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(2014年4月17日更新) [ 日本語 | English ]

イネ科 (Poaceae Barnhart)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ 植物分類学, エングラー体系, ササ類]

イネ目 (Order Graminales)


花序 = 小穂 spikelet, spicule, locusta (特殊形態)
花被 = 剛毛or小鱗片scutellum (pl. -a)に退化
雄蕊 = 3 or 6。子房上位、2-3心皮
頴花: 頴に包まれた花 = Poaceae, Cyperaceae
果実 = 頴果caryopsisまたは痩果で胚乳豊富
自然な群といえ非常に進んだグループで祖先はユリ科と推定
1. Graminae (Poaceae) 茎中空多。円柱状-扁平。葉鞘裂ける。果実頴果
1. Cyperaceae 茎中実多。三角状。葉鞘裂けない。果実痩果 (イネ目から独立Order Cyperales設ける見解)

イネ科 (Poaceae)


= 禾本科 (今でも時々使われる), ホモノ(穂物)科(聞かない)
世界700属8000種
ツユクサ目を中心とした群のなかでは最も風媒に進化した群
系統(仮説)
1. Restionalesレスチオ目と近縁
2. カヤツリグサ科と近縁
分類鍵
1 稈木質多年生。一般に枝分。葉基部葉鞘と関節。小穂数個の小花からなる _____ Bambusoideae
1 稈草質、稀に多年生になるが木質化しない。葉は一般に葉鞘と関節しない

2 小穂1以上-多数小花、稔性小花1 以上で少なくとも最下小花は稔性。不稔性小花は小穂最上部。成熟小穂は外苞頴と内苞頴を小花柄に残し落ちる(関節は苞頴上方)。小穂左右扁平 _____ Festucoideae
2 小穂2小花、下方小花は不稔性-雄性。上方小花は稔性。成熟小花は外苞頴と内苞頴をつけたまま落ちる。(関節は苞頴下部にある。)小穂は前後に扁平 _____ Panicoideae

タケ亜科 Bambusoideae
ファルス亜科 Pharoideae とダンチク亜科 Arundoideae の2亜科見解
Sasa Makino et Shibata ササ
イチゴツナギ亜科 Festucoideae
= Poöideae + Eragrostoideae (2亜科見解)
Agrostis L. コヌカグサ
Calamagrostis Adans.ノガリヤス
Lolium L. ドクムギ
キビ亜科 Panicoideae
Andropogon L. ウシクサ
Echinocola Beauv. ヒエ
Miscanthus Andersson ススキ
Panicum L. キビ

[ 外部形態 ]

形態 (morphology)


shoot
頴: イネ科の花を包む包葉の総称
稈: イネ科植物の茎。節が明瞭で環状に高まる。節間は中空のものが多い
小穂 spikelet: 花序形成単位。2枚の包頴に包まれた1-数個の小花からなる
小花 floret: 小穂を作る個々の花
小軸: 小穂の中軸
芒 arista (pl. aristae, v. aristate), awn, beard

芒のある barbate, bearded
芒で覆われた barbellulate

小さな芒で覆われた barbellulate

↔ 芒のない awnless

lodicle = perianth
苞穎 glume, 護穎 lemma, 内花頴 palea (pl. -e) = bract
茎-葉
葉鞘 sheath: 茎を取り囲んだ筒状の鞘となる葉の部分 → (葉身)へ
葉舌(小舌): 葉鞘の先端部分にある薄い膜状の構造
葉耳 auricle: 葉鞘と葉身につながる部分がが幅広くなる構造
止め葉 flag leaf, uppermost leaf: 花茎の最上位の普通葉(分類上の用語)
花式図(Floral diagram)
FD FD
カラスムギ________コムギ
Avena fatua L.____Triticum aestivum L.
shoot
用語混乱
大井「日本植物誌」・北村「原色日本植物図鑑」第一包頴第二包頴護頴内頴
牧野「新日本植物図鑑」外頴内頴外秒内秒
本田「日本種子植物分類大綱」第一被頴第二被頴外頴内頴

(Genus)


イチゴツナギ Poa L.
ウシノケグサ Festuca L.
エゾムギ Elymus L.
エノコログサ Setaria P. Beauv.
北半球温帯に広く分布、日本全土に普通
エノコログサ S. viridis P. Beauv.

