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土壌形成 (soil formation): 風化 → 層化
土壌材料一次鉱物(造岩鉱物): マグマ冷却過程で形成される無機物二次鉱物(粘土鉱物, s.l.): 一次鉱物が風化を受け生成 → 粘土化
可視サイズ Ex. 石灰、鉄結塊 concretion、石膏、塩類結晶 1. 風化 (rock) weathering地殻表層岩石が営力により破壊されルーズな含水物質(土砂)生じる作用Ex. 花崗岩風化 SiO2 Al2O3 Fe2O3 MgO CaO Na2O K2O H2O Total 新鮮花崗岩 68.75 17.59 1.40 0.64 3.25 4.54 3.27 0.56 100.00 風化花崗岩 57.04 26.04 1.91 0.17 0.75 1.91 2.41 9.77 100.00 Al2O3不変 38.50 17.59 1.29 0.11 0.51 1.29 1.63 6.59 67.51 とし計算 100 g花崗岩の -30.25 0.00 -0.11 -0.53 -2.74 -3.25 -1.64 +6.03 -32.49 獲得/損失 表. 日本における土壌の地質系統別面積比率% 花崗岩質土壌 12.7: 深成岩起源 火山岩質土壌 20.8: 火山岩起源風化土 先石炭系土壌 4.0: 地滑地 Ex. 三波川変成帯土壌 古生層土壌 14.4: 山間地域 Ex. 秩父帯土壌
輝緑凝灰岩質土壌: リン含量高 第三紀土壌 20.5: 砂岩、頁岩、凝灰岩主。殖質土壌多 洪積層土壌(第四紀古層土壌) 7.1: 水積土や火山灰土壌。段丘・台地・丘陵等 古土壌 paleosol: リス・ウルム間氷期に生成された土壌 沖積層土壌(第四紀新層土壌) 12.3: 河川流域、海岸等の平坦な低地a. 物理的(機械的)風化physical (mechanical) weathering各鉱物体の温度変化に伴う体積膨張率の差→ 破片化(= 母岩崩壊) → 砕屑物 clastic material 土 = 鉱物質(一次鉱物, 母岩) parent rock + 有機物(岩石溶脱量で不足栄養分は主に植物等から供給) 要因: 温度 + 大気 + 水 (+ 氷河: 氷蝕作用 ice erosion)b. 化学的風化 chemical weathering酸化 + 溶解 + 炭酸化合 + 水和 + 加水分解 等CO2 + 水(雨) = 炭酸水 → 石灰岩 (Ca + 2H2O) → 崩壊 (CaCO2 + H)
鉱物の水、酸素、CO2による変質のし易さ – 石英は最も変質しづらい 順序は、水のpH(普通4-8)での各元素の水酸化物溶解度(イオンポテンシャル = イオン半径/陽荷電)、コロイドへの吸着・固定、共存CO32-の影響等で決まる
化学的風化進行度合は各元素の多少を反映 |
c. 生物的風化 biological weathering1st step: 微生物(菌根菌等)、コケmoss, 地衣類lichens→ 化学成分分泌 → 溶出 → 粘土と呼べるもの生成される 2nd step: 維管束植物侵入invasion of vasccular plants → 土壌(土)気候条件多雨・高温熱帯多雨地域で速い ↔ 寒冷地域遅 + 水の地中浸透も風化促進• 氷河気候型: 地表付近凍結 → 化学的風化遅、物理的風化優勢。侵食進み厚い風化殻形成されない • 乾燥気候型: 物理的風化卓越 + 蒸発↑ → 地表水総イオン量大 + 高pH。風化殻には溶脱帯・集積帯存在 • 湿潤気候型: 化学的風化 > 物理的風化 → 厚い風化殻形成しやすい 2. 運搬・堆積土壌侵食(浸蝕) soil erosion表面侵食 sheet erosion + 溝状浸蝕 gully erosion母材a. 残積土 residual soil: 運搬されず、その場で土壌化
母材 = 変成岩、固結火成岩、非固結堆積岩、第三紀層-古生層、中生層等の固結堆積岩 = 他の場所へ運搬堆積し土壌化 → 運搬堆積様式で土壌特性異なる i. 崩積土 colluvial soil: 母材風化崩壊し斜面に匍行creepしつつ堆積 →各種母材混合し粒径不均一 ii. 水積土: (沖積世に)水により母材運搬堆積 → 沖積土 alluvial soil: 肥沃
