = 脈管系
体液循環

血管系: 血液を循環させる
リンパ系: リンパ液を循環させる

血液機能: • 呼吸(酸素・二酸化炭素運搬) • 栄養分運搬 • ホルモン運搬 • 免疫部室産生・運搬 • 感染防止

体液循環

体液: 細胞と細胞の間を満たす液体
循環系の発達
a. 循環系なし
b. 開放血管系

毛細血管capillaryがない: 原生・海綿・腔腸・扁形・袋形動物
毛細血管はあるが血液とリンパの区別ない: 節足・軟体・脊索動物

c. 閉鎖血管系: 毛細血管発達: 環形・紐形・脊索・脊椎動物

血液: 血管内を流れる
リンパ液: 細胞間満たす(血漿の一部が毛細血管からしみだしたもの)

circulation   circulation
開放血管系                       閉鎖血管系

脊椎動物 = 閉鎖血管系
心臓: 血液循環させるポンプの役目。刺激を連続させても強張を示さない

ヒトの心臓 (人体解剖学)

脊椎動物
種     心房 心室  心臓形
魚類     1    1   1心房1心室

呼吸器(エラgill)でO2取入れた血液を直接全身へ送る(大小循環区別なし)

両生類   2    1   2心房1心室
爬虫類   2    1   2心房1心室

心室でO2を含む血液(動脈血)とCO2を多く含む血液(静脈血)が混合
両生類以上: 呼吸器(肺)でO2を取り入れた血液は再び心臓に戻り全身に送られる(大循環・小循環の区別ある)

肺循環(小循環): 呼吸器でO2とCO2の交換
体循環(大循環): 全身へO2、養分供給。CO2、不用物排除

鳥類     2    2   2心房2心室
哺乳類   2    2   2心房2心室

動脈血と静脈血の混合はない

circulation
図 4.28. 脊椎動物心臓の進化(Kent 1969)。A: (心)房atrium, RA: 右心房right atrium, V: 心室ventricle, RV: 右心室right venticle, SV: 動脈球, aur: 心耳, 3-6: 第3-6動脈弓, at: 動脈幹, dc: 主動脈, hs: 肝静脈洞, pc: 後大動脈, pre: 前静脈, pt: 肺動脈pulmonary artery, pv: 肺静脈. 陰部分は酸素の多い血液を含む部分
冠状動脈 coronary artery (→ 心臓を冠のように取り巻く): 心臓に血液を送る動脈は左右2本 = 大動脈が左心室から出た直後、大動脈弁のすぐ上あたりから分かれる。冠状動脈は、心房心室境界に沿って心臓を取り巻くように走る。これらの枝から左右の心室の間に沿って下行する枝が分かれる
副血行路(副行): 本来の血管以外に生じる血流経路 → 副行循環 collateral circulation

リンパ系 (lymphatic system)

脊椎動物特有。毛細血管からしみでた血漿成分(組織液)を再び血管内に戻す
[心臓]→[動脈]→[毛細血管](血漿)⇒[組織](組織液)|⇒[リンパ管](リンパ)
______________________________________|_____⇓リンパ系
[大動脈]←[(左右)鎖骨下大動脈]_______ _____ |__[胸管・リンパ総管]
リンパ心臓はなく、体の伸び、縮み、ねじれ等により少しずつ一定方向に流れる(逆流を防ぐ弁が発達)
リンパ節(リンパ腺): 小形白血球(リンパ球)を作る。ウイルス等を捕食し、病原(細菌・ウイルス)侵入を防ぐ
リンパ液(組織液) lymph

液体成分 = リンパ漿: 血漿のしみだしたもの
細胞成分 = リンパ球: 小形の白血球

機能: 組織細胞を潤し、その生活環境形成 + 血液-組織細胞間の物質交換の仲立ち + 小腸で吸収した脂肪を運搬 + リンパ球の食作用による防御

有形成分 55%
名称: 大きさ (数, /mm3), 寿命. 形成 → 破壊: 働き
赤血球: 7- 8 μm (♂500万, ♀400万), 120日

脊髄 → 肝臓/脾臓
ヘモグロビンを含む → O2運搬

白血球: 20-25 μm (6000-8000), 数日-20日

骨髄(例外: リンパ球) → 脾臓/骨髄
血管内外の細菌捕食(大型白血球)、ウイルスの捕食(リンパ球) = 食菌作用

血小板 platelet: 1-4 μm (20-50万). 3-5日

脾臓 → 脾臓
トロンボプラスチン(トロンボキナーゼ)を含み血液凝固に働く

無形成分 45%
血漿 plasma: やや黄味を帯びた中性の液体 (%)

H2O タンパ (アルブ       (グロブ    脂質 ブドウ糖 無機物質      ビタミン
        ク質     ミン類)       リン類)                           (Na, K,        ホルモン
                                                                            Ca, Mg等)  酵素等  
   90   7-8  4.9 (65%)  2.6 (35%)    1        0.1        少量            少量   

物質運搬: 血液中細胞成分, ホルモン, ビタミン, 酵素, 抗体, 老廃物, CO2
血液凝固(防護作用)
グロブリン類: フィブリノーゲン、プロトロンビン
免疫状態を作る(防護作用)
γ-グロブリン: 抗体になり害を防ぐ
内部環境一定に保つ: 浸透圧 7.7 atm., pH = 7.1-7.5, 体温、イオン

造血組織: 骨髄 marrow、ただしリンパ球だけは脾臓 spleen
blood cell
呼吸: [ガス交換] 外界 ↔ 呼吸器 ↔ 細胞

内呼吸(細胞呼吸)

体物質が分解され、その過程でATPを作り出す(細胞質基質、ミトコンドリア)

呼吸色素 respiration pigment: 分子状のO2と結合し生体内の酸素呼吸に必要なO2運搬に関わる色素

表. 呼吸色素 (金属): 酸化型 ↔ 還元型 / 動物
  • ヘモグロビン(Fe) 鮮紅 ↔ 暗紅 脊椎動物
  • エリスロクルオリン(無脊椎動物ヘモグロビン) (Fe): 赤 ↔ 赤 / 環形動物(ミミズ)、軟体動物(アカガイ)、節足動物(ミジンコ幼虫)、紐形動物(ヒモムシ)
  • ヘモシアニン(Cu): 青 ↔ 無色 / 節足動物(イセエビ)、軟体動物(タコ、マイマイ)
  • ヘモバナジン (V): 淡緑 ↔ 無色 / 原索動物(ホヤ)
  • ヘモエリトリン (Fe): 赤紫 ↔ 無色 / 環形動物(ホシムシ)
  • クロロクルオリン (Fe): 緑 ↔ 無色 / 環形動物(ケヤリ
CO2の運搬
respiration

----→ 血液が組織を通るとき(CO2分圧高)ときの反応
····→ 血液が肺胞alvelolus, blastulaを通るとき(CO2分圧低)ときの反応

Oの運搬: 赤血球
ヘモグロビン: ミオグロビンが4つ結合。CHONFeからなりFeがOと結合
ミオグロビン: 筋肉細胞中にありO2をミトコンドリアに一時蓄えておく。海産哺乳類に特に多
ヘム(色素) = 4個(4%)、グロビン(タンパク質) = 4個(96%)

Hb (ヘモグロビンhemoglobin) + O2 → HbO2 (酸素ヘモグロビン)

分圧: 気体を作る物質の圧力 1 atm = 760 mmHg

大気中O2分圧 = 760 × 1/5 = 152 mmHg
respiration

反応を支配する条件                                                                           
支配条件  変化  反応  変化 反応 Ex.  
                         方向           方向                                                        
O2分圧     減少   ←    増加    →  O2分圧↑ CO2分圧↓ ⇒HbO2↑(肺胞)
CO2分圧  増加    ←   減少    →   O2分圧↓ CO2分圧↑ ⇒ Hb↑(組織)
乳酸         増加    ←
湿度         増加    ←                                                                            

