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(2019年3月30日更新) [ 日本語 | English ]

心理学 (psychology)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

心理学とは

言葉の意味

psychology(英), Psychologie(独)
語源 ギリシア語: φυχη (プシケ, 蝶) + λογ (ロゴス)

蝶 = ギリシア神話の娘 → 心 → 移り変わるもの
心理学 = の原理を探る学問

意義

心の内容(定義)如何で心理学の意義が変わる
→ 「心とは何か」を巡って幾変遷を重ねてきた
心とは!
0. 「霊魂」soul, spirit
古代人・未開人・小児・詩人・時に普通人の考え方

霊魂は肉体と独立に存在する実態substanceであり、種々なる能力を持つと考える
原始的霊魂信仰の基礎をなし、心霊学 psycosophy、超心理学 parasychology、遠隔感応、テレパシーtelepathy、心霊現象 spiritism、呪術現象 occultism 等の形を取る
非科学的非客観的 = 形而上学で経験的(客観的)研究に耐えるものではい
→ 漸次「霊魂なき心理学psychologie ohne seele」に進まざるをえない

1. 「心」そのもの
心の実体は認識能力や欲求能力を持つ(精神能力分類) → 能力心理学 faculty psycology
2. 「意識」consciousness
19c 近世経験主義哲学 mental philosophy から出発 "Psychology is the youngest daughter of philosophy"。経験論的立場から見れば心は直接に経験している。この意識しかない mind

→ 意識心理学(内省心理学)consciousness psychology
19c後半: 近代自然科学の諸方により客観的に研究するのを心理学と言うようになる
1879 ブント(W Wundt 1832-1920): ライプチヒ大学に心理学実験室創設 = 象徴的出来事
[意識の実験] = 内省法(自己観察) introspectionで研究(ブント心理学) - 構成心理学
同様にジェームズ(W James 1842-1910米): 意識の流れを研究 = 「心理学: 意識状態を記述説明する」
機能主義 functionalism 『ユリシーズ』stream of consciousness - 機能心理学
→ 意識の客観的研究の困難さ(意識を言葉に直し正確に語ることは難しい)と、意識概念の狭隘さとの理由で衰え、「意識なき心理学」psychology without consciousnessに進む
→ 20c初頭: 行動主義心理学出現

3. 「行動」(Watson JB 1878-1934)
「Behavior」(Watson 1914)が先駆。心理学を行動の科学と定義し、対象を客観的観察可能 observableな数量的測定可能 measurable な外的行動over behaviorのみに限定し、それがいかなる[刺激 stimulus, S]条件の時にいかなる[反応response, R]として生起するかという原理・法則性を解明すべきであると主張

→ 行動主義behaviorism (S → R) / 新行動主義(S → O → R)

索引
4. 「心的活動」mental activity
行動と意識の表裏一体のもの。意識を客観的に研究できる方法は、「質問紙法 questionnea」や「投影法検査 projective tests」等がある。意識概念の狭隘さに対する修正としては精神分析学(Freud 1856-1939)の提唱。心を意識しただけではなく前意識 pre-consciousness、下意識 sub-consciousnessという三層構造によると考える。全体としての心的活動研究が現代心理学の任務といわれる
5. 「人格」personality, or 「人間性」human nature
更に意識も行動もある。即ち心的活動全体が必ずある。人間がそれ(心)であり、その人の「自我」に統一されているものであるから、その統合的統一形態の活動「主体」の性質natureこそ心理学研究の対象でなければならないという考え
→ 人格(性)の科学としての科学こそ心理学といわれるようになってきた

Ex. シュテルン(W Stern 1871-1938 独人だがナチ迫害を避け米国亡命)は、「人格」とは独特かつ固有価値を有する実在的な統一体と目標追求的goal-seekingな「自己活動性を形成しようとする存在である」と定義

定義

生活態の経験(意識)と行動を支配する原則と法則を探求する実証科学positive scienceである。従って、その任務は生活態の意識と行動について予言predictionと統制controlである

分野(区分例)

基礎心理学basic psychology

一般心理学 general psychology: 正常な人の心理を調べたもの
動物心理学 animal psychology
発達心理学 developmental psychology: 胎児-死
児童心理学 child psychology
青年心理学 youth psychology
老人心理学 old-person psychology: geretology分野から発達
社会心理学 social psychology
性格心理学 personality psychology

応用心理学applied psychology

教育心理学 educational psychology
臨床心理学 clinical psychology / 相談心理学 counseling psychology
産業心理学 industrial psychology (近年重要視され更に分化)

能率心理学 efficiency psychology
経営心理学 management psychology: 職場の人間関係を研究
広告心理学 advertisement psychology: Ex. SP広告 subliminal

司法心理学legal psychology

犯罪心理学 criminal psychology
裁判心理学 forensic psychology
矯正心理学 correctional psychology

災害心理学 disaster psychology

認知科学 (cognitive science)

情報処理の観点から知的システムと知能の性質を理解

心理学 (認知心理学, 進化心理学, 文化心理学) + 人工知能 + 言語学 + 人類学 + 神経科学 + 哲学

人間になること (to be human)


カント (Kant): 「人間が人間になるのは教育の力による」
「教育」を環境条件、経験、あるいは学習と言い換える = 「人間になる(人間生成) becoming of man」条件を知り、それを「人間にする(人間形成 forming of man)」やり方に適用することを意図 (藤野 1961)

人間生成過程

                人格 personality
            [統合]  ↗      ↘  [場面]
        学習 learning  ←  行動 behavior
                     [効果]
行動(人間生成)研究方法
A. 行動観察 behavior observation: 写真、映画,録音
a) ソシオメトリーsociometry (Moreno 1942): 集団行動や個人の集団内の地位を数量的に理解する方法
  1. 質問紙法 questionnaire
    面接 interview
  2. ソシオグラム(交友図) sociogram (Moreno 1942) → ソシオマトリックス(覧表)socio-matrix
    Ex. 太実線矢印 =人気者、実線矢印 = 友人、破線矢印 = 拒否児・孤立児 + Guess-Who test
  3. 交友指数(ソシオインデックス socio-index)
    相互作用指数 interaction index, I = C/(N(N - 1))

    C: 選択数, N: 集団の人員(人数)

b) 深層分析 (Freud): ヒトの行動には必ず原因がある
  1. 連想検査: 連想傾向を知り、人格理解を助けようとする方法
    1. 文章完成法 sentence completion test: どうもこの頃の世の中は → 「–」、私の父親という人は → 「–」
    2. 自由連想法free association: フロイド派が重視する精神分析手法の1つ。次々と連想を続け、連想の流れが壁にぶつかり進まなくなる(抵抗) → その次のものが現われると不快となる
    3. 絵画フラストレーション法 picture frustration test (PFT): 他罰型・自罰型・無罰型
    4. 実験: 刺激語(S) → 反応時間 → 反応語 Ex. 桜 → 0.1秒 → 花, 喧嘩 → 0.5秒 → コンパ
  2. 夢分析
B. 事例研究 case study と事例史 case history
C. 統計的分析 statistical analysis

Ex 因子分析 factor analysis (Spearman: CEの知能分析)

行動の過程 (人間生成の過程)

行動はどうして起るのか
行動 behavior
生物(含植物)が外界に対し能動的に行う運動や変化を、その個体にとってもつ意味を裏付けとして行動という。個体が環境に対し全体として働きかけること(= 反射との違い)

Ex. 合目的行動: 餌探索、同種間・雌雄間連絡、外敵(天敵)連絡、産卵場所選択、棲息場所選択

行動の諸相
動作 action: 行動の中で外部的に表出された行動
行為 conduct: 動作の中で動作前に意志決定がなされ、それが自覚されている場合(意図的動作)
活動 activity: 行動に似るが行動の方がより生物全体としての動きを表す
A) 生得的行動
1) 適応行動 adaptive behavior: 遺伝的・生得的個体維持・保持に適う行動
a. 調整行動 adjust behavior: 環境変化に即応して可変的に示される行動
b. 条件行動 conditioned behavior:

一定刺激に対する固定的な反射(反応)が生得的にある場合、他の不関刺激によって条件付けされて成立する行動

c. 学習(性)行動learned behavior: 経験によって行動が変化する過程
2) 生得(性)行動 innate behavior: 合目的な一塊の行動