水力源明らかな場合の細区分 土粒-風速関係(例): y = 0.0268x1.568 y: 移動可能土粒最小直径 (mm), x: 風速 (m/s)
火山性 = 非固結火成岩(主に火山灰) Ex. 黒ボク、多湿黒ボク
非火山性 = 砂土(黄砂等) Ex. 砂丘、レス loess
側堆石: 氷河両岸から落ちて氷河に混じるもの 関東ローム(関東火山灰), s.s.: ロームの粒度組成に近い赤土 集積: 低温過湿による酸素不足等で植物遺体が分解されず堆積Ex. 泥炭土、黒泥土等 |
(Jenny 1941) S = f(Cl, O, r, p, t, h, …)S: 土壌 Cl: 気候 O: 生物 r: 地形 p: 母岩 t: 時間 (h ☛ 人為) Cl 気候 climatea. 温度 temperature寒地: 低温度 = エネルギー不足 → 土壌生成困難 Ex. 南極: 層化殆どなく融雪水等で砂が多少移動しその沈殿にカビ等が蓄積する程度 温度日変化: 地表面での岩石の物理的風化に影響 – 砂漠は風化激しい 生物活動に影響 → 腐植分解や土壌形成速度に影響 b. 雨量 precipitation
極低雨量 → 土壌生成不可能
→ 土壌中や植物からの蒸発散関与 O 生物 organisms= 植物 + 動物 + 微生物根圏 rhizosphere: 根周囲 → 周囲の土壌よりも多くの微生物成育 微生物は根を通じ植物と密接に関わる Ex. 病原菌、共生菌(根粒菌・菌根菌) 区分: 内根圏 endorhizosphere: 根表皮・皮層細胞間隙等、根内部環境
根面 rhizoplane: 根表面
特定微生物を土壌環境内の状態で捉えたり有機物を無機物へ転換するシステムとして捉える場合、微生物個体数だけでは不十分情報。土壌内で生じる微生物作用の方向と強さの測定必要 ☛ 窒素動態: 硝化作用・窒素固定作用・脱窒作用・アンモニア化成作用硫酸還元作用: 硫酸還元菌 = 硫酸還元細菌 + 硫酸還元古細菌
嫌気性呼吸 有機酸代謝 ガス代謝 土壌呼吸 = 微生物 + 動物 + 植物根 (現在分離困難) 測定: 炭酸ガス発生(酸素吸収) – 精度高 logR = aT + b, R: 土壌呼吸, T: 温度 → 温度と直線的関係 + 有機物含量, pH, N, P量等と相関があることが多
呼吸活性最大値は菌数と必ずしも一致せず、活性先行すること多
6. (根)毛量
1. 発芽能力 α型: 鉱質土壌中に多く分布。土粒とからみ細粒構造を形成し鉱質土壌上層部に菌糸網層形成。疎水性であって雨水を殆ど通さず強乾燥状態を維持 |
β型: F-H層に菌糸多。この部分でスポンジ状の菌糸網層形成。長期雨ではスポンジ状に保水するが内部への浸透は少なく乾燥促進 γ型: 菌糸量多くなく深く鉱質土壌内分布し菌糸網層形成しない。疎水性強くなく、乾燥土壌でなくても見る
α, β形態: 樹木種、菌種で異なり植物が土壌に与える大きな影響 林野調査: 記載に当たり、草本木本に分け、木本は細(< 径2 mm)、中(2 mm-2 cm)、太(> 2 cm)に区分 酸化還元電位 (oxidation-reduction potential, ORP): 酸化還元状態の目安
+ → 酸化反応進行
強還元状態 = Eh 0.3 V
(一般に)湿原周辺等の水停滞地 = 樹木成長悪 ↔ 流動水の所 = 成長良
ガルバニ電池式 r 地形 relic土壌侵食差 → 北・南斜面で腐植humus厚も差微地形 microtopography: 集積度の差で腐植層厚に差
標高 高(尾根) 中 低(谷) p 母岩 parent material母岩性質により形成土壌異
