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(2023年5月8日更新) [ 日本語 | English ]

山菜 (wild vegetable)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

  • 山菜
    道内分布 [ ウド | エゾエンゴサク | オオブキ(アキタブキ) | ゴボウ | オオアマドコロ | カタクリ | スベリヒユ | ヤブマメ | ベカンベ(ヒシ) | ギョウジャニンニク | スイバ・ヒメスイバ | タラノキ | ニリンソウ | ユキザサ | オオイタドリ | ニセアカシア | マタタビ | ヤマドリゼンマイ | ワラビ ]
  • 有毒植物
    道内分布 [ トリカブト | ルイヨウショウマ | ドクゼリ | クサノオウ | ドクニンジン | ドクウツギ | チョウセンアサガオ | キツネノテブクロ | ホウチャクソウ | ケシ | ヤマゴボウ | ウマノアシガタ | ハシリドコロ | イヌホオズキ | バイケイソウ | オオオナモミ ]
  • 薬草 (漢方)
  • 作物

[ 安全マニュアル ]

索引
有用植物 useful plant: 食用のほか建築・工芸・薬剤・園芸等に用いられ、人間生活に役立つ植物 (菌類を含めることがある)

香木 fragrant wood

心地よい芳香を持つ木材
三大香木
春「沈丁花 ジンチョウゲ」 Daphne odora
夏「梔子 クチナシ」 Gardenia jasminoides
秋「金木犀 キンモクセイ」 Osmanthus fragrance
四大香木
冬「蝋梅 ロウバイ」 Chimonanthus praecox を三大香木に加える

[ アイヌ語名 ]

山菜 食したことのあるもの


ウド Aralia cordata
タラノキと似たような場所に生える
栽培に成功したので、お店でも良く見るようになった
エゾエンゴサク Corydalis ambigua
若葉を茹でてインスタントラーメンに放り込む

基本的に、有毒植物でなければ、これでいける(はず)

同様にヨブスマソウ、エゾイラクサ、… 色々食べてみたが、まずいものはない
コゴミ/クサソテツ Matteuccia struthiopteris
ワラビ・ゼンマイと比べて癖がない。物足りないとも、何にでも合うとも言える
ゴボウ Arctium lappa
市販の牛蒡と全く同じ。北大構内に好きなだけ生える。根を掘るのは結構大変
オオアマドコロ Polygonatum odoratum var. maximowiczii
全草に甘味あり、この名。癖なくうまい。茹でてお浸しや、マヨネーズを付け食べるのもいい。大きくても食べられるが筋堅い
5-6月に葉の付根から白花を1-2個づつ付ける
→ ホウチャクソウ: 似てるが有毒 → 葉のツヤが違う点、ホウチャクソウは上部で枝分かれが多く根はヒゲ根だけだがオオアマドコロは枝分かれなく地下茎伸びている等で区別
オオイタドリ Polygonum sachalinense
タケノコのように出てきた芽は食用(高さ20 cm位で渋く食不適)
含シュウ酸 → 茹でて水に良く晒す
山歩きで、喉が乾くと茎を少量かじる程度なら、水分・酸味補給によい
至る所に生息
カタクリ Erythronium japonicum
デンプン (starch)
ギョウジャニンニク(アイヌネギ) Allium victorialis ssp. platyphyllum
北海道ポピュラー(販売されるが栽培聞かず企業的採取か) = 乱獲注意

栽培できるようになったらしい

発芽後6年間 = 1枚葉 → 7-8年 = 2枚葉 → 10年 ≈ 開花
茎赤身帯び、折ると滑りとニンニク臭[識別容易] = ネギ・ニラと同様の料理に使える + 生食も可 → 生で味噌をつけ食べるのは、酒の肴に良い → 口臭抜けない → 全員で食べるのが礼儀
スイバRumex acetosa・ヒメスイバ Rumex acetosella
タラノキ(タランボ) Aralia elata

芽は山菜の王様と言われる
芽を出すとすぐ採られ、また出た芽も採られてしまう哀れな木である → 頂芽は採らないのが礼儀。北大構内にも生えるが無残な姿は知っている人も多い
天婦羅が人気だが、料理に自信があれば色々試みれる

