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ある地域の生物種が他地域生物群集に侵入 → 生態的同位種間で種間競争 → 一方の種が絶滅しやすい 地球上のあらゆる地域で帰化生物が在来近縁種の希少化を引き起こしている Ex. オーストラリア: ヨーロッパ人による真獣類もち込み → 多くの有袋類が絶滅の危機 生態系の平衡を乱すもの安定した生態系 = 動的平衡 dynamic equivalent
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[ 生物学的侵入 biological invasion | 侵略的外来種(特定外来種) ] |
外来種≈ 帰化種
国外外来種 侵略的外来種≈ 生物学的侵入種「特定外来生種(または生物)」という言葉を、invasive alien speciesと対応させている本が多いようだが明らかに日本語と英語は対応していない。同様に、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)は、Invasive Alien Species Actと訳されている。しかし、環境省発行のパンフレット「侵略的外来種 生物多様性への脅威」では、invasive alien speciesは侵略的外来種と訳されている。 |
自然共生系ゼミで紹介されたものでは特定外来生物となっていたり。それでも良いのかも知れないけれど、なんだかね。
特定外来生物 (植物)外来生物法: 12種類指定
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2004年作成 - 2010年改訂4つの視点
(2010年版) 植物A1: 緊急に防除対策必要 - 該当種なしA2: 本道の生態系等へ大きな影響 - 防除対策の必要性検討 植物: 原植生が比較的明確で学術的価値高く、保護を優先すべき地域内(原生自然環境保全地域、国立国定公園特別保護地区等)ではA2種もA1とみなす オランダガラシ (Nasturtium officinale) ハリエンジュ (Robinia pseudoacacia) アカツメクサ (Trifolium pratense) シロツメクサ (Trifolium repens) イワミツバ (Aegopodium podagraria) ヘラオオバコ (Plantago lanceolata) ブタクサ (Ambrosia artemisiifolia) アメリカオニアザミ (Cirsium vulgare) ブタナ (Hypochaeris radicata) フランスギク (Leucanthemum vulgare) コウリンタンポポ (Hieracium aurantiacum) キバナコウリンタンポポ (Hieracium pratense) オオハンゴンソウ (Rudbeckia laciniata) セイタカアワダチソウ (Solidago canadensis ssp. altissima) オオアワダチソウ (Solidago gigantea) セイヨウタンポポ (Taraxacum officinale) キショウブ (Iris pseudacorus) A3: 本道定着 - 生態系等への影響報告または懸念 ギンドロ (Populus alba) アサ (Cannabis sativa) ハイミチヤナギ (Polygonum arenastrum) ヒメスイバ (Rumex acetosella) ナガバギシギシ (Rumex crispus) エゾノギシギシ (Rumex obtusifolius) マツヨイセンノウ (Lychnis alba) ムシトリナデシコ (Silene armeria) ノハラツメクサ (Spergula arvensis var. arvensis) カラフトホソバハコベ (Stellaria graminea) コハコベ (Stellaria media) ゴウシュウアリタソウ (Chenopodium pumilio) アオゲイトウ (Amaranthus retroflexus) |