玄武岩: Mg, Ca多 = 褐色土になりやすい t 時間世界中の大体の土壌形成は第4紀最終氷期(16000年前)と、その後に成立→ 氷河等のなかった所の土壌はより古いはず(14C年代測定) Def. 成熟土壌 mature soil: 土壌特性と植生が一致する土壌 = 発達十分な土壌 developed soil ⇔ 未成熟土壌 immature soil = 発達不十分な土壌 undeveloped soil 土壌呼吸 soil respiration土壌CO2発生測定法野外: ガス捕集鐘respiration bell (21.5 cm φ, 16 cm hのアクリル板平型円筒。底部無底)による濃度測定
平坦にした土壌に呼吸鐘を約1 cm埋めこみ安定するまで上部開放放置 機器分析法 赤外線吸収スペクトル、ガスクロ、質量分析、ガス分析法 ガス分析法測定期間: 初期発生増大期logarithmic stage終わり定常発生時点で打切る 農地で通常2-3週間、林地で200日を越える事もある 酸素吸収量測定法原理: チャンバーに収納した土壌は密閉系で呼吸を行い、酸素を吸収し当量的に炭酸ガス発生
⇒ チャンバー内のO2あるいはCO2の濃度変化速度を測定 風乾土: サンプリングに便利。風乾処理による微生物相攪乱・土壌有機物変化に注意 |
地上部と下層部間で物質移動力の差により層が形成される
土壌(s.s.): 層化のみられるもの → 砂漠に土壌はない 岩石崩壊による形成部
除荷作用: 温度と水により岩が砕ける作用 岩礫層: 礫種類: 角礫 礫 円礫鋭い稜角持つ やや角張ったangulate稜角持つ 丸み帯びる 礫の土壌中に占める比率 5% 5-10 10-30 30-50 50%以上 乏しい 含む 富む 頗る富む 礫土(他土壌成分には拘らない) (Buol 1973) 4過程1. 添加 addition土壌体へ添加 = 水(+ 水溶成分) + 大気中成分2. 損失 loss土壌体からの損失 = 溶脱・流出、蒸発散、脱窒、有機物分解等3. 物質変化 transformation土壌体内での物質変化 = 化学的作用、生物的作用4. 移動・集積 translocation and accumulation土壌体内移動土壌断面 soil profile (層位 horizon)岩石崩壊による形成部より上に表層部土壌形成 L ↓ リター litter: 葉の面影の残っている段階 (O ≈ A00 + A0)F (腐葉 humus): 葉が砕け形のない部分 H↓ 水が大分混じり土様かつ腐植様な部分 (O = F + H)A ↓ 有機物が多い一般に黒い土の部分(腐植) ≈ A1(土壌表面) + A2(溶脱層 eluvial horizon) + A3(漸移層) E (ellunium 洗脱): A-B層間にFe等の洗脱により白い層できる場合B ↓ A層からC層に移る土壌的に中間の部分 ≈ 集積層 illuvial horizon ≈ B1(A-B漸移層) + B2 + B3(B-C漸移層) C ↓ 母岩が砕けて小さくなった部分母材: C層(当然様々な岩石特徴がある) → 酸性岩・中性岩・塩性岩(相対的) - 区分は鉱物組成から 酸性岩: Si等を70-71%以上含。K, Na(アルカリ金属 - 水に溶け易い)多 KはH+での転換率最大
中性岩: 50-70%。Na, Ca多 G (グライ層 gley or glei): 土壌物質が酸化還元繰り返す(酸化は水位低下時)
A, B, C層見分け方1, 腐植含量 = A-C2, 粒子サイズ = B-C 3, 集積物存在 4. 土壌色(要因様々だが多くは以下)
腐植: 黒・褐色・灰色・一般に暗色 土色 soil color色相(赤・青・黄) + 明度(明暗) + 彩度(鮮やかさ)主な土色の要因は腐植と鉄
腐植: 多 → 黒味↑ (土壌中比率は、現地観察では色に頼る以外ない)
記載 乏しい 含む 富む 頗る富む 腐植土 土壌温度温度変化 ↔ 土色変化: 土壌の比熱・伝導率 → 受熱 + 放熱
昼: 大気 → 土壌 ⇔ 夜: 土壌 → 大気 熱伝導率: 土壌密 → 伝導率↑ ⇔ 粗 → 伝導率↓ |