ニリンソウ(フクベラ) Anemone flaccida
無味無臭 → 熱を通せば、どうやっても食べられる。
トリカブトを誤食する事故が結構あるので注意
ベカンベ Trapa japonica
ヒシの実
マタタビ Actinidia polygama
黄熟した実を熱湯にくぐらせた後乾燥 → 中風、リューマチ
生果を塩漬け → 疲労回復、強壮
ヤブマメ Amphicarpaea bracteata ssp. edgeworthii var. japonica
マメを茹でて食べる。集めるには根性必要 - 煮込みや混ぜご飯
ユキザサ(アズキナ) Smilacina japonica
群生するが乱獲情報聞かない
嫌みなく甘味あり柔らかい。持ち味を生かした料理をして食べたい
ニセアカシア Robinia pseudoacacia
これは山菜なのか
花のテンプラ → トイレ消臭剤の匂いしか感じないので自分は好きではないが

毒 poison


Def. poison: 生物に負の影響を与える全ての化学物質
Def. 毒素 toxin: 生物由来の毒
Def. 類毒素(変性毒素) toxoid: 毒素を処理し毒性失わせ抗原性残したもの

必須微量元素

有毒物質 toxic materials

レスポンシブルケア responsible care
主要国化学工業団体合同活動 → 日本: 化学工業協会参加

化学物質開発から製造・使用・廃棄に至る全過程において安全性、健康影響、環境影響、及びこれらに対する対策等を行う活動

有害物質
≈ 有害金属 + 有害元素
Pb (鉛, lead)
軟質金属。水道管、ガス管、鉛蓄電池等に使用
発生源: 鉛精錬、化学工場、ガラス製品製造工場、自動車排出ガス、鉛蓄電池工場、メッキ工場 毒性: 急性より累積的毒性
大量摂取 = 急性中毒 → 腹痛、嘔吐、下痢等 + 激しい胃腸炎等による死亡例 Cr (クロム, chrome/chromium) ☛ 微量必須元素
空気・湿気に対し極めて安定した硬金属。日用品、装飾品等に広く使用
3価クロム Cr3+: 毒性問題にされない
6価クロム Cr6+

大量摂取 → 嘔吐、腹痛、尿量減少、痙攣、昏睡、尿毒症 → 死亡例
皮膚接触 → 皮膚炎、浮腫、潰瘍等
クロム酸ミスト・粉塵吸入 → 鼻に障害 → 進行: 鼻中隔穿孔
発癌性

As (ヒ素/砒素, arsenic): 窒素族元素 = 黄色・灰色・黒色3種(常温固体)
化学的性質はリンに似る
化合物強毒性 → 殺虫剤・薬剤 + 合金・半導体

三酸化ヒ素(亜砒酸): 強毒性 - 江戸時代「鼠取薬」(殺鼠剤)

1955 森永ヒ素ミルク事件: 被害者 > 13000人, 死者113人(厚生省発表分)
1920-1941, 1955-1962 土呂久砒素公害: 亜ヒ焼き - 亜砒酸製造
水質汚濁: 蓄積による慢性中毒

知覚障害、皮膚青銅色化、浮腫、皮膚角質化、腹痛、嘔吐、肝臓肥大、肝硬変、貧血
循環障害で死亡
発癌性

H2S (硫化水素, hydrosulfuric)
腐卵臭もつ無色有毒気体。石油精製工場等が主発生源 粘膜刺激、神経麻痺、頭痛、意識不明等
300-500 ppmでは1時間以内で死亡する危険

毒性判断

ダイオキシンの場合
毒性等価係数 toxic equivalency factor, TEF: 異性体中で最も毒性強い2,3,7,8-四塩化ジベンゾーパラージオキシン(2, 3, 7, 8-TCDD)毒性 = 1
→ 各異性体の毒性を比で表す
毒性等量 toxic equivalency quantity, TEQ: 国際的ダイオキシン類毒性評価に使用
2,3,7,8-TCDD = 1 → 他種類ダイオキシン毒性を換算
TEQ = 各物質濃度にこの毒性等価係数を乗じた値の総和