ハマエノコロ var. pachystachys Fr. et Sav.: 海岸型 = 背低く地表這う。茎葉短硬。楕円形短穂、小穂密長毛
ムラサキエノコロ f. purpurascens Maxim.: 穂の剛毛が紫

アワ S. italica Beauv.: S. viridis栽培種(別種扱い)
アキエノコログサ S. faberi Herrm.: S. viridisに似るが、やや毛多、穂細長く垂れる
ザラツキエノコロ S. verticillata (L.) Beauv.: 穂剛毛に細かい逆棘 → 非常にざらつく
キンエノコロ S. pumila (Poir.) Roemer et Schultes: やや細い穂。穂長3-10cm直立、茎葉は無毛。穂のブラシ状毛が金色
コツブキンエノコロ S. pallide-fusca (Schumch.) Stapf et C.E. Hubb.: S. pumilaに似るが小穂一回り小
カラスムギAvena L.
オヒシバ Eleusine Gaertn.
コヌカグサ Agrostis L.
1 内花頴 ≈ 花頴長1/2 _____

A. nigra クロコヌカグサ
A. stolonifera ハイコヌカグサ
A. alba コヌカグサ

1 内花頴 < 花頴長1/2。竜骨keelなく時に全く発達しない

2 花頴l < 苞頴l _____

A. hideoi ユキクラヌカボ
A. flacidea ミヤマヌカボ: 道・本州・四国・九州の高山裸地、岩地

var. trinii (Turcz.) Ohwi クロヌカボ: 葉身粗渋

A. canina ヒメヌカボ

A. scabra Willd. エゾヌカボ
ササ Sasa Makino et Shibata
トダシバ Arundinella Raddi
スズメガヤ Eragrostis Wolf
ノガリヤス Calamagrostis Adans.
種間雑種多
シバ Zoysia Willd.
three species

イヌビエ (Echinochloa P. Beauv.)


イヌビエ vs タイヌビエ
イヌビエ (s.l.) E. crus-galli (L.) P. Beauv.

芒: 多様

タイヌビエ E. oryzicola (Vasing.) Vasing.

第1苞頴は小穂の長さの1/2-2/3、先尖
第1小花護頴膨らみ小穂大(腹部円形)
芒: なし
北海道

ヒエ E. esculenta (A. Braun) H. Scholz

イヌビエ改良栽培種 - 茎太く、花穂太く屈曲。小穂は球形に近い。道なし

オオムギ (Hordeum L.)


野生種
野生オオムギ H. vulgare ssp. spontaneum var. transcaspicum
分布: 中央アジア-西アジア
祖先種 - 栽培化は西アジアで始まる → 熱帯を除く世界各地に伝播

現在もオオムギとの交雑可能 - 遺伝子研究

栽培品種
あまぎ二条 H. vulgare var. vulgare cv. Amagi Nijo

コムギ/小麦 (Triticum L.), wheat


野生種
パレスチナコムギ T. turgidum ssp. dicoccoides
分布: 西アジア
現在も栽培されるエンマーコムギに最も近縁な野生種
栽培種
パンコムギ 農林10号 T. aestivum cv. Norin 10
T. aestivum L. (パンコムギ)
T. carthlicum Nevski (ペルシャコムギ)
T. compactum Host (クラブコムギ)
T. dicoccon Schrank (エンマーコムギ)
T. durum Desf. (マカロニコムギ)
T. monococcum L. (ヒトツブコムギ)
T. polonicum L. (ポーランドコムギ)
T. spelta L. (スペルトコムギ)
T. turgidum L. (リベットコムギ)

var. dicoccoides (Körn.) Bowden (ノハラフタツブコムギ)

T. triunciale (L.) Raspail (タルホコムギ)

シラゲガヤ (Holcus L.)