腐植 humusA層までDef. (土壌)有機物 (s.l.) 土壌が含む動物遺体・植物残渣、これらを分解する微生物遺体やその分解産物、また分解産物から再合成された腐植物質 (s.s.) 有機物(s.l.) - 動物遺体・植物残渣 (∵ 植物利用しない) Def. 腐植(s.l.) = 土壌有機物(s.s.) _______ (s.s.) = 土壌微生物により作られた暗色無定型高分子化合物 有機質土壌 organic soil: 富有機質 ≥ 5%程度 (泥炭・湿地土・沼地土等含) ⇔ 無機質土壌 inorganic soil 機能植物養分供給: 分解し成分放出植物養分保持: カルボキシル基等由来の高陽イオン交換能 - 養分吸着保持 植物生育促進: 土壌物理化学性改善 - 根系発達(酸性土壌ではAl不活性化) 団粒形成: 土壌微生物活性化に伴多糖類・ウロン酸等の増加 粗腐植 raw humus, mor, duff (米): 陸棲腐植形態 → 殆ど分解されず構造的に保持された細かい植物残骸
強酸性 → 酸性腐植土発達促進 腐植集積形態陸成腐植 terrestrial humus: 陸地で集積した腐植
粗腐植型(モール型) row humus or mor: 冷温帯森林土壌 低位泥炭 low moor、中間泥炭 transitional moor、高位泥炭 high moor 水成腐植 sub-aqueous humus: 水中で集積した腐植 Ex. ユッチャ(gytja)土壌有機物(簡易分類)↓(薄)アルカリ液抽出土壌有機物 不溶部 = フミン humin   ↓酸性化 - 沈殿 可溶部 する = 腐植酸 humic acid しない = フルボ酸 fulvic acid (真正)腐植酸 (s.l.) echt humic acid = フミン + 腐植酸 フルボ酸 fulvic acidフミン酸よりMW小。水系存在フミン物質の多くpHに関係なく全溶液に溶解(沈殿しない) 腐植酸/フミン酸 humic acid (s.l.)平均MW ≈ 数10万 (半径60-100Å)、無定形高分子。黄褐色-黒褐色成因による区分 天然腐植酸
土壌腐植酸 腐植生成過程一般に高温では分解早く腐植蓄積しない
例外: 嫌気的条件下では高温でも泥炭発達(熱帯泥炭) 腐植化測度腐植測定: 3-DEM spectra, HP SEC色調係数: 赤/青吸光度比↓ = 腐植化↑ 安定度係数: NaFとNaOHによる抽出液の青吸光度比↑ = 腐植化↑ 相対色度. RF = 比色値/酸化値 × 100↑ = 腐植化↑
比色値: 供試液の青吸光度/標準腐植液の吸光度(%)
a: 浸出液KMnO4消費量 = 真正腐植酸のKMnO4消費量/ (アンモニア可溶物質真正腐植酸 + 腐植物質)消費量 Ex. 稲藁の腐植化過程
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[鉱物学]
一次鉱物 primary mineral一次構造(一次鉱物): 砂・シルトの殆ど
二次鉱物 secondary mineral (≈ 粘土鉱物 clay mineral)普通盤状・層状である。層状単位は主として珪素・アルミニウム二次構造: 結晶性粘土鉱物の二次構造
Si-O四面体がOを共有しつつ層状となる
↙端面 • カオリナイトkaolinite = Al2Si2O5(OH)4: 陶磁器原料 • ハロイサイト(hydrated) halloysite: Al4Si4(OH)8O10·4H2O • メタハロイサイトmetahalloysite: 脱水されたハロイサイト • ジッカイトdickite、• アノキサイトanauxite、• ナクライトnacrite
█████ i) 非膨脹型 • イライトillite: KyAl4(Si8-y·Aly)O20(OH)4, y = 1-1.5 ii) 膨脹型 • バーミキュライト vermiculite • モンモリロナイト(群) montmorillonite (≈ スメクタイトsmectite) 日本: halloysite (+ kaolinite)多 - 乾燥地ではsmectite, vermiculite増す • ビーデライトbeidellite• ノントロナイトnontronite: スメクタイトのAlがFeに変わったもの • サポナイトsaponite • ヘクトライトhectorite • ソーコナイトsauconite C. 混層型鉱物: 1:1型と2:1型の適宜混じり合ったもの i) 規則型(2:1:1)鉱物 • クロライトchlorite ii) 不規則型 D. 