有毒植物 食したことのないもの (poisonous plant)


日本大有毒植物 (the major poisonous plants)
トリカブト類 (Aconitum spp.)
• ドクゼリ (Cicuta virosa)
ドクウツギ (Coriaria japonica)

Aconitum spp. トリカブト類
Cicuta virosa ドクゼリ
全草に多くのポリイン polyyne 化合物/ 果実に精油
猛毒成分はシクトキシン cicutoxin (学名)
痙攣毒で重荷中枢神経系に作用 → 強直性痙攣 + 呼吸困難等 → 死亡
Actaea asiatica ルイヨウショウマ
Chelidonium majus var. asiaticum クサノオウ
Conium maculatum ドクニンジン poison hemlock/spotted hemlock
葉・果実中にコニイン coniin 等 (学名) アルカロイド含む
強毒性 - 中枢神経や運動神経末梢を麻痺させ、呼吸困難起こし死に至る

ソクラテス → 仰ぎ獄死(真偽確認必要)

Coriaria japonica A. Gray ドクウツギ
有毒成分: コリアミルチン coriamyrtin (学名)、ツチン等
中毒症状: 悪心、嘔吐、全身硬直、口唇紫変等
葉小量で人間致死量 - 危険性高
Datura metel チョウセンアサガオ
花・種子・葉に有毒成分トロパンアルカロイド、ヒヨスチアミン、アトロピン等
副交感神経抑制作用、中枢神経興奮作用
アトロピン、スコポラミン抽出原料に利用
高さ1 m程
花期夏-秋
Digitalis purprea キツネノテブクロ
葉に強心配糖体、フレグナン配糖体等含む。強心作用あり毒性強
Disporum sessile ホウチャクソウ
若芽に有毒成分 (しかしだねー)
Papaver somniferum ケシ opium poppy
未熟果 = アルカロイド含む。鎮痛・麻酔薬
同一未熟果から3-4回採取できるが1回分泌量は0.4-0.7 g 成熟に従いアヘン分泌しなくなる
原産ヨーロッパ南東部。越年草で高さ50-170 cm
アヘンopium = 未熟果に切傷入れ乳液を竹べらで集める → 竹皮に広げ天日干か60度以下火力乾燥

習慣性強く中毒起こしやすい
麻薬指定 → 一般栽培不可(標本はどうするんだ)
→ アヘン剤 opitae: 鎮静剤・睡眠剤

Phytolacca esculenta ヤマゴボウ Indian poke
根と果実に有毒成分 - 食べると下痢等を起こした末、痙攣し死亡
Ranunculus japonicus ウマノアシガタ
Scopolia japonica ハシリドコロ
全草(特に地下部) - トロパンアルカロイド
Solanum nigrum イヌホオズキ
Veratrum album バイケイソウ
Xanthium occidentale オオオナモミ
リノール酸 linoleic acid、カルボキシアトラクテロシド carboxyatractyloside

[本草学史]

漢方 (kampo, oriental medicine, 個人的に知っておきたいもの)


漢方(医学) traditional Chinese medicine, TCM
= 中国医学 + 東洋医学(漢方医学) + 韓医学 (区分は処方と合わない)

漢方医 Chinese (medicine) doctor ≈ herb doctor

処方: 漢方医学(薬物療法) + 鍼灸医学(物理療法)

漢方薬 oriental herb
媚薬 aphrodisiac, love magic, lovejuice, philter, philtrum

薬草学 (herbal medicine)

薬用植物 medicinal plant: s.l. 薬用に用いる植物 (生・加工・抽出を問わない)

s.s. 日本薬局方に収載されている植物(菌類含む)
≈ 薬草 medical herb: 草本のみという誤解を受けることがある
薬草医 herb doctor: 薬草を扱う医者

