(2017年12月26日更新) [ 日本語 | English ]
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保全生物学 (conservation biology)基礎生物学 + 社会科学 → 生物多様性保全について具体的成果を目指す
森林開発や野生生物の利用等、人間活動との関わりを分析
保全生態学 (conservation ecology)動態 dynamics を知ることは自然保護に役立つ(だろう) → 方策施せる
野幌針葉樹林 → 混交林, 浜小清水の湿原 → 森林
朝鮮の山 概念用語ホットスポット (hotspot): 絶滅危惧種(RDB種)が特に多種生息する地域Ex. 地域固有種多 キーストーン種 (keystone species): その種欠如 → 生態系構造・機能を大きく変化させる種Ex. 食物連鎖最上位種(ラッコ) → ウニ捕食 → ケルプ(海藻)の森発達 ⇔ ラッコ消滅 → ウニ藻場食害 → 海底裸地化 アンブレラ種(傘種) (umbrella species): 個体群維持に広大な生息地必要 → 保護 → 傘様に同時に多種保全 ≠ キーストーン種
その種が生態系から失われても他種に大きな影響及ぶとは限らない 自然保護 nature protection自然開発・利用には消費者(人間)の立場から離れることなく生態系平衡と調和を保ち進めなければならない快適な生活をするための合理的な自然利用 = 人間生活上必要: 欲求 永続: 環境質の維持・産出・永久保障 → 自然保護 nature protection (protection of form) |
生態系保護 ecosystem conservation仮説: 多様性維持keeping high diversity: 多様性把握 → 生態系管理可能Ex. 遷移を多様性観点から理解し、より多様な又は生産性高い段階(群集)について維持機構を解明する → 農学・林学へ応用 → 保護面積最低単位 = 景観単位 (landscape unit)
1景観単位を最低限守るべき
システム化保全CARの原則: 保護区ネットワーク設計の基本概念 (久保田他 2017)
包括性 comprehensiveness メモ: 生態学会アフターケア委員会委員選出方法1)要望書採択時点で自動的にアフターケア委員会設置。自然保護専門委員会独自要望書提出でも、委員会設置する場合がある2)要望書(案)提出を主体的に担当する自然保護専門委員会委員を世話人とし、委員長1名を含む約5名の委員を選出し、自然保護専門委員会に報告し承認を受ける。少なくとも1名は自然保護専門委員会委員。委員選出や解任はアフターケア委員会に一任 |
古くは造林afforestationの一分野 森林に加えられる種々な危害に対しする保護 目的 危害原因・性質を把握(基礎) + 防除、危害予防や駆除の理論と技術的方法確立(応用) (四手井 1976) + 森林生態系全体の保全
気象災害: 火災・風害・雪害・干害・凍害・潮害
(樹)病害: Ex. ブナ科樹木萎凋病 人為災害: 大気汚染・土壌汚染・伐採・林道設定・薬品害-増加 林縁保護植栽: 伐採樹林林縁修復 → 樹林内に生育する種等への影響低減マツクイムシ防除マツクイムシ: マツ類害虫総称(石原) = カミキリムシ・ゾウムシ・キクイムシ科に属する昆虫総称(林野庁) |
穿孔性害虫: 樹木や丸太の樹皮下か木質部に穿孔し発育・加害する昆虫の総称 マツノザイセンチュウ: 樹木材部に生息 → 媒介者: マツノマダラカミキリ昭和10年代以降被害は増加後戦後一時減少しその後急増 被害増加原因 → 野鳥減少等による捕食者減少(説) 農薬散布(特に林野庁実施空中散布は他昆虫に効果 → マツノマダラカミキリに殆ど効果なし) マツ枯れ: 被害木は晩夏-秋に急激に赤変枯死原因: マツノザイセンチュウ = 樹脂道中で繁殖 - 樹液流を止める 対策: 抵抗性系統発見・育成 、餌木誘殺、混植、浸透性殺虫剤注入 ※ 大規模マツ枯れ原因: 植生遷移、大気汚染やそれに伴う酸性雨や酸性霧をあげる人もいる |
価値 = 人間が決める → 当然人により区分見解異なる ⇒ 潜在自然植生 植生自然度区分: 人為物理的破壌状況区分を、植物群集種組成から行う 日本で昔々?、提案された自然度10段階区分(恣意的), 自然度: 特徴
