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(2018年7月18日更新) [ 日本語 | English ]

人類 (mankind)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

人類学 anthropology: 人類(霊長類ヒト科)に関して研究する学問

Gauguin
我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか (Paul Gauguin)

人類学系統
文化人類学 cultural anthropology (社会人類学, s.l.): 文化・風習・習慣・慣習・風俗・宗教等分化 → 原因

社会人類学 social anthropology (s.s.)
民族(人類)学 ethnology: 民族の日常生活文化史

認識人類学 cognitive anthropology: 社会の事物事象分類体系化
民族誌学(エスノグラフィー) ethnography

民俗(人類)学 folklore: 文化模様
言語(人類)学 linguistics
考古(人類)学 archaeology: 地質考古学 geoarchaeology

自然人類学 natural or physical anthropology (生物人類学 biological anthropology, 形質人類学)

化石人類学(古人類学)
比較人類学
進化人類学

応用人類学

生態人類学: 人間生活に着目し、環境への適応と進化を研究 - ヒト個体群生態学という側面強い
霊長類生態学(動物生態学) + 文化生態学(文化人類学新進化主義派) + 医学生物学

索引

生態人類学 ecological anthropology

ヒト anthropoid, Homo sapiens sapiens
ヒト = 大和言葉
人間 = 仏教用語
人類 = 生物学的呼称
Ration: ヒトとは「2本足で立って歩いて、羽の無い動物」
人間
脳神経系発達による行動パターン、技術体系、観念・価値体系、社会組織、情報システムが重要
文化生態学
中核文化: 環境適応に基本的な生業活動や経済機構に密接に関連する一群の特性

食物エネルギー獲得・生産技術、人口変動、土地・資源所有・利用システム等

2次的文化: それ以外の文化特性

人類社会の多様な資源利用システムとそれに関連する社会システムを進化視点から理解

地球規模での環境問題深刻化
Ex. 環境汚染 (environmental pollution)
Ex. 歴史: 狩猟採集民がマンモス、ドードー、モア等の大型鳥獣類を絶滅
↔ 人類学が主要研究対象とした狩猟採集民、農耕民、牧畜民が培ってきた環境と調和した生存システムの理解が、開発と共に進行する環境破壊や資源の過剰利用の解決にヒントを与えると期待
Ex. コモンズ(エココモンズ): 土地・資源共同所有・利用、あるいは環境の不規則性や劣化に対する地域社会レベルでのリスク回避のシステム等が、多くの社会に存在(大塚 1994)

⇒ 活用し開発と環境保全の両立を模索

人類 (human)


人間とは: 生物学的分野・社会学的分野で人間(ヒト)概念異なるのが現状
1923 臨界点学説 critical point theory (Kroeber AL)
= 人の他の動物との大きな違いは大脳皮質の発達
変化は進化が突然ジャンプするよう大きく変化した(大部分否定)
  1. ヒトと最も近い類人猿と比べても精神面ではヒトの方がはるかに複雑 → 言葉・抽象化の獲得
  2. 言葉・抽象的思考: ヒトと動物を比較 → Yes/No区別できるほど全く異なる → ジャンプの連続があった
  3. 一般に人類の精神的統一性という問題 → 多人種の思考傾向の根本は何等変りがない → 人類が分散する前に文化が存在したと考える
1924 Dart R: アウストラロピテクス発見
= 二足歩行 + 石器使用 + (脳量 ≤ 1/2·現代人)

多くの発掘化石: 解剖学的にヒトとそうでないものの区別困難 - ヒトは徐々に進化 = 「臨界点学説」否定 → 単に自然環境による淘汰の他に文化を人間は持った事が人類進歩の点で大きな意味がある
「人間は自分自身を作る動物である」- 自己飼育家畜

文化は人類固有のものか
サル(日本猿): 個性存在 → (以前)チンパンジー = 最も人間に近いもの
1) 系統図(幸島のサル)完成 → 京大の餌付実験
最初はイモをそのまま食べた → あるサルが泉でイモ洗いをし食べる
泉が干上がった時に、仲間(大分イモ洗いは伝播済)達は海へ降り塩水でイモ洗いを始め、塩加減が良かったらしく一口かじる毎にイモを塩水につけ食べる事を始めた → 文化? (模倣伝播) – 伝播遅い
観察継続: 衝撃的事件発生 →
餌(麦)を砂場にまくと砂と一所に食べていた(麦粒のみを選んで) → イモを塩水につけ始めたサルが麦と砂を持ち海へ入り麦を塩水にまきつけ、砂は沈み麦は浮くが、それを選び食べた。ある日、この麦を塩水に漬けていた所、麦を略奪する者が表れた
→ 麦搾取階級発生 = 階級社会発生
京大研究: サルは言葉ではないが30数種程度の音声信号があるが、複雑多岐使用はできず言語ではない
2) 米国の研究
a) ヘイズの実験
チンパンジー対象: 手話を与える(150語) = 造語(言語)能力を持つ
→ 知能は比較的高い
b) Word panelの使用による実験
組み合わせにより文の使用がサル(チンパンジー)は可能
3) 野外観察
動物は道具を使う事が出来る(加工する)

Ex. ゲザート地方チンパンジーはシロアリを穴から取るのに木を歯で噛んでスポンジ状のものを作る - 道具を作るのは人間のみではない

人間の1定義「人間は工具を使う動物である」 → 根拠: 他の動物は工具を作り、それで別なものを加工する技術を持たない[否定]
[証拠] 400万年前にアウストラロピテクス(脳容積600 cc)が打製石器を作る

霊長類 (primate)


類人猿 (anthropoid): ヒト以外のヒト上科(無尾) ≠ 生物学上の分類単位

Ex. ゴリラ・オラウータン・チンパンジー・テナガザル

(Brace et al. 1965)

旧分類(一例)

Order Primates 霊長(サル) primate
全般的特徴: 新皮質発達 → 2つの目は並ぶが立体視可。色彩感覚有り

↔ 臭覚退化

平爪(×ツパイ)、鎖骨良く発達。関節の可動範囲大きい
一対の乳房持ち、普通一匹づつ子供を産む
Suborder Prosimii 原猿/ニセザル
表情筋未発達 + 鉤爪talon持つ種多
歯櫛(下顎犬歯切歯鋭く細長く櫛の様に前に飛び出る)を持つ
Infraorder Lemuriformes キツネザル
SuperfamTupaioidea ツパイ(キネズミ/リスモドキ)

非サル的: 鉤爪 + 前顎骨 + 鼻粘膜常時湿
1959 Clark: 化石種・原生種形態から霊長類の原始的タイプとする

サル的: 眼窩外側を骨が囲む + 手足の少なくとも一方は親指が他指と対向 + 2つの目は並ぶが立体視可。色彩感覚有り

SuperfamLemuroidea キツネザル
SuperfamDaubentonioidea ユビザル
Infraorder Lorisiformes ロリス
Infraorder Trasiiformes メガネザル
原猿論: 原猿亜目 Ex. Tupaiiformes → 真猿亜目 Ex. Homo sapiens

雄と雌 / 夜行性か昼行性

霊長目の社会構造の原理

昼行性: 重層 (ペアタイプ単位集団 - 群タイプ単位集団) vs 単層
夜行性: 集合性を持つ (無) vs 単独生活 (無)

Suborder Anthropoidea (Simiiformes) 真猿/ヒトニザル
表情筋発達(サルらしいサル) = 原猿以外
メガネザル: 真猿類により近い → 分類群変更(原猿類廃止) Infraorder Platyrrhini 広鼻
Superfam Ceboidea オマキザル
Infraorder Catarrhini 長鼻
Superfam Cercopithecoidea オナガザル
Superfam Hominoidea ヒト: 尾なし
真猿論: 新世界猿社会 +
オナガザル科群型社会 (群型社会通時的構造、群型社会発展、類人猿社会)
多くの種は樹上生活 primate

新分類(一例)

Suborder Strepsirrhini 曲鼻(猿)
鼻腔屈曲 → 鼻孔が左右に離れて外側を向く

タペータム(反射膜): 網膜裏側にあり弱光でも感知 → 多くが夜行性
鼻が湿り嗅覚優れる

Infraorder Lorisiformes ロリス型下目 (s.l.)
Lorisidae ロリス(ノロマザル)
Galagidae ガラゴ
Infraorder Lemuriformes キツネザル型
全種がマダガスカル島および周辺に分布
Superfam Lemuroidea キツネザル
Cheirogaleidae コビトキツネザル
Indriidae インドリ
Lemuridae キツネザル
Lepilemuridae イタチキツネザル
Superfam Daubentonioidea アイアイ
キツネザル下目から独立 (1科1属1種)
Daubentoniidae アイアイ
Daubentonia madagascariensis Gmelin 1788 アイアイ: 1957年再発見
Suborder Haplorhini 直鼻(猿)
= Simiformes 真猿類 + メガネザル
Infraorder Tarsiiformes メガネザル型
Tarsiidae メガネザル
Infraorder Simiiformes 真猿型

新世界サル new world monkey (中南米)

Parvorder Platyrrhini 広鼻
鼻形丸。尾活用
Superfam Ceboidea オマキザル
Atelidae クモザル
Cebidae オマキザル

Subfam Callitrichinae or Fam Callitrichidae マーモセット

MarmosetとTamarin

Subfam Cebinae オマキザル
Subfam Aotinae ヨザル

Superfam Pithecioidea サキ
Pitheciidae サキ

旧世界サル (アジア・アフリカ), 除ヒト

Parvorder Strepsirrhini 狭鼻
鼻切長。頬袋、尻ダコ持つ
Superfam Cercopithecoidea オナガザル (1科のみ)
双隆線性 bilophodontism: 大臼歯の内側と外側の咬頭の間に2本の隆線

ヒト上科: 原則下顎大臼歯は5個の咬頭
Libypithecus, Mesopithecus: 2本の隆線 → オナガザル上科

Cercopithecidae オナガザル (旧大陸猿 old world monkey)
Macaca マカク: M. fuscata ニホンザル Japanese Macaque, M. mulatta (以前 Macacus rhesus) アカゲザル Rhesus macaque (日本外来)
Mandrillus sphinx マンドリル mandrill
Superfam Hominoidea ヒト
尿酸オキシダーゼ活性なし - 分類再構成
Hylobatidae テナガザル gibbon
インドシナ半島-マレー半島-スマトラ島-ボルネオ島
Hylobates テナガザル (1属見解) +
Symphalangus フクロテナガザル (2属見解) + …
(大型類人猿 = チンパンジー + オランウータン + ゴリラ)
Hominidae Gray 1825 ヒト
現在: 現世2亜科4属 (従来: 現世1属1種 (二足動物 biped) = human)
Subfam Ponginae オランウータン(ショウジョウ, 猩々) (Pongidae)
Pongo オランウータン: P. pygmaeus オランウータン orang-utan
Subfam Homininae ヒト
Gorilla Geoffroy 1852 (ゴリラ, 大猩猩)
Pan チンパンジー: P. troglodytes (Blumenbach, 1799)

野生チンパンジー wild chimpanzee: 系統的にヒトと最も近縁なものを研究しヒトとの比較 (→ 個体群内相互作用研究発展)

Homo ヒト: H. sapiens sapiens
直立二足歩行 + 遅速歩行・方向転換可 (手 ≠ 特殊化 ↔ 足 = 劇的変化)
大犬歯発達、大臼歯磨滅度の差が他の真猿類と異なる
大後頭孔: 頭骨から脊髄出る穴

向き: 直立二足歩行動物 = 真下 ⇔ 四足動物 = 斜め後ろ

骨盤骨

四足動物: 細長く平ら。脊柱-骨盤は水平で、後肢は骨盤に対し直角
二足歩行: 幅広く、骨盤-下肢は垂直に立ち、股関節一杯に伸びる

               ヒト 人の直系 主な退化・痕跡器官
            原人 ┤ ホモ属   眼窩上突起・歯隙・
                 │          母趾対向性・下位肋骨
            猿人 ┤ 人類     切歯縫合・毛
    チンパンジー ┤ ヒト亜科 長掌筋
オラウータン亜科 ┤ ヒト科   采上襞
    テナガザル科 ┤ ヒト上科 第三転子・尻尾・瞬膜
        旧世界猿 ┤ 狭鼻下目 小臼歯・鋤鼻器・盲腸
        広鼻下目 ┤ 真鼻類   触毛・子宮中隔
    メガネザル類 ┤ 直鼻亜目 茎状舌骨・鼻甲介・鼻鏡
        曲鼻亜目 ┤ 霊長目
    (他の)胎盤類 ┤ 真獣類   卵黄嚢
          有袋類 ┤ 獣類     烏口突起
          単孔類 ┤ 哺乳類   腓骨・座骨動脈・頭頂眼
          双弓類 ┤ 羊膜類
          両生類 ┤ 四足動物 エラ・鰓弓・心耳
            魚類 ┤
図. ヒトの直系の分岐系統図と主な退化・痕跡器官