血液100 cc(mg), HbO2が100%となっているときO2を25 cc含む
肺胞で98%がHbO2、組織で63% HbO2とする ⇒ 98 – 63 = 35%のO2が組織で放出される
∴ 血液100 ccが組織へ放出するO2量は8.75 cc: ヒト心臓 ≈ 60 cc血液/拍動 → 70拍動/分 → 367.5 cc/分の血液を送り出す

血液

無脊椎動物 → [進化] → 脊椎動物
血球(食菌作用): 赤血球(O2運搬) – O2運搬のために脊椎動物で発達
_____________白血球white blood cell(食菌作用)
血漿(運搬)____ 血漿(運搬)

外呼吸

外界と呼吸器でのO2とCO2の交換
表. 呼吸器官: 陸上の方が空気移動は簡単 + 乾燥で水を逃がさない構造必要
  • 器官: 動物
  • 体表(皮膚): 原生, 海綿, 口腔, 扁形, 環形 - 特別呼吸器官なし (両生類: 肺呼吸 + 皮膚呼吸)
  • 水肺(呼吸樹): ナマコ類 - 海水を満たし枝状管で直腸に連なる
  • 鰓(外さい): ゴカイ類, 甲殻類 - 無脊椎動物。体壁が膨れ出たもの
  • 鰓(内さい): 円口類, 魚類 - 鰓孔の壁が発達したもの
  • 気管: 昆虫類, 多足類 - 気門より入る空気とガスの交換

    書肺: クモ類 - 気管の変形したもの
    気管鰓: 水生昆虫類 - 気管が鰓に変形したもの

  • : 両生類, 爬虫類, 鳥類, 哺乳類 - 消化管の壁が突出。高等なものほど肺内部の襞が多い。魚類の浮袋は肺と相同器官

    外套膜: カタツムリ類 - 外套の一部に血管が分布しガス交換行なう

特殊: 肺魚 = 浮袋、ドジョウ = 腸
第二呼吸(セカンドウインド) second wind: マラソン等で、酸素需要供給量バランスがとれた状態。快適なランニングを継続できる
HbA1c (ヘモグロビン・エーワンシー)値: 赤血球中Hbの糖との結合割合 = 血糖値が高い人はHbA1c値が高い

[ ヒト消化器系 | 消化酵素 ]

消化器系 (gastrointestinal system)


消化: 吸収できない大形物質を吸収できる大きさ(有機物基本単位)にまで分解すること
化学的消化: 食物を消化酵素により分解 [中心的消化]
機械的消化: 消化運動(化学的消化を助ける) [補助的消化]

咀嚼運動: 食物を小さく砕く = 口腔(歯)
蠕動運動: 食物を移動させる = 食道、胃、小腸、大腸 large intestine
分節運動: 食物と消化液を混和させる = 小腸

細胞内消化: 食物を直接細胞内に取こみ利用可能な養分吸収 = 原生動物、海綿動物
細胞外消化: 細胞外で吸収可能な大きさに分解し細胞内に吸収 (消化, s.s.)

肛門なし: 口で取入れ口で排出(あまり消化器系は発達しない)。腔腸動物(ヒドラ、イソギンチャク)など
肛門あり: 口で取入れ肛門で排出。通過物質の形が一定になり、それに応じた消化器系発達がみられる。線形(紐形動物)以上

吸収: 大部分の吸収は小腸(柔突起)で行なうが、水分は主に大腸で吸収
吸収経路
    単糖類・アミノ酸      脂肪酸・グリセリン
    ------↓-------- 吸収 --------↓--------
       毛細血管                リンパ管
          ↓                      ↓
       (肝)門脈  → 大静脈 →    胸管
                      ↓
                      心臓 → 全身

毛細血管: 無機物、水溶性物質(ブドウ糖、アミノ酸、無機塩類、ビタミン等)を吸収
リンパ管: 毛細血管から外に出た養分(脂肪酸、コレステロール、グリセリン、ビタミンA等)を血管内に戻す

胆汁(胆液) bile: 肝臓で作られ、胆嚢に一時蓄えられた後、胆管を通り十二指腸に送られる消化液

酵素はない → 主成分 = 胆汁酸 + 胆汁色素
胆液酸塩は胃酸を中和し、脂肪を乳化(脂肪消化を助ける)しリパーゼの働きを助ける
肝臓で破壊された赤血球成分であるヘモグロビン分解産物(ビリルビン = 黄褐色色素)を含む

肝臓 (liver)

1. 物質貯蔵

グリコーゲン合成貯蔵 (ブドウ糖* ↔ グリコーゲン)

*血中濃度約0.1%に調節

脂肪合成貯蔵
アミノ酸合成分解
ビタミンA, D貯蔵

2. 解毒作用: 有害物質を無害な形に変える

NH3 → そのまま
____→ 尿素
____→ 尿酸

3. 尿素の生成: 2NH3 + CO2 → CO(NH2)2 + H2O

オルニチン回路 ornithine cycle (Krebs 1932)
= 尿素回路 urea cycle

4. 胆液分泌: 肝臓 → 胆嚢 gall bladder → 十二指腸 duodenum

酵素はない。脂肪消化を助ける
黄褐色色素(ビリルビン – ヘモグロビンの分解産物)を含む

5. 古くなった血球の破壊 ______________↑
6. 血漿タンパク質合成 – アルブミン、フィブリノーゲン、プロトロンビン
7. ヘパリンの生成 – トロンビンの生成を抑える(血液凝固防止)
8. 発熱器官 cf. 発熱の順: 筋肉 > 肝臓 > 心臓 > 腎臓

[ ヒト 泌尿器系 ]

排出器官系 (emunctory or excretory system)


体液濾過、窒素化合物及び塩類等の排出物濃縮、排出液排除行う器官系

異化生成物排除

炭水化物(CHO), 脂肪(CHO) → [呼吸] → CO2 (気体), H2O (汗、尿、息)
タンパク質(CHON) ____________↑____ NH3 → 細胞に有害(排除必要)
A) 水中生活
a) NH3のまま速やかに排出 = 水生無脊椎動物、硬骨魚類
B) 陸上生活
NH3を水と一所に大量排出 → 体内水欠乏意味し、濃縮し体外排出する必要
b) NH3を尿素ureaに変え排出(オルニチン回路)

= 軟骨魚類*、両生類、水生爬虫類(カメ)、哺乳類
*: サメ、エイ等の軟骨魚類は尿素を一定量体内に溶かすことにより外液と等しい濃度を保つ

c) NH3 → 尿素 → 尿酸に変えて排出

= 昆虫類、陸生爬虫類(トカゲ、ヘビ)、鳥類
尿酸は生物に殆ど無害で水に不溶 → 陸上卵生動物に発達: 水を出来るだけ長く体内に保存したい

排出器
  • 収縮胞 (NH3): 淡水産原生動物 - 浸透圧調節(排水)が主な働き
  • 体表 (NH3): 海綿動物、腔腸動物 - 変形細胞が老廃物を集め体表に運ぶ(特別器官なし)
  • 原腎管 (NH3): 扁形動物、輪形動物 - 管の先端に焔細胞がある
  • 腎管

    体節器 (NH3): 環形動物、軟体動物 - 体節に1対づつあり、ロート状腎口が体腔に開く
    触覚器 (NH3): 甲殻類(エビ) - 第二触覚の基部に開孔する
    ボヤヌス器 (NH3): 斧足類、腹足類 - 腎腔は囲心腔に開く
    腎嚢 (NH3): 頭足類 腎腔は囲心腔に、排出孔は外套腔に開く