Ex. 走性 taxis, reaction, 反射 reflex (stereotype)
acquired behavior: habituation, associative learning, insight learning

3) 反射行動 reactive behavior, spontaneous behavior
B) 学習行動
a. 個体行動、伝達行動あるいは社会行動 individual behavior, communal behavior or social behavior
b. 一次行動・二次行動 primary behavior, secondary behavior

実際の野外行動個々 → 生得的か学習かを区別することは難しい

行動の種類

A. あらわな行動と隠れた行動
あらわな行動 over behavior: 外部から観察されうる行動
隠れた行動 covert behavior: 間接にしか外部からは知り得ない行動
B. 行動の機能による種類
1. 認知的行動 cognitive behavior: 感覚、知覚、統覚、幻覚等
  1. 感覚 sensation: 刺激を感覚器官から感受。生物が機械だとすれば、感覚は情報解析、処理、統合を行なうこと
    抹消神経の生理的過程を分離抽出したもの。感覚器官の構造機能が認知全体に大きく影響を及ぼす
    視聴覚異常: 意外と多い。知能 intelligence、学力、個性全体に影響を与える
  2. 知覚 perception: 刺激の源を対象として客観的なものとして認識する
    「知覚像」percept: 感覚器官から入って来た外来刺激を迎え、全体が新しく組み立てる認知活動(組み立てられた外界像)
    Hilgard ER 「知覚の目的は、第一に環境を安定に保つこと、第二に対象を明確にする」ということである
    (知覚) = (刺激条件) × (主体的条件)
  3. 認知 cognizing: 知覚により生じたものを過去のことから判断整理し有意味なものにする過程

    ≈ 暗黙のtractもしくは非明示的なimplicit知識 (Chomsky 1980)

    c'. 統覚 apperception: 主体的条件の優性となった場合の認知
2. 観念的行動 ideational behavior: 生きていくことは「適応adjustment」である ↔ maladjustment
心像・観念・概念等が刺激に応じ再生し(連想)し、それらが単純な再生以上に、分解、再構成、組み合わせ、等の複雑な加工をしつつ進行(想像)したり、その加工が問題解決という一定の目的に沿うよう統制(思考)されたりする様な心の働きを一括していう。普通「知的行動」といわれ「頭の働き」と言われるもの
a. 観念的行動の素材・材料

i) 知覚像 percept
ii) 残像 after-image
iii) 直感像 Eidetik(独)
iv) 心像 image
v) 観念 idea
vi) 概念 concept
i-iiiまでは観念的行動の素材ではなく、認知的行動の成果である。しかし、間接的には観念的行動の材料となる。iv-viは、これらこそ観念的行動の素材である。after-imageとimageの中間のものがEidetikである

b. 観念的行動の種類(相似的構造を持っているもの)

i) 連想association

ある刺激に応じ、心像・観念・概念等が意識consciousnessに生起 Ex. 言語連想(一語連想)

ii) 想像imagination

連想により次々と起こる心像や観念等が、分解・統合・組み合わせ等の加工を受け、全体として新しい意味のあるまとまりが創り出されること。想像の傾向を知って、人格の深部を理解する方法を取る
想像を通して人格理解に至る調査方法

主題統覚検査 thematic apperception test (TAT)
同児童版 children's apperception Test (CAT)
物語完成法 story completion test

iii) 思考thinking

思考操作: 分析、統合、比較、弁別、一般化、体系化、抽象化
→ 概念構成、判断、推理 (試行錯誤、仮説検証、代理体験) → 問題解決
思考の効率化: 符牒づけlabeling、言語化verbalization、象徴化symbolization
マッケラーMakelar P(1953)の思考の分類

R型思考 really-adaptive thinking 「現実適応的な思考」 = 科学的思考・論理的思考
A型思考 autistic thinking 「空想卓越的な思考」 = 想像直感的思考・主観的感情思考

iv) 妄想 delusion

3. 感情的行動: 感情は心を動かす動力。感情の種類-層乗的
  1. 情緒(情動)emotion
    性、一時性、両極性などの特徴を持つ
    Ex. 表情 (Darwin C 1872 「人間及び動物の表情について」): 3原理 = 有用なる連合的習慣, 対偶antithesis, 神経系統の構造
  2. 自我感情 self-feeling: 心理的に構成された「自我」が関与し、情緒が複雑に組み合わされた感情
    時に両極性を持つ: 愛情 ↔ 憎悪、得意 ↔ 失意、自尊 ↔ 自卑
  3. 情操 sentiment: 情緒や自我感情が文化価値に洗練された持続的感情

    審美的情操: 優雅、幽玄、淡白、渋み、いき、創作の喜び、それらが満たされないときの不快さ
    宗教的情操: 畏敬、崇高、恍惚、法悦、憧憬、有限性への不満感
    道徳的情操: 良心、正義感、義務感、悪を憎む義憤

  4. 感情異常
感情の生理
James Range説: 「人は悲しいから泣くのではなくて、泣くから悲しいのだ」

心身症の成因と心の変異が原因で起る身体疾患
i) ストレス説: セリエ Selye H (Canada): 感情を興奮させると、それに伴う体の変化を生じる
ii) 内蔵条件付: バイコフ Bykov KM (USSR)
iii) 精神分析学: フロイト Freud S (Austria)

感情理解の方法
行動と意識の表裏一体のもの、意識を客観的に研究する方法

精神電流反射 psychogalvanic reflex, PGR(皮膚電流反応 galvanic skin response, GSR): Cf. 嘘発見器
投影法検査 projective techniques: ロールシャッハテスト
色彩交互検査: 絵画の好悪、一対一比較法、民族好悪

4. 表出的行動(外見的行動) expressive behavior
≈ 運動筋肉行動、外(見)的行動
動作action、言語talking、作業、創作活動、失語、失行など
話し talking → 人格が表れる 創作活動 5. 社会的行動 social behavior
模倣、役割行動、競争、強調、反(非)社会的行動など
個人としての行動の諸相は、前の4領域に尽きるが、人間行動は社会適生活の場と切り離して考えることは出来ないので、特に社会的観点からこの領域を追加しておくのが普通の考え方である
人間の社会性については、生得的と考える「ワロン Wallon, H.」と、獲得的と考える「ビアジェ Piaget, J.」のものがある (社会生物学上は生得的部分の重要性が明らかになりつつある)
社会的行動の幾つかのパターンを拾ってみる
  1. 集団形成 group forming

    共同社会 Gemeinschaft, privacy group
    利益社会 Geselschaft, secondary group

  2. 役割行動 role behavior - リントン提唱
    役割理論 role theory: 人間というものは他人が自分をいかなるものと見、いかなる役割を期待しているかということを感じるとそのとおりに実行するものである

    役割期待 role expecting → 自我形成
    役割付与 role-giving
    役割取得 role-taking
    役割演技法 role-playing
    心理劇 psycho-drama

知覚の客体条件(刺激側条件)
1) 対比 contrast
2) 錯覚 illusion (Tolman 1954)

両眼視差 binocular parallax に起因する → 応用: 実体鏡 stereoscope
錯視の程度は情緒不安定な者ほど大きい

illusion
a) ミューラ・リアの
錯視
illusion
b) ポッケンドルフの
錯視
illusion
c) 水平垂直の錯視

a) ミューラ・リアMüller-Lyerの錯視
b) ポッケンドルフBoggendorffの錯視
c) 水平垂直の錯視
d) Jastrowの錯視: 同じ2本のバナナ

3) 図と(素)地の効果 figure and ground

事物と背景の関係 = 知覚対象groundを含む環境場面figureが知覚者に与える効果
Ex. ルビンの杯(多義図形, 反転性図形): 杯が見えると顔は見えない。2つの顔が見えると杯は見えない

illusion

4) 知覚の枠組効果 framework

ヒルガード (Hilgard ER): 知覚 → 安定化 = 「知覚の恒常」
内的に不安定な者は強く内外の安定を欲し、外界の知覚においても、知覚の拠点や基準となる枠組みに頼って、安定を回復しようとする傾向が強いために起こる

Ex. 図形がそれを取り囲む図形(枠組)に影響され歪んで知覚される → 枠組に頼り安定回復を試みる

知覚の主体的条件 (知覚者側の条件)
1) 知覚者の欲求
2) 知覚者の感情
3) 知覚者の価値観

知覚研究の部派new-look: 社会的-人格的

4) 知覚者の態度

知覚傾向と人格の深部(経験、態度、欲求、情緒状態、内部コンプレックスなど)を伺う方法
投影法(投映法, 投射法) projective techniques

  1. ロールシャッハテストRorschach test: ロールシャッハ(スイス、精神科医)考案。染みのような無意味で曖昧な刺激(絵)を示し何に見えるかを問い、その知覚反応を分析し人格の深部を知ろうとするテスト
  2. スゾンディ検査 Szondi test: 各種精神病患者の多くの写真から好き嫌いを選ばせる
  3. ベンダー・ゲシタルトテスト Bender-Gestalt test

[ 津波防災 ]

災害心理学 disaster psychology

自然災害・人為災害に対する心理・行動 (災害後の心理変容を含む) → 災害予防・二次被害防止
災害への心構え = 生命・身の安全を守る!!