鎖状型鉱物 • アタパルジャイトattapulgite E. 酸化鉱物 i) 酸化アルミニウム • ギブサイトgibbsite ii) 酸化鉄 • ヘマタイトhematite iii) 酸化マンガン F. 無定型鉱物 • アロフェンallophane: 火山灰土壌の粘土主要部分 (+ • ハライト(岩塩)) 全体: 粘土になるまでKAlSi3O8 + 8H2O → Al(OH)3 + 3H4SiO4 + KOH2KAlSi3O8 + 11H2O → Al2Si2O5(OH)4 + 4H4SiO4 + 2KOH K + 長石(KAlSi3O8) + HOH → H長石 + K+ + OH __↓___________________________移動 ≡Si-OK-Si≡ + H+ → ≡Si-OH-Al≡ + K+ 粘土 clay: 岩石が雨水により溶解し再結晶 - 通常粒子径 ≤ 0.002 mm 粘土成分: 粒径 > 0.1 mm = 石英含む ↔ < 0.1 mm = 石英含まない
結晶性粘土鉱物、Fe, Alの非結晶質含水酸化物 (Ex. FeOOH, ClOOH) 二次鉱物タイプカオリナイト鉱物結晶構造 (Wear et al. 1948): ○酸素, ◎水酸基, ●Si, ● A
Ex. 温暖多雨地域: モンモリロナイト → カオリナイト(安定) → ギブサイト 粒子電荷縁(●)にわずかに構造上の荷電が生じる(一般に負の電荷) Kaolinite = 5-10 mg eq/100 g 粘土鉱物: (一般)珪酸層Si4+にAl3+、アルミナ層Al3+にMg++, Fe3+が置換
全体として陰電荷帯びる - 粘土粒子周囲に陽イオン吸着(吸着陽イオン、交換性陽イオン)
Ex. Ca-colloid + NH4Cl ⇄ NH4-colloid + CaCl2 ≡ 中和に必要な物質mg当量 = 土壌が吸着し得る(陽)イオン最大量 ⇒ 当量式 ∴ つく物質に関係なく荷電量表わす (単位 mg eq/100 g, me/100 g)
= 土壌保肥力のパラメータ Ex. H2O2 6%溶液で腐植洗い落とす。ヘキサメタリン酸ソーダ Na-hexametaphosphateは周辺残基が全てNaに変り腐植が分解する 飽和コロイド saturated colloid: 土壌コロイド表面が延期で飽和 ⇔未飽和コロイド unsaturated collid: 土壌コロイドが交換性H+含む Def. 塩基飽和度 base-saturation degree, V =S/T × 100 = (T - (T - S))/T × 100 S = 交換性塩基量 T = 陽イオン交換容量 Def. pH依存荷電: 溶液pH等により荷電量が正負を含め変化する荷電 Ex. カオリナイト kaolinite: 熱帯に多い風化の進んだ粘土
単位胞 6(OH) 4Al 4O + 2(OH) 4Si 6O Total
酸性: -COO·H[腐植のカルボキシル基] + OH- ↔ -COO- + H+·OH- (= H2O) = 置換酸性 exchange acidity + 加酸性 hydrolytic acidity Def. 加酸性: 弱酸塩を加えると生じる酸性Def. 置換酸性: 両性コロイド + 中性塩溶液 → 遊離酸 ⇒ pH↓ ⇔ 置換塩基性 exchange alkalinity リン酸固定: リン酸単独 = 負イオン ↔ 土壌中 Ca, Fe, Al等と結合し塩 ≠ 移動植物の土壌リン酸利用率 = 5-20% - 大部分が固定され使えない
粘土鉱物: 鉱物先端(-)↔(+)Ca++(+)↔(-)H2PO4- ⇒ 結合
バリッスシア石 variscite Al(OH)2·H2PO4 FeO(OH) + H3PO4 ⇄ Fe(OH)2·H2PO4 |
土壌微生物 Ex. 乾重で2.5%が P2O5 → 吸収集積 第1リン酸カルシウム Ca(H2PO4)2: Caとの結合弱く植物に有効第2リン酸カルシウム CaHPO4: Caとの結合やや強いが植物に有効 第3リン酸カルシウム Ca3(PO4)2, リン酸アルミニウムAlPO4: Ca, Alとの結びつき強く植物は利用できない リン酸第二鉄FePO4, リン酸第一鉄Fe3(PO4)2: 比較的利用可能有機リン: 腐植と結びついたもの = 様々 窒素化合物