  • マルピーギ管 (尿酸, NH3): 昆虫類、クモ類、多足類 - 多数の糸状の盲管で腸管に開腔する
  • 腎臓

    前腎 (NH3): 円口類 - ラッパ状の腎口が体腔に開く
    中腎 (尿素, NH3): 魚類、両生類 - 前腎退化後に発生し、マルピーギ小体を作る
    後腎 (尿酸, 尿素): 爬虫類、鳥類、哺乳類 - 中腎退化後に発生し、最も発達する

マルピーギ管: 不用物を中腸と後腸の境にいれる

腎管 nephrida
単層の繊毛上皮細胞によって形成された細管
原腎管 protonephridium: 体腔内末端閉じる - 後生動物で最も原始的

焔細胞 flame cell: 繊毛束
有管細胞 solenocyte: 有鞭毛細胞

後腎管 metanephridium: 腎口 nephrostomeによリ体腔内末端開いている
外腎門 nephridiopore: 腎管内で濃縮された排出物を体外に捨てる
前腎pronephros: 毛細血管できていない → 中腎: 中間的 → 後腎: 毛細血管ができている

尿 urine の出来方

  1. 腎小体での濾過: 無選択的に小形のものは濾過 → 血球、タンパク質以外のものは全て濾過される
  2. 細尿管での再吸収: バソブレシン(脳下垂体後脳)により促進
    全て再吸収 ブドウ糖(Ex. アミノ酸、脂肪酸)
    必要なだけ再吸収: H2O、無機塩類 (Ex. Na+, Cl-, K+, Ca2+)
    濃縮: 尿素(× 70) (Ex. 尿酸、クレアチニン、SO42-)
汗腺
不用物排出(汗腺からでる不用物濃度は低い)
体温調節: 水の気化により体温上昇を防ぐ(水の気化熱 = 539.8 cal/g)

浸透圧調節

0) 原生動物: アメーバ、ゾウリムシ等は収縮胞により体内浸透圧調節
1) 海産無脊椎動物: 調節機構未発達

海水と体液の濃度(浸透圧)は概ね等しい

2) 海産脊椎動物(軟骨魚類, サメ、エイ): 調節機構あまり発達しない

尿素を体液中に含むことで海水との浸透圧差調節

3) 淡水産無脊椎動物、淡水産・海水産硬骨魚類、両性類以上: 調節機構発達

独立内部環境(体液浸透圧)保持
地球上に始めて体液濃度を調節する能力を持った生物が表れ、そのときの海水濃度を以後保ち続けていると考えられる (海水は塩類を溶かしつづけ徐々に濃度が高くなり現在の生物との濃度差が形成された)
海水魚
osmotic pressure エラgill: 無機イオン(Na+, Cl-等)を能動的排出
消化管: 水分を能動的吸収
腎臓: 濃い(海水と等張の)尿を少量排出
淡水魚
osmotic pressure エラ: 無機イオンを能動的吸収
消化管: 無機イオンを能動的吸収
腎臓: 薄い(低張の)尿を多量に排出

淡水と海水と両方に生息する魚類

サケ: 淡水生活を始める前にエラの働きを逆転。腎臓は海のときは一部を使用し淡水では全てを使う
ウナギ

神経 (nerve)


基本原則 general principles: 物質的存在

→ 生物物理、生物物理化学
→ 構成物質: 性状、反応、変化

相似|相異 → 共通の原則: 細胞 = [基本単位] → 限られた材料
刺激 stimulus: 生物に影響を与えるような外界の変化

→ 非刺激性: その刺激を受け入れることのできる性質

細胞 cell

受容細胞 receptor cell
感覚細胞 sensory cell < 感覚神経sensory nerve < 感覚域 sensory area

神経細胞 neural cell
外界-動物内のありさまをモニター = 情報処理器官

感覚細胞: 感覚器の主要部分 < 感覚器官 + 補助器官 = 神経系 nervous system (ニューロンneuron)

細胞興奮性 excitability → 興奮性膜 excitable membrane: 興奮
細胞表面膜: 運動(動物) → 力発生 = 筋肉組織 - 収縮タンパク

→ 合目的行動(動き): 筋肉を動かす部分の神経(単細胞に存在しない。Cf. 鞭毛運動)
1. 神経系nervous system

a. 感覚細胞 sensory cells: 眼、厚点、温点 b. 神経細胞 nerve cells (= ニューロンneuron) → 神経板起源 neural plate origin

2. 脊椎動物横紋筋 vertebrate straitened muscles
3. 幾つかの腺細胞 gland cells, including neuroceretory cells

神経単位(ニューロン) neuron

神経細胞体: 核のあるところ
神経突起

樹状突起(樹枝状突起) dendrite: 興奮を取り入れる
神経突起 neurite: 興奮を送り出す

有髄神経: 神経突起 + 髄鞘 + 神経鞘
無髄神経: 神経突起 + 神経鞘

神経発達 (nerve development)


1. なし none
2. 散在神経系 diffuse nerve system
3. 集中神経系 concentrated nerve system
a. はしご状神経系 ladder-like nervous system (神経節神経系)

Ex. 基本的に昆虫の全てがはしご状

b. 管状神経系 tubular nervous system

中枢神経 central nerve: 統一・判断

→ 脳(大脳cerebrum、間脳、中脳、小脳cerebellum、延髄medulla、脊髄spinal cord)

末梢神経 peripheral nerve

伝達 = 感覚神経 sensory nerve、運動神経 motor nerve、自律神経 automatic nerve

無脊椎動物 invertebrate

神経単位の起源 origin of neurons =

上皮細胞 epithelial cell (神経支配を受けない独立な筋肉motorはある)

ヒドラの出芽の上下を決めるのは神経系

(Cf. 脊椎動物の極性決定因子としてneuronがある)

体節 articulation は線虫までない → Nematoda → 体節動物 Articulata

直交体理論 orthogon theory

神経系基本構造についての説
神経の集中化 localization → 体節となる

3つの集中
脳化 cephalization
局所化 localization
融合神経節 fusive ganglion

→ はしご状神経系
Trochophore: 実際には口が中部に開く Orthogon theory
III番目とIV番目の体節の間に口ができ、さらにdorsal, ventral側の変化起こる

前口動物: 神経が腹部に集中するため、進化には不利

→ さらに神経が全部に集中 = 脳 (cephalization)

神経塊の融合する傾向もある – 体節は維持されている

環形動物神経構造 (Neural structure of annelid)

介在神経 – 中枢神経の多く

A: giant nerve fiber system (巨大神経線維系)

Ex. Crayfish med.g.neuron

B: Interneuron (介在ニューロン)
C: Sensory fiber (知覚線維) and motoneurons (運動ニューロン) = on periphery

ザリガニ: 一方の刺激が他方にも起こり体を屈曲
軟体動物 (mollusca): 基本構造は同じ – 細胞体は全て外側
魚類
脳の側線に刺激が加わると体は曲がる = 魚は泳ぐ → 危険回避行動に有効(別仮説ある)

逆制止拮抗作用 (reciprocal inhibition antagonism): 両方同時に励起しない → 片方が励起すると他方の励起を防ぐ

角 setae, 抹消の distal

電気生理学 (electrophysiology)


時間分解能time resolution = 1 mS
空間分解能spatial resolution = 1 μm → chemical, optical (顕微鏡)
→ 時間と空間を両方よく分解するには(今のところ)電気的測定法 electrical measurement しかない
[神経細胞] → 興奮 → 電気発生
Ex. 脳波 (brain wave or electrical waves in the brain)