ヒトニザル = 新世界猿 + 旧世界猿

1. 脊椎動物としてのヒト (human as vertebrates)

身体の各部分がいつできたか(組成より推定)
a. 血液・体液、水との関わり
体重に占める水 (%): ネズミ 60-70  カエル 77  カキ貝 83  クラゲ 98
→ ヒト200万年、哺乳類6000万年 (Cf. リンガー液、生理的食塩水、羊水)

血液成分 ≈ 太古の海水 = 始生代に形成された?

b. 背骨
人: 頚椎7、 胸椎 12 、腰椎 5、 セン椎 5、 尾椎 3-5、計32-34個からなる
石灰塩 70%、有機質繊維 30%。約200万年前のヒトの骨でも同様
  ヒト ───────── 胎児 (1ヶ月)      脊索 ┐
  哺乳類                                    ↓   │
  爬虫類   2億年                            軟骨 │系統進化説
  両生類   3億年                            ↓   │
  硬骨魚類 3.5億年 デボン紀 ← ヒト骨の起源 化骨*│
  軟骨魚類 4.5億年 オルドビス紀                  ┘
  原索動物 ナメクジウオ > ホヤ > 筆石 > ウニ > 軟体 > 擬軟体
                          底生      *: 硬骨になること

origin

        筆石: オルドビス紀示準化石(腸鰓動物。浮遊性)
  二畳紀     ↑
  石炭紀     ↑
  デボン紀   ↑
  シルル紀   硬骨魚  ↑    内湾(泥の海)
  オルドビス(筆石)   ↑    ↑
  カンブリア(三葉虫) 軟骨魚←浅海(海進): 無脊椎動物全ての門出揃う
_____________
  原生代
ヤツメウナギ: 現代形態的にもっとも下等な脊椎動物
ナメクジウオ: 脊索(原索)動物、浮遊性動物

カンブリア紀は新たなる動物発生の紀(例外ないほど浅海)であり原生代と明確な違いがでる。 それまでの動物は泳ぐこと、浮かぶことが不可能でありオルドビス紀以降の動物が出現する
∴ 背骨は古生代前期(4.5-5億年前)に形成された

c. 四足・肺 (魚類 → 陸棲動物)
哺乳類手足 - 魚類(肉鰓類)対鰭起源

四肢動物の四肢の起源: 胸鰭 = 前肢 / 腹鰭 = 後肢

               鰭の形態                  鰓
肺魚
無顎類    尾ビレのみ
板皮類 ┐ 鰭を完備                  ⋄肺 – 交尾器(体内受精) =胎児栄養供給
軟骨類 ┘ 背骨。他の鰭出来る
硬骨類 = 水中を泳げる            ⋄肺 ♥浮袋
両生類    四肢形成(デボン紀)
爬虫類    獣型(→ 哺乳類) vs 恐竜

2. 哺乳類としてのヒト

a. 表皮
毛皮 – ジュラ紀 / 毛 – 表皮の変形 - 陸・気候等により構成されたもの
b. 温血
血球の小型化 – 体の隅々まで流れる。二心房二心室
c. 歯の分化 (歯式 dental formula)
ヒトニザル

(2122/2122) × 2 or (2123/2123) × 2 (ヒト, オナガザル, ショウジョウ)

+ 顎・歯退化傾向 + 顎後退(下顎後方へ下がる)

(2133)/(2133) × 2 オマキザル

ニセザル

(2133)/(1133) × 2 メガネザル (2123)/(1123) × 2 インドリ
(1013)/(1003) × 2 ユビザル    (2133)/(2133) × 2 キツネザル/ノロマザル
(2133)/(3133) × 2 ツパイ

ヒトニザル変異 < ニセザル変異 → ヒトニザルは比較的新しい時代に分化
ウシ (0033)/(3133) × 2 = 32
イヌ (3142)/(3142) × 2 = 42
ブタ (3143)/(3143) × 2 = 44 (原始哺乳類 44)
d. 有袋類
白亜紀-現在 – 胎盤未完成(早産)。育嚢で育てる = 子宮類

歯数は一定しない。哺乳類と比べ脳頭部小さい
眼下-側頭下部が連続している → 爬虫類に近い
切歯 5/4、小臼歯 3 + 大 4+

e. 胎盤 ⇒ 胎生
最古の哺乳類 – ゴビ砂漠で発見

          ← 石灰質団塊(デルタテリジウム = 食虫類, 暁新世)
白亜紀                              ┗ 胎盤完成している
                     爬虫類 (Ex. 三笠竜)

体毛有したのはジュラ紀 → 真の高等哺乳類は新生代暁新世 (Cf. 定向進化)
歯の生え方は我々の垂直交感 - 乳歯・永久歯(2生歯性)

ゾウ: 水平交感 = 歯の方向の変化は鮮新世(100万年前)だが原因不明

f. 頭骨の変化
↓ キツネザル・   嗅覚 vs 視覚 = 双眼 + 色 (樹上)
↓    メガネザル   ↓    温血でない種がある、夜行性
↓ 有尾猿類        ↓          下顎骨退化、四足(退化器官・痕跡器官vestige)
↓ 無尾猿類*      進化方向: 躯体大型化 – 肩・肘・胸発達

*: 中新世栄える

g. 歩行 walking
Ramapithecus → [直立歩行 upright walking] → Australopithecus
                                [二足歩行 bipedalism]
1930 キース: 腕渡仮説 brachiation hypothesis

高等霊長類(四足歩行) → 類人猿(腕渡) → 直立歩行
                               林冠生活               草原

腕渡 = 体幹直立姿勢前適応 + 大型化: 体重増加 → 腕渡

[反論] 骨・筋肉のつき方: ヒト ≠ 類人猿

Ex. 上肢: 腕渡をする類人猿 > ヒト
Ex. 親指: 腕渡をする類人猿退化 (腕渡では親指使わない)

1961 Hulse 1961: 食物運搬仮説: 食物の長距離運搬 - 直立歩行有利
1979 Kondo (近藤): 小型類人猿仮説(モデル lesser ape model)

歩行様式多様化(= 特殊化していない)した中に二足歩行の起源 →
二足歩行の起源 = 小型類人猿

足・肢・骨盤:
ヒト: 特殊化 Ex. 土踏まず: 血管保護・体重移動 Ex.親指: 荷重に耐える

Ex. 骨盤 pelvis: 漸進的進化 Ex. 下肢: 長い - 四足歩行困難

[ 霊長類化石 ]

化石人類学 (fossil anthropology)


人類: アフリカ起源の直立二足歩行をする霊長類の仲間

200万年より古い人類化石はアフリカからのみ

約600万年前にチンパンジーとの共通祖先から分かれ進化
ケニアピテクス Kenyapithecus
1500万年前 → ヒトやゴリラ等の共通祖先
1997 日本ケニア合同隊: ケニアでほぼ全身骨格発見 → 大型類人猿

それまで、歯等部分的にしか見つかっていなかった
骨格形態等: 他類人猿との分岐年代特定されるかもしれず、類人猿進化プロセスが見直されそう
進化系統樹 lineage tree: 約2000万年前に分岐したとされるテナガザルより早く分岐した可能性が大きい

ラマピテクス Ramapithecus: 1400-800万年前
当初ヒトの祖先説 - 系統的に繋がらない(否定)

形態 ≈ ヒト: 歯列弓アーチ型   切歯・犬歯小  臼歯歯冠低

1937 Lewis G Edward: New Deli北160 kmハリタリキングナールで発見

ヒト科新属とし発表(当時アウストラロピテクスは認められていた)

1961 Leakey LSB: 2体目化石をKenya南西部フォートターナンで発見

上顎一部: 歯列アーチ型に近い ⇒
1962 Kenyapithecusと命名 ⊂ Ramapithecus (後に)

1965 ヒト科動物の特徴 = サル棚持たない

→ ラマピテクス? (初期猿人は棚があるものがある)

1973 Turkeyのサンディールで下顎発見

大戦中Ramapithecus?発見。Sivapithecusと報告 ⊂ ラマピテクス(後に)

1975 Hungary北東部ブタバニア山脈石炭層内で発見

→ 当初ラマピテクスと分からない。現在も未断定

1977 2ダース程度のRamapithecus標本収集 ≈ 1500-1800万年前

ドミオピテクス: 森林生活(ゴリラの仲間)
ラマピテクス: 草原生活
↓ アウストラロピテクス 400万年前Dartにより発見
ラマピテクスはヒトとサルの中間? - 直立歩行かは証拠乏しい

ヒトではない?
300(500)万年前に猿人分化 → 第三紀にヒトと呼べる動物がいたはず
根拠 1. ルドルフ: 300万年前のヒト(?)顎

 2. 上顎大臼歯: 磨耗 = アウストラロピテクス、形 = ラマピテクス

→ Africa人類起源説肯定されるか?

化石には化石となる条件が必要であり、そうとは言い切れない。化石の出来る場所・出来ない場所があり、Africaは化石形成条件の良い所で、化石の出来にくい場所でAfricaより早く人類出現があったかもしれない → 世界各地で調査発掘を行う必要

インド・パキスタン: 化石は全くでないが石器は出る
1975 中国南西部 ラマピテクス発見(保存状態良)。アウストラロピテクス確認?
ベトナム: 戦争中にオラウータン発見。更に、ヒトの歯(?)発見
イーストサイドストーリー East Sdie Story
グレート・リフト・バレー: プレートテクトニクスで1000万年前形成 – 西に山脈
→ 東側: 気候大変動(降水量減少) → 森林から草原へ

初期のヒト科生物化石は、グレート・リフト・バレーの周辺または東側からしか発見されていない

→ 西側: 気候変動軽微: ゴリラ・チンパンジー・ボノボ(現在)
二足歩行
H1 (旧). 草原化に伴い二足歩行化が必要となる
H2 (新). 森林である程度の二足歩行能力を獲得し草原に侵出

→ ナックルウォーキング(チンパンジー)
→ ラミダス猿人

DNAによる系統分化推定
ミトコンドリアDNA, mtDNA: 母性遺伝で組換考慮せず突然変異変化速度推定可能 – 時間的に一定割合で変異

構成が単純で分析しやすい

ヒト-チンパンジーmtDNA組成差 ≈ 10% ⇒ 500万年前分化(ラミダス猿人?)
猿人化石 Australopithecus
australo = 南の, pithecus = 猿
東アフリカ: エチオピア-モザンビーク(ビクトリア湖東側で多くの化石発見)
第三紀形成、以後の代表的化石良く発見される。代表的土地にOldvai Group

東アフリカ発掘進むまで完全形発見されない
東アフリカ地層は奇麗に並ぶ所が多い - 噴出溶岩により明瞭な時代区別

1982 Ishii (石井英實)

950万年前: サンブル・ホミノイド - ヒト(類人猿)祖先の可能性(未詳)

2000 ケニア・フランス合同チーム: ケニア北西部バリンゴで猿人骨発見

推定600万年前 =「千年紀の祖先millennium ancestor」と命名
長さ30cmの大腿骨や足・手・指の一部・歯のついた顎
少なくとも男女5体で年齢は6-30歳。チンパンジー程の大きさの成人大腿骨に食痕。手指の形から木を機敏に登れ、歯の形状や摩耗度から堅い皮の果実を主食にしていたと推定

2001 東アフリカ、エチオピア

520万-580万年前の猿人化石とみられる骨発見

サヘラントロプス Sahelanthropus
2001 Beauvilain A, et al.: サヘラントロプス S. tchadensis

700-600万年前: 中央アフリカ(チャド)から頭骨
身長1.2-1.3 m。脳容積320-380 cc。眼窩上隆起顕著(非ヒト的)
二足歩行 → 脳発達

猿人の分化: 頑丈型と華奢型
A. 頑丈型 (ParanthropusAustralopithecusから分ける)
エチオピテクス猿人 (P. aethiopicus)
A. robustus (syn. P. robustus): 南アフリカ
1947 Broom: 大人のAustralopithecus頭骨発見