災害は「まさか」ではなく「いつか」起きるものと認識せよ!
自分は大丈夫」とは思わない

正常性バイアス
  • 予期しない事態に対峙した際、「ありえない」、「考えたくない」という心理状況に陥りやすい人間の特性
  • 「正常性の偏見」と呼ぶ心理状態
災害を含む非常時に正常性バイアスが働くと、本来であれば「危険な状態」と判断すべきことを「大した問題ではない」と誤認する

Ex. 東日本大震災: 宮城県石巻市大川小学校

「逃げる」ことよりも「点呼」を優先
避難場所未決定 ⇒ 地域長老の「津波は来ない」に思考停止

⇔ 釜石市: 小中学生生存率99.8%: 津波てんでんこ

「点呼」よりも「逃げる」を優先
教職員・児童生徒が率先して声掛け・避難活動を開始
周囲の全員が危機意識を持つ

行動の原因


全ての行動には必ず原因がある
Q: この命題は正しいか
A: 「理由無き反抗」という言葉もある →

理由と原因は異なる
行動原因を知ることは難しい Every behavior has causes. However, it is very difficult to understand it.
難しいが不可能ではない: 「行動理論」はこの課題に挑戦

行動生起の原因

1) 行動主義behaviorismの立場から
a) S (刺激, stimulus) → R (反応 = 行動, response)
= 古い行動主義(Watson JB): 行動(R)は刺激(S)の如何により規定される

動物ではSとRの間には何もない →
Sを与えればRの予測ができる = "心"は介在しない

Ex. 昆虫の行動: 決まった行動をとる

S(刺激がある特定の反応を引き起こす = releaser) → Ri → Rj → Rk → 行動が連鎖的に繋がっている(心を考えることを止めようとするのが心理学の立場) (Tinbergen 1963)
Ex. ネズミとヒトの行動比較: 5 & 6 → ヒト → 加えると11, 引くと1, or -1などの反応

mouse ★: 餌 (food)
学習数10回 → 学習は単に左周りという運動学習なのか

⇓ もし左回りの行動を学習していたのならばDに行くはず
mouse




ネズミはCに行った = ネズミは場の構造を認知していた
⇓ 認知地図 (cognitive map, conducted by Tolman)を獲得していた
mouse
ここでネズミは首を振る(全てのネズミではないが) → ネズミは考えていた!

b) S → O (生活体organism) → R
RはOを知らないと(もちろんSも)予測出来ない

= 新行動主義 (neo-behaviorism) Ex. Tolman EC, Hull CL: 行動Rは刺激Sの如何とそれを受ける生活体の在り方如何によって決定される = 反応は刺激とヒト(動物)の内部状態を知らないと予測出来ない
考え方と技法は内的行動 covered behavior に対しても適用される
Ex. 脳波 brain-waves、精神電流(PGR)等

→ ところが、それ自体自明である我々の意識が心理学で取り扱えないという不満は意識研究の新武器の開発と合間って心理学は「意識を回復する」ことになる

→ ここで O = "心"とする (グリフィン 1938)

コウモリ bat
mouse mouse これを数日繰り返した後で衝立撤去

まるで衝立があるような行動 →
多分今日もあるに違いないと"考えた" → "心"がある


遅延反応 delayed response: 反応を遅延し、その反応変化を観察 - 動物が高等になるに連れ遅延時間長い
mouse

チンパンジー: Bにバナナを置くのを見せ、その後衝立で隠した後、レタスをバナナと入れ替える。チンパンジーはバナナではなくレタスを発見して驚いた様な顔をみせる - チンパンジーの"期待"がはずれた

Ex. クレペリンKraepelin: 欲求強度は活動開始期に強く、目標に近づくに従って高まる
Ex. Hull: 白ネズミは迷路maze実験においてゴールに近いほど早く覚えられる → 目標勾配 goal gradient

2) ゲシュタルトGestalt心理学の場説 field-theory の立場から
a) レビン(Lewin K)の公式, B = f(P·E)

= ある人格に環境が作用することにより行動が発現する
B: 行動
P: 人格(個体) personality
E: 環境 environment
f: 関数 function
→ [行動 = 人格 × 環境]と置き直せる

b) B = f(S)

S: 場面あるいは事件situation → 行動は事態の関数である

人間行動の原因

_________生物学的__心理学的__精神的
内からの力 反射・本能_要求・感情_自覚・価値観
外からの力 誘発刺激__刺激・場面_価値・指導者
1. 内からの力
a) 反射 reflection, or reflex: 条件反射を形成する基盤として重要
1次条件付 2次条件付 3次条件付 4次条件付 … n次条件付
____S1__+___S2___+___S3__+___S4___ ____Sn___R

脳幹脊髄系による調節 – 意志とは無関係に起こる反応(行動)
興奮の伝わる経路 – 反射弓 → 大脳を経由しない

刺激☞受容器(効果器)→感覚神経-脊髄背根-|脊髄|-|延髄|-|中脳|-|大脳|
                                        |    | |    | |小脳| |    |
反応☜効果器(筋・腺)←運動神経-脊髄腹根-|    |-|    |-|間脳|-|    |
                               反射中枢 ←----------------→
←------------------------------------------→ 反射(無条件反射)

脊髄反射: 膝下を打ったときの反射
延髄反射: 唾液分泌
中脳反射: 目の虹彩(瞳孔反射)

b) 条件反射 conditioned response: 経験に作られた反射(大脳関与し形成)

Ex 梅干を見ただけで唾液が出る。池の鯉が手を叩く音で集まる
Ex 1890 パブロフ(Pavlov IP 1849-1936 ソ連)の実験

イヌ: 唾液腺を体外に手術で出し観察 → 食物を食べると唾液分泌(無条件反射unconditioned response)
食物を与えると同時に(本来唾液分泌と関係ない)ベル音を聞かせる → 繰り返しにより、食物を与えなくてもベルを鳴らすだけで無意識に唾液分泌 = 条件反射

[無条件刺激(食物)__→ 唾液分泌中枢(延髄) → 効果器(唾液腺) → 反応(唾液分泌)]
[条件刺激(ベルの音) → 聴覚中枢_________]
__________________ 唾液分泌中枢(延髄)
__________________ ⇑ 新しい連絡路
[条件刺激_________→聴覚中枢__________________________条件反射____ ]

第二信号系: 「言葉」のこと = 人間の条件反射の1種。その使用法の約束・文章法・論理、が逆に次の直接体験の掴み方、あるいは知覚像・心臓・観念・概念の操作の仕方に影響する

c) 本能 instinct: ある目的を達するまで止めない、生得的適応行動様式

多くの異なった反射から成り立つ
本能的行動の適応性

a) 未学習, b) 種の特徴, c) 適応的

遺伝情報と行動
伝達 communication の種類: 聴覚的伝達, 化学的伝達, 触覚刺激
生得性、固定性、種別性、非可逆性、盲目性

d) 要求(欲求) need
→ 欠乏・不足・緊張tensionが動機付motivationをもたらし、それがこの行動に導かれる

要求 → 動因 drive → 誘因 incentive (欲求 = 意識された動因、または行動の内因)