自然薬草 natural herb
芳香性薬草 aromatic herb
薬草調合物 herbal concoction
薬草調合剤 herbal preparation
薬草エキス herb extract
身近な野菜で胃腸薬となる食材
  • 消化促進: 納豆・山芋・大根(ジアスターゼ)・パパイア(パパイン)・イチジク(プロテアーゼ)
  • 胃酸抑制アルカリ性食品: 牡蛎・ワカメ・昆布・カルシウム
  • ストレス性胃酸過多に精神安定効果・胃酸抑制作用: ハス実・ユリ根・ナツメ・カルシウム
  • 胃酸分泌促進: ニンニク・生姜・シソ・ラッキョウ・ビール酵母・香辛料
  • 炎症・潰瘍抑え、免疫高め炎症予防: モロヘイヤ(ビタミン、ミネラル豊富)
  • 消化作用、胃粘膜分泌亢進、潰瘍防止: キャベツ(ビタミンU)
  • 胃炎・潰瘍症状緩和: プロポリス
  • 咳止・痰止・利尿: ヘチマ水
  • 胃酸分泌亢進、胃粘膜保護作用: アロエ
  • 胃粘膜保護作用: ホウレンソウ(カロチン、ビタミンC豊富)・ハトムギ・人肌位に温めた牛乳
  • 胃炎症鎮め、細胞賦活し、正常状態に戻す: 朝鮮人参
  • 食中毒予防、胃酸分泌促進: 梅干
耳鳴り (tinnitus)
聴力検査 audiometry
発症原因多様: 中耳炎や神経症を併発 - さらに完治困難
血管性: 耳に拍動伝わる ≈ 高血圧・高血圧神経症 - 漢方薬でかなり抑制

柴胡加竜骨牡蠣湯、黄連解毒湯、加味逍遙散、桂枝加竜骨牡蠣湯 - 竜骨・牡蠣が入ったもの

中耳筋肉痙攣

芍薬甘草湯

更年期: 更年期神経症、更年期障害 → 全身的 - 漢方薬でかなり抑えられる

加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蠣湯

耳鳴り + 肩凝り

葛根湯、桂枝加葛根湯、桂枝茯芩丸

老人性 (腎虚) - 完治困難

八味地黄丸、牛車腎気丸、六味丸、(+ 桂枝茯芩丸、当帰芍薬散、香蘇散)

難聴: さらに治癒困難

釣藤散

植物以外の漢方薬
まむし酒
ミネラルオーター
発酵乳

農学 (agricultural science)


(s.l.) 応用科学: 第一次産業向上(= 農業 + 林業 + 水産業 + 畜産業)

+ 生産に関連した社会科学、環境科学

農学史 (history of agriscience)

日本 (Japan)
≈ 10c. 中国 → 遣唐使 Ex. ナス、ネギ、カラシナ、エンドウ、ゴマ、キュウリ
≈ 160c.後半 西洋 → 南蛮船 Ex. タバコ、サツマイモ、カボチャ、スイカ
1832 佐藤信淵 「草本六部耕種法」

利用部位から作物区分: 根(直根、円根、横張、攅簇)、幹、皮、葉、花、実

明治維新: 西洋近代的農業技術・知識導入 - 農業生産拡大目指す

富国強兵 + 殖産興業 ⇒ 生糸・茶等主要輸出品勧農政策
西欧風食生活推奨 = 洋菜推奨
1859 神奈川条約: 在留外人向洋菜栽培
1863 清水辰五郎: カーチス(英)の洋菜栽培補助 - 洋菜栽培先駆者

Ex. カリフラワー、キャベツ、アスパラガス

1865 吉田愛五郎: 神奈川奉行指定菜園作り外人に貸与

Ex. キャベツ、ジャガイモ、トマト、イチゴ、サヤエンドウ、ビート

1869 民部官開墾局設置 → 廃止 →
1870 民部省勧農局: 開墾、種芸、養蚕、編集、雑務の5課 - 1871廃止 →
1871 大蔵省勧業司 → 勧業寮 → 勧農寮

1872 内藤新宿試験場(現 新宿御苑): 牧畜園芸改良目的に設置
1872 青山官園設置 - 北海道への作物導入中継所 (1876 農業試験場改称)

米国系西洋野菜・果樹導入

1874 農業博物館

食料生産形態

食料生産 = 農耕と家畜飼育の発明によって開始(s.s.)