→ DartのAustralopithecusとは異なる → A. robustus

脳容積(cm³): 脳量がヒトとしての条件を決定するものではない

チンパンジー = 394 (<) オラウータン = 411 (<)
華奢型 < 500 (<) 頑丈型 = 500 (<)
boisei = 700-800 (<) ゴリラ = 800 (<) ヒト = 1300-1500

身長 1.0-1.4 m。体重40-80 kg
下顎・頬骨: 厚く張る
歯列: アーチ型 (ヒト = 丸い、サル = 角ばる、類人猿 = 中間的)
切歯: 犬歯小(顎水平移動可)  Cp. アファール猿人: 大臼歯1.5倍、小臼歯2倍
歯磨耗度(すり減り方) (特に第1第2大臼歯): 大きく磨耗 – 動物食生活推定可

⇒ 非常に固いもの摂食 – 果実、種子、茎、根等 + ×調理(×道具)

1959 Leakey: タンザニア、オルドバイ峡谷

Australopithecus boisei (P. boisei): 東アフリカ

180-100万年前には頑丈型絶滅

B. 華奢型 (Australopithecus, s.s.)
1995 アナム猿人 Australopithecus anamensis: 420-390年前
Ardipithecus (= 華奢型)
1922 Dart Raymond: Salmons, JosephineがDartを1922初期に訪問
1924 Dart R (1893-1988): スタークフォンテイン洞窟で頭骨化石 ⇒

タウングスで発見した古代ヒヒ(A. africanus)骨を調査
脳量: 現代生物中では多く(cp. チンパンジー、ヒヒ)、ヒトとの関連と直立二足歩行推測
[根拠] 大後頭孔位置がヒト的で、他動物と比べ前 ≈ 人間の位置
Australopithecus africanus発表 (本属初報告)

300-500万年前: A. afarensis (アファール猿人) ⊂ A. africanus

連続してハイデルベルグ人・シナントロプス等の人類進化証拠標本集まった事も発表理由

1936 Broom, Robert (1866-1951): Australopithecus transvaalensis

脳 500 cc。歯列形状 ≈ ヒト = A. africanus

1947 Broom: 骨盤 pelvis 発見 - 直立二足歩行確実
1972 Leakey & Leakey

260万年よりも下の層からヒト頭(脳量800 cm³)と石器発見
この頭はeye brow rich出ていない + 付近からその他の部分の骨を発見

1974 Johanson D: 全身の4割に至る化石「ルーシー Lucy」 =

頭骨低部骨片: 大後頭孔は頭骨中央に位置 + 大腿骨形状 – 二足歩行
長い腕と指、短い脚、三角形に尖る犬歯、脳容量400 cc – 類人猿的特徴
→ ラミダス猿人よりヒトに近い
ラミダス猿人 → [進化] → アファール猿人

1978 Leakey Mary: アフリカ、タンザニア北部ラエトリ地方

350万年前: 火山灰上に足跡化石発見
ゾウ、イノシシ、ウサギの足跡に混じり3人のヒト足跡 → アファール猿人の足型と足跡が一致

足跡: "土踏まず"があり、親指大きく発達 – 現代人と大差ない
手を地面についた跡がない

3人: 足跡サイズ = 26, 21, 18 cm

26 cmと18 cmは寄り添うよう平行に並び21 cmは26 cmの上に重なる = 家族単位行動

→ 二足歩行確実

1992 White & Suwa (諏訪 元)

ラミダス猿人 A. ramidus (syn. Australopithecus ramidus)
1994: 440万年前 猿人化石(歯、頭骨、上肢)エチオピアで発見

身長: ♂ 150 cm, ♀ 100 cm
犬歯: チンパンジーの様に三角形だがヒトのように小さく切歯化
頭骨低部骨片: 大後頭孔は頭骨のほぼ中央に位置 → 二足歩行

→ チンパンジーと分かれて間もないヒトと考える 化石発掘層: 森林性種子動物化石多出 → サバンナ性動物化石皆無に近い - 森林生活?
従来の人類誕生仮説(= サバンナ仮説)と対立

ホモ (ヒト, Homo)


ホモ・ハビリス Homo habilis

200-160万年前

脳容量500-600 cc + 顔面後退し小さくなる + 頬歯列やや小/前歯部大
上肢は下肢に比べ短い

1931 Leakey LSB: タンザニアのオルドバイ峡谷Olduvai Gorge発掘開始
1951 Leakey LSB et al.: 化石発見

Bet 2: 化石 + 石器 (Homo erectusのもの)
Bet 4: 打製石器(簡単なもの)発掘 - 人骨出ない

1959.7 Leakey LSB: 人骨化石復元 命名pre-Zinjanthropus

Bet 2: 礫石器発見 + 35 cm下から骨化石発見 = Homo habilisと命名
[仮説] Zinjanthropus: 175万年前 ⇒ ゴツいタイプのAustralopithecus

石器型を最低12種類に区別可能 → 各石器に異なる使用用途
⇒ 使用目的存在 = 文化 + 物々交換もあったと考えられる

石組住居確認。周辺に石器・動物骨・Australopithecus糞 - 食生活知る

1961 Leakey LSB: Zinjanthropus boiseiと命名した化石発見 + 石器

170-180万年前
Oldvai近所 (Zinjanthropus boisei地層から50 cm以下)でAustralopithecus頭骨と石器を一所に発見
Homo habilis
Omo川流域: 人間 → アウストラロピテクス 直立歩行(手が自由に使える・頭を支えられる)

オルドバイ型石器: 250万年–以降100万年位、石器構造に大きな変化ない

石を打ちつけ割る → 石核石器(チョッパー): 手元に残る大型の石 + 剥片石器: 砕け散った細かな石

石核石器 – 斧・金槌として用いる
剥片石器 – 尖った部分を刃として用いる

"華奢型"と"頑丈型"のAustralopithecusを中央-南アフリカの至る所で発見

→ Africaには複数のアウストラロピテクスが260万年以前に存在

1967 Leakey Richard: Omo川流域調査

コービー・フォラで石器発見 (260万年 + α)
イルトットで、ゴツいタイプのアウストラロピテクス発見。50体以上。石器も多く発見

1972 Leakey Richard et al. (発見者 = Bernard Ngeneo 探検隊メンバー)

ケニア、トルカナ湖東岸で190万年前の頭蓋骨発見
最初 Homo habilisHomo rudolfensis Alekseyev 1986

1973 Leakey R: 大地溝帯ハダール - ほぼ完全なAustralopithecus発見
1994 Carbonell Eudald et al.: グラン・ドリナ遺跡(スペイン)

80万年前
Homo antecessor Bermudez de Castro et al. 1997

1994 Biddittu, Italo: ローマ南西59 kmで頭蓋骨発見

50-35万年前: H. erectusH. heidelbergensisの中間的形質 →
Homo cepranensis Mallegni et al. 2003

    時代(万年前)
         ┃              ラミダス猿人
     400 ┃                   ┃
     350 ┃      ┏━━━アファール猿人━━━━━┓
     300 ┃      ┃                              ┃
     250 ┃ エチオピテクス猿人━┓          アフリカヌス猿人
     200 ┃      ┃             ┃               ┃
         ┃      ┃             ┃           ホモ・ハビリス
         ┃    ボイセイ猿人   ロブストス猿人     ┃
     150 ┃    (絶滅)         (絶滅)             ┃
図. 推定猿人 Australopithecus 系統

骨角歯文化(骨歯角文化) osteodontokeratic tool industry

各所で確認 (≠ 石器文化, s.s.)
資料統合 → Australopithecusが文化持ちヒトと断定(Dart) - 骨角歯文化

特徴: 工具を使っている
リーキー発見: 東アフリカのAustralopithecus = 180-200万年前
更に400-500万年前のAustralopithecus見つかる
サル: 道具作成に工具使わない vs ヒト: 道具作成のための工具使える

→ 道具作成能力はAustralopithecusは高いと言い難いが、木・石・動物の骨・角・歯等と巧みに使えた
1925 Dart, et al. (+ 弟子達): マカパス洞窟で直立猿人相当の石器発見

別地にネアンデルタール人時代石器発見 Parapapio broomi (Parapapio 古ヒヒ, broomi 命名者)化石 = Australopithecus
骨盤・足化石: Australopithecus ≈ ヒト(解剖学的) - 文化存在?

1951 証拠なし ∵ ヒト = tool maker, ≠ tool user

脳容積750ccをサルとヒトとの境とする説が出たが根拠欠く
発掘進め大量の動物骨を調べ、発掘骨部分に偏りがあり、骨(肉)が選択され、また動物種数も多く巨大獣骨も確認され、ヒトが食べたと考えるのが妥当。固い物体による打撃痕のある骨発見。Parapapio 42個のうち40個に打撲跡がある。鹿大腿骨を棍棒として使っていた証拠掴む → 肉食

1953 リーキー (Kenyapithecus発見者)

大量の骨はハイネナの仕業「Adam's ancestors」
他の人々もDart説否定
Dartは発見した骨から、尾・脊椎骨がないこと等のアンバランスは知能を持つものによる選択と主張

ハイエナ説否定の根拠
  1. 洞窟へ骨を集める習性はハイエナにはない
  2. ハイエナに共食い習性はない → 洞窟にはハイエナ骨がある
  3. ハイエナは骨を食い残さない

人骨 Australopithecus 発見 → 打撲跡よりAustralopithecus間に殺人行為(共食い?)があったと考える

原人 Homo erectus


1999 White and Suwa: 250万年前

A. garuhi: 近くから石器発見 → 初期原人の祖先?

H. erectus, Syn. Pithecanthropus erectus (猿人と見なされていたため)
A. Homo ergaster Groves et Mazak 1975: 180-140万年前, East Africa

初期原人 → 140万年前頃に後期原人のホモ・エレクトスへ進化

1980's 「トルカナ・ボーイ」: 160万年前の地層

アフリカ、ケニア、トルカナ湖畔
歯の生え具合より9-10歳と推定。身長168 cm (大きい)。脳量900 cc

A'. Homo georgicus Vecua et al. 2002: 180万年前

1999-2001 ジョージア、ドマニシで頭蓋骨・下顎骨発掘
当初H. ergasterと考えられた

B. Homo erectus Dubois 1892
原人(直立猿人): 身長175 cm – Australopithecusより現代人に近い

首から下は、ほぼ現代人と同じ

130-100万年前: Australopithecus africanus → 進化: Homo erectus

生存範囲広く、降雪地等でも生存確認 → 生存技術発達
火を意図的に使う(レスカル洞窟で75万年前の焚火跡確認) = 火: 天敵から身を守る。暖房調理

アシュール型石器
1.75 Mya: 出現 - 大型剥片を石器素材とする

Ex. ハンドアックス(石斧): 全体的に縦長で刃鋭い – 技術と熟練必要

アフリカ脱出
Homo erectus (ジャワ原人)
(Pithecanthropus erectus)
1891 デュボア(蘭): ヒトと類人猿の中間的なものを探す努力

トリニール川で歯化石一本発見。頭蓋骨の一部発見 = ヒトに似た一種の大型類人猿
大腿骨 = 直立生物の左足。歯をもう一本発見 → P. erectusと命名
全体として、大腿骨ヒト的、顔面部サル的。足骨はヒトの特徴を良く表す 生活: 住家持たない

Homo erectus pekinensis Black 1927 (北京原人)
(Sinanthropus pekinensis)
1923 北京周口店龍骨山(石灰岩)は名のとおり多量の動物化石出現

化石中に人骨混在判明

1927 Anderson: 周口店洞窟 本格調査開始: 哺乳類歯発見 = ヒト-サル中間

発掘進め同様の歯発見 → S. pekinensisと命名

1929 下顎、更に頭蓋骨等発見 - ほぼ完全な頭骨出揃う
1931 炉跡・石器発見
1937 発掘収量 – 計45体分の化石(太平洋戦争の混乱で紛失)
ワイデンライヒ(米): 北京原人レプリカ保存。化石から報告書作成(解析進展)

→ 60-30万年前
脳容量900-1200 ml。顔小さく身長160 cm程度と華奢 – ジャワ原人・ハイデルベルグ人と類似 生活: おそらく人類初の温帯地方生活者