睡眠: α, β, θ, δ

睡眠中覚醒: REM期 (rapid eye movement)

催眠 hypnogenesis
瞑想 meditation: 特別な脳波出す

感覚機構 (sensory mechanism)


刺激と感覚

Sensory mechanism
反応に関わる細胞数が徐々に増える

1) ウェーバの法則 Weber's law
1831 Weber, Ernst Heinrich (1795-1878)
刺激の差を受けとめる閾値(弁別閾値 difference thresholds)を様々な刺激で求めようとした
Law ウェーバの法則: ΔS/S = Kw = constant

Kw ≡ ウェーバ比 Weber function or ratio
S: 刺激強度
ΔS: 識別できる最小変化
刺激の大きさが中位の時に成立 ↔ 極端に刺激が大きい(小さい)時にKwは大きくなる

. ウェーバ比 (鈴木・田崎・中浜 1972)
音高さ 音強さ 圧覚 深部感覚 光明るさ 味覚(塩) 臭覚(ゴム臭)
0.003  0.088 0.136   0.013      0.16      0.200         0.140

1860 Fechner, Gustav Theodor (1801-1887)
Law Weber-Fechner's law: 感覚量は閾値との比の対数に比例する

SR, ΔS = S' – S, ΔR = R' – R
仮定: 刺激の差に対し反応差も異なる

ΔR = k·ΔS/S (微分可能)
dR = k·dS/S (両辺積分)

R = klogS + a … (1)

Law Fechner's law: 感覚量は刺激の対数に比例する
Sを閾値(S0)の値で考えてみると

SS0 + ε (S0 = SのときR = 0) (1)式に代入
0 = klog(S0 + ε) + a
a = – klog(S0 + ε)
Rklog(S/S0 + ε), ε → 0 //

1953 Stevens, Stanley Smith (1906-1973): 感覚量をより量的に示す
Law Steven's power law
a) magnitude estimation
b) magnitude production
c) cross-modality test

R = kSn: 実験的に導かれた経験式(Stevens power function)

n: Stevens power

logR = logk + nlogS = k' + nlogS

2) 適刺激 adequate stimulus
刺激の種類 modality の差が適刺激かどうかを決める?
感覚器官の機能の差ではなく、中枢の差が感覚を決める(Mueller J 1926) = 感覚器官は共通である
→ 特殊感覚勢力 specific sensory energy

Ex. 眼球に刺激を与えた時、その質の差に関係無しに光を感じる
→ 筋肉収縮は、1) 機械的, 2) 化学的, 3) 電気的、何れの刺激でも起こる

3) 刺激要素
刺激: 種類 modality + 強さ intensity

+ 質 quality (Ex. 光 = 波長、音 = 周波数)

時間 time vs 空間 space

4) 閾値 threshold
刺激に対して閾値以下では反応しない → 閾値低いほど感度sensitivity高い

Sensory mechanism

最少可聴域 = 1000-4000 Hz

図1.4 ヒトの聴野。音周波数と、音として聞こえうる音の関係 (立田・三村 1981)

音波 = 音として感じる範囲は振動数にして16-20000回/秒
E = p2/dv

E: エネルギー W/cm², p: 音圧 dyne/cm², d: 媒質密度 g/cm³, v: 音速 cm/sec

ヒト: 2·10-4-102 dyne/cm²の音が聞こえる → 越えると音ではなく痛みと感じる

N = log(E1/E0) → Bell's unit
N = 10log(E1/E0) dB or N = 20log(p1/p0) dB

E, pどちらかで求められる

Cf. 心理物理学 psychophysics: 心理的に受ける感覚と物理的に受ける感覚の差を調べる

受容器電位と求心性インパルス

刺激の電気変換が受容器本来の役割 (transduction mechanism)
アナログ analog(振幅幅)の差 → [変換] → デジタルdigital (周波数)
受容器電位 (細胞レベル) receptor potential
ザリガニのstrech receptorで微小電極を差し込むことによりよく調べられる

細胞レベル = 活動電位 action potential = 衝撃 splice impulse

活動電位は興奮膜(細胞レベル)の特徴: イオンチャンネル ion channel – タンパク質による

Ex. 筋原繊維 (収縮)、神経単位 (+, -の逆転)等

Sensory mechanism
全か無かの法則 all-or-none law「限界値以上の刺激に対しては全力で反応(興奮)する」

被刺激性, 反応性(興奮性): 刺激が何であろうと成功すれば一定の変化
繰り返しの速さに符号化される → 一定にする仕組みは膜中にある

起動電位 (発動電位) generator potential [受容器/組織レベル]

受容器電位発生原因: 膜透過性変化、即ちNa+透過性増大が起こる。膜分極の電位が受容電位ではNa+の透過性増大で行なわれる
例外的にCa++透過性増大や脊椎動物光受容器ではNa+透過性減少 → 過分極hyperpolarizing receptor potentialが見られるものがある

tendon
1942 Bernhard et al.: 受容器電位は1細胞で発生

↔ 起動電位は1受容器で発生
筋紡錘 muscle spindle 起動電位は lignocaine (spike阻害剤)、フグ毒 tetrodotoxin (Na+-channel inhibitor) に阻害されない
刺激の対数に対し起動電位は比例する

a ↔ b: 脱分極
b → c (→ d): Na+ 活動電位
c → d: 過分極(不応期)

受容器での spike (impulse) 発生は連続
パッチニアン効果: 感覚器官の特性 – シュバン細胞Schwan cellという付属器官の効果

B. 効果器のあるときの電位
C. 効果器を除去したときの電位(正常電位となる)
B-Cの差が効果器の影響

インパルス(impulse)発生頻度と受容器の関係
全ての刺激は電気的イオンパルスの頻度に受容器上で変換されている
受容器順応 (adaptation)
順応速度
速い = 相動性受容器 phasic receptor ⇔
遅い = 緊張性受容器 tonic receptor
  1. 受容器膜自身
  2. spike initiation zone
  3. 付属器官accessory organ

の性質差で順応能力に差ができる

脱分極度合いの差 = spike initiation zone膜の違い

伝達物質解析法

1. 形態的解析: 色素 (Lucifer yellow, HRPO, CoCl2)使用

形態的、生化学的手法により伝達物質同定

2. 電気生理的解析 Ling & Gerael (1949)
3. 行動的解析
a. 吻伸長反射 probosis extension reaction Ex. ハエ、チョウ、ミツバチ

附節 sensory hair frousに餌が触れると摂食 → 味覚閾値分かる
Ex. アオバエ Phormia regina: 水十分に与え水への反応抑制し、その後糖濃度を変え反応観察し、50%の個体が反応する濃度を集団閾値とした
→ 行動的解析可能実証: ハエは各糖に対し閾値が異なる → 糖を区別

b. 学習行動

1914 Von Frisch
1927 Kuehn : ミツバチを異なる色調の所に餌を置き学習

→ 異なる色の所に餌を置く → 黄青紫を明瞭に区別

1956 Dawner: ミツバチをマーキング法により個体識別

Kuehnと同様の結果

→ ハチは集団レベル、個体レベルでの学習が可能
条件反射: 学習行動の一部 (行動的解析はヒトが如何に要領良く相手に行動させるかが問題)

b. 本能的行動

引き金trigger → 開放release
Ex. 蛾 moth → 性ホルモン sex hormone

興奮の伝導と伝達

伝導 conduction
興奮の細胞内の伝わり方 → 一般に内側が電気的に負

静止状態 resting state = 静止膜電位 resting potential (cf. 非興奮膜は常に静止状態)

