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(2021年9月1日更新) [ 日本語 | English ]

キク科 (Asteraceae Bercht. et J.Presl), aster family






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

キク目 Asterales

= Asteraceae → 顕花植物中最大の科(900属、23000種) - 科にまとまりある自然分類群 natural group (日本167属、370種)
多くは草本 (木本もある)
分布: 南極大陸を除く全世界
生息地: 海浜-高山
特徴
生殖器官 → 各小花が合弁花 = 頭状花序: 回りを総苞(involucre)が取り巻く(総苞は多総苞片で成立)
小花: 5数性 → 先5つに裂ける筒状か、先5(3)に裂ける舌状 ligulate のもの

5個の雄蕊の葯は互いにつき花柱を囲む
子房下位1室。胚珠倒生1個 → 痩果: 果実中に1種子が入る
種子に胚乳なし
萼の位置に冠毛のあるもの多

小花群が総苞に取り囲まれ1個の花(= 頭花head)となる → 頭花開花は周辺小花から中心部への無限花序
雄蕊1輪の4輪花で、花冠裂片と互生。雄蕊先熟 → 葯胞が互に癒着した集葯雄蕊(雄蕊2心皮性)
⇒ いずれも系統進化を調べる上で重要な形質
筒状花 tubular flower (s.l.) → 筒状花部分disc flower: 円盤状に並ぶので

→ tubulous (adj.) 筒状花を有する(Bot)、管のある

舌状花 ligulate: キク科特有 (adj. rayed 舌状花がある ↔ rayless)

舌状花 ligulate, ray floret
周辺花 ray flower

頭状花序 caput
flower
種区分
頭花サイズ、総苞形、総苞片並び方と形等

[エングラー体系 (Engler's syllabus)|植物分類学 (Plant taxonomy)]
[駒ケ岳フローラ ( Flora on Mount Koma )| フローラ Flora ]

起源
不明だが3説
  1. サワギク族が原始的
  2. ショウジョウハグマ族が原始的
  3. メナモミ族が原始的
散布用式 = 多様 → 進化系統と関係?
  1. 風散布: 萼が冠毛pappusとなる →種数最多
  2. 動物付着散布
    1. 萼が返しのついたトゲ(Ex. センダングサ)
    2. 総苞片に多数のトゲが生える(Ex. オオオナモミ)
    3. 総苞片が粘液を出す(Ex. メナモミ)
  3. 水散布: 種子を取り囲む皮が厚くスポンジ状になり浮きやすい。萼片小さいまま

キク亜科 Subfamily Tubuliflorae (Carduoideae)

頭花の中は筒状小花ばかりのもの、または筒状花の回りに舌状花のあるもの。乳液を出さない
Chiliotrichum diffusum (Forst. f.) O. Kuntze: 常緑低木(< 1 m)。南米
オグルマ族 (Inuleae Cass.)
1. 総苞片 - 緑色・乾膜質ではない

2. 頭花に黄色の舌状花ある _____ Inula オグルマ
2. 頭花に舌状花なし。花時点頭 _____ Carpesium ヤブタバコ

1. 総苞片乾膜質で透き通る。白色あるいは黄色で花弁様

2. 両性花は結実する。総苞淡黄あるいは淡褐色 ___ Gnaphalium ハハコグサ
2. 両性花は結実しない。総苞多くは白色

3 両性花の冠毛は先が太く平 ___ Antennaria エゾノチチコグサ
3 両性花の冠毛は平たくならない

4. 冠毛は一本づつ離れる ___ Anaphalis ヤマハハコ
4. 冠毛基部は環状に互いにくっつく ___ Leontopodium ウスユキソウ

タンポポ亜科 Subfamily Liguliflorae (Cichoriodeae)

Taraxacum Wiggers

(genus)


アキノキリンソウ (Solidago L.)