洞窟: 大量の灰を発見 = 暖房(家)
石器: 同時代のアフリカの原人よりも粗末

                           ヨーロッパ    中国 北京原人
                                ↑               60万年前
アフリカ北部 原人 →→→→→ スンダランド ジャワ原人
         180万年前
アフリカ東部 猿人       図. アフリカ脱出

Homo heidelbergensis
1907 独ハイデルベルグで発見 (60-20万年前)

形態的には現生人類と大差なし。脳容量 > 1200 cc
Ex. Africa (ボド人、カブウェイ人化石)

human
H. erectus
human
H. neanderthalensis
human
H. sapiens
図. Homo erectus, H. neanderthalensis, H. sapiensの頭蓋骨(Stringer & Gamble)

Homo floresiensis P. Brown et al. 2004 (フローレス人)
2003 Brown Peter et al.: インドネシア, フローレス島で発見 (10-5万年前)

身長 1 m程度, 脳容量 380 cc

旧人(古代型ホモサピエンス)


Homo sapiens neanderthalensis ネアンデルタール

40-4万年前 (Syn. Homo neanderthalensis King 1864)
1856 Fuhlrott JC: 独, セッツセルドルフ、Neander谷間の洞窟で発見

第四紀洪積世後期(20-5万年)
ヨーロッパ-中東 → 3000体以上発見

脳 :1300-1600 ml (最大1750 ml)
下顎骨: 猿人原人より小
歯: 現代人より大きいが良く似る

1908 フランスLa Chapelle-aux-Saints manからほぼ完全な化石 ⇒
1911-1913 Boule, Marcellin (1861-1942, 仏, 解剖学): 半直立歩行 (否定)

「野蛮低脳。指さえ満足に動かせず、猫背で首を前に突き出し鈍重に歩く。現代欧州人とはかけ離れた種」 → 標本は重度関節炎患い猫背
ネアンデルタール人への誤解 – クロマニヨン人により滅ぼされた (否定)

ピルトダウン人事件 Piltdown hoax (1909-1996)
ジブラルタル人: 既発掘ジブラルタル人頭骨再発見 ≡ ネアンデルタール人
ベルギーでの発見

1825 リエージュ近郊のアンジス洞窟で、子供の頭骨発掘
1865 ラ・ノレット洞穴で、下顎骨発見
1886 スピー近郊で、2体の人骨が発見され、そのうち1体はほぼ完全
1899以降: クラピナ岩陰遺跡(クロアチア), 15万-3.5万年

カットマーク(死体解体でできる傷跡)あるネアンデルタール人骨が20遺跡の砂地から散乱状態で発見
→ カニバリズム(食人): 理由は不明(儀式? 飢饉?)

1950初頭 イラクのトルコ国境近くシャニダール洞窟でネアンデルタール人男性化石1体発掘( 45000年前)

年齢40歳代: 右肩-腕萎縮し、右肘から先がない(生まれつき?)。右脚関節炎? 左目失明? 頭骨に治療痕

落盤事故で死亡? → 40歳まで存命したことは周囲の介護協力なしには考えにくい = 介護技術存在

1960 シャニダール洞窟: 6万年のネアンデルタール人化石発掘

化石周辺の土が軟らかく周囲に石並び遺体右向 = 埋葬
土から花粉発見(アザミ、ノコギリソウ、ヤグルマギク等) – 洞窟周辺にない種も = 葬式
+ ラ・フェラシー遺跡: フランス、ラ・フェラシー。19世紀終に発見され体系的発掘を進め、巨大岩陰洞穴にネアンデルタール人7体埋葬確認。体を強く折りまげた者や、頭上に平石が置かれた者

→ 高度な文化持つ

↔ 反論: 「墓」という認識なかった (ガルゲット, 米 - ギャンブル支持, 英)

洞窟内で寝ている状態で自然死したものがそのまま残った
完全な人骨は、肉食獣(ハイエナ等)の分布していない地域で発見 → 意図的に埋葬されたと考えるより、自然死したものが食い荒らされることなく残ったと考える方が自然

→ 全てが埋葬されたものではないが、確実に埋葬されたものもある
1984-88 イスラエル、カルメル山周辺洞窟遺跡群
ケバラ洞窟(5.5万年前) → ネアンデルタール人化石

1984: 舌骨(発音に使う筋肉がつく)完全形で発見 = 現代人と区別不可
+ 脳にブローカ野(言語野)を確認 = 言語はあった?

カフゼー洞窟(9.2万年前) → 現代人祖先型化石

(現在発見された中で)最古の埋葬
ネアンデルタール人: 埋葬習慣を現代人から学んだ(模倣した)可能性

スフール洞窟(10万年前) → 現代人祖先型化石
→ ネアンデルタール人が新人(クロマニヨン人)に進化したとは考えにくい
→ 旧人(ネアンデルタール人)と新人(Homo sapiens)が共存していた
1998: ネアンデル渓谷ネアンデルタール人上腕骨からmtDNA抽出 → 解析

ネアンデルタール人と現代人のDNA配列かなり相違 → 55-69万年必要
= 60万年前に分化・混血した形跡はない

→ ネアンデルタール人は現代人と別な系統を進む – 現代人の祖先ではない (何らかの理由で絶滅)
ムスティエ型石器
最初フランス、ムスティエにて発見

stone tool ルボロア技法による石器: 前期旧石器時代の技法

図. ルボロア技法。(a) 手頃な石を要旨する。(b) 石の周囲を打ち欠いて剥れやすいように調整する。(c)·(d) 石器となる剥片を取るために、さらに表面を調整する。(e) 剥片を取る。(f) 剥片と残った石核。この石核からさらに複数の剥片を作る


60種類の型確認 = 石器製作技術進歩 + 主に剥片石器を用いたが使用目的により形の違う石器使用
狩猟技術に長じ、マンモス等の大きな獣をも狩る。火による調理

絶滅に関する仮説

1. 無関係説 (エズラ・ズブロウ, 米, 先史学者)
シュミレーション: 戦争がなくても、両集団の間の死亡率に2%の差があれば1000年程度で一方は絶滅

→ ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの両者間には「何もなかった」

2. 特殊化説: 分岐分類学
a)原始形質: 原始形質祖先から(ほとんど)変化せず継承する形質

より古い人類であるホモ・エレクトゥスに見られる特徴がネアンデルタール人にも存続している形質
Ex. 眼窩上隆起 → ホモ・エレクトゥスにも見られネアンデルタール人にとって原始形質

b)共有派形質: 同時代の他の集団(ここでは現生人類)と共有する形質

Ex. 脳容量の大きさが以前の人類よりも大きい

c)固有派形質: ある集団にしか見られないその集団特有の形質

Ex. ネアンデルタール人のイニオン上窩

ネアンデルタール人: 原始形質残しつつ固有派形質増加 → 保持型 → ある時期から環境適応困難

20-3万年前: ネアンデルタール人に大きな変化なし → 形質固定された
現生人類: 原始形質消滅させ、新特徴加えるか原始形質変化 → 改良型

3. くる病説: 寒冷適応 → 北ヨーロッパまで北上 → 日射不足 → くる病

幼少時のくる病は死亡率高 = 化石にくる病推定させる骨格異常痕多

4. MVP説 3.6万年前: 人口がMVP下回った + 遺伝的多様性低下 + 絶滅
雑種
2010 Pääbo et al. 現代人DNAの1-4%はネアンデルタール人由来

ゲノム有: フランス人、中国人、パプアニューギニア人
ゲノム無: アフリカ南部部族
⇒ アフリカ以外の地域で現代人とネアンデルタール人が交雑

新人 (現世人類)


イダルツ (ヘルト人) Homo sapiens idaltu White et al. 2003
16万年前(更新世) 東アフリカ
1997 White, Suwa (諏訪), et al.: エチオピアのアファール低地で発見

石器、死者への儀礼跡
H. heidelbergensisidaltu

クロマニヨン Homo sapiens sapiens
洪積世後期(5-2万年) → 後期旧石器時代

8-5万年前にアフリカ脱出 - 中東へ (DNA解析)

1868 南仏ドルドーニュ付近クロマニヨン洞窟 – ネアンデルタール発見直後

脳1300-1800 ml。下顎骨小さくなり頤がある。歯は現代人に似る。膝を伸ばした直立歩行
石器: 黒曜石、フリント(火打石)使用 – 産地限定 = 遠方より手に入れる

→ 狩猟時代: 石刀、投槍、弓矢
他所で記録された新人: ジャスラード人(南仏)、グリマルディ人(伊)、☛ 日本

中国: 柳江人、資陽人、周口人、上洞人(山頂洞人)

1879 アルタミラ洞窟: 2万年前壁画 - バイソン、イノシシ、シカ、ウマ等

生活: 食物作る = 農業
ヒトは地球を変化させ始める(人間化された地球での生存には、地球をより深く理解することが必要)

1940 ラスコー洞窟: 少年が穴に落ちた飼犬を救出時に発見

2万年前壁画 - 馬・山羊・羊・野牛・鹿・カモシカ・人間・幾何学模様
遠近法使用

⇒ 狩猟困難な動物多: 狩猟目的 ≠ 芸術的感興
シャテルペロン型石器 châtelperronian
地域限定(スペイン北部-仏南部), 3.5-3.0万年前
基本的作りはムスティエ型石器と同じ
+ 動物骨利用骨格器 + 高度装飾品(ビーズ、ペンダント) → 同じに出土
フランス、サン・セザール: 旧人。30000年前(ネアンデルタール人最新化石)

シャテルペロン型石器が出土 → 旧人と新人との間に何らかの影響

(結論なく、今後の研究待たれる)

新人の起源

a) 多地域進化説
110万年前アフリカを脱出した原人起源
アジア、アフリカ、ヨーロッパ各地で、原人が旧人に、旧人が新人に進化
(反論) ネアンデルタール人からクロマニヨン人に進化したとは考えにくい
b) アフリカ起源説
ミトコンドリア・イブ仮説 (Willson A et al. 1987, 米, 分子遺伝学)
アフリカ、アジア、欧州、ニューギニア、太平洋、各女性135人 mtDNA比較
仮定: 2-4%/100万年の変異確率。旧人-新人間遺伝的交流なし(= 調査された現代人遺伝子に旧人クラスのものが存在しない)
→ 20万年前アフリカ1女性mtDNA受継ぐ → 「アフリカ起源説」支持
→ 新人: 20-10万年前アフリカで発生 → アフリカ脱出 → 個々の地域で新人

(反論) 20万年という年代推定には、最大100万年前までの誤差が起こりうる + 実際には、旧人と新人の間には交流があったと考えられる

c) 東西二地域進化説 (馬場悠男)
アジア: ジャワ原人 → 旧人・新人 (顔等の特徴が一貫して似通う)
ヨーロッパ・アフリカ: クロマニヨン人がネアンデルタール人と交代

モンゴロイド

起源は、原人か新人かは諸説がある(多地域進化説・アフリカ起源説)
                    ┌────────────────┐
[北方モンゴロイド]←┤25000年前             12000年前?↓
 東南アジア(中国)   │                            北アメリカ
  5000年前┌┴┐    │                      11000年前?↓
          │  │    ├→3万年前                   南アメリカ
          ↓  ↓    │          1500年前┌→ハワイ
            [南方モンゴロイド]─────┼→イースター島
             スンダランド┐   4000年前  │ 1500年前
                6-5万年前↓     1000年前└→ニュージーランド
                   オーストラリア
スンダランド
年代分け各地へ移動
6-5万年前: サルフランド(当時オーストラリア、ニューギニア、タスマニアが陸続きの大陸)に移動

数万年間移動は断続的に起こった
1万年前: 氷期終焉と共に海面上昇し移動が途絶える
= オーストラリア先住民、ニューギニア人(19Cまで原始的狩猟採集生活)

3万年前: 北へ移動 – 移動要因(引鉄)不明 (スンダランドではなく中国南部から移動説も)

25000年前: 北緯60°を越えシベリアに至る

技術革新 = 火・衣服・細石刃(カミソリ状の石器)

12000年前: 北極海に達する → ベーリング海渡りアメリカ大陸へ = アメリカ先住民

12000年以上古い遺跡がアメリカ大陸で発見 → 民族等は不明

縄文人はこの時期に移入した人々と考えられる
= 北方モンゴロイド: 胴長短足。顔の凹凸乏しい – 寒さへの適応 ↔ これ以外を南方モンゴロイド

5000年前: 北東アジア全域に拡散 – 1万年前に氷期終焉し温暖化

2300年前: 渡来系弥生人はこの時期に移入した人々と考えられる

日本人の起源 (the origin of Japanese)


日本: (弱)酸性土壌多 - 骨溶かしやすく化石残りにくい

原人 (archanthropine, early man)

60万年前から日本にヒトと呼べる動物がいた
1905 マンロー(英): 神奈川県酒匂川流域で礫器
1949 群馬県岩宿遺跡 相沢忠洋(行商人、考古学マニア)発見

10万年前の関東ローム層から石器発見
縄文時代以前の文化(当時縄文以前の文化はないとされる)

1983 宮城県大和町中峰C遺跡: 14-37万年前

石器 – 中国周口店(北京原人)石器と似る

1984 宮城県古川市馬場壇A遺跡: 15万年前 → 石器出土
1993 宮城県筑館町高森遺跡: 50万年前 → 石器出土
1994 宮城県筑館町上高森遺跡。60万年前

石器出土: 石器発見/人骨出ない → 日本土壌の特性

1968-74 沖縄県本島具志頭村港川採石場石灰岩割目

港川人 (18000-16000年前) – 完全に近い人骨4体 男子153 cm、女子144 cm – 縄文人身長に近い
形態的には、柳江人(中国南部出土)に近く、山頂洞人(中国北部)からは遠い – 南方起源?