動因 drive: ある動物をある方向に動かす
動機 motive: 動因・動機は意識化されないことがある = 行動の原動力に於ては同意

基本的要求 basic need: 本能に似たもの
生理的要求 physiological need: 生活体生存に関係する最も重要な生得的要求 Ex. ホメオスタシスhomeostasis (排泄・体温調節)
心理的要求

安定要求 need for stability: 愛情要求 for love, 所属要求 for belonging, 避罰要求, 充全への要求 for achievement: 成就要求 for performance, 独立要求, (社会的)承認要求 for social recognition, 拡張への要求: 新経験への要求, 成長への要求, 優越への要求

精神的要求 (Erikson E): 超自的な普遍的価値の世界に自己を方向付けようとする人間独特の要求

自我同一性 ego-identity
発達的課題 development subject → ego-identityが青年期における発達的課題


    乳児期 出生-歩行    受動活動期 人間への信頼を植え付ける
                        認知把握期
                        知能萌芽期
    幼児期 歩行-言語    前期       自主性身に付ける
                        後期             (+ 心の温かさと躾)
    児童期 精神発育                diligence
    青年期 身長体重増加            ego-identity
           生殖腺発達

e) 感情 affection: 内界の自己調節を営む機能
i) 情緒 emotion: 不安anxiety
ii) 自我感情: 劣等感 complex (劣等事実、劣等感情)
iii) (道徳的)情操 (moral) sentiment: 良心 (超自我 superego)
f) 自覚 self-awareness: 自己を客観視すること - 自覚の程度は個人差大
自覚の未熟さ → 不適応行動
指導法: 問題解決法(自己活動主義) + 生徒中心的指導法 student-centered method、非指示的教示 non-directive method
心理治療: 洞察療法 insight therapy、序覆療法 uncovering method、実存分析 existential method
2. 外からの力
  1. 外部刺激 = 誘発刺激 releasing stimulus: 本能行動が発現するに必要な特定の刺激
  2. 場面: トポロジー心理学 B = f(s)
  3. 社会環境 social milieu: 相互作用 interaction、交信 communication
  4. 指導者

行動原理 behavior theory


行動原因や行動生起機構についての原理を体系づけたもの - 学習理論と結びつく

1. 結合説 connectionism

≡ S-R理論あるいは連合理論 bond theory (W Wundt, Leibzig Univ. 1879)
Watson JB (1878-1958, USA): 新行動主義 neo-behaviorism

theory

Hullの学説: SER = SHR × D

SER: 反応ポテンシャル
SHR: 経験・習慣 habit
D: 欲求・動因
反応ポテンシャル(SER)は習慣という構成要素(SHR)とその時の動因という構成要素(D)の相乗積により求まる

2. 場説 field theory
≡ S-S理論 sign-significance theory, 認知説cognitive theory
ケーラー (Koehler W, 1887-1967): ゲシュタルト(心理学)派。統一体 Gestalt を重視
レビン Lewien K (1890-1947): 「場の力」 = 「生活空間 life space」「誘意性values」

personality dynamics + group dynamics
theory

コフカ(1886-1941): 心理的(行動的)環境を分ける

環境: 地理的環境(物理的環境) + 心理的環境(行動的環境) → 行動を起す直接の要因

3. 目的説 purposive theory
マクデュガル McDougal

目的心理学 hormic psychology: 行動は目的に導かれ行なわれる → 要求、目標、目的が行動の鍵
→ 精神分析学psychoanalysis

4. 総合説
トルーマンTolman EC (1886-1954): 新行動主義、目的心理学、場説の折衷案ともとれる

theory
ME2–1: 手段-目的の期待 → これに基づいてRを生み出すと考える

Stephens JM: 統合的行動理論 = 寛容な結合説
5. 葛藤における行動理論
二つ以上の欲求(動因・誘因)なり目的意識が同時に存在し、どちらの充足に向かって進むか、決定困難な状態におかれた時に心的葛藤が生じる

1: 両方からプラス(+)のバランス_____________[ + ] →→ [ + ]
2: 両方からマイナス(-)のバランス____________[ - ] →→ [ - ]
3: 同一目標が+の-の両方の誘意性を持つ___[ +- ]
+でも-でも大きさの等しい時葛藤が起きる

6. 欲求不満状態(フラストレーション) frustration における行動
欲求不満(阻止)状態: 満足されなければ、緊張度が高まり不快な感情が体験される。後者が反復、あるいは持続されて、緊張が解消しない状態を欲求不満状態という。生理学的にはストレスstressのこと
感情の働き

価値判断: 信号・認知 → こちらが強いときfeeling → この中に1つの「苦痛」(不安)がある - 解消
- frustration

合理的な解釈と不合理な解釈がある
認知(舵取り) – 感情 – 駆動
衝動力(発動力) → こちらが強い時は情緒という

欲求不満状態における行動

不満-攻撃frustration-aggression: フラストレーション理論の一つ。骨子は、「要求不満は動物(人間)を攻撃に導く」ということ。攻撃行動は、阻止された要求の強さと、要求の妨害される程度に関係し、フラストレーションの累積、罰の大小も影響した上で表出する
不満-退行frustration-regression: 以前に学習した適応形式を持ち出す
不満-固着frustration-fixation

  1. 軽度: 一時的なあるいは軽度の不満状態(フラストレーションとまではいえない状態)における行動
    正の誘意性を持つ目標があり、これに接近しようとするときに障壁 barrier がある場合
    → 合理的・目的的・適応的な行動 almost situation をとる
    1. 努力 effort
    2. 迂回 detour
    3. 代償 compensation
    4. 待機 wait (cf. ロボトミー)
  2. 中等度 = 自我防衛機制のメカニズム
  3. 重度かつ継続的なフラストレーション: 非合理的・無目的的・不適応的行動に出る
    1. 攻撃 aggression
7. 自我防衛機制 ego-defense mechanism
異常行動の説明のためにフロイド派が考えだした行動発生の仕組みの一つ → 広く採用
破局の予感である不安が原動力となり自我(エゴ)が破局を免れるために、無意識の内に防衛を試みる行動
  1. 逃避 escape
  2. 抑圧 repression: 無意識に不安を認めない → 抑制 suppression: 意識的努力によって不安を認めない
  3. 置換(代理、転移) displacement: 感情を他の類似の対象に移しかえる
  4. 昇華 sublimation: 抑圧された欲求が社会的に認められる形に変容して表れる
  5. 反対形成 reaction-formation: 要求行動が表れるのを防ぐために反対の行動をとる
  6. 同一視(化) identification: 他人の態度(威光 prestige や権威 authority)を自分の態度とし行動基準を作る
  7. 投射(投影) projection: 自分の欲求や態度や傾向を自分以外の人や物の持つ性質として認知する
  8. 合理化 rationalization: 行動の真の動機を隠し、これをもっともらしく意味付ける

学習成立


新しい行動傾向はどのようにして身につくのか

学習の諸相

Def. 学習 learning: 経験による新しい行動傾向の獲得

学ぶ → [分化] → 学ぶ・真似る lies (轍) + α

Def. 記憶: 学習による行動の変化に応じ形成される脳内パターン
学習(性)行動: 経験を繰り返すことによって、ある条件に適応した一定の行動をとれるようになる

この過程を学習といい、条件反射が基礎になっていると考えられている
Ex. 迷路学習 maze learning: 動物自身の自発的行動または経験が元になり新しい行動をとれる場合もある

刷り込み(刻印付) imprinting: ガン、カモ、キジ類のヒナは孵化後20時間位の間に見たある大きさの動く物体(普通親鳥)のあとを追う行動を示す(Lorenz K 1935) → 最初に見た動く物を"親"として扱うようになる

追従行動の仕組みそのものは遺伝的だが、その行動を何に向かって行なうかが変化しえる。このような臨界時間の短い条件付けconditioningを「刷り込み」といい、一般に学習可能な感受性の高い時期が幼期に見られ、鳥類では30時間以後この現象は見られない

慣れ: 繰り返される刺激に対して次第に反応が消失していく

学習曲線
learn

→ 刷り込み、慣れ: 広い意味での学習

学習曲線 learning curve
learn A: 負の加速度曲線 negatively accelerated curve
B: 正の加速度曲線 positively accelerated curve
C: S字曲線 sigmoid curve (S curve)
プラトーplateau: 練習による効果が現われない時期