1. 茎分枝せず。高さ1-2 m.。先多くの小枝持ち円錐状花序

___ S. altissima L.セイタカアワダチソウ (全体短毛)
___ S. gigantea Aiton オオアワダチソウ(茎・葉無毛)

1. 茎分枝。高さ80 cm以下 ___ S. virgaurea L. アキノキリンソウ / S. canadensis L. カナダアキノキリンソウ

S. vigraurea L. (北村他 1957)
ssp. asiatica Kitam. アキノキリンソウ

総苞狭鎧型片4裂、最外片長1mm

ssp. laciocarpa (Benth.) Hultén コガネギク (= 大井 var.)

総苞広鎧型片3裂、最外片長1-3 mm

ssp. giantea (Nakai) Kitam. オオアキノキリンソウ

葉大きく広卵形。頭花は多集密集。道西南部

S. canadensis L. カナダアキノキリンソウ
ssp. altissima (L.) O. Bolos et Vigo (セイタカアワダチソウ)
var. gilbocanescens Rydb. (ケカナダアキノキリンソウ)

葉表にも毛多く、総苞長さ2-3 ㎜ + 開花遅い (道でセイタカアワダチソウとされるものに混じる)

アキノノゲシ (Lactuca) L. in Japan


チシャ/レタス L. sativa L.
ミニ植物工場「やさいばこ」
ポイント1: 青と赤の光だけでもリーフレタスはよく育つ
ポイント2: 青と赤のLEDで育てたリーフレタスは、白いLEDで育てたものと比べ光を無駄なく吸収し、反射することができないので、葉が暗く見える。逆に、白いLEDのリーフレタスは、光の吸収と反射により緑がきれいに見えるが、育ち方は一緒である。[ LED栽培ミニトマト ]
lettuce lettuce lettuce
リーフレタス (提供: 三協フロンテア)。2021年8月19日、上野国立科学博物館植物展

アザミ (Cirsium Mill.)


アザミ連 Cynareae
多年草・一年草: 北半球温帯-寒帯
虫媒花
Cirsium

1. 総苞大型で扁球形、幅6.5-8.5 mm、総苞片中央部で幅5-9 mm、縁に小刺針列生 ___ Sect. Megalocepaha (フジアザミ)

1. 総苞は球形、鐘形または筒形、幅1-4 mm、総苞片は細く1-4 mm

2. 越年草。花冠特に細く、花筒狭部分は他部より1.5-2.5倍長い ___ Sect. Pseudo-eriolepis (タカアザミ) = C. pendulum(タカアザミ)

2. 多年草。花冠やや太く、花筒狭部 ≈ 他部 ___ Sect. Apalocentron (アザミ)

3. 葉基部は茎に翼状に沿下

4. 頭花上向きに咲く

4. 頭花横向きか下垂して咲く

5. 茎葉は全縁か数対に羽状中裂 ___ C. kamtschaticum(チシマアザミ)

5. 茎葉8-12対に櫛葉状に羽状中-全裂

6. 葉羽状中-深裂、裂片より広い ___ C. apoense(アポイアザミ)

6. 葉羽状深-全裂、裂片狭い ___ C. pectinellum(エゾノサワアザミ)

3. 葉基部は茎に沿下しない

4. 根出葉は花時にもあってロゼット状

5. 痩果長さ4-5.5 mmで基部狭まらない。頭花は点頭し総苞片は覆瓦状に並ぶ

5. 痩果長さ3-4 mmで基部狭まる

6. 総苞片やや薄くて柔らかく、反り返るか開出する ___ C. yezoense(サワアザミ), テリハアザミ, サンベサワアザミ, ワタムキアザミ, ヒダアザミ

6. 総苞片直立, 時に少し開出し斜上

7. 総苞片やや幅広く硬く, 花冠狭筒部は他部より長い。海岸性

7. 総苞片やや狭く、花冠狭筒部は他部より短い

8. 頭花直立 ___ C. japonicum(ノアザミ), ノハラアザミ, ニッコウアザミ, オオノアザミ

8. 頭花点頭し、総苞甚だしく粘着する

4. 根出葉は花時に枯れて無い。茎中下部の葉良く発達し、根出葉より大きいのが多い

5. 総苞片幅広く(3.5-4 mm)、縁に小刺あり紫色で長く反り返る

5. 総苞片の縁に小刺はない

6. 総苞片先少し広がり3角形で膜質、有鋸歯。痩果下部黒紫色、上部黄白色

6. 総苞片先は鋭尖形

7. 総苞片幅広く(3 mm)、やや硬く背に多数の条目立つ。痩果下部黒紫色、上部黄白色

7. 総苞片幅狭く、背に1肋目立つ。痩果藁色-灰色

8. 総苞小さく、狭い筒状

9. 茎葉基部は茎を抱く。総苞片外側のものは短く覆瓦状に並ぶ

9. 茎葉基部は茎を抱かない ___ C. microspicatum Nakai (アズマヤマアザミ, s.l.)