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改法(5区分): 「自然環境保全法」= 意見統一のための基準 V 自然林: 高山帯(北海道800 m以上) 10, 安定した森林 9 IV 2次林(代償植生): ブナ林等 8, 伐期の高い人工林 7 III 植林(人工林)・半自然草原: 状況により 6-5 II 耕地: 状況により 4-3 I 造成地・住宅地等: 市街地 2-1 自然環境保全調査実施要領 (1973) 基礎調査(自然度調査): 植生自然度: 特に人間による物理的破壊状況を知るため群落種組成で判断 一般に認められた群集から判断し約200凡例の区分を行い現存植生図を作成 (亀山 1973) 道路工事による直接的破壊建設後の環境変化による影響 自動車交通による影響 利用者による影響 ⇒ 道路からの距離と植生の関係 種数・種組成・生活型変化、指標種 |
絶滅の危機にある種 = 個体数が極めて少なくなった種 鳥・哺乳類: 約11%絶滅危機。特に、水鳥、オウム類、有袋類等30-50%種 魚類・両生類・爬虫類: 約3%絶滅危機。イグアナ、オオトカゲ、ボア等大型爬虫類は半数以上の種 昆虫類: 推定困難だが、熱帯林では発見されず既に絶滅した種も少なくない 植物: 乱伐で約10%の種が絶滅危機。裸子植物やヤシ類で約30%の種 → 北海道の絶滅危惧植物 (endangered plant species in Hokkaido) 表2. 日本で植物が絶減危慎になった原因(1986-1988年調査) (出典不明)絶滅種 絶滅 危急種 現状 合計 危惧種 不明種 開発行為 森林伐採 5 23 97 1 126 草地開発 1 7 28 2 38 湿地開発 8 19 110 5 142 石灰採掘 0 2 6 0 8 ダム建設 1 2 8 0 11 道路工事 0 1 17 1 19 その他 1 9 33 0 43 採集 園芸採集 3 71 178 2 254 薬用採集 0 0 3 0 3 その他 稀少 0 22 252 2 276 踏みつけ 0 0 9 0 9 食害 0 3 8 0 11 火山噴火 3 0 1 0 4 遷移進行 0 0 3 0 3 不明 13 3 4 23 43日本: 陸上植物 > 9300種 - 2700種(29%)が固有種 2445種(26%)が絶滅危惧種 (環境省 2020) |
サロベツ湿原における絶滅危惧種ランク絶滅危惧IB類 (EN)シロミノハリイ (Eleocharis margaritacea): T 絶滅危惧II類 (VU)
ネムロコウホネ (Nuphar pumila): TR
タヌキモ (Utricularia vulgaris var. japonica: T T = 橘・伊藤 1980. R = RDB (利尻礼文サロベツ環境省指定) [北海道の自然環境再考: その危機的現象をとらえる: 湿原の保全と復元 -サロベツ湿原を事例として-][ 天然記念物 ] 道内植物 特別天然記念物道内植物 天然記念物 |
絶滅の危険がある種のリスト作成し、生息状況を取りまとめ編纂した本 世界: 国際NGOであるIUCN編纂 日本: 環境省中心に編纂 + 水産庁、各都道府県、NGO等が個別にまとめたものがある |
グリーンリスト (GreenList)= 日本野生維管束植物リスト: 主に環境省絶滅危惧種調査基本台帳とし作成
維管束植物RDB・Red Data List基本台帳: 矢原さん(九州大学)管理 → |
IUCN RDBカテゴリ | 日本版RDBカテゴリ | |||||
Evaluated | Adequate data | Extinct | 絶滅 | |||
Extinct in the wild | 野生絶滅 | |||||
Threatened | Critically endangered | IA類 | 絶滅危惧I類 | |||
Endangered | IB類 | |||||
Vulnerable | 絶滅危惧II類 | |||||
Lower risk | Conservation dependent | (カテゴリ設けず) | ||||
Near threatened | 準絶滅危惧 | |||||
Least concern | (カテゴリ設けず) | |||||
Data deficient | 情報不足 | |||||
Not evaluated | (カテゴリ設けず) |
≈ (欧米) 狩猟獣管理学 game management 管理学 management = 経営学 management 危機野生植物の特徴
危機野生動物の特徴
野生生物保護の目的