フサジュンサイ/ハゴロモモ (Cabomba caroliniana) セイヨウワサビ (Armoracia rusticana) ハルザキヤマガラシ (Barbarea vulgaris) オニハマダイコン (Cakile edentula) カラクサナズナ/カラクサニガナ/カラクサガラシ/インチンナズナ (Coronopus didymus) キレハイヌガラシ (Rorippa sylvestris) ニンニクガラシ (Alliaria petiolata), garlic mustard エゾノミツモトソウ (Potentilla norvegica) セイヨウヤブイチゴ (Rubus armeniacus) イシカリキイチゴ (Rubus exsul) クロミキイチゴ (Rubus allegheniensis), black raspberry イタチハギ (Amorpha fruticosa) エニシダ (Cytisus scoparius) セイヨウミヤコグサ (Lotus corniculatus var. corniculatus) ノボリフジ (Lupinus polyphyllus) コメツブウマゴヤシ (Medicago lupulina) ムラサキウマゴヤシ (Medicago sativa) シロバナシナガワハギ (Melilotus officinalis ssp. albus) シナガワハギ (Melilotus officinalis ssp. suaveolens) シャグマハギ (Trifolium arvense) タチオランダゲンゲ (Trifolium hybridum) ムラサキカタバミ (Oxalis corymbosa) シンジュ (Ailanthus altissima) ロイルツリフネソウ/オニツリフネソウ/ダキバツリフネソウ (Impatiens glandulifera) キリアサ (Abutilon theophrasti) ジャコウアオイ (Malva moschata) アレチウリ (Sicyos angulatus) メマツヨイグサ (Oenothera biennis) オオマツヨイグサ (Oenothera glazioviana) オオフサモ/ヌマフサモ (Myriophyllum aquaticum) イヌニンジン (Aethusa cynapium) ドクニンジン (Conium maculatum) ノラニンジン (Daucus carota) トゲナシムグラ/カスミムグラ (Galium mollugo) セイヨウヒルガオ/ヒメヒルガオ (Convolvulus arvensis) アメリカネナシカズラ/コバノアメリカネナシカズラ (Cuscuta campestris) ワスレナグサ (Myosotis scorpioides) ノハラムラサキ (Myosotis arvensis) ヒレハリソウ (Symphytum officinale) チシマオドリコソウ/イタチジソ (Galeopsis bifida) ヒメオドリコソウ (Lamium purpureum) チョウセンアサガオ/マンダラゲ (Datura metel) ヨウシュチョウセンアサガオ (Datura stramonium) シロバナチョウセンアサガオ (- f. stramonium) |
ワルナスビ (Solanum carolinense) イヌホオズキ (Solanum nigrum) キツネノテブクロ (Digitalis purpurea) ホソバウンラン (Linaria vulgaris) ビロードモウズイカ (Verbascum thapsus) セイヨウノコギリソウ (Achillea millefolium) オオブタクサ (Ambrosia trifida) カミツレモドキ/シロカミツレ (Anthemis cotula) ゴボウ (Arctium lappa) ネバリノギク (Aster novae-angliae) ユウゼンギク (Aster novi-belgii) アメリカセンダングサ (Bidens frondosa) セイヨウトゲアザミ (Cirsium arvense) ヒメムカシヨモギ (Erigeron canadensis) オオアレチノギク (Erigeron sumatrensis) オオキンケイギク (Coreopsis lanceolata) ヤネタビラコ (Crepis tectorum) ヒメジョオン (Erigeron annuus) ハルジオン (Erigeron philadelphicus) キクイモ (Helianthus tuberosus) ノボロギク (Senecio vulgaris) アカミタンポポ/キレハアカミタンポポ (Taraxacum laevigatum) イヌカミツレ (Tripleurospermum maritimum ssp. inodorum) オオオナモミ (Xanthium occidentale) コカナダモ (Elodea nuttallii) コヌカグサ (Agrostis gigantea) ハルガヤ (Anthoxanthum odoratum) コスズメノチャヒキ (Bromus inermis) カモガヤ (Dactylis glomerata) シバムギ (Elytrigia repens) シナダレスズメガヤ (Eragrostis curvula) オニウシノケグサ (Festuca arundinacea) ヒロハノウシノケグサ (Festuca pratensis) ネズミムギ (Lolium multiflorum) ホソムギ (Lolium perenne) ドクムギ (Lolium temulentum) クサヨシ (Phalaris arundinacea) オオアワガエリ (Phleum pratense) ナガハグサ (Poa pratensis, s.l.) オオスズメノカタビラ (Poa trivialis) ホテイアオイ (Eichhornia crassipes) 国内外来種 (A3) イタドリ (Polygonum cuspidatum) ドクダミ (Houttuynia cordata) マルバハギ (Lespedeza cyrtobotrya) ノダフジ (Wisteria floribunda) ヨモギ (Artemisia indica var. maximowiczii) ヒメヨモギ (Artemisia feddei) ヤブヨモギ (Artemisia rubripes) スギ (Cryptomeria japonica) |
人によって移動し、野生の状態で見出せる種 (s.l.) 完全に日本に定着し密度も高く広がり得る範囲内に広がり尽くした種 (s.s.) Ex. Erigeron canadensis, アレチノギク, オオアレチノギク, Oxalis corymbosa, Briza minor 一時帰化 → 人為環境帰化 → 自然環境帰化帰化植物であるための3条件
反論(牧野)国境は人が決めたもので時間と共に変化 → 植物に無関係。北海道の植物が人力で本州に広がった場合、本質的には帰化植物となる(在来帰化植物)日本は島国であるため帰化植物という言葉が使用しやすい 在来帰化区分は島国では容易だが、アメリカ大陸等では明瞭には決められない。ヨーロッパ・アジア原産植物は帰化植物といえるが、東海岸から西海岸への移入などは帰化といえるかは意見が別れる 在来種 (地方種): 輸入種、帰化種に対応する語。日本各地に従来から生育している植物で、特に育種的操作を受けない自然のままに生育する種をいう |
同種が元々いる地域への人為的移入遺伝的汚染: 従来出会うことのなかった近縁種同士が、人為的輸送により出会い交雑し次世代が生じること → 在来種の遺伝的純系失われる → 遺伝子レベルでの種の絶滅を招く現象 Ex. タイリクバラタナゴ(中国輸入) × ニッポンバラタナゴ(日本固有) → 野外交雑 → 雑種化進行 ニッポンバラタナゴは絶滅危機 Ex. バラスト水: 貨物船等が空荷で航行時、船体安定のためタンクに積み込む海水
寄港先で荷物を積む際に捨てる → 水に入っていた生物が本来の生息地ではない環境中に広がる 移入4カテゴリー
自然個体群から一部個体を保護増殖させ、再び戻す場合も同じ留意点を適用する。感染性病原菌等も生物だから、野外で移動され、新たな増殖機会を得れば制御困難になる。生物移入・移動を行うのは、少数個体であっても大きな影響を及ぼすことを前提とし、実施者は責任をわきまえる = モニタリング必要: 移入を行う者は、移入地の個体群の状況や環境の状況、個体を移動する理由、移入個体の状態のスクリーニングなどをクリアし、さらに遺伝的構成にも配慮するよう進めるべき帰化率= 帰化種種数/全種数 × 100
都市化の指標として使われたこともある |
時代区分
江戸 (ca 27) < 明治 (70) < 大正 (90) < 昭和前半 (140) < 1950 (294) < 1957 (392) < 1967 (430) < 1970 (800) |
一次帰化と二次帰化一次/二次帰化: 一次帰化植物 → 人為環境帰化植物 → 自然環境帰化植物帰化センター: 無意識的に移入させた植物が最初に根をおろす場所 港、飛行場、税関(植物防疫場, plant protection station)、農事・園芸試験場、植物園、薬用植物試験場等。諸外国と直接間接に交渉ある場所 化生(一時仮着)帰化植物: 長く生育分布できず消滅する種。外来植物の大部分。渡来は時と場所を変え繰り返されるうちに定着機会がくることもある生え出した外来植物が定着するための条件植物自体の持つ遺伝的形質 - 日本の風土・気候に耐えうるかどうか受入体制の問題 - 定着し広がっていく場所があるかどうか "ひ弱い植物": その風土に適応した在来植物がスクラムを組み占有する場所へ外来種が入り込むことは困難 → 赤裸の埋立て地に生え出した外来植物は外には広がれず逆に在来のものが進入して外来のものを圧倒した 帰化植物増加の原因
帰化植物の広がり方帰化植物分布図と在来種の分布図の違い
在来種分布図: 産地に応じ黒点を印す。年代は問わない
オナモミ → オオオナモミ
ミミナグサ → オランダミミナグサ 親個体近くは栄養繁殖 vs 遠くでは種子繁殖 |
Def.s.l. 人には邪魔な植物(s.s.,) → 草本のみ + 木本植物(≈ 有害植物, s.l.)