8. 総苞大きく(exc. ハナマキアザミ)、鐘形か鐘球形

9. 頭花は花時直立。総苞片は直立か斜上。花冠長さ18-20 mm ___ タチアザミ, オゼヌマアザミ

9. 頭花は花時直立せず点頭するか稀に上向き(この場合総苞片は反曲)

Breea Less. (アレチアザミ)
1. 雌雄異株。根は横に長く這い芽出す ___ Breea

B. setosa (Bieb.) Kitam. (syn. C. setosum (Willd.) M. Bieb.) (エゾノキツネアザミ)

1. 頭花は両性。根は横に長く這わない ___ Cirsium (アザミ) distribution
. 地域により種が異なる里山のアザミ類。黄色: 各地で代表的な種。白色: 黄色より分布域が狭い
帰化種
C. arvense (L.) Scop. (セイヨウトゲアザミ)
C. vulgare (Savi) Ten. (アメリカオニアザミ)

エゾコウゾリナ (Hypochaeris L.)


H. brasiliensis Brazilian catsear
H. glabra smooth catsear (ヒメブタナ)

植物体: 基部ロゼットから直立した茎が出るタンポポ様である
葉: 狭い槍状。毛はあまりない(not hairy)

頭花: 黄色; 個々の小筒花花弁の長さは5-10 mmで幅の約2倍

H. microcephala smallhead catsear
H. radicata hairy catsear (ブタナ)

植物体: 基部ロゼットから直立した茎が出るタンポポ様である

葉: 狭い槍状。毛を密生(hairy)
頭花: 黄色; 個々の小筒花花弁の長さは25-40 mmで幅の2-4倍

(Wilson & King 2003)


カワリミタンポポモドキ Leontodon taraxacoides (Vill.) Mérat: ブタナ、ヒメブタナに比べて

花茎が少ない
葉の切れ込みは浅い

オグルマ (Inula L.)


________カセンソウ__オグルマ
痩果____無毛_______有毛
総苞片__葉状_______総苞片長ほぼ同じで披針形、先が細長く尖る

キク (Chrysanthemum L.)


キク属と近縁属

1. 舌状花はない ___ Tanacetum L. ヨモギギク

T. vulgare L. エゾノヨモギギク: 葉イワヨモギに似る

1. 舌状花あり、痩果冠毛なし
2. 茎低木状で太い。痩果冠毛あり ___ Nipponanthemum Kitamura ハマギク 1 sp.?
2. 茎草質で地上部1年で枯れる
3. 痩果10肋、湿っても粘質とならない。舌状花に実できる ___ Leucanthemella Tzvelevミコシギク
3. 痩果5肋、湿ると粘質。舌状花実できない ___ Dendranthema Des Moulis キク: 逸出多 = 人為環境下注意

D. zawadskii (Herbich) Tzvelev イワギク: 頭花単生
D. boreale (Makino) Ling (Syn. Chrysanthemum boreale) キクタニギク: 本州(埼玉県まで?)・壱岐・対馬・朝鮮・中国北部, 京都で栽培。花期遅い

倍数性

栽培菊 3系統
大輪菊 → 起源 イワギク: 2n = 18 (蒙古), 2n = 54 (中国)

× 2n = 36: シマカンギク (大輪菊 21000年前中国で栽培化)

中輪菊 2n = 54 ⇐ 小輪 × 大輪

小輪菊の2n = 54を説明するには2n = 18 × 2n = 36が有力

2n = 18 × 2n = 36____2n = 54 × 2n = 36
________________________
____2n = 27____________2n = 45
_______↓ 倍数化___________↓ 機構不明
____2n = 54____________2n = 54