生計活動

狩猟・採集・漁労: 自然界生物直接獲得 = 対象動植物増殖調整不可
農耕・家畜飼育: 動植物成育調整 = 食料生産 → 「第一革命」(Child 1936)
狩猟採集民
太古の人類至福時代: 狩猟採取のみで十分食料確保 → 農耕不要?
農耕の起源 origin of agriculture
1950年代: 世界に複数の農耕起源地存在明らかとなる

貯蔵性: 水分含有量に規定される貯蔵性・輸送性の違いが人間の適応にとって重要で、貯蔵性が高いムギ類、イネ、トウモロコシは余剰生産をあげやすく古代文明成立の基盤となる

1万年以上前 マレー半島: 根栽農耕文化

主作物 = 根茎類、バナナ。家畜動物 = 主にブタ

1万年以上前 中国長江流域: イネの栽培化の起源地か

水田耕作跡

9000年前 古代オリエント: 麦類を主作物とする地中海農耕文化

家畜: 搾乳・耕作運搬利用 → 両者可 = ウシ類、搾乳可 = ヤギ・ヒツジ類
地中海農耕文化圏で家畜化 → 伝播したヨーロッパで文明進展に貢献

9000年前 ニジェール川流域: サバンナ農耕文化

ミレット millet (s.l.)と総称される小穀類が主作物

+ 旧大陸 = 3系統 (中尾 1966): ステップ-森林ステップ → 灌漑水豊富
根栽農耕文化: 東南アジア熱帯林 Ex. ヤムイモ、タロイモ、バナナ

無種子農業(栄養繁殖による増殖)、倍数体利用、マメ・油糧欠く
農具 = 掘り棒 → 焼畑農業に発展、後にハトムギ利用
照葉樹林文化

サバンナ農耕文化 Ex. 穀類、マメ、果菜、油糧

家畜を欠く

地中海農耕文化 Ex. 一年生冬作物(コムギ、オオムギ)

家畜豊富(ヤギ、ヒツジ) → 酪農発達

+ 新大陸農耕文化圏

トウモロコシ(ユカタン半島)
ジャガイモ(アンデス山地)
キャッサバ(アマゾン流域)
+ リャマ・アルパカが主たる家畜動物

作物起源 origin of crops
Vavilov NI (1887-1943, Russia)
1920 平行変異説
1940 遺伝子中心説: 作物変種最多(遺伝的変異)地域 = 起源となる中心地

1次的遺伝子中心(原産地域) → 2次的遺伝子中心(品種改良地域)

(食料)自給率 food self-sufficiency

自国食料供給に対する国内生産割合
品目別自給率: 重量で計算できる

= 国内生産量/国内消費仕向量*

* = 国内生産量 + 輸入量 - 輸出量 - 在庫増加量(+ 減少)

Ex. R3小麦: 109.7万t/642.1万t × 100 ≈ 17%

総合食料自給率: 食料全体で統一された基準単位必要
カロリーベース総合食料自給率: 各品目をエネルギーに換算

= 国内生産熱量/総供給熱量

生産額ベース総合食料自給率

= 国内生産額/総食料供給生産額

食料国産率: 畜産業 = 輸入飼料多用 → 飼料自給率無視(政府の都合)

カロリーベース食料国産率 R3 47%
生産額ベース食料国産率 R3 69%

飼料自給率

= 純国内産飼料生産量/飼料需要量 R3 25%

[ 肥料 | 食性 ]

作物 (crop)


Def. 食物 food plant: 食べられる物 (≈ 食品、食料) ⊂ 作物
Def. 作物 crop plant, s.l.: 農業利用に繁殖成育を管理する植物

Ex. ソバ: 畑 - 作物 ↔ 逸出 - 作物ではない(雑草)
分類: 用途・栽培法等による ≠ 植物分類学

Def. 進化 evolution: 作物の進化 - 馴化
Def. 馴化 domestication ≈ 栽培化・家畜化 (≠ 馴化 acclimation)