コスモポリタン(広分布植物) cosmopsolitanが多い 表. 日本の雑草種数 (沼田 1975) 畑地雑草 水田雑草 (共通種) 日本 53科302種 43科191種 18科76種 北海道 182種 115種 野草 → 人里植物 → 雑草 → 二次作物 ↓ ↑ 作物 → 雑草 |
Def.コスモポリタン(広布植物): 世界各地に定着する植物 - 雑草に多
人里植物人の影響を受けた生息地に見られる野草ではあるが雑草ではない植物 |
駆除 + 予防特に生物防除に関するEpoch
生物制御 biological controlA. 天敵利用天敵利用: ネズミ・ウサギ等の有害獣 = ネコ・イタチ・キツネ等肉食獣。ヘビ・タカ・フクロウ等肉食鳥。野鼠チブス菌等微生物。ハブ・コブラ等毒蛇: マングース。昆虫・ハダニ等害虫。ムクドリ・スズメ等の雑食or食虫性鳥。テントウムシ・クモ類等捕食虫。コバチ・ヤドリバエ・寄生性線虫等寄生虫。病原微生物。軟体動物(カタツムリ・ナメクジ): マイマイカブリ・ヤドリバエ等の天敵。線虫: 捕食性線虫・寄生菌 外来天敵: 外来天敵移入放飼効果は大きいことが多い。しかし、天敵の移入放飼が効果を上げるほとんど全ての場合、外来害虫に対する外来天敵の放飼ではないかという指摘もある(伊藤 1972) 生物農薬(天敵散布): 天敵を予め人工的に大量に飼育し、一度に大量の天敵を放飼して直ちに効果を上げることを狙う。微生物天敵では、大量培養技術も確立し今後の発展が期待される |
B. 病害虫抵抗性品種及び回避栽培法作物病害中抵抗性、栽培管理(密度・肥培管理等)、作物調整 C. 誘因法・忌避法害虫の走性・向性を利用 → 光, 誘因物質・忌避物質, フェロモン → 自然誘因源との競合、誘因・忌避物質の不完全性等 → これらの方法は予測ほどの効果をあげ難い 害虫の走性・向性を利用 D. 不妊化法・遺伝的防除法不妊化雄を多量に目的とする生態系に導入し、目的とする害虫を撲滅させる。不妊法と良く似るが繁殖あるいは生存上不利な遺伝子を自然状態に混入させその個体群の勢力を弱めるのが遺伝的防除法 E. 生物操作 biomanipulationトップダウン制御ボトムアップ制御(栄養塩制御) 環境整備 F. その他光周期を変え生物の生活を乱す。無害-微害な競合種の導入(Gauzeの法則) (大串 1974) 総合防除農害もある密度以下のなら損害ないか防除が引き合わぬものとして許容する
= 被害を損害と考えるかどうかで変わる → 経済的被害水準: 収量・品質 |
[農薬循環]
農薬は身近でも使われる Ex. シロアリ防除・家庭菜園・ゴキブリ駆除・殺虫スプレー・蚊取マット・木材防腐処理・冷却塔等巡回水処理・街路樹・線路道路保全・公園除草・ゴルフ場 農薬史5000年前 農業文化発展
神農(架空): 鋤・鍬考案 + 百草舐め食物・毒草・薬草分類 → 中国で農業の神様とし祭る 2300年前 日本水稲栽培開始: 害虫・害獣認識
Ex. 猪・鹿・ネズミ等害獣、イナゴ等大型昆虫 ↔ 病害・雑草不認識 → ヨーロッパで害虫獣を宗教裁判にかけ断罪した記録
全生物に注がれる神の慈愛を受ける資格ないとし破門処置 807 「古語拾遺」中に害虫(ウンカとアワヨトウが主)の記載