貴重種選定基準個体数: 多 → 少繁殖力: 旺盛 → 極乏 分布: 広 → 狭 植物群落の関係: 普通種 → 表徴種 景観との関係: 無意味 → 有 有用性: 無 → 有 (0, 1, 2, 3の4段階評定) 評価試案(客観的/学術的価値, 実現不可能) - 絶対的なものではない 餌付問題特定動物保護や観光目的に動物餌付 → [問題] 動物が自ら餌を採る能力失うEx. Yellowstone国立公園のグリズリーベアー餌付 観光客誘致に餌付 → 観察できるまでグリズリー近づく(成功) → グリズリー必要以上に餌求める → 餌付中止 → 餌なく人間襲う → 野生を維持せよ keep wilderess という思想の原点Ex. 日本: 日光の猿や知床の熊 ⇒ 鳥獣保護管理法, 森林経営管理法 北海道エゾシカ Cervus nippon yesoensis個体数管理(最重要) + 被害管理 + 生息地管理 (モニタリング必要)アイヌ: 重要資源 (食料・衣料・交易) 1717 「松前蝦夷記」夕別で個体群密度低 1784 「東遊記」 豪雪によりエゾシカ個体数激減 - 飢饉 1792 「夷諺俗話」 激減 1830-1843 沙流・静内: 共にシカ皮3000枚産出 1863 「東蝦夷日記」「西蝦夷日記」 大繁殖 人為影響が小さくともシカ個体群変動は大きい 1876 開拓使: 鹿猟規制 - 資源保全目的 (ケプロン示唆の影響大) |
1878 開拓使: 千歳美々に鹿肉缶詰工場 (1978年は76313個生産)
1879 記録的大雪 - シカ大量餓死 → 1881 工場廃止 1885 「開拓使事業報告」 1875: 76000枚のシカ皮産出(ピーク)1889 北海道庁: 一時的だがシカ禁漁令 1895 狩猟法 1911 「札幌区史」 農作物のシカ食害報告 1941 太平洋戦争: 弾薬不足・青年男子減 → 狩猟減少 → 個体数回復傾向
1951 様似にシカ猟区設定 (エゾ)オオカミ Canis lupus hodophilax1717 「松前蝦夷記」 オオカミ記録なし - 本来、個体数少ない1781 「松前志」 (エゾ)オオカミ被害初出 1877 本庁・函館支庁: オオカミ捕獲奨励金 1879 大雪でシカ激減 → オオカミが牧場の家畜を襲う Ex. 新冠牧場(1872年開設): 毒餌(ストリキニーネ)により殲滅 再導入: 絶滅捕食者を導入し個体数管理 - データなし(机上の空論)1995 イエローストーン国立公園(ワイオミング州) + アイダホ州 ヒグマ Ursus arctos yesoensis1739 「北海随筆」 エゾヒグマによる人畜被害1788 「東遊雑記」 知内付近のエゾヒグマによる被害 アイヌ: 和人に較べ羆を恐れない クマ被害1878 札幌丘珠事件: 3名死亡2名重傷 1915 三毛別羆事件(三毛別-、六線沢熊害-、苫前羆-、苫前三毛別-)
11 初: トウキビ被害 1970 福岡大学WV同好会羆襲撃事件: カムイエクウチカウシ登山 3名死亡 1976 風不死岳山麓 山菜取 2名死亡3名重症 ☛ 分類 タンチョウ Grus japonensisメタゲノミクス (metagenomics)環境中から直接収集・抽出されるメタゲノムについての研究
生態系の構造や機能を推定 メタゲノム (metagenome)微生物集団から直接収集・抽出される遺伝情報(ゲノム)
[分類群同定 Claident] + [環境変数 environmental variables] ⇒
Ex. 類似度 > 97% ⇒ 1分類群(しばしば属)
1: 希釈法 rarefaction 環境DNA (environmental DNA, eDNA)生物由来DNA → 生物相・個体数等(環境DNA ∝ 個体数)の推定生物相の保護管理の基本情報 予測メタゲノム解析16S rDNAアンプリコンシーケンス解析データ → 遺伝子機能推定Tax4Fun (Tax4Fun) |
[生物多様性ホットスポット (biodiversity hotspots), 多様性指数]
Def. 全ての生物間の変異性 = 種内多様性 + 種間多様性 + 生態系多様性 (地球サミット 1992)生物多様性の3つのレベル
遺伝子型 genetic type遺伝的多様性: 純系 = 多様性低 ↔ 雑多 = 多様性高Ex. 工業暗化 industrial melanism ☛ 進化 北海道: ハルニレ樹皮は比較的白いが市街地では黒い木肌が多 Ex. タンチョウとオオカミタンチョウ餌: ドジョウ・草・根・動物 + 人からトウモロコシ等 = 餌質単純化 捕食内容の広さがタンチョウ存続の1要因 (クマにも言える) オオカミ: 餌獲得に集団生活 → 摂食内容は肉質限定 → 人為によるオオカミ滅亡要因の1つ |
生物多様性保全の鍵になる地域= key biodiversity area (KBA)危機性 (Vulnerability): IUCNレッドリストの絶滅危惧種(CR, EN, VU)に分類された種が生息/生育 ___ CR, EN該当種が1個体でも存在するサイト / VUにあたる種が30個体、あるいは10ペア以上存在するサイト 非代替性 (Irreplaceability)
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