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(2013年4月27日更新) [ 日本語 | English ]

植生垂直分布 (vertical distribution of vegetation)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

≡ 標高勾配(elevational gradient)に沿った植生帯の発達
成因: 環境勾配 + (上部・下部との)種間競争
途中相では温度反応による植生分化が進まず分布帯細分化は困難なこと多
垂直分布 = 緯度 + 標高(気温減率) + 山体サイズ + 独立峰か否か + …

Ex. 大雪山(N44°, 標高2290 m): 山体大きく高山帯は1600-1800 m以上

寸詰まり現象(≈ 山塊現象・山塊効果): 垂直分布の圧縮された状態 - 独立峰

独立峰 = 熱放散大 ↔ 山塊 = 熱放散小
Ex. 羊蹄山(北緯43°, 標高1850 m)は独立峰で垂直分布推移は急激で大雪山より南であるにも関わらず森林限界低い
Ex. 早池峰山

索引
[中央アルプス, 大雪山 , 日本]

垂直分布 (vertical distribution)


高山帯 (alpine zone)

森林限界 forest line

亜高山帯 (subalpine zone)
山地帯 (montane zone)
山麓帯 (lowland zone)

高山帯 (alpine zone)


Def. 森林限界線より上の分布帯: 15 ≥ WI (最低気温 -30°C)

年中降雪し万年雪も見られる
土壌未風化で基岩が露出し地下水乏しい
半年は雪に覆われ、夏期日照量が多い
生活型組成: (半)地中植物(H, Ch)比率が森林限界付近で大きく変化

高山帯下限標高と緯度は直線関係と限らず、山体大きさ、山新旧で差
お花畑: 森林限界より上部で高山植物が占める個所(地域) (明確な定義なし)

成育期間極めて短い + 乾燥・低温への適応

Def. 森林限界線 timber or forest line: 垂直分布で樹林帯上端(一般に明瞭)
形成要因 = 地形・方位 → 気温 + 風向風速 + 積雪量等

Ex. 稜線部よりは風衝から守られる谷の方で森林限界上昇

風: 直接的影響(物理的作用) + 間接的影響(生理的作用)

独立峰山頂効果: 低標高でも山頂付近は森林低木化 ≠ 森林限界

土壌移動: 植物定着できず森林限界下げる

Ex. 富士山: 砂礫テフラ - 土壌移動 - 宝永山森林限界は太郎坊(1400 m)

Def. 樹木限界 tree line: 木本植物定着できる限界

風衝(偏形)樹: 高木 - 下枝広がり幹が旗状で芽風下に偏した形

風の強いところ(Ex. 森林限界付近、海岸)に現れる

Viola 高山風衝草原: 種数多。多積雪だとハイマツ群集等も形成され、それに伴い腐植質の蓄積もあり土壌発達
ミヤマシオガマ・チョウノスケソウ・イワオウギ・オヤマノエンドウ・ミヤマダイコンソウ・ヒゲハリスゲ・ミヤマノガリヤス等

岩礫地: 種子植物殆どみられない
風向石礫地: 土壌移動に耐えられる植物だけが生存 → 疎性群集
風向砂礫地: 風向石礫地よりは植物量が増す。地表の僅かな起伏の蔭等で積雪もやや多く、残雪期が長く表層部は幾らか安定し、石礫の間に細土がつまり砂礫地となったもの

雪田 snowbed: 万年雪及びその周囲の雪が夏の遅い時期まで残る範囲。開花決定要因に雪田サイズや消失時期が関与 → 雪田の消滅して行くラインに沿って開花が見られる

大雪高山植物群集: ヒース群系所生要素(マルバヤナギ・ミネズオウ・イワウメ・キバナシャクナゲ) + 岩礫地群系所生要素(チシマイワタデ・タルマイソウ・メアカンキンバイ)

ハイマツ群落(低木林)

森林限界指標

日本: 温度からは高山帯は全てハイマツ低木林 - 他要因で他群落形成
これより上部が高山帯 (富士山に分布しない - 地史的要因)