小輪菊 2n = 54
園芸品種の自然下への浸透: 54 = garden flower

シオギク 72 × 54 → 63: 7x (不稔) → 多系増大 introgression (back-cross)
イソギク 90 × 54 → 72: 8x (稔) → hybrid-segregation

染色体数 Chromosome number
2n生息場所分布
アブラギク(アワコガネギク)182x山麓北支、朝鮮、北九州一部、近畿、関東
リュウキュウノギク18 (27, 36)山麓日本固有
イワインチン182x高山シベリア、日本
ホソバノセイタカギク182x湿原シベリア、朝鮮、日本
エゾノヨモギギク182x急傾斜地ヨーロッパ、利尻、礼文、知床
ハマギク182x海岸日本固有。東北、関東北部
シマカンギク364x石灰岩地帯日本、中国
ワカサハマギク364x日本固有。若狭湾
ナカガワノギク364x那珂川河畔
ハマカンギク546x海岸北九州、山陰
ノヂギク546x海岸九州、四国、太平洋岸、瀬戸内海
チョウセンノギク(イワギク)546x山地、岩地北支、蒙古、朝鮮、日本
(ヨーロッパ: 18, 54, 72の種内倍数性存在)
サツマノギク728x海岸固有。鹿児島、熊本、支那海面
ピレオギク728x海岸小樽、南朝鮮の小島
シオギク9010x海岸潮岬-日立、小笠原
コハマギク9010x海岸仙台-道、千島-アリューシャン-カナダ
カナダではクライン2n = 90, 81あり
オオシアノジギク9010x海岸固有。奄美大島

シオン (Aster L.)


一年生・多年生

一年生: ウラギク(道あり)・ホウキギク

A. glehnii var. glehnii (エゾゴマナ): 葉は細長く楕円形
A. scaber (シラヤマギク): A. glehniに比べ葉は巾が広く三角形様
ウラギク(浦菊): 海岸に生える
カントウヨメナ・ユウガギク → 本州からの国内帰化 (見る可能性は低い?)

タンポポ (Taraxacum Wiggers)


2000 spp., 32節(Richards 1973)
2n = 24, 32, 40, 48, 64, 2n = 16 (diploid) - 氷河期冠氷を免れたレリック
頭花の中の全ては舌状花。花柱は先が2つに分かれるがその枝は棒状。白い乳液を切ると出す
進化系統: 節が含む2倍体の割合、果実や冠毛の形質
在来種 - 環境により変化

モウコタンポポ(亜)節 Mongolica: 総苞淡緑色。果実卵形で大きく冠毛柄短い - 原始的
ミヤマタンポポ(亜)節 Ceratophora: 総苞黒緑色、果実細長く冠毛柄長い - 進化的

Lamper的分類: Mongolica 4 spp., Ceratophora 3 spp.。同一地点に生えているとspliter的区別不可能

アカミタンポポ T. laevigatum (Willd.) DC. ⇔ セイヨウタンポポ

果実: 赤 reddish - 暗赤 dark red
葉: 鋸歯明瞭 remarkable teeth


未同定
雑種かも (仮称ロクアイタンポポ参照)
シコタンタンポポとエゾタンポポの雑種の可能性(葉や総苞片の形態)
unidentified1 unidentified2
unidentified3 unidentified4
[1-6] 札幌市内. [1-3] 2019年5月6日. [4] 2019年5月11日. 記録: 2022年5月7日開花.
第24回理学祭 植物学専攻課程 タンポポ生態調査 (学祭)
オニタンポポとセイヨウタンポポ
"オニタンポポ"を聞いたことは…? 北大には、タンポポが春の訪れと共に、芝生に、道端に、花を開かせる。そんなタンポポ達も皆な同じではない。ちょっと違うタンポポが北大を自分達のものにするゾとお互いに頑張っている。彼らの名をセイヨウタンポポ(以下、セイヨウ)とオニタンポポ(オニ)という。
よくみかけるのは、殆どがセイヨウ。セイヨウが日本にくる前に道にはエゾタンポポ(エゾ)が元気に花を咲かせていた。今、北大ではのんびり屋のエゾが、海を渡って来た強いセイヨウに、どーぞどーぞと、席を譲り、エゾはめったに見つからない。
セイヨウ中に、7-8年前からオニタンポポ(spectablirs)という新顔が出現しはじめた。&hellip オニは外来種で、その意味ではセイヨウの仲間となる… オニは、一番始めは札幌では羊が丘で見つかった。
私達は、北大にエゾがどのくらい残っているのかとこの調査を始めた。そして偶然、このまだ研究されはじめたばかりのオニにめぐり合った。彼らは今、着々と増えつつある。