人骨出土
1959-61: 静岡県三ヶ日町(現浜松市北区)石灰岩採石場

三ヶ日(ミツカビ)人 (9000年前 - 2001年14C測定)

1962 沖縄県山下町第一洞穴遺跡: 前旧石器・焼土(炉跡)・焼礫

4.0-3.6万年前 = 旧石器時代
1968 人骨(子供)発見 = 山下洞人

1962 静岡県浜北市(現浜松市浜北区)岩水寺採石場・根堅洞窟

14000年-10800年前(旧石器時代) - 14C
人骨(20代女性)= 浜北人 → 港川人が起源? (骨形態より)

1962 大分県佐伯市聖嶽鍾乳洞

聖岳洞穴人(聖岳人)・黒曜石製旧石器 – 新人(後否定)

1975 愛知県豊橋市牛川町石灰岩採石場

牛川人 – 人骨(旧人)ではない?

1950 栃木県葛生町(現佐野市)石灰岩地帯

葛生(クズウ)人: 上腕骨,大腿骨,下顎破片
ネアンデルタール人に類似した人骨 (発見者 直良信夫)

明石原人 = 明石人, 西八木人骨 (不明疑問点多)
1932 直良信夫 兵庫県明石市海岸にて原人人骨?拾う

1945 空襲で化石消失: 松村瞭助(東大) 直良人骨写真と石膏模型保存
→ 長谷部言人: 骨形態から完全直立歩行不可能

ジャワ原人と同段階 → Nipponanthropus akashiensisと命名
→ きっかけに大規模な発掘調査実施 → 人骨出ない

1982 遠藤萬里・馬場悠男:

石膏模型コンピューター人骨比較解析 → 縄文時代以降の新人

縄文人 (Jomon man)

1952 関東ローム層集団研究 - 動植物遺体(化石)が石器とともに出土しない

25000年前 立川ローム層 (17000: 第一黒色帯, 25000: 第二黒色帯)

広く同一年代の地層 - 後期旧石器 ⇒ 日本全土に人類

1962 野尻湖: (長野): 5万-3万3000年前の動物化石群

ナウマンゾウ臼歯 (後に全身、オオツノシカ化石)
→ ナウマンゾウ等の食料求め移入

縄文時代以前の寒冷期に移入した人々(南方モンゴロイド)が起源

2万年前(氷河期最盛期): 日本の大部分森林 - 北海道: ツンドラ
2-1万年前: 気温上昇 → 森林北上 - 旧石器時代終

縄文時代 = 縄文土器使用: 13000-2300 (2500-2200)年前(推定は14C等)
気候: 沖積層世(沖積世) → 温暖期: 森林(気候帯)北上

5000年前: 気温↓ 3500年前: 気温↓↓↓(サントリーニ火山大噴火)

遺跡
上野原遺跡(鹿児島): 早期 → 最古級集落跡
三内丸山遺跡(青森): 前期-中期 → 1500年続いた巨大集落
加曾利貝塚(千葉): 中期-後期 → 最大級貝塚
大森貝塚(東京): 晩期
菜畑遺跡(佐賀)・板付遺跡(福岡): 晩期 → 水田・水路跡
人口
最盛期 = 30万人 (奈良時代 500万、室町時代1200万) 東北地方 46000 vs 近畿中国地方 4000

東高西低 → 西から発展し東に伝播したとは考えにくい – 気候の影響 Ex. ドングリ、クルミの分布 ⇒ 東北地方あたりが適(住みやすい)

体型
身長: 縄文次代通じ男子155 cm – 但し、体型(骨格)は徐々に頑丈となる
生活
竪穴(式)住居 (pit dwelling): 地面に50-70 cmの穴を掘り4-6本の柱を立てた茅葺屋根の家 = (半)定住生活 (大船遺跡)
主食料: ドングリ類、獣、魚介類

縄文クッキー: アク抜した堅果(ドングリ等)の粉を焼き作る – 貯蔵法発達
後期: イネ・ムギの花粉発見
後期・晩期: 西日本の遺跡から炭化した籾や籾の圧痕のついた土器発見

抜歯: 所属集団(部族)を示す
土葬: 大人と子供埋葬地違う(大人: 住居離れる - 子供: 入口, 七五三起源?)
縄文土器 Jomon earthenware vessel: 13000年前 – 世界的に最古

縄目模様独特 – 呪術的意味?
火焔土器 – 新潟県で多出土
縄文土偶 Jomon clay figurines: 東北(東日本)で多出土。初期5-10 cm、後には50 cmのものも見つかる - 時代と共に大型化

鳥浜貝塚(福井): 1万年前 = 草創期

6000年前 = 前期(温暖化ピーク): 照葉樹林
緑豆、ヒョウタン出土 → 原産地: 緑豆 – インド、ヒョウタン – 西アフリカ

照葉樹林だがクルミ・クリが多量に出土 = 定住生活に入る
→ 人里植物出現

      ヒト                                         
     [採集]━━━━━━━━━━━━━┳→[クリ-クルミ林発生]
       ⇓     クリ・クルミ林伐採      ┃           ⇓
       ⇓     薪・木材の伐採          ↓           ⇓
   [恒常的伐採]━━━━━━━━━━━┻━━→[照葉樹林文化]
       ⇓               人里植物集中
       ⇓             伐採活動の容易化
 [森利用の集中化]←━━━━━━━━━┳━━→[二次林の出現]
      ┃         ヒト-二次植物共生   ┃           ⇓
      ┃         有用・優良植物の選択┗━━→[二次林の発達]
      ┗━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━┛
                           栽培化
                             ⇓
    稲渡来━━━━━━→稲作文化発達
三内丸山古墳 5500-4500年前: 最大500人規模集落
長さ30 m程の長屋状住居跡。直径90 cmのクリ材柱(栽培可能性)
北海道産黒曜石出土 [縄文人 → アイヌ民族]
ヒスイ(翡翠)出土: 新潟県糸魚川が日本唯一の産地
丸木舟 = 「海の道」交易

朝鮮半島の縄文時代同時代遺跡から日本産黒曜石出土

弥生人 (Yayoi man)

弥生時代 = 弥生式土器使用時代(BC5-4c–AD3c): 特徴 = 稲作、金属器
遺跡
菜畑遺跡(佐賀)・板付遺跡(福岡): 早期, 水田・水路跡(縄文晩期より続く)
唐古・鍵遺跡(奈良): 中期, 奈良盆地最大の中期農耕集落
吉野ヶ里遺跡(佐賀): BC100-AD0, 最大の環濠集落(高床式倉庫・物見櫓)

= 邪馬台国?(卑弥呼の時代と合わない)
家畜出現: イヌ、イノシシ(豚)、ニワトリ?

荒神谷遺跡(島根): 中期, 銅剣358本
加茂岩倉遺跡(島根): 中期, 銅鐸39個
登呂遺跡(静岡): 後期, 集落遺跡・水田跡
砂沢遺跡・垂柳遺跡(青森): BC-AD, 田跡
はるの辻遺跡(長崎): AD1c, 3重環濠、最古の船着場、中国貨幣(1c鋳造)
4000年前: 寒冷化 = 現在の気候と概ね同じ

縄文人人口最盛期30万人が75千人に減る

化石産出: 九州中心
西北九州型: 長崎、佐賀南部 = 縄文人人骨に近い → 縄文人起源
北部九州型: 山口、福岡、佐賀北部 = 身長163 cm、顔立面長 – 形態的に縄文人と大きく異なる

→ 断続的変化で縄文人が北部九州型弥生人となったとは考えにくい
弥生時代同期(推定)韓国礼安里遺跡人骨 – 形態的に北部九州型類似
→ 縄文人とは別民族起源(北方モンゴロイド)
歯は縄文人に比べ遥かに大 – 北方モンゴロイドの多くの民族よりも大
→ 前漢時代揚子江流域の墓出土の人骨歯に似る – 中国中南部起源説

⇒ 二重構造: 南方系モンゴロイド(縄文人)/北方系モンゴロイド(弥生人)混在

混血は起こる → 現代へ

2300年前: 弥生文化始まる → 稲作(水田) → 村 → 古墳 – 人口増加

稲作伝播: 日本イネはジャポニカ型
a) 南島-九州ルート
b) 南部朝鮮-九州ルート
c) 中国江南-東シナ海-九州ルート: 江南、河姆渡遺跡(7000年前)から稲作跡 – 主にジャポニカ型
定説はない。複数ルートとも考えられる

BC 1 c-AD 1c: 青森県砂沢遺跡 – 水田跡。西北九州型(縄文人型)弥生人

→ 稲作伝播速度は極めて早い
稲作 → 集団活動必要 → 村発達: 50-70軒規模

(魏志倭人伝)

100年頃: 倭(日本)は100余国に分かれていた
AD57: 倭の奴国王が後漢朝貢 - 光武帝から金印(印綬) - 志賀島で発見
239: 倭の邪馬台国王、卑弥呼が魏に遣使し、魏王明帝より親魏倭王の称号授かる

AD 2c: 村形態分化

環濠集落: 集落を濠で防備

Ex. 吉野ヶ里遺跡(佐賀)・唐子-鍵遺跡(奈良)・原の辻遺跡(壱岐)・池上曽根遺跡()・板付遺跡(大阪)

高地性集落:小高い丘の上に作られた集落 → 低地性集落(従来): 平野部に作られた稲作目的の村

物見が目的 → 瀬戸内海沿岸、近畿地方に多
村周囲に堀 Ex. 兵庫県会下山遺跡 – 鉄鍬、石弾、大型石鏃

→ 大和大乱説: 『魏志倭人伝』「倭国乱れ、相攻伐すること歴年」 → 集落防御目的

AD 4c: 騎馬民族日本征服説(江上 1967) → 反論も多い

古墳巨大化 + 急激に戦闘的になる – 騎馬民族(Ex. 匈奴)侵入?