細胞の興奮: 刺激を受けるとNaポンプが一時止まり、瞬間的にNa+が内側に多くなり興奮する

Sensory mechanism
1) Naポンプにより外が+、内が–になっている
2) Naポンプにより保たれていた安定が刺激により壊れ外(–)内(+)になる
3) Naポンプの働きがもとの状態になる
数mV-100 mV (1/10 V)の電位差

興奮の移動の速さ
無髄神経
有髄神経: 髄鞘のところは電気的に絶縁状態である – とびとび伝導(跳躍伝導)

Sensory mechanism
サイズ原理 size principle: 大きさや形により細胞の動作が決まる
→ 細胞膜だけでなく大きさをも変えて細胞の機能を使い分ける

ミエリン myelin: この範囲は電気を起こせない (受け付けない)

↔ ランビエ紋輪で起きた電位は、4-5個位先の節を刺激できる
面積的に4-5倍のsafety factorがある
= 普通は4-5個離れた膜も反応しうるのだが、遠いものが反応する前に隣にあったものが反応するので、順々に反応は伝わっていく

Sensory mechanism
axonがa:b = 10:1なら
右向きには刺激が伝
わるが、左向きには
伝わらない。a:b = 5:1
なら左にも伝わりうる

樹枝状分岐、樹枝状部 arborization

神経節接合部 nerve muscular junction
→ 伝達 – 紋輪部の電位逆転により進む
(神経)終板 end plate: 神経突起と作動体の隙間。間隙 = 200-300 Å → 大きくて丈夫
脊椎動物 = 1:1 transmission → 神経に活動電位が来ると確実に筋肉が変化

普段から少しずつアセチルコリンacetylcholineを放出 → [over flow]
→ spontaneous epp. (神経が刺激されると一度にアセチルコリンが出る) = 活動電位発生 → epp.
1個が4 mVのpacketを1つの単位としてepp.ができる
1発の活動電位 = 終板では平均0.93 mV → 0.93 mV/4 ≈ 2-3個のpacketを出すよう命令される
実際に出すのは1-数個

化学物質分泌による伝達 – 遅く疲れやすい

一方向へのみ伝達 (伝達組織は神経突起にしかない)

各部 → 中枢 [脳・脊髄] 求心性
中枢 → 各部 [筋肉、腺等] 遠心性

量子放出仮説 (quantum release hypothesis)
(実証できていない)
仮説の証明法 = 否定実験を否定する
仮定: 整数 integer (logical) →
ポアソン分布 Poisson's distribution, Px = mx/xem

x = number of packets (integer)
m = mean number of packets releasing → 動かす力の大きさ(出る数以上の力を出す場合もある)

m = (mean amplitude of response)/(mean amplitude of spontaneous m.e.pp.) ≈ –lnPx

= 0.93/0.4 (mV/mV) = 2.33

x = 1, 2, 3, …

n0 = miss
n1 = 198·2.33/1!·e-2.33 = 44
n2 = m/2·n1 = 52 → 実際には55
n3 = m/3·n2 = 40 → 36
n4 = m/4·n3 = 24 → 25
n5 = m/5·n4 = 11 → 12

→ この分布はポアソン分布 ∴ 整数
→ シナプスsynapseの化学物質は整数

この発表の5年後に電子顕微鏡観察からsynaptic vesicle (= release unit)観察
→ 結論: 化学的伝達物質 chemical transmitter (substance) – released as package (quantum)

単一伝達物質 single transmitter substances

→ 複数機能 multiple actions, e.g., exciting, inhibitory

デイルの法則 Dail's law: 1 neuron (cell)が刺激を伝える時は1つの伝達物質で行っている

→ 受け取る側の反応により機能が決まる
vertebrate: cholnegic, adrenergic system

アセチルコリン (acetylcholine, Ach)
= NMJ (neuro-muscular junction)
エネルギー変換energy transduction
形質導入 = transduction
シナプス synapse (= 神経節 ganglion)
神経連結部 neuromusclar junction
or nerve-muscle junction (N-M junction)
Collisian experiment (by Katz B): 終板のEPP (e.p.s.p.)と筋肉活動ポテンシャルを衝突させる

Sensory mechanism
M + N = MNとはならずピーク(= action potential)下がる
活動ポテンシャルは同じだからピークは等しくなるはず
→ NのピークはMのピークまで届かない
→ MNの刺激でNをMより遅らせる

促進 facilitation
学習と関連
自己促進 autofacilitation: 最初の刺激が次のより大きな反応を同一刺激でも招く
異質促進 heterofacilitation: ある場所で起こった刺激が別の場所の刺激反応を増大させる

馴化 habituationも当然起こる – 別刺激を与えると反応が回復する

逆促進 anti-facilitation

自律神経系 (autonomic nervous system)


脳支配からほとんど独立して自律的に働く神経
体性神経: 骨格筋を支配し運動を司る神経

中枢 = 脳幹脊髄系(最高中枢 = 間脳、特に視床下部) → 必ず一度synapseを形成してから作動体へ行く

シナプス synapse

1ヶ所に集まり、組織レベルでは瘤のように見え神経節と呼ばれる
神経突起末端と次の神経単位の樹状突起との連接部で、両者は膜に隔てられ、原形質のつながりがない
前シナプス pre-synaptic cell: 細胞1つ1つ分かれる = tissue surface of separation

末梢神経

感覚神経 = 受容体 → 中枢
運動神経 = 中枢 → 作動体

交換神経
脊髄近くでシナプスを作り交換神経節を形成し、より広範囲に作用。全脊髄腹根から出る。アドレナリンが末端分泌物質で、分解遅く長く神経に作用するが伝達遅い。アドレナリンは副腎髄質で分泌促進される
副交感神経
臓器の直ぐ近くでシナプスを作る。より局所的に作用。中脳(動眼神経)、延髄(顔面神経、迷走神経)、せん髄(せん髄神経)から出る。末端分泌物質はアセチルコリンでインシュリン分泌を促進する
→ 交感神経と副交感神経は互いに逆の状態を作り出す(拮抗的作用)。交感神経は異化的(活動的、闘争に適した状態)に、副交感神経は同化的(疲労回復的)に働く
表. 交感神経と副交感神経の作用                                                          
器官               瞳    汗腺 心臓  細小 血圧 冠状動脈 呼吸 消化器 立毛筋
                                               動脈          (心臓)     運動                        
交換神経       拡大 促進 促進 収縮  上昇 拡大        促進  抑制   収縮
副交感神経   縮小 抑制 抑制 拡大  下降 収縮         抑制 促進    師管    

走性 taxis

外部刺激持続中は、その刺激に対し一定方向に移動する、型にはまった行動
神経系の見られない単細胞生物(Ex. ミドリムシ)や精子にも見られる
正(+)の走性: 刺激の方に近づく ↔ 負(–)の走性: 刺激から遠ざかる

走光性 phototaxis = 光
走化性 chemotaxis = 化学物質, 走流性 = 水流
走地性 geotaxis

機構による分類

屈曲走性、転向走性、目標走性、保留走性、記憶走性

シナプス小胞 synaptic vesicle

1976 Dunant: オペレータ仮説

= シナプス小胞にある化学伝達物質(ACh)は放出関連に直接関係ない
シナプス伝達 synaptic transmission: 極性 polarity, 酸素依存 oxgen dependent, 弱応答 weak correspondence
仮説1) 電気的シナプスelectric synapse (ephapse): ionic current speed = spark theory

人工的に生じた信号の回り込み

仮説2) 化学的シナプスchemical synapse: secretion of chemical substances (neuro-secretion)

Ex. Crayfish lateral segmental neurons (septate synapse)