3年前に調べた結果と比べて分布率はどう変化したか…
エゾはセイヨウとどこが違うか…

やさしく お教えいたそう。
[1] 外から見比べたときの違い
[総苞] ぱっとみて、両者の総苞のカールの仕方の違う。

セイヨウ: 下向きに捲れる。
オニ: ちょっと開く程度。捲れない。

オニの総苞片は、丸い感じで大きく、茎が赤みを帯びる。
[花] タンポポはキク科で、その特徴として小さな花がたくさん集まり(200-300位)一つの大きな花(不正確)を作る。ぱっと見た感じ、セイヨウよりもオニの方が、大柄の花に見える。私達が数ると、花びらの数もオニの方が多かった。
[葉] セイヨウは、葉形が多様で先の丸いものから切れ込みの大きなものまである。オニは、セイヨウよりも切れこみが深く、大体みな同じ様な形となる。
[根] タンポポの根は、長く伸びる。そして葉の根元(基部・根頸)にオニには多くの褐色の鱗片がつく。鱗片は、葉柄の枯れてしまったもの。鱗片が残るとそのタンポポは寒冷地でもより生活できる。
[花粉] 黄色でほぼ球形となる。その回りは一面刺状突起で覆われる。タンポポ属2倍体の花粉は小さく粒の大きさが揃うが、3倍体以上の倍数体だと大きさがばらつく。セイヨウは、同じ花の花粉でも大きさがばらつく、オニは花内のバラツキは小さいが、花間で差があり、両者とも3倍体以上の倍数体だと思われる。2倍体タンポポは、染色体数が2n = 16で、有性生殖しないと種子ができない。しかし、3, 4, 5, 6, 8倍体(それぞれ2n = 24, 32, 40, 48, 64)は受粉せずに、無性的に種子ができる(無融合生殖)。ということは、オニもセイヨウも種子形成には受精の必要がない。
[種子] 表のような差が見られた。
               色     形             ささくれ           冠毛柄
  セイヨウ     淡褐色
    タンポポ   藁色   偏平           種皮に沿うように深 短い
                                     深くささくれている
  オニタンポポ 濃褐色 厚みがありごつ 種皮に対し大きな   長い
                      ごつししている 角度でささくれる
[冠毛] 冠毛柄の長さと種子の長さ
                      冠毛柄 (mm)  種子 (mm)
    セイヨウタンポポ    9.8           3.0
    オニタンポポ       12.7           3.0
種子の長さは同じだが、冠毛柄の長さに差が見られた。
種子が小さく、冠毛柄の長いものほど遠くへ飛べる。オニの種子は、ごつごつしているが、冠毛柄が長くセイヨウより遠く広くへ散布できるのではないか。
セイヨウの種子を脱イオン水を含む脱脂綿上にまき、次の4条件のもとで発芽を観察した。
        条件          発芽   結果
    Ⅰ  22℃  蛍光燈  3日後  比較的小さな双葉を持つ
    Ⅱ  室温  太陽光  4日後  小さいが鮮やかな緑の双葉
    Ⅲ  室温  暗所    4日後  もやしのように丈は伸びる
                             が双葉は黄色い
    Ⅳ  5℃   暗所           10日経っても変化しない
また、表で条件Iと同じ条件でオニ種子を蒔くと、やはり3日後に発芽したが、双葉はセイヨウより大きく厚いがっしりした感じがした。10日くらい経つと双葉の色にも差が見られオニの方が緑が濃い。
[2] 分布率の違い
北大キャンパス内での、エゾとセイヨウの分布率の違いを調査した。方法は、タンポポが多く咲くところで無作為に1 m2方形区とり、セイヨウとエゾの株数を調べた。これは、3年前の調査と同じ方法である。今回の調査では下のような結果がでた。さらに、分布率を3年前のデータと比べると次のようになる。
                1983                         1980
                全株数   セイヨウ  オニ      セイヨウ  オニ
    ①理学部前     548   526(96%)   22( 4%)   84%       16%
    ②農学部前    1288  1190(92%)   98( 8%)   95%        5%
    ③中央ローン   455   414(91%)   41( 9%)  100%        0%
    ④ポプラ並木  3232  2997(93%)  235( 7%)   89%       11%
    ⑤農場付近     194   149(77%)   45(23%)   80%       20%
    ⑥原始林       113    60(53%)   53(47%)    -*        -