背腹構造(山スケール) dorso-ventral structure: 本州

風上 = ハイマツ群落 ⇔ 風下 ≠ ハイマツ群落

日射量十分な安定斜面。冬期適度な積雪に覆われ芽保護される場所に発達

ハイマツは寒冷期先駆種として進出し、針葉樹林発達と共に後退し、環境要因が針葉樹林を阻止する高山帯での極相と考えられる

ハイマツ群落は北方に行くとササ的性格、つまり他の針葉樹林か広葉樹林の樹幹下に存在する低木とり、ハイマツと他の植物(群)との混成群集となる
日本: 高山環境(風、乾燥、雪等)で各群落が分離 + 形態適応 modification + 種内分化 morphosis
各群落分布は様々な要因の総合的結果として決定

Ex. 日本でハイマツは一般に高所にあるが、低所における種間競争を避け高所に環境適応し分布したとも考えられる。しかし、低所でも、日高蛇紋岩地帯等では高所強酸土壌地域での生存が困難であるため低所でもハイマツ群落が観察される

背腹構造要因: 雪圧差

本州: 風下側 = 吹き溜まり形成 → 積雪深2-5 m。ベタ雪で重い

→ 風下側にハイマツ生育できない

北海道: 軽雪で3 m積もることは少ない

→ ハイマツ発達可能 = 北海道でハイマツ群落は背腹構造示さない

高山植物 alpine plant

日本: 4回にわたる氷河期(100万年-1万年前) = 寒冷地植物南下 ⇒ 気候温暖 = 北上 + 一部の植物は北上せず高山に移動 ⇒ 現在の高山植物
環境(激変) = 強風 + 低温 + 強光 (UV含) + 積雪 + 低水分 + 低養分 ⇒

環境適応 Ex. 小型化(花は相対的に大)、地下茎・根発達 = 栄養貯蔵
花: 短い成育期間のため開花期間が種間でほぼ一致し一斉開花

巨大植物 giant plants
一般に高山では標高上昇につれ植物サイズ小型化 → 逆の振る舞い

Ex. Giant Senecio, Puya

亜高山帯 (subalpine zone)


= 針葉樹林 Ex. シラビソ・コメツガ・トウヒ
最低気温-20°C。降霜期間8-10ヶ月。土壌風化不十分。風・霧強い。日射量少
先駆種pioneerにはカラマツ・ダケカンバ等があり二次遷移初期はダケカンバであることが多い。ダケカンバは亜高山帯先駆樹種として遷移初期に優占する他の侵入種よりも樹齢が長いことが多い
風衝斜面では、縞枯れ現象やそれに近い一斉枯死の現象が目立つが原因ははっきりしない

偽高山帯 pseudo-alpine zone

背腹構造: 日本海側 ↔ 太平洋側
水平分布・垂直分布
Pseudo-alpine
→ 偽高山帯を発見命名 (四手井 1956)

ニセコ・カリバ: ミヤマナラがある。北海道でも狩場山等ではブナの代りにダケカンバが生える

表。主な山岳における針葉樹林帯の有無。▲ 針葉樹林帯有、△ 無
       日本海側             太平洋側
    △ 岩木山 1625 (m)   ▲ 八甲田山 1590
                         ▲ 八幡平   1578
    △ 鳥海山 2230       ▲ 栗駒山   1628
    △ 月山   1979       △ 船形山   1500
    △ 朝日山 1870       ▲ 蔵王     1841
    △ 飯豊山 2105       ▲ 吾妻山   2024
要因: 地史的差(梶 1982): 第4紀第4氷期終了後の気候と植生成立の関係
表. 第4氷期以降の気候変遷: 尾瀬ヶ原での花粉分析と14C年代測定から区分 *: 野尻湖

Nakamura      Tsukada      Nakamura    Nakamura   Yasuda
    1952        1967*          1967        1972     1978, 1980

L             15000 -10000 12000-9000
RI = 寒冷     10500 -10000             -8000      -8500BP
RII = 温暖     9500  -4500  9000-4000   8000      RIIa -6500BP
                                (3000)   境界変更 RIIb
RIIIa 減温暖┓ 4500  -1500  3000-1500
RIIIb       ┛ 1500BP-現在  1500-現在

氷期には現在より6-9°C温度低く、1000 m程度森林限界が現在より低かった
氷期以後、8500(7000)-4000BPに北半球全体で寒冷期を過ぎ非常に温暖な時代存在(北米 = hypsithermal stage、欧州 = Atlantic period、日本 = 温暖期と呼ぶ)
温暖期(RII)には200-400 mほど現在よりも分布限界が上昇していた
→ 温暖期に植生帯上昇幅がある植生帯の下限高度を超える大きさなら、上方に位置する植生帯下限が山の高さを超え、その分布帯は上方へ押し出される → 低温期の植生帯の移行に関して押し出された部分を欠いた植生帯配列。一方、十分な高さを持つ山岳では上部植生帯を欠かずに温暖期前の植生を確保できる