(若杉 1991)

H. lanatus L. (シラゲガヤ)
  1. 全体に毛が多い
  2. 花序は広く2-7 cm前後
  3. 葉舌には密毛がある
  4. 上方の小花の基部の長毛は僅かに認められる程度
  5. 上方の小花の芒は先が曲がり小花とほぼ同長かやや長い長さ2 mm前後
H. mollis L. (ニセシラゲガヤ)
  1. シラゲガヤに比べ毛は少ない
  2. 花序は幅狭く1.5-2.5 cm前後でシラゲガヤに比べほっそりしている
  3. 葉舌の毛は多い
  4. 上方の小花の基部には長毛叢がある
  5. 上方の小花の芒は、くの字形に曲折し先は真直ぐに伸び小花から超出する長さ4 mm前後

トウモロコシ (Zea L.)


野生種
テオシント Zea mays ssp. mexicana
トウモロコシ祖先種 - 高耐湿性
トウモロコシ Z. mays L. ssp. mays
cv. everta (ポップコーン)
cv. japonica (フイリトウモロコシ)

ドクムギ Lolium L.


越年生-(多年生)
ホソムギ (L. perenne): 温-暖帯伝播。小穂6-10個。小花長さ1-1.5 cm。小花無芒。高さ30-60 cm
ネズミムギ (L. multiforum): 小穂10-20個。小花長さ2-2.5 cm。小花有芒

ノガリヤス (Calamagrostis Adans.)


1. 小花基毛は護穎(小花)より長い。苞穎は線状被針形-やや線形。護穎に3 脈

2. 包穎はほぼ同長。円錐花序は直立する ___ ヤマアワ C. epigeios
2. 第1包穎は第2包穎より短い。円錐花序は先が垂れる ___ ホッスガヤ C. pseudophragmites

1. 小花基毛は護穎(小花)より短い(= 苞穎より著しく短い)。苞穎は被針形-狭卵形。護穎に5 脈

2. 護穎の芒はないか短く,小穂の外に出ない

3. 包穎はざらつく

4. 葉舌白色-淡紫色おびる。花序枝は長く,開花・開花後に花序枝は曲がり下垂

5. 葉鞘無毛 ___ イワノガリヤス C. purpurea ssp. langsdorfii
5. 葉鞘全体に毛生え,包穎の竜骨の突起 ≈ 0.4 mm

6 小穂や花序の枝の基部に小突起 ___ アムールイワノガリヤス C. purpurea ssp. amurensis
6. 小穂や花序の枝の基部の小突起が毛状に長くなる ___ アッケシイワノガリヤス C. purpurea ssp. amurensis f. akkeshiensis

4. 葉舌は白色。花序の枝は短く,開花後には穂全体がゆるく閉じる ___ チシマガリヤス C. stricta ssp. inexpansa

3. 包穎は平滑

4. 葉身上面の脈は太く,いちじるしく隆起する。火山高原に生える

5 花序の枝はざらつく ___ クジュウノガリヤス C. × microtis
5 花序の枝は平滑

6. 芒長く,護穎先端より長く伸びる。第1 包穎は第2 包穎よりやや短い ___ キリシマノガリヤス C. autumnalis
6. 芒短く,その先端は護穎先端より低い。包穎はほぼ同長 ___ シマノガリヤス C. autumnalis ssp. insularis

4. 葉身上面の脈は細く,あまり隆起しない

5. 葉身は稈の基部に集まる

6. 花序の枝や小穂の柄は平滑 ___ ヒナガリヤス C. nana
6. 花序の枝や小穂の柄はざらつく

7. 芒は長さ1.5-3.5mm で,先端は護穎より低い ___ ザラツキヒナガリヤス C. nana ssp. hayachinensis
7. 芒は長さ3-5mm で,先端は護穎より高い ___ オオミネヒナノガリヤス C. nana ssp. ohminensis