伊勢神宮祈祷: 虫が蝶に変化し飛び去り(アワヨトウが成虫化)、ハチに殺され喜んだ (記録)
糞尿を田にまく(関東地方) = 肥料 → 収量増加 = 関東武士力をつけ鎌倉幕府開設に寄与(説)
「家伝殺虫散」発明(文書記録) = 記録上日本最古の農薬
生類憐れみの令: 農村で猪・鹿の殺生も禁じた → 実際には寛大な処置(害虫に対してはお咎めなし)
9区画に石垣で区切り、順次その中の猪を柵等で追い込み全滅
最初にして最大の農業指南書 → 農薬のことも記載
西日本中心にウンカ大発生 → 減収 > 70% → 餓死(推定) ≥ 100万人
田圃に油(鯨油等)まく → 水面に油膜形成 → 虫落下すると油に搦まれ飛べず死亡
ジャガイモ疫病ヨーロッパ全土に広がる
人口800万人の内100万人以上の餓死者 + 移住者 = 人口半減 病虫害をなんとかしたい… 思い高まった事件 1873 植物検疫の始まり = ドイツで世界初の検疫法誕生
仏: 米国からブドウ樹輸入 → 新大陸固有害虫発生 → 19年後に収穫1/3
1840 リービッヒ(独): CO2, H2O, N, P, K重要 → 人工肥料の考え方
→ N肥料を大量安価に得る 近代農薬の始まり1700代頃 除虫菊粉利用開始欧州: 除虫菊粉(渦巻型蚊取線香原料) - 害虫防除能判明 → 商品流通 日本明治時代
除虫菊・ニコチン等、天然物由来の物の使用開始
フランス = ワイン生産地 → 原料のブドウは病害に弱く生産不安定 石灰硫黄合剤: 金属腐食・悪臭 → 1954 小畑: 固形化され現在利用 1880頃 フランスでボルドー液(硫酸銅-石灰混合物)開発 ボルドー液: 毒々しい色をしブドウ盗難防止に撒く → 病気発生しない(偶然発見) 共に1900年頃に日本に導入 - 現在も使用 1800代 米国 農薬誕生
青酸や亜ヒ酸(ヒ素)や硫酸ニコチン(タバコ成分)使用開始 → 高毒性物 1891 除虫菊粉 → ボルドー液・青酸・ヒ酸鉛・硫酸ニコチン等輸入 諸外国で発明された主農薬は日本に導入 + 国産化着手
1917 日本初の農薬製剤工場操業開始 → 石灰硫黄合剤製造 クロルピクリン製造 → 後、主農薬は続々国産化 1924 除虫菊有効成分判明
スタウディンガー: 除虫菊殺虫有効成分をピレトリンと特定 [農薬-化学結びつく画期的研究成果] 明治-大正: 「農業用薬剤」 1930代(昭和初期) 日本農村に農薬本格普及開始
(→ それまで各地で断片的使用)
欧州: 絨毯や衣服の虫害防除に合成染料が有効なことは既知
強防虫効果化合物探索 → DDTの強殺虫活性発見
[大量合成可能な有機化合物を殺虫剤として実用化した初例] 近代農薬: 効果が科学的実証可能 + 大量生産(商品)でき入手可能 ガイギー社: スイス(永世中立国) → 英米と日独の両方にDDTを売り込む
英米: 戦場でDDT使用
農薬配給制 → あまり出回らない(原材料の銅や硫黄等が兵器製造に不可欠) + 農村労働者出征
Def. 有機農薬: 有機化学的手法で人工的に合成された農薬 → 現在の農薬の9割は有機農薬 |
1944 除草剤誕生: 作物は枯れずに雑草だけ枯れる → 夢?