アンモニア(正イオン) → 土壌に保持される 永久荷電常に負に帯電し溶液条件により変化しない荷電Ex. Montmorillinite
6O__4Si__2(OH) + 4O__3Al + Mg__2(OH) + 4O__4Si__6O_____Total ⇐ 水が層間に入る。H2Oが何層重なるかが粘土(土壌)の保水力の決め手になる → montomollinite: 単位層の重なりの間に水分子と陽イオン入る 粘土 + 水 → 高粘性物質 ⇒ 層間に多量の水を吸引したため Ex. Montomollinite: 各層間に最低4層の水分子が入り、水が豊富だと10数層になる。土壌肥沃化には様々な塩基(C.E.C.高く、保水力高い粘土)を有することが一条件 保水力高い = イオンを効率良く運ぶ土壌土壌構造 soil structure土壌粒子存在状態および集合状態
粘土構造 structure of compound ped団粒(粒団) aggregate, s.l.土壌粒子が陽イオンや粘土鉱物、有機物(腐植)等の作用で結合した集合体ペド(砕塊, 微細団粒, 粘土粒) ped団粒形成基本単位(最小単位)。粘土の集合したもの高所から土壌落下 → 概ねバラバラになった1粒1粒のこと (≈ 5-10 mm Φ) ペド形成過程
a. ペド接近: 乾燥 → 粘土周囲外液濃度↑ → 拡散2重層による斥力↓ → 分子間力働く ポリペド(粗団粒) polypedpedのまとまった固まり - 微細団粒とシルト粒子が互いに結合したもの団粒特性: 様々なサイズの間隙を有することが、団粒特性を決める 1. 小間隙: 水もち良。大間隙 → 水はけ良 ⇒ 水持・水はけ共に良 Ex. 鹿沼土 2. 小間隙: 養分保持性が高い3. 大小間隙: 様々な生物の生息地を供給
結果: 作物収量↑ – 畑地に牧草・麦藁を鋤き込み団粒構造発達させる 土壌単位(ペドン) pedonポリペドンpolypdeon: pedon複合体。深さは母岩が出るまで(= 母岩含まない)
↑ 表面又は流れに沿って物質(腐植、CaCO3、水酸化鉄等)が沈着 → この物質を粘土皮膜skinと呼ぶ fabric = 粘土粒 ped + 孔 pore + qutan シリーズ series: 土壌調査時の単位はこれが普通family - great group (成帯土壌の規模) 土壌構造形状 types of soil structure表. 土壌構造の型とクラス。型(自然構造単位の形と配列)板状、1ディメンション(垂直方向)限られ、他2方向より著しく小; 水平面の回りに配列; 面は大部分水平
板状 platy 円頂がない
角柱状 prismatic 円頂がある
円柱状 columnar 塊状: 塊か多面体状で、回りの構造単位の面により作られた鋳型と鋳物の関係にある平面か湾曲面をもつ 面平坦、大部分の頂角は鋭く角張る
(角)塊状1 angular blocky 丸味を帯びた面と平らな面の混ざりで頂角は多く丸味帯びる
亜角塊状2 subangular blocky 球状か多面体状で、回りの構造体面と殆ど又は全然関係がない平面か湾曲面をもつ 比較的孔のない自然構造単位
粒状 granular 多孔質な自然構造単位
軟粒状 crumb 1 堅果nutとも呼ぶ。名前中の角は省いてもよい 2 堅果状nuciborm, 堅果nutまたは半角堅果subangular nutとモいう 堅硬度(結持性, コンシステンシー) consistency水分状態により土壌の力学的挙動が変化 → 変化する性質全般を指す ☛Ex. 吸水 absorbtion → 土壌液状化 → 脱水 desorption 粘性 stickiness: 飽和水分以上に水を加えた土壌で高い塑性 plasticity: 土壌水分減少するにつれ強くなる (堅硬度指数に関与)