→ 北東アジア蹂躙した騎馬民族が日本に入り社会中枢を占めた

渡来人の存在は疑いない

Ex. 墓制の多様化 → 朝鮮半島の影響と支配層(豪族)の搭乗
  • 甕棺墓 (九州北部): 長岡遺跡(福岡)、立岩遺跡(副葬品あり)
  • 箱式石棺墓 (中国・九州): 吉野ヶ里遺跡、島根大学構内遺跡
  • 木棺墓 (近畿周辺): 府久宝寺遺跡(割竹形木棺完存)
  • 支石墓 (九州西北部): 里田原(さとたばる)遺跡
  • 方形周溝墓 (近畿): 1964 宇津木遺跡(東京)で初発見
  • 墳丘墓 (各地): 加美遺跡(大阪)
  • 四隅突出型墳丘墓 (山陰-北陸): 妻木(むき)・晩田遺跡群(鳥取)
生活
武具発達 – (大規模な)戦争 [人骨に外力による大規模破損あるもの多]

弥生式土器・銅鐸
装飾にシカ、人が多(銅鐸はトリも多)。他にヘビ、カエル、スッポン、サカナ


[ 本州年代対応 ]

北海道


石鏃せきぞく: 鋭い先頭部と形態様々な基部からなる扁平で小型の石器 - 主に矢尻

1万5千年前: 出現 - 弥生文化では武器としても使用

基部形態は時代とともに変化 - 北大構内でも発掘される

旧石器(先土器)時代

50万年前: 石器

上川郡清水町美蔓西遺跡

12万年前以前: 前期旧石器時代

1999 長崎: 両面加工尖頭器、採土スクレイパー - 洞爺火山灰層(10万年前)下位

5万年前: 石器(斜軸尖頭器)

1998 長崎: 石狩川右岸ローム層露頭(樺戸町新十津川総進)

2万年前: 北海道は海水面下降し大陸と陸続き → マンモスや人類渡来

マンモス化石: 襟裳岬、夕張市、空知管内由仁町
南方系ナウマン象化石: 十勝管内忠類村

道の旧石器時代は約700遺跡で確認
打製石器は石刃、細石刃、尖頭器、石錐等 → 魚介類、オオツノジカ(更新世北方系動物)、野牛、トナカイ等を獲っていた

網走管内白滝村から当時(2万数千年前-縄文時代)の遺物が豊富に出土
岡山県帝釈峡: オオツノジカ骨

縄文時代(文化)

打製石器 → 磨製石器
初期: 海水面現在より3-5 m↑ (縄文海進) = 海: 釧路・網走・石狩・苫小牧近辺

道南: 椴法華式に代表される尖底土器多く出土(本州東北地方と共通)
道央・道東: 平底土器出土 + 石刃鏃文化が北アジアから道東に入る

石刃鏃 flint arrowhead: 石を打ち欠いた石刃で作った鏃

石刃鏃文化
縄文早期中-後葉期: 石狩より北部で出土
日本: 北海道だけで出土 (十勝・釧路・網走方面に多)

大規模遺跡: 道東北部沿岸部に集中 - 漁労重要
石刃鏃: サハリン・アムール中流域からも出土 - 交流(北から道に移入?)

[ 縄文の森 ]

遺跡
北黄金貝塚(伊達市, 史跡公園): 噴火湾に面した舌状丘陵上(保存状態良好)

縄文時代前期大規模貝塚を中心とする集落遺跡
4か所の貝塚、湧水地、竪穴住居、土坑墓等確認 + 土器、石器、骨角器、埋葬人骨や動物遺体
(出土人骨の人類学研究や貝塚分析 - 縄文人の自然環境適応が分かる)

入江・高砂貝塚(BC3500-AD800, 洞爺湖町): 噴火湾に面した海岸段丘上
縄文前期-晩期自然環境、生活生業、人類学的形質や葬法等知る上で重要
入江貝塚: 縄文前-後期の大規模貝塚伴う集落遺跡

厚さ3 mに及ぶ貝層から多数の人骨・遺物出土

高砂貝塚: 縄文後期 + 縄文晩期土坑墓群も確認。多数の人骨と副葬品出土
鷲ノ木遺跡(森町): 現海岸線から1 km内陸の舌状丘陵上 + 保存状態良好
縄文時代後期前半の環状列石と竪穴墓域
環状列石: 中央4 × 2.5 m配石と二重列石で構成、外周37 × 34 m 円形 道内最大規模
竪穴墓域: 環状列石に隣接 11.5 × 9 m ほぼ円形 大小11基の土坑墓
北日本環状列石・墓制・祭祀等の精神世界 + 北海道-北東北交流
大船遺跡: 太平洋に面した海岸段丘上
縄文時代中期の大規模集落遺跡
100棟以上の竪穴住居跡 (深さ2 m越える大型竪穴住居特徴) + 盛土遺構、土坑群等
大量の土器、石器の他、クジラ、オットセイ (+ 銛 harpoon head)、クリ、ヒエ等動植物遺体出土 → 生活・生業(漁業 + 農業)知る上で重要
竪穴住居 (pit dwellings): 縄文時代に作られた住居形態。地面を円形や方形に掘り床とし、柱を立て骨組を作り、その上に土やヨシ等で屋根をふいた建物で、床には炉が設けられる。大船遺跡の住居は大規模で、長さ8-11 m、深さ2 m以上の住居がある。炉は、床そのものを火床としたものから土器を埋めたもの、石を囲んだ炉へと変化が見られる。この復元住居は、発掘調査の成果を元に、クリの木を使い竪穴住居の骨組を再現した。(2018年7月11日)
Ofune Ofune
後期・晩期
道東では遺跡は、殆ど見られなくなる
アスファルトの道

磨光B遺跡(南茅部町): アスファルト塊 = 矢尻・矢柄接着に使用(加工技術必要)

職人集団存在の可能性 + 貿易拠点の可能性

[ 忍路環状列跡 ]

環状列石

続縄文文化

本州弥生時代に、北海道に鉄器伝わるが稲作農耕行われず、権力者も出現せず、縄文文化の伝統を残した文化続く
前期 = 本州弥生時代

後北式文化: 道東、道北、道央 - 後期には東北地方まで伝播
恵山式文化: 海岸に多 Ex. 恵山町恵山遺跡 – 本州にもある Ex. 青森県北津軽郡

後期 = 本州古墳時代(東北南部でも4-5世紀の古墳文化的集落確認)

後北式土器が全道に広がる Ex. 余市町フゴッペ洞窟
墓は多量に発掘 ↔ 住居跡少 → 本格的住居作れない → 非定住生活

秋田県能代市寒川II遺跡 = 後北式文化 → 青森県下北半島-八戸、上北地方、宮城県、秋田県
寒冷化 = 稲作前線後退と関連

「港大照寺遺跡」跡地
埋蔵文化財埋蔵地 - 昭和44, 45, 47年に発掘調査実施
縄文晩期の日本海沿岸で初と言われる積石墳墓群や石器・土器片多数発見
この時期の太平洋沿岸以外の墳墓等となる港大照寺遺跡の発掘は、北海道の墳墓の構造や葬法を知る上で貴重
(平成30年10月 蘭越町 蘭越町教育委員会)

文化人類学 (cultural anthropology)


個人(心理学) ⇔ 社会(社会学) ⇔ 文化(人類学): 相互作用 = 文化人類学
文化の過程 culture process
文化の統合 culture integration

研究上の障壁(全ての統合科学に言える): 「人よ、汝自身を知れ」
1. 一科学について集中的に訓練を受けた人は他分野に無知である
2. 分野間で術語(専門用語)に統一性がない

人間生活一般を理解するには、社会間の相違よりも類似性の方が重要
ある特定社会の生活様式を1つの全体として研究し明らかにできる問題がある
文化型: 行動の標準 → 文化: 個々の社会が持つ生活様式。「習得された行動と行動の総合体であり、その構成要素がある1つの社会のメンバーによって分有され伝達されるもの (Linton 1945)」

社会により生活様式が異なる = 民俗学

民族生態: 人類生態系を民族集団単位で比較し、民族間相似性・相違性を知り人類の生態的特徴を知る
多方面からの調査必要。至極一般的な(ありふれた)ものを追求する必要
[他国文化理解 ≠ 未発展文化を強制的に変革させ先進的にする]
未開社会: 文字のない社会 (軽蔑的な意味ではない)
世界中の文盲率は40%(35%) → 文盲 ≠ 野蛮 primitive → 厳しい生活に対する adaptation ともいえる

Ex. エスキモー・ラップ人・ブッシュマン・マサイ・アボリジーン (Ref. ウォンランド「古代社会」)

人種 race (ethic group)

人間の遺伝的特徴によりなされる分類
アジア系(黄色人種): 皮膚黄-銅色、毛髪黒色直毛

Ex. アジア諸地域、アメリカ先住民

ヨーロッパ系(白色人種): 皮膚白色、毛髪金髪-黒色波打つ、伸長高く高い鼻

Ex. 欧州、アラブ、インド

アフリカ系(黒色人種): 皮膚黒色、毛髪黒色巻毛状

Ex. 中央-南アフリカ諸地域

その他(アジア系としてもよい) Ex. アボリジニー、ポリネシア
民族 ethic group (race)
文化的(言語・宗教・習慣・社会構造等)な分類 → 人種・民族差別
(主要)言語 language

中国語 Chinese: 使用人口最多
英語 English: 使用地域最大 → 国際語的性格
独語 German: 医学・法学等で現在でも世界共通語的性格
仏語 French: フランス植民地(Ex. カナダ東部)でも使用
西語 Spanish: スペイン植民地(span class="bn">Ex. 中南米)でも使用
アラビア語 Arabic: イスラム教圏で広く使用

宗教 religion

6000年前: 高温期 = 農耕発展 - 多神教発生
5000年前: 気温低下 + 乾燥 → アジア・アフリカに乾燥地帯発達

砂漠化による神々の脱落 → 一神教発生
Ex. エジプト神教
Ex. 4000年前: ユダヤ教: 多神教 → 一神教(エホバ)

3200年前: カナン定住 - ラクダ家畜化
ヤハウェ/エホバ神(嵐の神) → 荒原 + 天地創造 (→ キリスト教)

3大宗教 = キリスト教 + 仏教 + イスラム教
受肉 inculturation: 神が人の形をとり現れること Ex. イエス、ブッダ
キリスト教 Christianity:
カトリック(旧教): バチカン中心。ラテン、中・南アメリカ
プロテスタント(新教): ゲルマン民族、北アメリカ
ギリシア正教: ギリシア、ロシア、東ヨーロッパ
原罪 (original sin, peccatum originale L)

アダムとイヴから受け継がれた罪 (キリスト教西方教会)

仏教 Buddhism:
上座部仏教(南伝仏教): インドシナ半島、スリランカ
大乗仏教(北伝仏教): 日本、朝鮮、中国、ベトナム
♠ キリスト教 - 仏教

西と東
砂漠(天地創造・終末)と森林(梵我一如・万物流転)

直線的世界観(有限) - 円環的世界観(無限)
自力 - 他力

イスラム教: Islam ← キリスト教

天地創造-終末  ×受肉

スンニ派(正統派): イスラム教徒の90%
シーア派: イラン中心
ヒンズー教(インド)

バラモン教

文化 culture

↓ 個別的文化
↓   Ex. 挨拶: キス・握手・お辞儀・ウィンク・鼻をこする
↓   Ex. 言葉: 米語・露語・独語
地域/言語/環境等 → これらにより形成 → 不変的ではない
↓                                ↓ 継承と伝播 = 学習により伝わるもの
生活形態                  文化: 後世へ … 伝統

近年: マスコミュニケーション発達 + 外来文化導入 (欠点: ばらばらに導入され繋がりがない)

社会構造

人間生態系 human ecosystem
  1. 生活の場である生息地habitatの自然環境および人為環境
  2. 社会構造を中心とする人間集団
  3. 生計活動 subsistence activity
  4. 生計活動により獲得し摂食する食物

人類は自然界で生態系の内容を人為的に変え、その変化は農耕・牧畜により促進され、更に近代産業革命により爆発的な変化をしている

環境: 自然と関わる方法の他生物との違い

人為環境(二次的環境) man-made (secondary) environmentを介在させ地球上の殆ど全環境に適応
→ 物質的側面(技術的環境)・社会的側面(社会的環境)

表. バイオームと民俗生活形態
I 乾燥地帯と砂漠    採集: ブッシュマン オーストラリア原住民

遊牧: ベドイン トウアレグ
単純農耕: オアシス住人   複雑農耕: オアシス住人(河岸の人々)

II 熱帯森林    採集: セマン   狩猟: ピグミー メラネシア人

単純農耕: アマゾン住人   複雑農耕: ニューギニア住人

III 熱帯灌木    採集: グランチャコ・インディアン   狩猟: バンドー

牧畜: ベンバ
単純農耕: インド・ドラビダ 南米インディアン   複雑農耕: バンドー

IV 熱帯草原(サバンナ)    採集: オーストラリア原住民  

狩猟: ハッザ
牧畜: ナイロート   遊牧: ナイロート
単純農耕: アメリカインディアン   複雑農耕: ハマイト

V 温帯森林    採集: オーストラリア原住民 中石器時代ヨーロッパ人

狩猟: タスマニア島人 プシエドモス人 (東欧のマンモスハンター)
牧畜: 鉄器時代ヨーロッパ人
単純農耕: 中国人   複雑農耕: 中国農夫

VI 地中海灌木    採集: ストランド・ローパー   狩猟: カルフォルニアネイティブ

牧畜: バルカン人   遊牧: ベルベル
単純農耕: 新石器-鉄器時代マオリ族   複雑農耕: 中世ヨーロッパ人

VII 温帯草原    採集: 旧石器時代ヨーロッパ人   狩猟: 北米インディアン

牧畜: モンゴル人   遊牧: ブリアート モンゴル人
単純農耕: シューアンインディアン   複雑農耕: ポーニーインディアン

VIII 寒帯森林    採集: フェゴ人   狩猟: サモユード   遊牧: ラップ
IX ツンドラ        狩猟: エスキモー   遊牧: ラップ
環境区分と生活経済とはあまり相関性がない。しかし、人間生活にとって環境が重要な要因であることに変わりはない。例えば、土に合わせた作物の選択、水供給を考慮した住居の決定等である