化学的伝達 chemical transmission
1900- Langley J: アドレナリンadrenarineやエピネフリンepinephrineを犬等に与える

→ 交感神経系を刺激した時と同じ効果が表れる

1905 Elliott TR: アドレナリンを神経末端から放出していると予測
1910 Dale HH: コリン誘導物質cholin derivativesの効果 ≈ アセチルコリン
1921 Otto L: heart perfusion experiment on frog
1936 Dale HH: skeltal muscleからアセチルコリン確認

神経モデル (neural model)


(Enquist & Arak 1998)

ニューラルネットワークモデル neural network model

動物神経系を模した非線形モデル
従来型電子計算機

欠点: 入力信号が少し異なると全く異なる反応をする「堅い」応答

→ 「柔らかい」応答を行う計算機プログラミング手法開発 = ニューラルネットワークモデル

= 非線形応答を行うモデル化されたニューロンを最小ユニットとして持ち多数のニューロンが結合された物
実際の神経系同様に、学習・記憶能力を持ち般化性を示す
頻繁に用いるニューラルネットワークは、複数ニューロンが層状に配置され結合されたもの

信号入力層(入力層) → 中間層(隠れ層) → 出力層
層間ニューロンは重みweightで結合 → 学習はこの重みを適切に変更し行われる

非線形応答を行うユニットを多数組み合わせ、他変数からなる複雑な応答を柔軟にとらえられる
高実用的応用性 → 工学分野で構造・学習アルゴリズム研究進む
生態学: 多変数系記述する現実的モデル Ex. ♂の派手な形質は、ある学習実施後の感覚系に現れる偏りと超正常刺激により進化(Enquist & Arak 1998)

[ 人体解剖学 ]

感覚器官 (sensory organ)


動物で外界の刺激を取り入れるための特別な器官

感覚の機能的分類 modality

モダリティ(種) modality or mode: 移行が起こらない全く異質の感覚

– エネルギーの種類が異なる

五感 alistotelian five sensory = 5 kinds of modality (+ 平衡感覚、内蔵感覚) 表. 受容器の型 (type of receptors)
  • 種類 = 受容器 (ヒト): 刺激 [感覚内容]
  • 視覚 vision = 視覚器(眼): 電気的刺激(光) electro- [明るさ・色・形・動き]
  • 聴覚 audition = 聴覚器(耳): 機械的刺激(音) mechano- [音大きさ・高さ・音色]
  • 味覚 taste gustation = 味覚器(舌): 化学的刺激(水溶性物質) chemo- [酸、塩、甘、苦、旨味]
  • 臭覚 olfaction smell = 臭覚器(鼻): 化学的刺激(揮発性物質) chemo- [各種]
  • 触覚 touch:
    皮膚感覚: 機械的刺激(圧)、侵害刺激、電磁的刺激(熱) [触、圧、温、冷、痛]
    深部感覚: 機械的刺激(張力) [運動・挙重感覚(筋感覚)]
  • 平衡感覚:
    平衡器 (耳): 機械的刺激(頭部運動) [加速度感]
    側線器 (魚類 = 側線管)
  • 内蔵感覚: 機械的刺激、化学的刺激、侵害刺激, 飢餓感 [渇き、吐き気、便意、尿意、内臓痛]

受容器 receptor

外部受容器 exteroceptor
内部受容器 enteroceptor (interoceptor): 血圧、酸素分圧、二酸化炭素分圧
a) 刺激受容器
求心神経の種類で分類
1. 特殊感覚 specific sensation

脳神経 cerebral nerve: 12対の神経が出て行く – 味覚, 臭覚, 聴覚 (前庭覚 vestimber sense), 視覚

2. 体性感覚 somatic sensation (somesthesia)

脊髄神経 spinal nerve: 31対

皮膚感覚cutaneous sensation: 圧覚、触覚、温覚、冷覚、振動覚、痛覚
深部感覚deep sensation: 筋肉、筋膜、腱、靭帯 → 姿勢覚、痛覚、運動覚、重量(抵抗)覚
感覚性の刺激は背根dorsal rootを通っている (腹根ventral root: 運動性刺激)
頭 = 8, 胸 = 12, 腰 = 5, 仙骨 = 5, 尾骨 = 1: total 31対

3. 内臓感覚 visceral sensation

自律神経系を経由する感覚。交感神経が主
臓器感覚 organic sensation: Ex. 空腹感 → 食欲、渇き、悪心、便意、尿意、性欲
内臓痛覚 visceral pain

b) 刺激エネルギー
刺激の差と受容器の差による分類
  1. 電磁場感覚 electromagnetic radiator reception: 輻射腺 radiate reaction (radiate, adj 放射状の, -に広がる), 光受容 photoreception, 温度受容 thermoreception, (赤外線受容 infrared reception)
  2. 機械受容 mechanical reception: 音受容 phono-reception, 振動受容, 重力受容 gravity reception, 圧力受容 pressure reception, 張力受容stretch reception / 平衡受容equilibrium reception
  3. 化学受容 chemoreception: 臭覚、味覚
  4. 電気受容 electroreception: 電場変動を受容
  5. 磁気受容 magnetic reception: 磁場の変動、地磁気の方向を感知
1926 Sherrington: 感覚は投射された形で出てくる

1. 外受容器exteroceptor

遠隔受容器teleceptor: 視、聴、臭 / 接触受容器contact receptor or taugoceptor: 味、温度

2. 内受容器interoceptor: 臓器、内臓感覚 – 内部受容

ヒトでは無感覚 Ex. 緊張力受容器

Law. Mueller's law of specific energy (Mueller 1826)
= specific nerve energy law

receptor
図. 脳の機能分担地図

光が入ったことが光を感じる原因ではない
→ エネルギーが神経を通ったことが原因

⇒ 光がそのまま伝わるのではなく、ここで一度特有の物に置き換わる

Hubeland & Wiesel: 局在部位で、処理がどのように行われているかを調べた

self (conscious) spery: 右脳と左脳で何が行われているのかを述べた

von Helmholzが種modalityと言った移行しない感覚の種 – 質quality

種の中で移行するもの → 色、速度、音色と高さ → 心理物理 psychophysics

機械受容器 (mechano-receptors)

重要な引き金cueの1つ

光受容器官 (視覚器官, photoreceptor organ)

電磁場受容: 光と生物
6 × 1023 photons → organic reaction: 15-65 kcal/mole (1900 nm-440 nm)
光化学 photochemistry: タンパク質, 核酸, 高分子物質

光形態形成 / 光屈性 / 走光性 / 光周性

一般には目eye = 受容器細胞 + 付属組織 ← 特定部位に集団形成
分散光受容器 scattered photoreceptor, 神経光受容器 neural photoreceptor
A. 皮膚受容器 dermal photoreceptor

Ex. ミミズ、ナマコ、フジツボ、二枚貝(水管) – 陰影反射

負の走性や点光源に対する反射により光受容器の存在が確認できる
B. 神経光受容 (電気的実験により分かる)

Ex. 甲殻類Decapoda: ザリガニの第6腹部神経節に光刺激を与える
Ex. 軟体動物: 後鰓類、アメフラシ、イソアワモチ
Ex. ミドリムシEuglena (鞭毛虫類)

眼点 stigma – 現在否定。むしろ光が来ないようにシールドしている
側鞭毛小体 paraflagellar swelling (or body): これが光を感受する