5. 葉身は稈の基部には少ない

6. 稈の基部に光沢のある鱗片葉がある

7. 芒はない ___ ムツノガリヤス C. matsumurae
7. 護穎基部から芒が生える ___ タカネノガリヤス C. sachalinensis

6. 稈基部に膜質の鱗片葉があるか,または腐って落ちる

7. 花序あたり小穂20 個ほど,葉身狭披針形。葉耳に毛は生えない。___ シコクノガリヤス C. tashiroi ssp. sikokiana
7. 花序はより多くの小穂よりなり,葉身は線形。葉耳にしばしば毛が生える ___ ヒメノガリヤス C. hakonensis: 駒ヶ岳, 小島さん記録: 走出枝なし

2. 護穎の芒は長く,小穂の外に突き出し,時に捩れる

3. 護穎の先は,浅く2 裂

4. 花序20 個ほどの小穂よりなる。葉身は披針形

5. 葉身披針形で包穎は同長 ___ タシロノガリヤス C. tashiroi
5. 葉身線形で包穎は不同長 ___ オニビトノガリヤス C. onibitoana

4. 花序はより多くの小穂よりなる。葉身線形

5. 小穂長さ4m 以下 ___ コバナノガリヤス C. adpressiramea
5. 小穂長さ4-6.5mm

6. 第1 包穎のふちは無毛 ___ ノガリヤス C. brachytricha
6. 第1 包穎のふちに長い毛がある ___ タイワンサイトウガヤ C. brachytricha var. ciliata

3. 護穎の先は,側脈が突き出し,5 歯になる

4. 花序は長さ5-10cm で,小穂が密につく。高山帯に生える ___ ミヤマノガリヤス C. sesquiflora ssp. urelytra: 本州(北中部)-千島・カムチャッカ・東シベリア
4. 花序は散開する。低地-山地

5. 茎葉は多く4-7 個。稈の基部は太さ約4mm

6. 葉鞘有毛 ___ オニノガリヤス C. gigas
6. 葉鞘無毛 ___ オクエゾオニノガリヤス C. gigas f. alpicola

5. 茎葉は少なく,1-4 個。稈の基部は太さ1-2 mm

6. 小軸突起は長く,小穂の外まで伸びる ___ カニツリノガリヤス C. fauriei
6. 小軸突起は短く,小穂内にとどまる

7. 小穂長さ5-6 mm ___ オオヒゲガリヤス C. × grandiseta 7. 小穂長さ4-5 mm

8. 芒は護穎の1/2 より上から出る ___ ヒゲノガリヤス C. longiseta
8. 芒は護穎の1/5-1/3 から出る ___ ヤクシマノガリヤス C. masamunei

メヒシバ (Digitaria Haller)


メヒシバ D. ciliaris (Retz.) Köler

被陰にオヒシバより強 – 密集可。道(全世界)、雑草
高さ 40-80 cm。葉柄 緑-赤紫。葉荒毛。不定根。花穂5-12条

アキメヒシバ D. violascens Link

花柄 3-7条。葉無毛 → 葉鞘の毛の有無
高さ 30-80 cm。道(本州稀) (北米・南米帰化) [アキシバという種はない]

オヒシバ Eleusine indica Gaertn.

被陰弱 – 密集できない。道なし


フェストロリウム (× Festulolium Aschers.et Graebn.)


= Festuca(ウシノケグサ)とLolium(ドクムギ)を交配した属間雑種の総称

Lolium (L. multiflorum, L. perenne): 嗜好性・消化性に優れる
Festuca (F. gigantea, F. pratensis): 環境適応性に優れる

品種

那系1号
イカロス
東北1号

世代を進める毎にFestucaのDNAが減る現象 →
[問題] 販売種子増殖過程で品種特性消失
f ratio (Festucaゲノム割合) - 測定法開発

株毎に採種し各母系を等数ずつ調査 → f ratioが減る現象は見られない
f ratioの高い個体ほど採種量や後代種子の発芽率が低い
後代の種子を単純に混合するとf ratioが減少する

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