進化の一つとみなす人もいる (ま、誤解だろう)
品種: 栽培方式、利用、生態分類特性異なる

品種群: 類似品種をまとめたもの

農作物 agricultural crop

食用作物 food crop: 主に食用となる作物 → 圃場(耕種)作物(≈ 作物, s.s.)
工芸作物 industrial crop: 工芸・工業原料

糊料作物: 貯蔵デンプン等を利用 Ex. サツマイモ、コンニャク
糖料作物 sugar crop: Ex. サトウキビ、テンサイ
油蝋料作物: Ex. ダイズ、ラッカセイ、ベニバナ、アブラヤシ
芳香油料作物: Ex. バニラ、ラベンダー、ジャスミン
香辛料作物 spice crop: Ex. コショウ、シナモン、ワサビ
嗜好料作物: Ex. チャ、コーヒー、タバコ
繊維料作物: Ex. ワタ、アサ、イグサ、コウゾ
樹脂料作物: Ex. パラゴム、パナマゴム、ウルシ
タンニン料作物: Ex. ワトル、カキなど
染料作物 dye crop: Ex. アイ、ベニバナ
薬料作物: Ex. チョウセンニンジン、オウレン、ホップ

飼料作物 forage crop: 家畜家禽餌 Ex. トウモロコシ、牧草
緑肥作物 green manure crop: Ex. マメ科

園芸作物 horticultural crop

= 花卉 + 野菜 + 果樹
花卉(観賞作物) ornamental Ex. キク・シダ類 (観葉作物) - 品種多
野菜 vegetable

果菜類 fruit vegetable: キュウリ、ナス、ソラマメ
花菜類 flower vegetable: カリフラワー、アーティチョーク
茎菜類 stalk vegetable: アスパラガス、ウド、コールラビー
葉菜類 leaf vegetable: キャベツ、コマツナ、ホウレンソウ
根菜類 root vegetable: ダイコン、ニンジン、ハス

果樹 fruit tree (主に木本): リンゴ、ミカン、ブドウ + ナッツ(クリ, アーモンド)

[ pH ]

表. 作物に適した土壌pH
5.0-5.5 果樹: Vaccinium uliginosum, Ananas comosus, Castanea crenata

他: 茶

5.5-6.0 野菜: 生姜、大蒜、馬鈴薯、ラッキョウ、甘藷

果樹: 梨、林檎
牧草: Dactylis glomerataFestuca arundinacea、ネズミムギ
他: 蕎麦
花卉: アザレア

5.5-6.5 野菜: 莓、牛蒡、玉葱、小松菜、Daucus carota、サラダ菜、大根、

小蕪、蕗、蓮根

他:Oryza sativa, Trifolium pratense、エン麦、稗

6.0-6.5 野菜:アスパラガス、パセリ、小豆、春菊、インゲン、西瓜、カリフラワ、

独活、枝豆、スイートコーン、ピーマン、セロリ、空豆、オクラ、
ブロッコリ、南瓜、ミツバ、茗荷、メロン、トマト、胡瓜、茄子、韮、
葱、蒟蒻、白菜、落花生、里芋、レタス、唐辛子

花卉: シクラメン、ゼラニウム、薔薇、フリージア、ポインセチア、百合
果樹: 葡萄、桜桃、桃
他:大麦、鳩麦、ライ麦、大豆、煙草、玉蜀黍、小麦、桑、干瓢

6.5-7.0 野菜: エンドウ・ホウレンソウ

他:Medicago sativa, サトウキビ、テンサイ

作付(栽培)面積 planted area (s.l.)