知能 intelligence: 外界からの刺激や内部環境に対して、試行錯誤によらず周囲の状況判断により行動すること

哺乳類の中でも霊長類、特にヒトに発達。大脳皮質の働き
learn

行動と学習

1) 認知的学習 cognitive learning
知覚と経験 Ex. 開眼者の体験
知覚の学習
知覚の恒常現象 constancy of perception : 学習汎化によって成り立つ cf. 条件反射
恒常とは = 大きさの恒常、色の恒常、形の恒常
学習原理
i) 接近原理 principle of contiguity: 距離の近い刺激がまとまるようになる
刺激S1に対する反応Rが、S1と接近している別の刺激S2に対しても起るようになる
     S2 = CS: 条件刺激(ブザーの音)
     |接近                      ↘
     S1 -----------------------→ R
    USS                          UCR
    無条件刺激(食物を口の中へ)   無条件反射(唾液分泌)
ii) 強化原理 principle of reinforcement
    S (口笛の音) → R1
                   R2 (快感, 満足)
iii) 示範原理 Ex. オペラント原理
2) 観念的学習
記憶学習: 記憶されたものは時間の経過につれて再生困難になる

忘却曲線(Ebbinghaus 1885): 記憶されたものは、その後の経過時間が増すに従い再生困難になることを、無意味綴りの保持について見出した。記憶保持するグラフを用い具体化した曲線
→ 記憶に保持されやすい学習条件

レミニッセンスreminiscence: 学習直後より暫く経ってからの方がよく覚えているという現象

学習と記憶の成立
________s.a.____s.a.
____________
_◆--------|-----------|---→[脳内回路の固定] → 行動A
s.a._______________________
_________________[脳内パターンの保持]
______________________<記憶の成立> <学習の成立>
刺激のスケジュール化を行うと効率良い = これは学習に肝要なこと

連想学習: 接近、類似しているもの、最近経験したもの、反復されたもの、印象の強いものは連想され易い

連想学習のポイント

  1. 連想の可能性を価値の高いもの、さらに多方面に伸ばせるように選択する(練習をする)
  2. 連想が快に導かれ教科されるようにする
  3. 頭だけの観念学習に留まらない → 生活の場で実践
想像学習: cf. 白昼夢 day dream = 空想への逃避
思考学習
妄想 delusion の学習: 合理化と同じ機制によるが、その機制が大きいときの学習。普通には理解できないことを考え、強い不安から解法されようとする
迷信 superstition の学習: 強化説の立場から説明すれば、反復により迷信を信じてしまうことが迷信の学習であるとされ、スキナは鳩への迷信を教えこむことを成功させている

→ 洗脳(殺脳): 意図的に相手の思想を変改させること(宗教的事例多)
洞察の学習: 洞察 – 今まで分からなかったことがわかったり、今までと別の考えが開けること

3) 感情的学習
情緒学習 Ex. 恐怖学習 JB Waston: 条件付けの考え方から見れば、あらゆる刺激が危険信号として恐怖の対象となることが可能であり、その対象化には条件付けをすればよい。また、条件解きも可能である

先天的恐怖: 大きな音・支えを失う

自我感情の学習(愛情の学習)
情操学習 – 社会態度
4) 表出的学習
言語の学習
技能の学習
5) 社会的学習
個人の社会化

模倣の学習
競争の学習: 近代社会の個人主義
協力の学習

学習条件

学習に影響する諸要因
I. 基礎的要因

a) 要求needs, 動因drive, 誘因incentive, 動機づけ, 強化
b) 緊張低減, 要求低減, 動因低減

II. 複雑要因: 賞・罰、学習の構え、学習の準備性
1) 学習者側条件
学習者の能動的参加および感情の協同を伴った学習が望ましい learn
  1. レディネス readiness: 学習を受け入れる下地(素地)
  2. モーティブ motive: モーティベーション(動機付け)motivation: 接近の原理を応用
2) 学習課題の条件
  1. 記憶の幅
  2. 系列位置効果: 類似の材料と混同しないように弁別した学習
    系列学習 serial learning - 動作の熟練 motor skill
    暗記学習 rote learning
  3. 学習材料: 無意味な内容の機械的学習よりも、意味を持った内容の論理学習。分節化、構造化されているものは学習容易 (記憶術)
    簡単 → 複雑、無意味な材料 → 意味付け(図式化、理論化等)
3) 学習課題の条件
a) 全体法 whole learningと部分法 part learning

部分法: 1. 順部分法, 2. 漸進的部分法, 3. 反復的部分法
復誦 recitation
練習 exerciseと復習(反復repetition)

b) 集中法(一括法) massed practiceと分散法(分配法) distributed practice

一般的には分散法の方が有効 – 材料の性質により選択

c) 遡反禁止 retroactive inhibition と前進禁止 proactive inhibition
忘却の主要因

遡及禁止: 学習把握が、それに続いて行なわれた行動によって撹乱的・妨害的な影響を被る現象
前進禁止: 学習把握が、それに先立つ別の行動によって妨害を受ける現象

学習原理

学習理論 learning theories: 新しい行動傾向の経緯はいかにしてなされるか。それについて事実と原理を体系づけたもの。主な学習理論として、結合説・場所説があげられる
1) 結合説bond theory
SとRとの神経的結合によって学習が成立するという理論
a) 接近説 contiguity theory

ある刺激(S1)に対して起る反応(R)が、そのS1と「接近」している別の刺激(S2)に対しても起るようになる。これが学習であるという説。 Ex. パブロフの条件反射学説

b) 強化説 reinforcement theory

ある刺激に対して、いくつもの(R1, R2 … Rn)が起った中で、たまたまその直後に快感・満足・報奨rewardがあった反応だけがそのSと結び付く、これが学習であるという説

c) 二要因説 two factors theory

(a), (b)の両要因を認める。オペラント法・スキナーの二要因説
S → P(R1, R2, R3)

2) 場説
a) 洞察説 (ケーラー 1921 "類人猿の知慧実験")

Ex. ニワトリの実験: 動物は個々の刺激性質について学習するのではなく刺激場面の全体的特性によって学習する

b) 痕跡説 (コフカ Koffka K 1886-1941, 1935)
c) 場説 field theory (レビン Lewin K 1890-1947, 1939)

場の認知行動の変化が学習 Cf. 行動の場説

d) 期待学習説(記号学習説) (トールマン Tolman EC 1886-1959, 1949)

学習者は目標の記号signを学び、意味meaningを学ぶ
「記号 – 形態 – 期待」

3) 統合説
各理論の最大公約数的共通点を拾い出そうとする
a) 機能主義的学習説
Washburne JN (1936)

学習過程 = 方向付 → 探索 → 考量 → 分節化 → 単純化 → 自律化 → 再方向付

Cronbach LJ (1916-2001, 1951)

学習要素 = 目標設定 → 準備態勢 → 場面遭遇 → 解釈 → 反応試行 → 結果評価 → 不満な結果への反応

人格 personality


Def. 行動を規定する個人条件の総体
人格理論 personality theory: 人格の形成・構造・機能についての理論体系
  1. 独自性: 個人に特有なもののこと
  2. 統合性(統一性)unity: 個々の特性が加算されたものではなく、それらが統合された組織体系であること
  3. 主体性: 能動的主体として環境に働きかけること = 自我
  4. 変化性(可塑性)plasticity: 成熟と経験により人格が変化すること = 適応
  5. 間接性: 行動を通じて表現される間接性をもつこと

人格の構造

人格成層説: 人格には幾つかの階層が存在するという立場
  1. 静的成層説
    Kant I: 動物性、人間性、人格性
    Dewey J: 本能的、習慣的、知性的
    Pavlov IP: 低次神経活動、高次神経活動、最高次神経活動 → 条件反射学説
  2. 動的成層説
    Freud: 本能、自我、超自我の各層が相互に干渉しあい人格が形成される
表. 人格の構造
_________生理的___________心理的_________精神的
知性______知力_____________知能 intelligence 知恵 wisdom
情意性____気質 temperament_性格character___情操
自我 ego__身体的自我_______心理的自我_____精神的自我