民族学 (ethnology)


文化人類学
諸民族の文化の特質を歴史的に、あるいは他文化と比較し研究

特質: 生活様態・文化 Ex. 言語、宗教、社会制度、法制、芸術、技術

アイヌ文化 (植物)

照葉樹林文化

1966 中尾 「栽培植物と農耕の起源」

照葉樹林 (南日本にも分布)
東南アジア熱帯林: 根栽農耕文化発生 → 照葉樹林分布域に伝播 → 照葉樹林農耕文化(複合文化)
Ex. 稲、茶、酒(糀使用)

1976 上山・佐々木・中尾 「続・照葉樹林文化」

東亜半月弧: 雲南省かその周辺が中心

[ 日本史 | Japan ]

東洋史 (oriental history)


宇宙考古学: 衛星から地表の見えない遺跡を探索

概説 (中国本土との関係)


匈奴: モンゴル系(モンゴロイド)説有力、トルコ民族説、イラン民族説
BC4c終 発現(モンゴル中央部)

BC 221-BC 206 泰: 始皇帝 → 万里の長城・蒙恬派遣
BC 202-AD 220 (前)漢 武帝 → 匈奴と対立 万里の長城完成

武帝: 西方(月氏)へ張寫派遣するが失敗

BC209 冒頓単干ぼくとつぜんう(単干: 王称号)

冒頓が部族(モンゴリア)統一 → 月氏を西方へ追放

AD1c 勢力衰退
48 南匈奴 漢吸収
91 北匈奴 鮮卑のため中央アジアへ移動
鮮卑: モンゴル系説(有力) vs トルコ系説
1c 進出 - 壇石愧, モンゴル高原から中国進出

304-439 五胡十六時代
439-589 南北朝時代
→ オルドス地方、鮮卑・匈奴王朝が中国にできる (中国内地)
烏柤うだん: 内蒙古
回鶻(回紵)______丁零(霊・令)

9c 進出_____BC 2c: 匈奴に支配される
トルコ系_____↓ ウイグル
____________トルコ帝国 → 現 トルコ共和国

柔燃: モンゴル系 (4C-)
5C 社崙しゃりん 丘豆伐可汗(可汗 = 王位: 小可汗、葉護 = 諸侯)
突厥 (Türk): 匈奴の末裔。原トルコ的特徴有  トルコ系(アルタイ地方原住)

西丁零起源

突厥碑文: 突厥語を突厥文字で記録 Ex. オルホン碑文 (732/735)

552 柔然から独立: モンゴル高原北西部に部族連合である突厥可汗国建国

長男 土門(=伊利可汗/土門可汗 552-552)   次男 室點蜜

583 東西分裂: 土門可汗死後の領土分割に伴う内紛 → 以後東西敵対

→ 部族反乱等で勢力衰退
581-618 隋 → 唐

630 東突厥: 唐に服属 - 682 再興 - 744 滅亡
657 西突厥: 西可汗阿史那賀魯が唐の捕虜 - 唐に服従
≈741 西突厥滅亡
回鶻ウイグル: 現ソ連、ウイグル自治区の民族祖先。トルコ系
745(or 744) 突厥滅ぼす

618-907
907-960 年五代十国

当時遊牧国家も乱れ、中国本土への侵入少

クトゥルクビルガ(懐仁)可汗がウイグル統一

キルギス: エニセイ・オビ川上流
840 ウイグル滅ぼす
契丹: 内蒙古東部地域
915 民族統一: 国名 遼、邪律阿保機(太祖)

960-1279 宋: 趙匡胤

1125 金に滅ぼされる

↓ 西方へ逃亡

1132 西遼(カラキタイ) (-1211 チンギスカンに占領される)
女真(直): 半農半牧。ツングース系
1115 阿骨打(太祖)。国名 金
モンゴル (1279-1368): モンゴル系
成吉思汗(チンギス=ハン) Chinggis-Khan (1162?-1227)
1206 モンゴル帝国 = 民族統一 (商人厚遇)

1235 カラコルム Karakorum - 首都

忽必烈(フビライ) Kubla Khan (1215-1294): 第5代皇帝、成吉思汗孫
1264 大都(現北京)遷都
1271 国号改訂 大yuan = モンゴル帝国後裔 (東アジア-北アジア)

北元: 明に追われ北に逃亡(モンゴル高原)
金、西遼、ホラズム、西夏平定
蒙古(本家) + 四汗国

1243-1502 キプチャク (金帳, Kipchak)
1227-1389 チャガタイ
1224-1310 オゴタイ
1258-1411 イル: 始祖フラグ (1228-1256)

亀石 turtle rock - 碑文の台座

1368 明に滅ぼされる
ティムール帝国 (Timurid Empire) 1370-1507: トルコ化モンゴル系

ティムール(Taimur, 1336-1405)建国: 中央アジア

(Ming) 1368-1644: モンゴル系

1368 元滅ぼす

(Qing) 1636-1912: 女真の末裔
1616 ヌルハチ(太祖)

後金建国/ツングースとモンゴルの統一

1636 清建国
ジュンガル王国: モンゴル系
1634-1755: オイラート族の末裔 / 新彊
1911 外蒙古、モンゴル独立宣言
1912 中華民国成立
1922 モンゴル人民共和国(反清運動)
1949 中華人民共和国成立

遊牧論


Def. 遊牧民: 家族全員が家畜と一所に移動
Ex. 蒙古: 甘粛省・青海省・チベット北部等。ベトウィン、ベルベル族、モンゴリア人: 牧畜 = 経済生活全てあるいは大部分に牧畜産物利用

家畜・食料・衣服・住居・交易対象物 → 保有・維持・管理 → 増大

対象
有蹄類 ungulata 偶蹄目

ウシ科: ウシ・ヒツジ・ヤギ・ヤク
ラクダ科: ラクダ

バクトリアラクダ(2瘤) = モンゴル・中央アジア
トロメダリアラクダ(1瘤) = アラビア・アフリカ

奇蹄目

ウマ科: ウマ・ロバ・ラバ (ロバ・ラバは農耕生活利用が一般的)

南米では、リャマ・アルパカ
ステップ
ステップ: 北アジア、中央アジア、カザフ草原、南ロシア草原、パンノニア草原

モンゴル民族
チュルク系
◎ ヒツジ, ・ヤギ, ウシ(水辺のみ), ウマ, ラクダ(ステップの典型的な所では飼っていない)

西アジアの遊牧 (イラン*・イラク*・アフガニスタン*・パキスタン) *: 多民族国家

西アジアはステップというよりイラン高原(高地)(1000-1200 m)と呼ぶ方がふさわしい
oriental

モンゴルの放牧: チベット: ヤク - 降水量が少ないため(特に青海地方)

牧童: 12-13歳程度で始める - 能力は外的要因にも関係する

砂漠とオアシス
アラビア: ネクト、ルブアルハリ
アフリカ: サハラ
アラブ民族: ◎ラクダ, ヒツジ, ヤギ, ウマ, アラブ馬(天馬・汗血馬・大宛, サラブレッドの原種)
全体として家畜使用目的は、例外多いが、荷役用・乗馬用ではなく乳用である
サバンナ: 東アフリカ: タンザニア、ケニア: 多部族 - ウシ
ツンドラ/タイガ (tundra and taiga)
シベリアSiberia民族 → 北極圏: 古アジア(パレオアジアpaleoasia)語族
アジアエスキモー: チェコトカ半島-ベーリング海 (1500人, 1979)
伝統的生業: 海獣猟と毛皮獣猟
言語: エスキモー・アリュート語群
チュクチャ: チェコトカ半島 (14000人, 1979)
伝統的生業: トナカイ飼育、海獣猟、狩猟、漁撈
言語: パレオアジア諸語チェコトカ・カムチャトカ語群
ケレク: ベーリング海沿岸 (100人) → チュクチャやコリャークに同化
言語: パレオアジア諸語チェコトカ・カムチャトカ語群
コリャク(コリヤク, コカギール) カムチャトカ半島 (7900人, 1979)
伝統的生業: トナカイ飼育、漁撈、海獣猟、毛皮猟
言語: パレオアジア諸語チェコトカ・カムチャトカ語群
イテリメン(旧称 カムチャダール): カムチャトカ(先住民) (1400人, 1979)
伝統的生業: 漁猟
言語: パレオアジア諸語チェコトカ・カムチャトカ語群
ニブフ (旧称 ギリヤーク): アムール川下流-サハリン (4400人, 1979)
伝統的生業: 漁猟、海獣猟、狩猟、犬飼育
言語: パレオアジア諸語(独立語)
サハ (旧称 ヤクート): サハ共和国および周辺 (456000人, 2002)
北部: トナカイ飼育(半遊牧生活)
南部: トナカイ + ウマ・ウシ飼育
言語: テュルク諸語
エベンキ (ツングース): オビ川中流-オホーツク海沿岸-サハリン(一部、中国・モンゴル) (27000人, 1979)

オロチョン: エベンキの中でアムール川上流に住む一部のグループ
伝統的生業: 狩猟、トナカイ飼育、漁撈
言語: ツングース・満州語群

エベン (旧称 ラムート): エベンキ居住区北東インジルカ川-カムチャトカ中部 (12000人, 1979)
エベンキに近い
伝統的生業: トナカイ飼育、狩猟
言語: ツングース・満州語群
ナナイ (旧称 ゴリド): アムール川・ウスリー川(一部 中国スンガリ川) (10000人, 1979)
伝統的生業: 狩猟、漁撈 (革命後、農業、牧畜、養蜂が加わる)
言語: ツングース・満州語群
オロチ: ハバロフスク地方 (1000人, 1979)
伝統的生業: 狩猟
言語: ツングース・満州語群
ブリャート: バイカル湖周辺 (353000人, 1979)

西ブリャート: ロシア人の影響を受け定住生活
東ブリャート: 家畜を追う遊牧生活
言語: モンゴル語群

トゥバ: サヤン山脈-エニセイ川上流 (166000人, 1979)
ステップ(含む、山岳ステップ) → 遊牧
山岳(西・東南) → ラクダ・ヤク飼育
タイガ → トナカイ飼育、狩猟
言語: テュルク語群
ショル(鍛治タタール): トミ川中流とその支流域 (16000人, 1979)
伝統的生業: 狩猟、漁撈(革命前) + 製鉄・鍛治
言語: アルタイ語族テュルク語群
ヌガナサン: タイムル半島 (900人, 1979)
伝統的生業: 漁撈、狩猟、トナカイ飼育
言語: ウラル語族サモエド語派
ケト: エニセイ川中流-下流 (1100人, 1979)
伝統的生業: 狩猟、漁撈
言語: 親族関係言語なく独立語
ハンティ (旧称 オスチャーク): オビ川中流-下流 (21000人, 1979)
伝統的生業: 狩猟、漁撈、トナカイ飼育
言語: ウラル語俗フィン・ウゴール語派
マンシ (旧称 ボグール): オビ川西側流域-ウラル山脈東側斜面 (7600人, 1979)
伝統的生業: 漁撈、毛皮獣猟 (一部、トナカイ飼育)
言語: ウラル語俗フィン・ウゴール語派
サーミ(ラップ)人: スカンジナビア半島北部ラップランド-ロシア北部コラ半島
ウシ・トナカイ

五畜

羊・山羊・牛・馬・駱駝
  • 羊・山羊: 共同で飼う。牧畜 - 肉・乳・毛
    羊: 妊娠期間5ヶ月。年2回出産可能
    → 羊の雄雌分離を発情期(6月)に行う等で4月出産に持ち込む様にする
    乳は全て飲まれないように、子を親から離す
  • 牛: 水辺でしか飼えない制約 - 肉・乳
    年1回出産。放牧には手間取らないため羊と比べて安易な飼育を行う
  • 馬: 乗馬用(軍馬等)とされるのが一般的 - (稀)馬乳酒
  • 駱駝: 牛・馬の飼育条件に合わない土地(砂漠等)ではその代用として飼う。また荷益用としての役割大きい