作付面積 planted area (of crops), (planted) acreage (s.s.)
栽培面積 growing area (s.s.)
作付延べ面積 aggregate planted area of crop
用途区分別作付面積 planted area classified by utilization
不作付面積 unplanted area
夏期全期不作付面積 unplanted area during all summer season

虫害・病害

対策: 品種改良・植物防疫・栽培方法改良(Ex. 天敵導入)

Ex. イネジャガイモ

栽培 (culture/cultivation)


栽培植物 cultivated plant: ヒトが育てる植物 Ex. 耕作、植付、除草、防除

野生型 → 栽培型
栽培型の特徴

非脱落(脱粒)性 (オオムギ: 1遺伝子が関与)
非休眠種子
ヒマワリ効果: 作物利用部分の巨大化・集中化
密集型葉群 - 光合成効率

馴化植物 comesticated plant: 栽培過程で遺伝的に変化した植物

連作障害 replant failure

Def. 同一作物を繰り返し同じ畑に作付けすること
連作障害: 連作により作物生育低下、病害虫発生等が起こり、作物収量、品質が低下すること

起こり易い植物: ナス、トマト、スイカ、エンドウ
軽微な植物: イネ、ダイズ、ホウレンソウ、ネギ

原因
土壌中特定栄養分のみが多量消費 → 土壌栄養欠乏
微生物相が連作植物特有のものに変化 → 有害生物の場合に連作障害
土壌単粒化 → 排水性低下
有害物質蓄積 → 連作植物、土壌生物から供給される

Ex. ナス科植物 – アルカロイド蓄積
連作障害除くため化学肥料施肥を増やすのは一時的に収量増す効果はあるが、長期的には土壌悪化進め地力低下を著しいものにする → 輪作へ変更、一定期間湛水

輪作

Def. 同じ土地に、異なる作物を一定順序で循環して栽培する方法
ヨーロッパにおける輪作形態
二圃式: 休閑 → 秋まきコムギ → …
三圃式: 春まきオオムギ → 一部休閑・一部作付* → 秋まきコムギ → …

*: クローバ、ジャガイモ、マメ等

ノーフォーク式: 春撒オオムギ → マメ* → 秋撒コムギ → カブ →…

* 根粒菌: 窒素増加 + カブ: 根茎発達させ、作土を深くする → 高生産性
英国ノーフォーク州で生まれる: 年4作物収穫 - 家畜飼料収量高い

収量↑ ⇒ より植物に土壌栄養移動 → 積極的に堆厩肥、稲藁、刈草等必要
促成栽培 forcing culture
収穫(出荷)時期をずらす栽培方法
促成栽培: 通常の収穫・出荷時期より早く収穫・出荷 Ex. 温室栽培

促成栽培
半促成栽培
早熟栽培

抑制栽培 Ex. 高地栽培

種子発芽 (seed germination)

後熟
2-3カ月: ホウレンソウ、シュンギク、レタス、ニンジン
1-3カ月: ダイコン
> 3月:__ゴボウ
種子保存
種子寿命は種類・貯蔵条件で異なるが、3-4年までに使用するべき

1年以内: ネギ、タマネギ、ニラ、ミツバ、ラッカセイ

播種用種子の保存方法

1. 乾燥剤(シリカゲル、生石灰等)を通気性のある袋に入れる
2. 種子を紙袋(茶封筒等)に入れ乾燥剤を入れた袋の上に置く
3. 密封缶(茶筒、海苔缶、密封タッパ等)に種子・乾燥剤を入れる

必要があれば缶と蓋の隙間をテープで密封する

4. 低温(冷蔵庫の野菜室等)で使用まで保管

ジーンバンク Genebank
1985 農研機構: (作物)ジーンバンク事業開始

種子保存条件: -1°C, 湿度30%
保存開始時発芽率 ≥ 85% → 5年毎発芽実験 - 60-85%発芽率期間

各論 (particular)


日本原産作物

タデ(類) Polygonum spp.
ツクシ Equisetum arvense
ツルナ Tetragonia tetragonoides
ハマボウフウ Glehnia littoralis
フキ Petasites japonicus
マツナ Suaeda glauca
ミズナ Brassica rapa
ミョウガ Zingiber mioga
ワサビ Eutrema japonicum
ワラビ Pteridium aquilinum

アサツキ Allium schoenoprasum
ウド Aralia cordata
オカヒジキ Salsola komarovii
食用ユリ
    オニユリ Lilium lancifolium
    コオニユリ Lilium leichtlinii
    ヤマユリ Lilium auratum
サンショウ Zanthoxylum piperitum
ジュンサイ Brasenia schreberi
セリ Oenanthe javanica
多くは遺伝的分化に乏しい