向性 (Jung CG, 1921)

心的エネルギー libido

外向 extraversion: 外界に向かって自我から遠心的に働く心的エネルギー
内向 introversion: 自我に向かって求心的に働く心的エネルギー

人間の行動は自由か

行動範囲を、客観的観察可能な数量的測定可能な外的行動とするならば、行動は刺激(S)によって起こる反応(R)と規定され、その範囲内での反応(= 行動)には一定の型が出来上がっているので、この限りでは自由ではない。しかも、この考えは、内的行動への適用が可能であり、行動全体に対しても自由はないといえる
行動適応性
生物進化コース上での適応様式原則
  1. 系統発生学的に行動の様式が複雑になるにつれ、行動は、はじめはより単純な行動が加算される形になるが、後ではそれに置き換わる
  2. 複雑性という新しいレベルにおいて、はじめて新しい行動的特性が創発的に出て行く
  3. 比較的単純な動物行動を推理といったヒトの能力に関する用語で説明しようというのは誤り
  4. 高度に進化した動物(霊長類)の行動を単純なS-R関係とか、本能とか、試行錯誤的学習の用語で説明しようとするのは誤り
行動進化 evolution of behavior
  1. 突然変異と構造: 遺伝的環境適応の差
  2. 種形成と行動: subspecies, variation, forma等の同種内変異によって環境適応性が異なる。近縁関係種の行動の相違は今後の課題である。同所的種形成sympatric speciation仮説も今後の課題であり、ある集団内部の生殖的特性、gene poolの変化がecological race形成をすることまでは確認されている

人間の発達 development of human (general principle of human development)


環境 environment

個体 individual = 生物学的因子 Ex. 体格 + 健康 + 神経 + 性
家庭 family = 第一次集団primary group: 人間形成の場として最も重要

家庭の集団特性 syntality: 家庭における人間関係の全体的様相 → 「子供をみればその家庭が分かる」

  1. マザリング mothering: 母親の子供に対する取り扱い → 自律 ↔ 統制、愛情 ↔ 敵意
    母親の型: 親子関係診断テスト(西尾 1959)をもとに類型 → 厳格型、期待型、干渉型、溺愛型
  2. 家族構成(三木 1958)
    兄姉: 自制的、控え目、几帳面、親切、指導的、責任感高
    弟妹: 快活、社交的、お調子者、依存的、多弁、滑稽
    欠損家庭broken homeの問題児。ホスピタリズム(施設病)
学校school = 集団 Ex. 遊び仲間、学級、クラブ

グループダイナミクス(集団力学) group dynamics

社会 society

地域: 人口密度, 居住区域
階層(職業)
文化
マスコミ

human

知能検査 intelligence test

どの程度の知的業績をあげうるかの可能性を計ることが目的
1. 検査法
a) 個別的検査

言語検査 verbal rest (A式): ビネとシモンが考案した(Binet-Simon test)年齢尺度法を発展
作業検査 performance test (B式): 言語を必要としない検査法 Ex. 形態盤form boardと呼ぶ種々の木片を一定の形の孔にはめ込ませる(Pintner-Paterson performance scale)

b) 団体検査 group test: 米国陸軍検査に端を発した短時間で多人数の知能測定法
c) 乳幼児発達検査: 言語作業検査できない乳幼児の検査法 → 発達指数 developmental quotient, DQ
d) 適正検査 aptitude test

進学適正検査 scholastic aptitude test, SAT: 将来なしとげる可能性
業績検査 achievement test: 学習によって獲得した知識や技術を計る

2. 成績表示法
a) 精神年齢 mental age, MA: 個人の知能の発達の程度を表す

改訂スタンフォード・ビネ検査 revised Standord-Binet test): 各々の問題はその年齢の児童の2/3が解けるように選ばれ、知能の程度をどの年齢の問題まで解けたかで計る

b) 知能指数 intelligence quotient, IQ: 同じ生まれ年の一般水準との比較

IQ = MA/LA × 100, LA: 生活年齢 chronological age

IQ: 区分 (精神年齢)
70 >: 精神薄弱 feeblemindness

25 >: 白痴 idiot, 保護者なしの日常生活不可 (2 <)
26-50: 痴愚 imbecile, 自分で職業につくのは困難 (6-7)
51-70: 愚鈍 moron, 単純労働可能だが判断力・計画性に欠ける (9-10)

60-85: 知能遅滞
> 140: 天才

! 知能が低いだけで精神薄弱と診断するのは早計(危険)
精神薄弱は全人口の2-3%。白痴の天才 idiot savant
言語障害児や異言語間に適用し比較するのは困難 → 作業検査

c) 知能偏差値 T-score

T = 10(X – M)/SD + 50

X: 個人の得点
M: 尺度基準となった集団の平均点
SD: Mの標準偏差

遺伝と環境 (heredity and environment)


利き手 handedness

→ 環境 vs 遺伝
1946 Blau : 利き手の遺伝性を完全否定

利き手は文化により強制されたもの: (推論) 最初に作られた武器や道具が右利きであった → 人間が利き手に関する人工的環境を決定

1947 Roberts

"人間が、発達途上で極初期には類人猿と同じような初歩的な利き手の時期を経過することも考えられるが、本当の意味の利き手は、言語の習得が始まった後で起こり、どちらの利き手になるかも、言語の発達によって決まってくる。人間の利き手の本質は、言語によって決定されている点にあるといえよう"

1947 Gesell & Ames: 利き手の発達を生後から観察

出生後数ヶ月-数年: 利き手はかなり動揺する
一般的に右利きになった者: 生後16-20週 = 左手 → 両手 → 28週 = 右利き

(36週目まで再び左利き) → 40-44週 = 右利き → このサイクルが繰り返され8歳位で固定

1970 Collins

左前肢ばかりを使う(= 左利き)マウスをかけ合わせても、左利きと右利きの頻度分布は変わらない
→ 利き手に遺伝的なものは関与しない

1972 Levy & Nagylaki

利き手と皮質における言語機能の個性化を2遺伝子モデルで説明 = 利き手は遺伝的

1973 Hewes

人類の持った最初の言語は"身振り言語": 手や腕を用いたサイン → 左右非対称性の存在
Ex. チンパンジー: 音声言語は習得できないが、身振り言語は習得できる (Gardner & Gardner 1971)

1974 Hammer & Turkewitz

新生児の殆どが自発的に頭を右に向けて寝る → 左側の刺激よりも右側の刺激に強く反応するようになる

1973 Witelson & Pallie

脳解剖 – 側頭葉上面言語領域は左半球の方が広い傾向
非対称性(Ex 利き手)が生じる → 成熟勾配: 左右半球は、最初等価となる可能性を持つが、左半球発達は右半球より早くなる勾配を持つ
→ 遺伝子モデル: 一卵性双生児の利き手は一致する確率が二卵性双生児よりも高い

脳の二元性

右半球: 直感的・総合的・全体的
左半球: 理性的・論理的

象徴倒錯症 strephosymbolia: 左右混同に伴う症候群 Ex. 失読症
失読症 dyslexia: 精神遅滞、感覚障害、音声言語障害、情緒的問題等の障害が連合せずに読書きに障害

a) 発達性失読症: 成熟異常
b) 獲得性失読症: 脳損傷に基づく → 学習による改善率が低い
左右混同を伴うことがある – (文字を含む)非対称性の学習欠如だけでは説明できない
日本語
1. 欧米文字と比べて左右対称性はない
2. 上から下へ読み書きすることが多い
→ 左右混同があっても英語の学習ほどの困難さは生じない

鏡映書字: 左右の定位障害に伴う技術 Ex レオナルド・ダ・ビンチ

左大脳半球が障害を受けた者が、右手を使えなくなり鏡映書字を用いることがある
ゲルストマン症候群(Gerstmann 1940): 脳損傷によって左右の区別がつかなるなる症例

左右障害 + 手指失認、失書、失算の計4症状をまとめて呼ぶ
1953 Critcheley: 左半球頭頂葉の特定部位の損傷が原因

ターナー症候群(生殖腺無形成症、生殖腺発育不全症) (Turner 1938): 空間能力障害を伴う

原因は染色体異常

学習の発達初期における効果

(effects of learning in the early stages of development)