*: ほとんどタンポポがなかったらしい

以上の結果より、オニが北大では分布勢力をのばしている。今年のデータ中で「農場付近」「原始林」にオニが多かった。やはり、新顔登場は人の立ち入らない自然状態のよい場所がよいのだろうか。これからも、オニはどんどん増えると思われる。花の総苞の所が下に捲れているのがセイヨウで、ちょっと開いただけのがオニである。今度、道端のタンポポ、芝生のタンポポ、暇があったらちょこっと花を捲って見てどっちのタンポポか調べて見るのもよい…?
オワリ どうもありがとうございました。きたない字ですみません。
[オニタンポポは実体不明] タンポポ分布調査
5月中: 北大教養部-工学部一体

セイヨウタンポポ群生

6月20日: 札幌競馬場

エゾタンポポ群生: これも怪しい
セイヨウタンポポ: 道路際に疎ら

ニガナ (Ixeris (Cass.) Cass.)


道分布種
I. dentata (Thunb.) Nakai (ニガナ)
I. repens (L.) A. Gray (ハマニガナ)
I. stolonifera A. Gray (イワニガナ)
I. debilis A. Gray (オオジシバリ), 道南部・南西部

ハハコグサ (Gnaphalium L.)


A. 総苞は鮮やかな黄色。

B. 葉はへら形、表裏ともに綿毛があって灰白色。花は主として春に咲く。茎は基部で分枝し、葉は幅が広く、鈍頭 _____ ハハコグサ G. affine D. Don (在来)
B. 葉は線形、表面は緑色、裏面は綿毛があって白い。花は10-11月に咲く。茎は中部より上部で分枝し、葉は幅が狭く、鋭頭 _____ アキノハハコグサ G. hypoleucum DC.(在来)

A. 総苞は帯褐色または帯紅紫色。

B. 多年草

C. 花序は茎の先に集まってつき、上部に3-5個の葉が星状に出る。匍匐枝がある _____ チチコグサ G. japonicum Thunb.(在来)
C. 花序は総状で、斜上する長い葉の腋につき、星状に出る葉はない。匍匐枝は出ない _____ エダウチチチコグサ G. sylvaticum L.

B. 一年草または越年草

C. 頭花は茎の先に頭状に集まりつく

D. 茎は下部から上部まで多くの短い枝を分け、花序より長い葉がつく。花柄短く、茎先に球形の頭花が集まりつく _____ ヒメチチコグサ/エゾノハハコグサ G. uliginosum L. (在来)

D. 茎は上部で枝を分け、花序より長く伸びる葉はない。花柄長く、茎先に鐘形の頭花が球状に集まりつく _____ セイタカハハコグサ G. luteoalbum L.

C. 頭花は穂状または総状花序につく

D. 葉は線状披針形、鋭頭 _____ タチチチコグサ G. calviceps Fern
D. 葉はへら形、円頭または鈍頭

E. 総苞は鮮やかなバラ色、総苞片は鋭尖頭。茎の上部の葉は長く伸び、花序より長いか、または同高 _____ ウスベニチチコグサ G. purpureum L. (syn. Gamochaeta purpurea (L.) Cabrera)
E. 総苞は褐色、ときに咲き始めは紅紫色、総苞片は鈍頭または鋭頭。茎の上部の葉は上記の種ほど長くはならない

F. 葉は両面に綿毛が生え、灰白色。葉状の苞葉は花序より長く超出する _____ チチコグサモドキ G. pensylvanicum Willd.
F. 葉の表面は深緑色で無毛、裏面に綿毛が密生し、純白。葉状の苞葉は花序の下部では花序より少し長いが、それより上では花序より短く目だたない _____ ウラジロチチコグサ G. spicatum L.