現実化 = 2, 4-D (または2, 4PA) → 人力による除草時間の大幅短縮 年/水稲除草必要時間(hr/10 a): 1949/51 1965/17 1975/8 1991/2 1946 DDT日本上陸米軍は衛生状況悪化防ぐためDDTによるノミ、シラミ、蚊防除勧める 1952 稲作用農薬誕生 → 農薬が急速普及
水田イネにつく病害虫農薬退治には2つの問題
1952 イモチ病薬効高いセレサン石灰(水銀剤) 2) 泥状の水田に入って農薬をまくのは重労働 → 泥中に入らず、畦道からまける粉剤を開発 1957頃 農薬抵抗性・リサージェンス等の問題発生
農薬抵抗性発見 → 回避法
米増産急務 → イモチ病を防ぐセレサン石灰という農薬が救世主とされる
1957 除草剤PCP使用開始: ヒエ除草活性 - 5年後: 田圃過半数で使用
殺虫剤DDT等が自然界で難分解なため環境に蓄積し害を招く可能性示唆 → 農薬安全性議論
世論変化 = 戦後の農薬急速普及 → 農薬事故・事件多発 + サイレントスプリング効果
農薬毒性に対する関心増と、自然影響等を考慮し、農薬登録時に各種毒性試験や自然界への残留試験等を義務づけた法律改正 化学兵器神経作用化学兵器 (Ex. サリン)と、有機リン系殺虫剤は化学構造類似、神経作用機構も類似
→ 微妙な化学構造の相違が差を産み出す (ただし転換も容易) Def. 農薬: 有害生物から作物を保護するために使用する薬剤(s.l.) _________雑草・害虫・病原菌を防除する薬剤(s.s.) 除草剤 選択性除草剤: 作物・雑草生育時に散布し雑草のみを枯らす Ex. MCPP: 広葉用除草剤 → ゴルフ場でも使用 非選択性除草剤: 薬剤かかった草は全て枯れる。作物ない所で使う
グリホサート(商品名: ラウンドアップ): 1980年代半導入 殺虫剤: 害虫を防除する Ex. 殺ダニ剤、ジノテフラン(ネオニコチノイドの一種)、ペンチオピラド 殺鼠剤: ネズミ等の害獣を防除するその他: 植物生育調節剤(作物の背丈を低くするなど)、土壌消毒剤、等 以下の事柄を考慮し使用を決定すべき
→ 結局
Ex. 天然物抽出化学物質, 天敵等生物(生物農薬)利用 生物農薬 = 「天敵」散布
主に殺虫剤替わりに利用: 害虫寄生菌(BT菌)、ハチ等、あるいは害虫捕食昆虫(ダニ等)を人工増殖
利点: 化学農薬に比べ安全性高く、減農薬につながる
ポストハーベスト農薬: 収穫後の作物に使用 ↔ プレハーベスト農薬 1) 殺菌剤 bactericidea) 非浸透性殺菌剤: 古くからある殺菌剤で、薬剤が葉上に残り付着した病原菌の酵素を阻害し予防b) 浸透性殺菌剤: 最近の殺菌剤で、薬剤は葉・根から吸収され予防だけではなく既に植物に侵入した菌にも効果があり治療的にも効く = 菌の細胞壁を作る酵素など菌独自の酵素を阻害する物が主 2) 除草剤 herbicide多種類a) 成長ホルモン撹乱物質 b) 光合成阻害物質 c) 植物特異アミノ酸合成酵素阻害物質 植物種選択性を出すのは困難 → 作物・雑草の薬物取り込み量の差や作物特異的に薬物分解されることを利用し選択性を得る 3) 殺虫剤a) 神経麻痺剤・興奮剤b) 成長抑制剤・産卵抑制剤 (IGR) フェロモン剤: (オス)誘引捕獲 + 大量散布によりメス位置の判別阻害(交信撹乱法)し交尾阻害
フェロモンは昆虫種により異なる = 特定種にのみ効果 効果判断基準1) 残効性: 農薬効果の持続期間の長さ → [理想] 作物発芽時に散布し、収穫頃に効果切れる(困難)家庭用殺虫剤は目の前の虫に直接かけるが、田畑では絶えず有害生物が侵入 → 毎回散布は無理 残効性は1週間-2ヶ月程度 残効性高いと散布回数減らせる ↔ 長すぎると残留し自然環境に影響 2) 選択性: 目的生物(害虫・雑草等)への効果と保護生物(作物等)への効果との比 → 高いほど良い農薬選択性が1の農薬は農薬と言わない 散布法濃度: 通常、殺虫剤・殺菌剤: 新剤50-200 ppm、古剤400-1000 ppmの有効成分を含む液使用
= 100-300 g/ha有効成分量