学習: 発達初期に重要
Ex. 野生児研究study on wild-man (or wild-child)

野性児wild child: ヒトとの接触から隔離され、あるいは動物と接触し、動物中で育った子供。人間的接触のない環境での発達の様子を知るため、不本意ではあるが貴重な自然の実験
アベロン(インド)の野生児: アマラ・カマラ = インドで狼によって育てられた少女
姉(発見時8歳, 10年後死亡): 夜行 night walk、生食止めない = 回復は妹よりゆっくり。 Ex. 6年後に数フィートあるけるようになる
妹(発見時2歳, 数年後死亡): 回復極めて早い
言葉の臨界期 limited period for language = 2-4才 → 早期学習の必要

原因帰属 (source of failure)
安定性 内的統制______________外的統制
固定的 能力__________________課題の困難度
変動的 努力(達成意欲の強い人)__運(達成努力少ない人)

個人の失敗の捕らえ方に差がある → 次のやる気を方向付ける
自己原因性を獲得して行く = やる気

自分が行動を起こしているという実感 - 自分の行動に原因がある
無差別な罰 - 自分では手が出せなくなる → 自己原因性の喪失
報酬 - 報酬で行動したという気持ちを植え付ける

子供に自己原因性を経験させる

自分でやればなんとか出来ると思わせる = 自分で何かをできた
上記"能力"の次元では叱ってはいけない(評価してはならない)

好奇心 (curiosity)
Ex. 経験遮断実験

被疑者を外部情報(聴覚、視覚等)を断った真白な部屋に入れると一週間しか耐えられない - 情報が全く入って来ないと退屈のあまり幻覚幻聴という刺激を逆に発散してしまう = 情報が多すぎても少なすぎてもよくない
既知知識と矛盾する情報、既有知識では解答出来ない問題を与え、認知的不協和を起こし、もっと知りたいという特異的好奇心 specific curiosity を誘起する

Ex. 仮説実験授業: 既有の知識では解答出来ない問題*を実験により正答を求めさせる

1st - expectation: 予想の分布、対立する意見を出す
2nd - discussion: 予想の理由を述べる
3rd - experiment: 正答を確かめる

*: 学に値する「良い問題」(科学の矛盾に関する問題)を選択。常識では間違えがちな問題を出題し、子供の既有知識を利用する。実験で正否が確かめられる問題を選ぶ

→ チャレンジを促す条件
  1. 自分の技能に合わせ困難度が変えられる
  2. 活動が他刺激から干渉を受けない
  3. 達成度基準がはっきりとある
  4. 活動と具体的フィードバックが伴い達成度が明らかにされる
  5. 複雑で多様な技能(能力)が求められる

Ex. テレビゲームはこれらの全ての欲求を満たしている ∵ 特殊的好奇心 specific curiosity・学習形態の変化-子供達にやる気を起こさせる → open school: 一学年の枠をはずしている、子供達自身で学ばせる

ピアジェの発達理論 (development theory proposed by Piaget)
  1. 知能 = 生物の中で最高度の適応(精神的適応)
  2. 知能の発達 → 環境と自己との相互作用 = 同化と調節の均衡化
    同化: 新しい知識を自分の中に吸収して行く事 調節: 新しい知識を自分の中に取り入れ易い様に調節すること
  3. 均衡化の活動 → 発達
ピアジェPiaget Jの発達段階説
    0歳  感覚運動期
    2歳  前概念期
    4歳  直感的思考期

4-8歳 → 自己中心性: 相対的なものの見方が出来ない

    7-8歳   具体的操作-脱中心化
    11-12歳 形式的操作期

発達段階の特性feature of developmental stages

  1. 出現の一定の順択性
  2. 総合的性格
  3. 各段階がそれを特徴づける全体構造を持つ
  4. 準備期と完成期

感覚運動期

  1. 0-1 mo.___反射の行使
  2. 1-4 mo.___1次循環反応(習性の形成)
  3. 4-8 mo.___2次循環反応(関心の対象が外界へ広がる)

    1-3: 同化と調節によって自分の中へ新しい行動様式(シェマ)を構成

  4. 8-12 mo.__目的のある行動の開始
  5. 12-18 mo._3次循環反応
  6. 18-24 mo._完成期

    4-6: 作られたシェマを用いて手段-目的関係を分化させる

Ex. 8 months: 1) 人見知りピーク、2) 対象の保存成立(「ものの永続性」)

(前概念期)

表象作用: 活動の内面化(頭の中で活動する) ex. 延滞模倣: 前日見たもののその真似を翌日する
象徴の獲得: 意味するものとされるものの区別 ex. 石を飴玉に見立てても、そこで意味しているのは飴玉
→ 見立ての能力 Ex. 葉をお皿に見立ててままごと等の”ごっこ”遊び。まだ特殊性と一般性の区別はない

欲求 (appetite)


第一次動因: 生物学的欲求
↓ 学習(単なる学習ではない)
第二次動因: 社会的欲求(派生的欲求) = 第一次欲求に派生して起る欲求

欲求の説明モデル

  1. 緊張低減モデル homeostasis model (古典的)
  2. 誘因モデル hedonistic model
  3. 認知モデル
  4. Humanistic model
  5. 環境変化モデル
1) 緊張低減モデル homeostasis model
内部状態を一定にする働き

a) appetite
b) 安定 → 安定崩壊 → 緊張・苦痛 → 解消行動

       ↑                   ↓         │
       │                  動因        │
       └───────────────┘

Exp. カフェテリア実験: Vitamin B1 deficiency → B1 motive → B1 intake behavior: B1が微量溶けている液体も判断出来る
Exp. ネズミの副腎除去 → Na保持のホルモン欠乏 → 食塩溶液摂取: 食塩が微量溶けている液体も判断出来る

2) 誘引モデル hedonistic model

★(saccharin) ←─┐ - - - - ☆ (sugar)
_______________
_____________Mouse
動物は快楽を求めて行動する。サッカリンは欠乏状態には何も寄与しないが砂糖より甘く"快"を感じる?

Exp. Olds et al. (1971): ネズミ脳幹網様体へ電極を埋め込むことにより電気ショックを与える(後になって実際には脳幹網様体より数mmずれて視床下部を刺激していることがわかったが)

↓ 動物の行動はどのように変わるか
同じ場所でネズミはうずくまる → ある動作が学習されるためには報酬が必要である
脳幹 → 間脳視床: 感覚神経中継点, 視床下部: 欲求・感情・情緒中枢, 中脳, 橋, 延髄: 生命中枢
視床下部 → 電気ショック(= 報酬) ある種の"快"がある → 学習

Exp. スキナーボックス Skinner box (Olds et al. 1972)

appetite
テコleverに触れると電気が流れるようにし、その電極を脳に埋め込む: ネズミはテコを押しつづける → 快
そこから少し離れた所に埋め込む: 2, 3回でテコを押すのを止める → 不快
→ ネズミは快を求め不快を嫌う行動をする-Hedonism説明する良い例
快の中枢 = 食欲中枢が接している

→ イヌの食道に穴を開ける - 水を飲むが穴が開いているので外に出てしまう
→ Homeostasisは回復しない - しかし正常な時と同じ位水を飲むと満足する
→ Homeostasis回復以前に満足する → 欲求の満足中枢と開始中枢は異なる

appetite

第二次欲求
第一次欲求 primary → 欠乏・増大 → 動因 [学習はいらずdirectにつながる]
中毒の形成: 体内に薬物が一定量残っている状態が標準状態 (Ex. モルヒネ・コカイン・アルコール)

モルヒネ → モルヒネ依存症 → 禁断症状
________________________
__________________モルヒネ欲求

  1. 欠乏 → 苦痛: 苦痛が発生したからといって欲求は起らない
  2. 苦痛を解消してくれる手段を考える → 注射に対する欲求が発生(手段となる) = 学習・認知・認識 → ヒトはチンパンジーよりもはるかに早い
Exp. ネズミの食欲の成立

appetite
8時間おき食餌(訓練10日)  24時間おきの習慣 ⇒ 第一次欲求の発生もやはり複雑である
満腹のニワトリ(ブロイラー)に餌を与えても食べないが、餌を食べているニワトリを一緒にすると食べ出す

第一次欲求: 飢餓状態 = 学習不用 ⇔ 普通の食欲なら学習がみられる (Ex. レストランでメニューを見るゆとり)
第二次欲求が学習により形成されない例

母親への愛着: 生後1ヶ月 = 分離不安(母親が離れると不安になる)
快を得る / 不快を除く → 手段が目的に変わってしまった
Harlow: 愛着は接触から生まれる

分離不安は母親への接触により生まれるのではないだろうか

Ex. 生まれたばかりのサルを親・兄弟から隔離する → 変りの母を与える

針金母 → 哺乳壜: 乳を飲む時はこちら → 満足
_________________________________↑ これが異なる
布団母 → いつもはここにいる________→ 安全・安定

Ex. ゴリラの例

2匹のゴリラの一方にエサを与えてもう一方にエサを与えない → エサのない方はエサをせびる
このゴリラが友達であったらすぐにエサをやるが見知らぬものでも最終的にはエサを与える
→ 他者に対する関心が生まれた(何とかしてやろうという気持ち)
→ primary (?) or 社会的孤立を避ける?