塑性上限(液性限界) liquid limit, WL: 形状維持できない含水量の最高値 ≡ 塑性を表す含水量の範囲の大きさ Ex. 埴土 > 15% 剛性 rididity (= 堅結性 coherence): 土壌乾燥し堅くなる易砕度 friability: 剛性-塑性水分の中間 (半固体) - 耕作容易 膨脹 swelling ⇔ 収縮 shrinkage (収縮性 shrinking): 水分移動によるDef. コンシステンシー指数 consistency index, CI
= (WL - W)/(WL - WP) = (WL - W)/PI Cc: 粘土含量 ⇒ 粘土の性質を反映 分散係数 Puri's dispersion coefficient, Dc = A/B × 100 ⇔ opp. 団粒係数
A: 土壌を24時間振盪後 - 0.002 mm以下の粒子量
A: 土壌に100倍量の水を加え20回振盪 - 0.05 mm以下の粒子量 |
[植物にとっての水]
☛ 土壌水分 土壌水 soil water結晶水 crystalized water: 化合物成分となっている水 (植物利用不可)吸着水(吸湿水) hygroscopic water: 間隙微細粒子表面に固着した水
= 分子間力により粒子に吸着保持されている水 植物は利用不可 = 有効水ではない 吸着水量(W) ∝ 土壌表面積F: 土壌1 gでは ⇒ F = W/100 × 1/(2.5&middo;10-7) (cm2) = 4 × W (m2) 潤熱 wetting heat: 乾燥土壌に水加える → 熱(水遊離エネルギー) 吸着水量 ∝ 潤熱 ∝ 土壌表面積 ⇒ 熱量計(カロリメータ)測定 毛管水 capillary water: 毛細管現象(表面張力) - 土壌粗孔隙内の保持水
小さな間隙は凹面形成し、水はその両端の毛管力により引っ張られる 土壌水で飽和時以外は常に負圧発生 ⇒ 水分↓ ⇒ 負圧↑ 植物が主に利用する = pF 1.5-4.2 hrg = 2σ ⇒ h = 2σ/rgh: 水柱高 σ: 水表面張力 r: 毛細管(土壌間隙)半径 g: 重力加速度 r ∝-1 h → 半径3 μm毛細管では5 mの水柱可能内部毛管水(膨潤水) imbibition water: 毛管水で粒子表面に近いもの コロイドミセルの浸透圧で保持された水 (植物殆ど利用しない) 外部毛管水: 内部毛管水外側で主に表面張力で保持されるもの 重力水(過剰水) gravitational water: 土壌保水力を越える過剰な水粒子間結合力ない水 = 自然落下 (植物一般に利用不可) + 滞留すると根腐れ等障害
浸透水 infiltration water: 地下浸透する水 |
地下水 (groundwater, s.l.)陸地表面より下にある水 = 堆積物の粒子間の隙間や岩石割目等に存在 ⇔ 表流水: 河川・湖沼など陸上にある水
北極地方: 地下水凍結 = 凍土 地下水面 (water-table)これより下層は岩石間隙が完全に地下水で満たされる自由水帯 (vadose zone, 循環水帯): 地下水が重力降下する範囲 → 地表-地下水面(地下水面以上の部分) 飽和水帯 (phreatic zone): 地下水面よりも下の空洞が水で満たされた部分 地中水= 地下水 (s.s.) + 土壌水 → 地表面の下にある水全て地下水 (s.s.)= 地層水 formation water, 間隙水 interstitial water地下水面(groundwater table)より深い帯水層と呼ばれる地層に水が満たされて飽和した部分の水 ≈ 地下水面より深い部分の水 (湿原などでは、これでよい) 土壌水 (soil water)地下水面より浅い場所の土壌水帯(soil warter zone)にあり、水が満たされず不飽和である水→ 湿原 (wetland)水の状態: 水の物理・化学・生物的要因が湿原植物の定着を決める好気性 aerobic: 酸素有する状態 ⇔ 嫌気性 anaerobic: 酸素有さない状態 |
Def. 三相 three phase: Vs + Vl + Va → 土壌生態系構成に不可欠
三相の比率 = 土壌物理性表わす V = Vs + Vl + Va (V: 土壌容積)