Ex. 散布直後に降水 → 農薬流出 = 効果低減 農薬取締法農業以外使用(家庭用・産業用等): 「薬事法」か「化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)」等で管理 → 農業用と区別法的: 「農薬取締法」で管理される物 = 農薬 ↔ それ以外は「農薬」の範疇外 |
1) 開発= 化学物質合成: 新化学物質創出。天然物質探索研究期間: 有望化合物を見つけてから7-20年(通常10年)で商品化 成功確率: 現在、新規化合物5万個に1個の割合で成功 間接支援(予算獲得): 農薬研究費膨大(現在、1種開発に30-50億円)
試験項目増に伴い開発費も増える 2) 効果確認実験・大規模圃場試験作用性: 化合物効果機構を検査 3) 安全性試験使用禁止農薬処分方法
過去: 回収・埋立・放置 → 漏出・所在不明等の問題 4) 大量生産(= 技術確立)5) 製剤製剤法により効果変化 → 農薬効果を最大限に引き出すよう処方を研究
通常: 高い効果 = 残効性短い, and vice versa 6) 書類提出 (含, 特許 – 重要)ジェネリック農薬: 農薬開発企業が持つ特許有効期限切れ後だが、各種試験をパスした登録農薬7) 販売購入: JA(農協) (一般的) + 卸・小売店 + ホームセンター + インターネット非農家でも購入可(義務: 毒物・劇物指定農薬は署名印鑑を購入時提出) 価格: 農薬種類や作物により異なる → 一般に1000-5000円/(10 a)/1回 (家庭園芸用農薬は高価) |
a) 日本売上トップの農薬 稲作国 → 水田用農薬の出荷量多 2003: 3200億円出荷(1999集計, % = 水稲用37, 果樹用18, 野菜用30, 他15) 殺虫剤 > 除草剤 > 殺菌剤 使用量減少傾向 (水稲分野は減反政策や減農薬指向の影響) 殺菌剤: イモチ病防除「オリゼメート(化学名: プロペナゾール)」(明治製菓)殺虫剤: ウンカ防除「アドマイヤー(化学名: イミダクロプリド)」(日本バイエル社) 除草剤: 少量で殆どの雑草枯らしイネに低害な「化学名: ベンスルフロン」(デュポン社)含有除草剤 他分野も含めると、果樹園や非農耕地で使われる除草剤「ラウンドアップ(化学名: グリフォセート)」(モンサント社)出荷量が多く、全分野を合わせても日本で一番売れている農薬は「ラウンドアップ」 b) 世界で一番売れている農薬1996 ウッドマッケンジー調査: 3兆1250億円($1 = \100) [除草剤50%、殺虫剤30%、殺菌剤他20%] 2001 大きな変動なし
米国28%, 日本12% (フランス > ブラジル > ドイツ > イタリア) → 使用量増加傾向(アジア・ロシア) 農薬製造会社世界一: シンジェンタ社(大規模合併で誕生した新会社)が売上高世界一日本一: 住友化学(農薬分野1000億円程度の売上)
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[ 実験安全教育 ]
農薬 → 虫菌草に生理活性(= 効果) → 基本的に毒 → 人間や自然環境に生理活性(= 毒性) Def. 安全性 = 効果 - 毒性 → 差が大きければ安全性高
農家: 保護メガネ・ゴム手袋等の着用義務 + 使用量厳守(公共機関やJAによる指導・啓蒙) Def. 薬害: 農薬により作物障害が出ること (天候や使用方法により発症しないこともある)1) 毒性(発症)
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2) 対処・問題
理想: 無農薬・無化学肥料農業 ↔ 現実: 技術的困難性・収量減・高コスト 安全性Ex. 1: ダイオキシン(高毒性) → 検出 = 使用禁止
除草剤「2, 4, 5T」や「PCP」にはダイオキシン類含有
→ 自然界分解試験や、亜急性・慢性等の長期毒性試験の義務化 人間以外の安全性: 高毒性認められても農薬使用は可 → 使用時規制
情報公開遅れている(企業秘密が一因) = 農薬製剤成分や製造方法等は非公開
日本農薬学会誌(年4冊): 新薬の安全性試験データ等が掲載される |