初期学習の補足
(-1) 苦痛について: 未詳。脳はどこをついても痛さを感じない

イヌ・サル → 隔離飼育0-3年: 真っ黒あるいは真っ白な部屋、エサは正しく与える
↓ 正常条件に戻し様々なテスト
痛みpainを感じない Ex. 注射の針を嫌わない
↓ ロウソクに近づく。普通のイヌは鼻を焦がし2度と近づかないが実験されたイヌやサルは何度も近づく
3ヶ月以内に経験するものの中に苦痛がある = この間に雑多な学習をし、その中から苦痛が形成される

(-2) 恐れ・人見知り

恐れ Ex. ヘビに対する恐れ
人見知り Ex. 赤ちゃんが6ヶ月位で家族以外の人を見ると急に泣き出す → 初期学習中形成
チンパンジーの赤ちゃん: 生後3ヶ月までヘビを怖がらない

この間に親が怖がるのを見た、かまれた、巻き付かれた等の経験をしたのなら納得がいくが、実際はこの様な経験のないサルでも怖がる。隔離飼育すると怖がらない

人間の赤ちゃん: 乳児院の赤ちゃんは人見知りが多い

飼育人 + 服
__A___+_a → 安心(いつもの服)
__B___+_b → 安心(いつもの服)
__A___+_b → 怖がる
__B___+_a → 怖がる
__C___+_c → 攻撃を仕掛ける、恐れは見せない
→ "恐れ"が形成されるためには認知の基準が成立しなければならない

↑ この間に不整合がある時恐れが発生する
任意の入力
経験と経験の間に整合性がないとき苦痛が発生 = 経験によって作られた基準と新たな経験の間の不整合

知覚も初期学習 (眼)

Ex 先天性白内障: 角膜移植で治る → 物が見えない → 物は見えるが、それが何か分からない。却って不便
Ex ストラトン Stratton GM: 自分の片目に外界が逆さまに見える眼鏡をかけ暮らした。8日目には慣れる
Ex ネコの隔離飼育

appetite 縦縞の部屋 → 水平のものがよく見えない
横縞の部屋 → 机の脚、椅子の脚等にぶつかりながら平地を歩く

→ 知覚も生後数ヶ月の間に形成されている学習である → 赤ちゃんには何でもない様な刺激を与えた方が良い

内発的動機付け

1) 感性・動機: 高等な生物になると環境刺激の変化を求める

Ex. ネズミ skinner box

______________
_________ light
__✔ lever
______________┘ テコを動かすと電灯がつく → テコを頻繁に動かす

Ex. チンパンジー
appetite
チンパンジーは窓を開けて外を見る
Ex 人間(感覚遮断実験) sensory deprivation: 刺激のない極限状態
→ 幻視・幻聴: 感性が鋭くなっている証拠
body imageが二重になる → 強烈な刺激に対する欲求がある

2) 好奇心 (Berlyne 1960, 1965)

恐れと密接な関係 → 期待と実際のズレ → 大: 恐れ / 小: 好奇心 cf. 探索反応

3) 操作動因 effectance motive: ヒトでよく言われる - 環境に変化を与えるとより快となる

社会順応 socialization

ポルトマン: 巣に居座るもの-妊娠期間短い(1-3ヶ月) ex. ネズミ: 多産・小型
巣立つもの-妊娠期間長い(6-10ヶ月) ex. 子供 1-2頭・大型

→ 人間は巣立つものに入る-しかし赤ん坊は違うようである(巣立つには1ヶ年かかる)

達成動機・親和性
親和性: 他者に対する親しみ
TATの結果を用いて分析して行くとこの2つの動機に達する

TATによって得られた実験結果: 達成動機グループと親和性グループに同じ仕事を行わせその途中に励ましの言葉をかける。その結果による仕事の変化を調べる

励ましの言葉 = 情報(競争的なもの-仲間との協調的なもの)

________達成動機グループ____親和性グループ
情報____競争 仲間との調和___競争 仲間との調和
仕事量____1______3_________3______2
→ motivationの違う子に異なる情報を与える必要がある

動機 motivation の層構造

意識可能なもの / 無意識なもの
Sullivan: 人間を人間たらしめるのは人間関係である

満足 satisfaction: 生物学的欲求の充足
security: 社会の商人 (Sullivanは人間にとってより重要と考える)

Maslow

自己実現 self actualization (realization)
esteen needs
belongingness and love need
safety needs (ex. 不離不安)
physiological control needs

Exp. ネズミの欲求の強さを調べる実験(Maslow 1941, 1954)

Start -------------------- Goal
______electric wire
電気格子: ゴールに近づくほど電気が強くなる。ゴールに対象物を置きどこまで耐えられるかを調べる
ゴールに御産の済んだばかりの母親をおき子をスタートに置くと強い刺激でもゴールに向かう
→ ネズミの欲求で一番強いのは母性愛を求めるものである
→ 人間では母性愛は詳しく調べられていないため一番強い欲求は食欲だといわれる
Maslow実験の欠点

相互関係がはっきりしていない
人間の欲求を調べるためには還元主義reductionismは通用しない
自己実現とは何か不明である

神経症の人を治療する過程で(治療者に何でも"依存する", "承認を求める")ことがある

→ 経営心理学

ホーソン実験 Hawthorne experiments

1924-1932: ウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場

(照明実験 +) リレー組み立て実験 + 面接調査 + バンク配線作業実験 →
仮説: 労働者作業能率 → 客観的職場環境よりも職場での個人の人間関係や目標意識に左右される →
(品質検査: 労働者の仕事の質 + 検査官と労働者の人間関係が評価に影響 → パワハラ)
→ 仲間意識や集団内規範が作業能率に影響 (人間関係論)

バイオフィードバック(生体自己制御) biofeedback

普通気づかない生体の様々な生理的情報を計測 → フィードバック → 身体状態を知る
→ [自律神経系の]自己コントロール

参考文献

  • Corballis MC, Beale IL. 1976. The psychology of left and right. Lawrence Erlbaum Associates, Inc. (白井 常・香取廣人・河内十郎訳. 1978. 左と右の心理学. 紀伊国屋書店, 東京 pp. 350)
  • 藤野 武. 1961. 人間形成の心理学. 春秋社, 東京. Pp. 262.
  • フロイド. 1953-1954. 精神分析入門. 安田徳太郎訳, 角川文庫563, 564
  • Hilgard ER. 1952. Experimental approaches to psychoanalysis. In: Hilgard ER, Kubie LS, Pumpian-Mindlin E (eds.). Psychoanalysis as a science. Basic Books, NY
  • 三木安正. 1958. 児童心理学. 共立出版
  • 西尾豪之. 1959. 子どもの勉強ぎらいと母親の態度. 教育心理, 日本文化社 7(6): 15-19
  • Tolman EC. 1954. A psychological model. In: Parsons T, Shils EA (eds.) Toward a general theory of action. Harvard University Press, Cambridge pp. 279-361
  • 矢田部達郎(監). 1962. 心理学初歩 (3訂版). 培風館, 東京 305 p. + 58 p.
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