(清水 2003)

ノゲシ L. (Sonchus L.)


1 多年草。長い地下茎有。頭花直径3-3.5 mm ___ ハチジョウナ S. brachyotus D. C.

道有。原野・海辺近(北多)
長い地下茎。茎直立、高さ30-100 cm
頭花直径 3-3.5 cm、花期8-10 (札幌7.21)。総苞長さ1.6-2 cm、密綿毛

1 一年草/越年草。地下茎なく、頭花直径 2 cm
2 葉が茎につく部分は尖った耳状。茎をまかない。痩果横筋目立つ ___ ノゲシ S. oleraceus L.
2 葉が茎につく部分は丸い耳状。葉の縁の刺は太い。痩果横筋目立たない ___ オニノゲシ S. asper (L.) Hill

ノコギリソウ L. (Achillea L.)


1. 葉は細鋸歯があって分裂せず、基部には茎を抱く裂片がない。総苞及び花床の鱗片には密に毛がある ___ エゾノコギリソウ A. ptarmica L.

1. 葉は鋸歯があるか又は2回羽状に中裂し、基部はやや大形の裂片があリ茎を抱く。総苞及び花床の鱗片に毛少ない ___ ノコギリソウ A. alpina L.

帰化種:
セイヨウノコギリソウ A. millefolium L.
ノコギリソウモドキ A. × stricta (W. D. J. Koch) Schleich. ex Gremli

ヒマワリ (Helianthus L.)


同種だったり別種だったり … 分類上の結論は出たのだろうか …
H. strumosus L. (イヌキクイモ)

舌状花 ≈ 10、鋭頭
総苞: 短く反り返る
道南で開花してるのは、こちらが普通(2023年. 最近そうでもないようだ)

H. tuberosus L. (キクイモ)

舌状花 ≥ 10, 浅裂
総苞: 長い、反り返らない
札幌では開花をみない

ヒヨドリバナ/フジバカマ (Eupatorium L.)


1956 藤原: ヒヨドリバナに著しい倍数性

六甲山: 2n = 20 (2倍体), 30, 40, 50 + 小型染色体

E. lindleyanum DC サワヒヨドリ
E. chinese Linn. ヒヨドリバナ
E. fortunei Turcz. フジバカマ
E. variabile Makino ヤマヒヨドリ
E. yakushimense Masam. et Kitam. ヤクシマヒヨドリ

ムカシヨモギ L. (Erigeron L.)


1. 雄花は舌状で大きくて開出し、舌状部は筒状部より長く冠毛より突き出る

2. 舌状花は細く、舌状花と両性花の間に毛管状の雌花がある。多年草 ___ Section Trimorphaea (ムカシヨモギ)
2. 舌状花は顕著で平たく多数、毛管状の雌花はない ___ Section Euerigeron (ヒメジョオン)

E. annuus (L.) Pers.ヒメジョオン: 蕾時上向
E. philadelphicus L.ハルジオン(春紫苑): 蕾時下向

ハルジオンヒメジョオン
葉: 茎を抱く ⇔ 抱かない
茎: 中空(柔らかい) ⇔ 中実(硬い)
花冠(舌状花): 細く多 ⇔ 太く少
• ヘラバヒメジョオン: 茎中実。葉鋸歯なし
• ヤナギバヒメジョオン

1. 雌花は細い筒状か又は舌状であっても短い。1-越年草 ___ Section Caenotus (アレチノギク)

E. sumatrensis Retz.オオアレチノギク: これまで札幌ではみない(ということはなくなりつつある)

ヨモギ (Artemisia L.)