1. 眼点 eye spot: 最も単純構造。色素細胞存在

Ex. Planaria: 光の明暗の差のみを感受。ヒモムシ、ヒトデ

2. 杯状眼 cup eye: 原理はピンホールカメラ pin-hole camera

Ex. 軟体動物、アワビ

3. 単眼 simple eye: レンズ → 光量が下がるのをレンズで補う
a) 昆虫 ocellus

レンズ lens: 表皮性細胞分泌物が固まりレンズになる。単眼は固定焦点で結像能力低いが、ある範囲のものは明瞭に見える Cf. 脊椎動物のレンズは細胞起源
網膜存在

背単眼 dorsal ocellus: 成虫
側単眼 lateral ocellus: 幼虫 Ex. Orychephora, Helix

b) カメラ眼 camera eye: Ex. 単体動物、頭足類(イカ、タコ)、ヒト

レンズの厚みを変える能力を有する。神経が集中
非細胞性のレンズ → 脊椎動物のレンズと相似器官

4. 複眼 compound eye

Arthropoda (Crustacea, Insecta)
個眼 onumscatium(-a): 複眼の1つ1つの眼。数10-数千
連立像眼 opposition eye: 昼行性photopicに多
重複像眼 superposition eye: 夜行性scotopicなもの Ex. 蛾
角膜レンズ corneal lens

Exp. フォン・フリッシュ

1) ミツバチ: 巣近くに蜜を塗った青紙を置く → ミツバチは蜜採取繰り返す → 赤紙と青紙を並べる → ミツバチは青紙に集まり赤紙に向かわない
2) 青紙のほかに濃さの違う灰色の紙を混ぜ同様の実験を行なう → やはり、青紙に集まる
[結論] 学習と色識別できる
昆虫の視覚域は、ヒトとかなり異なる → 花色進化

視神経 (nerves optics)
正確な意味では脳神経ではない。網膜が眼胚optic cupから発達するので経路に相応。ヒトでは視神経は100万本以上の神経線維からなり全脳神経の38%(Bruesch & Arey 1942)
感棹 rhabdom, 感棹小体 rhabdomea

→ 分散型open type, 融合型 closed type
融合型: 集合型と重合型があり、重合型は偏光識別のために分化(進化)してきた眼

明暗調節
a) 虹彩による調節: 光の強さにより虹彩が反射的に変化する

明るいとき = 瞳縮小, 暗いとき = 瞳拡大

b) 視細胞の明暗順応: 棒細胞中に含まれるに rhodopsin = 紫紅色物質

ロドプシン: 光に分解され、そのとき生じる化学エネルギーが刺激となり棒細胞が興奮
明順応 light adaptation: 明所ではロドプシン分解され、光に対する反応が鈍る(ロドプシン = 無色)
暗順応 dark adaptation: 暗所ではロドプシン合成され、光に対する感度が増す(ロドプシン = 紫紅)

→ ビタミンA不足 = ロドプシン不足 → 夜盲症

[光] → ロドプシン →→→→ (分解) → エネルギー → 大脳視覚中枢
____(合成)↑___(合成)_________
____ビタミンA ↔ レチネン retinen (retinal) + タンパク質

吸収スペクトル absorbtion spectra
視物質visual pigmentの最大吸収波長(λmax): 視細胞: 動物により受容波長異なる

1. 発色団chromophoreの違い
2. 種によるopsinの違い
3. 同一種(同一網膜)内でのopsinの違い

脊椎動物の視物質のλmax → 分類方法

P(pigment), C(cone), R (rod) 5001 (500 = λmax), 1: 発色団番号
spectra

計る度に光があたるのでrhodopsin減りopsin増える。Opsinが増えた状態で脊椎動物ではcis rentialを加えると1回目の状態に戻る
無脊椎動物ではopsinとrentinalが離れないので自然に戻る

Rhodopsinはあまり抽出されない
Microspetrumよりconeのvisual pigment (= rhodospin)も見つかる

V-A1 = rentinal1: rentinal1 + opsin = ordinal rhodopsin, rential1 + cone's opsin = iodopsin
V-A2 = rentinal2: rentianl2 + opsin = porphyopsin (fish, amphibian), rentinal2 + cone’s opsin = not exist

三色説 Young-Helmholz trichomatic theory

3原色 = 人間が感ずる色は全て3つの色で作ることができる
実際に440 nm, 530, 570の3要素 – 仮説は正しい → 色識別はイオドプシンiodopsinが担当

視物質と光受容膜

視物質 = 双極視 dipole
吸収の理論値 = 1.5倍 ↔ 実測値 = 1.37倍
単色性 – 2色性: 偏光に対する差による

対比色 contrast color
残像 after-image

陽性残像 Ex. 電灯を見て電灯を消すと電灯の姿が明るく残る  陰性残像: 暫くするとそれが黒く見える

聴覚器官 (auditory organ)

音受容器 phonoreception (distance sense) ⇒ 陸上生活後に進化: 聴神経 auditory nerve
ジョンストン器官 Johnston organ: 昆虫聴覚器官。触角基部にある構造

空気振動による触角の微小な変位を検知
ジョンストン器官には張力検知細胞が数百あり、脳下部にある一次感覚野へ投射する

遮蔽効果masking: 2つ以上の音を同時に聞くとき、低音は高音を遮蔽しやすい

臭覚器 (olfactory)

臭覚: ガス状の化学的刺激が臭腔の粘膜(臭上皮)にある臭細胞によって受け取られる
昆虫の臭覚器の構造と分布
一般に(殆どの)触覚antennaに分布
構造は臭覚の持つ意味により異なる。例えば、一般に臭覚は雌より雄の方が発達している
臭受容器: 2種類

specialist: フェロモンに有効。極めて特異性高い
generalist: 応答の仕方(興奮・抑制)を変える事によって刺激を識別。各細胞の反応パターンが異なる

中枢応答パターンより刺激が推定できる
[電気応答]
昆虫の臭覚閾値と識別能はヒトと共通している点が多い
EAG (electro antenno gram)が良く用いられる
刺激によって+, -, ±の反応系がある。また、反応度も異なる。動物種によっても異なる

平衡器 static organ: 耳

味覚器 gustatory organ

液状の化学的刺激(水や唾液に溶けた分子やイオン)が味覚乳頭という小さい突起の側面に並んでいる味覚芽の味細胞で受け取られる
[分布と構造] 味蕾 taste bud の分布
  • 魚類P isces: 極めて多く分布
  • 両生類 amphibia: 限定箇所に分布。舌: 400-500味蕾
  • 爬虫類 reptila: 舌に僅かに分布
  • 鳥類 aves: 舌基部、咽頭
  • 哺乳類 mammal: 3種の味蕾が異なる分布
魚類: 口腔(口蓋palete)、鰓、咽頭pharynx、食道、ヒゲ、口唇、体表などに広く多く分布

茸状乳頭 fungi form papillae, 葉状乳頭 foliate papillae, 有郭乳頭 circumvalate papillae, (糸状乳頭 filiform papillae)

哺乳類: 茸状乳頭, 葉状乳頭, 有郭乳頭があり、それぞれ味覚上の役割が異なる

舌以外: 口蓋、喉頭蓋epiglottis、喉頭、食道上部 – 機能はよく分かっていない

味蕾を電顕観察: I型: 晴細胞, II型: 明細胞, III型: 味細胞(昔は暗細胞), IV型: 基底細胞

刺激は味孔から入る
I型: 味孔部に埋める反応物質を分泌
II型: 滑面小胞体が目立つ
III型: 有芯小胞cored vesicle (80-100 nm) + シナプス小胞synaptic vesicle = 味細胞taste cell1。味孔の部分に微繊毛microvilli有し、味蕾周囲細胞perigemmal cellsが回りを覆う
I-III型の細胞は基底細胞から分化していく