Vs: 固相 solid phase = 固体容量 (2.5-2.7*) a: 比重 specific weight (g/ml) b: 生物体への役割 比重差大: 容積比 (≠ 重量比) → 容積比重(仮比重) bulk density 孔隙率(間隙率) porosity, εε = (V – Vs)/V → 土壌の湿性を決めるEx. 関東ローム固相 = 18-22% 間隙比 voids ratio, ε'ε' = (V – Vs)/Vs (多孔系土壌でよく使用)土壌水分 water content, θθ = Vl/VDef. 飽和度 θs = Vl/(V – Vs) 質量基準(w)なら: w = ml/ms (ml: 土壌水質量, ms: 乾燥土壌質量) 乾土壌: 乾燥土壌重, ms = W (生土壌) – wl (水分) (→ Vl = ml) Def. 土容量 (固相体積) = 乾土壌/比重 Def. 空気容量 (気相体積) = 全体 - (土容量 + 水容量) Def. バルク bulk (= みかけの質量 apparent density), ρb = ms/V → θ = (wρb)/ρ (ρ: 水密度 = 1, c.q.s.)
Ex. 農業適土壌(一般のヨーロッパ) → 固相35(50)%、気相30(25)%、液相35(25)%位が畑地に良い 固相 solid phase土壌粒子+ 有機物 (≈ 固相率は大きく変化しない)
一次鉱物 → 岩片: 細粒化 → 物理的風化/加水分解 ∴ 無機成分 - 植物吸収元素給源 Ex. ポドゾルpodzol (podsol): 蒸発 > 降雨
1) iron podozol: 集積層まで腐植humus流される |
粒子数・表面積pn (粒子数, 粒径均一仮定) = ws/wp = ws/(1/6·πd3 × gs)ws: 土壌重量 (g) wp: 単一粒子重量 (g) d: 粒直径 (cm) gs: 真比重 [拡張] (粒径不均一),(ws = 100 g ⇒pn = 1/(1/6·π2.65)·(p1/d13 + p2/d23 + p3/d33 … pn/dn3) pi/di3: i部分の平均粒径 di/di3: i部分の含量 (%) as (表面積) = πd2 × pn粘土含量↑ → 表面積↑ ⇒ 化学特性に影響 液相 liquid phase≈ 水: 液相多すぎると植物に湿害 (水ポテンシャル)浸透, s.l. (浸潤) infiltration: 水が地表面を横切って下方移動 浸透, s.s. (降下浸透) percolation: 浸潤後の水が土壌中を(地下水面に向かい)下方移動 浸漏 seepage: 地下水体-地表水源間の水移動 蒸発 evaporation: 土壌 → 大気 (気象) 土壌表面微細 = 表面積大 = 蒸発面大 → 蒸発量↑ マルチ mulch: 地表を覆うもの Ex. 藁・草刈 → 蒸発↓ 蒸散 transpiration: 気孔から発散する水要水量 water requirement: 植物1 g物質生産に必要な水量 = 300-500
成育期間↑/温度・水↑/土壌養分↓ = 要水量↑ 気相 air phase大気と比較: CO2濃度10倍 + 水蒸気圧高
[日本] 土壌表面を除きほぼ水蒸気で飽和される + 孔隙 pore: < 0.0001 mm - > 0.1 mm 動物(ミミズ等)により作られた更に大きな孔もある + 形様々 ここに液体・気体保持 → 孔壁表面に様々な物質が付着あるいは吸着土壌三相測定法1. 生重測定 (採取は100 cc採土管)標準: 105°C 24時間乾燥 → 土壌によって調整 (暴れる乾燥器で105°Cで泥炭乾燥させると燃えることがある。80°C 3日位乾燥させてもよい - 大容量だと、もっと時間がかかることもある) 2. 乾重測定3. 液相率 = 生重 - 乾重 4. 固相率 = 乾重 / 真比重 真比重(土壌粒子密度, particle density)は、ピクノメータ等を用い測定するか土壌による目安値を用いる。測定した方が正確ではある
真比重 (g/cm3): 有機物が多いと低くなる |