Pseudo-alpine

この空白を埋めるもの → 偽高山帯?
ハイマツ、オオシラビソ、シラベ、コメツガ、トウヒの分布

花粉分析: 東北地方 → 梶説否定

最終氷期針葉樹 = アカエゾマツ類、カラマツ類、チョウセンゴヨウ (鈴木・竹内1989)
BP3000以降 → オオシラビソ分布拡大 (守田1987) – これ以前に偽高山帯は存在

現在もっともありそうな説 (杉田1990)
Pseudo-alpine

山地帯 (montane zone)


≈ 落葉広葉樹林(夏緑樹林)
最低気温 -10°C 降霜期間6ヶ月(上部): Fagus crenata・ミズナラ・シラカンバ
最低気温-5°C 降霜期間4ヶ月(下部): クリ・ケヤキ・クヌギ・コナラ
先駆的に林を作る → アカマツ・カラマツ・シラカンバ等

本州中部 ≈ 標高700-1700 m

山麓帯 (lowland zone)


= 低地帯, 低山帯, 丘陵帯
≈ 常緑広葉樹林(照葉樹林)
日本南部: シイ・タブノキ・カシ・クスノキ / ツバキ

各山岳帯


富士山 (Mount Fuji)


地史的には新山 + ハイマツ(Pinus pumila)がない!
樹木限界に匍匐カラマツ

ハイマツ: 新生土壌に侵入遅い → 匍匐型カラマツが森林限界構成(説)
カラマツ層下: コメツガ、トウヒ等定着。カラマツは火山山地、新生裸地、氾濫原の先駆種 pioneer

垂直分布
3776 m
2400 m: 森林限界
_______亜高山帯
1600 m ↓ 山地帯
溶岩台地に植物が育ちはじめた痕跡

生命力のない台地に最初に宿る植物たち

溶岩に覆われて間もなくは、土壌が形成されていず、植物の姿を見ることができない。しかし、次第に地衣コケ類が侵入し溶岩の表面を風化させる。さらに生きものの遺体が加わり、土壌が形成されていく。この場所の足もとでは、溶岩上に地衣類やコケに覆われ始めた頃の様子を見ることができる。

写真: キゴケ / ハナゴケ / カリヤスモドキ, 花期は8-10月

溶岩流上に森が発達する過程での、このゾーンの段階:
初期溶岩台地 → 地衣・蘚苔類の侵入 → 草本群落の発達 → 極相林

2018年12月9日 山梨県富士山科学研究所にて

中部山岳(中央アルプス)


標高 (m)極相林途中相林草原夏期平均気温 (°C)
4000 -雪線- (気候的雪線) 0.5
2500-3000 ハイマツ カラマツ ウシノケグサ, コメススキ,
イワノガリヤス,
ナガハグサ, ササ
構造土
高山草原・ハイマツ群集
+12 (年平均0)
氷河周辺気候
1500-2500 シラビソ ダケカンバ -森林限界 (2500 m)-
針葉樹林
1000-1500 ブナ シラカンバ シバ, ススキ, トダシバ,
ネズミノオ, アズマネザサ
落葉広葉樹林 森林気候
500-1000 カシ アカマツ 常緑広葉樹林
0-500 シイ コナラ

図. 極相林・途中相及び草原の垂直分布帯(蘚苔類・地衣類帯を除く)

大雪山


2290 m -----
① ハイマツ帯: 森林限界を超えた高山帯

コマクサ, ハイマツ

1500 m -----
② 針葉樹林帯: 亜高山帯

ダケカンバ, エゾマツ, トドマツ, アカエゾマツ

800 m -----
③ 山地帯: 落葉広葉樹林帯か針広混交林帯 (mixed forest)

ミズナラ林, ミズナラ-トドマツ林等, 一部にトドマツ林とアカエゾマツ林 → 風穴 (wind cave)

図. 北海道大雪山における一般的な植生の垂直分布(模式)

[ 噴火履歴 ]

羊蹄山 Mount Yotei

Yotei

キナバル山 (Mount Kinabalu)


Kinabalu
図. キナバル山(北緯6°)森林垂直分布
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