放牧の要領

家族単位 = 家族あいる/げる

私有財産所有/消費生活の最小単位
核家族(労働遊牧可能者2名程度、犬数等)
徒歩による管理 = 羊150-200頭 / 馬による管理 = 羊500-1000頭
平均値であり、環境要因により異なる。この頭数はホターの所持頭数を家族当りに直したもの

遊牧単位 = ホター(ホイン)

複数家族から成り立つ不定住集団
共同労働、労働の最小単位
モンゴル労働の標準的なもの。2-6家族が標準
冬営地(11月-翌年4月)でのホターの役割は大きい

__4月_____________________11月
冬営地 大移動 夏営地 小規模移動 大移動 冬営地

4月 新芽の出はじめ 移動開始
5月 餌としての緑量最盛 夏営地までの移動終了

血縁: 氏族 = 血縁関係を共にする - 縄張り存在 ⇒ 遊牧範囲限定

  部族 = 氏族が複数集合したもの


遊牧文化の歴史(東洋中心)


アファナジェーバ文化 Afanasievo culture: エニセイ川上流-オビ川上流
≈BC 2100- ≈BC1400: 狩猟 + 農耕 + 牧畜 ∵

[ウシ・ウマ・ヒツジ多量発掘(家畜化後形態に近い → 家畜] + [臼発見 → 小麦栽培] + [弓発見 → 狩猟]

+ アラル海特産貝発掘(= アラル海と交流)
+ 銅製品(短剣・ナイフ)発掘(= 銅西欧産)

ケルチェミナール文化: カスピ海東-アラル海-アム川・シル川流域
BC4000末 (BC 3200)-BC 2000初 (BC1900-BC1800)
≈ BC3000: 境に前期後期分割

前期: 狩猟中心。農耕導入 → 後期: 牧畜中心(羊・牛)
※ アファナシェーバ文化はケルチェミナール文化が伝播したもの?

アナウ文化 Anau culture: イラン北東部
BC5000-BC4000: 農耕文化 (+ 牧畜: オリエント地帯に始まる)
オクニェフ文化: エニセイ川上流
BC2000前半: 青銅器発見。青銅製造術。牧畜初期

アファナシェーバ文化の継承

アンドロノボ文化 Andronovo culture: 中央アジア草原地帯
(オビ川-エニセイ川, カスピ-アム・シル + ウラル川・ボルガ川・ドン川)
BC2000前-BC1000初 - ケルチェミナール文化の継承
前期: 第1期 = BC 18c-16c + 第2期 = 15-13

ウシ・ウマ(荷役用あるいは騎馬用)・ヒツジ・ヤギ・ブタ
小麦・キビ -農耕の存在
石皿(臼)発見
※ ブタ-キビが牧畜パターン

後期: 第3期 = 12-9 / 第4期 = 9-8

ヒツジ・ヤギ増加(多)-小型
馬具(轡、青銅器)発見→馬は乗馬を目的とする
ユーロペオイドEuropeoid系の人骨が多種発見される

経済変化による区分 = 土器の模様変化 (一応の区分) → 年代は14Cによる年代測定に基づく
カラスク文化 Karasuk culture: エニセイ川-オビ川上流
BC13c-BC8c: アンドロノボ文化後期に重なる
ヒツジ(多量)・ウマ・ウシ・ラクダ
馬は後期に馬具が発見されており、更に石画に幌付四輪車の絵が確認され、乗馬用として使っていたと考えられる。幌付四輪車から移動生活も推定される
既発見の青銅器を元に影響源を調べているが確定していない
集落跡・灌漑跡-農耕生活
カラスク文化を持つ人々は、牧畜をする人々、農耕をする人々の2つのタイプがあったと予測される
木槨墳文化 Timber-grave culture: 南ロシア草原(黒海-カスピ海)
BC1900-BC1200: クルガン(古墳/高塚/高塚墳, kurgan)

= スルプナ文化 Srubnaya culture

アンドロノボ文化と木槨墳文化は酷似 - 交流存在? Ex. 短剣・刀子・斧
木槨墳文化成立の歴史

B.C.3000年紀末: 堅穴墳文化 - 狩猟・漁労
oriental
BC3000年紀末-BC2000年紀前半: 横穴墳文化 - 牧畜・農耕
oriental

馬具未出土 → 牧主農副
スキタイ文化 Skythai culture: ギリシア記録からは野蛮と指摘
BC8c-BC1c 全盛 ⇒ アルタイ: 鉄(製鉄炉)・金細工出土
BC7c-BC3c 木槨墳文化を継承するもの

スキタイ人
BC14C-BC9C 木槨墳文化 → BC2C-BC1C アンドロノボ文化
             馬具? (南ロシア草原)        馬具(轡) (カザフスタン)
↓ アルジャーン古墳 (BC8C-BC7C)
タガール文化に影響       
BC 13c-BC 8c カラスク文化 (南シベリア)
↓ 馬具(後期に轡発見: 前期から馬具はあったと推定)
↓ ユーロペオイド + モンゴロイド
↓ タガール文化        ↓
丁霊(西): トルコ系_ 堅昆(東)
突厥: トルコ系       ↓キルギス: トルコ系
牧畜 = 騎馬 → 機動力
↓ 遊牧 発生 BC12C(13C)
移動 BC5C-2C 銅器出現(それ以前は青銅器)
遊牧騎馬民族

BC7C-BC1C タガール(クルガン)文化 Tagar culture: カラスク文化後発生
ヒツジ・ヤギ・ウシ・ウマ(馬具確認)
墓(クルガン): 大規模なもの発見。馬・殉葬。モンゴロイド
BC5C- スキートシベリア文化
農耕・灌漑・集落跡(既にスキタイ文化で確認された) + 騎馬も確認

BC7C-BC4C マイエミール文化 Mayemir: タガール文化と殆ど同じ特徴

オビ川上流アルタイ地方

BC3C-BC2C パジリク文化 Pazyryk culture

オビ川上流(現モンゴル・ソ連国境の西側)
モンゴロイド(主)・ユーロペオイド
後の月氏(イラン系言語かモンゴル・トルコ言語)と関連

BC3C? パジリク古墳群 Pazyryk burials
1929 グリャズノフ MP, ルデンコ SI, 1947-1949 ルデンコ SI

大型円墳5基含む8基の墳墓発掘調査
ミイラ: 保存状態良好 - コーカソイド(モンゴロイド混血?)
副葬品: アケメネス朝絨毯、中国産絹織物、スキタイ文化器物

モンゴル地方の遊牧文化 (未詳)
綏遠すいえん文化 Suiyuan culture:
BC5c-BC2c: 内蒙古綏遠地方
ヒツジ・ウマ・ウシ
エニセイ・タガール・オビ・バジリク地方の文化と似たもの
青銅器・鉄器などが類似
匈奴の冒頓単干は幼少期に人質として月氏に囚われていた
月氏脱出後に父を殺し単干となる(BC 209)
当時、近隣に勢力をはっていた東胡を滅ぼし征服
タシュトゥィク文化 Tashtyk culture: エニセイ地方。タガール文化に続くもの
BC1c-AD5c
モンゴロイド(ユーロペオイド) - モンゴル勢力の西方侵入

遊牧(ヒツジ・ヤギ・ウシ・ウマ) = 遊牧民自身 ↔ 農耕 (キビ) = 捕虜となった農耕民

(風俗・習慣)
火葬: 装飾品に漢文化の影響見られる
タガール文化後継とするよりは、綏遠文化(匈奴文化)の青銅器や鉄器が見られ漢・匈奴文化とした方が良いかもしれない
アパカンの遺跡: 中国東北部

オンドル(ペチカに似た暖房具)を持つ家発見
オンドルは中国東北部(満州)周辺で発達した → アパカンで発見

BC 99 李陵の匈奴遠征(失敗) 李陵捕らえられる。この陵を李陵のものとする説有り。

板石墓(立石墓)文化: ザバイカル地方
BC 7c-BC 3c: 青銅器・鉄(製)器。丁霊文化と推定される
ノインワラ文化
BC 1c-AC 1c 匈奴文化

丁霊 / 高車丁霊

6c 突厥(トルコ系): 回鶻→セルジュクトルコ→オスマントルコ→トルコ共和国

スキタイの歴史

スキタイ以前の先住民
キンメリア人(アッシリア、サルゴンII世(BC 722-705)の資料に見られる)
BC 714 ウラルト城塞都市攻撃
BC 680-BC 670頃: スキタイ圧迫避けコーカサス北部から南部Origentへ移動

スキタイに追放された後、Orient, Turkeyへ移動。スキタイもキンメリア人を追いアッシリアへ侵入
スキタイより早くから遊牧騎馬民族として生活していたことが知られる

BC 7c末以降未詳
ソビエトの研究: キンメリア人もイラン系、スキタイと共に遊牧
元来、スキタイ・キンメリアは同一の民族であったものが部族連合体をなす
スキタイの進出
ヘロトドス「歴史」にスキタイ登場。「歴史」全9巻中第4巻に詳述
BC 514: アケメネス朝ペルシア、ダリウスI世がスキタイ遠征失敗(ヘロトドスは他に「ペルシア戦争史」記す)
BC 4cまで繁栄 (北海北岸原住)
BC.7c: ポルガ西方進出, キンメリア人追放
BC 6c: 定住
orient
「歴史」によると ⇔
黒海北岸スキュティア地方にスキタイは住む
タナイス(ドン)川を超えるとサウロマタイ(サルマート)とされる人々の土地となり、スキタイは住まない
黒海北海にはギリシア植民地がかなり有り、そこと交易が記され、その頃スキタイはスキタイ王国と名乗った
スキタイ発展
Pax Scythica = 「スキタイの平和」 - スキタイ発展をギリシアで象徴した言葉
ギリシア植民地との交易

スキタイ____________ギリシア殖民都市
穀物(小麦等)______→ 貴金属、金属、陶器
毛皮、皮革製品________ワイン
奴隷_________________オリーブ油

スキタイは一時、コーカサス山地より南へ進出。次第にスキタイは農耕化し、紀元後ローマ保護領となる
スキタイ衰退
2-3 c以後未詳となる
  1. 東にいたサウロマタイ(サルマート)の西方進出に伴い、圧迫されクリミア半島のみに生活圏を限定される。サウロマタイ進出はBC4cに始まる。BC3c末にはスキタイはクリミア半島のみに限定された。サルマートは2cにはドニエプル川まで勢力を伸ばしドナウに至る
  2. もう1つの圧力は、マケドニア、アレキサンダー大王東方遠征で、スキタイ周辺のギリシア植民地が沈滞
遺跡
クルガン(スキタイ式墓地): スキタイ独特の墓。有名な遺跡に次のものがある
メディア地方: BC 7-BC 3cのもの。7-7cは少なく、5-4cのものが中心となる

ドニエプル川下流  キロボクラード                BC 7-6c
クバン川                ケレルメス巨大クルガン  BC 6c
ケルチ半島            クリ・オバ                       BC 4c
クバン川                 コストロモスカヤ            BC 4c
ドニエプル川下流    ソローハ                       BC 4c
                              チェルトムイルク            BC 4c

文化
遊牧: 死者と一所にクルガンにはしばしば馬が埋葬される

クバン川上流マイユープのウイスキークルガン(BC 6c)で360頭の馬発見 - 馬具も発見される
→ 遊牧民であることの何よりもの証明
ギリシア植民都市産壺絵 → スキタイ文化(衣装・遊牧形態)推定可
スキタイ装飾品: ギリシアの影響 + オリエントの影響 + スキタイ特有

トルコ系諸民族の拡散

ウイグル
ギルギス
ハザール
マジャール
ペチェネーグ
カラハン朝
カズニ朝
セルジュク
オスマン

モンゴル系諸民族の拡大

契丹と遼
契丹人、耶律氏
遼(916-1125)
契丹(647以前, 983-1066): この間の国号, これ以外は遼
西遼(1132-1218)
現トルキスタン - 金に滅ぼされる
タタール (韃靼, Tatar): テュルク系民族(トルコ系諸民族)
モゴール Moghol: アフガニスタン、ヘラート州定住モンゴル系民族

近世・近代のモンゴル系・トルコ系諸民族

オイラート Oirad
ジュンガル
カザフ
キルギス
ウズベク
モンゴル革命 (1921)
フッター