(現在も)山菜として利用多 → 改良試みられない → 品種少


ソラマメ Vicia faba L.
ダリア Dahlia spp.: (古)食用・薬草
ハブ茶: 波布草種子を炒って茶の代わりに飲む – 健胃、解毒 detoxifying

エビスグサ Senna obtusifolia (L.) H. S. Irwin et Barneby (マメ科センナ属)
本来「ハブ茶」は同属ハブソウ種子 → 現在は全てエビスグサ

ハトムギ(四国地方): 炒って煎じ飲む – 利尿、健胃

Coix lacryma-jobi var. ma-yuen

クコ Lycium chinense Mill

果実 = 強壮剤、クコ酒
葉 = クコ飯、御浸し、クコ茶(乾燥)

アロエベラ Aloe barbadensis Miller (aloe, vera): 葉分泌液煎じる → 黒褐色・ガラス光沢ある塊化 – 健胃、緩下痢

葉薄皮を剥ぎ液をこすりつける – 虫刺され
[挿芽で増やす]

キャラウェー(ヒメウイキョウ) Carum carvi L., caraway: 1-2年草。欧州原産

果実 = 香辛料。根は人参に似て野菜とする。果実はカルム実と呼び、スパイスとしビスケット、ケーキ、料理等に利用。料理では特にザワー・クラフトやキャラウェーチーズの香料に使う
ウイキョウ Foeniculum vulgare: 代用品として健胃、駆風薬等に用いる

穀物
イネ (稲, rice) Oryza sativa L.
ムギ (麦)
コムギ (小麦, wheat)
オオムギ (大麦, barley) Hordeum vulgare L. (ハダカムギ var. nudum)
エンバク (燕麦, oat) Avena sativa L.
ライムギ (黒麦, rye) Secale cereale L.
ライコムギ (triticale)
香草
ウマゼリ(馬芹) cumin, セリ科: 種子 - 独特の強芳香と若干の辛味苦味
香味がカレー粉やチリパウダー(唐芥子原料に数種スパイス配合メキシコ風スパイス)の主成分
カレー粉、チリパウダー原料に不可欠 + チャツネ原料 + 世界各地料理
クミン特有香味 = クミンアルデヒド → 他芳香成分と混合時は食品的芳香を現す。単一では特異な香り

古代エジプト薬用植物一覧表にある - ミイラ保存用防腐剤 = クミン、アニス、マジョラム、シナモン

牧畜 (作物ではないが)

牧草 hay
種類: パリパリした乾草 crisp hay Ex. チモシー, 塩生草類の乾草 salt hay
藁 straw
乾草の梱(梱包) bundle of hay (束, 俗)
乾草の列 windrow
乾草をかき集める rake the hay
乾草を作る人 haymaker
乾草切り hay knife
乾草調製機 haymaker
乾草箱 haybox
サイロ silo
農産物、特に家畜飼料の倉庫 → 乾草ロール考案されほぼ不要
飼料作物に付着する乳酸菌作用 → 飼料が嫌気的条件下で発酵 → pH下げカビ等による腐敗防ぎ長期間保存可能

酸欠となるため窒息に注意

サイレージ silage: サイロで保存された飼料作物
1. 施設型: こちらのみを指すことも多い

塔型サイロ (Ex. タワーサイロ):
水平型サイロ (Ex. バンカーサイロ)
(半)地下型サイロ (Ex. 地下角型サイロ)

2. 可搬型

ラップサイロ (Ex. ロールベール)
バッグサイロ (Ex. トランスバッグ)
チューブサイロ
スタックサイロ

寒冷紗 cheesecloth, super
荒く平織で織り込まれた薄布: 播種後の乾燥防止や温度調整 + 直射緩和

掛けたまま散水できる

: 遮光率50%、遮光・遮熱効果高 → 夏季に作物乾燥防止
: 遮光率20-30%、保温・凍霜害防止
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