多年生草本および半低木。苦味や芳香を持つ種多
1. 頭花中心部の小花は実できない ___ Section Dracunculus カワラヨモギ節

A. congesta Kitam.オニオトコヨモギ (July 10, 1984 網走) 2n =36。青森県弁天島、道-小島

頭花巾4 mm。茎葉茎抱かない。無花枝は地這う。根出葉羽状全裂、密白毛、裂片さらに羽状中-浅裂

A. japonica Thunb.オトコヨモギ: 葉は種々に分裂。頭花は巾1.5 mm

ssp. littoricola Kitam.ハマオトコヨモギ: 海岸。葉2回羽状(1-2回)。頭花巾1.5 mm

1. 頭花中心部の小花は両性で実できる

2. 花床に密毛 ___ Section Abinthium アサギリソウ: A. schmidtiana Maxim.アサギリソウ
2. 花床無毛 ___ Section Abrotanum ヨモギ

Key for Abrotanum
1. 一年生または越年生草本

A. fukudo Makinoフクド(一年生-多年生)
A. apiacea Hanceカワラニンジン
A. annua L.クソニンジン, 道なし

1. 多年生草本または半低木
2. 葉最終裂片は糸状-細線形

A. laciniata Willd.シコタンヨモギ: 根室、礼文島(+ A. apiacea, A. annua)
A. capillaris Thunb.カワラヨモギ: 本州以南(大井)
A. schmidtiana Maxim.アサギリソウ: 道・本州(日本海側)
A. trifurcata var. pedunculosa (Koidz.) Kitam.エゾハハコ- 大雪高山帯。花茎30 cm

2. 葉最終裂片は糸状-細線形にならない
3. 葉大きな鋸歯縁 ___ A. keiskeana Miq.イヌヨモギ: 葉洋紙質、下面に絹毛、腺点
3. 葉羽状に裂ける
4. 頭花幅 ≈ 8-10 mm ___ A. arctica Less.サマニヨモギ, 道・本州高山(樺太-千島-シベリア-北米)/ A. stelleriana Bess.シロヨモギ, 海岸砂地。全体雪白色
4. 頭花幅 ≤ 6 mm
5. 葉は羽状浅裂-2回羽状深裂
6. 頭花幅 > 3 mm
7. 葉多肉質 ___ A. congesta Kitamura オニオトコヨモギ, 道南海岸. A. unalaskensis Rydb.チシマヨモギ, 亜高山-高山
7. 多肉質ではない ___ A. koidzumiii Nakaiヒロハウラジロヨモギ, 葉は羽状に浅-深裂
6. 頭花幅 ≤ 3 mm
7. 葉基部は托葉状となり茎を抱く

A. japonica Thunb.オトコヨモギ (var. macrocephara Pamp.ハマオトコヨモギ: 頭花大 ≈ 2 mm)

7. 葉基部は茎を抱かない

頭花幅1 mm (以下2種は1.5 mm以上) ___ A. feddei Lev et Van.ヒメヨモギ
頭花幅1.5 mm。葉基部に小さな羽状裂片 ___ A. princeps Pampan. ヨモギ: 本州以南(大井)
頭花幅2.5-3 mm。葉柄基部に裂片つかない ___ A. montana (Nakai) Pampam.オオヨモギ

5. 葉は1-2回羽状に全裂

葉裂片に櫛歯状の小裂片つかない ___ A. rubripes Nakai ヤブヨモギ
葉裂片に櫛歯状の小裂片つかない ___ A. gmelini Weber ex Stechm. (syn. A. iwayomogi Kitam.) イワヨモギ

X: 帰化 A. vulgaris, A. rubripes Nakai ヤブヨモギ?

Artemisia 図1. 葉形. A:オオヨモギ,B: ワタヨモギ,C: カワラヨモギ,D: ヨモギ,E: イワヨモギ,F: イヌヨモギ,G: フクド,H: ヒトツバヨモギ,I: ヒロハウラジロヨモギ,J: シロヨモギ,K: ヒメヨモギ,L: オトコヨモギ,M: アサギリソウ

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