1967 Smallman & Beidler

3H-thymidine labelにより、味蕾中の細胞は絶えず入れ替わって(turnover = 250 hr)いることを確認

[脊椎動物における味刺激と基本味]

L-alanine, L-glutamineなどは10-12M程度で閾値を示す。ヒトでは反応を示す化学物質は数千種ある
ヒトにおける4基味four basic taste: 塩味(NaClのみ)、酸味(HCl, CH3COOH, H+の味)、甘味(sucrose, 多糖化すると甘味は落ちる傾向)、苦味(キニーネ、アルカロイド)の4種
Ex. 酸味の心理実験結果: 酢酸 > 蟻酸 > 乳酸 > 蓚酸 > 塩酸
Ex. 甘味: タンパク質 = タウマチン(I 21000 + II 20400), モネリン(10700)
→ 化学物質と基本味との統一性は今のところ見出せない

味覚反応実験法
1. 二瓶選択法two-bottle choice test = 嗜好がわかる
2. 学習実験: ratの学習実験
1894 Kiesow: 舌先 = 甘, 舌根 = 苦, 舌側 = 酸, 舌全体 = 苦
1959 Cooper et al. 1976 小川

老化すると味の感覚が鈍くなる – 60歳前後か?

表18.2. 味覚閾値(%濃度)の年齢による差。n: 被験者数 (Cooper et al. 1959, 佐藤 1982)
  年齢 (n)      15-29(25)  39-44(16)  45-59(23)  60-74(27)  75-89(9)
  食塩          0.071      0.091      0.110      0.270      0.310
  ショ糖        0.540      0.522      0.604      0.970      0.910
  塩酸          0.0022     0.0017     0.0021     0.0030     0.0024
  硫酸キニーネ  0.000321   0.000267   0.000389   0.000872   0.000930
1964 Kalmus: 味盲tasste blindness存在

→ 否定 = 濃度によって必ず反応する
ただしPTC味盲のように味への対応に差のあるものがあり、これは遺伝的に決定されるものらしい

1973 McBurney et al.: 味蕾は年齢に伴い減少する
1974 Collings: 米国人: 甘味に関してはKiesowの結果を否定。他も疑問

= 日本人でも同様の結果(佐藤 1982)

[昆虫の味覚器の構造と分布] 構造と分布:

1. 口器 trophi, mouth-parts
2. 肢の附節 tarsens
3. 触覚 antenna
4. 産卵管 oripositor

味覚: 味孔taste pore = 0.05 mm
tormogen cell
生毛細胞 trichogen cell
神経鞘細胞 nearilemma cell

昆虫(ハチ)の味覚閾値とヒトとの比較: 行動学的方法で調べた → 糖、酸ではハチの方が低い

味覚器の電気的応答
1966 Morita & Yamashito: side wall recording開発

唇弁に各溶液を与え、応答有無を観察 → 糖、塩(1価塩)、水、塩(脂肪酸のNa塩)で応答受容器が異なる

各受容器 = 糖受容器、塩受容器、水受容器、(塩受容器は脂肪酸Na塩応答弱く確証乏しい)と呼ぶ

附節によって感度が異なる
B型: 糖受容器のみ、または水受容器のみ
C型: 糖受容器 + 塩受容器
D型: 糖受容器 + 2種の塩受容器

糖刺激が一番大きなインパルスを受けているので観察しやすい

3種の受容器と摂食行動
受容器反応と摂食行動の型
糖: ハエ(オオクロバエ = アラビノース、キシロース、イエバエ、クロキンバエ = フコース) – 摂食後消化不可能なものでも反応し摂食行動をとる

ショ糖 = 1.8 × 10-3 M, 果糖 = 8 × 10-3 M, ブドウ糖 = 9 × 10-3 Mの値で反射(吻を出す)が起こる
この濃度でインパルスを出すのはD sensory cellのみ → 吻反射には1つの型(D)の感覚細胞だけが反応すれば良い

塩: 一定濃度越えると拒絶(吻出さない) - 塩の種類により拒絶濃度異なる

ハチ: LiCl > NaCl > KCl > NH4Cl > MgCl2 ≥ SrCl2 > BaCl2 > CaCl2 (同結果はニクバエでも得られた)
センニクバエ、オオクロバエ、アカタテハ: KCl > NaCl > RbCl > CsCl > LiCl, 2価の塩には反応なし
結果として電気的応答と摂食拒絶行動は似たようなものであった
⇒ 塩受容器の反応は塩摂食拒絶行動に結びつく

+ 糖と塩を混ぜて与える → 塩濃度が高いと摂食拒絶 → 塩受容器は摂食拒絶行動に結びつく。混合摂食のときに糖受容器は応答している

感覚器(感覚子) sensillum

皮膚表面に感覚点が分布
壷状感覚子 sensillum ampullaceum
鐘状感覚器 sensillum basiconicum (sensillum campaniformium, campaniform sensillum)
弦音感覚器 chordotonal sensillum
    感覚  感覚点                              分布平均数/cm2
    圧覚  圧点   マイスナー小体、パチーニ小体    25
    痛覚  痛点   神経末端                       100-200
    冷覚  冷点   クラウゼ小体                     6-23
    温覚  温点   フツフィーニ小体                 2

側線器(官) lateral-line organ

水生脊椎動物機械受容器: 無顎類、魚類、両生類(幼生・水生)体表にある
側線管器: 側線管や溝が皮下を縦走し、遊離感丘(大孔器)が皮下に埋もれ管状器官中に収まり、所々で側線孔で外部に開孔
遊離側線器 (free lateral-line organ): 体表に線状/点状に存在し、体の比較的表層に孤立した遊離感丘が頭部から尾部に並ぶ

筋紡錘 muscle spindle

哺乳類: 構造・機能

感覚生理学 レポート (動物生理学講座 鈴木教世, 1983年秋)
  1. 光受容器(視覚器)は光で刺激されるのは当然として、圧、熱、電気によっても刺激され得るが、受容器の刺激受容特異性の考えと合致しないように見えるが、この点を神経興奮の機構などから説明せよ.
  2. 受容器細胞におけるエネルギーの吸収から感覚神経(求心性神経)におけるインパルスの発生までの過程についてどれかの感覚器における例をとって説明せよ.
  3. 中枢神経系に送られる感覚情報はすべて、似た様な性質の神経インパルスの形をとるが、それでは中枢神経系は様々な刺激の質(modality)の中からそれらの情報をどの様に区別していることになるのか。
  4. 感覚の順応現象について、それがどの様な神経機構によって起こり得るのか説明せよ。
動物生理学II
自分より1学年下のヒトが読んで内容がわかるように書きなさい。
  1. 神経繊維から他神経細胞へ活動電位を伝達するには特別な膜装置を必要とするが、これを量的に示せ。
  2. 脊椎動物筋終板では運動神経末端から化学伝達物質が一定量の小包状で放出されている。この事を結論付けている実験方法、観察結果、帰納論理を示せ。
  3. 神経細胞が情報を伝達し統合するにあたってどの様な種類の動作をするか概説しなさい。
  4. 脊椎動物の中枢神経の”上位脳”と”下位脳”について説明しなさい。
動物生理学II

明瞭な文章で答えよ(1982. 12. 10)

  1. 動物の光受容器の「型」について述べなさい。
  2. 感覚神経の外界の刺激の種類、質、強さをどのようにして中枢神経へ伝えているか?
  3. Tendon junk reflexとは何か? 現象と生理学的意義を述べなさい。
  4. ヒト網膜では、杆細胞1個を興奮させるにはphoton 1ヶで十分である事が知られている。この結論にいたるには、又はこの結論を否定するには、どのような手続きが必要か? 実現可能な実験計画を作れ。
フッター